Hatena::ブログ(Diary)

英語あそびなら天使の街

2018-10-21

映画 Wildlife (2018) を見た。ポール・ダノ × ゾーイ・カザン脚本『ワイルドライフ』

リチャード・フォードの同名小説をポール & ゾーイカップルが脚本化、『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』と同様にモンタナの絶景を借りた文学作品

またまたホッパーの名画を思わせる「頑張ってるカット」はいろいろあったけど、奥さんのジャネットにはイライラしたわ。
ジェイク・ギレンホール出稼ぎに行った後、あまりに急激に蓮っ葉になり、全くついていけなかった。
最近、何かに操られちゃってる人の話ばっかり見てるなーと思った。
もう大画面で酔っ払い見るのうんざり。

彼女のハタ迷惑な豹変には何の伏線もなかったと思うのだが、たまたま昨日、村上春樹の『眠り』を読んだところだったので、「このトチくるった人にも一理あるのかもしれない...」とも考えてしまい混乱した。

あと、息子くん(エド・オクセンボールド)はちょっと重すぎたかな。上手だけど。

なぜ『眠り』を収めた短編集『TVピープル』を唐突に買って読んだのかというと(相変わらず、読みたくなればすぐ読めるKindle最高すぎ)、川上未映子氏が村上氏に話を訊いた『みみずく黄昏に飛びたつ』で興味をひかれたから。

村上 あれは「ニューヨーカー」に載ったんだけど、その頃、僕はまだアメリカではほとんど名前が知られてなくて、読んだ人の多くは、ハルキ・ムラカミって女性作家だと思っていたそうです。実際、女の人から「よく書いてくれた」ってファンレターが何通も来て(笑)。

ついでに、この珠玉のインタビュー集の最後。

村上 どれだけ本を焼いても、作家を埋めて殺しても、書物を読む人を残らず刑務所に送っても、教育システムを潰して子供に字を教えなくても、人は森の奥にこもって物語を語り継ぐんです。それが善き物語でさえあれば。(中略)
たとえ紙がなくなっても、人は語り継ぐ。フェイスブックとかツイッターの歴史なんて、まだ十年も経ってないわけじゃないですか。(中略)
それに比べれば、物語はたぶん4万年も5万年も続いているんだもの。蓄積が違います。恐れることは何もない。物語はそう簡単にはくたばらない。

聖書物語に信頼を置いている私にとって、目の前が明るくなる村上氏の預言でした。
ちなみに村上氏はリチャード・フォードの短編をいくつか翻訳しています。いかにも〜




原作。


トレーラー。

2018-09-22

映画 Blaze (2018) を見た。イーサン・ホーク監督『ブレイズ』

カントリー歌手、ブレイズ・フォーリーの淡色の生涯を、全編under influence of alcoholでお送りする。

やっぱり私は酒やめてよかった。
私は現大統領にせめてまともな言葉を喋ってくれと毎日祈っているけど、彼が「一切飲まない。兄がアル中で死んだから」ということを思い出すたび、すごく切ない気持ちになるんだよね...

そして、この映画のブレイズの生き方、死に方の物語も私が一番苦手なやつ。
同じく切なくやるせない感情に翻弄されるから。死に際の言葉も悲しすぎるじゃないですか。

イーサン・ホーク監督の手腕は素晴らしかったと思います。
ポストカードのような絵の数々を堪能した。

そして、奥さんユダヤ教徒ということもあって、信仰についての対話はなかなか面白かった。

肝心の歌にはあまり心動かされなかったかな。
でも、ギターが体の一部になってる人ってうらやましいなー、と思える映像だった。
くだらない言葉を吐くくらいなら、さらりとアルペジオを紡ぎ出せるほうがいい。

アメリカ人に「カントリーミュージックが好き」と言って、「なぜか日本人ってカントリー好きなんだよね」と呆れた顔で返されたことがあります。彼にとっては「前川清が好き」と言われたようなものか。

カントリー好きな奴は共和党、プロガンというステロタイプがあります。
実際、ちょっとね、という発言をしているカントリー歌手もいなくはありません。
でも、私が大好きなカントリーグループのDixie Chicks斉唱する国歌を聞くたび、本当のペイトリオットとは?と考え込むのです。
このスーパーボウル直後のロンドンツアーで、ナタリー子ブッシュイラク侵攻に言及して「うっとこの大統領はホンマ恥ずかしーわ!」と発言。まだテロの傷が真新しかったアメリカで大バッシングを受けました。




トレーラー。


実は今日は、ふと耳にしたラジオ批評番組で賞賛されていたKusama - Infinityを見るつもりが、たった1週間の上映で終わってしまっていたのである。まー縁があればどこかで見られるだろう。

2018-09-01

映画 The Bookshop を見た。エミリー・モーティマーの『ザ・ブックショップ』

私の見た限り、一般、批評家ともレーティングが低く、ただ素材への関心だけで見に行く。
隣ではとっても面白かった『エイス・グレード』『ブラッククランズマン』そして『クレイジー・リッチ!』もまだまだ上映中なので、一瞬「やっぱりやめて、他のを2回目見ようかな...」と迷ったほど。

でも見てよかった!
ロケーション、美術、衣装がうつくしかった。
たぶん、あまり評価が高くないのは「紙芝居」だからじゃないかと思う。原作を映像化はしてるけど映画化には成功していない。
でも、元の小説を知らなかった私には、この物語を聞けただけでも楽しかった。

エミリー・モーティマーは『ベロニカとの記憶』での印象が悪かった(彼女のせいではなく、本と演出のせい)のですが、この作品で好きになりました。クリスマスの『メリー・ポピンズ リターンズ』が楽しみに。

ビル・ナイはとても素敵。
フローレンスと一緒にお茶を準備するところも、結果として命がけになった談判も、ノーブルかつユーモアがあって。
彼の言葉に、1人1人の観客がそれぞれ違うところで大笑いしていたので、「彼のセリフはもしかして表向きの意味以上に優れているのでは」と思った。原作を読んでしっかり確かめよう。

移動中、マケイン上院議員の告別式の中継を聞く。
実は彼について興味を持っていろいろ読み始めたのはほんの最近、昨年のオバマケア廃止審議に病をおして出席、サムズダウン!したところからだった。「かっけー!」と思った。
彼が一心に愛したアメリカに宛てた手紙を、私も自分のものとして受け取りました。
そして娘さんの弔辞の皮肉もね。

The America of John McCain has no need to be made great again because America was always great.
Meghan McCain

原作小説。


トレーラー。

2018-08-19

映画 Crazy Rich Asians を見た。エイジャン・プライド発動『クレイジー・リッチ!』

めっちゃ幸せになれるシンガポール・プロモーションフィルム。
母の思いが一瞬にして伝わるプロポーズでは興奮のあまり、「友人のウェディング」から泣き始めた隣りの知らん人とハイファイブしてしまった。

さらに自分しがない日本人なのに、アジア系コスモポリタンたちのアチーブメントに勝手に乗っかって「私も漢字読めるもん」「私も麻雀わかるもん」と、エイジャン・プライドまで高揚させてしまった。

このMonica Castilloのレビューの一文を読んで、何これ見たい、と思わない移民1世はいないと思う。

Very few films have ever captured the pains of being first-generation American quite like “Crazy Rich Asians.”

既に封切り週末のBox Officeでも予想以上の成果を叩き出していますが、この劇場の盛り上がりぶり、ロングランヒットしそうです。私も早速、「見ろ見ろ」言ったし。

とにかく!最高の饗宴だった!

気になりポイントをメモ。

●「プリティ・ウーマン」シーンが残念!!
レイチェルがメイクオーバーして、彼友の結婚式に乗り付けリベンジを図るところ。
あれは車からバーンと降りてきたところで「他を圧倒する華やかさ」でなきゃカタルシスがないでしょ!!!
ジュリア・ロバーツが赤ドレスで登場したみたいに!!!
あの着慣れてない感満載の半端なドレスじゃダメだってば!!!
「そこどけオラ」が説得力ないって!!!

●どうやらリッチの彼女たち、形だけでもクリスチャンらしい。
ミシェル・ヨーらがバイブルスタディでエペソを読むシーンが出てくる。
英国で教育を受けた影響もあるかもしれないが、東南アジアの金持ちがクリスチャンなのはちょっと意外な感じ。
ところで食事だ麻雀だ、と卓を囲んで集まるのが大好きな中国系の隣人たちだが、あんなふうに女性たちで集まって本を読んでいる姿もよく見かける。まさにジョイ・ラック・クラブの世界。

●日本ももっとロケ地提供できればいいのになぁ。
調理場でパーリー料理の采配をふるうミシェル・ヨー、家族での肉まん作り、雀荘、屋台の喧騒、そしてマリーナベイサンズにはやっぱり目を奪われた。
「沈黙」さえ誘致できなかった日本。クールジャパン笑の予算ってどこに消えてるんですか...。

●脚本的に、俳優2人のシャツを脱がせた意味がよく分からない。
ニックの着替えシーンと、アストリッドの旦那のシャワーシーンね。意味ありげでしたが。

●そういえば、世界に広まっている日本の寿司とかラーメンって、「みんなで食べよう!」な宴会料理じゃないな。
みんなで食べる料理にこそ、最後の晩餐から連なる礼拝だったり、収穫の祭りだったり、文化が濃ゆく息づいていると思うのだけど、日本が発信してるのは個食向けっぽくてソンしてるかもなー、と。
しゃぶしゃぶ屋はあるが、知られてないし。
大皿が並ぶ台所や、屋台のスパイシー料理を賑やかに楽しむ人たちのシーンを見ていると、単純に「ああ、ステキなカルチャーだなあ」と思っちゃうんですよね。

(8/20追記)パリス・ジャクソンの「ハーパース・バザー」シンガポール版登場炎上で、シンガポールがゲイに厳しいことを知った。移民選別や市民生活の法律がいろいろシワいことはよく聞くけれど、ゲイに冷たくても金持ちが集まるのは意外。先のクリスチャンの脈絡も含め、シンガポールという国のpeculiarの実態に俄然興味が湧いてきた。

(8/21追記)原作小説の著者、Kevin Kwanのインタビューは「アメリカ移民ものがたり」要素がたっぷりのこれが一番面白かった。
彼は制作総指揮としても大きな(実に大きな)役割を果たしている。
’It’s Taken On A Whole Other Life,’ Says ’Crazy Rich Asians’ Author Kevin Kwan

で、そこはテリー・グロスなので、シンガポールがゲイを裁いていることや、極端な貧富の差をどう思うかについてもしっかり押さえております。
また、キャスティングに関する一連の批判もこのインタビューが一番網羅してるかも。それくらい、いろーんな種類の批判と紆余曲折があったのです。

「ヒーローは魅力的でなければならない(当然)」→バタくさい顔の起用、ってどうよ? たとえばマシオカじゃないのはなぜか?という批判は、私も映画を見たときについ思ってしまったことだったのですが、中の人ヘンリー・ゴールディングが自分のIDについて真摯に答えているのを見て、Not Asian enough、というのもまた無理筋な偏見だと気づいた。私が間違っていました。

(8/23追記)麻雀シーンについていろんな人が解説を書いています。単に麻雀の勝敗だけじゃなくて、牌の意味とか、座る位置が東と西で〜という分析には、驚いた。やっぱりもう1回見たい。
1Aを聞いていたら、「麻雀は全然わかんないんだけど、だからこそあの場面に深く感動した」というコメントがあって同意。内田先生が、こまごま日本の風俗が書き込んである「細雪」をたとえばフランス人が好んで読む意味について書かれていたのと似ている。自分にとって「ないもの」に普遍性、言い換えれば真理を見出すんだと思う。

(8/25追記)ロマンチックコメディとしても2015年のTrainwreck以来の好調な出だし。ロマコメ愛好家によると、「興収的にもこれからのロマコメを盛り上げるのは多様性だ。Netflixがその鍵になるだろう」とのこと。

(8/28追記)池上さんと佐藤さんの対談を読んだら、あのラストにまた感激できるかどうか、複雑な気持ちになった...。ウチの現大統領は多様性やハリウッドとはウマが合わないんですけど、やっぱり唸るような大富豪とは緊密につながってるんだよね。

池上 金正恩は会談の前日、シンガポールのカジノホテル「マリーナベイ・サンズ」に行きました。これはトランプに恩を売ったのですよ。金正恩が行ったおかげで、三つのビルの屋上にまたがって船が載っかっている、あの特徴的な建物が、世界中のニュースで流された。視聴者は当然、「あのホテルは何だ?」「マリーナベイ・サンズって何だ?」と思うはずで、大宣伝です。
このホテルの経営者が、シェルドン・アデルソンといって、ラスベガスのカジノ王であり、トランプの支援者なんですね。(中略)2017年、トランプの大統領就任式に費用として500万ドルを提供しています。また、18年11月の中間選挙用の資金として共和党に莫大な政治献金をすると発表した直後、首脳会談の場所がシンガポールに決まっていますから、その関係は推して知るべしです。(中略)
2011年にシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」を取材したことがあります。経営を任されている人物が頻繁に日本に行っていると言うので、なぜかと聞くと、「日本にカジノ法を作らせるための根回しと、法律ができたあと、サンズがカジノを作るべき場所を選定しているのだ」と。ですから、法律ができたら間違いなくサンズは日本に進出してきます。

池上彰、佐藤優著「知らなきゃよかった 予測不能時代の新・情報術」から。



原作。いやほんと、Kindleストア・ジャパンは洋書が安い。最近は絶対にUSストアと比べてから買ってる。2アカウント(と、Kindle複数機)を維持する価値があるというものです。

邦訳。


ウェディング行進曲に女声のプレスリーを入れてきたのはとってもセンスがよかった。涙を誘われた。

シンガーご本人が出演。


最近これも「やすっ」と狂喜して購入。今はちょっと値上がりしてますが、それでもUSより安い。


これも何度見たか分からん。



トレーラー。

2018-08-11

映画 BlacKkKlansman を見た。スパイク・リー監督『ブラッククランズマン』

シャーロッツビルの事件からちょうど1年の今日、極上のエンターテイメント風刺劇を見ることができた。

情報量が多いのなんのって、それでいてとても軽快だし、すんごく面白かった。
髪型のせいかいつも同じに見えるアダム・ドライバーだが、本作で初めていい!素敵!と思った。

血にこだわるのって根本から論理破綻しているから虚しいのだけど(グラデーションはあれど人類みな混血ですから)、そのidiotさがアダム演じるフリップをユダヤ人として据えたことで強調されていた。

デュークとかクリスチャンなんですよね...。聖書のどこをどう読んだらああなると?

そして相当に「アメリカ語」を堪能できる作品でもあったのだが、『ソーリー・トゥ・ボザー・ユー』の「ホワイトボイス(白人風の声)」の補足がこんな直近で得られるとは驚き。
しかも、こちらの物語も電話でのトリック、かつテレアポではなくて「あの人たち」まで騙くらかして信頼を得たということで格段にレベルが上(?)です。一応デュークなりの発音理論(??)もあります。みんなでめっちゃ笑いましたけどね。

シャーロッツビルで犠牲になったヘザーさんはじめ、自由のために闘って倒れたすべての人に、Rest in Power.

ロン・ストールワースの原作。いやあれが実話だなんて...早速買いました。


トレーラー。


ところで今日、ラジオのクイズショーの「今週の時事ネタ小ネタ」にポンポン答えていくコーナーで、「日本で$9でレンタルできるサービスとは?」というクイズがあった。素人回答者が即座に出した答えは「セックス人形」。。。ブー、ハズレ。
正解は「おっさん middle age man」で、まあその後いろいろ話が盛り上がっていたのだが、私としては、そうか、とりわけ日本好きでもない素人の間にも「日本といえばヘンタイ」というイメージが広まっているのだなあ、と感慨深かった。

ついでに、医大の女子受験生差別の件、こちらの媒体でかなり取り上げられていて、逆に私が「深刻なスキャンダルなんだ」と教えられた次第。
ハーバードのアジア人傾斜の記事を読んだばかりだったから、その手の話じゃないの?みたいに思った私が間違いでした。
特にSkimmに書かれていたのが驚いた。3年間毎日読んでて日本ネタって4回くらいしか見かけてなかったもの。

確かに女性を一律に不利に、って明確に憲法違反だよね。
今の政権の人たちがわりと聞いたことない大学を出ているので、日本の面接も推薦状もエッセイも要らないペーパー一発入試ってわりと機能してるよなーとか思っていたのですが。