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秋山真之の大本教批判

 国立国会図書館デジタルコレクション - 大本教の正体 : 正教歟邪教歟
 こういう本があって内容はおもしろく大本教の一面を抉っているので出そうかとおもったのだが著者の狩野力治の没年がわからんので売り物にできない。そこで中に引用されている秋山真之大本教批判を引用してみようとおもう。一応紹介しておくと秋山真之日露戦争バルチック艦隊を撃滅した日本海海戦の作戦を立案した人で、戦後は司馬遼太郎坂の上の雲』で再度脚光を浴びた。

 故海軍中將秋山眞之氏は、晩年大本敎に迷ひ込んだが、其邪敎たることを看破したる人であるが、こゝに録するものは、大正六年の夏、友人某氏(現任海軍將官)に宛てられた信書の一部の抄録である。
(一)九分九厘迄立派 「過般小生が欺瞞されたる大本敎の如き、古事記の解釋、神代の解説等、殆ど前代未聞と謂ふべき程に卓越致し居り、殊に現代魔魅の跳梁跋扈より一世を濟度するには、天の非常手段に依り、破壞淘汰の神慮に依るの外なしと斷定し、其の由而來る事由と經路とを明細に示され、小生が當初より神慮は一切衆生の濟度にありて、此の如き酷烈なるものにあらずとの反論も、次第に論破せられ、終に小生も成程と過信したるが、抑も小生今次の不覺の根源たりしが如く、所説とか信條とは實に立派なるも、九分九厘迄入込みて、最終に其の本靈と接觸するに至り、初めて其の正邪を判別し得る程に、九分九厘迄は一點の非の打ち樣のなき如く裝ひ居候」。(六年七月二十三日)

 ほぅ。まぁここまで読むとまだまともな感じではあるが

(二)大本魔神の正體 「小生の實地に鑑識する處に依れば、綾部大本敎の敎祖及之を補佐せる敎長の靈力は、小生が今日迄出合ひたるものゝ中にて○○なるものにして、之を△中氏と對抗せしむれば、必然△中氏の○に了らんかと信ずる位に御坐候、尚ほ少々魔界の極秘を洩せば、右大本の敎長たる出口王仁三郎の魔靈(註に曰く老大天狗)も、中中に由緒ある高等のものにて、又近くは池袋に神道の一派を開きかけたる岸本某も、數千年を經たる白狐の妖靈に依りて、一時奇應を示し、是亦○○迄侵入せんと企てしが、魔と魔との同志打に依りて、大本敎の魔力に打破せられ、今や其の魔靈は岸本を去りて他に相移り居り候(六年七月二十三日)、なほ同氏の記録の一節に曰く、「大本敎祖出口ナヲに憑き居る惡靈は龍蛇にして、元素佐嗚命に退治せられた八頭八尾のオロチの子、其當時は卵體にて某國(註に曰く爪哇)に生み落され、大鰐に孵化せられたるものにして、其の時代より我が○○を怨み奉り、手を代へ品を換へ、我○○を呪ひ、或は平將門に憑り、或は足利尊氏に憑り、其の他色々の人物に憑りて仇を爲し來れるが、常に天照皇大神の御稜威に打たれ、時には改心歸順したる事あるも、元來が惡靈なれば、いつかは其の本性を現はし、不穩の擧を企て居るものにして」云々。

 あぁ....ちょっとあちらに旅立ってられますね。実はこの本自体がどっぷり大本教につかっていて脱退した人が書いたもので、誰某がこう言っているというときの証言にこの種の行っちゃってるものを引用していて、そういう点は目糞鼻糞の観はあります。この続きがまだありますがまぁ大正の電波をあびるのもこれくらいにしときますかね。中に六年と書いてあるのは大正六年のことで、翌年お亡くなりになられるのでまぁしょうがないですね。