20050616

以下の記事を読んだ。
・インドのビール市場は未開拓の状況にあり、大きな可能性を秘めている。インドでは他国ではあまり例のないことだが、蒸留酒の売上のほうが、ビールよりも多い。これは税制の影響が大きい。アルコール度数ではなく、数量で課税されてしまうため、アルコール度数で換算するとウィスキーなどの蒸留酒がコストパフォーマンスが高いのだ。また販売面での規制も厳しく、インド全体で5万ほどしか販売免許が付与されていない。更に、アルコールの広告が禁止されているという障壁もある。しかし多くのビール会社がこの広告規制をかいくぐって、創造的なマーケティングを行なっている。ある会社は、ビールと同じ名前のソーダを販売し、このソーダのCMを流している。またある会社はビール宣伝のために航空路線まで始めた。規制は厳しくても可能性は極めて大きいために、外国からの投資も多い。インド政府の規制緩和政策がアルコール分野にまで進んでくるとの期待もある。


・80年代にイランから移民として米国にやってきた男が始めた映画館チェーンが急成長を見せている。この会社の名前はMuvico Theatersといい、豪華な映画館を次々と建設している。映画館が不況に苦しむ中、同社の業績は急拡大している。同社の映画館ではカップル用の巨大シートをはじめ、託児所、豪華レストラン、ボーイ付きの駐車サービスなどが提供されている。米国では近年、多くの映画館が破綻している。90年代の過剰建設ブームの反動であるが、DVDを自宅で見る人が増加したことも背景にある。同社が運営する非日常的な映画館は自宅でDVDを見る際に味わうことができない経験を提供している。ショッピングモールも同社を有力テナントとして積極的に誘致している。最近のショッピングセンターは単に買い物するだけではなく、エンターテイメント色が強くなっており、同社が運営する映画館は最適な存在に映るのだ。


・メキシコは石油国有化の流れの口火を切った国である。1920年代には既に石油会社を国営化しており、米国資本を追い出すことに成功している。メキシコでの成功が、各国に飛び火し、石油ナショナリズムの動きを加速させた。メキシコ憲法では地下資源はすべて国のものとされており、外国資本の導入は認められていない。そのため国営企業であるPemexが石油関連の事業を一手に引き受けている。しかし最近は、外国資本の導入ができないというしばりのおかげで同社は苦しい立場に立たされている。メキシコ国内の石油資源が枯渇するなか、採掘が困難な地域を開発する必要があるが、そのための技術を導入できないのだ。購入しようにもどのような技術を買えばよいのかさえ不明な状況になっている。また同社からの収入が国家予算の3分の1程度を占める中、売上の多くを国が絞り取ることになり、新規投資の資金に乏しい状況になっている。現在の同社の経営陣は外資の導入を訴えているものの、今までの民営化(銀行や通信分野)では裕福な外資が利益を奪っていったとの記憶があり難しい。


・高齢化が進む日本では労働力の不足が懸念されている。特にもうすぐ団塊の世代が集団で退職する時期も到来するため、いっそう危機感は強い。政府は定年を現在の60歳から65歳に延長することを企業に対して求めているが、大企業の取り組みは遅い。その一方で若年労働者不足に悩む中小企業では積極的に高齢者の雇用に取り組んでいる。高齢者は仕事に取り組む意欲が高いことや人件費も安くつくことなども企業にとっては好都合である。高齢者が働きやすいように職場環境もバリアフリーに変わりつつある。人口高齢化が急速に進んでいるのは日本だけではない。先進国共通の問題である。日本の取り組みは他の先進国にとっても大きな教材となる。日本の出生率はイタリアやスペインと同程度であり、韓国はさらに低い水準となっている。米国などと異なり、日本では移民受け入れに対する懸念も強く、出生率の低下に伴う労働力不足は、高齢者・女性の雇用でカバーするしかない。


・シカゴにある2つの野球チーム、カブスホワイトソックスは集客能力に大きな差がある。ホワイトソックスは現時点での成績は首位を維持しているにも関わらず、ホームグランドのU.S. Cellular Fieldを満員にすることができないのだ。せいぜい半分程度しか埋まらない。チケット半額セールなどを行なっても効果は乏しい。北にあるカブスの本拠地であるWrigleyはほぼ満員が続いている。両者の人気の差には様々な要因がある。カブスのほうが人気をある選手を抱えていることや、劇的なシーズン展開(ワールドシリーズまでもうすこしといったところで逆転負けを演じてしまうなど)などで観客を興奮させるという点などである。シカゴの厳しい観客を満足させるにはつまらない試合ではダメなのだ。野球場の持つ魅力も大きい。歴史あるWrigleyと異なり、U.S. Cellular Fieldはベルリンの壁を思い起こさせるような雰囲気を持っている。近所にバーもないというのも不利な点。カブスは新聞社が保有しており、新聞でのホワイトソックスの扱いが低いのではないかと見る向きもある。



韓国は日本よりも出生率が低いとは初めて知った。スペインとイタリアが日本と同水準というのも意外。