下記でも引用した津田大介氏による伊藤直也氏(id:naoya)のインタビューを再読すると今回のリニューアルは以前から検討されていたことなのだろうと予測されます。
このインタビューからは、伊藤直也氏は、あくまでツールとしての利便性とメディアとしての価値を上げることを考えていたことが伺われます。伊藤氏の発言をいくつか抜粋。
一番は自分の中で「はてなブックマークをどうしたいのか」という基本的なスタンスを考えてみたときに「コメントは一覧できるべきだ」と思ったことが大きいんです。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(前編)
この根本的な思想は、残念ながら今回のはてなブックマークのエントリーページの変更によって、大きく転換されたと言えます。
批判であれ、賛同であれ、その記事やエントリーに対するユーザーさんの感想みたいなものはネット上では「見られてしかるべき」と僕は思ってるんですよ。それを見るために、あるいは見たいと思っている人にワンクッション置くというのは単純に便利じゃない。そもそもそんなたくさんクリックしなくちゃいけなかったら、「見たいと思ってる感想にたどり着けないよ」というところがありますね。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(前編)
こことはてなブックマーク - はてなブックマークのエントリーページを改良しました - はてなブックマーク日記 - 機能変更、お知らせなどとを両方読むと、伊藤直也氏は、現在のユーザーの評価をきちんと把握していたようです。現ユーザーにとっては伊藤直也氏の退職がとても残念な結果になったということでしょうか。
根本的に皆さんがコメントで書いていることって、単に「今まで思ってたけど書いてなかっただけ」というものだと思うんですよ。それは裏返せば「書いてはいないけど、思っていること」ですよね。だからはてなブックマークのコメントは、そういうものが可視化されてるだけだと僕は考えています。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(前編)
僕はもっとネット上にみんなが思っていることをテキストに変えて、どんどんアウトプットしていってほしい。そういう意味で、エントリーページは今後も基本的に今の体裁を大きく変えることはないと思います。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(前編)
「エントリーページは今後も基本的にいまの体裁を大きく変えることはない」としていた伊藤直也氏が、はてなを退職してしまったため、今回のエントリーページの大幅な変更が行われたということなのでしょうか。
そもそも反論できないっていう要望が来るのは、あの場で反論ができないのが問題というよりも、ブログを書いた人が、はてなブックマークのコメント群をコントロールできないっていうところに問題の本質があると思うんです。
(中略)
長い間はてなブックマークを見ていて、そこに問題の本質があるということが分かったため、今後、若干ですけど、ブックマークされるブログのオーナーがコントロールできる方向に軌道修正しようかなとは思っています。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(中編)
この辺については、今回の変更とは関係ありませんが、はてなダイアリーとの連携や、metaタグの利用などでいろいろと実装されてきていますね。
だから僕は時間が経過してから出てきたカウンター的な意見を、多くの人の目に届かせるようにしたいんですよ。誰か「これはいい」と書く人がいたら、多分その背後には20人くらい同じことを思っている人がいると思うんで。そういう人たちの感想や意見が本人に伝わりやすくなっていったらいいなと。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(中編)
これは、これまでのはてなブックマークのエントリーページが時系列的に新しいブックマークコメントが上に(最初に)表示されるということと関連するのでしょうか。
反論したい人は要するに議論がしたいわけで、僕は議論はブログでやるべきだと思っています。だから、議論をしているブログや掲示板のスレッドと、はてなブックマークのコメント欄がうまく両方一緒に見られるようにしたいなとは思ってます。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(中編)
これは、もしかすると新しいエントリーページで試みられている部分かもしれません。
インターネット上に新しい「民主的なメディア」みたいな形でソーシャルブックマークサービスが位置付けられるようになってほしい。ソーシャルブックマークをチェックすれば多様な意見に触れられる。そういう環境を用意しておくべきだなと思ってます。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(後編)
この発言との関係では、旧エントリーページのほうが、多様な意見に触れやすかったと思います。
「はてなスター」が付いて状況が改善されたみたいな話も、そもそもはてなスターというサービスをうちの会社が開発しなければスターを置くってことはできなかったわけじゃないですか。そういうのは最初から思いついて設計できるわけじゃないんです。
運営側にとっても、時間が経つにつれて解決策が少しずつ見えてくる部分もあるし、コミュニティーの自浄作用が問題を解消することだって起こる。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(前編)
2008年03月25日〜27日にかけて公開されたこのインタビューから3年が経過して、はてな運営がだした結論が今回のエントリーページの変更なのかもしれません。
ただ、
積極的にインターネットがもたらす「メディアとしての価値」をはてなブックマークにもっと持たせたいと思ってるんです。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(前編)
メディアとしての価値が上がったかどうかの評価は、しばらく時間の経過が必要だと思います。
今回の変更は、伊藤直也時代のはてなブックマークのコンセプトは大きく転換されたと思いますし、既存ユーザーのひとりとしては、今回の変更は不便になったと感じています。
ただし、今回の変更で得られるメリットも、はてな運営、ユーザー、被ブックマークエントリーの著作者それぞれに、きっとあるのだろうと思います。直感的に不便さを感じても、最終的な評価(ユーザーの場合、利用継続or利用中止)はもう少し様子を見てから判断しても良いと考えています。
でも、ツールとして考えた場合、ブックマークのエントリーのデフォルト表示で今回の新UIと旧UI(コメント一覧表示)のどちらを表示するかのオプションをつけてほしいと思います。
はてなブックマークのエントリーページを改良しました - はてなブックマーク日記 - 機能変更、お知らせなど
ということで本日、はてなブックマークのエントリーページのユーザーインターフェースが変更になりました。ブックマークをするという点についての操作性は向上したような気もしますが、
はてなブックマーク - はてなブックマークのエントリーページを改良しました - はてなブックマーク日記 - 機能変更、お知らせなど
という感じで、ユーザーからは概ね不評なわけです。
ところで今回の「はてなブックマークのエントリーページ改良」の責任者は誰なんでしょうか?
リリースであるはてなブックマーク日記にも記載はありません。ウェブサービスについて開発者の名前を出す必要はないのかもしれませんが、名前が出てたほうが開発者のモチベーションにつながると思います*1。
ともあれ、今回のはてなブックマークのエントリーページの変更は、はてなブクマークのもともとの開発者である伊藤直也氏(id:naoya)の開発思想からは完全に外れた変更だったように思います。
伊藤 おっしゃる通りで、一番は自分の中で「はてなブックマークをどうしたいのか」という基本的なスタンスを考えてみたときに「コメントは一覧できるべきだ」と思ったことが大きいんです。
津田大介が伊藤直也に聞く、「はてなブックマーク」の今と未来(前編)
ブックマークレット - はてなにあるvkgtaro氏作成のものを新UIにあわせて改良
javascript:location.href='http://b.hatena.ne.jp/entry?mode=more&url='+escape(location.href);
*1:今回のようなケースは吊るし上げになるかもしれませんが、「責任感」をもって開発できる可能性も