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英語あそびなら天使の街

2018-04-04

何十回目かの山田洋次監督『息子』に何十回目かの感謝

ふと思いついて検索したら、『息子』がアマゾンビデオで発売されていた!感涙。
ン10年前に中学の映画会で上映され、体育館で三角座りをして見た作品だ。
その時は、切なさは感じたものの、男子が田中邦衛がエロビを消すところで湧いたこと、「お父さん最後に死ななかったね」と友人たちと話し合ったことしか覚えていない。あとは国語教師が異常に絶賛していたことかな。

多分その次に見直したのは大人になってからだが、借りるのに飽き足らずVHSDVD、そして今回ストリーミングと3回も買ったことになる。

早速、好きなところを拾って見た。
ほとんどセリフも覚えている(「酒でもあてがって、テレビでも見せとけよ」)くらいだが、娘(浅田美代子)が父(三國連太郎)を駅に送っていく場面で泣けて泣けて仕方なかった。

今回初めて、向田邦子の『お辞儀』を思い出す。親にお辞儀される切なさが綴られているエッセイだ。
私はまだそういう経験はないけれど、「お父さん」に「ありがとう」と言われると、もう体まるごと浅田美代子になってしまうのだった。

列を作って改札口へ入りながら、母は急に立ちどまると、立っている私の方を振り向いた。てっきり手を振ると思ったので私は右手をあげた。母は深々とお辞儀をした。私も釣られて、片手を振りかけたまま頭を下げたので天皇陛下のようになってしまった。
(中略)
母の乗っている飛行機がゆっくりと滑走路で向きを変え始めた。急に胸が締めつけられるような気持になった。
(中略)
飛行機は上昇を終り、高みで旋回をはじめた。もう大丈夫だ。どういうわけか不意に涙が溢れた。たかが香港旅行ぐらいでと自分を笑いながら、さっきの裁ちばさみや蘭の花束のことを思い合せて口許は声を立てて笑っているのに、お天気雨のように涙がとまらなかった。 
向田邦子著『お辞儀』

もひとつ好きな、デパート屋上原田美枝子と「お父さん」とのシーンでは、初めて「原田美枝子ヘタだな」「すんごい肩パッドだな」と思ったが、ぎこちない雰囲気が巧みなことに変わりなく。

そしてもちろん、初々しい和久井映見ちゃんと永瀬くん、2人で改まってお父さんに向き直る時、花束が彼の手にあるのが本当に素敵です。

喜びのあまり何度も息子を起こす「とっちゃん」も益々いいです。

それから今回は新宿副都心を望む「中野」の貧乏感、雑多さが染みたわ。

これからもまた、たくさんの人を誘って何度も何度も見返すことになるでしょう。
ありがとう。

英語字幕がついてないんですよ...それだけが惜しい。


『お辞儀』は、名作『父の詫び状』所収。思えばこの本も高校時代にMちゃんから借りて出会って以来、何度買い直したか...。
ネット時代の今読むと、「これ盛り過ぎでは...」と思う箇所もポツポツあるんですけどね。それもまた一興。


私の好きな3大邦画、あとは『顔』さえ揃えば全部アメリカで鑑賞できるようになります。
『息子』もある意味配信を期待していなかったので(DVD化も遅かったし)、こちらのモニターで細部まで見られるようになり感激ひとしおです。
こちらのストリーミング化ものんびり待つとしましょう。


ちなみにもう1作は『Shall we ダンス?』、amazon.comでUSカット版を見ています。
周防監督は当然切り刻みに不満だったそうですが、私は草刈民代の拙い口論シーンがないUS版に満足してます。