戦後昭和の芸能界を撮り続けた男

長友健二という名前を知らなくとも、30代以上の日本人なら、彼が撮った写真を日常的に目にしていたと思います。
60年代の日活の映画スター時代から80年代のアイドル時代まで、雑誌の表紙やグラビア、レコードジャケット、広告、ポスター等を撮り続けて来たカメラマンです。その中には日活ロマンポルノのポスターも含まれていました。
それらの写真と共に当時の思い出を振り返る「アグネス・ラムのいた時代」という新書が出ています。
写真集的な物を期待して買うと、ガッカリするかと思います。
確かに当時の写真がカラーで掲載されていますが、それ程の数は載っていません。
でもその分、当時の懐かしい思い出や裏話が文章として載っています。
また、長友健二は渡辺プロダクションの専属カメラマンでもあったので、ドリフターズとよく共演したキャンディーズについてもページを割いて記述しています。
元祖バラドル(バラエティーアイドル)と表現されていますが、80年代に持て囃された「バラドル」は「バラエティー」の部分が強調されて、「アイドル」の部分を捨ててしまっていましたが、キャンディーズはバラエティでコメディアンヌを演じながらも、しっかりアイドルとしても地位も両立していました。
何故トップアイドルのキャンディーズにコントをやらせたのか?
当時の楽曲プロデューサーの話によると、「いつか3人がバラバラになっても、やっていけるように」という配慮だったそうです。
現実に、芸能界を完全に引退したミキ以外は、女優として現在も活躍しています。
残念ながら長友健二は去年の7月に他界されました。

アグネス・ラムのいた時代 (中公新書ラクレ)

アグネス・ラムのいた時代 (中公新書ラクレ)