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私の時代は終わった。 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-05-26

お母さん大好き、でも、たまに、しまっちゃいたい。

一週間ぶりに実家に帰ったら、お母さんがサトラレになってたよー。


いよいよ本格的に老眼の世界に足を踏み入れたようで、
携帯のボタンの位置関係が「非常に夜霧」つってた。

んで、電話かかってきたときに、「通話」の隣のへんにある「スピーカー」っぽいボタンを高確率で押してしまうようでね。

電話の内容がね、周囲に筒抜けなんです。


ほんとね、駅でね、突如、母に電話がかかってきて、
なんか緊急の電話だったみたいで、

母は必死に周囲に気を使いながら、口元に手を当てて、
ちっちゃい声で話してたんですけど、

完全にスピーカーホンですの。


で。

お父さんが、下痢で、仕事を早退してきたので、チョコとか甘いモン
買ってきて、
みたいな我が家の内部情報がね、
駅構内にだだ漏れでした。

途中、父の力作「チョコをちょこっと」みたいな、
ほんとね、世間にけっして晒してはならないモンがね、
駅で披露されてました。

ほんとね、空前の大舞台。


私もさすがに、なんとかしなきゃ!と思って、
何度か母の手を揺さぶり、「ちょっと!ちょっと!」つって
合図したのですが、
母は口に手を立てて「シー」って言われました。

シー・・じゃねぇ!

隙あらば、「ちょっと今、外にいて、聞こえなかったから、もう一回」
みたいなアンコールもありまして、

「チョコをちょこっと」が奇跡の再演を果たしてました。

ほんとね、聞こえてる。
全然聞こえてっから。

お母さんの耳に当ててる部分の、ちょうど反対側から、
世界に向けて発信されっから。変なのが。

2009-04-01

分け入っても分け入っても母

お母さんとサーカスを見に行ったんですけど、
途中くらいから、サーカスを見てるのかお母さんを見てるのか、
わからなくなったので報告します。


うちの家族は割合みなビクビクとしながら暮らしてる小心者一家なのですが、
なぜか、お母さんだけが、割と伸び伸びと暮らしています。

お風呂からは、まず全裸で出てきます。

うちのお風呂は冷蔵庫すぐ10センチ横にあるという、
割と大胆な設計をされてまして、
少し遅めのディナーには、もれなく母のヌードが伴います。

1人でラーメンを食べてると、
ザバーンつって裸で上がってきた湯上りの母に
「あれ、あんたいつ帰って来たの?」
って聞かれるか、
「じゃあ、母さん今から風呂入るか」
という尻を見送るか、二つに一つです。

あと、うちのトイレはドアの立付けが悪いという
トイレのドアとしては死活問題じゃないの?っつー設計で、
ドアが閉まりません。

閉まらないどころか、自然と開いてしまうというオープンマインド。

で、まぁうちでは音姫が欠かせなく、
音姫によって周囲2〜3メートルの他者の侵入を防いでるわけですが、

お母さんだけは、いつも果敢に飛び込んできちゃいます。

しかも

「ちょっと、あんた今、何してんの?!」って言われて

「は?何言ってんの?トイレしてんだよ」って言って

「違う違う、どっちしてんの?」って聞かれて

「は?何、どっちって?」つって

「だーかーら、うんこ?おしっこ?」って言われて

「え・・うんこ・・だけど」つったら

「ちょちょちょ!じゃあ、変わって!
 母さん、おしっこだから!」って

トイレの最中にチェンジを求められたりする。

いやいやいや、と。
その選手交代はない、と。

確かにね、私がしてるのはうんこで間違いないですけど、
前半、後半にわけて、うんこしたくない、と。
しかも、そのハーフタイムにお母さんのオシッコを入れたくない、と。

断ったんだけど、ダメだったぁー。
すげぇ見てくんだもん。
そんな見られてたら、実力の半分も出せない。


で、まぁ、そこからの流れでサーカスの話なんですけど。

行ったんです、サーカスに。

サーカスっていうのは、まぁ、見るものですよね。
視聴するものです。
間違っても参加することに意義があるみたいなものじゃないんです。

私はね、サーカスの世界に引き込まれたかったの。
でもねー、完全にお母さんの世界に巻き込まれつつあったなー。


まず、最初、舞台が始まる前に、ショーの出演者たちが、
お客の近くの通路を通りながら、
客にアクションしたり、握手したり、演技したりしながら、
劇場の雰囲気をあっためていくんですけど、

なんつーかな、お母さんはもうね最初っから あったまってたよね。

で、何の因果か、完全に通路側だった私たちの席は、
もう、私たちの前を通らずして、舞台に行けない感じになっていまして、

私なんて、外人怖いし、そもそもリアクションを求められたりって苦手で、
どうか、私に気が付かず、私のことは気に留めず通り過ぎて欲しいと願うばかりなんですが、

その横で、母は全員に握手を求めていたよね。

あれ?ちょっと、うちのお母さん、握手会してない?っつーくらい、してた。

あと、まあ、軽く肩たたいたりして、励ましてた。
「大丈夫だから!」つってた。
たまに「できるよ!」とか言ってた。

できるよ!って、
できっから、サーカス出てんだよ。
一か八かじゃ、やだよ。


で、まぁショーがね、始まって、私もそこは興奮して、
手とかね、叩いた。精一杯。

したら、横からピュィイィみたいなの聞こえてくっから。
見たら、お母さん、指笛吹いてた。
そんなのできんの?
初めて知った。

って思ったら、指笛はその横の男の人がやってて、
お母さんは、見よう見まねで真似してた。
思いっきりフゥゥゥゥゥウーつってた。息が。

それ、多分、すぐにはマスターできないよ。

しかも、すげぇフウフウやってっから、横の男の人に完全に警戒されちゃってるよ。

「ちょ・・ちょっとお母さん」
って咎めると、

「ねえ、これって、どこに息を吹いて音だしてるのー?」
って、もう夢中なので、

「もう、いいじゃん。指笛は他の人に任せなよ。
 すぐは、できないよ。
 できるもんなら、今頃この会場の人みんな指笛してるよ。」

「そっか」

と、納得したので、安心してショーを見てたんですが、

なんつーか、技が決まったりするたびに、拍手に紛れて、
フーフー言ってんの。

あ、この人、練習開始してる・・・。

もうね、素晴らしいショーだったんですがね、
娘としてね、微妙に集中できなくて。

んで、まあ前半部分のフィナーレに
CMなんかでおなじみの歌で終わる感じになって、
したらうちの母もノリノリな感じで、出演者と一緒に
コルテオっ!」
つってました。

んで、立ち上がって拍手してました。

えっと、まだ前半戦です。
母だけ前半で、スタンディングオーベイションしちゃった。
そこは、ぐっとこらえて欲しかった。

多分、立ってたの、1人じゃないかなー。
もうねG席のあたりはね、
完全に母を見る感じになってたよね、みんな。

休憩中は、すぐにトイレに行きました。
ちょっとね、気持ちを落ち着けてこようと思って。

んでね、帰ってきたら、
母がね、隣の男の人に指笛を教わってたよね。
つーかね、母を皮切りにして、後ろのおばちゃんたちや
反対側にいた中年夫婦もね、教わってた。

あれ、なんか、変な講習会はじまってる。
って思って席ついたら、

「恥ずかしがってないで、あんたも、やんなさい!」

って、もうね「恥ずかしいからやらないわけじゃない。人としてやらないのだ」ってことについてね論議したんだけど、
負けました。
「人ならやるでしょ」って言われました。


で、まあ後半です。

息を飲む美しい場面や、すごい超人技が続いて、目がね離せないのと共に、
G席からまばらに聴こえる「フーフー」っていう何らかの音。

ほんとね、こんな場面で、この人たち、何に挑戦しちゃってんの?
集中しよー。って。

しかも中盤から、微妙に母の指笛が成功しだしたりして、
母の指笛に対する拍手が後ろの席から起こったりして、
軽く横の男の人と握手してたりして、

もうね、全然集中できなかった。私も。

その上、フィナーレの一番感動的なシーンで、
舞台右手に消えていく主役と 時 同じくして、
「ちょ・・トイレ」
つって、左手に、母が消えて行きました。


そんな母に目を奪われてるうちに、ワァって歓声が上がって、
舞台が終わってました。


家に帰って弟に「どうだった?」って聞かれて
「なんか、もう一回見たいかも」つったら、
「へー、そんな良かったんだー」って言われて、
「・・うん・・まあ」って濁すと、
「なんか母さんも、もう一回行くって言ってたよ」って言われて、
「えーなんで?!」って聞いたら
「なんか指笛マスターして行くとか言ってたけど」って言われたので、

参加することに意義があると思ってる彼女に、
参加することに異議があると伝えようと、
私は立ち上がったのでした。

(でも、全然ダメだったので、母がマスターする前に、
 早めにコルテオ見に行った方がいいよと伝えたくて
 今日は書きました。)

2007-12-17

その弟、ダンディーにつき。

弟がダンディズムを意識し始めてる。

弟がダンディーになるっていうのは、姉として、一番避けたい。
ファンファン大佐みたいな弟、絶対やだ。
中尾彰みたいな弟、絶対可愛がれない。


で、そんな弟いわく、ダンディズムの極限は「海」らしい。
海ダンディー。

海っつーか、ちょっと海原(うなばら)って言ってた。
ダンディー海原。

興味なさげなふりしたけど、それから私は心の中で、
弟のことを「ダンディー海原」って呼んでる。


で、ダンディー海原 いわく、
そこに竿一本で斬り込んで行くのが超ダンディーなんだって。

そのダンディー、路線 大丈夫?


そんなわけで、それからというもの彼はコトあれば
「海釣り」「海釣り」言ってた。

そんなダンディー海原に手をやいた母が、
「あんた、ちょっと連れてってあげなさいよ」
って言い出したのが、先々週の日曜。

「絶対やだ」

つったはずなんですけど、気付いたら野尻湖にいました。

あんた彼氏もいないんだから、とか、実家にばっかり入り浸って、とか、もうパソコン使わせないわよ、とか散々言われまして。泣くかと思った。


で、一方、ダンディー海原 は嬉々としちゃって、何か変なライフジャケットみたいなの着ちゃって、クーラーボックス肩から下げて、
完全に「釣るぞ!」みたいな感じなんです。

いや、釣るぞっつーか、釣れるぞ!みたいな。
今日は釣れるぞ!みたいな。


でもね、でもね、なんかね、全部ね、やたらピカピカしてんの。
シミ一つ、付いてないの。

「あれ・・・?つーかねぇ、あんたさー、それ、おニュー?」

したら、ダンディー海原、親指立ててグー!なんつって、

全然グーじゃねぇ!

「ちょっと、あんたもしかして、釣り初めて?!」

ダンディー、うなづいてる。

全然、悪びれてない。
曇り一つない目をしてる。

「ちょ、ちょっと!じゃあ、誰が教えるのよ!」

つったら、

「え、姉ちゃん、前すげぇ釣り上手いやつと付き合ってなかったっけ?
 釣り、教えてもらったって言ってたじゃん。」

って、それいつの話———————?!
っつーか、いつ ついた嘘の話———————っ!


そう、私には昔、釣り好きの彼氏がいたって設定だった。
彼の釣り好きっぷりを家族に面白おかしく話したこともあった。

全部、友達の彼氏の話だった。

年頃の娘の私生活を危ぶむ両親を安心させるために
ついた嘘だった。

それを、今頃・・・・っ!


ダンディー海原は準備万端で、「次はどうするの?」みたいな目で見つめてくる。
姉への期待に満ち溢れてる。


「ふ・・っ、船よ!・・そう!船を借りるの!」

搾り出した。

弟も、お!みたいな顔になり、二人でボートを借りに行った。


さすが野尻湖、レンタルボートたくさんあった。

どれ借りるーどれ借りるー?ダンディー船長ー!
なんつって、はしゃいだのも つかの間、

弟が心なしか不安げな顔をし始めたので、

「大丈夫、あたし金に糸目はつけないよ!」
なんつってウインクしたら、

レンタルのパンフを指差しながら、

「これも、これも、これも、
 釣り用の船にはエンジン、ついてる」

「おーついてる!ついてる!確実についてる!」

「姉ちゃん、運転できんの?」

「え・・・?」

運転・・・。

8年前、仮免まで行ったきり、さっぱり音沙汰の消えた
私に聞いちゃった?
教習所行ってなかったのバレて、どんだけ両親の雷落ちたか、
あんた見てたよね?

そんな私が、船舶とかに、手広げてると、…思います?

「おめぇ、持ってないの?」聞いてみた。

「原付なら」とダンディー海原。

無免姉弟。


「ねぇ・・、手漕ぎは・・?」提案してみた。
一個くらい、あるんじゃない?手漕ぎボート。
スローライフを楽しむ初老世代のニーズに応えたようなやつ。

聞いてみて!
ダンディー海原、店員さんに聞いてみて!



なかった。



釣り用の手漕ぎなんて、無かった。
発想すら無かった。
店員さんポカンだった。

最終的に
「ここは釣り用のレンタルボートで、
 普通のボート乗り場はあちらになっておりますけど」
みたいな感じだった。

もう一声!
うちの、ダンディーを見てあげてー!よく見てあげてー!
緑のライフジャケットよく見てあげてー!
完全に釣る気だよ!釣る気マンマンだよ!
金槌だから着てるわけじゃないよー。

ってオーラを弟の後方からかなり出したんですけど、
ダメでした。

しょんぼりダンディー。


あまりに彼がガッカリしてんので、
じゃあせめて手漕ぎボートくらい乗ってくかー
って励まして、ボート乗ったんですけど、

ゲートで係員に「このボートは釣り禁止ですからね」なんて釘刺されて、弟、二度しょんぼり。


さすがに可哀そうになって、物陰まで必死に漕いでって

「おめぇ、ここで、ちょっと糸たらしちゃえ!」って言った。

「え?やばいよ、姉ちゃん」

「いいから!あたし、見張ってっから」

「え、え、でも、どうやんの?」

「いいから、チャチャって振ればいいんだよ。
 みんなよくやってんじゃん。手首でさ!」

つって、必死に見張りながら、木の死角になる辺に漕いでったんだけど、

弟が「やべーやべー、かかった!」とか言ってっから、
見ると、竿がすげぇしなってる。
ここまでしなるかっつーくらい、しなってた。

すげー天才がいる!

釣りキチ三平がいる!


でも、なんか、弟が竿を引くと、なぜか隣の木がバサッて言うの。

引くと、バサッ。
引くと、バサッ。

完全にかかってる。
つーか、引っかかってる。

「姉ちゃん!木に引っかかってる!」

「知ってる!外しなよ!」

「どうやって?!」

どうやって、て、何かこう上手いこと引っ張るしかないでしょ!

っつーか、あれ?あのボート、すげぇ一直線にこっち向かってくる。
わー、心なしかスピーカーマイク持ってる。


「釣り禁止です——————!!ぴ——————!!」


みたいな。
完全に野尻湖の注目株です。

で、まぁ、ボートを縄みたいので繋がれまして、連行されました。

いやー、あくまで「救助されてる」オーラを必死に出したんですけど、
ダンディー海原のライフジャケットが、
コトの他 野尻湖に映えちゃって映えちゃって、
「退場」ムードを拭えませんでした。



もうね、こうなったら姉として、なんとしても釣らせてあげたい。
思う存分、この子をダンディらせたい。
って思って、海釣りに行ったのが先週の日曜。


友達に「海釣りなら「浮島」がいいよ」って言われて、
浮島なら 絶対だよ。
浮島なら かたいよ。
浮島サイコー!
って言われて、行きました。浮島。ダンディー海原と。


いやー、確かに浮島すげぇ。
魚とか めっちゃいた。
肉眼で見えまくり。見えすぎ。丸見え。
浮島サイコー!浮島ワンダフォー!


でもなー、忘れてたなあ。
あたしたち姉弟が、大の乗り物酔い王だってこと。

いやー、浮島に向かう船に乗って気付いた。
荒波の手痛い歓迎に、完全に口数激減。

「浮島までガンバ・・・」

「浮島にさえ着けば・・・」

を合言葉に互いを励ましあってきた。


甘かった。

浮島が、浮いてるっつーこと、すっかり忘れてた。


水平線がね1〜2メートル、余裕で上下してる。

「じゃあ、二時間後に迎えに来まーす」って船は帰っていった。


ベテランたちは、余裕でセッティングして、針に餌付けして、
「キター!」とか
「でかいぞ!」とか
釣りを思う存分楽しんでる。

かたや、私、リュックも下ろせず、体育座り。

せめて・・弟・・だけでも・・・。

って横を見たら、ダンディー海原、吐いてた。


ダンディーのそのゲロに、めっちゃ魚、来てる。

ピチャピチャ飛び跳ねてる。
今なら、素手で取れる。


それから二時間、船が迎えにくるまで、交互に思う存分、吐いた。

途中、弟が、横たわって吐きながらも、必死に糸にルアーをつけようとしてた。

そのゲロにも、めっちゃ魚、群がってる。

ルアー・・多分・・いらない・・。



そうして結局、一度も糸をたらすことなく、
私たちは浮島をあとにした。

でも私たちの甲斐あってか、浮島は大漁だった。

それだけが、私たちの心の支えだったのに、
帰りの船で後ろのカップルが

「釣った魚・・食べんのやめない?」

つってた。



そんなこんなで、懲りた弟は、とりあえずダンディー海原を卒業した。


で、そんな弟いわく、これからは「山」らしい。
山ダンディー。

山っつーか、ちょっと山岳(さんがく)って言った。
ダンディー山岳のダンディー登山。


もう、おめぇ、チョビヒゲつけて寝とけ。

って思った。

2007-06-01

マジカル加藤 〜ドライヤーで危機一髪の巻き〜

三十路を迎える前に、一度くらい魔法少女に任命されたい。


いや、実際ギリだと思うんですよ。

魔法を使って人を助けたり、
イザコザを解決したりっつー年頃としては、
もうね、今しかないんじゃないかなって思ってます。

これを逃したら無いなって。

もうね、三十過ぎてくると、
イザコザの度合いもグッと根深くなるわけじゃないですか。
魔法よりお金がコトを解決してくる年代に差し掛かってきたり、
もっと言えば、時が解決してくれる、なんてセリフが口から自然と
こぼれちゃってもおかしくないわけです。

はたまた、下手したら、呪文だってぐっと覚えにくくなってくるし、
変身するものだって、やっぱりT.P.Oとか人様の目とか微妙に考えちゃって、
割と無難な選択になってくるじゃないですか。
アイドルとかチアリーダーとかを、
そうそうチョイスできなくなってくるじゃない。


だからね、もう、魔法を使うとしたら、今年来年くらいまでだなって。
そろそろね、親の喜ぶ顔とかがね、求められてくる時期になってくっからね。


で、まぁ、奇跡的に任命された際には、
もうね、ふるって身の回りの問題に白黒つけていきたい。

どんな小さな悩みも真剣に取り組みたい。


したら、まぁ、弟がね、さっきっから、
横で「んーんー」考え込んでるから、

「どうしたの?」

って、魔法少女的に声をかけてやったわけ。

したら、

「このイオンドライヤーって、ほんとにイオンとか出てんの?」

って、そこー?
そんなとこ、悩んじゃったー?
魔法使いづれぇー。


確かにね、うちの実家のイオンドライヤーはすこぶる怪しい。

まず、イオンが出てきそうな出入り口やら、
イオンを作ってそうな部品が全くない。

説明書には、そのへんの説明は結構サラッとされてて、要約すると

「大丈夫、中でちゃんとやってっから」

みたいなことが、書かれてた。

・・うん、書かれてはいた・・んだけど、ほんと、中がね、丸見えでね、
ドライヤーによくあるクルクルーってなってるワイヤーっぽいのしかね、
ないの。

でもね、パッケージとかね見るとね、
なんかめっちゃ出てるっぽい感じになってんですよ、
粒子みたいのが、それはもう張り切って出てきてて、

えっと、目には見えないんだけど、こんな感じでめっちゃ出てるよ!

みたいな暗黙の了解がなされてるんです。


いや、なんつーかね、ここまで大々的にね、
イオンイオンつってるからには出てると思うよ、イオン。

でもね、なんていうかな、ほんとさ、申し訳程度かもしれないっつーことはある。
ニ三個出しておけばいい、みたいな。

イオンもイオンでさ、もーめんどくせぇ、くらいな感じで、
重い腰をあげて出てきてんのかもしれないし、
なんなら、今日はだりぃーから休むわ、くらいのバイト気分な
イオンだってあってもおかしくない。


と、考えまして、弟に、

「いつ出てきてもおかしくない。」

って伝えた。
したっけ、

「いつ出てきても大丈夫なようにしておく」

って言ってた。



案外、魔法いらねぇーな、って思った。

2005-07-25

ボンバー

久しぶりに実家に帰ったら、お母さんの髪がまたアイパーになってた。

55歳といえども訪問看護師として働く、いわば接客業の母が、美容院に行くたびに鉄砲玉みたくなって帰ってくる。

美容院はうちのお母さんをどうしようっていうの?

毎回エレガントなユル巻きの切抜きを持たすも、明らかに、っつーか絶対に、すっごい細いロッドで巻かれてる。
これでもかって巻かれてる。
トグロでもここまで巻かねぇんじゃねーの?っつーくらい巻かれてる。

ここ数年、母の髪が揺れたとこを見たことない。


そんなアイパー(55)とご飯を食べにいった。

あたしも母もいわば同業者。
もちろん仕事の話に花を咲かせる。

『今、訪問看護に行ってる山田さん、結構危なくて、呼び出しあるかもしれないのよ・・』

『そっかー。今結構、家で看取ったりするもんねー・・』

って言って、私、気がついてしまった。


  うちのお父さん、今夜が山かもしんない!
  看護師さん父の様子がおかしいんです!
  お父さん!返事してよ!お父さん!おとーさーーーんっ!!!!
  ピ━━━━━━━━━━━━━━━━


って時に、絶対、こんなアイパー横にいて欲しくねぇ。
どうかそっとしておいて欲しい。
こんな存在感(そして違和感)ある人に、そばにいられたら、全然父親の病状に集中できねぇ。
こいつにだけは、こんな頭で「ご臨終です」とか言われたくない。


って、私が山田さんの娘だったら思うと思う。

でもね、この人、こんな頭だけど、結構やるんだよ。
結構いい目もってんだよ。
仕事のためなら自分のことなんて二の次 三の次だったりするんだよ。

ってことをわかってもらいたくて、お母さんを私の行ってる美容院に連れて行きました。

ここなら、まさか細いロッドで巻かれちゃうこともない。
ましてや、私が付き添ってる。
ちょっとでも細いロッド出そうもんなら、あたしを倒してから行け!って待ったかける覚悟はできてっから。

『あー・・結構・・細かくかかってますねぇ・・』

って美容師さんが恐る恐る母の髪を触る。
あちゃーって顔してる。

『えっと、これだったら、少しカットして、もっと太いロッドでパーマをかければ・・なんとか・・』

母の髪がカットされ、念願の太いロッドで巻かれてゆく。
どうにかなりそうな感じだと、私が雑誌でも読もうかなと思ったその時、

母の携帯が鳴った。


『え?!呼吸が止まりそう?!わかりましたすぐ行きます!』


・・・すぐ?!

私も驚いたけど、美容師さんはもっと驚いてた。

「え?すぐって・・どのくらいのお時間でしょうか?」

「すぐです。とりあえず、髪だけ流させてくれれば」


美容院初だったと思う。

パーマの途中で、中断して、乾かしもせず、動揺する美容師を尻目に飛び出して行く母。

かっこいい・・・。

自分の仕事に誇り持っちゃってる感じ・・・。


でも・・・。

カットした上に濡れたアイパーは前よりすげぇ存在感醸し出してる。
ちょっとしたエリンギみたいな感じになってる。
あんなに走ってんのに、ちっとも髪、揺れてねぇ。


山田さん、ごめん・・・。