イエ・ルポ 2 #053 PickUp5



みなさまこんにちは、ハザマです。関東ではここ数日冷たい雨、今日は何とか回復しましたが、全国的にも気温差の大きい不安定なお天気がつづいていることと思います。みなさまお元気でお過ごしですか? 桜が咲くと花冷え、菜の花の頃は菜種梅雨。これも昔から変わりないと思えばほっとするべきところですが、この土日は晴れて欲しいなぁ。そろそろ見頃になっている桜を観に公園へお散歩に出掛けようと思っているんですw みなさまにもお花見をご予定の方が多いでしょうね。東京は、予報では晴れから曇り、気温も低いみたいです。少しあったかい装いで春の自然散策、楽しみましょうね♪


さて、今日は“イエ・ルポ 2”#053のピックアップ賞・ノミネート賞のご紹介です。今回は、「あなたが訪れたマチ、出会った人〈旅先ふれあい物語〉」のテーマで、実にさまざまなマチと人との出会いを聞かせて下さいました。あまりにもユニークな物語、充実のルポが多くて、賞を選び出すのにどれほど頭を悩ませたことか…! そこにあるマチの風景や歴史や暮らしや人々を見つめる、みなさまの豊かな感受性に惚れぼれと引き込まれました。みなさまの心の旅を疑似体験させてくれる素晴らしい物語の数々を、どうもありがとうございました!


イエ・ルポ 2 #053 ピックアップ賞・ノミネート賞

#053では「あなたが訪れたマチ、出会った人〈旅先ふれあい物語〉」のテーマでご投稿頂きました。
本当は賞に選ばせて頂きたかった、素敵なルポをご紹介すると…。青春18切符の旅で見知らぬ人たちとの心に残る会話「電車で隣になった人」、親切にマチを教えてくれる「タクシーの運転手さん」、旅先の食堂を出る時にいってらっしゃいと送り出してくれたフレンドリーなエピソード「大阪で」、やさしい言葉使いが忘れられなかった「徳島」、仕事振りに感動して旅の仲間で記念品を贈られたという「ホテルマン最後の仕事」、まるでマチの住人のように和やかな気分にさせてくれた「春の小旅行」、沖縄で三線と歌を披露してくれた「地元の方とお酒を飲む」、10年振りに訪ねて盛り上がった「昔住んでいたマチのお寿司屋さん」などなど…本当にたくさん。ほかにも、「方言に耳をすませています」「学生時代を過ごした街」「車に乗せてくれた地元の人」「ネットの友達からリアル友達に」「海外で挙式をしたとき」をはじめ、一つひとつ味わい深い物語が。また、「海外で」道を訪ねて生まれた交流や、電車で困って助ってもらったエピソード、店員さんと意気投合したりと、海を越えた旅先でもさまざまに忘れがたいあたたかな人とのふれあいが語られ、こちらの心までひらかれるようでしたw


そんななかから今回は、とりわけ旅する人の感受性が伝わってきて胸に響いたルポより、ピックアップ賞・ノミネート賞を選ばせて頂きました。旅することって、マチや人々との出会いを通して、さまざまなことを、自分をも発見する道程なんだなぁと気づかせてくれた物語集です!


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石ノ森章太郎ゆかりの地に行きました」by id:chinjuh


つい先週のことですが、漫画家の石ノ森章太郎さんゆかりの地を見てきました。
石ノ森章太郎ふるさと記念館は、宮城県登米市にあって、JR石越駅が最寄りです。そこからバスで30分くらいかかるのですが、そのバスが日に5往復くらいしかありません。9時19分の次は13時49分です。
こんなバスに誰が乗るんだろうと思ったら、出発の10分も前からご老人が6人くらい集まってきました。どこに何をしにいくのかわかりませんが、みなさん顔見知りです。
三月だというのに、前々日に雪がふって、あたりは雪景色です。空を大きな鳥が編隊を組んで飛んでいくのが見えました。やけに大きな鵜(う)がいたものだなと寝ぼけたことを考えていたら、土地のお婆ちゃんが「まだ白鳥がいるね」と言うので、ここは東京じゃないんだと思いました。カワウだなんて口走らなくてよかった。
やっと来たバスに乗って記念館に向かいます。どこまで行ってもいなかの道でした。途中に小さな町がなくもないんですが、人が住む場所より農地のほうが広いようなところです。
それでも途中からお客さんがどんどん乗ってきます。運転手さんが「車内混み合ってきましたので、お年寄りに席を譲ってください」とアナウンスすると、若い人が何人か席を立ちました。次のバス停でお年寄りが乗り込んできて、バスはすっかり満員です。
記念館に近づいてくると、バス停に「石森(いしのもり)」という地名が増えてきます。石ノ森章太郎というペンネームのもとになったのがこの地名だそうです。わたしは記念館前でバスを降りました。
ふるさと記念館自体はとても小さいです。石ノ森先生の肉筆原稿や、ゆかりの品などが展示されており、漫画やビデオを自由に閲覧できるコーナーがありました。漫画に夢中になりさえしなければ30分くらいで見てまわれるような感じです。
記念館のすぐ近くに、石ノ森章太郎さんの生家があります。木造の古い家で、昔はお母さんが商店をしていたそうです。今は市が管理しているということでした。
ごめんください、と戸をあけると、ボランティアの老婦人が「どうぞどうぞ」と招き入れてくれました。てっきり、受付をしているだけなのかと思ったら、一緒に家の中をまわっていろんな話を聞かせてくれました。
なんと、その方は石ノ森章太郎本人を知っているのです。
その方の弟さんだかが、石ノ森章太郎氏と同級生だとか、今日はいないけど章太郎さんの先生だった人もボランティアで来ることがあるとか、あっちの食堂のオーナーは、章太郎氏の弟さんだとか……当たり前のことですが、ここは本当に石ノ森章太郎氏のふるさとで、生の章太郎君を知っている人が大勢いるのです。
「昔はこのあたりは大きな町で、店が沢山あって、七夕や……わたしたちは "たが祭"というけれど、たか祭(高祭?)というのをやって、本当に賑やかだったんですけどね。わたしの弟が、七夕で一番楽しみなのは、小野寺さんち(石ノ森章太郎の本名)のだと言ってましたよ。章太郎さんは遊び好きで、器用で、頭がよくて、ちょうどこの二階から下を通る人を見ていて、滑車を使って七夕の飾りをがしゃんと落として人を驚かせたりしたものです。今は年寄りばかりの町になってしまって……」
実際に来るまでは、こんな話が聞けるなんて少しも考えていませんでした。てっきり間に合わせで作った記念館があって、展示を見るだけだろうと思っていたのに、ここにあるのは、ふるさとそのものの展示です。石ノ森章太郎を直に知っている人、話したことがある人が住んでいる町で、しかもそういった人たちと語らえる場所でした。
帰りは電車の都合でタクシーに乗ることにしたのですが、記念館のお姉さんが「タクシー会社はすぐそこにあるので、もうすこし記念館を見ていてください。電車に間に合うようにお呼びしますよ」ってとても親切にしてくれました。
ほんとうに来てよかった、そんな風に思える旅でした。


実は、石ノ森章太郎関係の施設は、石巻市ってところにもあるんですが、そっちはややアミューズメント寄りで、ファンなら絶対に登米市中田町石森字町の「ふるさと記念館」に行くべきです。交通の便は悪いけど、得難い体験ができると思います。
http://www.city.tome.miyagi.jp/kinenkan/


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「あ、お祭りだ!!とバスを途中下車して…」by id:momokuri3


私は一人旅と温泉が好きで、時たま、観光ガイドに載っていないような小さな温泉を巡る旅をしています。その時もいつものように列車を使って途中まで行き、あとは延々バスを乗り継いで目的地を目指すというコースをたどっていました。観光化されていない小さな温泉は、鉄道の沿線からは大きく外れていることがほとんどです。


その時も、1時間に1本あるかないかというバスに揺られて、山あいの道を進んでいました。坂を下るとサッと視界が開けて道の両側に田んぼが広がりました。そして前方には、道の両側に立てられた高い柱の間につながれた日の丸の垂れ幕。その日の丸の下をくぐると、道の両側に古い作りの家々が並ぶ町が見えてきました。左手には一段高くなった台地の上に鳥居が見え、祭礼ののぼりが立っていました。
『お祭りだ!!』
私は予定を変更して次のバス停で降りることにしました。一人旅ですから気ままなものです。しかしバスはその後右折して、さらに何キロも走った所で止まりました。ここが町の中心部。農協の支所と郵便局が見えます。さっき見た神社は町はずれだったのでした。


今きたばかりの道を徒歩で戻り、ヘトヘトになったころ、やっとお囃子の音が聞こえてきました。いい感じです。すると向こうから小さな山車がやってきました。お囃子はこの山車の列からのものだったのです。
さっそく山車に駆け寄り、赤色灯を持って誘導係をしている人に、「旅の者なんですが、お祭りやってるのを見てバスを降りてしまいました、ご一緒していいですか」と声をかけると、どうぞどうぞとにこやかに受け入れてくださり、他の人も団扇を渡してくれるなどして歓迎してくれました。


山車と一緒にあたりを一巡りすると、やがて目指す神社に到着しました。山車は裏手の道から境内に上りますが、私は初めての神社なので正面の鳥居から入って、石段を登って境内に入りました。社殿は小さいですが境内はかなり広く、一段下がった広場には演芸の舞台も出来上がっていました。


社殿は扉が大きく開かれていて、中に何人もの人が入っていました。賽銭箱の前で参拝しようとすると、遠慮しないで上がりなさいと言われて、初めての神社なのになんと社殿の奥の祭壇の真ん前まで進み出て参拝することになってしまいました。お賽銭として取り出した五円玉が五百円玉に変わったのは言うまでもありません(笑)。


山車の行列の人が地元の顔役の人たちに私のことを紹介してくれました。すると居並ぶ人たちが口々に、縁故もないのにはるばるやって来たとは神様のお引き合わせに違いない、これから式典が始まるからぜひこのまま座って一緒にお参りしなさいと、強く勧めてくれました。
神主さんが登場して、いよいよ式典です。正座をして二拝二拍手。神主さんの祝詞が二種類くらい続き、順番に玉串を捧げて、お祓いを受けて…。ほかにも、東京ではめったに見ることのない古式ゆかしい色々な儀式が執り行われていきました。
最後に御神酒の杯が配られて乾杯です。なんとその時に「東京からのお客様です」とご紹介いただいてしまい、神主さんから、よく来ましたねと握手までいただいてしまいました。


式典が終わって拝殿を出ると、元気なおばあちゃんが駆け寄ってきて、私の手を取るではありませんか。そして周りのみんなを呼ぶんです。この手は宮司さんから握手をいただいた手だから今日一番神様に近い手だよ、みんなもこの人から握手をもらうといいよって。あっという間に拝殿の前で握手会になってしまいました。
『神様、私みたいな者が神様のお使いみたいになってしまってごめんなさい』
と心の中で冷や汗を出しながら、町の皆さんと握手をさせていただきました。


続いては舞台で演芸大会です。露店は一つも出ていませんが、境内の端には町内会の名前が書かれたテントがあって、そこでかき氷やヤキトリ、フランクフルトなどを売っています。ここに座ってと案内されて舞台の前に腰を下ろすと、さっき握手をしてくれた皆さんが、そのテントで売っている物をどっさり持ってきてくれました。
おまけにおにぎりまで。このおにぎりはお祭りの奉仕者専用なんだそうですが、私も山車と一緒に歩いたし式典にも出たからこれを食べる資格があるんだと、筋骨隆々のねじり鉢巻きのおじさんが、バシンと私の肩を叩いて手渡してくれました。


回ってくるビールを飲みながら、町の人たちが繰り広げる舞台を楽しみました。ちょっと見るといかにも過疎の町ですが、若いお母さんや子供たちもけっこういます。子どもの踊りや、若いお母さんたちのアイドルばりに振りを付けた歌などで境内は大盛り上がりでした。
30代から50代くらいまでの男性グループは地域興しの中核を担っている人たちとかで、なんとなつかしの一世風靡セピアの歌を、フルコーラス通して完璧な振り付けで踊っていました。全員揃いの真っ白なサラシに、真っ白なボンタンみたいな作業ズボン、真っ白なねじり鉢巻き、そして地下足袋姿です。踊りも気合いがこもった大熱演でした。
踊りが終わると中の一人がマイクを取りました。
「この町は来春合併して○○市になります。でもこの町が無くなるわけではありません。我々はここから新しい町作りをはじめていく、そのために汗を流して働く、その決意を表す意味で、真っ白な作業服姿で揃えました!」
割れるような拍手。そしてどこからともなくアンコールの声。それがだんだん大きくなって、アンコールの大合唱になりました。すると一番年上と思われる人が横からマイクを取って、
「す…少し待…ハァ…息が切れてすぐには踊れん」
会場は大爆笑でした。


こういう地域の行事は始まりが早いですから、終わるのも早いようで、15時には演芸もお開きになりました。あとは地域の公民館に移動して慰労会とのことで、私も誘っていただきましたが、そろそろ目的地に行かなければなりませんからと、それは辞退させていただくことにしました。
ところが、午後のバスの便は夕方過ぎまで待たないと来ないことが判明。バス停で何時間も待つのはつまらないから一緒に来なさいと誘われて、それではと、短時間ながら参加させていただくことになりました。お祭りで親しくなった皆さんと肩を並べて、本当に楽しい語らいの時間を過ごすことが出来ました。


いよいよバス停に行かなければならない時間です。名残惜しいというか、席を立つのが辛かったです。最後にすっかりお酒が入って出来上がっている地元の区長(町内会長)さんから「お前はもうこの町の人間だ、必ず戻ってきてここで嫁を取れ」と言われて、皆さんのまた来いよ、必ず来いよの声に送っていただきました。ほんの気まぐれな途中下車が、すばらしい一日を与えてくれました。


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「雛めぐり」by id:sumike


郡上八幡をご存知でしょうか?
日本地図の ほぼ真ん中にあります。
郡上おどりが有名で、水がきれいな街です。
水のきれいなところは土地自体もきれいだと思います。
郡上は川と共にある街です。
郡上八幡に着いた時に、長良川最大の支流の吉田川を見ていたら知らないおばさまに声をかけてもらい、
とても親切に近くを案内してくれました。
吉田川の岸づたいに「宮が瀬こみち」という親水遊歩道があり、
風をうけながらのんびり散策をするとこの町の人々の暮らしが、いかに自然と一体となっているかが分かります。
川の水はとても透き通っていて綺麗です。
郡上八幡室町時代の後期からつづく街で、古い街並みもあり、
昔からの建物もそのままに残されています。
家と家の境にある袖壁が独特の雰囲気を醸しだしています。
屋根の軒の一部が斜めに出ている部分があり、
密接する家屋の防犯や延焼を防ぐ意味があるのだとか
情緒あふれる郡上の街並みがとても好きです。


この土地は細い路地が多く、路地を歩いていると、建物に包まれるように感じます。
中には、「郡上おどり三味線教習所」なるものがありました。
郡上おどり、とは盆踊りなのですが、メインの四日間は徹夜で踊り明かすのです。
400年も昔から続いている郡上おどり。
この小さな街に、その時ばかりは何十万人もの人出があるそうです^^


街を歩いていると、あちこちに笊を台紙にして俳句が飾られていて
一緒に陶器のお雛様も並んでいました。

ちなみに、盆栽とお雛様が飾られている台は、エアコンの室外機を隠している箱です。
窓の格子と色や形が合わせられていて、なんとも風流ですね。
ここでは旧暦で桃の節句を祝う習慣があるそうで
2月末から4月3日のひな祭りの時期に併せて町内で”城下町おひなめぐり”というイベントが開催されています。
郡上八幡市街地内の家のおよそ百件の軒下にお雛様を飾ってあるのです。


段ではなく、こういった御殿付きの台座に座る雛人形ははじめて拝見いたしました。
なんとも雅です。

他にも江戸時代から伝わる貴重な陶器の雛人形なども見せていただきました。
昔は子が生まれたら近所の人たちがお祝いとして、人形を贈っていたとのこと。
そのため以前はこういった人形を作っている店もあちこちにあったそうです。
今はその風習や人形のお店はきえてしまいましたが、その子を思う気持ちは今もなお受け継がれていると思います…。
郡上八幡にどこか京都の風情を感じましたが、それもそのはず、美濃の小京都と言われているそうです^^


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「来年、上越で会いましょう」by id:vivisan


イエはてなでは何度か書いていますが、私たち夫婦は、歴史好きが高じていつのまにやら地元の戦国系のおまつりをプロデュースする立場になってしまいました。
そんな私たちが毎年参加している歴史まつりがあります。それが、新潟県上越市で夏に行われる「謙信公祭」です。以前はお盆の時期でしたが、今は8月の終わり頃に開催されています。
このお祭りは、ふつうのお祭りとは違って夕方から夜にかけて行われます。パレードで町を歩き、夜に春日山城下にある公園のグラウンドで川中島合戦を再現します。もちろん主役はお土地柄上杉なんですけど。


お祭りにはもう4、5年参加をしています。最初に参加したのはまだ私たちが関東に住んでいる頃でした。同じように歴史好きも参加するので、一種のオフ会みたいな感じになっていて、それはそれで楽しみの一つでもあるのですが、うちの夫婦が参加する目的が変わりました。


一番最初に参加した年のこと。お祭りでは上杉対武田に分かれて、必ずどこかの武将の隊に所属するのですが、この隊には私たちのような全国から集まった人もいれば、上越市民の方もいらっしゃいます。前の日のリハーサルから練習をはじめ、隊にも連帯感が生まれてきます。私たち夫婦の隊は上杉隊の武将の隊でした。
「どこから見えられたのですか?」
「(そのときは)横浜からです」
その方は少し御年を召されていましたが、そこはやはり歴史好き。一瞬で打ち解けてきます。上越の方たちは地元にとても誇りをもっていらっしゃって、好きな武将やお城の話なんかで盛り上がりました。
「毎年参加しているんです♪これに参加しないとお盆じゃないです。」その笑顔がとても素敵でした。
またもう一人の方はタクシーの運転手をされていて、せっかくの郷土のお祭りに参加したくても忙しくてできず、今年がはじめての参加とのことでした。
そして、本番もばっちり♪みんなで一緒にお祭りを楽しむことができました。
この祭り、実は体力をものすごく消耗するんです。炎天下の中でリハーサルをやり、夕方とはいえ、甲冑をつけてのパレードはものすごく暑いんです。クールジェルなどを持参でがんばるのですが、大量に汗をかきます。そして夜もまたむし暑い。でもこれだけの過酷な祭りをみんなといっしょに乗り切れたという達成感はなにものにも変えがたいものでした。


その後、上越の方々主催の懇親会が始まります。焼肉を焼いてくださって、参加者と地域の方がいっしょになって大騒ぎw
そこでは、知り合いの歴史好きの人々とも再会を楽しみましたが、上越の方々の心からのおもてなしに感動してしまいました。
隊ごとに集まって、「おつかれさまー♪」毎年参加の方はもちろん、タクシーの運転手の方もすごく楽しかったらしくて、来年は上越の方々で構成されている団体に入ることを決意されていました。
「このお祭りはね、もうすぐ80回になるんだよ。」毎年いろいろなことを試みていたそうで、そのときの思い出話をすごく楽しそうに語ってくださる関係者の方々。
「こうやって遠くから来てくれる人たちに本当に感謝してるんです。参加されたみなさんが本当に楽しかった♪って笑顔でいってくれると、来年もがんばろう♪って気になるんですよ。しっかりと歴史を残していきたいです」
この気持ちすごくよくわかるんです。その頃も祭りのお手伝いしていて、内容についてダンナと揉めたことも何度かあったけど、実際のお祭りで参加者や見にきてくれた人の笑顔みると苦労ふっとんじゃうんですよね。
またその土地の誇りをちゃんともっていらっしゃいます。
上越市はね、この春日山直江津と高田が合併したんです。高田には高田の、直江津には直江津の、春日山には春日山の歴史があるんだけど、これからは一体となってもりあげていきたんです」
このようにして本当に私たちを心からもてなしてくださったのでした。
そして「来年もまた来ますね♪」といって上越をあとにしました。


次の年も参加をしました。今度は上杉隊でしたが、昨年とは違う隊です。私たちは着付けにも慣れているんで、着付けのお手伝いをしたりしてすごしていました。ひと段落して休憩していると、昨年の参加者のおじさんがきてくださったのです。
「こんにちは♪やはり来ましたね♪」
私たちのこと覚えててくださったんです。隊はちがいましたが、同じ上杉隊どうし。お互いに頑張りましょう♪ってお話できました。
そして、タクシーの運転手の方はというと・・しっかり、上越の団体の一員として頑張っていらっしゃるではありませんか!
「うわー!一年ぶりですね!」こうやって再会を喜びあうことができたのです。
そして、今度はあらたな上越の方々を知り合うことができました。ある人は、私たちの祭りに参加してくだいました。


年を重ねるごとに、地元の知り合いが増えていくんです。今までは、歴史好きの知り合いに会えるのが目的だったのに、いつの頃から、上越のアツイ方々をお会いできるのが楽しみになってきて、目的が変わってきました。
特に手紙のやりとりをするわけでもなく、確実な約束をするわけでもありません。でも来年にはそろって笑顔で会えるんです。
別れ際のあいさつは、「来年、上越で会いましょう」になりました。


そして、一昨年のこと。大河の「天地人」が来年放映とのことで、GACKTさんを謙信公として招き(2回目)、募集人数が増えました。私たちはイベント会社さんのお手伝いをすることになりました。なので一般隊としては参加せず、一隊をまかされました。私とダンナは別々の隊をまかされ、私は武田隊の山県隊をみていました。参加者の中にも知り合いが何人かいたので、まだ楽でしたが、右往左往しながら隊の着付けを行ったり、連絡事項を伝えたり、たいへんでした。
そんな中で少し休憩をしていたところ、上越の常連さん方があいさつにきてくださったんです。
「あれ?今年は出ないんですか?」
「今年はお手伝いなんです。今回武田なんでおてやわらかに頼みますね♪」
毎年毎年気にかけて声をかけてくださる方々。ほんとうにこれだけで、上越に来てよかった♪って思える一瞬でした。本当に感動ものです。
さすがに懇親会は人数が多くなったのでなくなりましたが、いろんな方々をお話ができてほんとうにうれしかったです。お祭りもなんとか終わりましたし♪


昨年は、義父の不幸もあっておまつりなどは自粛しておりましたが、今年はあの上越の方々の笑顔を見るのが楽しみで参加をするつもりです。
「一期一会」という言葉があります。この言葉どおりその年だけしかお会いできない人もいますが、こうやって年をつみかさねてお会いできるのって本当にすばらしいことではないでしょうか?お祭りを通して私は上越の方々からいろんなものをいただいています。地元に対する誇りだったり、お祭りに対する意気込みだったり、言葉にできないことも多いんですが、すごくありがたいです。もちろん上越にいかないと会えませんけどw
これが終わると、さぁ、自分たちのおまつりに力をいれなきゃ!がんばらなきゃ!という気になります。
このすばらしい出会いを大切にしたいと思います。上越市は私には一生忘れることのできないすばらしい場所です。


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「民宿のおじさん」by id:TinkerBell


ある島に、友だち数人ででかけた時に泊まった民宿のことを書いてみたいと思います。
その民宿は息子さんとその奥さんが中心になって運営されていますが、お父さんもお元気で、息子さんそっちのけで独創的なお客さんサービスに励んでいらっしゃいます。


たとえば私たちが海で遊んでいると、そのおじさんが軽トラックでやってきました。
海水浴客が集まる大きな浜辺もありますが、そこはおじさんご推薦の入り江で、あまり人が来ない、プライベートビーチみたいな場所なんです。
おじさんがおーいと呼ぶので行ってみると、今畑から取ってきたんだと、大きなスイカをドンと渡してくれました。
さっそく棒きれを探してスイカ割り大会がはじまりました。
こんなのが、おじさんのサービスなんです。


夜はおじさんが買ってきてくれた花火で花火大会。
おじさんも一緒にやろうよーと誘うと、あんまりお客さんと遊んでしまうと息子に叱られちゃうんだよと頭をかいています。
平気平気、私たちが誘いましたってちゃんと言うからとおじさんをむりやり引っ張り出してしまいました。
そしたらおじさん、ちょっと待ってろと言って、袋を下げてやってきました。
中からはよく冷えたジュースとビール。
厨房から黙って持って来ちゃったと、うれしそうに笑っていました。
「ナイショな」
「うん、ナイショナイショ」
このおじさん、チョイ悪です(笑)。


民宿には三泊しましたが、最後の夜はおじさん主催のサザエの壺焼き大会を開いてくれました。
サザエの他にも小さな巻き貝が山のようです。
この小さな巻き貝は昼間おじさんが海で取ってきてくれたものとかで、まずそれを大きな鍋で茹ではじめました。
うわー、海の香り。


茹で上がるとおじさんが、
「こうやって食べるんだ」
と貝殻からくるくると中身を取り出すやり方を実演して見せてくれました。
ほかのお客さんも一緒になって、みんなでくるくる。
「わぁ、おいしい」
「初めて食べた」
小さな名前も知らない巻き貝は大人気でした。
息子さんの奥さんが握ってくれたおにぎりを頬張りながら、すてきな海のディナーです。
いよいよメインのサザエの壺焼きが始まりました。
港で焼いてるのを買うと一個何百円も取られますが、今夜は全ておじさんのおごりです。
みんなの歓声が上がりました。


おじさんは焼きながら、サザエは海草を食べて育つこと、だから水のきれいな、いい海草が育つ海のサザエはおいしいこと、サザエのうま味はコハク酸で、サザエにはアワビの2倍のコハク酸が含まれていることなどを話して聞かせてくれました。


最後におじさんが、島の民謡を披露してくれました。
ゆっくりとしたテンポの歌でした。
昔の漁師が船の櫓を漕ぎながら歌った歌だから、こうやって、ぎっちら、ぎっちらとやる速さで歌うんだよと教えてくれました。


翌日はおじさんが港まで車で送ってくれて、出港までずっと見守っていてくれました。
船が港を離れはじめると、おじさんは大きく手を振って、また来いよ、きっと来てくれよと、昨夜の民謡のようなよく通る声で叫んでくれました。
私たちも「きっとまた来るから」「おじさんもお元気で」と叫びながら手を振りました。
みんな、ちょっと泣いてしまいました。


今もおじさん、きっと元気でお茶目なサービスに励んでいらっしゃると思います。
また行きたいなぁ。すてきなおじさんのいる、海の民宿でした。


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「旅の列車の中での〈地域学〉との出会い」by id:Fuel


あれは高校生の時でした。旅、といっても、お盆休みの親の実家への帰省です。両親は法事の日程の都合があったので先に出発していて、私は学校のクラブの都合で一日遅れでの出発でした。
キップは親が手配してくれたので、豪華に指定席です。隣の席に座ったのは、品格が感じられる紳士でした。列車が出発してしばらくすると、その紳士が「どちらまで?」と話しかけてきました。しばらく話し込んでいるうちに、なんとその紳士には壮大な夢があることがわかりました。・・・続きを読む

「沖縄」by id:twillco


沖縄は気候も暖かいけど人も暖かい!
以前、友人と一緒に沖縄旅行に行きました。
居酒屋で出会った隣にいた現地の方が、沖縄料理のカフェを経営しているというので、翌日お邪魔させていただくことに。
そして翌日約束のお昼に行くと、結構混雑していました。
そこで友人と一緒に急遽お手伝いをすることに!
観光出来ていただけの私たちを暖かくチームに迎えてくれて
一緒にお昼の混雑時間に働きました。・・・続きを読む

「ブログを通して出会った方のマチへ旅に…」by id:Shared


もう6年近く前のことになります。
某ブログでブログを書いていたころのことでした。

色んなブログを散策していたところで、好きな音楽が同じで、それでいて人柄がとても現れている素敵なブログに出会いました。
思い切ってコメントしたことがきっかけで、それからよくお互いのブログを行き来するようになり、そのうちにパソコンのアドレスを交換…次には携帯のアドレスを交換するまでに至りました。・・・続きを読む

「京都で」by id:offkey


もう随分昔の話になります。
春先に一人旅で京都へ出かけました。
お目当ては高尾から栂尾にかけて散策することで、京都市街地からバスにのって現地へ出かけたのですが、時はちょうどシーズンオフのため、住宅街がなくなって山の中へ入るとバスに乗ってるのは私一人きりになりました。
そこへバスの運転手さんが親切に声を掛けてきてくれて、
もうかなり前のことなので、どんな話をしたのか覚えてないのですが、
どこから来たのかという話に始まって、私の住んでる土地の話、それから京都のことをしばらく喋ってたように思います。・・・続きを読む

「パンクを救ってくれた女の子」by id:tough


大学時代、無謀にも自転車旅行をしてみたくなりました。といっても旅の経験がないので、とりあえず足慣らしにと、隣県まで行って一泊野宿をして帰ってくるというプチ旅行を計画して出かけました。が、早朝出発して、お昼過ぎにはもう挫折。自転車を止めて弁当を食べて、さあ出発と漕ぎ出したらガタガタガタ。パンクです。
まったく未経験者というのは困ります。パンク修理剤も持っていません。自分の甘さにほとほと愛想が尽きて路肩に座り込んでいると、セーラー服の女の子が自転車で通りがかりました。・・・続きを読む

「山の中で出会った不思議な女の子」by id:TomCat


以下はフィクションではありません。本当のお話です。でも、フィクションにまとめ上げてみたいような、ちょっと不思議な〈旅先ふれあい物語〉だったんです。しばらくの間、そんな話にお付き合いください。

さて、本題です。道の駅に車を止めると、国道を挟んだ向かい側の山の中腹に、ピンクに染まった一角が見えました。桜だ!! もしかしたら山桜?

距離はそんなに離れていないようでしたので、早速行ってみることにしました。・・続きを読む

「N.Y.のストリートフェアにて」by id:C2H5OH


N.Y.のストリートフェアは、日本の大きなお祭りと感じがよく似ています。車道を通行止めにして、道の両側に様々なお店のテントが並びます。そして道を埋め尽くす人、人、人。日本のお祭りと違うのは、毎週末N.Y.のどこかでこんなイベントが開かれているという数の多さでしょうか。日本のお祭りと同じく食べ物屋さんもけっこう並んでいて、なんと私はりんご飴を発見しました。
それだけではありません。ここで面白い「日本」を発見したのです。休憩所みたいなスペースから拍手が聞こえてくるので、何かのパフォーマンスかなと思って行ってみると、なんとそこには日本語で歌を歌うソウルフルなおじさんがいるではありませんか。・・・続きを読む

青春18キップで出会った人々」by id:Catnip


青春18キップで旅に出たことがありました。時刻表とにらめっこをして、夜は出来るだけ列車内で過ごして宿泊代を浮かす貧乏旅行です(注:夜行に乗るには18キップ以外に指定券が必要になることがありますので念のため)。
そこには色々な出会いがありました。

まず列車の中。18キップの旅は主に車窓からの眺めを楽しむ旅になりますから、昼間もほとんど列車に乗っています。18キップで乗れるのは普通列車だけですから、色々なその土地の人との出会いがあるのです。・・・・・続きを読む

「バスの車窓から直感的に見つけた喫茶店by id:iijiman


1990年か1991年のことだと思います。
当時私は、千葉県柏市に住んでいました。
ある日、友人と待ち合わせの場所に行くために、柏駅西口からバスに乗りました。その路線は市内でしたが、初めて乗る路線でした。ちょっとした旅行気分。
で、市内とはいえ初めて見る車窓をぼんやりと眺めていると、ふと、あるマンションの1階に、焦げ茶色の看板を出しているお店がありました。
その時、勘がひらめきました。
「ここに美味しい喫茶店がある」。・・・続きを読む

「海辺にて… 風を描いていた人」by id:CandyPot


海水浴を兼ねて海の近くのホテルに泊まった時のことでした。せっかく海に来たのに、おばかな私は朝起きてみると風邪気味になっていました。友だちは、早めに帰ってくるよと言い残してみんな海に。私は遅い朝食をとって、少し調子が良くなったので、そのへんをぶらぶら歩いてみることにしました。
いいなぁ、私も泳ぎたかったなと思いながら海を見ていると、絵を描いている人を発見しました。そーっと近付いてみると、キャンバスにはまだ何も描いてありません。木炭を持った手がキャンバスの上を何度も行ったり来たりしていますが、木炭の先がキャンバスに降りることはありませんでした。・・・続きを読む

「今日の一枚“リブ・ラブ・スナップ”」


「今日の一枚“リブ・ラブ・スナップ”」
テーマ「リブ・ラブ〈MYアーリースプリング〉スナップ」から、今日の一枚をご紹介!
id:danburiteさん、ご投稿ありがとうございました。




「菜の花のおひたし」
ご近所さんが摘んできた菜の花をおすそわけしてくださいました。今の時期、近くの土手はつくしや菜の花を摘む人でにぎわいます。それぞれの食卓でどんな料理になるんだろうと想像するとちょっと楽しい気分になります。


スナップコメント

これぞ早春の色、ほろ苦い春ならではの味わいですね♪
いいなぁ、春菜摘みが出来る土手がイエの近くにあるなんて!
ツクシが採れれば、次にはスギナも。きっとタンポポヨモギも採れるんだろうな…。
公園やお庭もいいけれど、マチの人みんなが自由に遊べる自然の場所っていいですね!

−ハザマ−


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