国会の中継を観ていたら間違った知識を公言した大学教授著の資料がでていた。日本のシンクタンクは大丈夫なのか?
国会の中継を観ていたら間違った知識を公言した大学教授著の資料がでていた。
日本のシンクタンクは大丈夫なのか?とても心配になりました。
大阪の某大学の教授の名前がありました。
「セシウムはベータ線を出すので皮膚を通しませんから安全です。体内に入っても安全です」
というものでした。
とんでもない!
過去に書いたものですが以下を読んでください。抜粋しました。
ガンマ線も出しますし、体内に入ってしまったときの危険性もあります。
※詳しくは、[内部被曝などの食の安全を正確な情報と正しい知識で考える]をご覧下さい。
ベクレルの意味
ベクレルを、分かり易く例え話で説明します。
カリウム40は、半減期12.8億年でβ崩壊で約9割がカルシウム40に壊変して安定し、1割は電子捕獲でガンマ線を放出してアルゴン40になります。
セシウム137は、半減期30年でβ崩壊でベータ線を出しバリウム137mに壊変し、その後すぐ、半減期2.55分でガンマ崩壊し、ガンマ線を放出してバリウム137になり安定します。
ベクレルは1秒で原子核が崩壊して放射線を放つ量、すなわち放射能の量です。
これを、例えてみますと。
カリウム40は、中に玉が2個入った袋のようなものとします。
セシウム137は、玉が1個入入った袋をまた大袋に入れたようなものとします。2重袋です。
カリウム40の袋が押されて潰れると、中から2種類の玉が出てきます。その時、中の空気も出て行きます。
玉の一つはカルシウム40、もう一つはアルゴン40です。そして出てきた空気は放射線(ベータ線+ガンマ線)です。
セシウム137の大袋が押されて潰れると、中から袋(バリウム137m)が出てきます。その時、大袋の中の空気「放射線(ベータ線)」も出て行きます。2.55分後、でてきた袋(バリウム137m)が潰れて、中から玉(バリウム137)が出てきます。その時も、袋の中の空気「放射線(ガンマ線)」は出て行きます。
カリウム40の袋とセシウム137の袋は、大きさも重さも違います。中に違うものが入っていますしね。
で、この潰れた袋は放射能にあたります。玉を出して空気を出す力(強さ・能力)を持ち、そして出したからです。
(潰れていない袋は放射性物質です。カリウム40は12.8億年という長い半減期を持ちますから、1秒間の間に潰れる袋は少なくて、潰れずにただ存在し周りに影響を与えない袋もあります。セシウム137は、半減期30年ですから、1秒間の間に潰れる袋はカリウム40より多いし、2回潰れるから、1つの袋<放射性物質>が2回分の放射能を持ちます)
<例えば、16ベクレルをイメージで表すと、大量の潰れていない袋の中に潰れた袋が16個ある状態がカリウム40。少量の潰れていない袋の中に潰れた袋が16個ある状態がセシウム137(しかも、潰れた袋はわずか2.55分後に、もう一度潰れて中の放射線:ガンマ線が出ます)>
ベクレルはこの潰れた袋を指しているのです。この袋の数、量を指しています。量というと放射線を指しているように誤解しがちですね。強さも放射線を指しているように感じてしまいます。日本語の落とし穴です。指しているのは放射線源の放射能です。(なかなか日本語は難しいです。1秒間に潰れる袋の量をベクレルと呼んでいます)
だから、同じベクレル数なのに、出る放射線の量や種類も違うし、人に影響を与えるシーベルト数も違う。
同じベクレル数とは、カリウム40の袋とセシウム137の袋の潰れる数が同じという感じです。
カリウム40が16.4ベクレルの実効線量は0.1μSv
セシウム137が16.4ベクレルの実効線量は0.2μSv
セシウム137は、「同じベクレル数の汚染食品」の場合、カリウム40に比べ、放射線を2倍の強さ分受けます。
グラム数で比べると、カリウム40の(1g)分の放射能とセシウム137(<1200万分の1>g)分の放射能が等しいということになりますので、きわめて少量でベクレル数が増し、危険度が大きくなる放射性核種です。
※文章内のデータは全て農林水産省・厚生労働省が発表した資料の数値を基に書かれています。
※制動放射は話が複雑になるので、ベクレルの説明に含まれていません。
「福島の作物は本当によく検査されている」どうやって数値を下げていったか、どれだけデータを取ったか、しっかり世間に発表していきましょう。
しばらくお休みしていましたがブログを再開します。
原発事故から2年が経ちました。
セシウム134の半減期と福島大学や自治体のみなさんの努力でたくさんの農作物が復活しています。
福島の研究者の皆様さまざまな研究ご苦労様です。そしてありがとうございます。
「福島の作物は本当によく検査されている」
ちゃんと伝わっています。
もっと伝えなくてはいけませんね。
これからはブログで援護します。
検査を積極的に行い、汚染土壌から植物への移行係数をデータ化し、また、移行を防ぐ方法を模索し、また、発見し実行してきた努力は大丈夫です、きっと伝わります。
どうやって数値を下げていったか、どれだけデータを取ったか、しっかり世間に発表していきましょう。
私自身は事故直後、土壌に関しては、陽イオン保持能力が大きく陽イオン交換容量が大きい粘土鉱物がセシウムを吸着して、植物へのセシウムの移行係数を下げてくれるのではないかと考えたり、人体においては、カリウムを充分に摂ることでセシウムの摂取を阻止できるのではないかと考えたりしていました。
大地もカリウム豊富であれば、セシウムの植物への移行を防げるのですね。福島の研究のデータで解ってとても嬉しく思います。
カリウムを一定値以上にするよう補給した大地で、育てた野菜は安全です。移行係数が大幅に下がるからです。(もちろん一定以下の汚染地でなければいけないと思います。何事にも許容値は存在します)
季節ごとに新しく大地から直接生えてくる野菜は、農家の方々や研究者の方々の努力をしっかり反映しています。(水田による米作は除外します。チェルノブイリ時の政府のデータと理論が一致しているような研究と結果を見ていないことと主食ゆえの厳しさは必要だと思うからです)
気にするべきなのは、放射性物質が降下したときに既に生えていた果樹木や、森などです。その森に自生するキノコ類や山菜は今でも注意して欲しいと思います。
福島県以外の関東の某県の木からとれた柑橘類を、お母さんたちが立ち上げた機関で検査した際100ベクレルを越えていて、その情報がいっきに広がったりしたことがありました。
「事故現場から離れているのに、これほど高い数値がでるのならば、近い福島県のものは恐くて食べられない」「全部を測らなければ信用できない、一部分でも違いがあったら恐い」
そんなふうに思ってしまっても無理はありません。
大丈夫では無いものが次々と民間の検査機関で見つかる中、「全て安全です、大丈夫です」と断言していた政府の責任は大きいと思います。
風評被害を作り出したのは国です。
確実なデータと理論、裏付けもなく信じろといえば、「全て安全です、大丈夫です」という言葉が空虚なものとなる。
福島の農家の皆さんは、だからちゃんと測り続けた。
研究者の皆さんも努力を続けた。
科学的な裏付けはこうやってできあがってきました。(進行中)
それでも信じられなければ、消費者が民間で福島の野菜を測ってみましょう。本当に大丈夫なら数値で解るはず。(民間で測れるから虚偽の記載はできないという意味でもあります)
農家の人たちの思いをきちんと受け止めたいと思います。
研究者の努力を認めたいと思います。
汚染されていない木を使って、しいたけを室内で育てている栽培者のみなさん、きちんと測っているのをTVで観ました。商品に詳しく書いたものを貼ってPRしていただけませんか?(室内栽培、収穫時毎回測定数値等)
外で自生同様に栽培されていて、測られてもいないものは買いたくありませんが、栽培努力の実っている商品は率先して買いたいと思います。
福島は横に広い県ですから他県でも同程度の汚染地域は多く存在すると思います。測っている福島と同程度の汚染地帯の県の測っていない農作物のほうが問題ではないでしょうか?
取り返しのつかない汚染を受けた地域は除外するという安全基準自体が論理上確定していない、研究途上の今、混沌とした事態を解決するのはデータなのでしょう。
データがどれ程大切か、事故後の日本人はよく解ったと思います。正確で嘘偽りの無い記録を消費者は望んでいます。風評被害とはいったい何をもって言うのか?売る側も買う側も理解すべきですよね。
私の知人で、栃木で農家をしている方は、取れた野菜やイチゴを毎回測っています。
「でなかったよ」にこにこしてそう言います。「よかった」私たちも喜びます。
福島の農家の方が、「でなかったよ」とにこにこして野菜を出したら、「よかったねぇ」そう言って私たちが手に取る。
思い浮かべてください。ほら、ごく普通のことでしょう。
原発事故を無かった事にはできないけれど、今後地下コンクリートの劣化などの困難な事は起こるかもしれないけれど、私達は現実をしっかり受け止めて、精一杯の努力をして生きて生きたい、そう思います。
追記
福島の農業を営む皆さんは事故の最大の被害者ですから、作るときは加害者にならないよう、細心の注意を払う努力をされていると想像します。
だからこそ、その努力を表現しなければ伝わらないと思いますし、その表現が正しい事を買う側もデータで認めたい。
風評被害などという表層をすべる言葉などではなく、本気の解決はできないものなのでしょうか?
本当にこの土で作って大丈夫なのか、たくさんの葛藤があることは想像できます。
作ってはいけないような地域も多くあるでしょうし、たとえ作れると国から言われても断腸の思いで作るのをやめる決断をされた方もいると思います。
本当はもっと広い地域で作るのを止めたら安全と安心は約束されるのに、国はその判断をしない。
農家に責任を押し付けている。
買わないと言って、「風評被害」という言葉で国民に責任を押し付ける。
そこに住む人の数が厖大だから、責任が取れないから押し付ける。
そして、曖昧なまま、フランスからMOX燃料が運ばれ、失敗したプルサーマル計画がまたどこかで始まる。
どこかでまた、原発が事故を起こしても、今回の様な事例どおり事を運び、国は判断をしない。
農家に責任を押し付け、国民に責任を押し付け、お茶を濁したまま国を営む。
耐えている福島の人たちを誰が支えたらいいんだろう。
頑張っている福島の人たちをどう支えたらいいんだろう。
食卓を司るお母さんたちの心はいつも揺れている。
「風評被害なんかじゃない、福島の農家の人たちを加害者として認識するような自分になりたくない。」
「だったら買わないほうが楽だから。」
「売る側のデータなんて信用できない。子どもを守りたい」
「スーパーの野菜にデータなんて出ていない。判断できない」
「気にしないようにしよう、でも…20年後に後悔するようなことになったら…」
だから、理論とデータは訴えても訴えても満足には行き渡りません。
消費者側のデータも、持込みで有料が多く産地も様々で福島のデータは少ない。
3月11日に特集程度で、たった数日で忘れ去られるような、そんな訴えではなく、もっと長期的な解決策が必要なのだと思うのです。
福島の西側で作られるハウス栽培の野菜は検出されていない。それに比べて、栃木や群馬の北側の山中で取れる山菜や、川魚のほうがよっぽど数値が高いはずだし、その山で作られた露地栽培の野菜のほうが検出される可能性は高い。けれど、そこでは測られていない。民間で検出されてネット間でうわさになることはあるかもしれないが。
関東で暮らすと決めた以上目を瞑ってはいけないことなのに時間だけが過ぎていく。
どうして、山のホテルでは地産の名物として川魚や山菜やキノコを出すことが出来るのだろう?
まるで、関係が無いような顔をして、福島じゃないから「平気」ということなのか?現実から逃げているだけなのではないのか?
福島は逃げていない、逃げられない。
私に何ができるのだろう。
■
セシウム編に引き続きストロンチウム90について内部被曝の真実に迫ろうと思っています。安全な食品を見分ける力をつける事が目的です。
必要以上に恐れない、無頓着にならないことが大切だと思っています。
さて、前回は、天然放射性物質であるカリウム40とセシウム137の比較をしました。
それでは、ストロンチウム90はどうでしょう?セシウムの値が高い食品を測定したり、事故近隣の植物を測定すれば、必ず出てくるはずのストロンチウムは、全く無視されてその存在は認められていません。
人間は自分たちでどうする事もできないものに蓋をして、何も無かったことにする。都合の良い才能を持っているのかもしれません。
ストロンチウム90は、カルシウムと同じく、2価の原子で+2の正イオンになるため、体はカルシウムとストロンチウム90の区別をつけることができず、体内に入ってきます。
ただし、ストロンチウム90はカルシウムに比べると、胃腸管からの吸収率が低くなります。
それは、腎臓から尿として効率的に排出される事を意味します。
しかし、全身残留量のほとんどが骨沈着となる厄介な特徴を持ちます。
そして、学説にも依る為、幅がありますが、6〜18年間程の長い間、骨に居座って放射線を出し続けます。
ストロンチウムの特性(※放射性核種ストロンチウム90だけでなく一般のストロンチウムについてです)
◇ 年少者によく吸収される。
◇ 主として回腸および十二指腸で吸収される。
◇ 牛乳、粉ミルク、乳栄養は吸収率を増加させる。
◇ ビタミンD、リジンやアルギニンなどのアミノ酸の過剰摂取は吸収率を増加させる。
◇ 藻類および繊維性セルロースは吸収率を低下させる。
◇ 副甲状腺ホルモンは骨貯蔵を加速させる。
◇ マグネシウム欠乏は吸収率を低下させる。
◇ ストロンチウムは胆汁と腎臓を介して排泄される。
◇ ストロンチウムは穀物のフスマ、根菜類の皮、米の糠等にきわめて高濃度で存在する傾向がある。
◇ 環境によっては、飲料水に大量に含まれることがある。
◇ ストロンチウムはカルシウムに類似した生理学的および化学的作用を有するが、必須性は確立されていない。
▲年齢別ストロンチウム90の体内動態
放射性核種ストロンチウム90の経口摂取における線量係数の年齢別比較割合
(1Bqを経口あるいは吸入により摂取した人の実効線量係数)
<線量の積分期間は,子どもでは摂取した年齢から70歳までとしています>
全身において (成人を1とする)
◎ 3箇月の乳児 ⇒ 8.2倍 (大人の8倍もダメージを受けるのですね)
◎ 1歳 ⇒ 2.6倍
◎ 5歳 ⇒ 1.7倍
◎ 10歳 ⇒ 2.1倍
◎ 15歳 ⇒ 2.9倍
骨表面において (成人を1とする)
◎ 3箇月の乳児 ⇒ 5.6倍
◎ 1歳 ⇒ 1.8倍
◎ 5歳 ⇒ 1.5倍
◎ 10歳 ⇒ 2.4倍
◎ 15歳 ⇒ 4.4倍 (骨表面のダメージは全身に比べ大きいですね)
梁骨表面において、ストロンチウムの吸収の年齢差(成人を1とする)
◎ 3箇月の乳児 ⇒ 5.4倍 (この時期の成長速度は目を瞠るものがありますものね)
◎ 1歳 ⇒ 3.2倍
◎ 5歳 ⇒ 2.8倍
◎ 10歳 ⇒ 3.8倍
◎ 15歳 ⇒ 4.8倍 (中学生は成長期真っ盛りだからでしょうか)
〜吸収されたストロンチウム90は血液から骨や歯に運ばれる〜
★血中への取り込み(成人)
成人において、食物中のストロンチウム及び可溶形ストロンチウム(ストロンチウムの化合物)の吸収は15%から45%の間です。
食物からのカルシウムの一日の摂取量を30〜40 mgから0〜10mgに減らした場合,ヒトのストロンチウム吸収割合は20%から40%に増加してしまうことが分かっています。
★血中への取り込み(子供)
牛乳を与えられた乳幼児ではストロンチウムの吸収は73%以上となる結果があります。
(ですから、汚染された牛乳や粉ミルクは危険です)
動物実験では,年齢が若い個体ほど,ストロンチウムの吸収が高いことが示されています。
(高ストロンチウム食と低カルシウム食と摂取させたブタでは、骨の変形が認められ、最も重症な影響は協調運動障害および衰弱、その後の尾部麻痺であった)
これは、ストロンチウムはカルシウムの取り込みを妨げる、ということと、食物中のカルシウム摂取が少ないとストロンチウムの吸収が増加するということを表しています。
ストロンチウム吸収を抑えるためにカルシウムをきちんと摂取しましょう。
カルシウムの多い食物 (100gあたり)
- 干しえび 7100mg
- かに(加工品) 4000mg
- バジル(粉) 2800mg
- カタクチイワシ 2500mg
- ベーキングパウダー 2400mg
- タイム(粉) 1700mg
- セージ(粉) 1500mg
- パセリ(乾) 1300mg
- パルメザンチーズ 1300mg
- えんどう(塩豆) 1300mg
- シナモン(粉) 1200mg
- ごま 1200mg
- たたみいわし 970mg
- わかめ(乾) 960mg
- 刻み昆布 940mg
- 山椒 750mg
- チェダーチーズ 740mg
- あおのり 720mg
- 干し真昆布 710mg
- ゴーダチーズ 680mg
- 高野豆腐 660mg
- クローブ(粉) 640mg
- プロセスチーズ 630mg
- 唐辛子(油いため) 550mg
- カレー粉 540mg
- 紅茶 470mg
- 煎茶 450mg
- 即席中華麺 430mg
- コショウ 410mg
- エスカルゴ 400mg
- ししゃも 380mg
- ビスケット 330mg
- さんま(缶詰) 280mg
- 焼き海苔 280mg
- あさり 260mg
- ホワイトチョコ 250mg
- だいず(きな粉) 250mg
さて、セシウム137について前回使った資料を今回のストロンチウム90でも使います。
原発事故から既に1年が経過しようとしている現在、セシウムの測定は行われてもストロンチウムの測定は満足に行われてきませんでした。1963年核実験で汚染されたと言われていた時期はきちんと測定されていました。
<Bq/kg>
1963年「白米の全国平均値」
ストロンチウム90
0.269ベクレル
セシウム137
4.179ベクレル
1963年当時、米に関しては農水省の資料によると、精米する事でストロンチウム90はかなりの減少をすることから、もみがらや糠の含有率が高く、セシウム137は精米しても残留量が多いことから全体に分布するという結論をデータ化していました。<残念なことにその資料は活用されず、埋もれたままなのか?故意に埋もれさせたのか、今に至っています>
<Bq/kg>
1963年「玄麦」
ストロンチウム90
12.3ベクレル
セシウム137
43.6ベクレル
農水省の資料による結論にもありますが、ストロンチウム90は精米して外側を落とせば減少するようです。
白米では、ストロンチウム90はセシウム137の「16分の1」の含有量ですが、外側を落としていない玄麦ではストロンチウム90はセシウム137の「4分の1」という多さとなります。
ストロンチウム90に関しては外側を落として食べれる野菜に対する含有量は少ないようです。
ストロンチウム90が危険といわれる訳は、ストロンチウム90からベータ壊変で生まれるイットリウム90が、ベータ壊変する時の威力の強さにあります。
ストロンチウム90が、 546KeV(54万6千電子ボルト)に対し
イットリウム90では、 2280KeV(228万電子ボルト)という高エネルギーのベータ線を放出します。
また、この高エネルギーのベータ線は医療で使われています。イットリウム90でできた針は、メスよりも正確に切断を行うことができるので、痛覚を伝達する脊髄の神経を切り離すのに使われます。
人体では肝臓、腎臓、脾臓、肺、骨に濃縮する傾向があります。また、成人の体内には、0.5 mg程度のイットリウムが含まれています。ちなみに、成人の体内にあるストロンチウムの量は320㎎程度です。
ストロンチウム90は半減期は28.8年でβ崩壊によりベータ線を放出してイットリウム90を生成し、イットリウム90も半減期が64.053時間でβ崩壊によりベータ線を放出してジルコニウム90となります。イットリウム90は、核分裂直後はほとんど存在しないが、時間の経過とともに量が増します。
そして、ストロンチウム90ですが、半減期は28.8年というスパンで減っていき、放射能強度は、1グラム中 5105000000000(5兆1050億)ベクレルというセシウム137よりも高い放射能強度を持ちます。<28.8年=9.082368×10の7乗 (秒):アボガドロ定数 6.022×10の23乗で計算しました>
イットリウム90は半減期が64.053時間という短いスパンで減っていきます。放射能強度は、1グラム中 20110000000000000(2京110兆)ベクレルというストロンチウム90よりも遥かに高い放射能強度を持ちます。<64.053時間=2.305908×10の5乗 (秒):アボガドロ定数 6.022×10の23乗で計算しました>
同じ質量だったらイットリウム90は、ストロンチウム90の3939倍、だいたい約3900倍の放射能強度を持っているということになります。
逆に言うと、同じベクレル数だったら、イットリウム90は、ストロンチウム90の約3900分の1という物凄く少ないグラム数で放射能強度が等しくなるということです。
実はここが重要です。ストロンチウム90が崩壊しないとイットリウム90は生まれません。ということは、同じベクレル数になっているということなので、1のストロンチウム90に対して、約3900分の1の量のイットリウム90が存在し、放射能強度が等しくなっているのです。
これは、ストロンチウム90の半減期がイットリウム90の半減期より圧倒的に永いから起こる現象です。
少し想像してみましょう。
玉1個入りの中袋が入った大袋、2重袋があります。これはストロンチウム90です。
中身の中袋はイットリウム90です。中袋のまたその中身に入ってる玉はジルコニウム90です。
部屋の床一面に7800個の大袋(ストロンチウム90)が置いてあります。その大袋(ストロンチウム90)は3900秒で半分の3900個を破裂させる力を持っています。1秒間に1個ずつ破裂する計算です。
中袋(イットリウム90)は1秒で半分の3900個を破裂させる力を持っています。大袋(ストロンチウム90)の3900倍の力です。1秒間に3900個破裂できる計算です。
1秒間で、大袋が破裂しました。中から空気(ベータ線)が出て、中袋(イットリウム90)がポ〜ンと転がり出ます。
それから1秒後、1秒前に出た中袋(イットリウム90)が破裂しました。中から空気(ベータ線)が出て、玉(ジルコニウム90)が1個、勢いよく飛び出てきました。同時に、また大袋(ストロンチウム90)も新しく破裂しました。中から空気(ベータ線)が出て、中袋(イットリウム90)がポ〜ンと転がり出ます。
1秒で、中袋(イットリウム90)は3900個分破裂できる力を持っていますが、中袋はまだ2個目が出てきたばかりで3900個もありません。しかたなく1秒前に出ていた中袋(イットリウム90)1個を破裂させたのです。
そのまた1秒後、1秒前に出ていた中袋(イットリウム90)が破裂しました。中から空気(ベータ線)が出て、玉(ジルコニウム90)が1個、勢いよく飛び出てきました。と同時に、また大袋(ストロンチウム90)が破裂しました。中から空気(ベータ線)が出て、中袋(イットリウム90)がポ〜ンと転がり出ます。
もし、中袋(イットリウム90)が部屋の床一面に7800個あったとしたら、1秒で半分の3900個を破裂できたでしょう、しかし、実際には大袋(ストロンチウム90)が7800個あっただけなのです。中袋(イットリウム90)は、最初はまだ1個もない状態から始まって、増えて、大袋(ストロンチウム90)と共に減っていくしかできません。3900個分破裂できる力は発揮されず、3900分の1の力、つまり大袋(ストロンチウム90)と同じ数ずつ破裂し続けるだけです。
短い半減期を持ちながら、一気に壊変することがなく、ストロンチウム90と一緒に28年掛けて半減していく、これがイットリウム90です。
この状態は、永続平衡と呼ばれています。
もし、その短い半減期を駆使し、一気に高エネルギーの228万電子ボルトというベータ線を大量に放出できたとしたら、福島第一原発の事故によって汚染された私達は、今よりもっと笑っていられなくなっていたことでしょう。
福島のおかあさん、どうか子どもたちを、精一杯の愛情で内部被爆から護ってあげてください。これから長い年月、油断してはいけません、おおらかに、そして細心の注意をはらって「必要以上に恐れない、無頓着にならない」精神を貫き通してください。心から願って止みません。
数年後、どうか、日本の子どもたちに何の変化も現れませんように。
※文章内のデータは全て農林水産省・厚生労働省が発表した資料の数値を基に書かれています。
※制動放射は話が複雑になるので、ベクレルの説明に含まれていません。
※文献(Mertz W., Trace Elements in Human and Animal Nutrition. Vol 2. Academic Press 1986, p436.)
■
内部被曝の真実に迫ろうと思っています。安全な食品を見分ける力をつける事が目的です。
必要以上に恐れない、無頓着にならないことが大切だと思っています。
さて、人類は天然放射性物質の中で誕生し、存続を続けてきました。
その中には、放射性カリウム(カリウム40)のように、人体に必須物質であるカリウムの中に一定量存在し、その分の内部被曝をいやおう無く受けるものも存在します。
ただ我々人類は現在も存続している訳ですから、カリウム40が致命的となるようなものではなかったと言えます。
カリウム40は12.8億年という長い半減期を持ちます。放射性物質の中では威力が低く、自然界に存在するカリウム中0.0117%しか存在していません。カリウム40の存在比率が、遺伝子による再生産システムを壊すほど大きかったとしたら、私達人間は存在せず、別の形の生物が地球上に繁栄していたかもしれません。
生体内で必須であるカリウムはその量を一定量に保つようにコントロールされています。
ナトリウムポンプ(イオン交換ポンプ)という言葉に聞き覚えはありませんか?Na+/K+交換ポンプ。高校の生物に出てきた言葉です。ATP(アデノシン三リン酸)ADP(アデノシン二リン酸)ATP分解酵素、これらの単語が羅列しているページです。何となく思い出しましたか?体液のナトリウム濃度が一定なのは一般常識になっていますが、体液浸透圧やPHの維持もカリウムは関与しています。
これらを恒常性維持機構といいます。
カリウム40は一定量以上に体内に蓄積されませんが、その分の内部被曝は受けています。
大き目のバナナ1本分(150g)で考えてみましょう。
この中にカリウムは540mg含まれています。カリウム1g中カリウム40は30.4ベクレル含まれていますから、
30.4×0.54=16.416
16.4ベクレルの内部被曝を受けます。
これは約0.1μSvの実効線量となります。
でも、そんな被曝は生まれた時から当たり前のように存在し、そして、それを前提として身体は、それに対向し生き延びる機能を発達させてきた。それが恒常性維持機構です。必要以上に濃縮されずに、尿、汗、便などで体外へ排出されます。
だから言えることですが、その機能を超えた放射性核種による内部被曝は、人体に悪影響を及ぼす可能性大だと言えます。
ところが、恒常性維持機構の動静と放射性核種、両方の知識が必要なのに、「セシウムはカリウムに似ている。1価の原子で+1の正イオンとなる、だから恒常性維持機構が働いてそんなに人体に悪影響など出ない」という方がいます。
セシウム137は人体中に入ると、ほぼ100%胃腸管から吸収されます。
次に血液で全身に輸送されますが、その際、大まかに二つの経路へと別れていきます。
<全体の10%の行方>
吸収されたセシウム全体中10%の動静: 8割は血中から腎臓へ直接運ばれ膀胱から尿として速やかに排出されます。
2割は大腸上部にいき便となって排出されます。
この経路を辿るセシウムは大人は約2日、10歳の子どもは6日、5歳の子どもは9日で体外へ出て行きます。
<全体の90%の行方>
吸収されたセシウム全体中90%の動静: 8割は血液で全身に輸送され時間の経過と共にカリウムと置き換わり筋肉部分へ集まってきます。(体内残留)
2割は大腸上部にいき便となって排出されます。
この経路を辿るセシウムは、大人は約110日、10歳の子どもは50日、5歳の子どもは30日で体外へ出て行きます。
<全体の90%の行方>のセシウムの体内残留率の年齢差は体重の変化や体内のカリウム量に関連します。(体重が重い大人は約110日、体重が軽い5歳の子どもは30日)
また、食物中のカリウム摂取が多いとセシウムの排泄が増加します。
セシウムの排泄を増加させる(促す)カリウムの多い食物 (100gあたり)
- とろろこんぶ 4800mg
- ベーキングパウダー 3900mg
- インスタントコーヒー 3600mg
- パセリ(乾) 3600mg
- バジル(粉) 3100mg
- ココア(純) 2800mg
- 味付け海苔 2700mg
- パプリカ 2700mg
- 紅茶 2000mg
- だいず(きな粉) 1900mg
- 山椒 1700mg
- カレー粉 1700mg
- あずき 1500mg
- しょうが 1400mg
- 卵白 1300mg
- ポテトチップス 1200mg
- マッシュポテト 1200mg
- 煮干 1200mg
- 黒砂糖 1100mg
- ピスタチオ 970mg
- 豆味噌 930mg
- 納豆ひきわり 700mg
- フライドポテト 660mg
- アマランサス 600mg
- チョコレート 440mg
1963年当時、世界中が核実験で汚染されたことを現在の状態と比べ、当時のほうが汚染度が高かったなどという方がいらっしゃいます。
以下が真実です。
1963年「白米の全国平均値」
ストロンチウム90
0.269ベクレル
セシウム137
4.179ベクレル
全国平均値のもっとも高かった1963年、セシウム137の最高値は約 10 Bq/kg でした。
つぎに、玄麦のデータです。
<Bq/kg>
1963年「玄麦」
ストロンチウム90
12.3ベクレル
セシウム137
43.6ベクレル
当時、これらの値は“mBq/kg”という“Bq/kg”より“1000分の1”小さい単位で測定され、12300だ!43600だ!高い!と驚かれていました。
現在の日本では12.3ベクレルと43.6ベクレルと表示されますね。
ちなみに、フランス⇒15300ミリベクレル(=15.3ベクレル)西ドイツ⇒15200ミリベクレル(=15.2ベクレル)スロバキア⇒5200ミリベクレル(=5.2ベクレル)でしたので日本はドイツやフランスと同じくらいの汚染でした。
よく、1950年頃から1980年頃にかけての折れ線グラフがテレビで出てきて、「ほらこんなに高かったのです」とやっていますが、その頃の資料における単位は“mBq/kg”です“Bq/kg”に直したら“1000分の1”になるのです。騙されないでください。
これらの経験は貴重です。
当時内部被曝した人間が今の世界に溢れているからです。
これは確かに、「セシウム汚染がこの程度であればカリウム40の時と同じように遺伝子による再生産システムを壊すほど大きいダメージを受けなかった」という事を示唆しているように考えられます。
毎日食べるお米や毎日飲む牛乳はセシウム137が10ベクレル以下が理想。
時々食べる食品は45ベクレル以下が理想。
カリウム40は12.8億年という長い半減期のため放射性物質の中では威力が低いのですが、セシウム137は30年というカリウム40に比べてかなり短い半減期のため、威力が高くなります。
体内動態はカリウムと類似していますがこの点で内部被曝の危険度が違います。
絶対に、楽観視できるものではないのです。
でもだからといって、10ベクレル以下で大騒ぎすると、本当に避けなくてはならない値を埋もれさせてしまい、逆効果となる。それはあまりにも危険な気がします。
その仮定の下、以下の数値を参考にして避けるべき食品を考えます。
- いわき市 / 1月7日 / ユズ / 930ベクレル
- 南相馬市 / 1月6日 / 切り干し大根 / 800ベクレル
- 二本松市 / 1月6日 / あんぽ柿 / 175ベクレル
- 二本松市 / 1月6日 / わらび塩漬け / 92ベクレル
- 二本松市 / 1月6日 / 梅干 / 86ベクレル
- 南相馬市 / 1月6日 / 唐辛子 / 52ベクレル
水産庁のデータより抜粋
福島県沖はまだまだ高い値が続いています。とくに高い魚は。
「福島県沖」
- シロメバル 1920ベクレル
- アイナメ 1540ベクレル
- ウスメバル 1480ベクレル
- キツネメバル 1310ベクレル
- コモンカスベ 640ベクレル
- ヒラメ 540ベクレル
その他の県
- 群馬県:赤城大沼 / 1月10日 / ワカサギ / 591ベクレル
[避けたほうがよい魚]
海岸近くの海藻が多い岩礁域に群れをなして棲息する / メバル
岩礁帯やテトラポッド、防波堤などの陰など沿岸に棲息する / アイナメ
浅海の岩礁域に定着する / マアジ(回遊型ノドグロ・クロアジとは区別する)
沿岸の海底の砂泥地に棲息、3〜7月の産卵期に水深20cmぐらいの浅瀬にうつる / ヒラメ
沿岸の浅い海から水深 1000 m の深海までに生息する / カレイ
沿岸から大陸棚斜面の底近くに生息 / マダラ
水深30〜100mの砂泥底に生息する / コモンカスベ
海岸近くや河川に生息する / スズキ
追記
スズキ目アジ科の「ブリ」は、通常は群れを作り、やや沖合いの水深100m程度の中層・底層を遊泳する。季節によって生息海域を変える回遊魚でもあり、春から夏には沿岸域に寄って北上し、初冬から春には沖合いを南下する。但し温暖な南方海域では回遊せずに所謂「瀬付き」になるものもいる / ブリ
追記
上記に書いたお話をもう少し詳しくしますね。
バナナ1本ー150gには540mgのカリウムが含まれ、その内、放射性カリウム(放射性カリウム(カリウム40))は16.4ベクレル含まれていて、実効線量は0.1μSvでした。
それでは、セシウム137についても同じように考えてみましょう。
もし、セシウム137をバナナの放射性カリウム(カリウム40)と同じ16.4ベクレル食べてしまったとしたら、どうなるのでしょうか。
簡単に計算できます。
セシウム137は10000Bqで0.13mSv(=130μSv)の実効線量です。
ということは、1ベクレルで0.013μSvの実効線量を受けるという事になります。だから、
16.4×0.013=0.2132μSv
セシウム137の実効線量は0.2μSvとなります。
カリウム40の実効線量は0.1μSvでしたから、だいたい大雑把に考えて2倍のダメージを受けるということです。
難しいかも知れませんが、間違ってはいけないために以下を説明に加えます。重要です。
単純に環境中の物質(地球の規模)として考えた場合、カリウム40は半減期が12.8億年と長いスパンで減っていくため、1グラム中の放射能強度は260000(26万)ベクレルですが、セシウム137は半減期が30年と短いスパンで減っていくため1グラム中3220000000000(3兆2千2百億)ベクレルという高い放射能強度を持ちます。そう、地球の規模ならカリウム40からすると、セシウム137は、12000000倍(1200万倍)の強さを持つ放射性核種なのです。
これは逆にいえば、カリウム40の(1g)分の放射能とセシウム137(<1200万分の1>g)分の放射能が等しいということになります。
物凄く微量でカリウム40の1グラム分の放射能。ということです。
えっ何を間違うの?
それは、ベクレルとグラム(Bqとg)の違いです。
バナナ約2本分の中には1gのカリウムが含まれています。カリウム1gの中にカリウム40は約0.0117%含まれていて、そのベクレル数は30.4ベクレルです。
ということは、カリウム40は何グラム含まれている事になるのでしょうか?
カリウム1gの中にカリウム40は、0.0117÷100×1=0.000117ですので、0.000117gということになります。
カリウム40
30.4ベクレル=0.000117g
1÷0.000117×30.4=259829.0598
1g=259829.0598≒260000ベクレル(26万ベクレル)
バナナ2本分の中のカリウム40は凄く少なく、たった0.000117gの量です。それを1gに換算すると、地球の中のカリウム40と同じ値でした。
それでは同じようにしてセシウム137が30.4ベクレルの汚染を受けた食べ物に何グラム入っているのか計算してみましょう。
セシウム137
1g=3220000000000ベクレル(3兆2千2百億ベクレル)
1÷(3220000000000÷30.4)=0.00000000001
30.4ベクレル≒0.00000000001g
気が遠くなるくらい物凄く少ない量です。30.4ベクレルの汚染食品に含まれるセシウム137の量は、想像できないくらい少ない0.00000000001gしかありません。
ちなみにmgで表すと、
カリウム40
30.4ベクレル=0.117mg
セシウム137
30.4ベクレル≒0.00000001mg
まとめ
セシウム137は、「同じベクレル数の汚染食品」の場合、カリウム40に比べ、放射線を2倍の強さ分受けます。それなのに、含まれるグラム数は、遥かに小さい。きわめて少量で危険度が大きい放射性核種だということがいえます。
これは、尿から出るセシウムがmgで表記されている場合、小さな値でも身体に蓄積されたベクレル数はかなりなものになるということです。
そして、尿から出るセシウムをベクレルで表している場合、よほど高くない限り摂取した量は少ないということです。
追記2
ベクレルの意味
ベクレルを、分かり易く例え話で説明します。
カリウム40は、半減期12.8億年でβ崩壊で約9割がカルシウム40に壊変して安定し、1割は電子捕獲でガンマ線を放出してアルゴン40になります。
セシウム137は、半減期30年でほとんどがβ崩壊でベータ線を出しバリウム137mに壊変し、半減期2.55分でガンマ崩壊し、ガンマ線を放出してバリウム137になり安定します。
ベクレルは1秒で原子核が崩壊して放射線を放つ量、すなわち放射能の量です。
これを、例えてみますと。
カリウム40は、中に玉が2個入った袋のようなものとします。
セシウム137は、玉1個入りの中袋が入った大袋のようなものとします。2重袋です。
カリウム40の袋が押されて潰れると、中から2種類の玉が出てきます。その時、中の空気も出て行きます。
玉の一つはカルシウム40、もう一つはアルゴン40です。そして出てきた空気は放射線(ベータ線+ガンマ線)です。
セシウム137の大袋が押されて潰れると、中から中袋が出てきます。その時、大袋の中の空気も出て行きます。2.55分後、中袋が潰れて、中から玉が出てきます。その時も、中袋の中の空気は出て行きます。
中袋はバリウム137m、大袋から出た空気は放射線(ベータ線)です。中袋から出た玉はバリウム137、中袋から出た空気は放射線(ガンマ線)です。
カリウム40の袋とセシウム137の袋は、大きさも重さも違います。中に違うものが入っていますしね。
で、この潰れた袋は放射能にあたります。玉を出して空気を出す力(強さ・能力)を持ち、そして出したからです。
(潰れていない袋は放射性物質です。カリウム40は12.8億年という長い半減期を持ちますから、1秒間の間に潰れる袋は少なくて、潰れずにただ存在し周りに影響を与えない袋もあります。セシウム137は、半減期30年ですから、1秒間の間に潰れる袋はカリウム40より多いし、2回潰れるから、1つの袋<放射性物質>が2回分の放射能を持ちます)
<例えば、16ベクレルをイメージで表すと、大量の潰れていない袋の中に潰れた袋が16個ある状態がカリウム40。少量の潰れていない袋の中に潰れた袋が16個ある状態がセシウム137(しかも、潰れた袋はもう一度潰れます)>
ベクレルはこの潰れた袋を指しているのです。この袋の数、量を指しています。量というと放射線を指しているように誤解しがちですね。強さも放射線を指しているように感じてしまいます。日本語の落とし穴です。指しているのは放射線源の放射能です。(なかなか日本語は難しいです。1秒間に潰れる袋の量をベクレルと呼んでいます)
だから、同じベクレル数なのに、出る放射線の量や種類も違うし、人に影響を与えるシーベルト数も違う。
同じベクレル数とは、カリウム40の袋とセシウム137の袋の潰れる数が同じという感じです。
カリウム40が16.4ベクレルの実効線量は0.1μSv
セシウム137が16.4ベクレルの実効線量は0.2μSv
※文章内のデータは全て農林水産省・厚生労働省が発表した資料の数値を基に書かれています。
※制動放射は話が複雑になるので、ベクレルの説明に含まれていません。
※解りにくい説明(この・その、が何を指しているか等)に詳しい説明を加えました。2012/2/9
■
さて、政府が発表したキュリウム244についてのお話です。
題名にも書きましたが、キュリウムっていったいどんな物なのでしょうか?
実は、原子炉燃料から放出される自発核分裂による自発中性子を測定して燃焼度を評価するためのバロメーターだったりします。
前回ウラン238やプルトニウム240などの自発核分裂による自発中性子の例で書きましたが、もっと詳しく書くとこれらの核種から生まれるキュリウム244が主要な中性子放出核種になります。(自発核分裂中性子発生率はプルトニウム240よりキュリウム244の方が桁違いに高いのです。他のキュリウム等と比べても桁が違いますので244が主要になります。ただ、炉内の含有量はプルトニウムの方が桁違いに多いですけれどね)
まず、ウラン238から生まれる場合
キュリウム244は、ウラン238の6回の中性子吸収反応により生成されます。
U238 → U239(β崩壊) → Np239(β崩壊) → Pu239 → Pu240 → Pu241 → Pu242 → Pu243(β崩壊) → Am243 → Am244(β崩壊) → Cm244
プルトニウムから生まれる場合
キュリウム244は、プルトニウム239で5回、プルトニウム240で4回、プルトニウム241で3回、プルトニウム242で2回の中性子吸収反応により生成されるものです。
Pu239 → Pu240 → Pu241 → Pu242 → Pu243(β崩壊) → Am243 → Am244(β崩壊) → Cm244
ちなみに、キュリウム242の生成過程は、
Pu241(β崩壊)→Am241→Am242→Cm242
冷却期間5年のウラン燃料の例 <停止したばかりのデータが見つからないので代用、5年経ってもこれだけの力があるよ〜的な。>
②プルトニウムの自発核分裂によって生まれる確率は、7.23%
使用済燃料1トンあたりプルトニウム9.2㎏・キュリウム0.0353㎏
内訳は、プルトニウム240が2.43㎏・キュリウム244が0.0331㎏
プルトニウム240は、2.43㎏で[2.41E+06(n/s)]、2,410,000 中性子毎秒
これって、1㎏でおおよそ1,000,000中性子毎秒(1秒間に発生する中性子の個数)ということ。
1㎏でおおよそ1秒間に357,100回の自発核分裂をしています。
キュリウム244は、0.0331㎏で[3.78E+08(n/s)]、378,000,000 中性子毎秒
これは、1㎏だと11,400,000,000中性子毎秒ということ。
1㎏でおおよそ1秒間に3,800,000,000回の自発核分裂をしています。
<1号機の中で自発核分裂し、中性子を発生させているプルトニウム240とキュリウム244>
1号機に積まれた燃料は69tです。
プルトニウム240は、使用済燃料1トンあたり2.43㎏含有されていて2,410,000 中性子毎秒ですから、
2,410,000×69=166,290,000
166,290,000中性子毎秒
166,290,000÷2.8≒59,390,000
(1号機の中で1秒間に自発核分裂している回数)
キュリウム244は、使用済燃料1トンあたり0.0331㎏含有されていて378,000,000 中性子毎秒ですから、
378,000,000×69=26,082,000,000
26,082,000,000中性子毎秒
26,082,000,000÷3≒8,694,000,000
(1号機の中で1秒間に自発核分裂している回数)
1号機の中で、キュリウム244とプルトニウム240が、1秒間に発生させる中性子の数
166,290,000 (中性子毎秒)+26,082,000,000 (中性子毎秒)=26,248,290,000
26,248,290,000 n/s (中性子毎秒)
というわけで、結構な数字です。これはあくまで冷却期間5年のウラン燃料から考えたものですから、止まったばかりの燃料では、もっと値が大きくなるのでしょうね。
そういえば、定期点検などで、原発を止めた場合、再稼動する際には、新しく中性子をぶつけなくても、キュリウム244やプルトニウム240の自発核分裂で発生する中性子で稼動できるそうです。ふ〜ん。
原子炉内の臨界を維持する中性子のサイクル
U235の核分裂 → 高速中性子250個 → 高速中性子によるU238の核分裂 (加算)
→ 中性子258個(減速を始める)→ 炉外に漏れ出る50個 → U238の共鳴吸収
で吸収される33個 →(減速する)熱中性子となる175個 → 炉外に漏れ出る13
個 → 他の構成核種に吸収される62個 → 残り100個がU235に吸収されて核分
裂、平均2.5個の高速中性子を生み高速中性子250個ができる。
燃料の燃焼度が低い場合には、プルトニウム238の(α,n)反応中性子放出率(アルファ線は酸素などとの核反応によっても中性子を放出します)とキュリウム244の自発核分裂中性子放出率が同程度になるという特徴があるそうです。<(α,n)反応では中性子が1個1個バラバラに放出されますが、核分裂では多くの場合複数個の中性子が同時に放出されます。>
軽水炉の燃料はウラン235を3〜5%程度に濃縮した「低濃縮ウラン」ですが、
運転中にウラン238が中性子捕獲で次々とプルトニウム239に変化し、これが
更に核分裂をしています。原子力発電所の平均30%は生成されたプルトニウム
の核分裂で発電されていると言われており、燃料の燃焼開始から、1年後には
20%、2年後には40%、3年後には60%がプルトニウムによる発電の割合になる
とされています。
1号機のペデスタル内の燃料も、2・3号機の燃料もどんな状態なのか、ある程度予測はできても、実際のところは分からない。確率的な予測がどこまで真実に迫れるのか?
制御できていない1号機のペデスタル内の燃料は今も多くの中性子が発生し、核分裂は続いています。(未臨界でもね)
科学者のみなさん
いろいろな効果のせいで、臨界にはなかなか達しないだろうというのも解りますが、やっぱり、爆発はした訳で、出してはならないモノまで出してしまったでしょう。もとはといえば、この原発を運転させた時に出る核廃棄物を安全に保管するために、原子炉で核分裂を起こさせ、半減期の長い核種を、短い核種に壊変させることが目的だったりしたでしょう?それは、半減期の長い核種が外に出ることで、この美しい地球を汚したくなかったからですよね?
悪さをせずに眠っていたウランを掘り起こし、多種多様な核種を生み出してしまった責任を取りたかっただけですよね。
でもそのうちに、ミイラ取りがミイラになって、だって、知識欲が満たされるのは楽しいでしょう。わたしだって、同じですから、教授たちもそうですよね。
ガラス固体化したって、どんなにすごい物質に閉じ込めたって、何時かは劣化する。核廃棄物中の長い半減期核種は本当に大丈夫なのか?本当は不安でしょう?
もうやめませんか?
■
核分裂の連鎖反応と臨界量について
1号機について
やはり、一番心配なのはだんとつで1号機です。
3号機は確かに温度や建屋内の線量等、ある程度の高さは出ると思いますが、これらはMOX燃料が使われている為です。
MOX燃料の崩壊熱はまだまだ続くはずです。安定はまだ先のことです。でも、冷やしてさえいれば抑えられる余地を持った怪物です。
1号機はそうはいきません。ほとんどすべての燃料が圧力容器の真下にあるペデスタルに落ちているからです。
東電発表で温度が下がったことをアピールするでしょうが、それは実は真実を逆手にとった発表です。
温度を測る場所は、もう落ちてしまって燃料が入っていない圧力容器とその付随の配管等です。
燃料がないから温度も線量も低くなるのは当然のこと。
代わりに、ドライウェルB(ペデスタルの付近)の放射線量が異常値になっています。
例えば今日(11/5)は、215Sv/hです。
いいですか?人は7Sv/hで死にます。
こんなに高い線量をしょっちゅう計測しています。(10/30は397Sv/hでした。11/1は391Sv/h、11/2〜11/4は25Sv/h位に下がって11/5にまた上がっています)
しょっちゅう一時的な臨界を繰り返しています。
だって、ウラン238が<64t>、ウラン235が<621㎏>、プルトニウムが<759㎏>ペデスタルに落ちているのですよ。
核分裂反応が起こらないわけがないでしょう。
まず、自発核分裂でプルトニウム240が中性子を放出、水分子もその周りを取り囲んでいる。
それが減速材として働き高速中性子は熱中性子に変わり、ウラン235やプルトニウム239がそれをキャッチする。そして核分裂の連鎖反応を起こす。
それだけではない、ウラン238が、ウラン235やプルトニウム239の核分裂、プルトニウム240の自発核分裂から生まれる中性子を捕獲すると、ウラン239となり、ベータ崩壊して、ネプツニウム239となり、さらにベータ崩壊して、プルトニウム239になる。
そうやって生まれた核分裂反応の熱や崩壊熱で、コンクリートが部分的に侵食し出す。
そのへこんだ部分に核燃料が流れ込み溜まりだす。盛り上がり厚みが出てきて偶然ウラン235やプルトニウム239が集まってきて臨界量に達し臨界する。
もちろん燃料には制御棒が溶けたハフニウムやジルカロイや燃料の殆どの割合を占めるウラン238が大量に存在していますから核分裂の連鎖反応は長くは続きません。
(核分裂の連鎖反応を起こすのは、ウラン235やプルトニウム239です。これらの濃度が高くなければ臨界は長く続かないのです)
そう、1号機では確実に、ペデスタル内で核分裂反応が起こっています。だから、水素も発生しますし、排気塔などのSv数も高くなります。
この状態がいつまで続くのでしょうか?
ペデスタルの床のコンクリートが頑張ってくれてはいますけれど。
■
みなさん、臨界質量というのをご存知ですか?
核分裂物質の形状が細長かったり、薄い板状の場合、内部で発生する中性子の多くが外部へ飛び出してしまい、核分裂反応が起こりにくくなります。
逆に物質の体積当たり最小の表面積となる球状の時、中性子は内部に吸収され臨界に達します。その時の量を臨界量(臨界質量)といいます。
ウラン235は濃縮されていない状態だと46〜7kgぐらいで臨界します。濃縮100%では15kgぐらいで臨界量に達します。
プルトニウム239は濃縮されていない状態だと10kgぐらいで臨界します。濃縮100%では5kgぐらいで臨界量に達します。
3年半程度の使用済燃料1トンあたりの核種の種類と量は、ウラン238が929㎏・ウラン235が9㎏・ウラン236が5㎏・プルトニウム11㎏・超ウラン元素1㎏・核分裂生成物45㎏です。
1号機は69tの燃料が入っています。2・3号機は94tの燃料です。
単純に計算しても
「ウラン235は、1号機に9×69=621㎏、2号機に9×94=846㎏ 」
「ウラン238は、1号機に929×69=64t、2号機に929×94=87t 」
「プルトニウムは1号機に11×69=759㎏、2号機に11×94=1034㎏」
そのうちプルトニウム239が約6割、プルトニウム240が約2割です。
「1号機にプルトニウム239は455㎏、プルトニウム240は152㎏、2号機にプルトニウム239は620㎏、プルトニウム240は207㎏」
その燃料がメルトダウンして落ちていたら?どうでしょう。厚みがでて球状に近くなり臨界量に達しないほうが変です。
しかも周りには中性子の減速材である水が反射体として存在し、高速中性子を熱中性子に変えて核分裂しやすくしてくれている。想像してください。
東電発表も嘘ではありません。そこがあの方たちのずるい所です。
プルトニウム240は高い確率で自発核分裂を起こします。自分で勝手に起こすのです。また、ウラン238も確率は低いですが炉内には大量に存在しますので(2号機に87t)自発核分裂の可能性があります。
そのせいでキセノン135が検出と言っていますね。
でもね、自発核分裂は中性子を生み出すということにもなります。
プルトニウム240やウラン238から生まれた中性子はその周りの大量に存在するプルトニウム239やウラン235に中性子を供給し続けます。(核分裂の連鎖反応を起こします)
そして、あまりにも大量なプルトニウム239やウラン235は時々臨界量に達して臨界しています。ずっと今日までそうやってきています。もちろんプルトニウム240は自発核分裂します。(確率は低いですがウラン238も自発核分裂します)どちらも起こるのです。
東電のM氏は記者の質問にこう答えられておりました。(長いので内容を判りやすく要旨で表現しました)
「いままで、どうして気がつかなかったのですか?」
「今回、初めて、格納容器ガス管理システムを2号機に設置した為です」
そう、今まではまともに測っていなかったんです。だからキセノン135は今頃発表されました。
それでは何故過去の再臨界はないと断言するのか?
「1.5kmはなれたモニタリングポストで中性子は検出されなかったので臨界していないと判断しました」
そこで記者につっこまれました。
「過去に、構造上内部で臨界しても格納容器から外部へ中性子は出ないと言いましたよね、それならば、外部で検出されないのは当然のはず」
そうです。臨界していても中性子が外部に漏れないのならば、臨界していても外部に中性子は検出されない。
中性子は検出されなかったので臨界していないという言い分はとても変です。矛盾です。
そこでM氏は、「過去に格納容器が健全ではないと考えていたので臨界していたら中性子が検出されると考えた」と白状しました。そして説明不足と言って謝罪しました。
がしかし、その後、こう言ったのです「現在は格納容器が健全だったと判明しました」
ですから、「1.5kmはなれたモニタリングポストで中性子は検出されなかったので臨界していないと判断しました」
あれ?またまた変です。狐につままれたような話、なんか、落語の小話みたい。すっごい矛盾。
みなさん、私が書いた前半の内容と、東電の方の内容。どちらが真実だとお思いになりますか
今回の東電の発表はまるで詐欺みたいです。何故かと言うと。
現在燃料は落ち着いていて、2号機は本当に再臨界していないのだと思います。
過去にはたくさんしていました。ペデスタルやサプレッションチェンバのDWのシーベルト数が臨界を示した期間はデータに存在します。
だから、今を狙ったのです。落ち着いていて、臨界していない今を。
だってそれならば、出てくるキセノン135の値はプルトニウム240やウラン238の自発核分裂からのみになるからです。微量なのはこのせいです。納得でしょう?
こんなシナリオを書いたのは誰なのでしょうか?
何も知らない善良な国民を騙し続けて心は痛くないのでしょうか?
たぶん、こうやってブログやツイッターで書かれたり、TV放送で捻じ曲げた情報を流しても屈しない人達が6万人デモでたくさんいることに気づき、逆に、都合のいい、真実とごまかしを綺麗に混ぜた情報を盛んにTV放送し、「なぁんだ」と
思わせる。
緻密な計画で進められているんでしょうね。
悲しいです。
追記
以前に、2号機はサプレッションチェンバ付随の配管等の破損によって建屋地下に燃料の一部が出ているけれど水でいっぱいだからある意味安定していると書きました。
今もその考えは同じです。
サプレッションチェンバ内の水中や圧力容器内、ペデスタル内など分散して燃料が存在するとすれば、各場所で安定する可能性が一番高いと思います。
東電もそれが判っていて今回2号機に格納容器ガス管理システムを取り付けてデータを取った確信犯的なものではないか?と懸念しています。
1・3号機に格納容器ガス管理システムは取り付けられているのでしょうか?
1号機は建屋内の線量が高いと聞きました。水の量を増やしたとも聞いています。
圧力容器の破損部分が大きくなり大量にペデスタルに水が行くようになったのか?ペデスタルに張り巡らされた配管などから水を供給できるようになったのか?ペデスタルに落ちた燃料を冷やす方法の真相は分かりませんが努力は報われていると思っています。
ペデスタルの厚いコンクリートや圧力容器を覆ったコンクリートが外部に漏れずにいる最大の砦です。
「現在は格納容器が健全だったと判明しました」という東電の言葉はそういう意味ではよく分かります。
今、あの怪物を抑えてくれているのはコンクリートの構造物です。
以前書いたことがありますが、(コークスで鉄を溶解させた話)数千度の温度に対して耐えてくれるのはコンクリートだと思っています。
東電もその辺はだんだん確信が持てて来ていて、だから、少し自信を取り戻しつつあるのでしょう。
でも、隠すのはよくありません。
隠蔽体質は改善してください。
実際は、燃料が大量過ぎて、いつ何時、想定外のことが起こるのか解らないのですよ。
解っていると思いますが。
そして、もっと現場の方達を、ねぎらって下さい。
尊敬してください。
もっともっと色々なことを改善してください。
休憩施設の線量管理や現場の人にしか解らないご苦労を、同士として汲み上げてください。
会社組織という大義名分の下で、管轄が違うだの、会社が別だからだの言っていないで、協力してください。