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反=アニメ批評 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-01-31

『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』に散りばめられた不吉さ――鵺(ぬえ)が運ぶ死のイメージについて

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』は不吉さをまとう。


OP映像が模しているグスタフ・クリムトの絵画群は、

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クリムトの作品と同様、作品全体に不穏な気配を漂わせはじめ、


■グスタフ・クリムト - wikipedia


クリムトの作品は、甘美で妖艶なエロスと同時に、常に死の香りが感じられる



回想シーンで女性軍人がトランペットで奏でる『アメイジング・グレイス』は、意味深な言葉を謳いだし、


Yes, when this heart and flesh shall fail, And mortal life shall cease, I shall possess within the vail, A life of joy and peace.

そうだ この心と体が朽ち果て そして限りある命が止むとき 私はベールに包まれ喜びと安らぎの命を手に入れるのだ



第2話では、実際に(稲光のたびに)死者の姿までもが描かれだす。

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ここまでくれば、もはやあの不細工なオオコノハズクを、


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雨月物語』をもとに「死の象徴」として解釈し出す方がいらっしゃっても何らおかしくもなければ、

■本当はこわい『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』の話――雨月物語から読み解く、コノハズク(フクロウ)の象徴するもの。 - ばべのれ


 このように登場キャラが可愛い女の子ばかりでどこか萌えアニメ然とした雰囲気とは裏腹に、『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』は随所に強烈な死と滅びのイメージが散見され、不穏な空気が瀰漫している。このアニメ怖いです。やたら牧歌的な公式サイトとか釣りとしか思えない。朝の山に響くラッパの音色も、もはや鎮魂曲としか思えない。


 いつモードが切り替わるのかは判らないが(表層的には当分ゆるいままだと思う)、いずれ萌え豚たちの「ソラノヲトは雰囲気アニメ」という甘い幻想が叩き潰されることになるのは、まず間違いないと言えるのではないだろうか。コノハズクのなく頃に、果たして何人が生き残っていることやら……。



現にこのぼく自身が、そのコノハズクをめぐる鳥(=ニワトリ)表現に魅せられては、不吉な予言を口走ってしまったりもしていたわけですが、

■『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』における雑種性――『けいおん!』との類似性を超えて - 反=アニメ批評


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第1話から活躍を見せつけたこの丸々と太った不細工な鳥だけは、今後絶対に無事では済まないはずだと強く確信いたしております。


この直感は、先ほど紹介させていただいた杉田さんによる別の記事に目を通すことによって、その正しさが補強されだしもするでしょう。


というのも、その注目した記事においては、『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』第4話で、不意に語られだした「鵺(ぬえ)」(「最初のは鵺、トロワ州独特の屋根飾り。魔除や厄除けなどの目的を持つ」)に関して(反=天皇主義の象徴であると)論じていらっしゃるのですが、

■つまり『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』の世界は◯◯◯だったんだよ! ――『平家物語』から読み解く、鵺(ぬえ)の屋根飾りが象徴するもの。


ここで、Wikipediaで「鵺(ぬえ)」を、

■鵺 - wikipedia

平家物語』などに登場し、サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足を持ち、尾はヘビで(文献によっては胴体については何も書かれなかったり、胴が虎で描かれることもある。また、頭がネコ胴はニワトリと書かれた資料も存在する。)

※強調は筆者による



さらにそのまま「雷獣」まで調べてしまえば、

■雷獣 - wikipedia

一説には『平家物語』において源頼政に退治された妖怪鵺は実は雷獣であるともいわれる

※強調は筆者による



胴体がニワトリの雷獣――すなわち、鵺(ぬえ)とは『true tears』における「雷轟丸」のことであったことが判明してしまいます。




事実、鵺(ぬえ)を雷轟丸として捉えれば、鵺(ぬえ)=飛べるニワトリ・雷轟丸のオブジェが「天に最も近い場所」に設置されている=「屋根飾り」になっていることの意味もわかりますし、

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そもそも、第4話で鵺(ぬえ)(=雷轟丸)の説明を始めるのが、メインヒロインの一人「乃絵留(ノエル)」(漢字表記は公式のもの)であったことも必然として理解できる(ただしここではとりあえず、「鵺(ぬえ)=乃絵(のえ)」論に関しては言及しません)。

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そしてここで改めて第1話を思い出していただけるならば、そこにおいて既に、鵺=雷轟丸の屠殺死体という、如何にも不吉なイメージが、つまり鵺が死の象徴として、あらかじめ大々的に描かれていたことに思い当たるはずです。

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このように、作品の第1話から、不吉さをこれでもかと散りばめられていた『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』。

もはや誰一人、日常系ほのぼの作品だなどとは信じられないこの作品に関して、次回は、極めてクリティカルな存在である鵺(ぬえ)=コノハズク=ニワトリが、そうした凶兆を司る以外にも、他作品をまたぎ飛び回っては重要な役割を演じ始めているという点にまで議論を進めていきたいと思います。


つづく。



最後に告知。

■絶対アニメルカ宣言――第一回『アニメルカ』公開企画会議まとめ


第二回『アニメルカ』公開会議

  • 日時:2月13日(土)22時〜(予定)
  • 参加者: ぼく(反=アニメ批評)とEPISODE ZERO さん、他
  • 内容(予定)
    • 寄稿者の発表
    • 公開会議
    • 第一回公開座談会

mnnnmnnn 2010/02/01 04:42 そういえば監督の神戸守さんはエルフェンリートでもOPアニメにクリムトをパロっていましたね。

通りすがりのものです通りすがりのものです 2010/02/01 14:31 OPの絵、年代記のタペストリーかなにかにインスピレーションを得ているのだと思っていましたが、クリムトだったとは。
そういわれれば、どの絵もどこかで見たことがありますね。
よくお気づきになりましたね。すごいです。
レビューも興味深く読みました。

ill_critiqueill_critique 2010/02/04 00:35 ■mnnnさん
コメントありがとうございます。

神戸さんはクリムトをパロることを作風とするつもりなんですかねぇ。
次回作のOPがどんなものになるのか、変な意味で楽しみになっています。

ill_critiqueill_critique 2010/02/04 00:37 ■通りすがりのものですさん
コメントありがとうございます。

まあクリムトは美術に通じていない方々の間でも割と有名ですし、この元ネタには、少なくとも見覚えがあった方はかなりいらっしゃっただろうと思います。実際、おそらく他のブログでもそれなりに指摘されているでしょうし。
また、記事の後半は(今回のメインであり、しかし)ただの狂った妄想ですから、あまり読まれないほうがいいと思います。そもそも、当ブログの過去記事をある程度読んでいないと、何をやろうとしているのかという理解も難しいかもしれませんし。

MAMA 2010/02/06 20:27 光の旋律のCDにこの物語は悲しい物語です的なことが書いてあったのでいつスイッチが入るのか楽しみです。

サラマンダサラマンダ 2010/02/07 22:44 おお…こんな元ネタがあったなんて。
リオ先輩が可愛いだけのアニメかとおもってたぜ!

ill_critiqueill_critique 2010/02/11 00:08 ■MAさん
コメントありがとうございます。

なるほど、CDの解説(?)にまで、鬱展開突入が匂わされていたんですか。
不吉な情報ありがとうございました。

ill_critiqueill_critique 2010/02/11 00:09 ■サラマンダさん
コメントありがとうございます。

基本的には、ノエルタンが可愛いだけのアニメだと思います。
というか、サラマンダさんとは、ぼくの知ってるサラマンダさんであってるんでしょうか。それでしたら、お久しぶりです。また覗きに来て下さい。

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