古き皮袋に新しい酒

 「13人の刺客」という娯楽映画を見た。久しぶりの快感の作品だった。徳川末期の話である。藩主の暴虐を隠密裏に解決しようという暗殺劇。参勤交代の道中、一本釣りの13人が明石藩300人を襲うストーリィである。監督三池崇史役所広司稲垣吾郎松方弘樹、多彩なキャスト。30分に及ぶ凄まじい殺陣シーンは腹に響いた。大昔にみた「7人の侍」や「荒野の7人」の感動を思いだした。この「13人の刺客」は1963年に一度映画化されている。復刻版でもある。しかし、優れた映像技術としっかりしたシナリオと役者パワーが海外にも通用する作品に実っている。
 映画に限らずどの分野でも新しい成果が生まれているが、昔の名作を今流に焼き直して斬新さと創るというやり方は珍しいことではない。しかし、昔の名作を消化して、今の技術や解釈や役者の違いを盛り込むことにより全く違う作品に仕上がる姿を見せてもらった。
 このやり方は商店街や小売業態の活性化にも通用する。どの街にも歴史や文化があり伝統がある。この価値を懐古型ではなく発信型で今にぶっつけていく姿勢が感動を呼ぶ。悪い話ばかり目につく今日この頃であるがいい面もたくさんある。思いつきの新製品開発もいいが、歴史や文化から学んで驚嘆の成果が生まれることも多い。IDRが取り組んでいるホビークッキングフェアで、グリコ乳業は「30年のロングセラー商品“プッチンプリン”の10倍版を手づくりでどうぞ、という提案をした。大人気だった。古き皮袋に新しい酒、という言葉を思いだした。

◇◆◇◆◇◆三浦 功