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英語あそびなら天使の街

2018-07-17

映画 Eighth Grade を見た。2018年暫定ベスト!ボー・バーナム監督『エイス・グレード』

大大大大大大拍手。最高。ジーニアス
カイラの最後のセリフで満員の劇場がポン!と浮き上がったのを感じた。
スキップして帰りたかった。

ジャスティン・ビーバーのようにYoutubeでキャリアをスタートさせたボー・バーナム監督、そして主演エルシー・フィッシャーちゃんのみずみずしい覚醒を寿ぎたい。
嬉しくて嬉しくてたまらない。

後で気づいたんだけど、話の構成は完全にEdge of Seventeen 『スウィート17モンスター』と同じなのね。

でも、「男の子と車内で2人になってなんか不穏」のシーン(怖い)も、そこから大ショック(うろたえる父親の気持ちも含めて分かりみマックス)への流れも、「自分を思ってくれる身の丈にあった男の子とのデート」も、「大人との邂逅」も、Eighth Gradeはその百万倍感性が細かくて、役者間のコミュニケーションが緻密で、グイグイグイグイ共感させられるのだ。

そして配役が匠の技! エルシーちゃんが玄人を超え仙人の域に到達しているのはもう言うのも野暮ですが、「身の丈ボーイ」「ワルい高校生男子」とか一体どこで拾ってきた? 

かつてスピードスケート清水宏保選手が、自分にはトラックにスーッと線が走るのが見える、完全にその線に沿って滑走できた時に記録が出るのだ、というようなことを言っていた。
この作品は、監督に見えた線、それもすっごくほっそーーーい線に、みんなが極限まで正確にのっかれた奇跡だと思う。
お父さんは特にそれが顕著でした。その線を1ミリでもはみ出ると、スケベ心が見えて滑ったり、娘への愛が感じられなかったりしたはず。

だから、この映画に関しては外国語への吹き替えはありえない。
クルアーンじゃないけど、アメリカ語以外のEighth GradeはEighth Gradeではない。
本当に実のある言葉なんて5%も語ってない、かつフィラーだらけ(I'm like, like, like...)ということもひっくるめて、エルシーちゃんの発話でなきゃダメ。

デジタルメディアのなじませ方も実にうまいですねえ。
『ガールズ・トリップ』『ラブ、サイモン』、『アニー』では、SNSが話を転がすのがショボくて軽くて手抜きで耐えられなかったが、本作ではみんなが最初から最後までスマホ握ってるのに全く気にならない。驚異!

ああああ、ええもん見せてもろうた! もっかい映画館で体験したい!

トレーラー。

監督とエルシーちゃん、まるで兄妹やな。


もちろん、音楽のあしらいも達者です。


2018-07-14

映画 Sorry to Bother You を見た。下北沢小劇場的『ソーリー・トゥ・ボザー・ユー』

各所レビュワー陣が絶句しつつも(「どう形容していいか分からん」という声多数)、星を大盤振る舞いしている作品。
「スリラー」のようなラストに観客席も"Oh, S--t!"の合唱に。

残念ながら、私は嫌いでした。
下北の劇小とか駅前とかでこういうのよくやってた。
ついでに苦手な園子温監督の作品を見てるみたいだった。

ブーツ・ライリーという人の初監督作ということだが、全体的にものすごーく間延びしていたと思う。
『ハート・ビーツ・ラウド』ほどじゃないけど、下手な翻訳小説を読んでいるような見辛さ。

テレアポにはホワイトボイス(白人風の声)を使おうぜ!」というネタ振り自体は食傷感があったが、いくつかのメディアが、声のトーンが持つ社会的意味を考察していたのは興味深かった。
そういえば、スーツケース1つでNYに出てきたマドンナデモテープを配っていた頃、歌だけ聞いた業界人は彼女をアフリカ系だと思い込んでいたらしい。(『マドンナの真実』に詳しい)

『君の名前で僕を呼んで』オリヴァーがグル役。彼のランクはそれほど高くないらしい。

『ブラックパンサー』でも名目上、舞台だったオークランド。治安悪い感満載。あまりにもイメージどおり。
友人が市に雇われて引っ越したけど、「アメリカのあらゆる町を訪ねたい!」私ですら、あんまり遊びに行きたいと思わないんだよね...。

トレーラー。


2018-06-20

映画 Hearts Beat Loud を見てしまった。近寄るなキケン『ハーツ・ビート・ラウド』

四流作品。私は映画を見て「金返せ」と思ったことはないが、今回、この映画に往復含めて3時間使ったことで逸失利益が非常に大きかったと後悔した。
「トレーラーだけでも拙い作品なのは分かったじゃん、それなのにトマトが赤い、サーシャ・レーンが見たいという理由で行ってしまったよ何故」という後悔である。

本も役者さんもそう悪くないと思うのだけど、とにかく酸素が薄くて、最後まで薄いままで、すごくフラストレーションがたまるのだ。

たぶん、ほんの数秒カットが長すぎる、とかそういう小さなことの積み重ねだと思うのだけど。
クオリティ感が『中学生日記』なんですよね。
というと、やっぱり役者さんが下手なだけなのか?
誰か詳しい人にこの気持ち悪さを説明してほしい。

「つまらないと分かったら途中でも見るのをやめる」をそろそろ実践できるようにならねばと思った。
何より大事なのは時間なのに、映画館ではまだ勇気がなくて...

サーシャはまあ良かったけど、アメリカン・ハニー』のついでに撮ったんじゃないかと思えるほど、スタイルが同じだった。

サムちゃんのMacモニターの汚さはリアルでした。
それから、雨の日の昼間、ニューヨークの外れにあるバーの雰囲気は、ああ、いいなと思いました。
雨の日が演出する親密さというのはカリフォルニアではあまり味わえませんから。

関連:映画 American Honey を見た。アンドレア・アーノルド監督「アメリカン・ハニー」

一応、トレーラー。

2018-06-07

映画 RBG を見た。ルース・ギンズバーグの言葉が築くアメリカ

火曜日のプライマリー結果で特筆すべきは、リベラル女性候補の躍進だった。
Women’s marchが掲げてきた具体的指標は多々あるが、少なくともLAでは、投票率を上げること、そしてさらに多くの女性を政界に送り込むことがその肝である。
あの日の鼓動が目に見える形で増幅しているのを嬉しく思う。

そして、ギンズバーグ最高裁判事のドキュメンタリー『RBG』はとても面白かった。
アメリカでなければ起こり得なかった」あるアメリカ人の人物史。
下手な喜劇よりもよほど観客がノっていたし、最後の大きな拍手も温かかった。
ルースなくしてトゥルースは語れず。彼女がアメリカに与えられて本当に有り難い。

米国史のランドマークとなる判例の数々を軸に、彼女の生きたアメリカ、彼女がコツコツ築き上げたランドスケープが紐解かれる。
ご主人はじめ、周囲の人たちの魅力的なこと。
士官学校に入りたいと願った女性たちや、俺にも母親と同じベネフィットが与えられるべきと主張した男性まで、歴史に連なる原告の人たちまでもがただもう皆、明るいの。

そしてマイヒーロー、グロリア・スタイネム !! の出番は残念ながら思ったより少なかった。

ところで、「男に負けたくない」とか、昭和の小説みたいなセリフ、最近どこかで読んだなーと思ったら、田部井淳子さんをモデルにした『淳子のてっぺん』だった。
2人とも1930年代の戦前生まれ、同時代人と言っていいでしょうか。
どちらも、単に好きなことをやるために男社会と闘う必要があったこと、夫と長く良い関係を築いたことが共通しています。

米国の就任宣誓は"Help me God" と締めくくられるのが実にいい。
地上でちょっとばかりいい仕事ができたとしても、すべてのクレジットは神にあります。

私もルース母の教えを胸に刻むことにしよう。
Ba a lady, be independent.
(ルースの解説によると、ladyとは腹を立てない人だそうです。最後のほうに彼女がおかした失敗への批評もきちんと挿入されています。)

法廷を変えた男、マーシャル弁護士も登場します!

このベストセラー本がテーマだと言ってもよい。映画には快活な若い著者2人も登場します。




いかにも新聞連載的なバタバタ小説ですが、淳子さんの残した著作へのドアを開いてくれた1冊。


かっこいいトレーラー。


もちろん製作陣にも女性がズラリ。

2018-05-26

映画 Book Club を見た。西海岸版SATCの30年後『ブック・クラブ』

アメリカ人が大好きな読書会をヒンジに据えた女友達4人モノ。ついでに白人業界モノ。
あえて感想書くのも野暮に思える類のショー。
完全なる予定調和を十分に楽しんだ。
思いがけず、LAだけでなくセドナ近郊の赤岩も観光できたし。

観客席は見事にSATCの30年後みたいな60代風情のガールズ!グループでいっぱい。

こういう半オムニバスものは、ひとつくらいは気に入るエピソード、人物に出会えるものだけど、今回はメアリー・スティーンバージェン章が一番。きれいだし。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』と『ギルバート・グレイプ』の彼女のパフォーマンスが大好きなので多分贔屓目もある。ヒラリー・クリントンとも親友だそうです。

そうそう、予定調和といえばメアリー章の最後の「電話が当たって」ネタはあまりに予定どおりすぎ。
ほら『フレンズ』のレイチェルとロスのほぼ初デートで、すわ早漏か?>即座に気にしないでと言葉をかける出来た女レイチェル>いや、ジュースのパックがつぶれたんだよ〜とロスが言ってレイチェルが「あーーーよかった!」と本気で喜ぶやつ。

とにかく4人を描写をするには100分では足りないのだけど(バーゲンをムリに判事にする必要あった?SATC引っ張って編集者とかでよかったかも)、最後のそれぞれの宣言は個性があって良かった。
ダイアン・キートンは娘たちに。
ジェーン・フォンダは元カレに。
メアリー・スティーンバージェンは夫に。
キャンディス・バーゲンは再婚する元夫 + 息子カップルに。
特にバーゲンは名スピーチでした。Well done.

そうそう、キートンだったかバーゲンだったか、初デートの相手への労いのセリフは使えそうですね。
Thank you for making tonight easy.

『デブラ・ウィンガーを探して』を見て以来、ジェーン・フォンダに苦手意識を持っていた。
今回同年代の女優との競演を見て、やっぱり苦手だわ、と思った。
圧倒的にウソ度が高く見えるの。

アリシア・シルヴァーストーンがものすごいチョイ役で活動しているのも、クルーレスな私としては今だにビックリする。

これも誰にとっても想定内だろうけど、フィフティ・シェイズが小道具として機能しているかというと別に...。
友人の1人が、親の介護で疲れ切っていた時にこの小説に浸ると何もかも忘れられた、と言っていた。
何かに集中できると、すごく癒されるものね。
まさに「小説は人生でざぶざぶ使うもの」(田辺聖子先生)



で、私もつらいことがあった時にはまろうとトリロジーセットを買ってしまったが、グレイとの出会いのシーンで止まってる。全然読了できる気がしない。
典型的な「読んでると脳ミソが溶ける感じがする」ラノベ。だからこそ友人は救われたのだろうと思う。ありがとう、と言いたい。


彼女たちが若い頃のベストセラーはこちら。私はたまたまドイツ行きのルフトハンザ機内で読んだので主人公にシンクしてしまったのをよく覚えています。


サウンドトラックがすごく良かった。昨年聴きまくったMarvin Gayeをますます好きになった。


トレーラー。カットされたシーンも入ってます。