2008-04-19
■「Perfume『GAME』は失敗した」とか言ってる人って、単に「エレクトロ」が苦手なだけなんじゃないの?

- アーティスト: Perfume
- 出版社/メーカー: Tokuma Japan Communications =music=
- 発売日: 2008/04/16
- メディア: CD
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取り合えず先にいくつか細かいところを突っ込んどくと、
中田ヤスタカは最高のポップス作曲家だが、一流のクラブミュージックのクリエイターではない。しかし、彼が志向するところは後者たりえることだった。
中田ヤスタカ本人は「自分は音楽の人ではない」と明言してる。『ファッションの方が面白い。“音楽の人”はつまらない』とまで言ってる。なので、彼が“クラブミュージックのクリエイター”を志向しているという解釈は怪しい。彼にとっては、初期capsuleのピチカートフォロワーっぷりも、中期の“似非ラウンジハウス”も、後期のエレクトロ路線も、あるいはPerfumeのエレクトロ・ハウスも全て単なるヴィークルに過ぎず、音楽の志向を変えることに関しては“洋服を着替える”程度の感覚しかないと思うよ。多分、“一流の○○クリエイター”なんて志向したことは一度もないと思う。
非常にスノッブな気質のあるダンスミュージックシーンで、そんな引用ができてしまう彼は一種の天然君であって、間違っても先端的センスの人ではない。
俺の知らない“ダンスミュージックシーン”があるのかも知れないけど、俺の知ってるダンスカルチャー、ダンスミュージックって“スノッブ”とは程遠いカルチャーだよ。
ある音楽が流行ったらみんな一斉にそっちの方向を向くし、大胆な引用や大ネタ使いに関してもロックとかポップに比べれば遥かに寛大な文化だと思うんだけど。
中田ヤスタカが“先端的センスの人ではない”ってことには同意するけど、逆に“先端的センスの人”でダンスカルチャーにいる人ってAndrew WeatherallとGilles Petersonくらいしか思い浮ばないんだけど。“かっこよい”かどうかは主観に寄るから別にして、“先端的センスの有無”と“ダンス・トラックのクオリティ”の間には相関関係はないような気がするけどな〜。
俺はどっちかというと“ベタな人”の方が優れたダンス・トラックをつくるケースが多いと思うんだけど。
んでもって本題。
Perfumeやcapsule(他は知らん)における、ベタベタなunderworldやDaft punkの引用。それら音楽はクラブミュージックというよりも、本屋やユニクロの音楽である(別に悪口を言ってるわけじゃなくて、消費されている対象の話ね)。
『GAME』みたいに電子音がブリブリ鳴り響いてる本屋やユニクロなんて入ったことないんだけどどこかにあるのかな?ちょっと楽しそうなんだけどw
「エレクトロ・ハウス」をやるとすぐunderworldやDaft punkの引用って言われるけど、それって音楽を構造でしか捉えられないダメな人の典型じゃない?BPM、ベースやキックの形、音のバランス、ネタ使い等々含めてunderworldとDaft punkの間にも物凄い差異があるし、Daft punkとJusticeみたいな最新型エレクトロの間にも差異がある。それを無視したらどれも「underworldやDaft punkの引用」になるし、更に言えばunderworldやDaft punkだって“なんかの引用”に過ぎなくなる。
単に“安っぽい”と言いたいだけなのかもしれないけど、それって別に「中田ヤスタカ」の問題じゃないと思うよ。最新のエレクトロを例に出せば、JusticeにしろDigitalismにしろBoys Noizにしろみんな等しく音そのものは“安っぽい”もの。
(要するにDaft punkからJusticeに行き着くまでの間に“エレクトロ・クラッシュ”があって“90'sアシッド・リヴァイヴァル”があって“イタロ・ディスコ”から“デス・ディスコ”、そしてTTCのトラックみたいな“変態エレクトロ”を経由した「エレクトロ再評価」への道程があり、“音”もそれに沿って変化してるってこと。)
(あと関係ないけど“Kill The DJ”というパーティーでDaft punk以降の“フレンチ・ハイプ”の浮かれっぷりに唾を吐いてダンスフロアにロックと退廃を持ち込んだ『Ivan Smagghe=Black Strobe』をみんなちゃんと評価してあげて下さい!)
取りあえず適当に並べてみるから“イメージ”ではなく“自分の耳で”確かめてみればいいと思うよ。
※槍玉に挙がってる『GAME』は音源がまだアップされてないので代わりにcapsuleを置いておく。
MUSiXXX - capsule
Justice - DVNO (official)
Boys Noize - Oh! Oh
DIGITALISM - IDEALISTIC
MSTRKRFT - work on you
SebastiAn - Walkman
Feadz - Numanoïd
Tepr - Minuit Jacuzi (datA remix)
ちなみに、“ダンスとポップを繋ぐ”と評価されてる人たちはこんな感じ。
※このヴィデオ最高!!
Hot Chip - Ready For The Floor
一通り聞き比べても、中田ヤスタカのつくるトラックに関して“クオリティが低い”とは思わないし“ずれてる”とも思わないんだよなぁ。capsuleにしろ今回のPerfumeにしろ、ポイントはきちんと押さえた上で“ポップミュージックとして”機能する絶妙なバランスを保ってると思うんだけど。
ぶっちゃけると“『GAME』は失敗”とか言ってる人たちって、『GAME』単体がどうこうとかPerfumeがどうこうとか中田ヤスタカのトラックがどうこうという以前に、彼が参照している“エレクトロ”そのものが苦手なだけじゃないの?もしくは引用そのものが気に食わないとか。
別にそれはそれで好みの問題だからいいんだけどさ、だったら『一流のクラブミュージックのクリエイターではない』とか言ってないで、はっきり『俺はJusticeみたいなエレクトロが嫌いだ!ダンスカルチャーから引用するのも嫌いだ!もっと変態ロリコンポップをつくれよ!』と書けばいいんじゃないかと思う。そうじゃないなら、ちゃんと“音のディティール”に言及しないと意味がないと思うんだよね。
俺はcapsuleよりPerfumeの方が好きで、その理由を色々と考えてたんだけど、多分中田ヤスタカのトラックは完成されてるけどあんまし“熱”とか“執着”その他もろもろの感情の起伏を感じないので「つくりは良い」と思ってもそんなに夢中にはなれないんだけど、でもPerfumeはフロントの3人がその“欠けた感情”を代弁する役割を担っているから、色々と自己を投影して夢中になれるんじゃないかな、と思ってるんだよね。その構図が“Perfumeの奇跡”ってやつだと個人的に解釈してるんだけども。
その文脈で言えば『GAME』は音のクオリティのレベルでも、あるいは“欠けた感情”を代弁する機能においても十分満足できるレベルにあるし、逆にここで『変態ロリコンポップ』に走ったら俺は興味なくなると思うけどな。だって、そんな“ニッチな領域”に彼女たちを押し込めて一体何が楽しいのか全く分からないもの。それこそ別のアイドルにやらせときゃいいじゃん。
俺は今の方向性を支持するし、“かしゆか”が“ぱつゆか”になってどんどんゴスくなってるのも“もっとやれ!”と思うよ。んで、次回作は徹底して“ダーク・エレクトロ”に走って『ゴシック・エレクトロ・アイドル』として世界デビューして下さい!
Black Strobe - Me and Madonna
あ、あと、
「中田ヤスタカの作るオシャレなサウンドが最高!」なんて書いてる音楽誌のレビューを見てると絶望的な気分になってくる。
これは俺も絶望的な気分になるわ。そんなレビューしてる雑誌があるのかはわからないけど。
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そんなレビューってこれじゃないかな? かな?
これはだめっていってるわけではなく、理路整然と論評されているので、感性を言語化している努力を尊敬します。
あと、Perumeにはアイドルよりも音楽グループになって欲しい。
こんなところにあったw
自分の好きな音楽を聞くのにいちいち「彼女ウケ」を気にするマーティは音楽好きとして三流ですね!
http://www.youtube.com/watch?v=PNWr_Jlx6p0
これ一日百回聞いて反省汁!
音楽の場合は「百見は一聞に如かず」ですからね。だから僕もyoutubeから音を引っ張ってきてるわけで。
ただ、音楽評論にもちゃんと歴史があって、「音楽をどう語るか」についてはそれなりに研究されてるんですよ。
もちろん「感性」という概念を否定するわけではないですが、僕はそうした「感性の言語化・理論化」を試行してきた評論の歴史も含めて音楽が好きなんです。
まあ賛否あすのは事実ですが大体は「受け入れられてる」んじゃないかと思いますよ。その上で個々の嗜好性とかち合ってるだけかと。
あと、「アイドル」と「音楽グループ」ってそんなに差異がない気が・・・。
Tepr以下ってBloc PartyとかHot Chipがってことですか?
おかしいな。僕はちゃんと再生されるんですが・・・。
とても納得できるところが多々あります。
もしよかったらこちら http://www.feecle.jp/blog/?b=anything&d=20080418 もご笑覧いただけたらうれしいです。
としか書けてない時点で、もぅ恥ずかしくなってましたが、このエントリーですっきりさせられました。「代弁している〜」云々の話は、とても共感持てます。
どもです。
確かに、この「GAME」でPerfumeのポテンシャルがはっきり示されたと思います。でも、やっぱ面白いのはこれからですよw
だって1stフルアルバムでここまでやっちまったんだから、もう広げちまった風呂敷をたたむなんてことは誰も許さないでしょうw
どうなるんでしょうねw意地悪いながらも、楽しみにしてます。
まだおっかなびっくりというか、確信を得られてない感はありますね。「ここまでは大丈夫?」みたいな感じで探りを入れながら出してる感じ。
だから、「確信」を持って「これだ!」と出してくれるものが聞きたい=アンセムが聞きたい!という感想は分からなくもないです。
でも傑作だと思いますよ、「GAME」。
どもです。溜飲を下げて頂けたようで何よりですw
Perfume=テクノではなくハウスだと思うのですが、「ハウスユニット」って言うと一般人は「...?」ってなる人が多そうなのがなあ。