理想と現実の狭間で

久しぶりのエントリです。

色々コメントを書いてくださる方有り難うございます。
現実に起こっている事に対して、皆様がたでどう考えるのか?
書き方がまずいとか、自分たちの意見を聞入れないとかというコメントが散見されますが
ちょっと冷静になっていただいてこの話。


今の同人というのは徹底的な理論武装で成り立っています。
商行為をしていながら商業じゃないと言い張るのもその一つ。
私は例大祭でカタログを持ってない人は最初から入れないようにすれば良いと書きました。
実はこれには大きな問題がありまして、カタログを入場券扱いにすると営利目的のイベントということに
なって会場を借りる費用が上がってしまうのです。
だから入場券をカタログという言葉でオブラートでくるみ、ある程度の人数が入ったら後は解放という
なんともおかしなルールを設けているわけです。


理論武装していますから生半可なことをここで書きますと
否定している者は許さないとなんとか論破しようとするのです。
色々な意見を見ても商行為をしているという事実は揺るがないのですが商業じゃないんだ。
なぜならスペースを借りているサークルさんは商業だと「思っていないから」という
意見に終始することが多い。
書いている本人も実は商業じゃないのかなという疑問を抱きながら書いているから今ひとつ煮えきれない。
だけど主張せずにはいられない。主張しないと同人だから許されていることがすべて許されなくなるのではないか
皆様方のコメントからはそういう危機感に由来したヒステリックな書き込みが数多く見受けられます。


しかし同人は巨大化しすぎました。
お金も動くし、一つの界隈ですでにちょっとしたカーストもできあがっている。
紅楼夢を見れば分かるでしょう。 販売場所でこれだけ揉めているのは何故でしょうか?
結局お金が掛かっているからではないですか?
その中で儲かってないから商業じゃないんだと主張しても
もはや総体は個人商店と認識されていない。 それが現状ではないかということです。


しかし皆が幾ら否定しても、同人はすでにひとつの市場となっています。
同人は個人の手で作られるものではないことは皆様ご存じでしょうか。
本ができあがるためには、少なくても印刷屋さんや運送屋さんの尽力が必要です。
コピー本は? コピー機を管理している会社があるはずですよね。
ところが作り手はすべて自分で作っていると錯覚している。
本当は自分の見えないところで同人が世間に認知されて守られているのに
あたかも自分ですべてを遣っている気がしている。
その齟齬がこうした矛盾となって現れています。
もしイベントが潰れたらどうなるでしょう。 サークルの資金が厳しくなって
印刷屋は次の仕事がもらえないかも知れない。
委託している本屋は商材を得られない。 同人を紹介する雑誌もあるし、彼らを食い物にしている
ハイエナ企業も困る。
同人に依存してる会社は確実に存在する。 彼らの雇用は同人サークルさんが支えていると言っても過言ではありません。
作り手は商業主義の中に組み入れられていることを認識する必要があるのではないでしょうか?


個人で企画する即売会のシステムは巨大化故に
運営側も責任範囲も大きくなって収拾がつかなくなるでしょう。
実際問題として商売じゃないのだから商業のつもりでのお客様意識は良くないと利用者に啓蒙しておきながら
肝心のサークルは自分に良い場所を寄越せという意見が平気で出てくるのですから
もはや理想に対して現実が追いついていないことは明白です。
またいわゆる新規参入者はどんどん入ってきますから、彼らを拒否するのはカタログ問題を見ても分かるとおり
今の同人のシステムでは不可能です。
それでもどうにかして閉鎖性を保とうするとこれから次から次へと軋轢を生み出してしまいます。


この問題を解決するにはもはやイベントを統括する法人を作るしかないでしょう。
もしくは、専門会社に委ねるしかないかも知れません。
大きな問題が起こって出版社がイベントを企画することも考えられます。
実際一部の会社でそういう試みも始まっています。


私が思うに今の同人の参加者はなんだかんだ言ってもモラルが高いと思います。
もし彼らが順番も守らないような身勝手な人々だったら、イベントなんてあっさりと崩壊することでしょう。
ではそれはこれからも維持できるのか? それはとても難しいと思います。
人が増えれば一定数は問題のある人が現れます。 彼らをどう取り締まるのかを考えないといけない。
そうなったらイベント会社のノウハウが必要になるわけです。


皆さんが幾ら商業を否定してももはや言い逃れが出来ない日がくるでしょうし、
もうその段階に来ているでしょう。 
今はその境界で泳いでいた方が同人で儲けている企業が得するだけに過ぎません。
後はどうするのか逃げるのか、それとも開き直るのかそれくらいは考えた方が良いかも知れません。