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2011-09-20

すき間があってもはしは折れる

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 新聞紙をかぶせた割りばしにチョップを振り下ろして折る、という実験を紹介したことがあります。最初の記事「空気が押しつけるのお話」で示したように、割りばしを手で押さえるかわりに、割りばしにかぶせた新聞紙を空気が押さえつけてくれるのでした。2つ目の記事「狭くても空気は押している」では、新聞紙の面積を小さくしても割りばしが折れることを紹介しました。

 どちらの実験でも、「できるだけ新聞紙と割りばし(や机)との間にすき間ができないように」ということに気をつけました。なぜなら、すき間があるとそこに空気が入り込み、新聞紙を逆向きに押し返してしまうからです。

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 でも・・・。今までの実験でも、すき間、ありましたよね?空気って、ちょっとしたすき間でも入ってきますから、これではダメなのではないでしょうか。言い換えると、「すき間ができないように」という注意には、もしかしてあまり意味がないのではないでしょうか?


すき間を大胆に空けてみた

 論より証拠、試してみましょう。割りばしと新聞紙の間に大きくすき間が空くように工夫しました。

 まずこのようにして、折るつもりの割りばしの周囲に別の割りばしをたくさん配置します。この上に新聞紙をかぶせるのですが、こうしておくと、周囲の割りばしのおかげで新聞紙が机に密着できません。

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 次の動画のようにして新聞紙をかぶせました。かなりすき間が空いているのがお分かりいただけると思います。

D


 新聞紙をかぶせたあとの状況を撮影しました。このように、割りばしの周囲に大胆にすき間が空いているのが分かります。

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チョップ!

 ではさっそく、チョップです。例によって「振り抜く」ことを意識します。折れるんですかね・・・。

D


 おおっ!!確かに折れました!写真で見ると次のような具合です。

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 これはどうしたことでしょうか?


しくみを考えてみると

 ともかく、「すき間が大きく空いていても折れた」のは事実ですから、これを尊重して理由を考えてみましょう。

 もう一度動画を見直してみてください。チョップの瞬間、割りばしの真上のあたりの新聞紙が持ち上げられて、すぐもとに戻っているように見えます。速すぎてよく分からないので、動画をコマ送りにして1コマずつ連続写真として取り出してみると、次のようになっていました。1秒間に30フレームの動画なので、1枚につき約0.033秒が経過しています。

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 これを見ると、1枚目と2枚目の間で手が割りばしにあたり、新聞紙が割りばしに大きく持ち上げられていることが分かります。その後5枚目にかけて、新聞紙はまるで水面にできた波紋のように、元通りの平らな状態に戻っています。この間わずか0.1秒です。割りばし自体は、すでに2枚目の時点で折れていて、新聞紙から離れて落ち始めているようです。

 2枚目の画像で、持ち上がった新聞紙が「ぺったんこ」になっているのが気になります。これは恐らく、次のような事情によるものだと思います。次の図A〜Dを見ながら、下の解説をお読みください。

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 高速のチョップを割りばしに振り下ろすことにより、新聞紙が急激に持ち上げられます。このとき、新聞紙の強度が足らなければ新聞紙が破れてしまいますが、十分な強さがあった場合には図Bのように周りの新聞紙が引き寄せられてきます。

 持ち上げられた新聞紙の下には空洞が出来ますが、ここに空気が入り込むのには若干時間がかかるはずです(あとで述べます)。ですから、この空洞は一瞬「カラッポ」の状態に近くなり、周囲の気圧で押しつぶされるでしょう。これが図Cです。

 押しつぶされるといっても、両側から迫ってくる新聞紙には勢いがついていますから、空洞部分は均等につぶれるのではなく、左右からつぶれて図Dのようになるでしょう。


 この図AからDまでの現象が、連続写真の1コマ以内(つまり0.033秒以内)に起こっているのだと思われます。



 ちなみに、空洞に空気が入り込むのにかかる時間ですが、次のように見積もりました。高校で習う「物理」の教科書によりますと、室温における空気の分子(酸素や窒素など)のスピードはおよそ毎秒500mです。割りばしで持ち上げられた空洞の長さは10cm(0.1m)ぐらいなので、空気が入り込むのにかかる時間は

 0.1m ÷ 500m/s = 0.0002秒

ぐらいかなと思います。もちろんこれは大変おおざっぱな計算ではありますが、上記のような現象が0.033秒以内に起こっても不思議ではないような気はします。


まだ足らない気が

 さて、ここまで述べたことは、「新聞紙の下に大きなすき間があっても割りばしは折れる」という事実と、「新聞紙が波紋のように動く」ことに対する説明ですが、肝心の「なぜ割りばしが折れるのか」という点はちょっとまだ分かりませんね。図Bの時点で生じた空洞部分の気圧が低下して、上からの大気圧で割りばしが押さえつけられるのでしょうか?新聞紙の重さ(質量)も関係しているような気がするのですが・・・。折れる瞬間をうまく撮影できるとよいのですが。





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真田真田 2011/09/23 11:12 割り箸の折れ方に注目してみました。1回目の実験のときの折れ方は、「その部分」で、2センチほどの範囲で折れています。これは、新聞紙に覆われている部分とテーブルから割り箸が出ている境目でしょう。いわば、折れている部分のすぐ両隣のところを指ではさんで折ったのと同じ状態です。それに対して2回目の折れ方は、「長い」ですね。テーブルから出ている箇所だけに力がかかったのではなく、全体に力がかかって折れたということでしょう。つまり、1回目に比べて「ゆっくり」割り箸が持ち上がりながら折れた。割り箸の両端を持ってゆっくりと力をかけた折れ方です。1回目は大気圧で新聞紙がしっかりと押さえられていたので、持ち上がらずに小さな部分に力がかかって折れた。しかし、2回目はすきまから空気が入ってきたので持ち上がってしまった分、力のかかりかたが「ゆっくり」になった。おそらくは押さえていた力は(空気圧−流れ込んだ空気圧+新聞紙の重さ)で、後は力の時間差かと思いました。

inyokoinyoko 2011/09/23 12:28 おお、真田さん、鋭い着眼だと思います。今回の実験では確かに箸が「折れる」というよりも「裂ける」感じになってますね。

追加実験をさらにやってますので、近いうちに公開いたします。

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