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2008-11-15-Sat

国籍法改正について語るための基礎知識(1):違憲判決の図解

国籍法改正について反対意見が出ており、署名活動にまで発展している。

そもそも、国籍法の改正(立場によっては「改悪」)が急がれているのは、2008年6月に最高裁が国籍法に違憲判決を出したことを受けてのものである(判決全文は最高裁の判例検索システムからGET)。

というわけで、改正の原因となった違憲判決について解説を加えたいと思う。なぜなら、各所で詳細な説明が出ているが、法学を齧っていないとちょっと読解が難しいのではないかと思ったからだ。なお、筆者である私自身は、後日改めて述べるかもしれないが、今のところ本件改正について判断を保留しているという弱腰な立場であることを予め表明しておこう。


そもそも国籍法って何?そんなに大切なの?

日本人の両親から生まれて日本で暮らし続けているとあまり意識しないかもしれないが、国籍法はとても重要な法律のひとつである。なぜなら「日本国民」になれるかどうかが、この法律によって規律されているからだ。

このことを、法律学らしく条文から見てみよう。憲法10条は

第十条

日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

としている。これを受けて作られた法律国籍法である。国籍法1条は、その目的を明示しており、

第一条

日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる。

としている。

日本国民になれるかなれないかは、基本的人権の保障を左右する根本的なファクターである。平たく言えば、選挙権がもらえるかどうかとか社会福祉をどれくらい受けれるかとか、そういう権利を国家に請求できるようになるか、などの点から見てとても重要な法律なのである。


重要なのはわかったけど、国籍法の何が問題なの?

そのような国籍法に違憲判決が下されたのはなぜで、どんなところが問題だったのだろうか。まずは、事件の概要に触れてみよう。

原告(訴えた側)は、結婚していないフィリピン国籍の母と日本国籍の父との間に出生した子供たちである。彼や彼女たちは、出生後に日本人の父親から認知を受けたことを理由に、法務大臣宛に国籍取得届を提出した。しかし、国籍法3条1項の条件を充たさないとして、国籍取得は認められなかった。そこで、国籍法3条1項は、憲法14条にいう「平等」に反するとして日本国籍を有することの確認を求める訴えを提起した。

一審の東京地裁は、国籍法3条1項の準正要件を定める部分のみを違憲とする判決を出し、国側が控訴。二審の東京高裁では、国籍取得の要件を定めるのは立法府の権限であるとした上で憲法判断には踏み込まず、原告敗訴。そして上告審たる最高裁は平成20年6月4日、原審である東京高裁の判断を破棄し、違憲判決を示した。


国籍法3条はなぜまずかったの?準正要件とかよくわかんないんだけど…

国籍法3条1項は、

第三条 (準正による国籍の取得)

父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。

と規定しているが、ここが少しわかりにくいと思うので、国籍法の構造を分解して図示しながら解説をしてみよう。

日本の国籍法は血統主義を採用している*1。その原則が読み取れるのが国籍法2条1項および2項である。

第二条 (出生による国籍の取得)

子は、次の場合には、日本国民とする。

一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。

二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。

三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

だから、両親の国籍を類別して図解してみよう。


両親が日本国民である場合

まず、両親が日本国民である場合、子ども日本国籍を取得できる。シンプルな帰結である。


f:id:inflorescencia:20081115125940j:image:w300


母が日本国民で父が外国人である場合

また、母が日本国民で父が外国人である場合、婚姻関係にある夫婦の子(これを嫡出子という)であっても非嫡出子(民法772条1項による嫡出推定が及ばない子)であっても、日本国籍を取得できることになる。何故なら、「出生の時に…母が日本国民であるとき」は出生によって日本国民となれるからである。


f:id:inflorescencia:20081115132704:image:w300


父が日本国民で母が外国人である場合

複雑になるのは、父が日本国民で母が外国人のケースである。このとき、二人が結婚していて嫡出子であるならば、子は日本国籍が取得できる。婚姻関係にある男女から生まれた子は、(たとえ遺伝上の事実とは異なっていても)法律上の親子関係が推定されるから*2、「出生の時に父…が日本国民であるとき」という要件を充たすことができる。


f:id:inflorescencia:20081115135736:image:w300


非嫡出子である場合、子が胎児のうちに認知されたときもまた、日本国籍取得が可能である。なぜなら、胎児のうちに認知すれば、父と子の間に法律上の親子関係が発生して「出生の時に父…が日本国民であるとき」という要件を充たすようになるからである。


f:id:inflorescencia:20081115140523:image:w300


では、出生後に認知された場合はどうなるのだろうか。

生後認知され、さらに両親が婚姻すれば*3、これも子は日本国民として認められる。これが国籍法3条1項の「準正による国籍の取得」である。


f:id:inflorescencia:20081115141443:image:w300


しかし、生後認知されたのみでは日本国籍が取得できない。これが今回の問題である。


f:id:inflorescencia:20081115141444:image:w300


以上をひとつの図としてまとめると、以下のようになる。


f:id:inflorescencia:20081115143111:image:w300


そして、最高裁の多数意見は、出生した後に父から認知された子につき、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した子(準正子)のみ日本国籍を認めていることは、憲法14条1項に反するとして違憲判決を下し、「父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得」せずとも国籍法3条1項が規律する他の要件を充たせば、日本国籍が取得できるとした。

上の図でいえば、生後認知された準正子(左から二番目の子)と生後認知のみされた非嫡出子(一番右の子)の間にある「区別」は不合理な差別だという判断を示したのである。


以上は、国籍法3条1項が違憲と判示されたことについての概説だったが、この最高裁の判決は多数意見のなかでも補足意見が多く述べられ、さらに少数意見と多数意見がお互いを批判し合う形になっていて、とても興味深い。法令違憲という重大な判断を示すにあたって、かなり喧々諤々の議論がなされたことが伺える。

面白いだけでなく、なぜ今回の国籍法改正に賛成なのか、あるいは反対なのかを述べるときにとても参考になると思うので、次回は各裁判官の意見をまとめていきたいと思う。




【関連記事】


【追記】

このエントリー中の図はクリエイティブコモンズ・ライセンスのby-nc(表示-非営利)で提供しています。クレジット(今回であれば「inflorescencia」という著作者名)が入っていて、なおかつお金を取らないなら、どなたでも(この問題についてどのような立場をとっていても)、勝手にコピーしたり手を加えたりしても良いということにしています。

なお、上記のことをライセンスしたからといって、フェアユースなどあなたの権利が影響を受けることはまったくありません。引用や私的な使用のための複製などもご自由にしていただけます。教育目的の利用なども歓迎します。詳しくは利用許諾条項をお読みください。

画像はinflorescencia's fotolife の国籍法フォルダからダウンロード可能です。ご活用頂ければ幸いです。

*1:これに対して、生地主義を採用する国々も多くある。生地主義は「自国で生まれた子は自国民」という立場のことである。ただし、生地主義であっても無制限に国籍を与えるという国は少ない点に注意

*2:民法772条

*3:民法789条1項の婚姻準正

daradarudaradaru 2008/11/15 19:02 >>生後認知された準正子(右から二番目の子)と生後認知のみされた非嫡出子(一番左の子)
左と右が逆です

国全体のことを考えればこの違憲判決がかなり不利に働くのは間違いありませんが、裁判官にまで国家感を持てとは言い出しにくいですし、仕方がなかったのでしょうか・・・
多数派の補足意見がどんなものであったのかとても興味があります。

inflorescenciainflorescencia 2008/11/15 19:21 daradaruさん、コメントありがとうございます。
ご指摘頂いた左右が逆だった件は修正しました。こういう間違いはちょっと恥ずかしいですね…ありがとうございます。
「国家感」といいますか、偽装認知の可能性や血統主義との整合性については最高裁判例でも検討されていて、その議論を紹介したくて記事を書こうと思った次第です。
法廷意見と2つの反対意見に加えて、泉補足意見・今井補足意見・田原補足意見・近藤補足意見・藤田補足意見があって、それらをまとめると量が膨大になるので連作にすることにしました。
エントリ内でも書いたように相互に意見を参照したり批判し合ったりしているので、緊迫感があって興味深いと思います。ぜひ原文である判決自体もお読みになってみてください。

KAKERUKAKERU 2008/11/15 22:00 この問題、いろいろと見るのですが、今との違いが分からなかったので、こうやって違いが分かるのはうれしいです。
この改正案が出てきた経緯も分かったので……
ありがとうございます。

masayamasaya 2008/11/16 00:11 国籍法改正の背景がわかりました。
ありがとうございました。

inflorescenciainflorescencia 2008/11/16 14:46 KAKERUさん、masayaさん、コメントありがとうございます。
そう言って頂けると嬉しいです。記事を読んで下さってありがとうございます。

sorarisu0088sorarisu0088 2008/11/16 20:18  当該違憲判決の原告の子のことはとても印象に
残っていました。「やっと日本人になれる」「大き
くなったら警察官になりたい」と涙ながらに喜んで
いる様を見てとても微笑ましく思っていました。
 僕はどちらかというと保守的な思想ですが、
inflorescenciaさんは感情を排し、ニュートラルな
法律論を展開して下さったので、今回の改正が日本
の将来にどんな影響を与えるのか判断する好機とな
りました。ありがとうございました。

inflorescenciainflorescencia 2008/11/18 20:28 sorarisu0088さん、コメントありがとうございます。
お役に立てたようで良かったです。また、お褒め頂きどうもありがとうございます。

ヨコネノチンタヨコネノチンタ 2008/11/19 14:39 婚姻がニセで、子供が日本人国籍取得後、離婚し
認知した男がまた別の女と子供に同じことを繰り返した場合は?

日本国籍を取得した場合、生活保護等他の日本人と同じ保証を
しなければならないが、それを目的とした場合?

その利点を目的に、世界中の貧民が狙い定めてきたら?
または、それがビジネスモデルになったら?

性善説考えも必要だが、性悪説的考えも必要でしょう。

冥王星冥王星 2008/11/19 15:35 よく考える知性があれば実は、多くの危険性が紀優に終わる素地が強い
例えば、日本国籍を所持した父親の認知によって、子供の国籍が確立するという改正案だが

それがビジネス化するためには、父親を買収する必要性がある。
残念ながら認知届けに必要な書類の拘束性は当然存在する。
よくホームレスに申請させるという方法論が開示されるが、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)の取得が難しい。
ホームレスは住民登録の消滅などがあり、必然的に認知の主体たりえないのである。
同時に生活保護に関して言えば、生活保護支給者側の判断によって認知の適正さを審査することはできないわけではない。
正当な理由があれば生活保護の支給は停止できるだろう。
例えば、石原慎太郎都知事のように認知した子供に養育費を払うような養育責任を負っている親ならば認知の合理的正当性はあるが
扶養能力のない親権者の親権停止は可能なのである。
以上の状況からして、生活保護目当ての認知は不可能ではないが支給しない判断が行われるだろう。
なによりも性善説という問題ではなく、罪のない子供を差別化することの課題が残るのである。
そして、現行の国際法との整合性のない国籍法は非常に問題があると判断できるだろう。

ヨコネノチンタヨコネノチンタ 2008/11/21 11:33 冥王星さん
>ホームレスは住民登録の消滅などがあり、必然的に認知の主体たりえないのである。

引き合いによくだされる、ホームレスというのは例えであって
それに準ずる人という意味。住民登録の消滅をされている人もいるかもしれないが、あったとしてもまったくごく一部。左翼系がよく使う方便ですな。

>生活保護に関して言えば、・・・・

これは各市町村によって大幅に取り扱いは違う。まああなたたちは
人権を振りかざして、生活保護をこのような子供にも支給せよと大騒ぎをするのでしょうが。

>現行の国際法との整合性のない国籍法は非常に問題があると判断できるだろう。

国際法は理想であろうし、対応詳細については各国に任せられているはずですが。
他の国々の対応詳細をもう少し研究してください。もちろん他民族化を推進している国もあれば、そうでない国もありますが。

冥王星冥王星 2008/11/22 11:47 >これは各市町村によって大幅に取り扱いは違う。まああなたたちは
人権を振りかざして、生活保護をこのような子供にも支給せよと大騒ぎをするのでしょうが。

根拠のない言動は持論のレベルを失墜させるだけなのでご自由にですが
生活保護申請及び支給は行政権限によって裁量権が設けられています。
正当なる支給請求によってしか支給されない現行制度によって認知の悪用が抑止できる、というシナリオは現実的には、多くの違法性がある生活保護受給者の支給差し止めが行われることは周知の事実です。
無制限に認知によって生活保護が行われるというような根拠があるなら是非に提示してください。
現行法でも生活保護支給に関しては正当性を行政側が審査するような状態があり、異常な認知に関しても審査しえることでしょう。
それとも行政側が生活保護支給の審査ができないという根拠があるのでしょうか?
それすら言明できない乱暴な反対論だからこそ嘲笑されているだけです。
根拠が希薄で具体的なプロセスを検証できていない論理展開だからこそ、問題が指摘できるのです。
反対論が危惧する問題への回答の方法まで法的に明言できるからこそ、反対論を批判できるわけですが、何か問題があるのでしょうか?

>国際法は理想であろうし、対応詳細については各国に任せられているはずですが。
他の国々の対応詳細をもう少し研究してください。もちろん他民族化を推進している国もあれば、そうでない国もありますが
憲法を読みましょう。国内法は国際法との整合性を失うことは許されません。
憲法98条も知らない知性ですか?
第九十八条【憲法の最高法規性、条約・国際法規の遵守】

 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

憲法98条 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

いのっちいのっち 2008/11/23 02:43 私個人のブログに、非常にわかりやすかったので勝手ながらリンクさせてもらいました。 ご迷惑な場合は削除いたしますので、メールでお知らせください。

大和大和 2008/11/29 01:29 全文を良く読みました。DNA鑑定が出来ない理由が分かりました。
違法に日本国籍を与えた父親の刑事事件になり、犯罪で不当利益を上げた財産を確保凍結て子供の養育費に当てるかその金額に大じて日本国の罰金刑にすれば少しは生活の保護に回せると思う。誘拐された子供の国籍の確認と祖国に帰宅するかその本人の意思で決める用にすれば安全な生活も保護出来ると思います。
懲役刑も大麻取り締法と一緒にすれば良いと思います。出来なければその説明と回答をお待ちしています。

inflorescenciainflorescencia 2008/12/04 00:40 コメントありがとうございます。
私事にてお返事が遅れましてすみません。


>ヨコネノチンタさん

> 婚姻がニセで、子供が日本人国籍取得後、離婚し
> 認知した男がまた別の女と子供に同じことを繰り返した場合は?

このご質問は、日本国籍を有する男性と外国籍を有する妊娠中の女性が「偽装結婚」をして子が嫡出子として出生した後、離婚した(後で同様のことを繰り返す)場合ということでしょうか?
そうだとすると、国籍法2条1項の「出生による国籍の取得」に該当することになります。今回の改正は3条1項の「準正による国籍の取得」です。したがって、改正の前後を問わず状況は変わらないということになります。
また、日本国籍を有する男性と外国籍を有する女性が「偽装結婚」をして、父となった男性がすでに出生していた子を認知した場合は、現行国籍法3条1項の「準正による国籍の取得」にあたり、この場合も改正の前後を問わず状況は変わらないということになります。

> 性善説考えも必要だが、性悪説的考えも必要でしょう。

という言葉を見ると、ヨコネノチンタさんは上述のような場合に日本国籍を取得することは問題があると考えているように推察します。ヨコネノチンタさんは今回の改正だけでなく現行国籍法にも反対という立場をとっていらっしゃるのでしょうか?

懸念されている「ビジネスモデル」についてですが、冥王星さんが既に指摘されている通り、ヨコネノチンタさんが考えていらっしゃるような形で成立する可能性はあまりないように思います。

まず、認知する段階でハードルがあります。
認知をして法律上の父子関係が発生すると、相続権など各種権利義務が発生するのですが、そのなかに親子間の扶養義務(民法877条)というものもあります。一部の方が国籍法には扶養義務規定がないことを懸念されていますが、親子間の権利義務は国籍法ではなく民法によって規律されており、民法の扶養義務規定の適用を当然受けます。
そして、仮装認知した場合であっても父にあたる人の戸籍には、子を認知したという記載が残ります(なお、記載を消すためには、無効確認の訴訟を起こさなくてはなりません)。
仮装認知が発覚すれば、公正証書原本不実記載罪(5年以下の懲役または50万円以下の罰金)に問われます。仮装認知を斡旋した組織の人なども共犯や教唆犯として処罰されます。
「このように法律では、さまざまな不利益を与えることによって、偽装認知を抑制するためのシステムが出来上がっております。偽装認知が割にあわないことを広く一般市民に知らせると共に、真実の認知を保護することが重要だろうと思います」と奥田安弘先生がご指摘なさっている通りです。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/9790.html

さらに国籍取得の段階で、聞き取り調査などがあります。ここで、認知した男性の渡航暦や仮装している母や子の話との整合性が取れないのであれば、失敗に終わります。

そして、生活保護受給申請の際に行われる審査は、仮装認知により父となった人にも及びます。親に扶養能力があれば、生活保護によらず親が養うべきだからです。

このようなハードルを越えるのは、高いリスクと捉えられるので、「ビジネス」として成立するのは難しいのではないかと考えています。


>冥王星さん

ご解説頂き恐縮です。
また、後続の記事もお読み下さりありがとうございます。


>いのっちさん

わざわざご連絡ありがとうございます。
公開しているページへのリンクに許諾は不要だと思っていますので、ご自由にリンクして下さい。
ところで、いのっちさんのブログはどこにあるのでしょうか。差し支えなければ読んでみたいので、お教え下されば幸いです。


>大和さん

お読み下さってありがとうございます。

> 違法に日本国籍を与えた父親の刑事事件になり、犯罪で不当利益を上げた財産を確保凍結て子供の養育費に当てるかその金額に大じて日本国の罰金刑にすれば少しは生活の保護に回せると思う。誘拐された子供の国籍の確認と祖国に帰宅するかその本人の意思で決める用にすれば安全な生活も保護出来ると思います。

大和さんが提案されている「犯罪で不当利益を上げた財産を確保凍結て子供の養育費に当てる」というのは、衡平という面から考えますと確かに妥当であるようにも思えます。しかし、現行制度では難しいのでは思います。
なぜなら、日本法においては、刑事と民事は別のものとして扱われているからです。被害者の経済面での救済は民事訴訟によって成されます。英米法においては「懲罰的損害賠償」というものがありまして、損害賠償(損害の補填をお金によって実現するもの。日本にもあります)に加えて懲罰的損害賠償(「こらしめ」または「みせしめ」としての賠償。日本にはありません)の請求も認められていますが、大和さんが提案されている制度は、懲罰的損害賠償に近いものなのではないかと拝察します。
懲罰的損害賠償に類似する制度を導入すれば、大和さんが想定されているような被害者救済ができますが、それには大幅な法制度の改正が必要であって早急の導入は難しいのではないかと考えます。
なお、懲罰的損害賠償に興味がありましたら、私が以前書いた記事もご参照下さい。
http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20081029/1225207245

ところで、「誘拐された子供」というのは、どういう場合を想定していらっしゃるのでしょうか?
コメントだけでは大和さんが想定されている状況がよくわかりませんでしたので、ご説明くだされば幸いです。

> 懲役刑も大麻取り締法と一緒にすれば良いと思います。出来なければその説明と回答をお待ちしています。

大和さんが偽装による国籍取得と、大麻の輸出入・販売・所持等と比較すべきと考える理由はなんでしょうか?
目的や保護法益に違いがあって、単純に両者を比較検討することはできないように思うのですが、何か根拠がありましたらご教示ください。

また、懲役刑を「一緒にす」るというのは、どのくらいを考えていらっしゃるのでしょうか。
なお、大麻を栽培したり輸出入したときは、7年以下の懲役(大麻取締法24条1項)で、営利目的の場合、10年以下の懲役(情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金)(同2項)。大麻の所持や譲渡などは、5年以下の懲役(同法第24条の2、1項)、営利目的だと7年以下の懲役(情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金)となると思います。
一方、仮装認知の場合ですと、認知届を市町村に出せば公正証書原本不実記載、法務局に届出れば改正で新設される罰則、子の戸籍を編成するために市町村に国籍取得届を出せば、公正証書原本不実記載罪といった罪責を負うことになります。これらを併わせますと、7年6ヶ月以下の懲役または120万円以下の罰金になるでしょう。

冥王星冥王星 2008/12/05 12:43 戯言みたいなものですが

 法哲学の領分なのですが、国籍法改正に反対する人に考えてほしいことがあります。

「法律は、破る・悪用する人間のために存在するものでしょうか?」
「法律が守られていないならば、その法律は無意味である」
という理解でいいのか?


現実社会、法律は安易に破られることは多々あります。おそらく軽微な犯罪は自覚することなく皆さんが行っていることでしょう。

一方、賛成派の一部の人権論者に対しては
「法律とは、法律で守られるべき存在を守るために存在する」
という視点だけでいいのでしょうか?


どちらか一方ではなく法律とは両方の視点でも見るべきではないでしょうか?(これは、被害者人権だけではなく加害者人権にも通じる話です。一方ではなく両方とも守られるべき、ということが多いはずです)

もちろん、改正案が悪用される可能性があると言えば、全否定できませんが、それは既存の国籍法でも可能なのです。
単純に偽装結婚が可能であることも事実です(司法でもそう判断しています)


どれだけの反対論も、賛成論も司法判断を参照した上で、「己の正義」を訴えるのでしょうか?
 反対論には、民族主義的な価値観を主張で押し切ろうとする人も多々います。価値観の多様性は保障されるべきだと思いますが、それは民族主義に否定的な価値観の主張も尊重されるべき前提があるはずでしょう。
 賛成論には人権主義のようなものが跋扈して、国権の独立主権を蔑ろにする傾向さえあります。

問題は「法的正義」という視点をどこまで視野に入れて言動しているのか?
という部分にも論点が及ぶべきだと思います。

国籍法違憲判決に関して、本サイトの国籍法の続編で非常に分り易く解説されています。
それを一度読んだ上で、判例を読んでよく理解してほしいと思います。
その中に介在する三権分立の問題点・違憲立法審査になりえる判決への判事の自制心。
 法曹社会が自制する一方、言いたい放題の民意はどこまで責任感を持った言動をしているのでしょうか?

行き当たりばったりの感情論をぶつけるのも自由でしょうが、ふと立ち止まって関係する事案に対して、より深く理解する努力が行われればいいと思います。

尚、拙もこれを契機に司法判断について詳しく論説した記事を更新しようと思っています。

近い将来、総選挙が行われ、衆議院選挙と並行して国民審査が行われます。今回の国籍法に関する最高裁判事の意見を参照してみることも意味あると思いますが、いかがでしょうか?

さて、問題発言を一つだけ投下させてもらいます。

本法案は内閣法制局による草案です。
ある程度の知識がある方はご理解いただけますが、内閣法制局の立法は比較的堅牢かつ立法経緯での情報収集には定評があります。(一般の我々よりも行政側の方が法執行の側面での情報を多く持ってるから、当然ですが)
つまり、一般の我々(立法府の議員もこれに含めることができる)よりも現場を熟知し、多くの情報を持っている内閣法制局の判断には妥当性が多いという視点もあります。
 短絡的な見解ですが、内閣法制局の実績を考えれば、このような評価は全否定されないと思っています。

漫画化五級漫画化五級 2008/12/08 20:13 画像お借りしました
専門家ではないので間違ってる所も多々有りますが
考えるキッカケになれば、と思います

まつまつ 2008/12/12 03:30 http://okwave.jp/qa4527508.html
上記Q&Aサイトにおいてリンク、及び引用させていただきました。
事後で申し訳有りません。
勉強になりました。ありがとうございます。

inflorescenciainflorescencia 2008/12/31 17:45 コメントありがとうございます。
お返事が遅れましてすみません。


>冥王星さん

> もちろん、改正案が悪用される可能性があると言えば、全否定できませんが、それは既存の国籍法でも可能なのです。
> 単純に偽装結婚が可能であることも事実です(司法でもそう判断しています)

という部分は、冥王星さんの仰る通りだと思います。
施行され運用されることを前提とするならば、完璧な政策は無いと言えます。したがって、公共政策は必ずリスク評価や負の外部効果の問題が発生します。

その際に「セキュリティがトレード・オフである」ということを考慮していなければ、議論は説得力を持たず、あるいは徒に不安を煽った結果としてBruce Schneierが言う「セキュリティ芝居」になってしまうのではないかと思います。


> 問題は「法的正義」という視点をどこまで視野に入れて言動しているのか?
> という部分にも論点が及ぶべきだと思います。

そうですね。広い意味での「法的正義」を視野に入れた議論をしなければ、自分とは異なる見解に立つ人を説得することは難しいと私も思います。
そういう意味で法哲学は「対話」に関する正統性の知見を蓄積していて、興味深い領域であるとともに、「使える」学問ですよね。


内閣法制局の件についてですが、ご指摘の通り、立法能力や情報収集能力は高いと思います。しかし、法案をチェックしようとか、妥当性を自分たちなりに検討しようという機運自体は決して悪いものではないと考えています。



> 漫画化五級さん
ご活用頂き、ありがとうございます。
CCライセンスを付けてみて良かったです。
やはり、漫画にすると浸透度と理解度が格段に向上しますね。

ところで、知り合いに「パンピーさんはinf.に似ている」と言われましたw


> まつさん
ご丁寧にお知らせくださってありがとうございます。
著作権法の範囲内の引用であれば、著作者に許諾を取らなくても大丈夫ですよ。
また、公開しているページへのリンクにも許諾は不要だと考えていますし、各記事へのリンクやトラックバックなども歓迎していますので、お気になさらず。

こちらこそ、読んで頂いた上にご紹介までして頂き、感謝しています。

さちこさちこ 2009/07/24 12:55 興味深く読まさせていただきました。
憲法はかじりたてだったのですが、そんな私にもとてもわかりやすく書かれていました。
このようなサイトがあること、議論する場があることとても感銘を受けます。
今後も同じ学生として、みなさんのようにがんばっていきたいと思いました。infさん今後も頑張って下さい、楽しみにしています。

AlcoholicなまえAlcoholicなまえ 2013/03/09 19:10 どんな理由でも「特亜」にだけは国籍を与えるな!

啓一啓一 2014/05/30 18:31 簡単に説明します 私は25年5月9日生まれです 日本人の母親から生まれ生後外人の父親から認知されましたが 日本の国籍も戸籍もありません 親は婚姻していません 法務局で交渉しましたが 理由が判らず 今裁判を思案中です 親子存在確認の判決はいただきました (父親は他の女とすでに婚姻していました) この掲示板では日本の国籍が有るようですが
生後認知です

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