あなたの知らない世界

 同僚から、怖い話を聞いた。
 彼の、さる建築会社におつとめの義弟さんの話なのだが、その現場監督をなさっているらしい。
 で、何十人かの現場の人間を差配しているわけだが、その中には自分の名前が書けない人がいるらしい。もちろん日本人で。

 これが「これまでに一人だけいた」とか「まれに存在する」だったらまだ話が分かるのだが(いや分からないが)、
「現場をかわっても、人が入れ替わっても、常時数人いる」とのこと。

 自分の名前も書けない、ということは、文字も読めない確率も高い。


 小学校とかどうだったんだろう。社会システムは彼らをひっかけられなかったのか。そしてこれからどうなるんだろう。何人もっていうことは、日本社会のなかに一定数のクラスタとして存在するんだよな。見えないけど。
 

 考え出すとしみじみと怖い。