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私の時代は終わった。 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2014-02-25

露出狂にあった話をします



ここ最近、言いたいことといえば、「露出狂にあった」ってことかな。


傘はとうに吹き飛んでいて、ここ東京で遭難するような雪の日に、
逃げ込んだ新宿ルミネストの地下へと続く階段の踊り場で、露出狂にあった。

命からがら氷ついた髪の毛が少しづつとけて、ただもう家に帰りたいと無心に階段を下りていると、後ろから丸ビル勤務かなってくらい上等なコートを着こなしたレオンのようなサラリーマンに声をかけられた。


「ティッシュ持っていませんか?」


ティッシュとな。
このナイアガラの滝のように鼻をたらしてる女に、よくも聞いたねと、振りむけば丸ビル

断じて不所持のチッスを、探してるふりの様式美。あれー?あれれー?つって。
エアギターもここまでってくらいカバンをガサゴソしながら、
チラチラと赤らめた顔でリーマンを盗み見ると、

リーマンのコートの第6ボタンくらいのとこから、リーマンのリーマン部分がサラッと出てた。
これがサラリーマンか!


もう顔をね、鬼のように顰めたかった。
ゴミの出し方について物申すベテラン奥様のように。

ところがですよ。リーマンが想像のハードルを、ふわりと越えてきたわけですよ。
観てください奥さん、この色!艶!ハリ!

ミケランジェロが作ったんじゃない?ってくらい美しい露出狂の露出棒。
北斗神拳くらったくらいの衝撃で「だ び で っ!!!」っつって、私はもう死んでいる!

あのマー君すら虜にした ももクロ ってこのこと?
この吹雪の東京で、一筋の輝き。
私がマッチ売りの少女なら、思わず手をかざしてたかもしれない。


露出は犯罪です。
露出は犯罪です。


でも10年ぶりくらいに会った露出狂。
33年、鳴かず飛ばずの私にとって、溢れる一杯のかけそば感。
別に見たかったなんてことは断じてないけど、
ちょっとしたこぼれ球ひろったみたいなこの感じ。

このこぼれ球、私だって決めたい!
キャーとか言って、驚いて逃げるとこまで、やりきりたい!

なのに、33歳ともなると、喉にタンがからんで「キャー」とか高い声、そう簡単には出てこないわけです。箪笥の奥の方に圧縮して仕舞ってある。
かわりに、このオトメの一大事に「なるほどー」とかすぐ出そう。愛川鉄也ごと出そう。
しまえ、しまえ。

すると、むこうもむこうで、なんだか描いてたものと違ってたんでしょうね。
私がずぶ濡れのまま、羅生門の老婆かってくらいオドロオドロシイ姿で振り返ったので(しかも無言)、
一瞬ギョっとしたのち、「またつまらぬものを斬ってしまった」みたいな残念顔で、
斬鉄剣をそそくさと仕舞って、私を置いて帰っていったわけです。

私も私で「森へお帰り」って感じで見送ったんだけど、…なんだろう、この気持ち。
これが、あの芥川龍之介が描きたかった老婆の…気持ち…?


羅って生がない門っ!
45年ぶりの大雪だ門っ!
そりゃ唇だって紫になるし、鼻水だってちょっとしたサーバーかなってくらい出てる。
この顔の露出だって、相当きわどいライン攻めてた。
でも、そうは言ってもあっちは本場でしょ?
そこは、ぐっと踊り場で堪えて欲しかった。
私はうめくような声を立てながら駅の階段を覗き込んだ。
外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。
露出狂の行方は誰も知らない。



だ・け・ど
捨てる神あれば、拾う神ありっていうかな。
昨日、職場の飲み会で、どういう流れか「痴漢にあった話」で盛り上がり始めた時、満を持して、この話ですよ。

仕事では息をひそめてる私が、飲み会の話題を、一気に独り占めする大チャンスですよ。
なんせホットな話題ですから。つい先々週くらいの話ですから。

結婚の話題にも、夫の不満にも、子育ての大変さにも乗れなかった私に、
千載一遇のビックウェーブです。
私は風に向かい拳をつきあげるチャゲ、そして飛鳥のように、言ってやりましたよ。
「こないだ10年ぶりに露出狂にあったんですけど!」って。


勢いがね、焦りがね、出たね。
「これが私のソチ!」くらいの気持ちで行ったのがいけなかったのかな。

完全に「10年ぶりに露出狂にあった」ってのを「露出狂になった」つってたらしいのね。あとから後輩に聞いた話によると。露出狂、なっちゃってた。

でもソチですからね、もう舞い上がっちゃって、なんなら舞い降りちゃって、全然気が付かなかったんですね。

多少ね、自分の思ったリアクションと違うっていうか、みんなが思いのほか引いてる感じはあった。
でもこれがオリンピックなんだ、っていう羽生イズムで話し続けたわけで。

したら、師長がね、
まあ、職場の飲み会っていうか病棟のちょうど歓送迎会だったんで、師長もいてね。
その師長が恐る恐る聞いてくるわけです。
なんか「どんな感じで?」みたいなことを。

師長を虜にするほどの話題。
そこはもう、身振り手振りを加えてね、じっくり説明するわけです。

「なんかこう…キレイメのコートを着てね、こう、股間のところだけ開けて…」つって。

もう引き潮がすっごい。
厳島神社の鳥居が丸見えになっちゃうくらい。
そんくらい引いてた。

おかしいな。トリプルアクセル決めたはずなのに、構成点ぜんぜん伸びない。
お話のステップシークエンスに入っても、歓声が上がらない。

「大丈夫だったの…?叫ばれなかったの…?」
先輩に聞かれたとき、一瞬「露出狂って自分から叫ぶっけ?」って思ったけど、
むしろ食いついてきてくれたことが嬉しくて、

「大丈夫です。なんかむこうもビビってる感じだったんで、思いっきり「露出狂だー!」って叫んでやったら、逃げていきましたよ」


職場ドン引き。
みんなには見えたのかな。10年ぶりに、私がキレイめのコートを着て、股間だけ開けて、「露出狂だー!」って叫ぶ姿が。

なんかもう、誰も質問してくれないし、なんなら目も、ちょっと合わない。
そんな感じで、力出し切れず、私のフリーの4分間が終わりました。



次の日、休みで家で漫画読んでると、真面目な後輩から「今、休憩中に聞いたんですけど、露出は犯罪ですよ!」ってメールがきて、初めて事態に気が付いた。

慌てて「私が露出したんじゃなくて、されたんだよ!」って訂正して、真面目な後輩も「わかりました、みんなにも伝えときます。」つってくれて、
「心強いわー」つって
「任せてください」つって。


その後輩が、「加藤さんが露出されたんです」「加藤さんが露出されたんです」ってね、
大いに広めてくれたわけですが。

何だろう、最初のインパクトが強すぎたのかな。
「された」ってのが、ただの尊敬語になっちゃってんだよねー。ダメ押し。

ほんと、休み明けに仕事行ったら、誤解は全然解けてないし、後輩はただの露出を崇める人みたいになってるし、先日のが危うく私の歓送迎会になるとこだったわー。

あと、後輩の頑張りが裏目に出たのか、誤解が解けたはずの今でも、職場で露出教の教祖って言われてます。
違う意味で宙に浮くわー。
そんな近況です。