イエコト・ミシュラン #062 ピックアップ賞・ノミネート賞
さて、今日は“イエコト・ミシュラン”#062のピックアップ賞・ノミネート賞のご紹介です。今回のテーマは、「もっと便利に素敵に!活きる・活かす家具使いコンテスト」という、またも難題であったにもかかわらず、たくさんの素晴らしいアイデアが集まりましたね。さすがは〈イエはてな〉のみなさま、暮らしの視点が豊富なことに驚かされました!
たとえば、限られた空間をすっきり活かすために壁を最大限に使った「大きな本棚」、「ベッドの下」や「テーブルの下」などのデッドスペースを活かす収納アイデア、収納箱をデスクの脚に活用して一石二鳥の「衣裳ケースを机に」、「下駄箱」の中に突っ張りポールとフックでお出掛け小物収納……。そして、ひとつの家具にいくつもの役割を持たせるプランや、収納がそのままリラックス家具になるアイテム、安全かつお部屋を広く見せる家具選び、実用性にインテリア性をプラスする創意工夫、家具の配置で楽しい空間やコミュニケーションを生み出すアイデアなどなど、本当に多彩な発想によるご提案がいっぱい。
そんななかから今回も、便利なだけでなく空間や暮らしにプラスアルファの効果を生み出すプランを、★(一ツ星)〜★★★(三ツ星)のピックアップ賞&ノミネート賞に選ばせていただきました。みなさまがイエで大切にされている素敵な時間や空間も見せてくださったかのような一つひとつのメッセージ、どうもありがとうございました!
*今回のピックアップ賞は、〈みんなの住まい〉9月末日公開の特集記事として編集、ご紹介させていただきます。
★(一ツ星)
日本では昔から限られた空間を工夫して、上手に使ってきました。
その一つが、靴を脱ぐ文化です。
おかげ様で座ったり寝ころがったりとイエの中ではどこでもくつろげます。
こうした巧みな空間使いは、家具にも言えます。
現在は部屋の洋風化と共にテーブルやデスク&チェアのスタイルが主流となっていますが、昔は卓袱台、そして文机(ふづくえ)が活躍していました。
この文机(ふづくえ)という言葉自体あまり聞かなくなって久しい今日この頃ですが、
文机とはその名の通り読み書きをする際に使う、一人用の木製の脚折れ机です。
座って使うことから、座り机とも呼ばれています。
もともとは平安時代に僧侶が写経をするために登場し、江戸の頃、寺子屋の普及と共に一般に広がったものだそうです。
物を書く以外に晩酌時の酒卓や裁縫机などにも応用がきくとっても便利な家具です。
実は実家にはこの文机があり、今でも父が愛用しております。
私も気に入っていて昔はよく読書に作文、習字に裁縫、そして弟相手に連珠やオセロなどをする際に使っていました。
父が使用している文机は折りたたむと厚さわずか10センチになり、一台では文机ですが、
二台を組み合わせれば大きなテーブルになります。
そのもう一台の文机は双様机。
座り机とキャスターつきの縦長ワゴンの二つの顔を持ち、これまた好きな場所に動かせて文机として使用します。
学習机とは違い移動も簡単にでき、椅子を使う机に比べて圧迫感がなく、背板がないので足も伸ばせます。
座っていると、床も360度使うことが出来ます。
広い場所をとる習字や裁縫の際にも広々とした床も使えて、合理的。
使わない時に文机は脚は折りたたんで省スペースに収納することができ、あちこちへ手軽に移動できる
とても便利な家具なのです。
子どもと一緒に和室で勉強をする時にも重宝しますね。
複数あっても圧迫感がなく、使い方を限定しない家具なので、その使用の可能性は無限大、デザインもシンプルなので、
和室はもちろん、フローリングの洋室でも使えます。
そして、今私が気に入って使っているのが、文机とは異なり折りたためませんが同く背板なしのコの字型ローテーブル。
こちらは無印良品でリーズナブルな価格で取り扱われています。
こちらはちょっとした荷物置きから、棚・ミニテーブル・ラック・簡易ベンチなど、
置き方も使い方も自由自在の便利な家具です。
棚や簡易ベンチとして使用した場合の耐荷重は四十キロと、強度も十分。 文机と同じく、使い道を限定せずに幅広く使える便利なアイテムです。
洒落た座椅子に座って文机やコの字机でパソコンを使う、これはまさに現代版の文机の使用法といえるでしょう。
しかしパソコンの普及で、今ではゆっくり手紙を書くような機会が減ってしまっています。
九月は長月とも云われ、夜が少しずつ長くなる月です。
時にはキーボードの代わりにゆっくりと手間と時間をかけて文をしたためることで、素敵な贈り物となります。
忙しい毎日の中で相手を思い、ゆっくりと文字を綴る、そんな豊かな秋の夜長を過ごしてみるのもいいですね。
参考サイト
(文机の歴史)
http://iroha-japan.net/iroha/B03_life/15_fudukue.html
(文机)
http://www.orientalspace.com/05/0503/000035.html
(無印コの字家具)
http://www.muji.net/store/cmdty/detail/4548718121656
(双様机)
http://www.toyocraft.com/goods/senior/sc60.htm
★★(二ツ星)
以前こちらにホームバーのカウンターを作ったという意欲的な書き込みがありましたが、わが家にはカウンターが常設できるほどのスペースはありません。羨ましいなと思っていた時、いい物を見つけました。キッチン用隙間収納ラックです。たとえばシンクと冷蔵庫の間などのちょっとした隙間に突っ込んで使う、薄型のキャスター付きラックですね。一例をあげればこんな製品です。
http://item.rakuten.co.jp/model-bon/kitchen0041/
ここにカクテル作りに必要な材料や道具をコンパクトにまとめておけば、コロコロと引き出した瞬間、いつものキッチンがバーカウンターの中に早変わりするではありませんか。これはいけると、早速わが家のキッチンのサイズを測ってみたのですが、あいにく市販品ではピッタリする物がありませんでした。そこで自作です。使った素材はごくありふれた板きれでした。上面と前面のみきちんと目止めをしてサンドペーパーで磨き上げ、隣り合うキッチンセットと合わせた色で塗装してみました。これで隙間に格納している時の見栄えはお揃いです。他の部分は無理に色を合わせる必要はありませんから、汚れを防止する意味でクリアラッカーを吹いておくにとどめました。塗料の匂いが抜ければもう使えます。
ラックの下部には、カクテル材料となる様々なお酒の瓶。その他の段には、たとえば
・メジャーカップ
お酒などの液体の量を計るカップですね。30mlと45mlのカップが突き合わせになったステンレス製の物が一般的です。こんな物を使わずとも、目測でぴったりの分量を注げる人もいるようですが、初めてのカクテルを作る時には標準的な味を覚えるためにも、しっかり分量を量ることが欠かせません。
・カクテルシェイカー
お馴染み、カクテルをシェークする道具ですね。素材は主にステンレスですが、大きさや形は様々ですから、好みの物が見つかるまでに、何個も貯まってしまいます。これが数個並ぶと本物のバーみたいで、かっこいいですね。
・ミキシンググラス
シェイクした時に生じる色の濁りを抑えたい、素材の持つ味わいの鮮やかさをシェイクで損ないたくない、といった時に用いるグラスです。マティーニなどを作るときはシェイカーではなくこちらで。バースプーンやストレーナーと合わせて使います。
・ストレーナー
ミキシンググラスから注ぐ時にかぶせて使う、穴あきの蓋のような道具です。これでミキシンググラスから氷やフルーツなどがこぼれ落ちるのを防ぎます。
・バースプーン
片方がスプーン、片方がフォークになった細長いスプーン。真ん中の螺旋をうまく使って華麗にステア。スプーンはレシピで「1tsp(1ティースプーン)」などと書かれている場合の計量用にも使います。フォークの方はフルーツなどを取り扱う時などに。用途の広い道具です。
・ポアラー
瓶に取り付けて使う注ぎ口ですね。ワイン用のポアラーは注ぐ時にワインを適度に空気に触れさせて味わいを引き出すための物ですが、カクテル用は一定の分量で液体を注いでいくための道具。きちんとカウントしながら注げば、メジャーカップを使わなくてもある程度正確な分量が計れますから、急いでたくさんのカクテルを作らなければならないパーティーの時などに便利です。
・カクテルピン
カクテルに添えるオリーブやチェリーなどに刺して使う高級爪楊枝(笑)。凝ったデザインの物はなかなかのお値段です。
あとは、アイスペール(氷入れ)やアイスピック、アイストングなどの氷関係の道具や、フルーツをカットするまな板、スクイーザー(フルーツ絞り器)、そして手に馴染んだ果物ナイフやソムリエナイフなどなど。こういう道具をセットにして、ラックの中に配置していきます。これがなんとも心躍る作業。小さなラックに、まるで自分のお店が出来ていく気分です。
グラス類などは別の食器棚ですが、これでキッチンの遊んでいる隙間に、小さなホームバーセットが出来ました。下にはキャスターが付いていますので、手軽にコロコロと引き出して、すぐにカクテル作りが楽しめます。こんなことをせずとも普通に食器棚に収納しておけばいいじゃないか、と言われてしまえばそれまでですが、やはり道具をひとつにまとめて「世界を作る」という楽しみは格別です。
このアイデアをさらに広げて、キッチンにあらかじめ引き出し式ラックを複数用意しておいて、あるラックはイエ・バーテンダーのお父さん用、あるラックはイエ・パティシエールの娘さん用などと、それぞれの得意分野の道具と夢を詰め込んでいく、「家族のキッチン」計画、なんていうのもいかがでしょうか。カクテル作りやお菓子作りなどには、普段の料理では使わない特殊な道具が多々ありますから、そういう物を一個所にまとめて収納しておけばキッチンがすっきり片付きますし、なによりキッチンが家族みんなの場所になります。
★★★(三ツ星)
両親が年老いてきて、自分も一時期病気で体が思うように動かなかった時期があったときに、改めて家の中をみると意外と使いづらいと思ったときがありました。そのときの事を思い出して、家具でバリアフリーの一助になるようなことはできないかと考えてみることにしました。
普通バリアフリーといって思い出すのは手すりをつけたり、段差にスロープをつけたりといった家の改造のことです。もちろんそれができるに越したことはありません。しかし、今回は家具の大きさや配置でそれにかわるものができないかと思いました。
自分の家をざっと見渡して、まず思うのは天井近くまでそびえている家具が多いということ。年齢を重ねると一般に背が低くなり、場合によっては車椅子生活になったり、あるいはそこまでいかなくても腕をあげることが億劫になったりします。
となると、できるだけ低い家具を使ったほうがいいのではないだろうか、ということを考えました。
そのアイデアが使えるかどうか、私は一冊バリアフリー住宅に関する本で調べてみることに。
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するとここに私が考えていたこととは少し違いますが、低い家具についてのアイデアがありました。
それは、手すり代わりに低い家具を配置するということでした。
例えば、P60には寝室の配置図がいくつか載っていますが、家具は空いた壁のところに手すり代わりとして置かれています。
またP69に高齢者居室についてのコーディネートが載っています。それによると、茶の間と寝室がワンルームになっているのですが、その仕切りにローチェストを使い、茶の間側に食器入れを向けた状態にして、手すり代わりにしています。
それからP88には玄関についてですが、ここには
玄関収納:低め(ホールから約75センチ)の下駄箱は上がり下がりの時に手を付いて体を支えることができます。
と書かれていて、壁一面の靴箱では難しい手すりの役割を果たしてくれます。
さらに、これは低い家具ではないですが、上がり框に接してベンチを置くことを提案しております。
実際、家中に手すりをつけるということは現実的ではありません。手すりをつける代わりに収納スペースが欲しいですし、手すりばかりがたくさんあって目立つのも興ざめです。
70〜80センチほどの高さの家具が要所要所に配置してあれば見た目は普通の収納スペースでありながら、捕まるところがあるという点で低い家具を利用するアイデアに感心いたしました。
そこで、このアイデアを収納家具ばかりではなくて他の家具にも当てはめ、家の主だった家具の背丈をある程度統一してみたらいいのではないかと考えました。
名づけて「合言葉は70〜80センチ」
これはさきほど述べた手すり代わりに使う家具の高さのことです。
家の中で使われてる家具の高さをチェック。
例えばソファの背もたれ。この高さが70〜80センチだと、ソファの後ろを通るときにちょうどよい手すりになります。
それからダイニングテーブルの椅子の背もたれはどうでしょう。椅子とテーブルは座ってみて自分にぴったり合うようなものを選んだほうがいいですが、それ+背もたれの高さ。
先ほど書いたように玄関の靴箱ももちろんチェックです。
さらに寝室ではベッドの頭部分。ここも高さをそろえてみたいところです。
さらに、壁におくチェスト。収納はある程度犠牲にはなりますが、もし可能ならば思い切って壁一面に高さをそろえた収納家具を置いてみるのもいいです。
このようにして家にある家具の高さを70〜80センチに統一してゆきます。
こうして移動するときにはどこかの家具につかまって歩くことができる「家具の手すり」ができあがりました。
さらにバリアフリーに近づくために、家具そのものがバリアフリー仕様で作られているものを使ってみるのもいいかもしれません。
バリアフリー家具についての新聞記事がネット上にありましたのでURLを参考に上げておきます。
「バリアフリー家具を販売へ(1)家具の街大川で新しい取り組み」
「バリアフリー配慮「福祉家具」 机、食器棚など40種」
手を掛けなくてもバネじかけであく引き出しのたんすや、手すりがついた家具など取り入れてみるとといっそう使いやすい空間ができそうです。
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「天板と一緒にリビングの可能性も広がるエクステンションテーブル」by id:Fuel
エクステンションテーブル、つまり天板の幅が伸ばせる構造のテーブルですね。伸長幅は物にもよりますが、普段使うサイズの5割増しから倍近くにまで伸ばせる物もあるようです。普段は縮めて部屋を広く使い、来客があった時などには伸ばしてテーブルを広く使う。なかなか優れ物のテーブルです。
来客時以外にも、たとえば子供がいるイエでは、伸ばしたスペースで子供が勉強やお絵描き。食事の後でまだ食器などが残っている状態でも、引き出した部分はまっさらなスペースですから、子供はすぐにやりたいことに取りかかれます。・・・続きを読む
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「胸の高さより高い家具を置かない、縦長のカラーボックスを横に倒して使う」by id:iijiman
うちは原則として、胸の高さより高い家具を置いていません。
衣類の収納のための小タンスだけはどうしてもこの高さになってしまいますが、その他は、120cmくらいまでに抑えています。
理由は、第一に地震対策で、倒れた時に下敷きにならないためです。
第二に、背の低い家具を使うことで、壁面が見えるようになるため、部屋が広く感じられるというメリットがあるからです。・・・続きを読む
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「椅子にモノを飾る」by id:momokuri3
アイデア自体はとりたてて新しいものではありませんが、ちょっとの工夫で、いつもの部屋の飾り方が、何倍も楽しくなると思うんです。
使う椅子には、昔の学校椅子のような、幅の狭い板を何枚も並べて座面にした物が適しています。板の隙間に適当な物を差し込むだけで、立てかけた物がずり落ちるのを防ぐストッパーとすることが出来るからです。これで絵本なども安定して飾ることが出来ます。
油絵のイーゼルのミニチュアを、座面の板の隙間に足を差し込んで固定するように作ると、小さな絵本やCDのジャケットなどを飾るのに最適です。・・・続きを読む
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「家具を階段状に配置して作る〈猫階段〉」by id:YuzuPON
猫は高い所に昇るのが大好きですから、高さの違う家具を階段状に並べてやると、とても楽しく遊んでくれます。
ただし、背の高い家具は地震などで倒れる危険があり、何らかの転倒防止器具を使って安全を確保する必要がありますから、使う器具によっては家具の上部が猫階段として使いにくくなってしまいますね。
そこでお勧めなのが、チェスト程度の高さの家具です。・・・続きを読む
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「イエで学校机を楽しむ」by id:Oregano
時々、イエはてなの語らいでも話題になる学校机。ネットオークションなどにも出品されることがあります。まだ購入には至っていませんが、今年からアパートで一人暮らしを始めている親戚の女の子が、これをとても欲しがっているのです。彼女の計画は、「4つ並べてダイニングテーブルとして使いたい!」。机を4つ田型に寄せる、あの給食の時間の再現ですね。
最近は学校机もデザインが変わり、高さの調節が出来る機構を備えた物もあるようですが、彼女が通っていた小学校では、・・・続きを読む
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「収納と寛ぎを兼ねた家具」by id:ekimusi
部屋に収納が少くて、物が床まであふれている。
ソファーを置いていても、気がつくと座面が物置になっていて、ソファーにもたれて床に座っている…そんなイエも少なくないのでは?
そんなイエにオススメ、リビングに畳収納ボックスを置いてみませんか♪
畳収納ボックスとは、収納ボックスの上に畳を載せたものでサイズは幅30cm〜90cm、長さも60cm〜180cmと実に豊富にサイズがあるんです。・・・続きを読む
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「〈コ〉の字型ワゴンでゆったりのんびり」by id:TinkerBell
キッチンなどで使うワゴンは横から見ると「ロ」の字型ですが、
縦の一面が開いた「コ」の字型になっているワゴンもあります。
これって何だろう、物を乗せてコロコロ運ぶ道具なのはわかるけど、
なんでわざわざ強度が弱くなる形をしてるのかなと不思議に思っていたら、
どうもこれ、ベッドやソファを挟み込むようにして使えるワゴン、ってことらしいんです。
市販品では、こういう製品です。
ナチュラルな木製なのが、とってもすてきです。・・・続きを読む