「精神科医は今日もやりたい放題」感想

精神科は今日も、やりたい放題

精神科は今日も、やりたい放題


内科医による,精神科批判本.研究がらみで臨床心理学に触れることはあるものの,精神医学には疎いので,少し知識を仕入れたいという動機で読んでみる.
タイトルからもわかるように,学術的な本ではなく,ゴシップ的なのだが,著者は至って真面目に問題を訴えている.
主張を荒く言ってしまえば,「精神病なんていうものはない」「薬は使うな」というところか.
元々の自分の考えも似たところがあったせいか,論は頷けるものが多い.ただし,主張の根拠は明確ではない.各エピソードは,海外での新聞報道や,論文等がベースになっているのだけれども,引用もとが明示されているわけではないので,読者がたどることができない.末尾に【参考HP】というのが挙げられていて,ここをたどればいくつかのソースは分かるのだろうが.特に言及されていたのは:
光の旅人 - メンタルヘルスの真っ赤なウソ - 精神医療に殺されないために
で,かなり本格的に薬害にまつわるトピックを調べている模様.

最初に取り上げているのが,米精神医学会に対する米心理学会の批判で,DSM改訂に際して精神病の領域を広げるな,薬物は長期的には効果はないという主張.Psychology Today掲載のDMS-Vに対する批判は,以下のタグでまとめられている.
http://www.psychologytoday.com/blog/dsm5-in-distress

うつ病に対して薬を使う論拠となっているモノアミン仮説(セロトニンドーパミンが精神病に関係するのではないかという仮説)は,否定されているらしい.にもかかわらず,2010年時点でも多くの人がうつ病統合失調症セロトニンドーパミンの「化学的不均衡」が原因と考えているらしい.


では薬物を使わないアプローチの代表例である心理療法については,p.29-30で否定的に触れられていること,p.196で,カウンセリングで治されてしまうと,カウンセラーに頼る「カウンセリング中毒」になってしまう,という指摘程度で,この本では踏み込んで取り扱われることはない.

著者の提案する精神的問題への対処法は,薬は使う場合でも緊急避難的に使うだけにして,長期的に用いてはならない.精神的な問題を引き起こす社会的な状況を,本人の意思で解決することのみが,根本的な対策となる,といったあたりか.

特に問題視されているのが,幼児への精神治療薬の使用で,障害を生み出す危険があると.NIMHのページも,自殺リスクが2%から4%に増大するから気を付けて,というようなことが書かれているが,あくまでも薬を使うことが前提のよう.


精神薬の薬害問題については,「善意の陰謀」という言葉を生み出した,チャールズ・メダワーの本「暴走するクスリ?」を読めばよいようだ.イギリスの事例らしい.イギリスで精神医学の問題点が指摘されたことと,心理療法の精度への組み込みが進んだこととが,関連しているのだろうか.

暴走するクスリ?―抗うつ剤と善意の陰謀

暴走するクスリ?―抗うつ剤と善意の陰謀

この本の見立てで一番なるほどと思ったのが,親が子供を精神病院に連れて行くというメカニズム.「精神病と診断されるの物投薬されるのも本来は親であるべきはずなのに,...先に子どもを精神病に仕立て上げる」,親が子どもの「おかしさ」に耐えられず,自分がおかしいのではなく子どもがおかしい,という診断をもらおうとする可能性は,確かにありそうだ.

国内のエピソードで知らなかったことが,近頃公共施設等で見かける「お父さん,眠れてる?」という,うつ・自殺対策ポスターが,静岡県富士市で2006年から始まったキャンペーンに起源をもつということ.著者によれば,これは薬の投与を増やすことで自殺増加につながり,逆効果だったらしいが.別の理由で,あのポスターには疑問があったのだが.

不思議なのは,日本の抗不安薬売り上げがダントツ世界一位であること.アメリカのように,テレビCMで精神科にかかるように日々勧められているわけでもないのに,なぜなのか.精神医療の後進性が原因なのだろうか?

Akaike Guest House 長期滞在者のための情報

必要なことの大半はここに書いてあるが,今後滞在を予定している方の準備の参考になればと思い,補足的な情報をメモとして残しておく.

思いついたことがあれば随時更新予定.

食事

昼食は,

が徒歩圏にある.

夕食を外で食べたい場合,徒歩で行ける範囲では以下の二か所に限られる.

交通

ゲストハウスには共用のママチャリが一台あり,それを利用して駅前まで出れば食事等の選択肢は広がるが,他の滞在者がいる場合には,使いたいときには既に誰かに使われている可能性が高い.
自分用のものを用意している滞在者もいる模様.
申請すれば駐車場を利用することもできるが,ゲストハウスのすぐそばではない.
ゲストハウスの前の小道は舗装されていないため,キャスター付きのスーツケースなどを転がしていくことはできない.

ネットワーク

有線LANが利用可能.
WiMaxの電波は入ってこない(部屋によるかもしれない).

買い物

コンビニエンスストア

2ブロックほど先にセブンイレブンがある.
市役所内にポプラがある.

自販機

ゲストハウス内に飲料の自販機がある.

言語処理学会2011で注目したタイトル

参加すらしないのに,
http://d.hatena.ne.jp/nokuno/20110112/1294795980
をまねて作成.
やたら数が多いが,「もしかしたら興味あるかも」レベルまで含む.

今年の?流行と思われる,Webからの知識抽出,機械翻訳,日本語入力関連は,あまり興味なしです.


http://www.anlp.jp/nlp2011/program.html

B1-1 質問で不足している情報を回答で指摘されたユーザが再投稿した質問の調査
B1-2 ブログにおけるコメント先の解析
D1-2 WWWテキストのみを用いたオープンドメイン質問応答用音声認識言語モデル
D1-5 音声対話コーパスに基づくあいづち生成タイミングの検出とその評価
E1-2 『日本語アプレイザル評価表現辞書(態度表現編)』の構築 ?評価の多様性を捉えるための言語資源の開発?
E1-5 分野に依存しない単語極性を考慮した評判分析のための転移学習モデル
E1-6 Web上の誹謗中傷を表す文の自動検出
F1-3 様相・条件・否定表現の言語学的分析に基づく確実性判断のためのアノテーション済みコーパスの構築
F1-4 拡張モダリティタグ付与コーパスの設計と構築
F1-5 文法論によるモダリティの細分類を判断、態度をアノテーションする基準に用いる問題点
P1-17 検索要求顕在化のための「喩え」の利用
P1-18 QAサイトにおける専門用語を用いた最適な回答者提示
P1-23 修辞ユニット分析からみたQ&Aサイトの言語的特徴
P1-24 回答の根拠を提示する意思決定支援型の質問応答システム
P1-25 Q&Aサイトの回答から取り出した質問に書くべき情報の特殊さの推定
P2-1 共起要素のクラスタリングを用いた分布類似度計算
P2-6 「中古和文UniDic」における言語単位の設計
P2-17 『現代日本語書き言葉均衡コーパス』における形態論情報付きXMLフォーマット
P2-22 言語資源・ツールの研究利用状況に関する調査報告
P2-23 公的文書に対する「やさしい日本語」換言辞書作成のための調査
A2-4 微小時間における日本語の変化とその法則
A2-6 語を構成単位としない統語論に向けて: パターン束モデルを用いた文構造記述の理論と応用
B2-2 マイクロブログの分析に基づくユーザの嗜好とタイミングを考慮した情報推薦手法の提案
C2-8 ラベル伝播による他言語資源の利用と転移学習を用いた重要文抽出システム
P3-11 『日本語話し言葉コーパス』における話題導入表現の形態統語論的特徴と談話構造の分析
P3-23 日本語における「タ」形表現の多様性とその変動
P3-24 大規模均衡コーパスを利用した語彙・文法情報の評価とその応用
P3-27 テキストの多様性をとらえる分類指標の体系化の試み
P3-29 筆跡とパーソナリティの多面的対比
P3-31 議論熟練者による話し合いの評価に影響を与える言語行動の分析
A3-6 日本語言語資源の統合的相互運用
B3-2 発表スライドの構造的・言語的解釈に基づく発話生成
B3-5 Web上の定義文からの言い換え知識獲得
C3-8 L1正則化特徴選択に基づく大規模データ・特徴集合に適した半教師あり学習
E3-3 「不自然言語処理コンテスト」第1回開催報告
E3-6 感情推定における若者言葉の影響
E3-8 定型から逸脱した言語表現の分析
F3-1 スニペットとウェブカウントを用いたウェブ検索クエリの分
F3-2 インタラクティブな言語横断検索における画像手がかりの有効性
B4-1 POMDPを用いた聞き役対話システムの対話制御
B4-3 共通状態と連結学習を用いたHMMによるコールセンタ対話の要約
B4-4 コールメモを利用したコールセンタ向け音声対話要約方式の提案
B4-6 視線情報を利用した協調作業対話における参照解析
F4-2 日本語終助詞の範疇文法による分析
F4-4 比喩表現に属性が明示された場合の比喩性に与える影響とコンピュータモデルの検討
F4-7 fMRIデータによる文理解反応時間予測モデル
B5-2 条件付確率場とベイズ階層言語モデルの統合による半教師あり形態素解析
D5-2 RIBES: 順位相関に基づく翻訳の自動評価法
D5-3 統計的後編集手法を適用したルールベース翻訳と文レベルの自動品質評価との融合
D5-4 英日機械翻訳における語順評価の有効性
D5-5 日英機械翻訳における自動評価の問題点
E5-3 評判情報の検索における隠語の生成と順位付け
E5-4 Twitterへの絵文字自動挿入システム

地方大学での研究今昔 【「神の手」実は劣等生】の感想

日経新聞夕刊の連載「人間発見」に,理化学研究所チームリーダー若山照彦さんが登場.クローン技術で有名で,世界で初めてマウスのクローンを作成したのだとか.

記事の内容は,英語ができなくて苦労しているが,熟練の手技でやっていってます,という話.
これに関するブログポストが一件だけ見つかった.


英語の話やら手先の技だけで生きていく話やらも面白いのだが,一番印象に残ったのは,第二回の学生時代の以下のようなエピソード.

入試に英語が無いことから茨城大学農学部に進学した.専門課程に進んでみると,最先端の研究をする環境にはほど遠かった.
専門課程に進むとき,農水省系の研究所からバリバリの研究者が来たという話を聞き,その人のいる研究室を志望しました.ところが現実は期待とは大違い.設備が貧弱で研究に取り組む環境にはありませんでした.「周りの研究者とおれは違う」と意気込んではみたものの,研究費は少なく,実験に使うマウスの餌代にも事欠きました.

その結果

与えられたテーマは・・・,科学的には意味のない実験でした.大学院に進むと,指導教官と大げんかし,研究室にいられない雰囲気になってしまいました.

となる.

振り返ると,茨城大でやった受精卵の移植も実験技術を身につける点でよい経験になっています.

という一文で少し救いがあるのだが,基本的に悪い環境(=地方大学)でどんなに頑張っても意味が無いよ,という現実を正直に表明してらっしゃるなぁと思った.
研究に対して意欲的な学生に対しては「ここで頑張れ」というより,「良い環境を探せ」というのが誠実というものだ.

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  • 「英SF作家のジェイムズ・P・ホーガン氏死去」 bit.ly/demUJU 昨年からのSF読みスタートの第一弾が「星を継ぐもの」だったのだが,つくづくよい選択だったと思う.
    アイルランドに住んでたとは知らなかった. #
  • 図書館に行くとわくわくする.小さいなりにも手を伸ばしたくなる本は多くて.しかし今必要な本は取り寄せないといけないという結末.オンラインで他キャンパスから取り寄せ依頼ができる機能を初めて使った.モダンなサービスになれてしまったせいで,正直使い勝手が悪いと感じる. #
  • MSの検索エンジン「Bing」、日本でも正式サービス開始 -INTERNET Watch internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100713_380233.html
    「検索結果ページの最適化」 #
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  • 世界的な物理学者「だという」RT @asahi: 初代学長にスタンフォード大教授 沖縄科学技術大学院大 www.asahi.com/national/update/0708/TKY201007080488.html #oist #
  • 情報系の予測は立てられないから電気電子的な話に行ってしまう悲しさ. RT @i2k: 「■情報通信技術=20年に情報通信機器の消費電力を10分の1以下に」って、これは情報通信技術の範疇なのだろうか…。 / 科学技術会議:重点8分野を選定 htn.to/tE3xVW #
  • 今日は生協の夏祭りだったらしいが,あいにくの大雨.というか新幹線も止まっているとか.明日の朝は動いていますように. #
  • こんなのがあったって初めて聞いたんだけれど,学生はそもそもこれの存在を知っているのか?「山大が東京設置の就職支援室、利用者数伸び悩み」 ow.ly/29b99 「「人気企業訪問報告書」にサポートルームの案内を載せ、知名度アップに努めている。」これも初耳. #
  • こんなのがあったって初めて聞いたんだけれど,学生はそもそもこれの存在を知っているのか?「山大が東京設置の就職支援室、利用者数伸び悩み」 ow.ly/29bcK 「「人気企業訪問報告書」にサポートルームの案内を載せ、知名度アップに努めている。」これも初耳. #
  • 日本人慣れしてくれる前に,「日本人の英語ってこんなんだ」→「じゃあ日本人の話は聞かなくていいや」となったら最悪. RT @rkmt: 日本人英語でガンガン公開の場でしゃべる→日本人の英語ってこんなんだという理解が生まれる→日本人英語が通じやすくなる、って甘いかな。 #
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