2007-02-07 指定管理者制度・民営化・博物館
■こんなことがありまして[社会]
私が現在勤める場所は、展示施設もあるけれど、会議室などの貸出施設もあり公民館のような役割も担っている。文学関連に力を入れているので催し物も文学関連が多く、子ども向けの講座も開いている。
そんなうちの館に、地元の小学校が来ることになった。総合学習の授業で「館内を見学した後で、別の部屋で○○教室(毎月定期的に開いている子ども向けの講座)のようなものをやってほしい」とのことだ。
地元の小中学校が行事で利用する場合、自治体が所有する博物館などの施設では、学校側から「減額免除申請」を出してもらうことで、利用料を無料にできる。当然ながらうちの館もその制度はある。館内見学はもちろん、地元の小学校が授業で利用するのだから部屋の貸出も無料にするのだろうと思っていた。
ところが上司の判断は「見学料は無料。部屋代は正規の金額を取る」
驚いたが、担当する職員がそれで受けてしまった後でその話を聞いたので、今さら上司に直接深い理由は尋ねにくい。
減額免除申請は見学料のみに適用されるものなのかといえば、それは違う。展示がなく貸出施設しかないところでも同じ減額免除申請をうけているので、部屋の貸出でも料金の免除はできる。
その判断をした上司は、さらにその上の上司が来た時に報告していた。
「今度○○小学校が来るんです。部屋代はきちんと支払ってもらって、講座をやります」
報告を受けた上司は咎めもせず、何もいわなかった。
そもそも公の博物館のような施設は、青少年育成の一環としての役割だとか、文化的活動を促し云々とかいう目的も必ずあるはずなのだ。その目的を達成するために、地元学校の減額免除申請なんて制度が作られている。それを履行しないならば、なんのためにこんな制度があるのか。
組織の一員としてはあるまじき考えかもしれないが、誰か問題にしてくれないかと本気で考えてしまう。
学校側が教育委員会などの役所に訴えれば、絶対に咎めを受けると思うのだけど。
悲しいことに、そうでもなければ、上しか見ない上の人たちは変わってくれない。
- 指定管理者制度の流れ・博物館の役割
私はここの館に異動して一年目だが、そもそもうち館の体質が腹に据えかねることが多くてどうしようもない。
例えば、展示解説をほとんどしないことに驚いた。学校が見学に来ても、団体が見学に来ても、展示解説をしない。しかし、団体が事前に電話をかけてきて解説を求めてきたら10分程度の解説、30分以上解説できるならば解説+ビデオ(これは時間数もはっきりと上から指示された)。それでも普段の窓口で「展示解説はないんですか?」と聞かれても「ありません」と答えなければならない。理由を聞いてみると「そのことに人手はさけない」人手がいる時ならいいけどと言うが「でも一度やると、次にやらないで文句をいわれても困るし」という。
解説がない代わりにペーパーなど展示を補足するようなものを充実させているかというとそうでもない。あるのは細かい文字で書かれた白黒の紙が2種類だけ。うち1種類は長年内容が変わっていない一枚紙。もう1種類はその時の展示品の目録。しかもこれが業者に頼んだやたら質のいい紙の印刷。パソコンで自作すれば安上がりでもっと種類を増やせるのではとも思うのだが、自分で製作や印刷する手間が大変とか置き場所が困るとか、いろいろ理由を言われ……。
人手不足は確かにあると思う。だがここで1年間勤めてきて考えてみると、この館はどうも「金がとれない業務」と「数字にならない業務」を徹底的に避けている。そういう業務をむしろ「よけいな仕事」として捉える傾向がある。
「金がとれない業務」は字のごとし。「数字として報告できない業務」というのは、レファレンスや展示解説をしたり無料の配布物を作ったりなど、主に客を満足させる業務にあたること。入館者数や貸出施設の利用率、頒布物の売上などは数字として表せるが、客の満足度は数字で表せないのだ。
館の実質的な業務のトップを長年努めてきた上司はことあるごとに「時代の流れ」を口にする。指定管理者制度に戦々恐々とし、実績をあげるために必死に頑張っている。だが、必死なあまり、うちのような施設が何のためにあるのかという目的を忘れているように思えてならない。
ちなみに。私がここへ異動する前に勤めていた館では、学校見学には必ず職員がついて解説した。団体でも個人でも、窓口でいきなり解説を要望されても、できるだけ応えていた。解説がなくとも入館者に少しでも満足してもらおうと、館内に置くペーパーなども自作して種類を充実させた。一方、経費削減のために企画展示のパネルは毎回何十枚も自作した。学校の総合学習で利用したいという相談には、教員と館の職員で何時間もかけて授業や見学のを検討し合った。
だが、場所が非常に辺鄙なせいもあって入館者数は少ない。地元学校の見学は私が現在勤める館よりも格段に多かったが、それを含めても全体の入館者数は少ない。
一方、今勤務している館は周辺に観光名所が点在する全国的に知られた地域で、入館者数は割と多い。地元にゆかりのある歴史上の有名人をメインテーマとした館でもあり、名前だけで人が来やすいという面もある。
そのせいか、うちの上司はことあるごとに私の前の勤務先の館をひきあいに出す。組織の上の方から全体の数字がおりてくるとそれを見て笑う。「かわいそうになあ〜。これしか入ってないなんて」と言う。
くやしくて仕方がない。上の人の評価も、この上司と似たようなものなのだろう。
……なんてことを、公立博物館(業界では地元住民との連携や活動で定評のある地域博物館)の学芸員に話してみた。その一言目は
「それが民営化ってことじゃないの」
だった。
民営なら客に対するサービスは重要であるはずだから民営化すればサービスも向上するだろう、というのは間違いだと思う。というのも、そもそも指定管理者及び民営化の導入そのものが経費削減を目的としたもので、報告をするほうも受けるほうも当然数字を重視する。行政としては「導入しても実績報告を受けてチェックするから大丈夫」というが、その報告を受けるのも経費削減を目的として施設を手放した行政の方であり、数字では見えない実績や業務内容を考慮してくれるとは思えない。思えないから、現場も数字になるような業務を重視させられる。その害が現われた例が、例のふじみ野市のプールで事故だったのではないだろうか。行政は契約違反だったとかいろいろ言うが、そもそも行政の側が業者からの報告の何をみていたのかということを考えればわかりやすい。(ちなみに都の各区営プールでは委託業者の孫請が公然と行われていたという話も当時発覚した)
数字になる業務を重視することも大切なことだということはわかっている。だけど、本来ならば金や数字にならない業務に携わり、教育などの目に見えない緩やかな効果を狙うことが、博物館や公共施設の役割ではなかったのか。指定管理者制度や民営化の流れはその役割を遂げるための効果があるとはどうしても思えない。
地域の住民もこの流れで本当にいいのだろうか。
私達現場の下っ端が上から言い聞かされるのは、住民も経費の削減や業務の効率化を願っているから(このやりかたは正当だという流れ)・・・という話ばかりなのだ。
2006-12-14 妊娠しました
人がつわりで苦しんでいるときに防衛省は可決しちまうし教育基本法まで決まりそうだって。
あんな不祥事も謝って減給で済むような程度の問題だったんですね。いやあ国民の声を聞く場てのは大層軽くみられたものですわあ。金で未来を作るこれが故郷わたしの国。
そういうわけで、妊婦になりました。まだ初期なので予断を許さない状態ですが。
2006-11-23
■伝統と文化を守り継承する組織?[社会]
以前書いた関連記事。
http://d.hatena.ne.jp/index_home/20060113#p1
http://d.hatena.ne.jp/index_home/20060522#p1
数年前から新規の正職員を採用せずに非常勤職員(契約更新回数制限なし)のみを採用してきたうちの組織が、今年は「1年契約更新なし」の職員のみを採用。そして、来年度からはそれさえも停止し、派遣社員を入れる予定という。
指定管理者制度の導入により、もしうちの組織にある他の施設が別のどこかがとってしまったら、その分の職員を維持するための費用が必要。そんな状況の中、非常勤職員でさえも社会保険などの面で金がかかる。その金も惜しくなり……ということらしい。
利用者に配布した組織の運営に関するアンケートの結果では「パートを増やして人員コストを減らすべきではないか」という意見もみられた。…と、上の人たちの会議で発表されたという。
だが、アンケートにそれを書いた人は、うちの組織における非常勤職員の割合、さらには施設ごとの正職員・非常勤の割合を知っていて書いているのか。
だいいち、「こういう意見を書いている人もいる」と私たちに知らせた立場の人達は、それら職員の内訳をアンケートを書くような人たちに堂々と告知しているのか。
ぶっちゃけいってしまえば、ホールなどの事務仕事が多い施設よりも、専門的な技能が必要な施設(博物館など)ほど非常勤職員が多い状況をどう考えるのか。
このな状況になっている理由は簡単で
正職員は「事務仕事なら」できる人が大多数、
非常勤は「専門的な仕事と事務仕事ができる」人が多数、
だから、専門的なことを扱う施設ほど非常勤が多くなる。
こんなことを書くと、非常勤に贔屓目といわれるかもしれない。(実際そうかもしれないけれど)が、うちの組織に所属する職員は全員肩書きは「事務職」。そして、非常勤も正職員と同じくらいに事務仕事ができることが前提となっている。専門的な仕事を事務仕事をどれくらいの割合でその人にさせるかは、配置先の施設次第となってはいる。つまり、上司次第。
民間の会社ではそういう現実もあるよ、といわれればそうなのだろう。
だけど、私が所属する組織のようにのように公が絡んでもちつもたれつでやっている組織は、民間と同列に比べられない。
なんせ組織のトップはみんな役所から派遣されてきた人たちで、数年後には役所へ戻っていくのだ。戻った時に役所での出世に影響があるような交渉をするはずもない。大胆な改革ものぞめまい。
その下につく正規の職員は、そんな上司の下で、来るべき指定管理者制度に向けてリストラされないよう戦々恐々とする。
非常勤はただの非常勤。「正職員も非常勤も同じ職員」といわれて正職員とほぼ同様の仕事をしながら、それでもれっきとした非常勤。出世もないし手当てもつかないし正職員への道はない。発言も……どこまで届いているやら。
2006-09-30
■最近の感想
- 国旗国家違憲
注目したい事柄ではあるのだけど、実はこの先には悲観的。希望はもちたいと思うのだけど。
どうでもいいんですが、知り合いの就学前の子供がいる人(思想傾向同じ)が「君が代とか歌わなくてもいい学校に通わせたい。だから私立になるかな〜」と。こんな自由も金で手に入れるものになるのかしらん。
- 皇室男児誕生
やはり女性天皇議論は自然消滅か。雅子さん病気悪化したりしないかちょっと心配。
- 安部内閣
( ゚д゚)ポカーン
2006-09-26
■インターンシップの学生が来た[社会]
うちの組織では初めて。
受け入れる前。上からの話を聞くと、その大学でインターンシップの受け入れ先の希望をとった時に文化系施設やそれを管理する団体に、定員の数倍もの希望者が集まったということだった。うちの組織はそれと同じ類の組織なので「うちのような組織は学生に人気があるらしい。一見華やかに見える職場のその裏を、学生達はどう見るのか」云々とのこと。
それならその定員に見事おさまった学生はよほどやる気があるんだろうな。
と思ったのだが。
実際に来た学生はというと、どーも違う。
真面目にやっていることは確かなのだが、積極的でもない。学年を聞くと、一年生。専攻を聞いてみると、経済系の学部。(ちなみに私の今の施設はバリバリの文学系)。うちの施設や組織自体にも、あまり関心がなさそう。
資格取得課程の実習生でもないのでうちの職場で必要とされる事柄の予備知識もあるわけがなく、専攻分野も違うし関心もなさそうなので、職場での知識をせっせと教えてもウルサガラレルだけだろう。正直いって、何をやらせればいいのかわからない。単純作業を中心にやってもらったが、これは、インターンシップとして望ましいありかたなんだろうか?
なので、聞いてみた。
- どうしてうちの施設にきたの?
→希望を出せるのは会社までで、そこからどこへ行くかは希望をとられない。
- どうして、うちの組織を希望したの?
→他の一般企業もあるけど、そこでの仕事内容は飲食店のウェイターだとか……。そういう仕事よりは、文化系施設の仕事の方がよかった。
- なんで、インターンシップ、やろうとしたの?
→必修単位がとれるから。その単位はインターンシップではなく講義でとれるけれども、その場合文系学生は数分野(分野忘れた)の講義を聞かなければならない。それなら一度ですむインターンシップに行ったほうがいい。
- 1年生でとらなきゃいけないの?
→3年生までにとればいい。でも1年生で取ったほうがry
というわけでした。
学生がこの程度の意識で臨めてしまう「インターンシップ」。しかも必修単位ですと。当の大学はいったい何をさせたいんだろう。
もちろん、積極的にこの仕事の実習をしたい、という学生もいるでしょう。分野や職種によっては、インターンシップを有効に活用して会社や職種に興味をもたせ、その職業を志す次代の育成にもなるかもしれない。だけど、ウェイターやプール監視員ならバイトとして金銭を得て仕事するほうがいいと思うのは、学生としては当然のことでしょう。大学側もこういう仕事をよく「インターンシップ」と銘打って学生に示せるよなあと思う。バイト歴を単位に組み込んでやった方がいいんじゃないかと。
(ウェイター等を馬鹿にしているわけではありません。あくまで、バイトでも普通に見つけられるような仕事をインターンシップでさせることに何の意味があるのかという問いです。実際に受け入れるほうも困ると思うんだけどなあ。使えない人を「こっちは金払って雇ってるんだからヤメロ」といえないわけだし)
ちなみに、私が見ている範囲でこの学生が一番興味を示した(と思われる)事柄は、領収書の書き方でした。