BSドキュメンタリー 沸騰するインド医療ビジネス 〜世界が担う巨大市場と最先端治療システム〜

インドのメディカル・ツーリズムの現状を紹介していたが、インドに先進国から患者がやってくるのは単に医療費が安いという理由だけではなかった。技術力も先進国に引けを取らないばかりか逆に優れているように感じた。欧米で修行した医者達もインドにどんどん帰国しているという背景がある。患者に請求する医療費が先進国の半分から10分の1程度というのに、なぜ高度な医療機器を導入できるのか少し不思議に思った。利益がないと投資するのも難しいだろう。また高度な能力を有するスタッフは、なぜ先進国に出稼ぎに行くのではなく給与が安いインドにとどまっているのか、それも少し疑問に思った。

インドの医療システムはもともとは公的医療機関が主流だったが、現在は民間の施設が急成長している。様々な株式会社が病院経営に参入している。Apollo Hospitalfortisが大手プレーヤーだ。ホテルのような病院をどんどん開設している。海外からの患者を受け入れる病室はスイートルームになっていて、家族も一緒に滞在することもできる。それでいて一日あたりの費用は数万円というからかなり安い。

急成長する民間病院と比較すると、公的医療機関は厳しい立場にある。貧困層が殺到する一方、リソースが限られているために十分な医療サービスを提供できない。スタッフへの給与格差も大きいため、民間病院への人材流出も激しい。貧困層は十分な医療を受けるには多額の借金をして民間の病院に行く必要がある。政府が公的医療機関へ投じる金額が少ないというのが根本的な問題だ。

日本でも今後健康保険の自己負担比率がもっと引き上げられていくと思うが、そうなると日本で医療を受けるよりもインドに治療を受けに行くという選択肢がますます魅力的に映るかもしれない。今後の為替相場の水準にも依存するが。



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