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| パパの電話を待ちながら | |
![]() | ジャンニ・ロダーリ 内田 洋子 おすすめ平均 ![]() 読む度に新たな発見がありそうな傑作童話集を老若男女すべての方にお奨めします。 とってもシュールなショートショート。 幸福です。 とにかく読む。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
光文社古典新訳文庫の『猫とともに去りぬ』もおもしろかったロダーリ。パパが出張先から電話でしてくれるお話、とゆう設定の、やや短めのお話の短篇集。
寓意があるようでないような、ないようであるような変な話ばかりで大満足。「で、この変な話の意味は?」と聞かれても、「さあ?」と答えるしかないような話が多分に含まれており、そうじゃよねー、お話っておもしろいのが正義であり、意味とか意義とか教訓とかは無理に探せば出てくるかもしれないけれど、別に考えなくてもいいよねーと安心できる。たまに豪快すっ飛ばし(オチも読者も)な話も紛れ込んでいるので油断できねー。
すごい旅行家ジョヴァンニーノ・ペルディジョルノの旅行シリーズが好き。イタリアの作家だからといっしょにするのは軽率だけれど、イタロ・カルヴィーノ『マルコ・ポーロの見えない都市』とか、ルイージ・マレルバ『皇帝のバラ』の、架空の国の話が好きだったことを思い出した。
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「ルーマニアのボルヘス」という売り文句に惹かれて買ったのだけれど、「○○のボルヘス」と「ガルシア=マルケス絶賛」だけは信用しちゃいけないとも思っているリトルおろかなわし。
ライプニッツの思想がまったくわからんのだが、「可能的世界」というのは並行世界のことでええんじゃろかー。鏡をキーワードにして世界が増殖するというのでボルヘスの「鏡と交合は人間の数を増殖するがゆえにいまわしい」という言葉から「ルーマニアのボルヘス」という売り文句を持ってきたみたい。作中作がたくさん出てきて、作中作と物語が鏡像のようになっているのもボルヘスっぽいのかにゃー。こうゆう個々の要素それぞれにボルヘスっぽさは感じなかったのだけれど、これはこれでおもしろい。
なんとゆうか、盛り上がりに欠ける物語なんだけれど、その盛り上がらなさがおもしろい。主人公のルイは平凡な生活の中で「ありえたかもしれない別の世界」を、あるいはライプニッツの弟子の日記に見たり、あるいは異端審問官の告白に見たり、あるいは出版されなかった本に見たり、あるいは結末が2種類ある脚本に見たり、あるいは自作の小説に見たりするのだけれど、同じモチーフの別の物語が語られてとくに収拾するわけじゃないのがすごく好き。自作の小説に至っては、もういいやとばかりに結末を投げ出す始末。4章の末にある「自ら創造した者達をコントロールできない。これこそまさに神の特権なのだから」という言葉でうまく言っていると思う。ライプニッツの能天気な世界観に相応しい、哲学的なんだけれどなんとなく能天気な話ですごくいい。
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若いドン・ジュアンがものすごい勢いで周囲の女の人たちとセックスしまくる話。解説で、同じアポリネールの『一万一千本の鞭』と比較していたけれど、確かに比べると『ドン・ジュアン手柄話』はエロはエロでもエロいだけで、行きすぎたエロさがものすごい勢いで温かい笑いに到達した『一万一千本の鞭』の境地にまでは至っていないかんじ。
エロって難しいんじゃよねー。エロDVD見てても思うんだけど、セックス(てゆうか、性器)そのものを描写してしまうとみんな同じになってしまう。かといって、セックス(てゆうか、ちんこまんこ)を見たくないわけじゃなくて、むしろなければ不満に思う。セックスに至るまでの過程と予感こそがエロの本質だと言い切れる。過程や予感とは、たとえばセックスをする両者の設定だったり、両者の関係がどのような変化を経てセックスに至ったかであり、そうゆうのの描写は小説は適していると思う。セックスそのものの描写は、直截な描写を避け続けること(過程と予感を延長すること)に小説は適しているけれど、なんかモヤモヤする気持ちが残るが、そこがまたエロいのだと言い切れる。そう考えてみると、澁澤龍彦が「新鉢を割る」だの「埒をあける」だの「手遊びをする」だの、一見意味がわからんけれど文脈で読んだらそれだとわかる訳語を当てたのは、偉いしエロいなーと思った。
性に目覚めたドン・ジュアンが童貞じゃなくなるところまではおもしろいのだけれど(歳若いおばとの風呂場でのやりとりとかすごくいい)、あとは周囲の女性と当たると幸いにセックスするだけなのであんまりおもしろくない。しかし、おもしろすぎるオチにつながると考えれば、まあいいか。やりまくったせいで周囲の女性がみんな妊娠して進退極まったかに見えたドン・ジュアンがどうするのかと思ったら、ものすごい勢いでテキトーに誤魔化して、ものすごい勢いでそれが通ってしまうからおそろしいぜ。「ぼくはさらに他の子供を生みたいと思っている。そうすることによって、ぼくは愛国の義務をはたし、わが国の人口増加に一役を買うことができると思っている」 こんな能天気なオチ見たことねー!
解説で、女性が類型的で、ドン・ジュアンが一度も失敗することなく周囲の女性とセックスすることを指して「モテなかったアポリネールが願望充足したかっただけなんじゃねぇの?!(ハルパゴス顔で)」と書いてて、そうかもしれんけどそんなこと言ってやるなよと思った。あと、アポリネールが恋人にあてた手紙がたくさん収録されていて、ナポレオンのラブレターを読んだときにも思ったけど、こんなの公開されたら死ぬしかないなと思った。うっかり歴史に名前を残すとおそろしいにゃー。
![]() | ワイオミング生まれの宇宙飛行士 宇宙開発SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー) アーサー・C・クラーク スティーヴン・バクスター アダム=トロイ・カストロ ジェリイ・オルション アンディ・ダンカン ウィリアム・バートン ジェイムズ・ラヴグローヴ エリック・チョイ 中村融 早川書房 2010-07-30 売り上げランキング : 9251 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
中村融の、派手さはないが上質な選球眼には定評がある。正直にいうと、一篇一篇にはそれほど魅力を感じないんだけど、「宇宙開発SF傑作選」とゆう括りにしてしまうと各々のポテンシャルを越えた驚きのおもしろさになるからおそろしいぜ。やはりアンソロジーは切り口次第だと言い切れる。
宇宙開発史って、歴史改変とビックリするぐらい相性がいいのでビックリするんじゃよねー。ジョアン・フォンクベルタ『スプートニク』でも思ったのだけれど、ビックリするような素っ頓狂な計画を湯水のような金で推し進めた現実があるから、今さらどんな無茶な架空の歴史だってドンと来いなんじゃぜ? アポロ計画とかマーキュリー計画とかにもっと詳しければ、さらに楽しめたのかなと思う。実施された計画(現実)と、破棄された計画(妄想)が混然一体となって、目指すのはどちらも同じ空の果ての果てだというところがすごく好き。フレデリック・ブラウン『天の光はすべて星』でいえば、星くずたちのたくさんの夢が、夢でなくなる物語ばかりでうれしい。
アンディ・ダンカン『主任設計者』 初っ端で、アメリカ側ではなくソ連側の宇宙開発話を持ってくるところがたまらんよねー(馬鹿はテキトーなことを言う) 架空の(てゆうか計画段階で破棄された)宇宙開発史も素晴らしいけれど、主任設計者のキャラクターがすごくいい。『王立宇宙軍』のグノォム博士を思い出したりした。
ウィリアム・バートン『サターン時代』 スペースシャトルじゃなくてサターンがずっと進化しつづけていったらどうなるんじゃろかーという話。宇宙計画の選定もそうだけれど、その時々の大統領選挙を絡めて、大衆が望んだ宇宙計画を作り上げているところがすごくいい。さまざまな大統領候補にアメリカのさまざまな未来を幻視するスティーヴ・エリクソン『リープ・イヤー』を思い出したりもした。
アーサー・C・クラーク&スティーヴン・バクスター『電送連続体』 瞬間物質転移装置と宇宙開発の話が同時進行かつ密接にからみあいつつ、なんか人間ドラマまでちゃんとあるからおそろしいぜ。あらすじだけ書くとすさまじくトンチキに思えるのは気のせいじゃろか。
ジェイムズ・ラヴグローヴ『月をぼくのポケットに』 よくあるちょっといい話なら、思いこめばその辺の石ころだって「月の石」になる。ただこれはSFなので、その辺の石ころをちゃんと「月の石」にしてしまうからすごくいい。
スティーヴン・バクスター『月その六』 すさまじく悲惨な状況が、すさまじく喜劇的に起きてしまうところがおもしろすぎる。並行世界ネタだからっていい気になりやがって、米ソの架空の宇宙計画どころか、ロイヤルエアフォース印の原子力ロケットまで繰り出してくるからおもしろすぎる。
エリック・チョイ『献身』 「献身」って題名にはちょっと違和感を覚えるのだけれど、危機的な状況で頼れるものは自分たち自身しかなく、ありものをすべて使って現状を打破するのは燃えるよねー。「あきらめない」というのは宇宙飛行士に一番必要な資質だと思う。
アダム=トロイ・カストロ&ジェリイ・オルション『ワイオミング生まれの宇宙飛行士』 話自体もいいけれど、「アメリカ人がすごい勢いでアホになっている」「アラブ首長国連邦が月着陸をしたのは、アポロ計画の下品な遺物を綺麗に掃除するためだった」みたいな垣間見える設定が楽しすぎる。
帰省したついでに、ちくさ正文感と神無月書店に寄る。あー、やっぱり地べたの本屋さんはいいなー。どっちもそんなに広くないし、なんでもかんでも置いてあるわけじゃないんだけど、「欲しい」と思う本が目に留まるように陳列してあるところが好き。京都に支店作ってくれないかにゃー。その手の本屋はいろいろ回ってみたけれど、ちくさ正文館が一番うれしい。
●中村融編『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』 創元SF文庫
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「ロマンティック時間SF傑作選」とゆうくくりもあるけれど、解説にもあるように、やはり時間SFはロマンティックが止まらなすぎるとわかった。時間を跳ぶだなんて!素晴らしく無茶苦茶な無理が、恋愛甘甘な物語の仕掛けだけに使われるとゆうギャップが楽しいのだと言い切れる。
ウィリアム・M・リー『チャリティのことづて』 ハートウォーミングな時を超えたテレパシーが、なんでか魔女狩りにつながってギャワー。時を超えた伝言って、ろまんてぃっくな仕掛けじゃよねー。アユタヤ朝の寺院にある山田長政の落書きみたいなもんじゃよ?(わりと台無し)
デーモン・ナイト『むかしをいまに』 人生がひたすら逆転する話ってディックやバラードも書いてたけど、だれでも思いつくしビジュアル的には間抜けな話をこんなにもしっとり仕上げてしまうのがおそろしいぜ。普通の時間の流れだったらおそらくひどい別れ方をしたであろう妻とのロマンスが、逆転されるととんでもなく美しくてふしぎ。
ジャック・フィニイ『台詞指導』 昔が好きすぎて昔を再現したら昔に戻っちゃったとゆうフィニイの芸風は、細部にこだわることで説得力がでる。その細部が正しいか正しくないかはともかくとして、という意味ではまさしくSFなのか?(馬鹿はSFの科学的説明がいつも理解できないが、なんとなく納得していた)
ウィルマー・H・シラス『かえりみれば』 「人生をやり直したい」とゆう他愛ない繰り言をポロリと漏らしただけなのに、すぐにその願いを叶える謎薬を処方する教授は、変態科学者アンソロジー『マッド・サイエンティスト』に出演するべきだと思った。
バート・K・ファイラー『時のいたみ』 おそらくは自分自身が望んでそうしたであろうが、その意図が自分自身にもサッパリわからないとゆうシチュエーションが楽しい。失われた過去を取り戻したいとゆう真摯な願いは叶えられるが、それが輝かしい未来の保障にはならない。
ロバート・Fヤング『時が新しかったこと』 トリケラトプス型タイムマシンとゆう素敵すぎるガジェットが楽しい。そして天才が努力すれば、どんなことでも可能なのだと言い切れる(物語的にも)。体中が痒くなるような妄想寸前(てゆうか、カーペンターさんの死ぬ間際の妄想?)の甘甘ラブストーリーだが、でも俺、そんな話嫌いじゃないぜ?(『たんぽぽ娘』の発売を待ちながら)
チャールズ・L・ハーネス『時の娘』 この親娘こえー。ろまんてぃっくってゆうか、男視点で見たらサイコホラーじゃね?と思った。どこに行ってもあの女が追ってくる…!
C・L・ムーア『出会いのとき巡りきて』 ものすごくろまんてぃっくな話なのだが、エリックがタイムマシンを背負っている姿は、おそらくとてもおもしろい姿なんだろうなと思った。この短篇のよさはよくわからん。
R・M・グリーン・ジュニア『インキーに詫びる』 露骨にSFな仕掛けがある他の作品もいいけれど、「記憶」とゆう名のもっとも原始的で魅惑的なタイムマシンを駆使してるこの作品が一番好き。ナボコフみたい。