やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

KDPで意外と儲かっています

自分と同じくKDP(Kindleダイレクトパブリッシング)をやっていらっしゃる方、始めようと思っておられる方には有益な情報かもしれないと思い、おそらくKDPの世界では常識なのでしょうが、一応書いてみます。
今年の8月末に長編ミステリー小説『がらくた少女と人喰い煙突』を出版社を通さずに(通せずに)Kindleストアで個人出版してから、4か月が経とうとしています。
自分は人気作家ではありませんし、特に小説の分野では一冊しか本を出したことのない、プロと名乗って良いのか迷うような身分ですから、この出版が《お金儲けになる》とは思っていませんでした。ですから出版の動機は、「せっかく書き上げたのに二年間もパソコンの中で塩漬けになっていた原稿を、とにかく誰にでもいいから読んで欲しい。できれば多くの人に読んで欲しい。だってこのままじゃ寂しすぎるから」というものです。

或る集落の●

或る集落の●

先日出版した『或る集落の●』についても、まったく同じ動機です。こちらは価格を200円に下げていて35%の印税率しか選べないので、儲けは本当に少ないです。それでも無料にしなかったのは、無料だと興味のない人がダウンロードしてそのまま読まれないことが多い、とKDPのベテランの方の本で読んだからです(発売時の告知ブログでは「少しでもお金が欲しいのです」などと書きましたが、もちろん冗談ですよ。冗談に決まっているじゃないですか)
それで結局、儲けるつもりじゃなく出版した『がらくた少女と人喰い煙突』ですが、売れているかと言えば、現在はあまり売れていません。しかし、儲かってはいます。
実は『がらくた少女と人喰い煙突』はKDPセレクトに登録しており、それによって売れた冊数に対してのロイヤリティ以外に、オーナーライブラリー(Amazonプライムの会員でKindle端末を持っている人が月1冊好きな本を無料で読めるサービス)で読まれたページ数に対するロイヤリティが発生するのです。
『がらくた少女と人喰い煙突』は、特徴として、非常にページ数が多いです。Amazonの商品ページでは「紙の本の長さ:248ページ(推定)」とされています。
そして、これは自分が努力した点でもあるのですが、「かなり長い作品だから途中で読むのをやめられないように、先が気になって仕方ない感じのストーリー展開にしよう」と心がけて書きました。そのおかげか、《既読KENP》という読まれたページ数に対してのロイヤリティが毎月結構な額になっており、どれくらい儲かっているかというと、5人家族の我が家の一か月の食費をまかなえるほどの金額になっています。
なので、「他の電子書籍ストアで販売できない」などの条件はありますが、可能な方はKDPセレクトに登録した方が儲かる仕組みになっているのではないでしょうか。
ただし、自分がそのように《儲かっている》のは、きちんと一定数、お金を出してダウンロードしてくださっている読者の方がいて、『がらくた少女と人喰い煙突』がミステリーのランキングである程度の順位をキープできているからだと思います。
売れ数としては多くても一日に3冊、少なければゼロという状況ですが、こうして買ってくださる方のおかげで、『がらくた少女と人喰い煙突』はKindle本のミステリーのジャンルでは50位前後(調子が良い時は20位前後)をウロウロしております。ランキングの下位の方まで落ちてしまえば、Amazonプライム会員の方々の目に留まることもなく、オーナーライブラリーで読まれることもなくなるでしょう。
なので今のまま、少しずつでも売れ続けてくれることを祈りつつ、うざいかもしれませんが時々こんな【戦況報告】のブログを更新したりして、宣伝を続けていこうと思います。『がらくた少女と人喰い煙突』はミステリー(特に新本格のジャンル)がお好きな方にはきっと楽しんで頂ける、孤島を舞台に首なし死体や広義の密室、頭のおかしな探偵が登場する物語です。主人公の《がらくた少女》も、少し頭はおかしいですが可愛いですよ。
このページ数と内容の濃さで300円は絶対にお買い得ですので、未読の方はぜひ読んでみていただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。