新無効論 「大日本帝国憲法」現存証明 南出喜久治

                 
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第19127号 國民新聞 平成19年9月25日(火曜日)

大日本帝国憲法」現存証明
弁護士・憲法学会会員 南出 喜久治



大日本帝国憲法(以下「帝國憲法」といふ)は現在もなほ効力を有してゐる最高規範たる憲法である。

その理由はかうである。昭和二十七年四月二十八日に発効したサンフランシスコ講和条約(以下「講和条約」といふ)は、第一条において、講和条約が発効するまでは「戦争状態」であつたとする。ところが、日本国憲法と称する占領憲法第九条第二項後段では、

「国の交戦権は、これを認めない。」とあるので、占領憲法では講和条約の締結権限はない。

蓋し、交戦権とは、戦争を始め(宣戦権)、戦闘を遂行又は停止し(統帥権)、戦争を終結して講和を締結すること(講和権)に至るまでの一連の行為に他ならないからである。

また、占領憲法では、戦争を放棄し交戦権が認められてゐないので、その施行時に戦争状態であつたことは、占領憲法の致命的な矛盾であり、その施行当初から憲法としての実効性がなかつたことになる。

つまり、大東亜戦争を宣戦して戦闘を遂行し、ポツダム宣言を受諾し降伏文書に調印して停戦し、その結果独立が奪はれて軍事占領に置かれ、その後に講和条約を締結して戦争状態を消滅させ独立を回復するまでの一連の行為は、帝國憲法の宣戦大権(第十三条)、統帥大権(第十一条)、講和大権(第十三条)を根拠とするものであつて、

講和条約締結時においても、帝国憲法には憲法としての実効性があつた。

そして、独立を喪失した軍事占領下で占領憲法が帝國憲法の改正として成立したとしても、それは、憲法改正が禁止される摂政設置時といふ国家の通常予測される変局時以上の異常なる変局時である軍事占領下の非独立時に憲法改正はできないのは当然であるから(第七十五条)、

占領憲法憲法としては無効である。

占領憲法は、講和条約に至る一連の講和の条件として履行された結果であつて、帝國憲法第七十六条第一項により、帝國憲法の根本規範に抵触しない限度において、ポツダム宣言受諾から講和条約に至るまでの一連の講和条約群の範囲内でしか効力を有しない。国際法上、軍事占領下の非独立国であつても例外的に独立を回復するための講和条約を締結できるが、一般の条約は締結できない。

もし、この唯一の例外を認めないと、講和条約は無効(又は不成立)となり、我が国は未だに独立してゐないことになる。

一般には、非独立国は国家とは言へず、講和条約以外の一般条約を締結できる当事国能力がなく、条約を締結しうる主体とはなりえないのである。従つて、講和条約の締結権を、独立国であることを前提とする占領憲法第七十三条第三号に求めることはできない。

それゆゑ、我が国は、帝國憲法下で独立し、帝國憲法が最高規範たる憲法として今もなほ現存し、その下位法令として占領憲法といふ講和条約の性質を持つ法令が存在するに過ぎないことが国法学的に証明されてゐることになる。


(参考)
「有効」とは、憲法としての「妥当性」と「実効性」の両方を保持している状態です。そうでなければ「無効」です。
http://inosisi80.iza.ne.jp/blog/entry/123516/

(関連ブログ)
「新無効論」という名の有効論
http://d.hatena.ne.jp/sadatajp/20071129/1196346065
無効論」という名の有効論の続き
http://d.hatena.ne.jp/sadatajp/20071202/1196522576