日本の教育に最も求められているICLCの「連帯(つながり&むすびめ)の教育」

「連帯教育(つながりの教育」とは、これはヒューマン・リテラシーの哲学を実現していく方法です。

第1に、連帯教育の目的は、徹頭徹尾、人間理解と世界のありのままの実態を知ること、そして国境なき対等な人間関係の創造や関係性を構築していくことを意味しています。そのためには人間と人間の連帯を阻んでいく諸課題を明らかにして、それを乗り越えるために具体的に人間同士が連帯する意志とアイデアと力を育んでいくことを目指しています。

そして、人間を、社会の光と影の両方の部分で実感することが重要で、例えば深刻な飢餓や戦争などの課題を扱うときにも、必ずその人々が有している豊かな文化理解も同時に行なうことによって、人間社会の全体を知るようにすることを目指します。

文化理解とは相手の最も誇りにしている部分に心から感動し、相手の生きている光の部分を積極的に共有しようとすることです。これを利害の絡む存在から学ぼうとすることであり、こうした文化を基礎にした連帯教育は、力強い人間理解と生きるための連帯という力を養成することにつながるのです。 

第2に、連帯教育で重要なことは、それは多様なコミュニケーション能力や多様な視点を形成していくことで、さまざまなコミュニケーション技術を実践的に多様に身に付けていくことが重要です。コミュニケーション力とは、単に語学力という相手が使っている言葉を理解するだけのものではなく、積極的に自らの考えを柔軟的にあらゆる方法でできるあらゆる表現能力や相手を受け入れられる寛容力のこと。また言語も英語やフランス語など欧米の言語だけを意味していないのです。

世界中には言葉の習得でもいろいろあり、それぞれの言葉が重要な意味をもっていることを知ることですからね。特に日本の近隣諸国のハングル語(韓国)、中国語、タガログ語(フイリッピン語)、ロシア語などは将来に非常に重要な言葉で、同時に日本のなかにおける多様な言語としてアイヌ語や沖縄語などの重要な言葉、それは文化的にも豊かな世界を育み、これを通じて日本語の素晴らしさにも気がついてゆくことを意味しているのでは。

またハンディを持っている人々とのコミュニケーションで、手話やさまざまな身体表現などを学んでおくことも、国際化の中における重要な学びですね。人間が、さまざまな条件にあることを理解することにつながります。また在日の人々や留学生、あるいは地域社会でさまざまな辛苦を経験した体験者から学ぶことは地域に深くつながる重要なリソースを活かすことにつながっていますし、連帯教育には、在日の留学生や日本に滞在する外国人や労働者の人々とも自由に参加できうる環境の育成も必要なのです。

第3に、連帯教育は質が深くて、本質的であればあるほど、その成果が見えてくるのには時間がかかります。つまり連帯教育では、乾いた大地に種を撒き、水を注ぐとすぐに目に見えて収穫が期待できるような即効主義は最も避けなければならないと思います。伝統的な価値観や地域という枠のなかで活動するときには、最も気をつけなければならないことーそれは表面的には大きな変化がすぐに表れたように見えても、実は深いところからはなにも変化していない、あるいは生みださないという結果もありますからね。

汗を流すとか新しいもので刺激するとかといったことだけに、目先にとられず「多様な人間や世界と接するためにはどのように効果的で意味あるコミュニケ−ションを作っていけるか」、あるいは「同じ地球のさまざまな人々の喜怒哀楽を知るために、地域社会のさまざまな分野で生きている人々の実体験からどのように学んで、それを伝承し創造していくか」ということでもあるのです。そのためには、連帯教育においては、地域の視点に立ちながらも、短期、長期の多様で柔軟的な戦略と取り組みが必要でしょう。

第4に、また単に頭だけで理解するのではなくて、行為や思考をともなって感動をもって理解するということが最も重要で、そのためには足や手や肉体的に実践することの意味を知ることではないでしょうか。そして人間の存在を、過去、現在、未来という時間の縦軸で捉えることーあるいは多様性や変化という横軸の中で連帯教育を推進することが望まれます。そのための明確な新しい哲学や方向性が必要なのではないかと思うのです。

第5に、例えば人間の現在と未来を理解するためには、過去の時間が重要な鍵になってくることがありますね。自国と他国の人間の歴史を誠実に学んでいくことにもつながってくることは、他人の痛みを自分のものとして痛切に感じる気持ちを育てることができるかどうかにつながる、重要な連帯教育の本質でもあるでしょう。隣国の韓国や中国との歴史の中で侵略の問題や従軍慰安婦の問題などをどのように共通理解して創造していこうとしているのか?本当に痛みをもった現実の課題を切実に課題としてどのようにとりあげていくか?これは連帯教育の最大の課題です。

第6に、連帯教育は、外に向けて理解を進める方向性から人間の内面にきちんと光を向けていくべきでしょう。アジア・太平洋地域で、識字教育の成功例と失敗例をもとに、現在、「絵地図分析」という新しい「自己発見のワークショップ」を国内外 (日本、インド、韓国、パキスタンミャンマーなど)で開催していますが、それは、近年、「人の言葉を聞くこと、自分を表現する力、あるいは文字や絵で伝える表現力の強化など、パソコンからデジタル機器にいたるまでさまざまなコミュニケーション能力の開発」が、子どもたちの日常生活の中で必要とされてきており、子どもや大人を含めて「自分がどこにいるのか?どこに行こうとしているのか?いったい何をしたいのか?」揺れに揺れて不安の中で自分探しを痛切に求めていることを知ったからです。

現代は誰しも大きく揺れて地図を必要としているのです。そのために「絵地図分析というワークショップ」を開発し、自分自身の言葉と絵とデザインを使って、自分自身の内面深くに潜在している欲求や願望や煩悶などの絵地図を作成するというものです。それは自分自身の偽りのない欲求や現実などの問題を本音で作成していくもので、連帯教育のワークショップで効果的に使うことを考えています。

誰でもよく経験あることですが、室内から出ようとして窓ガラスに当たったハエやトンボは、ガラス窓に体当たりしてバタバタともがき苦しみ、その世界ですっかり消耗して生きることができなくなってくることがあります。しかしその場所から少し離れて自分の置かれているところを見れば、広々とした自由な空間や時間がいくらでもあり、脱出口だっていろいろあったにもかかわらず、地に落ちて希望や心を失っていくことがあります。脱出口を見つけるためには、子どもたちの状況を少し距離や余裕をおいて地図の中にあらゆる可能性を見つけて分析することです。

例えば子どもたちの絵地図には、「さまざまな夢や希望と同時にさまざまな欲求や不満も文章と絵によって描かれているので、「学校を破壊したい。夫婦喧嘩を見たい。あの教師を追放したい。この教師に反抗したい。この世界はお金・お金・ お金・・」と書き綴っている子どもたちの深層からの叫びに接していると、言葉の世界が、現代社会の諸矛盾と複雑に絡んでいるのがわかってきます。

第7に、こうした具体的で深刻な問題を、どのように分析し、どのように具体的な対処のしかたを作っていくことは連帯教育の直面している最も大きな課題ではないかと思うのです。内面への旅は、現代の時代が抱えている最も重要な課題です。

今後、連帯教育の具体的な方法論やスキルを詳しく紹介していきます。そのためには、思想家、芸術家、写真家などの広範な専門家の参加にもよって写真や絵図を使った例示を豊富に紹介していきます。

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