『ニーナとうさぎと魔法の戦車 2』(兎月竜之介)

ニーナとうさぎと魔法の戦車〈2〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)

ニーナとうさぎと魔法の戦車〈2〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)

残念系ゴスロリ眼帯少女、といういかにもな新キャラを投入。
帯には「友達ができました。」の文字。
ぱんぱかぱーんっ、と幕開けこそ穏やかでしたが、あらすじにもある通り、やはりそこはまだ「戦後」の世界、徐々に雲行きは怪しくなり、そして……
いや、まあ、いろいろと序盤から嫌な予感はありました。
どんな理由をつけるにしろ、開拓村の保護を積極的に行わない姿勢は、明らかに市政の怠慢でありながら、そこに対して理想論しか持ってこなかったり、と。
でもまさか、一冊で決着つけてしまうとは。
終盤、事態を大きく動かすに至った脱走とか、いやその施設ってそんなにザルなの、と引っかかる部分も……決着を急ぎすぎたのかなあ。


もっと、いろんな面を、理想と現実と、あるいはそんなものを吹き飛ばしてしまうような、彼女自身の止められない想いを見たかった、素直なところを言えばそうなります。
多分、彼女、そして彼はそれが出来たと思うのです。
崇高な理想と、くそったれな現実と、選んだ——選ばざるをえなかった道。
正しいか否かではなく。


この物語が続く限り、こういった場面はまだ幾度も訪れるでしょう。
やり過ごすのではなく、しかし真正面から潰されるのでもなく、決して甘くはない過去を持つニーナだからこそ、乗り越えていく姿を見たい、と切に。