日本のアーティストー田島和子の世界  

Kazuko Tajima 田島和子の作品ブログ http://kazuko-tajima.at.webry.info/


種子に秘められた物語
水のこんせき
はるかな時空をめぐる
生の記憶

死という肉体はやさしく
降り積もり
大地となる

人が言葉を発する
はるか昔から
自然が静かに
生と死のめぐりのうちに
霊気を発している

自然はいたるところ
あなたの足下でも・・・・・



日本の画家、詩人、東京在住

田島和子(KAZUKO TAJIMA)は、画家であり詩人でもある。彼女は地球上をくまなく歩くばかりでなく芸術の世界の旅人でもある。パキスタン滞在中にはさまざまなやり方で自分の芸術的表現を試みた。彼女の作品は地球上の現象や人々に対する興味だけでなく抽象的な世界にも情熱を持っている事を示している。

そこには人間の精神の内と外との対話がある。彼女の最近の作品は従来画家が探求してきた風景画に属するものである。しかし彼女の風景画は単に風景を写し出すだけでなくその風景と一体化しようとする試みなのである。つまり彼女の風景画の本質とは外的な形態ではなくもっと基本的な概念なのである。

田島和子はいわゆる現実世界を自分自身のイメージと好きな材料で自由に表現しようとしている。彼女は最初事物や思想を絵画や写真という従来の方法で描くことを試みたが、現在ではよりとぎ澄まされた方法をもちいている。彼女の最近の作品は自身の広範な紙作りの経験を生かしたものである。

ある意味ではこれらの作品は自身の多様な経験をもとにして、外的形態と思想の総合を図ったものと言える。従って彼女の風景画は思想的により深く、また個人的体験の表象なのである。木や木炭、灰、土などを細かく砕いたり煮たりして膠を混ぜたものを材料としているので、見る者は自然と直に接している感じを受ける。こうした材料は自然に近いものと言うだけでなく自然そのものを材料にしているからである。

彼女は自然をその色彩の多様さでとらえずその材質でとらえている。我々は密度が濃くコントラストのある画面に近づくと色彩がないことにほとんど気づかない、自然の明暗が現れ我々は地面と空、昼と夜などを連想するが、やがてイメージの変化が起き、ついにはその絵が何を表しているのかを考えなくなるが、そこには時間と空間が存在しているのである。彼女の最新の一連の作品は、彼女の芸術の旅での幾多の経験が一つの極みに達した事を示すとともに彼女がまた新たな段階に向かっている事を示している。(鈴木祝子訳)

                        

サリマ ハシミ (画家、批評家、国立ラホール美術大学元学長)