2010/12/24
■[book]久我真樹『英国メイドの世界』
本書は、英国ヴィクトリア朝を中心とした昔のイギリスの文献を調べ尽くし、メイドの仕事内容や報酬・キャリアパスなどを詳細に体系化した、600ページ以上にも渡る膨大なデータベースである。そもそも「メイド」というものが、10種類前後にも細分化されるほどの分業的な職業システムだったこと自体に俺は驚いたが、これもよく考えたら当たり前である。あれほどの広さを誇った貴族の屋敷に、(大きな屋敷では)数十人単位で使用人が住みこむのである*1。にっこり笑って「お帰りなさいませ」で何とかなる世界であろうはずがない。彼ら・彼女らはプロフェッショナルの職業集団だったことが、本書を読むとよくわかる。また本書は「メイド」と銘打っているが、執事やフットマンといった男性使用人の実態も克明に綴られている。
しかも著者は専業のライターやジャーナリスト・研究者ではなく、あくまでも一般のサラリーマンとして生計を立てながら、長年かけてこれらの情報を紐解き、整理し、同人誌として発表してきたようだ。頭を垂れるしかない。
繰り返す。本書は単なる萌え本ではない。英国の貴族文化・家事使用人文化を考察した、大真面目な本である。しかもわかりやすい。超良書につき、大推薦!
余談
著者のHPを見つけたので、俺の備忘録を兼ねてリンクを張っておく。
※関連サイト
*1:もちろんメイドを一人しか雇わない家もある。そういう場合には当然、分業的なスペシャリストとしてではなく、ゼネラリストとして「何でもやる」ことが求められるが、そうしたメイドについても本書には詳述されている。
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