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私の時代は終わった。 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-06-18

いい結婚式だったね(マジで!)

先日、中国で結婚式をあげた友達から、結婚式のビデオが送られてきた。


こういうのって、何ていうか、ほんともう、使い道っていうのかな、
需要っていうのかな。
いや、もう全然嬉しいんですけど。

私も私で、家に不在過ぎて、
宅配業者の方々が3往復くらいした末にね、

「ほんと、もう、勘弁してください、このアウトドアめ」みたいな電話がかかってきて、

でも不在っていうか、どっちかっつーと居留守寄りっていうか、

宅配業者の頑張りは影でずっと見守ってたっつーか、
他人事じゃなかったっつーか、
インターホンをね、Bボタンあたりと間違ってんじゃないかなくらいの
押しっぷり、しかと見届けてた。息継ぎ無し。

ところが一方、くしくも私、万全のパンツ一枚でしたし。
そのパンツとも三回夜を越してたし。

で、まぁ時間指定って裏技を使ってみたり、
お気に入りのワンピース着て二時間くらい緊張して待ったりで、

やっとのこと届いた品が、コレ、ね。
いや、もう全然嬉しいんですけど。完全サプライズ。
ほんとね、写真で済ますとかいう方法もね、あったんじゃないかなって。


で、まぁ、見るタイミングを完全に失ってた。
ほんと、どう転んでも。


なので、友達から電話かかってくるのがあと一日遅かったら、
金曜ロードショーの「ラピュタ」、これに撮ってた。間一髪。




友達「見た?」

私 「み、見たよー!思わず二回も見ちゃった!」


思わず嘘ついちゃった!


友達「すっごいでしょ?!」

私 「あ、うん!すげぇ。スケールが、まず違う」

友達「ほんと中国びびるよね?」

私 「びびるね!えっと、あそことかほんとビックリした、えっと・・」


って、言いながら、もう必死で受話器片手に、ビデオつっこんで再生。

「二回見た」とか言った手前、後戻りはできない。
完全犯罪目指した。

とりあえず、片っ端から、見た映像の感想を言って、
「ドレスの形がきれいだった」とか「教会がアンティークっぽい」だとか、そういう手法で切り抜けようと思った。


んだけど、ビデオ、しょっぱなから、
物凄い勢いで男達が、民家のドアに体当たりしてる映像。

急いで音量上げたら、

どーん
どーん
言ってる。

説明無し。


言葉失うよね。


「え、ビックリしたとこって どこー?」
とかトンチンカンなこと言う友達に、

「もちろん最初!一揆みたいになってるっ!!」て、声荒げました。

ほんと。ビックリつったらココしかないでしょ!


って思ったんだけど、

なんだろう、これ。今、目の前でドアが壊されて、
男達が民家に突入してる。これまたビックリ。


え?結婚って、こういうのだっけ?
入場の場面はあったけど、突入の場面とかあったっけ?

私が「もう結婚なんて!」とか目を背けてる間に、
結婚の仕方ってだいぶ変わった?
もしくは、彼、いかなる時も任務を忘れない特殊部隊(S.W.A.T)の
一員?


呆然と見てると、やっと家の中にウエディングドレス姿の友達登場。

待ってました!
やっとね、ドレスの感想が言える。


「あ、ウエディングドレスさー」


って思ったそばから、ほんとね、男達が友達そっちのけで、
家中の引き出しを開けて、中のものひっくり返してる。

思わず「ドレス・・・大丈夫だった・・?」って聞いちゃったよ。

えっと、これ、結婚式のビデオだよね?
しょっぱなから友達んちが、
すごい勢いで強盗にあってるんですけど。
戸棚とか、引き倒されてんですけど。


観念した。

「ごめん、実は今、初めて見てる。
 見てるんだけど、えっと、なんか、
 とても結婚できる雰囲気じゃないっつーか」

白状すると、


友人曰く、
中国では大切な娘をそう簡単にはやらない みたいな儀式があって、
花婿が迎えに来るとき、家の鍵をしめたり、
花嫁の靴を隠して外に出れなくしたり、
そういう儀式があるらしい。

花婿たちは、靴、探してたのね。

中国すげぇ。

嫁の実家、完全にボッロボロだけど、なんかもう、中国すげぇ。

花婿、花嫁の父に言われて、最終的に玄関で、すげぇ腹筋してる。
「こいつが欲しかったら、腹筋100回しろー」みたいなことになってる。

それを皆、和やかな雰囲気で見守ってるけど、
その後ろで玄関のドア、完全に外れてる。
中国すげぇ。何でもアリ。



で、まぁ、何とか花嫁と無事、結婚式場へ行けたっぽい。

いよいよ入場の場面になった。


私 「こっからは、普通?」

友達「まぁ、見て。」



入場。



なんか、ギーって扉が開いたかと思ったら、
花嫁じゃなくて、

「なんか、ちっこいオッサン出てきたけど」

「あれ、司会者だから」

その後ろから花嫁。
完全に被ってる。花嫁、見えにくい。
オッサンなめの花嫁になってる。

しかも、その司会者のオッサン、こんな厳かな場に、
マイク持ってきちゃった!って思ったら、

「ねぇ、何か、めっちゃ喋ってる!中国語!いいの?」

中国はね、結婚式に司会者がいるの」

「仲人じゃなくて、あえて?」

「あえての、司会者」

「なんか、みのもんたの朝ズバに見えてきたよ?」

「うん、式の中心は、司会者だから」

「えっと、この人、親戚?」

「知らない人」

「え!こんな喋ってるのに?!」

「初めて会った」

5分位して、ようやく、
カメラがアングルの悪さに気がついたようで、
オッサンをよけて花嫁を映し始めた。

したら、丁度、子供たちが花籠もって花嫁のまわりにやってきて、

「あ、いいなぁ、あの花を まかれるやつ、私もやって欲・・・」

友達、ぶつけられてました。花。
花っていうか・・・マリオジュゲムが雲から投げてくるようなヤツ。
明らかに、花じゃないの混ざってる。
子供達、完全にワルノリ。
思いっきり振りかぶって投げちゃってる。

「すげぇ痛かったよ」

うん、やっとビデオに映った友達の顔が、
完全に笑ってないもん。真顔だもん。

「この子供たちって」

「初めて会った」

あ、やっぱ?


なんか、そろそろ言いたい。
「いーなー、私も結婚したくなったー」ていうセリフを使いたい。
使ってあげたい。


「えっと、そういえば!
 あれどうした?私達が作った、出会いから結婚までのビデオ!
 評判良かった?」

「あーあれ?」

「うん」

中国では流行らないから、やめなさいって言われた」

「え・・・」

私、あれ撮るために、仕事休み取って江ノ島まで撮影に行ったのに?

「あ、でもそこは譲れなかったから、流してもらったよ」

あ、ほんとだ、流れてる、VTR。
流れてるけど、そのスクリーンの前で、

「なんか、オッサン歌ってない?」

「なんかね、中国の司会者って歌とかも披露してくれるみたいで…」

今、歌っちゃった!
VTR流れてるのに、今、歌っちゃった!
我慢できなかった!

「なんかVTRで盛り下がったとこを、助けたって言ってた」



どうしよう・・
このビデオ。
私、本当に、もう一回見ちゃうかも。
二回見ちゃうかも。

いま、この瞬間にすら、また最初っから見たい気持ちがヒシヒシと。

心なしか、このオッサンを好きになり始めてる。
そんなオッサンの後ろで、笑顔を忘れたカナリアみたくなってる友達も、抱きしめてあげたい。

今なら素直に「結婚、おめでとう」て言える。言わせて。


その後も、友達がお母さんに感謝の言葉言ってんのに、
日本語だから盛り下がると思った司会者が、
いきなり手招きして、中国人の子供が歌、歌ったり。

それが何か、日本語の歌で、光GENJIだったり。

横についてきたその子のお母さんも得意げに
「すごいでしょー」みたいな顔で手拍子してたり、

あわせて司会者も手拍子、会場も手拍子。
してるのに、

「あの子、後で聞いたら、誰の知り合いでもなかった」

って、ミラクル———————!
(でも何か、そんな気してた—————!!)


「なんかね、中国って結婚式に招待するってのが無くて、
 「結婚式してっから行こうぜー」みたいな感じなの」

「席は?」

「早い者勝ち」








「なんかさ、ごめん。
 私、このビデオ、大切にするわ。」

「そう思って、みんなに送ってんだ」

「落ち込んだ時、絶対これ見る」

「ありがとう」




んで、電話切って、
すぐ見た。


あっぶねー、ラピュタ撮らなくて良かった。
飛行石より、がぜん浮けるわ。

2007-06-15

いま、会いにゆ・・・やっぱ寝ます。


結婚式には呼んでね!


なんつって冷やかしてたカップルが、ほんとに結婚することになってた。

やー、ほんともう、山とか谷とかね、もっとあっていいんじゃないの?

で、まぁ御招待にあずかったんですけど、
あれ、なんだろう、この開催地の有り得ない画数。文字化け



あ、これ、中国だ。

中国ってる。

わー、中国かー。

中国かぁ。

あー・・・うわー・・・何だろうこの倦怠感。
一瞬にして、中国に行く自分を想像したときの、やるせなさ。

パスポートって・・・あ、実家だ。
実家っつーか、えっと、期限って・・・。


ばっちし切れてました。
ぶっちぎり。
完全に何らかの醤油とか飛んでたし。風味抜群。


えっと、パスポート取り直すには・・区役所行って戸籍・・・で・・
えっと、その後、都庁とか行って・・
あぁ都庁も区役所も土日やってないんですっけ・・えっと・・・
写真は・・・縦4.5cm横3.5cm・・・だっけ
・・・ハンコとか、最近めったに出くわしてないような・・・




うわぁああぁぁあぁあぁあぁあぁぁあぁあぁあぁああぁ




吸い込まれる。吸い込まれる。
いま、もう、なんか、すごいダークサイドに堕ちそうになったわー。

大切な友達の結婚式。
大切な友達の結婚式。
大切な友達の結婚式。


呪文を唱える間に、流れるように時は過ぎてまして、
何かよくわかんないけど大きな課題を抱えてる気になって、
背中に十字架背負ってる気満々だったんですけど、
気づいたら何ら微動だにせず毎日を楽しく過ごしてまして、
ほんと、つるっと一ヶ月くらいたってて、


「もうさ、来なくてもいいから、はっきりしてくんない?」


っつー友達からの警告がめっちゃ怖くて、


「行くよ!行くに決まってる!
 半身 もう行ってると言っても過言では!」


なんつって、あの日あの時、断っておけば良かった。


それから数週間、ネットでパスポートの取り方とか調べて、
ちょれーちょれー
なんつって、ほんと、もう、その日受け取れる気でいました。

やっと辿り着いたパスポートセンターのカウンターで、
どーよ!とばかりに品々を見せたんですけど、
これがドラクエFFなら軽くダンジョンの扉開いちゃうんじゃないの?
っつーくらいの戦利品を見せ付けたんですけど、

なんかどうやら、パスポートね、今日貰えないようなムードを
おっさんがヒシヒシと出してくるので、

「えっと、来週行くんですけど!」

みたいな、アタシ急いでるんですけど!的な雰囲気を
バシバシ出してみたんですけど・・
いや、A型にしてはよく出した方っていうか、
出し切ったと言ってもいいくらいのプレッシャーをかけてみたんですけど、

あ、え、後日ハガキが届くそうです。
そのはがき持って、もう一回ここ来るのが必要だそうです。
あ、一週間くらいかかるんですか?
えっと来週・・あたし・・

「決まりですから」

おっさんの後ろに、国家が見えた気がした。


もー、その時点で、他の友達たちとは、
一緒に行けないような雰囲気になってきまして、

いや、正直、「待ってて」「一緒に行きたい」って言葉が、
このへんまで出てましたし、
なんなら「行けなくなった」っつー言葉も、
ほんとゲロっと出ちゃいそうなくらいの不安に襲われたんですけど、

なにゆえ26歳、みたいなとこ、あるじゃないですか、自分。

結構ね、大人としてね、扱われ始めてる。

よくわかんないけど、みんな、私が来れると思ってる。
中国で待ち合わせできる感じで話が進んでる。

思い出して!
私が渋谷にすら辿り着けなかったコトを!
渋谷ハチ公前ね!」って言われて
渋谷の八個前の大塚の駅で待ってたこと。

「いまどこ?」
「大塚についてるよ?」
「え?渋谷ハチ公前って言ったよね」
「うん、八個前にいるよ」
渋谷だよ?」
「うん、渋谷の八個前」
ハチ公前?」
「うん、八個前」


あの時は、笑って済んだけど、
舞台を中国に移したら、スケールもだいぶ変わってくるんじゃないかな。
次に「大日本人」て映画のメガホンを取るのは、私かもしれないよ。


って、ずっとテレパシーで訴えてたんですけど、
成都で待ち合わせ」になりました。
強く願えば叶うって言ってたの誰ですっけ?
この時の願いの強さつったら、頭の上あたりに元気玉できててもいいくらいだったんですけど。

成都で待ち合わせ」
「オーケー」
なんつって、電話を切った後、
もうね、身体がブルブル震えてくるの。
怖くて。恐怖で。

ほんとね、お化けとかね、落ち武者とかね、何度見てもいいよ。
1人で中国行くのに比べたら、全然いい。見たい。見せて!是非!

っつーくらい縮み上がりまして、
もうね、観念して電話した。
「行けない」って。
言葉が詰まった。ちょっと泣いた。

したら、友達笑って、「だと思った」つって、
「でも大丈夫」つって、
「遅れて来る人たちもツアーみたいに成田から案内がいるから」って。
「一緒に来ればいいよ」って。

「なぁーんだ!オーケーオーケー」

つって、喜んで電話切って、
もう一回泣きました。


ち  が  う  ん  だ  よ


行きたくないのー。
もう全然ノリ気じゃないのー。
この孤独感を中国まで抱えて行きたくないんですよ。
やっと「行けない」って言えたのに・・。


で、まぁ当日。

友達から届いた懇切丁寧な しおり を握り締めて家を出た。
ボロボロになるまで読み返した。

「結婚式には呼んで」なんて軽々しく口にした自分を呪った。

でも仕方ない。

生きて帰って来れないかもしれない、という漠然とした不安で、
昨日は眠れなかった。

でも仕方ない。

案内人がいるとは言っても、知らない人たちとの中国
人見知りなのに寂しがり屋な強面(コワモテ)という三重苦を背負っての一人旅。

空港には、もちろん早く着いた。
持ち物は完璧。
パスポートは持った。

ただ、知らない人たちの中に飛び込むのは怖くて、
ギリギリまでカフェで時間をつぶした。

で、まぁ2分くらい前になって行ったんだけど、
人がいっぱいで、見つからなくて、

先に荷物預けたわけ。
こなれた感じで。


したら、なんかね、受け付けたお姉さんがね、
ん?え?みたいな顔してるの。
で、何か後ろの先輩っぽい人呼んじゃって、
何か起きたっぽい顔をね、してるの。

その時点で、私も何か起こったことを察知して身構えた。

で、お姉さんが、

「お客様。
 お客様の飛行機は、今、出発時刻になってまして」

「はい」

「今から手続きをしましても、もう間に合いませんので」

って言うので、

「わかりました。今からダッシュします!」

つったら、

「お客さま!!」

つって、向こうもカウンターから乗り出して腕を掴んできたので、
その必死さに、すげぇヤバさを感じて、

「大丈夫です!荷物も!一緒に持って乗るので!」

って荷物を抱えると、
その荷物までお姉さんに尋常じゃない力で掴まれて、

「もう離陸してしまうので!!」

っつーので、

「本気でっ!本気で走りますから!
 ちょっとだけ待っててもらえませんか!」

「無理です!」

その横で、自分の乗るはずの飛行機のパネルがパタパタパタパタってなるの、見たよ。


やばい。
やばいよ。
行けないかもしれないとは思ってたけど、
本当に行けないかもしれない。

私は握り締めてボロボロになった しおり を見せて

「でも、ここに時刻が書いてあって」

「これは出発の時刻なので、この前に書いてある集合時刻までに
 来ていただきませんと搭乗手続きができませんので・・・」


ああ・・・そっか。

集合時刻と出発時刻が、あまりに違うから、これはイベントとかの
受付開始時刻みたいなもんで、出発時刻に間に合えばいいんだと思ってた。

でもね、友達が明日には結婚するんです。だから。

「えっと、明日はホントーにホントーに絶対遅刻しないで来るので、
 明日乗せてもらえませんか?」

って、真剣に聞いたら、
お姉さんの後ろにいた先輩っぽい人がもっと真剣な顔で、
カウンターから出てきて、飛行機の仕組みみたいなのを
真顔で教えてくれました。ごめんなさい。ほんと。
明日乗せて、とか軽々しく言っちゃって。


で、まぁ、キャンセル待ちの話とかね、次の便で行く方法とかね、
聞いたんですけど、

なんか上海を経由するっぽくて、

経由とかね、それこそ軽はずみに言わないで欲しい。
そんな魔法みたいなこと、とてもできない。

って思ったけど、
何かもう ツウっぽく「あーそれかー、そうきたかー」て
聞いちゃってたら、話はどんどん進んで、

今日、今からキャンセル待ちして乗って、上海で夜を越せ、
そして朝また飛行機に乗って、みたいな
「それ呪文かしら?」って感じの説明になったんで、

いやいやいやいや、ちょっとまって、上海で夜、越しちゃうの?
上海って、あれでしょ?上海といえば、マフィアみたいな方程式なんですけど。

みたいなことを、冗談交じりに言ったら、
なんか当たらずとも遠からずみたいな雰囲気をめっちゃ出してきて、

「危ないから移動はタクシーにしてください。
 でもタクシーも危ないから油断しないで。」

みたいな、えーどっち?みたいなコトになって、
つーか、油断の度合いは、もはや関係しないんじゃないかな、
なんて思ってきて、


「わかりました」


つって、気がついたら、家に帰ってきてました。
ほんと油断は一切しなかった。


つーか、家を出てから、まだそんなに経ってないのに、
何!この懐かしさ!
何!この生きて帰れた感!



で、まぁ、友達に電話したところ、

「で?」に続く「で?」の応酬に、
ほんとオシッコとかね、漏れるなら今だ!って感じだったんですけど、
何せ、念願のホームでの戦いなので、耐えました。
価値あるドローに持ち込んだと思います。


そんな友達から、後日、結婚式のビデオが送られてきたんですが、
それはまた、別の話。

2006-02-22

結婚します!

一度でいいから「氷の上に舞い降りた妖精」って言われたい。

結構ね、舞い降りる気、満々。
なんだったら、2日に一度は舞い降りちゃってもいー。

メダルに対する執着なんて生まれてこのかた持ち合わせていなかった私だけど、
「妖精」にならなきゃやってられない理由ができた。



『どうせ何だかんだ言って加藤の方が早く結婚しちゃうんでしょー!』
って酒飲む度に絡んできてた友達が、

『昨日、彼氏にプロポーズされた』
つってるんだけど、今、ロイホで。


私はと言えば、同じくロイホでカレーを貪りながら、それを聞いたわけで、まさに寝てる耳に水が入ったような気分です。

いまや、私の一ヶ月のプライベートの予定の8割は、この友達とのご飯やら買い物やらに埋められていて、
もうね、25歳になってこんなこと確認するのも恥ずかしいけど、あたしたち、なんつーか、ほら、親友・・とかなんじゃないの?ってセリフをそろそろどっかの場面で言い放ってみようかなーなんて、思い始めたまさにその時期。

彼女のそんな軽いジャブに、私が返せた日本語といえば

『あ・・、そうなんだ、・・いいんじゃん?』

精一杯でした。
全腹筋総動員で搾り出した声でした。
若干、低め。

『うそー』とか
『マジデー?!』とか
『おめでとー!!』とかね、

スタンディングオベイション的なリアクションは一切取りもれた。
それどころか、「何か、窓どっか開いてない?」って言いたくなるような、急な背筋の寒気。


そんな私は一切置いてきぼりにして、
『いやね、まだ、どうかわからないんだけど』
とか言っちゃってんですけど、この人。

『いや、なんか、結婚しよう、みたいな、言われちゃって』
とかも言ってんですけど、この人。

えっと、なにつまり?

「結婚しよう」って言われて、
でもそれがプロポーズなんだか、なんなんだか「いやね、まだ、どうだかわからない」って、
どんだけ読解力ねぇの?

あたしなんて国語4だったからね、確実にわかる。

これ、絶対にプロポーズされてる、この人っ!
マジ100パー。



『んーでね!昨日色々考えたら眠れなくて・・、加藤どうしよう・・』


わー。
あたしがどうにかしちゃっていいの?

つーか、どうしようって言う状態になってるのは、今まさにおめぇより私っぽいんだけど?
あきらかに、追い詰められてる感があるんだけど。

あんた1人、結婚のチケット 手にしちゃったことで、
何か私以外の全世界中の人たちが結婚しちゃったくらいの気にすらなってんだけど。
ワールドワイドに凹んでるんだけど。


『ねーどうしたらいいと思うー?』


駄目押し。
待てない御様子。
ハーフタイム無し。


ねぇ親友、できたらもっと私を見て。
未来の旦那様の3%でいいから、私を見て。

この数分の間に、みるみる五歳は老け込んでっから。
後れ毛という後れ毛が、もっさり出てきてるから。
頬とかね、俄然こけた気してっから。

それに比べてね、おめぇの肌のキメの細かさと言ったら!
格段に輝き増した?

あたしたちの食べてるカレー、同じ食材?
それ伊勢海老じゃない?


『あーもーほんと、どーしよー』


3回目。
数えてた。

だって、それ思ってねぇじゃーん。
その顔、全然どうしようとも思ってねぇじゃーん。


文学的に述べるとさぁ、
「どうしよう」っていうのはさ、本来、どうしようも無いときに、究極の選択として、出てくる言葉なわけ?


例えば、あたしが食ってるこのカレーが、

実はカレー味なんだけどウンコだったっつーのと、
実はウンコなんだけどカレー味だったっていうのと、
さぁどっち、っつーことでしょ?


どっち取るの?っつーことでしょ。


でもさ、これ、
よく読んでみると、言い回しが違うだけで、どっちもウンコに変わりないんだよね。


そこで、初めて出てくる言葉が

「どうしよう」

でしょ?


でさ、一方、彼女の目、良かったら見てあげて。
キラキラしてっから。
それ、池田理代子かなんかが描いた?っつーくらいキラキラしてっから。

さーどっち選ぼうかなー!って腕まくりしてるようにすら見えるから。
そんな瞳で、ウンコとカレーの究極の選択をする奴はいない。
つまり、これは出来レース。
私のアドバイスなんて、絶対必要ない。


でも、私は親友(未申告)。

だから、私は今日で引退のバッターにボールを投げる投手のように、
気を使って、手を抜いたようには見えないけど、
確かにストライクゾーンに収まるように、


「まぁ色々大変かもしれないけど、結婚しちゃえー」


と、優秀な発言を述べた。


彼女は満足そうに微笑むと優雅にカレー(伊勢海老入り?)を食べ始め、
私もそれに合わせウンコなんだかカレーなんだか、よくわからないものを食べた。

必死に食べた。

必死に食べながら、そっと目を閉じる。

閉じた先でも私は何かを必死に食べている。

その横で無常にもチャイムが鳴って、クラスメートたちがボールを持って校庭に飛び出していく。

私は焦りながら、何かを無理やりに溜飲し、カチャカチャと給食を食べていた。

でけぇよ、コッペパン。

ちっとも飲み込めねぇ上に、唾液を全部奪われて私は思う。


例えば私が、地球で一番はじめに生まれた「女」だったとして、
果たして「結婚」という仕組みを発明することができただろうか。




ってわけでトリノを目指します。

え・・?もう始まってんの?