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市川準監督のこと

2009-08-29

ijoffice2009-08-29

[] 03:07





今夜は、市川監督の奥さまからご自宅に保管されている大量のVHSをお借りして ひたすら観賞。観賞作品は『市川準東京日常劇場』です。市川監督がCMを手掛けていた「DODA」。その広告主である学生援護会が提供をしていたテレ朝の深夜帯番組。10分程の作品が全64話もあるのですが、見始めると、たまらなく面白くてどこまでも観続けてしまいます。スタジオに組まれたセットを舞台にワンシチュエーションで描かれる日常。大きなことなんて起こらない、ほんとに日常の話。これ、なんとか再放送できないものなのか、DVDに出来ないものかしらと、考えてしまいます。

そこで、市川準監督の作品を永年に渡り研究し、陰ながら市川監督の活動を見守り支え続けてこられた有志 "市川準研究会" の皆さんが、製作・発行された研究誌、その名も「市川準研究」より、作品解説を転載させていただく形で『市川準東京日常劇場』をご紹介します。現状、映像でご紹介する術が無く(一部動画サイトにアップされていたりもしますが)、情報も少ないだけに、この市川準研究会(角掛修さん)による全解題はとても貴重な資料です。64話あるので、まずは -その1- として1話〜4話まで。


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市川準東京日常劇場』全解題  筆者:角掛修

市川準東京日常劇場』は、1990年4月〜91年6月までの64週にわたって、テレビ朝日の深夜枠にて1日5分で月曜日〜木曜日まで(CMを除いて)正味10分で1話完結という異例の編成で放映された。番組の終わりには、市川監督本人のナレーションによる「この番組は学生援護会の提供でお送りしました」というオマケまで付いていた。

バブル崩壊へ向いつつあった当時の日本のテレビ界は深夜番組にも勢いがあった。それでも帯番組というのは、この『市川準東京日常劇場』が最初で最後であったようである。旧来の市川ファン、映画ファンはもとより、俳優個人からの市川準への反響も大きかったと聞いている。

放映が終了してからすでに5年(*研究誌発行当時で5年)が経過しているが、出演した俳優の錚々たる顔ぶれは、今では実現不可能であろうと言わざるをえない。こうした貴重な作品群でありながら、関東地区のみの放映であったことから、劇場映画ほどには多くの人の目に触れられていないという無念さがある。再編集された2巻のビデオ(『市川準東京日常劇場・哀愁篇』『同・憂愁篇』)は出ているものの、その全体像を掴むにはあまりに分量が少ない。そこで私は、リアルタイムでその放送に接した印象を再現し、現時点でできる限りの作品解説を試みることによって、市川準のもうひとつの足跡を広く市川ファンに知らしめる一助となればと願っていいる。


第1話「お隣さん夫婦」

<登場人物・演者>招かれた夫婦・イッセー尾形、伊沢磨紀  招いた夫婦・桃井かおり、菅原大吉

<設定>マンションの一室。ホットカーペット、丸テーブル、座椅子。

2組の夫婦が飲み会をしている。もう食べ物も飲み物も尽きかけたころ、男(イッセー尾形)が仮眠から目を覚ますところから物語は始まる。日常の会話をしているうちにトモコ(桃井かおり)の夫シュン君(菅原大吉。年下らしい)もソファーで寝てしまう。男の妻マキ(伊沢磨紀)も眠ってしまう。いつの間にか男とトモコが互いの距離を狭めていく。男がトモコの肩に手を回そうとしたところで・・・シュン君が目を覚ましてしまう。そこでそそくさと帰り支度を始めるイッセー尾形夫婦。何かが起こりそうで何もおこらなかった。


第2話「釣り堀」

<登場人物・演者>父・奥村公延 娘・原田貴和子 釣り堀の客・峯のぼる

<設定>スタジオにしつらえた釣り堀

☆市川作品は小津安二郎作品と対比して語られることが多い。映画『東京兄妹』では控えめに慎ましやかに、小津へのオマージュが捧げられているが、本作ではストレートに“小津世界”が描かれている。

『晩春』を連想させる、父と、結婚を控えた娘との淡々とした会話が、釣り堀を背景にして行われる。娘(原田貴和子)の白いブラウスの眩しさは、まさに小津映画のヒロイン原節子に通じるものがある。

娘「お父さん、ミツルとふたりでさみしくない?」

父「バカ、何を言ってるんだ」

娘「長い間お世話になりました」

父「バカ・・・本当にいい天気だなぁ今日は・・・」


第3話「コージーコーナー

<登場人物・演者>天ぷら屋配膳係・天衣織女 吉祥寺の靴屋の店員・戸川京子

<設定>東京の喫茶店にて

久しぶりに再会した高校演劇部の先輩(天衣織女)と後輩(戸川京子)。昔話に花が咲き、かつての男子部員の話で盛上がる。先輩がコンビを組んだロミオ役のツキノキ君に会ってみれば、と、けしかける後輩。まんざらでもなさそうな表情の先輩。そこにいきなり「“結婚を前提に付き合わないか?”って言われた人がいるの」と告白する後輩。それにムッとする先輩。戸川京子のアップが多用されている。


第4話「マネージャー」*ビデオ化哀愁篇収録作品

<登場人物・演者>マネージャー・沢田研二 新人アイドル(サカモトナツミ16歳)・田中律子

<設定>テレビ局のロビー

必死にアイドルの売り込みをはかる沢田マネージャー。空き時間を利用して携帯電話で事務所に連絡を入れるが、オーディションは軒並み落選・・・。そこに沢田の息子から「仕事を辞めて家にいる」と携帯に電話が入る。説教をはじめる沢田だが・・・テレビ局のプロデューサーが現れたとたん、電話を切りペコペコ頭を下げはじめる・・・。人の悲哀を感じさせる沢田研二が素晴らしい。