鳥さん天国 -Chronicles of bird paradise-

野鳥大好き人間が暮らしたインドとインドネシアで出会った鳥たちを紹介しています。

Black Stork ナベコウ(インドの鳥その152)

インドトキコウに続いてインドで見られるコウノトリの仲間をもう1種紹介します。

ナベコウ Black Stork (Ciconia nigra) です。

インドでは、主に冬鳥として沼地や川に渡来します。

写真は、冬にインド北部ウッタラカンド州東部の川で休んでいる、数羽の小さな群れに出会った時のものです。

真っ赤な嘴と脚、目の周りも鮮やかです。首から頭にかけての緑と紫の光沢が

グラデーションとなって輝きます。

正面から見ると胸から下が真っ白で、コントラストが鮮やか。。

こんなに派手な風貌のコウノトリは珍しいのではないでしょうか。

世界的には、旧北区とアフリカに広く分布しています。日本では迷鳥として稀に記録されます。ユーラシア大陸中緯度の西から東にかけて繁殖地があるので、もう少し日本に来てもよさそうな気もします。

私がナベコウを見たのは日本ではなく、インドとエチオピアだけです。

Painted Stork インドトキコウ(インドの鳥その151)

インドにはこんなに鮮やかな色をしたコウノトリがいます。

インドトキコウ Painted Stork (Mycteria leucocephala) です。

全長93~100㎝の大きな鳥です。

インド南部のカルナタカ州で夏に出会ったインドトキコウです。巨大な赤みがかった黄色の嘴とオレンジ色の皮膚が裸出した頭、灰白色のフードがユニークな顔を際立たせます。身体は白く翼は黒。ピンク色のペンキが吹きかけられたような三列風切が見えます。 

 

こちらは秋にデリー近郊で出会ったインドトキコウの顔のアップ。

 

インド北部ウッタラカンド州の湿地で秋に出会ったインドトキコウ。高木のてっぺんで数羽が休んでいました。

白目をむいて大きな嘴を広げます。

10月終わりのデリー近郊の湿地。枝を組み合わせた巣で卵を抱いているようです。

近くにはこのような雛も見られました。

ご紹介したように、インドトキコウは、北西部と北東部の一部を除きインドの平原部の大部分で見られます。インドからスリランカ、インドシナにかけて分布しています。私は中国貴州省で飛ぶ姿を目撃しました。

Whiskered Tern クロハラアジサシ(インドの鳥その150)

冬にインド南部のケララ州に行った時でした。

川の上のケーブルに数羽の沼アジサシが休んでいました。

クロハラアジサシ Whiskered Tern (Chlidonias hybrida) です。インドではカシミール地方など北のほうで繁殖し、そのほかのところへは冬鳥としてやってきます。

夏羽だとくちばしに赤みがあり頭が黒いのですが、今は冬羽です。

 

正面顔がかわいらしいです。

黒い目もかわいらしいですね。

首をかしげると、頭の上のごま塩模様がよく見えます。上面は灰色です。

ヨーロッパやアジア、アフリカ、オセアニアに広く分布します。

学名のhybridaは、命名者がハシグロクロハラアジサシとアジサシのハイブリッドではないかと考えたことによるそうです。

Eurasian Griffon シロエリハゲワシ(インドの鳥その149)

インド北部ウッタラカンド州のラジャジ(Rajaji)国立公園では多くのハゲワシが見られます。

この時は4月です。崖の上の枯れ木で大きなハゲワシが休んでいます。

シロエリハゲワシ Eurasian Griffon (Gyps fulvus)です。

 

がっしりとした嘴と鋭い目を持っています。首の下面に白い羽毛が回っています。

 

全長は95~105cm。大きなハゲワシですが、2015年5月に北インドの鳥として紹介したヒマラヤハゲワシはシロエリハゲワシより一回り大きい115~125cmです。

下面が赤褐色で白い筋が目立ちます。

 

襟のふさふさが赤褐色ですので、若い個体でしょう。成鳥は和名のとおり、もう少しおしゃれにふわっとした白いマフラーを巻いています。

シロエリハゲワシは、乾燥した開けた大地の上を動物の死骸を探して旋回しているのがよく見られます。

ヨーロッパから中東、パキスタン、インド、ブータンにかけて見られ、インドでは主に冬鳥として、中部から北部で見られます。

ここラジャジ国立公園は野生のゾウもよく見られるところです。

 

Zitting Cisticola セッカ (インドの鳥その148)

今回の鳥は、日本でも、海外でも割と出会える鳥。

セッカ Zitting Cisticola (Cisticola juncidis)

セッカは、ヨーロッパ南部からインド、東南アジア、オーストラリア北部まで広く分布しています。アフリカやフィリピンにもいます。

インドには留鳥として全国に広く分布しています。

 

これは12月にインド北部ウッタラカンド州西部で見たセッカです。

 

こんな葦のような植物の多い草地に見られます。

 

こちらはウッタラカンド州東部で会った個体です。

 

草原で時々鳴きながらふわっと飛びあがって弧を描いて草原に戻るのが見られます。

日本の図鑑では、セッカの大きさは全長13cmほどと書かれていますが、インドの図鑑では10㎝と書かれています。日本鳥類目録では、日本のセッカは、Cisticola j. brunnicepsで、日本のほか、韓国、フィリピンに分布とされています。

インドにいるのはこれよりサイズの小さい別の亜種ということのようです。

Sarus Crane インドオオヅル(インドの鳥その147)

インドの人たちのシンボル的な鳥といえばこの鳥でしょう。

インドオオヅル Sarus Crane (Grus antigone)

全長156㎝、翼長240㎝、インドで見られる5種類のツルの中で最大です。顔と首の上部は赤く、頭頂の裸出部は灰緑色の皮膚が裸出し、体全体は灰色がかっています。脚は薄い赤色です。

写真は10月に首都デリーの近郊で見た成鳥です。

 

こちらは2月にやはりデリー近郊で見た親子です。地面で餌を探しています。

インドオオヅルのペアは一生添い続けるといわれています。

デリーに行くときは大気汚染のせいか空気が曇っていることが多く、色があまりきれいに出ないのが残念です。

インドオオヅルは、主にインド北西部とネパール西部に留鳥として生息しています。その数は15,000~20,000羽といわれ、IUCNレッドリストではVU(危急種)、野生で高い絶滅のリスクに直面しているといわれます。湿地が灌漑などにより農地に転換され、適した生息地が少なくなっていることが問題とされています。

White-throated Fantail ノドジロオウギビタキ(インドの鳥その146)

10月のインド北部の職場の森です。藪の中に1羽のスマートな鳥が静かに休んでいました。ノドジロオウギビタキ White-throated Fantail (Rhipidura albicolis)です。 

スレート色の全身に小さめの白い眉がおしゃれです。尾羽の長いスマートな小鳥です。

 

 

つぶらな瞳。白い眉と白い喉。体全体は黒灰色で、白い帯などはありません。

 

全長19㎝のとてもかわいらしい小鳥です。嘴の周りの針のような羽毛が前を向いています。これは飛びながら虫を捕まえるのに適しているのでしょう。

 

5月初旬に藪の中に巣を見つけました。その時は親鳥が抱卵中だったようです。3週間後には、割と大きくなった2羽の雛がいました。きれいなお椀の形の巣です。

 

親鳥が来ると雛が大きな口を開けて餌をねだります。その口の中にさっと嘴で餌を押し込むと、親鳥はすぐ去っていきます。2羽の親鳥が交互に餌を運んできていました。相当に忙しそうです。

 

雛は孵化後2週間くらいたっているでしょうか。白い眉ができていて、羽毛もかなり生えています。

 

それほど遠くない時期に巣立つような感じです。

ノドジロオウギビタキは、パキスタンからバングラデシュ、インドシナ、スマトラ、ボルネオに分布しています。インドでは、北東部、東部の森林地帯に留鳥として見られます。