2012-01-25 硫化アリルなどの化学物質とその効用
■硫化アリルなどの化学物質とその効用

生活上、案外バカにできない民間薬があります。その一つの例としてとりあげられたブログの引用から始めます。
この「うどん屋の風邪薬」はその名の通り、うどん屋で売られた風邪薬で関西地区でよく見られた。同じ発売元の会社は関東でもこの薬を売り出したが、関東では「そば屋の風邪薬」という名でこちらもその名の通りそば屋でこの薬を売り出したという。生薬を配合したこの風邪薬は、温かいうどんと一緒に食べてすぐ床に就く事で風邪を治すのだが、実はもう1つ「うどん屋の風邪薬」と呼ばれるものがある。
これはうどんの薬味である刻みネギであるが、そもそも「薬味」という言葉自体が「薬」と「味」を合成した言葉であり、食べ物の中に薬としての成分が含まれる、いわゆる「医食同源」につながるものである。ネギは薬効成分を豊富に含み、ツンとする刺激臭は硫化アリルと呼ばれる揮発性の成分によるものであるが、この硫化アリルはビタミンB1の吸収を高めて新陳代謝を盛んにする事で発汗や保温、体力強化、さらに疲労回復などに役立つという。
漢方ではネギの新鮮な白根を「葱白」と呼んで生薬として用いるが、ここをみじん切りにしてショウガおろしと合わせて熱い湯を注いで作るネギ湯や味噌と合わせて熱い湯を注ぐネギ味噌湯を飲んで風邪を退散させるやり方は民間療法ではよく知られている。食によって奪われた水分やミネラルを補給するにはネギやショウガ、味噌が1番良いという事を昔の人はよく知っていた。
当馬敏人・超論暴論+(プラス) 2011.02.08 より
http://ameblo.jp/toumatoshihito/entry-10794040810.html
独特の匂いを持つ植物は、S(硫黄)分を持つものが多いです。ユリ科(ニラ、ネギ、ニンニク)アブラナ科(辛味大根、ワサビ、クレソン)、ノウゼンハレン科(ナスタチウム)など。ナスタチウムは和名・金蓮花、ワサビに似た風味があります。これはパラグアイないしペルー原産だと言われています。また、通常ワサビとして出まわっているのは、ヨーロッパ原産の「ホースラディッシュ=レホール=西洋ワサビ」です。ワサビと同じアブラナ科ですが、成長が早いので、ワサビの代用品にされます。
これらの植物を利用してきた先人の知恵には敬服します。(↑これは、私が当馬さんの該当ブログに私が書いたコメントです。)
(硫化アリル)
ナスタチウムについては過去ログ :http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051215
以前、優れた化学者がいました。元阪大教授の槌田龍太郎さん。彼はもうすでにこの世の人ではありませんが、生前の原稿を2人の息子・・・槌田敦さんと槌田劭(たかし)さんが一冊の本にまとめ上げ、「化学者槌田龍太郎の意見」(化学同人)として発行しました。示唆に満ちた本で、万人必読の書かと思いますが、現在は絶版状態ですけど。
中でも「硫安亡国論」が印象的です。硫安=硫酸アンモニウムという肥料の場合、アンモニアは有効な肥料になるけれども、同時に施される硫酸が植物に毒なのですね。それを中和するために石灰をたくさん投入すると、硫酸カルシウムが出来てしまい、すなわち「石膏:せっこう」であり、固まって土を痛めつけるというのです。確かに、中・高生がやる美術の時間に、石膏いじりがありましたね。
このとき、ネギとかタマネギなど、硫化アリルを含み、生育の必須元素としてS(硫黄)を求める作物を植えれば、収穫とSの除去を同時にかなえられるという論を立て、各地の農家に説いてまわったところ、大変に効果があったそうです。
また、同じくSを含むアブラナ科の植物にも同様な効果があるとしています。この場合、硫化アリルに当たるのは「イソチオシアン酸アリル:アリルイソチオシアネート」というのだそうです。案外、素朴だけれども正確な分析を槌田さんはしていたな、と思います。
↑(アリルイソチオシアネート)
なお、意外な農法についての記述もあります。
Mさんは、カラシナとエンドウとを一本ずつかわりがわりに作ると、どちらも収量が上がることを見付けた。私のこれに対する説明はこうである。カラシナが硫酸毒を除くから根粒菌が繁殖してエンドウは栄え、根粒菌の活動は土の中の酸素の分圧を高めるからカラシナの根の発育をうながす。この相互作用が双方の収穫を増すのである。この種の巧妙な混作は耕地面積の少ない日本の将来の農法を暗示しているのではなかろうか。
(前掲書 P111) 槌田龍太郎さんは農学者ではありませんでした。ただ化学を突き詰めた彼は、他分野でも立派で的確な発言と行動をしているのですね。この本は1975年に上梓されたものですが、今の日本の農業に対する強烈なカウンター・パンチとなっています。(なお、この本は、農業のみならず、教育問題そのほかにも言及される多面的な書籍です。)
今日のひと言:ユリ科、アブラナ科については含S化合物がいろいろ役に立っていることは調べがつきましたが、ノウゼンハレン科のナスタチウムについてははっきりしたことは解りませんでした。どなたか、お解りになる人は教えてください。ブログによっては、「カラシ配糖体」を含み・・・という記述もありますが。以下のように。
http://www.jalan.net/yad302058/blog/entry0001268100.html
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注:このブログを公開後、ナスタチウム(別名:インディアン・クレス)に関する知見を寄せてくれる人がいて、ナスタチウムの辛味成分は、分解されると生成する「ベンジルイソチオシアネート」であることが解りました。ベンゼン環をもつ含硫黄の化合物であり、強精作用で知られる「マカ」(アブラナ科)にも含まれています。
http://www.toyobo.co.jp/seihin/fcd/products/list.htm
(2012.02.06)
















ネギはシラネグサとも言いますね。^±^
これはたらちねという落語でも出て来ます。^±^ノ
また、ネギを首に巻くと風邪が治るとも聞きます。
おばあちゃんの知恵袋で・・・。
シラネグサ・・・白い根の草、関東地方などの呼び名ですね。それで落語のネタ、身近な「薬」だったのですね。関西では緑の部分を使いますから、ちょっと呼び名はかわるでしょうけど。
「ネギを首に巻くと風邪が治る」というのは、現在の「ヴィックス ヴェポラップ」みたいですね。
硫黄は単体の形かどうか分かりませんが、聖書に出て来る15箇所は全て神の刑罰と関わっていますし、化合物としては硫化水素とか二酸化硫黄とか、悪いイメージのものが多いですから。
それで改めて『元素111の新知識』を見ますと、硫化アリルの他、二硫化アリル(にんにく)、イソチオン酸アリル(わさび、大根)がちゃんと乗っていました。ありがとうございました。
今回のブログは、「うどん屋の風邪薬」を書いた当馬さんと、有益な論説を残した槌田龍太郎さんの業績の賜物です。
硫黄という元素は酸素と同族ですが、色々な酸化数を取り、結果人類に対し、マイナスの働きかけ(二酸化硫黄、硫化水素など)をするのと同時に、プラスの働きかけ(硫化アリルなど)をするのでしょうね。
人類にとって重要な物質なので、聖書にも頻出するのだと思います。
最近は健康の為に根菜を多く摂取してます。^±^
また、運動もしていますよ。
その割に体重が減らないんですよね。x±x
メタボなのに。^±^;
気が合いますね。我が家ではグルメのイヌの餌に肉・魚を与えていまして、その分人間は野菜をたくさん摂っていますが、弟は知らず、私はメタボです。
美味しいぼです。その通りです。記事の題名を「もてなしの心」としておりました。投稿直前に、「おもてなしの心」と、変えました。まさか、気付かれる方が居られるとは、第17話です。本村さんですね(笑)よくご存知ですね、確かにご指摘通りです。しかし私はあの回で、人をもてなすとは、と、言う事を少し学んだような、気がしました。いや、ビックリしました。ありがとうございました。
私は、貴兄が「美味しんぼ」を下敷きにしておられるとは思いませんでしたよ。ただ題名が似ているので連想したということです。
このお話、木村さんの「こころ」を読むべきものであって、「米を一粒一粒より分ける」という行為についてはやりすぎだと思ったのです。
「美味しんぼ」は私にとっても、「食」に関する情報の宝庫です。たまにはボケをかましますが。
以上のやり取りは拙ブログの過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20060114 誤ったもてなし
を元にしたものです。
あとは、ネギ風呂とかあんま聞いたことありませんが、薬効成分がありそうな気がします。その前に体中がネギ臭くなりそうな気がしますが(苦笑)
あと柚子湯は本当に身体がぽかぽかして、リフレッシュできていいなあと思います。冬至だけじゃなくて、冬の間は毎日、柚子湯でもいいぐらい。庭があったら柚子の木を植えたいなあ。
ネギには民間薬としてバカにできぬ力があると思います。最近は、蒜(ひる)の仲間のネギ、ニラ、ニンニク、ノビルなどを薬味に使うことが多いです。ネギの、あのツンとした刺激臭がいいのです。
言われてみればネギ風呂とかはないですね。普通食べずに捨てちゃうネギの青い葉を湯船につけても乙かも知れません。(これは関東地方のようにネギの白い部分を使う地域の話ですが)
5月の菖蒲湯、冬のユズ湯は風情があっていいですね。私も東京にいるころ、よく菖蒲湯、柚子湯に通いました。