2011-04-26
聖女と魔獣――『魔法少女まどか☆マギカ』ラストシーン読解
4月24日に、『アニメルカ vol.3』に寄稿いただいた喉君、『エロ年代の想像力』に寄稿いただいたサカモト君をお招きして、今期新作アニメ(および一部の前期アニメ)から20〜30作品ほどを網羅的にしゃべるustream放送をした。
これから何回かにわけて、そこで話したことの一部を差し障りのない範囲のことをまとめてみたい。
ということで、ust一部採録その1。
■『魔法少女まどか☆マギカ』
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『魔法少女まどか☆マギカ』が終了した。でも『魔マま』について語ることは、なかなかにむつかしいことだ。ネット上での作品考察の盛り上がりは甚だしく、新たにタイピングされる言葉は、きっとほとんど、もうどこかに記述されている。そのエントロピー過剰な人気がつくり出した空気の中では、作品の批判者は、自然と「人と違うこと言う俺かっこいい」的厨二病患者として認定されてしまうから、瑣末なニュアンスへも気を配る必要がある。わけがわからないよ。だからいままでプライヴェートな空間では散々語りつくしてきた作品だけれど、ネット上じゃ、こんな一文でも付しておかなきゃおいおい語りだせやしない。
もちろん。
大前提として、『魔マま』は良くできたエンターテインメント作品だった。もし仮に、万が一ぼくがustで皮肉っていたようにも解釈可能な部分が空耳的にあったように錯覚したとすれば、まずは自分の聴覚と認識能力を吟味して正常であることを確認した後、空気を読んでほしい。
大部分の余計な発言をピーして簡単にまとめると、あそこでぼくが言っていた『魔マま』の第一印象とはこういうことだ。
虚淵玄はエロゲライターである。だから彼が描く魔法少女の物語は、実際すごくエロゲ的に進んでいった。エロゲにおける魔法少女は、激しい戦いの末、破れて(処女膜含む)陵辱される存在だってのが相場だ。魔界に住むとおぼしきクリーチャー的な生物に、触手や粘液で体の隅々まで犯され、身体の純潔とともに魔法少女としての誇りも踏みにじられる。だから『魔法少女まどか☆マギカ』で、魔法少女たちが強いられ続けた身体的苦痛や精神的絶望も、エロゲのロジックを忠実に採用した結果のようにぼくには見えた。
その極みが、ラスト出てきた「魔獣」って存在で、その直球ぶりにはちょっとびっくりした。だって、「魔獣」なんて言いながら、彼らの姿形は「獣」ではなく「男性」そのものとして描かれていたんだから。そこでは、「男=獣」という陵辱エロゲの文法が完全に踏襲されていた。彼らの攻撃パターンも、流出画像によれば、手から細長い線が幾本も伸びて魔法少女を襲うというものらしく、ここから連想されるのは誰にとってもエロゲ的な触手だろう。
そうなってくると、第11話で匂わされた、歴史上の「聖女」たちが実は魔法少女だったって設定の意味もクリアになる。なぜなら「聖女」っていうのも、エロ年代的想像力においては、聖女=性女という、性にまつわる女の子たちを意味しているのだから(エロ年代においては、三国志や戦国武将が女体エロゲ化されていることを思い出そう)。
つまり最後の最後、最終話Cパート。ほむほむの黒い羽は、彼女がダークサイドに落ちつつあることを暗示してたように見えたかもしれない。でも安心して欲しい。あの黒い翼は、きっと聖獣たちの謎の白い液体によって、元のほむほむの天使の翼へと、再び白く濁りなおされるものなのだから。(エロゲ的には)ハッピーエンドだ。
■余談1
『魔マま』第11話は岩明均の『寄生獣』を連想させた。そもそも、寄生獣とキュゥべえは、人間とは価値体系の異なる無垢なエイリアンって設定やその言動の憎可愛らしさが共通している。第11話でキュゥべえは、人間の死と家畜の類比性を説明していたけど、こういう中学生が心酔しそうな正論は、寄生獣でもほぼ同じ形式で用いられていた記憶がある。
また第11話の別のシーン、まどかが母親を説得する山場でも、そこで用いられた「あたしこれまでいい子だってでしょ」的説得のロジックは、『寄生獣』で主人公・新一が父親に使ってたものとほぼ同型だったはずで、話数全体としての既視感が強かった。
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■余談2
『魔マま』ビジネスでは、お守りの派生として、「血だまりスケッチ――ワルプルギスの夜用」という生理用品を発売すべきだろう。あと、まどかからほむほむへと受け継がれたリボンの赤はどう見ても経血染め。
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■余談3
なお、本文中で言及されている「エロ年代の想像力」は以下の書籍に詳しい。
また『エロ年代の想像力』は、現在コアマガジンが運営するウェブマガジン上でも連載されている。
同じく反=アニメ批評が編集するアニメ批評同人誌としては『アニメルカ』がある。6月12日の文学フリマでは、また新たな動きがあるのかもしれないから、続報が待ち遠しい。
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