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如実知自心〜三田こころの健康クリニック新宿〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-07-18

思考を現実と錯覚することから抜け出す

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、慢性うつ病気分変調症)や愛着障害の治療をはじめる前に『セルフ・コンパッション』を読んでもらってから治療導入していますよね。

なぜなら、骨折が治る(折れた骨がつながる)ことは、普通に歩いたり走ったりできるようになる前提ではあるものの、そうなるためにはリハビリが不可欠なように、不安や抑うつ状態が改善することは必要な条件だとしても、生きづらさを低減していくためには、自分自身の心との向き合い方を学んでいく必要があるからなのです。

これを対人関係療法では「心の状態の変化についての気づき」と呼び、三田こころの健康クリニック新宿では瞑想によらないマインドフルネス(心で心を見ること)を指導しています。

マインドフルネスについて書く人がよく使う比喩に映画館を用いたものがある。
たとえばスリラー映画の筋がわからなくなったとき、自分が映画を見ていたことを突然思い出すことがある。少し前まで、ヒロインの女性が悪役に窓の外へと突き落とされるかもしれない恐怖で自分の腕を掴んでいたにもかかわらず、隣の席の男がくしゃみをすることであなたは何の危険もなく、それがただの映画であることに気づくのである。
完全に映画の世界に没頭するのではなく、あなたの意識が広がり、現在何が起こっているのかに気づくことができる。あなたはスクリーンの上を光のピクセルが踊っているのを見ていただけである。そこで、あなたは肘掛けを掴んでいた腕の力を弱め、高かった心拍数が平常に戻り、もう一度スクリーンに集中できるようになるのである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


心との向き合い方の一番最初のステップは、思考や感情に巻き込まれ、それらを現実と錯覚している状態から、思考や感情は心の動きに過ぎない、思考や感情と自分は同じではないと俯瞰的な視点を培っていくことです。

そのひとつの方法として『過食症や気分変調症で「自分との関係」を改善する』で書いた「バイロン・ケイティの「4つの質問」」がありますよね。

「4つの質問」の最初は、考えの内容を吟味することから始まり、その考えとの向き合い方のプロセスを自分問いますよね。
この時も、自分の心の中で起きていることを見つめるだけの自我の強さが必要になりますよね。

しかし、どのように対応するかという選択肢をもつためには、選択肢について考えるための精神的な余裕が必要である。今、ここで何が起こっているのかを自分に聞くことが可能な状態にならなければならない。
それは本当に危険であるのか、あるいは、自分はスクリーンの上の光のピクセルの運動に対して危険であると考えているだけなのか。実際に対応しなければならない状況とは何か。
賢い選択をするために必要な自由を手に入れるためにはこのような問いに答えなければならない。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


マインドフルネスとは正反対の状態、つまり慣れ親しんだ思考や行動パターンに陥った「自動操縦状態(マインドレスネス)」から抜け出すためにもマインドフルネスやセルフ・コンパッションが役に立つのです。

マインドフルネスの敵の1つは、個人的なドラマの中で我を忘れることで現在何が起こっているのかを明確に見ることをできなくする過剰な同一化のプロセスである。
自己判断や孤独感によって混乱している場合、傷ついた感情に対してマインドフルネスであることはより困難となる。しかし、優しさやより大きな観点から感情を落ち着かせて癒すことができた場合、自分自身のドラマから抜け出し、苦しみから解放されるための心の余裕を作ることができるだろう。
他者の存在や彼らからの思いやりと繋がっていると感じたとき、自分が過剰反応していることに気づくことはそう難しいことではない。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


巷で流行っている呼吸に意識を向け集中するマインドフルネスのやり方では覚醒状態が低下し、過剰な同一視のプロセス(我を忘れること)、つまり自らの思考や体験を現実と捉えてしまう状態に陥りやすいリスクがあります。

ここでいうマインドフルネス(注意深さ)は、寛いで心の中で起きていること(思考や感情)を見わたす明晰さ(オープン・モニタリング)のことです。
しかしながら、日常生活でストレス反応が起きたときに慌ててマインドフルであろう(覚醒状態を高めよう)としても、闘争-逃走反応が起きてしまい、考えないようにしよう、感じないようにしようと、自己非難に終始してしまいがちなのです。
そのために日頃から、寛いだ状態(安心感)の中で、自分自身/他者/世界を明確に、そしてより深く見つめて、信頼感やつながりを育んでおく必要があるのです。

過食症の人に取り組んでもらう「衝動の波に乗る」も、過食衝動のスイッチが入ってから練習したのでは身につきませんよね。普段から自分自身の心を見て、考えや行動パターンに気づいておくマインドフルな注意の向け方の練習が必要になります。

8つの秘訣』でも自分の心の中に浮かぶ思考を見つめる練習がありますよね。

いつしか練習を重ねていくうちに、「摂食障害のおしゃべり」が頭の中で繰り広げられているときにも「マイナス思考を変えられない」でいる自分自身を批判したり責めたりせずに、根気強くそれらをただ認識できるようになりました。マイナス思考が心の中にずっとあると、それだけでとても苦しいものです。しかし、そのまま練習を続けていくと、そうした思考にはただ注意を向けて、名前をつけて、摂食障害思考だと気づいたままでいられるようになります。また同時に、そうした思考は何かのスイッチ一つで消せるものではないのだと自分に言い聞かせて、忍耐強くいられるようにもなります。おしゃべりが聞こえてきても、そのうち消えるのです。
思考にただ気づいた状態でいられるということは、それに対応できるようになるための第一歩です。そして、そこに摂食障害思考があるということをふまえつつも、自分が一人の統合された人間だと改めて意識しながら、摂食障害は自分の一部分でしかないと見極められることへの第一歩なのです。

コスティン&グラブ『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店


自分の心を観察する練習をくり返すことで、考えや感情に飲み込まれ、現実と錯覚して苦闘する「過剰な同一化」から抜け出すことができます。

気分変調症ではないか」「愛着障害かもしれない」「アダルトチルドレンかも」と感じていらっしゃる方は自分をふり返る練習と「4つの質問」に取り組んでみてくださいね。

人と接するのがつらい―人間関係の自我心理学 (文春新書 (074))

人と接するのがつらい―人間関係の自我心理学 (文春新書 (074))



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『摂食障害と夢〜心の中を見わたす』というタイトルで、夢と身体(行動と症状)の関係、そして夢のメタファーを読み解くためのヒントについて解説しています。

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来で行っている薬に頼らない根本的な治療、つまり対人関係療法では、情動を身体感覚として捉えること、感情を言葉で表現すること、4蕎陲鯤えておけるだけの心の枠組みを拡げること、など自分の心との親和性を高めることがすごく大切な要素になります。
これらの心との向き合い方は、「メンタライジング(心で心を見ること)」「省察機能(リフレクティブ・ファンクション)」など、「愛着の内的表象化(内的作業モデル)」とも関連するので、対人関係療法の導入準備として指導しているんですよ。

また本格的な治療に入る前の準備として、過食症やむちゃ食い症の人には、『素敵な物語』と『8つの秘訣』、気分変調症や不安定型愛着スタイルの人には、『セルフ・コンパッション』、不安障害の人には『不安のメカニズム』を先に読んでいただき、自分自身の心の動きを体感してもらっています。

本を読むことを通して心との親和性を高めることが目的ですが、中には本を読むと過食衝動が高まるので読めないとおっしゃる方もいらっしゃいますよね。
過食衝動が高まったということは、「衝動の波に乗る」ことが課題だとわかったわけですから、一歩進んでいるのですよね。
また、本を読んで理解できた、でも過食や過食嘔吐が治らないと感じていらっしゃる人は、自分自身を客観的にふり返り、感情を指標にして行動の仕方を変えていく必要があることが理解できると思います。
このように治療ではすべての心の動きを回復へのステップストーンとして使っていくので、夢も例外ではないわけです。

「過食」や「むちゃ食い」だけでなく、「自分はダメだ」「自分は愛着障害かもしれない」などの自己限定の罠、いろんなことが不安になってしまうことから回復したい方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

※7月30日(日)10:00〜12:00に、摂食障害の当事者さんやご家族向けの講演と質疑応答の会「摂食障害の疑問に答える」を開催します。
摂食障害の当事者さんだけでなく、ご家族もまた同じように苦しんでいらっしゃいます。『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』の著者で歌手でもあるジェニー・シェーファーさんとのスカイプでのやり取りの中で、摂食障害から回復するためのヒントを見つけていただけたらと思っています。

詳細はこちら→「摂食障害の疑問に答える」「まだ治療を受けていない方、ご家族の皆様へ!」。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-07-10

愛着障害と慢性うつの脳内劇場から自由になる

「対人関係がうまくいかないのは、愛着障害なのかもしれない」「生きづらさを感じるのは、アダルトチルドレンだからかもしれない」などさまざまな理由治療を求められる方がいらっしゃいます。

ある本に愛着障害(不安定型愛着スタイル)を克服するには、親にも治療カウンセリングの場に参加してもらい、親も変化する必要があると書いてあるそうです。確かに、養育環境の影響が大きい思春期以前の幼児期や小児期なら、そのような再養育のやり方も適切でしょう。

しかし思春期の発達課題であるアイデンティティの確立、つまり自分との関係、二者関係、集団との関係を拡充していく時期を過ぎると自分固有の遺伝的特性の方が養育環境の影響より大きくなります。思春期以降は再養育によって愛着スタイルが変わることはないのです。

では思春期以降に生きづらさを感じるのはなぜなのでしょうか?
なぜ、幼少期の生育環境や親との関係に囚われてしまうのでしょうか?

それは、心の内容(概念や思考など)を現実ととらえてしまい、自分で作り上げた、あるいは本に書いてある概念を自分に当てはめ、「自分は○○だ」という「自己概念の罠」に陥ってしまうからなのです。

愛着障害(不安定型愛着スタイル)の治療だけでなく、慢性うつ病気分変調症)や不安障害治療でいつも感じることは、自分の考えを現実と思い込んでしまう傾向にあることに気づかない人がほとんどということです。

頭の中に浮かび上がるすべての思考や感情が真実であると信じる必要がないため、マインドフルネスは驚くべき自由の感覚を提供する。
むしろ、異なる種類の思考や感情が生まれては消えていく様子を見ることで、注意を払う価値のある対象とそうでない対象を見分けることができる。認知の正確性に疑問を投げかけることができるため、思考や感情が重視される必要性を問うことができる。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


三田こころの健康クリニック新宿で行っている対人関係療法で「自分との関係を改善する(心の状態の変化についての気づき)」を強調するのは、概念や考えなどの内容と心そのものを区別するだけでなく、考えと自分自身を区別できる俯瞰的な視点を身につけるためです。

俯瞰的な視点(心についてのマインドフルネス=メンタライジング)が身につくことによって、私たちは、愛着障害やアダルトチルドレンなどの自己牢獄から解放される鍵を手に入れることができるのです。

この事実が重要である理由は、この洞察が過去と未来に対する考えは「考え」以上のなにものでもないことを意味しているからである。
過去は私たちの記憶の中以外に存在せず、未来は私たちの想像の中以外に存在しない。
そのため、自分自身の思考の連なりの中で自分を失うのではなく、一歩下がって「今、自分が考え、感じ、経験しているのはこれだ」と言うことができる。
私たちは現在の時間の現実に目覚めることができるのである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


気分変調症の人の「やっぱり自分はダメだ!」とか、不安障害の人の「もし○○だったらどうしよう?!」に対して、周囲の人が献身的に「そんなことないよ」「大丈夫だよ」と承認を与えても一時的に気分は楽になるものの、また同じ考えが戻ってきてしまいますよね。

心が発達途上の段階にある小児期や思春期なら、周囲の人が「なだめる」というやり方は愛着の安全基地の内在化として作用します。
しかし一方で、青年期や成人期でこの他力本願的なやり方では抑うつや不安は軽減するどころか、周囲の人を疲弊させ関係を悪化させる一因にもなってしまいますよね。

私たちは、自分の心の中にわき起こる考えや、自分自身の心そのものとのつきあい方を身につける必要があり、その方法が「自らの思考・感情・感覚に気づいていること」で、これは今年の国際対人関係療法学会でもトピックスになっていた「省察(リフレクティブ・ファンクション)」、あるいは「メンタライジング=心についてのマインドフルネス」と呼ばれます。

時々、マインドフルネスは意識することの意識を意味する「メタ認知」として捉えられることがある。
これは単純に怒りを感じることなく、怒りを感じている自分に気づくことを意味している。また、踵のまめを感じることだけでなく、踵のまめを感じている自分に気づくこと、明日のミーティングで何を言おうか考えている自分に気づいていることもその例である。
これは少し曖昧で具体的でない区別のように思われるかもしれないが、困難な状況に対して効果的に対応するという能力においてこの2つは全く違う効果をもたらすことになる。
自分の置かれている状況を明確性と客観性をもって見ることができるとき、私たちは知恵の扉を開くことができるのである。意識が視野狭窄に陥り思考や感情の中で自分を見失うとき、私たちは自分の行動が的外れであるかどうかを問いただすことができない。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


愛着障害やアダルトチルドレン、あるいはインナーチャイルドの傷つきなど自責感や不安から自由になるためには、自分自身と他者の心の状態を見わたす能力を高める必要があるということですよね。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『女性らしさ〜直感力を取り戻す』というタイトルで、「アレキシサイミア(感情言語化困難)」と「アレキシソミア(内受容感覚の気づき困難)」について解説しています。

「アレキシソミア(内受容感覚の気づき困難)」も聞き慣れない言葉ですし、『素敵な物語』の「ガットフィーリング(腸の感覚、つまり、勘)」と表現されている言葉も聞いたことがないですよね。

「ガットフィーリング」は、左脳的に言語化する以前の右脳的な直観のことです。
この右脳的な直観である「ガットフィーリング」は自分自身の身体とのつながりや信頼感を回復するためにすごく大切な感じ方になります。

右脳的な直観を大切にするということは、言葉を使って他者とコミュニケーションする以前に、自分自身の心と身体とコミュニケートし同調することです。
三田こころの健康クリニック新宿では、自分自身と折り合いをつける、自分自身の役割期待を整理すると説明していますよね。
自分自身の期待が曖昧なままだと、相手がどんなに心を込めて期待を受け入れてくれたとしても、自分には物足りなさしか残りません。

自分自身の心と向き合うときの姿勢を、COALと説明しています。
つまり、C:好奇心、O:虚心坦懐、A:積極的受容、L:自慈で、これが対人関係療法やマインドフルネスで目指していく「自分との関係を改善する」プロセスになるのです。

この心の姿勢は、過食症・むちゃ食い症だけでなく、気分変調症不安障害、あるいは不安定型愛着(いわゆる愛着障害)からの回復にとって必要不可欠なものですから、薬に頼らない専門的な治療を希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

※7月30日(日)10:00〜12:00に、摂食障害の当事者さんやご家族向けの講演と質疑応答の会「摂食障害の疑問に答える」を開催します。
摂食障害の当事者さんだけでなく、ご家族もまた同じように苦しんでいらっしゃいます。『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』の著者で歌手でもあるジェニー・シェーファーさんとのスカイプでのやり取りの中で、摂食障害から回復するためのヒントを見つけていただけたらと思っています。

詳細はこちら→「摂食障害の疑問に答える」。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-07-03

完璧主義と自尊心の束縛から抜け出す

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』に、自尊心と摂食障害の関係、自尊心と治療の効果の関係について書いてあります。

一方、「自尊心」はかなり低くなっています。「自尊心」の低い人は、第8章でご紹介する認知行動療法から脱落しやすいと言われていますが、「自尊心」の高い人はそれだけ病気も軽症で治療にも乗りやすいということでしょう。「自尊心」が低い人は、病気そのものが難しい状態にあるだけでなく、治療もなかなか続かない、ということになります。
水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店


本ではクロニンジャーの「自己志向」を「自尊心」と読み替えられていますが、この両者はまったく別の概念です。
「自己志向」は自己の次元における成長の指標で、どんな自分も認めることができる「自己受容」と「価値や目的の創造とそれに沿った行動」からなります。
摂食障害の患者さんたちはほぼ全員「自己志向」が低いことが、三田こころの健康クリニック新宿で行っている検査でも明らかです。

一方「自尊心」は最新の心理学的には評価の蓄積のこととされており、社会的ランクの安定性を確立するのに役立つ優位性/劣性の評価のことです。「自尊心」はランク競争の中で自己感覚を強化し、他と分離した自分という「自己意識」に関連しています。
そう考えると「自尊心」は、摂食障害スキーマとしてほとんどの人にみられる「べき思考」「白黒思考」などの「完璧主義」と関連しているみたいですよね。

では、完璧主義に利点はあるのだろうか。
完璧主義の肯定的な側面は、ベストを尽くそうという決断と関連している。何かを達成しようと努力し、自分にとって高い目標を設定することは生産的で健全な特性である。
しかし、自尊心のすべてが生産的で成功していることを土台としており、どのような失敗も許されないとき、達成に対する努力は非人道的なものとなる。また、それは非生産的でもある。完璧主義者は摂食障害や不安、抑うつ、その他の精神疾患罹患率が高いことを研究が実証している。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


三田こころの健康クリニック新宿で対人関係療法の導入時に教えている「病気の3つの策略」のうち「人と比べる」ことが、自尊心や完璧主義と関連しているようです。

健全な心の特性としての自尊心や完璧主義は価値や目的へ近接するための努力ですが、それが頓挫したときに自分に対するネガティブな評価、つまり「自己批判」に変わるために諸刃の剣として作用してしまうのです。

完璧主義は理想を裏切ることなく目標を達成しようとする強迫的な欲求として定義されている。
それが叶わないときには精神的な打撃を受ける。そのため、非現実的に高い期待を持つ完璧主義者は常に失望した状態にある。
自分が完璧か無価値であるかという二分法的な価値観で自分を見ることで、完璧主義者たちは自分に対して持続的な不満感を抱いている。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


完璧主義として表現される強迫性は、不安や怖れを防衛するために、決めたとおり、期待されたとおりに行動することで、裏を返せば、予定が立たないこと、自由に決められることは、存在の危機と感じられるほどの大きな不安や怖れを感じてしまうということです。

自尊心の低下は「恥」の感覚に近く、防衛、内的葛藤、そして意味を見いだすことへの妨害など、数多くのプロセスが起きてきます。
これらのプロセスによって、どんな自分も認めることができるという「自己志向」の高まりが疎外されているのです。
さらにこれらのプロセスに対する体験の回避や抑圧によって悪循環に陥っていくことはよく知られていますよね。

過食症やむちゃ食い症、気分変調症だけでなく“いわゆる愛着障害(不安定型愛着スタイル)”など、「自分はダメだ」と感じる病気や状態から抜け出すためには、「自尊心」という概念もふくめた「二分法的な評価」に気づき、そのやり方ではうまくいかなかったことに目を向ける必要があります。

不完全さは成長と学習を可能とする。好むと好まざるとにかかわらず、始めて歩く練習をしたときのように、私たちは転ぶことを通して学習する。親は熱いストーブに触ってはいけないことを何万回と注意するかもしれないが、私たちは火傷をしてはじめて熱いストーブに触ることがいけないことであるのを知る。
(中略)
失敗がいらだたしいものであることは間違いない。しかし、それは常に起こることであり、結果的に知恵を生み出すことになる。
私たちは失敗を人生の修行として考えることができる。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


転ぶことも含めて歩くことを学習する、つまり、どんな自分も認めることができるのが「自己志向」の中核をなす「自己受容」です。
「自己受容」を支えるのが「価値や目的の創造と行動」です。

気分変調症や“いわゆる愛着障害(不安定型愛着スタイル)”など「自己不全感」を感じている人が取り組む必要があるのは、自分の心の中でなにが起きても真正面から見つめ受け入れる「自己受容」を高めていくことですよね。

気分変調症や“愛着障害(不安定型愛着スタイル)”の治療を希望される方は『セルフ・コンパッション』を読んでおいてくださいね。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『アタッチメント(愛着)の泉の封印を解く』というタイトルで、摂食障害から回復するためには、感情との向き合い方を変える必要があることを説明しました。

感情と向き合うことは、自分自身に対する信頼を回復する、周囲の人に対する信頼を回復するという2つの方向が必要です。

「自分自身との関係」は、思春期〜青年期・成人期の愛着の土台(内的作業モデル)でもあり、自己批判やネガティブな感情が対人関係に投影されているので、対人関係を改善するためには、まず自分自身との関係を改善する必要があるのです。

ある関係と別の関係では愛着の安定性が異なる可能性があることを示唆していますし、同じ関係においても時間の経過とともにカテゴリーの移行が生じる可能性があることを示唆しています。
(中略)
アセスメントは、この評定値ではなく、回答者の愛着に関する全体的な心の状態に基づいて行われます。
したがって、虐待とネグレクトの既往のある回答者であっても、トラウマの既往があるにもかかわらず、愛着関係を価値あるものと評価しており、自分の愛着関係について情緒豊かで首尾一貫した説明を行う能力があるなら、安定型の愛着(獲得安定型)を示していることになります。

アレン『愛着関係とメンタライジングによるトラウマ治療』北大路書房


過食症・むちゃ食い症だけでなく、気分変調症や愛着の問題の治療の最初に指定した本を読んでもらうのは、「自己志向(自己の次元での成長)」を高めることが「協調性(関係性の次元での成長)」を高め、バランスをとっていくことにもつながるからなのです。

過食症やむちゃ食い症、気分変調症不安障害の方で、薬に頼らない専門的な治療を希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

※7月30日(日)10:00〜12:00に、摂食障害の当事者さんやご家族向けの講演と質疑応答の会「摂食障害の疑問に答える」を開催します。
摂食障害の当事者さんだけでなく、ご家族もまた同じように苦しんでいらっしゃいます。『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』の著者で歌手でもあるジェニー・シェーファーさんとのスカイプでのやり取りの中で、摂食障害から回復するためのヒントを見つけていただけたらと思っています。

詳細はこちら→「摂食障害の疑問に答える」。

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2017-06-26

孤独感と居場所のなさ

孤独感の根底にあるもの』で、「物事が上手くいく「はずだ」という思い込み」が孤独感を生み出す奥底にあることを見てきました。

他者を前にしているか否かにかかわらず、孤独感は自分がそこに所属していないという感覚から生まれる。
(中略)
私たちの心の空洞は、現実的にそう感じる必要がない場合でも孤独を感じることがある。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


孤独を感じること、つまり、他者との結びつきが感じられないことは、所属感や居場所のなさとして、心理的にも身体的にも感じられるだけでなく、コフートは所属感の欠如が精神疾患の主な原因とまで指摘しています。

孤独感や所属感の欠如、居場所のなさは愛着(アタッチメント)と密接な関係があることがわかっています。

優しさの感覚と同様に、結びつきの感覚は脳の愛着システムを活性化させる。「仲良くなろう」という本能は、繋がりたい人間の傾向、そして安全を感じるために集団を形成したいという本能と関連している。
そのため、他者と結びついていると感じている人は人生の困難な状況に対してあまり恐怖を感じることなく、それを乗り切る準備ができている。
もちろん、私たちは友人や家族などの愛する人によって所属欲求が満たされれば幸せである。しかし、他者との良好な関係を維持することに問題を抱えている人は、このような社会的サポートが欠けている可能性がある。
また、条件がすべて整っていたとしても、人が所属と受容の感覚を提供してくれるとは限らない。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


不安を和らげたり行動に対して賞賛することや共感する能力に乏しいタイプA方略を使う養育環境で育った子どもは、ほめてもらうことやなだめてもらうなどの体験を内在化できず成長し、孤独を感じなくて済むように尊大さや誇大な自己像(万能感)を発展させることで対処しようとします。

逆に、不確実で矛盾した一貫性のない環境(タイプC方略)で育った子どもは、つねに危機に瀕していると感じ、衝突を避け、真の希望や要求を引っ込めてしまった居場所を感じられない状態になります。

この両者とも、心の中で他者との境界線が曖昧であると同時に、自分と考えが異なる他者を認められない「協調性」の問題として表れてきます。

過食症やむちゃ食い症、気分変調症不安障害の人で「自己志向」が低く「協調性」が突出して高い人は、他者に気遣いができるということではなく、想像の中の他者は多いものの現実の他者が存在しないため、回避や衝突が生じやすく、対人関係の構築や維持が難しいということなのです。

失意のときに失敗が人間の共通の経験であることに慈悲的な方法で気づければ、それは孤独ではなく連帯感の経験の一部となる。
悩ましく、苦痛を伴う経験が自分だけのものではなく、多くの他者も経験するものだと気づくことができたとき、その衝撃は緩和される。
苦痛が無くなることはないが、それが孤立感によって良くなることはない。しかし、哀しいことに私たちの文化は人々の共通点ではなく、独自性を重視している。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


「自己志向」が低く「協調性」が高い人は「みんな苦しい思いをしているのだから、自分も我慢しなければならない」と考えがちですよね。

セルフ・コンパッション』で説明されているのは、耐えたり、我慢して何かをすること(doing)ではなく、他者も自分と同じ苦しさを体験していること(being)を自分と他者ともに認めることが、慈悲的な方法での気づきということですよね。

つながりを断ち切るのは「独自性」という近代的な「個」の感覚で、「お互いさま」という関係性・相互関連性の視点が抜け落ちています。
これが「居場所のなさ」として感じられる孤独感の正体みたいですよね。

不幸なことに、不安定型愛着も、自分自身と関わるためのモデルを与えてくれます。
つまり、人は、自分の感情を無視することができるし、その感情を抱いているからという理由で自分自身を批判することもできます。最悪の場合、人は、自分自身に対して、無視し虐待するような形で関わることができます。
自分自身に対する愛着の安定性を知りたければ、不安だ、悲しい、腹が立つ、後ろめたい、恥ずかしいと感じるときに、自分が自分自身に対して何を語りかけているかに注意を向けるだけでよいのです。

J.G.アレン『愛着関係とメンタライジングによるトラウマ治療』北大路書房


過食症やむちゃ食い症、気分変調症や愛着障害の対人関係療法による治療で、「自己志向(心を見わたす心)」と「協調性(関係性)」のバランスを取ることの重要性を強調しているのは、このような理由からなのですよ。

孤独と愛着-ダブルファンタジーへ生きのびる人々-

孤独と愛着-ダブルファンタジーへ生きのびる人々-



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『インナーマザーと愛着(アタッチメント)の対人関係療法』というタイトルのブログをエントリーしました。

思春期・青年期から成人期初期の愛着と発達課題が両親とは対等性をめぐる争い(反抗期)であると同時に、二者関係(恋愛関係)と集団との関係の「自分自身の固有性(アイデンティティ)」を確立することにあります。
そのため青年期、成人期の愛着の治療では、親の協力を得るのではなく、自己認識を高めながら他者の心理状態を見わたす能力(メンタライジング能力)を高めることに主眼がおかれるのです。

発達課題と力動的な愛着(アタッチメント)の成熟の視点は、対人関係療法には不可欠です。これによって「自分との関係」「二者関係(対人関係)」「集団との関係」という対人関係の3つの層に取り組むことができるようになります。
この視点は、『対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD』にある自分自身、周囲の他者、世界とのつながりを回復するプロセスです。

自分自身との関係、重要な他者など周囲の人との関係、集団や社会との関係の3つの関係性へのまなざしは、愛着の問題の修復だけでなく、気分変調症不安障害過食症やむちゃ食い症の治療にも必要不可欠です。
心が本来持っている力で病気を治したい、今の状態を改善したいと考えていらっしゃる方は、三田こころの健康クリニック新宿に申し込んでくださいね。

※7月30日(日)10:00〜12:00に、摂食障害の当事者さんやご家族向けの講演と質疑応答の会「摂食障害の疑問に答える」を開催します。
摂食障害の当事者さんだけでなく、ご家族もまた同じように苦しんでいらっしゃいます。『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』の著者ジェニー・シェーファーさんとのスカイプでのやり取りの中で、摂食障害から回復するためのヒントを見つけて、一人ではないことを感じていただけたらと思っています。

詳細はこちら→「摂食障害の疑問に答える」。

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2017-06-19

孤独感の根底にあるもの

私たちは自分の思い通りにならないことに対して「憤り(イライラ)」で対処しようとしてしまいますよね。

自分自身や人生の好ましくない側面に注目したとき、私たちはしばしば恐怖や怒りを感じる。欲しいものは手に入らず、なりたい自分になれないなど、私たちは人生のコントロールできない側面に対して無力さと欲求不満を感じる。
(中略)
たとえば、景気の悪化によって職を失うなど、自分の責任ではないことによってつらい体験をしている場合、他の人たちは幸せに働いているときに自分だけが家でドラマの再放送を1日中見ているのだという不合理性を感じることになるだろう。
また、病を患ったときには私たちは病が非日常的でいような状態だと感じるだろう(それは死の床に伏せ、最期に「なぜ私が死ななければならないんだ」と呟く84歳の老人のようである)。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


これに似た経験は多くの人がしていますよね。
そして、「なぜこうなったんだろう?」「どうして自分だけが?」と「なぜ?どうして?」という攻撃のニュアンスを含むを多用し、原因探しに躍起になります。
生きづらさの原因を、いわゆる「愛着障害」あるいは「気分変調症」に求めてしまう人は、このような傾向にあるかもしれないということを念頭に置く必要がありますよね。

この問題に対して徹底的に理論的な考え方をした場合、人生のあらゆる出来事が誤った方向に進むことになる(事実上、不可避的である)という解釈が生まれるため、これから先も常に困難を経験することになるだろうと推測することになる。
しかし、私たちがこの問題において理性的に対応することはない。むしろ、私たちは苦しみ、その中で孤独を感じるのである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


苦しみの中で孤立し、苦しみに閉じ込められてしまった状態は、気分変調症不安障害、あるいは愛着障害でよくみられます。
(『「自分は人間としてどこか欠けている」という感じ方』参照)
その結果、二者関係や集団との関係を避けることになってしまいます。

自分自身をポジティブに捉えることに意識を注いでいると、私たちは他者が自分よりも優れているときに脅威を感じるようになる。
(中略)
社会的な比較がもたらす最も悲しい結果の1つは、私たちを不機嫌な気持ちにする成功者と距離をおくようになることである

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


過食症気分変調症対人関係療法による治療で、結果としての「対人関係の欠如(評価への過敏性)」ではなく、病気特有の考え方・とらえ方に気づくことを強調するのは、ネガティブな感情を引き起こす「裏の思考(思い込み)」に気づき、その思考との向き合い方変化させる必要があるからなのです。

一度物事が上手くいく「はずだ」という信条にとらわれると、それが突然うまくいかなくなると何かがひどく間違ってしまったと感じるようになる。
繰り返すが、これは意識的な思考のプロセスによってそう思うようになるのではなく、感情的な反応に影響を与える隠れた思い込みによるものである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


「裏の思考(隠れた思い込み)」に気づけないことで、わけのわからない不快感情、無価値感、から逃れようとして、空虚感という心の飢えを身体の空腹感と錯誤し、過食症・むちゃ食い症など「食べることへの嗜癖(行動依存)」に陥ってしまいますよね。

私たちの心の空洞は、現実的にそう感じる必要がない場合でも孤独を感じることがある。しばしば、私たちの恐怖感や自己判断は差し伸べられている救いの手を見えなくさせることがある。また、自分自身の本当の姿を知られることで愛されなくなるのではないかと恐れるために、私たちは愛する人を前に欠点を認めることに恥ずかしさを感じる。本当の自分を他者から隠すことで、私たちは孤独感をより強めてしまう。
自分の生得的な相互関係性に気づくことによって自分との付き合い方を変えることが重要となるのはこのためである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


過食症対人関係療法で問題領域とされることの多い「役割をめぐる不和」「評価への過敏性」を対人関係としてあつかう前に、「自分自身との関係」を見直す必要があるということですよね。

三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『自分と向き合うことで力を取り戻す』というタイトルで、「自分自身との関係と、他人との関係のバランスを保てるようになる」には、無力さを感じさせる力への恐れが原因であることを理解し、現実の他者との関係に取り組む前に、自分自身と向き合い、自分自身の心との関係を改善する必要があることを解説しています。

ありのままの自分を認めることに対する恐れから生じる振る舞いを「偽りの自己」と呼びます。
自分を見つめるまなざし(対次的自己)は怒りという力を使って「偽りの自己」と衝突します。
8つの秘訣』P.287にある二匹のオオカミの闘いです。

「対自的自己」の怒りは、根源的不安によって抑圧され、不安は自分自身に対する憤り(自責感)に変わり、抑うつ状態へと気分が急降下します。
抑うつ気分を高揚させようとする欲求充足のすり替え行動によって、過食や過食嘔吐といった「食べることへの嗜癖(行動依存)」の悪循環に陥っていくのです。

気分変調症不安障害、あるいは過食症やむちゃ食い症の根底には、根源的な不安と同時に、自分自身に対する憤り(自責感・罪業感)があるため、三田こころの健康クリニック新宿で行っているような「偽りの自己」と「本当の自己」を統合していく自分自身との関係の修復が何よりも重要なのですよね。

※7月30日(日)10:00〜12:00に、摂食障害の当事者さんやご家族向けの講演と質疑応答の会「摂食障害の疑問に答える」を開催します。
摂食障害の当事者さんだけでなく、ご家族もまた同じように苦しんでいらっしゃいます。『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』の著者ジェニー・シェーファーさんとのスカイプでのやり取りの中で、摂食障害から回復するためのヒントを見つけていただけたらと思っています。
http://mailchi.mp/61ee02b80b3f/x2sx5rru8p?e=346b3fd040

詳細はこちら→「摂食障害の疑問に答える」。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-06-12

対人関係療法とセルフ・コンパッション

自分と向き合うこととセルフ・コンパッション』で、『セルフ・コンパッション』で紹介されている3ステップ・ワークは批判的な思考を無くそうとするのではなく、「慈しむ」という動機をもって行う必要があることを解説しました。

「慈しみ(loving & kindness)」は「関係性」の中にしか生まれず、「関係性」は全体性、あるいは相互依存性でもあるからです。
その観点からみると自分自身との関係も、対人関係(二者関係)も同じですよね。

自己批判は「自分はダメだと」という考えが土台になっていて、「他者に変わってもらいたい」という考えの裏には「今の他者や他者との関係はダメだ」との批判が潜んでいますよね。

自分の一部を否定する、あるいは他者や他者との関係を批判するやっかいな「心」と折り合いをつけていくことが「セルフ・コンパッション」なのです。

私たちは自分が完璧になり、人生が思い通りに展開するようになるまで待つ必要はない。愛されるに値する存在になるために、他者から思いやりや慈悲の心を向けられる必要もない。また、切望する受容と安心を手に入れるために、自分の外を探す必要もないのである。
それは他者が不要であるという意味ではない。他者が必要なのは当然のことである。
ただ、陽気な表情の裏で本当に何を感じているのかを知っているのは誰であるのかを考えてみてほしい。直面している痛みと恐怖を知り、最も必要としているものが何であるかを知っているのは誰であるのかを考えてみてほしい。
あなたの人生でただ1人、年中無休で思いやりと優しさを提供出来る人物。それは、あなた自身に他ならない。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


これを読むと「自分をふり返る(内省)」の重要性がわかりますよね。
「内省」は、「メンタライジング能力(心で心を観る能力)」、メンタライジング過程の精神的内容を「洞察」、精神状態に限定されない現在に焦点を当てた状態を「マインドフルネス」と呼ぶなど重なりあう概念があります。
また、他者の内界に焦点を合わせた内省を「共感」と呼び、愛着関係に関する内省能力は「リフレクティブ・ファンクション」と呼ばますよね

対人関係療法で取り組んでいくことは、「自分をふり返る(内省)」と、「関係性の内省(リフレクティブ・ファンクション)」、そしてその表現である「コミュニケーション」なのです。
三田こころの健康クリニック新宿では初診時に、「自己志向(自己受容=自己の成熟)」と「協調性(関係性の成熟)」を高めていく治療目標として一人ひとりに説明していますよね。

セルフ・コンパッション』にアインシュタインの言葉が引用してありました。

私たちは自分自身を、思考を、感情を、他者とは異なるものとして経験しているが、それは意識の視覚的な妄想である。
この妄想は私たちを個人的な欲望や近くにいる他者への愛情に縛りつける一種の牢獄である。


自己否定や自己批判は、自分自身の心の一部を切り離し、戦うことで、強化されたネガティブな感情に縛りつけられる苦しみだけでなく、求めるものが得られない苦しみ、愛する者と別れる苦しみ、嫌いな人と会わなければならない苦しみ、など、さまざまな苦しみを生み出していると理解する必要があります。

怖れ、強迫、あるいは嗜癖といったものはすべて、私たち自身の一部分であるのだが、それらが分離され、自分ではないものとされ、さらには対抗して戦う対象となることによってデーモン化してゆく。
私たちが自分のデーモンから逃げようとすれば、彼らは私たちを追いかけてくる。
形をもたない勢力である彼らと戦うことによって、私たちは彼らに力を与え、そうして彼らに完膚無きまでに負かされてしまうだろう。
(中略)
食べもののことにとらわれる、完璧なパートナーを切望する、あるいはタバコが吸いたくてたまらないというように、何かを欲したり、こだわったりしているようなときにはいつでも、私たちはデーモンに力を与えていることになる。
なぜなら、欲望に隠れてしまっているニーズに、実のところ注意が払われていないからである。

アリオーネ『内なるデーモンを育む星和書店


自分を縛りつける牢獄から自由になるために必要なプロセスは、自分と切り離された痛みや恐怖というデーモンが「最も必要としているものが何か」を知り、それを与えること(デーモンを育むこと)がセルフ・コンパッションの実践ということになりますよね。

デーモンを育む実践から得られる二つの恩恵がある。
一つは私たちが葛藤の中で固く縛られたエネルギーアクセスすることに内的・外的に苦心することで、支配されている状態から動くことができ、デーモンが「なかま」たちに変容することである。
もう一つは、よりとらえがたいものではあるが、これこそ実践のより重要な成果である。
それは第五のステップで明らかになってくる始まりであり、潜在意識の揺らぎや情動の乱れ、日常生活に生じる数々の固着から自由な状態に入る一つの窓口なのである。

アリオーネ『内なるデーモンを育む星和書店


三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『対人関係の土台となる自分自身との調和』というタイトルで、対人関係療法でコミュニケーション分析を行って行くときにまず自分のコミュニケーションのパターンを認識することが重要で
これは自己客観視をすすめていくプロセスであり、気持ちを感じてコミュニケーションを修正していくためには、日頃から自分自身を観察すること(内省)に取り組んでおく必要があることを解説しました。

これらは対人関係療法の重要な「3つの気づき」のうち、「他人との関係を改善する(自己概念あるいは関係の中における役割についての気づき)」の土台になる「自分との関係を改善する(心の状態の変化についての気づき)」「行動の仕方を改善する(考え・感情・情動のコントロールについての気づき)」ですよね。

三田こころの健康クリニック新宿では、『自分と向き合うこととセルフ・コンパッション』で紹介した「ローゼンバーグの非暴力コミュニケーション」を使って自分自身と向き合うプロセスをすすめています。

このプロセスは、過食症・むちゃ食い症からの回復だけでなく、気分変調症不安障害、あるいは愛着の治療でも必要となるプロセスですから、これらの治療を希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿に申し込んでくださいね。


※7月30日(日)10:00〜12:00に、摂食障害の当事者さんやご家族向けの講演と質疑応答の会「摂食障害の疑問に答える」を開催します。
摂食障害の当事者さんだけでなく、ご家族もまた同じように苦しんでいらっしゃいます。『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』の著者で歌手でもあるジェニー・シェーファーさんとのスカイプでのやり取りの中で、摂食障害から回復するためのヒントを見つけていただけたらと思っています。

詳細はこちら→「摂食障害の疑問に答える」。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-06-09

「当事者・ご家族向けの講演と質疑応答の会」のご案内

三田こころの健康クリニック新宿では、摂食障害ホープジャパン代表の安田真佐枝さんをお招きし、平成29年7月30日(日)に摂食障害の『当事者・家族向けの一般講演と質疑応答の会「〜摂食障害の疑問に答える〜」』を開催します。

【講演会と質疑応答】
摂食障害から回復への10の段階〜まず気持ちを理解しよう〜

○参加者からの質問
  摂食障害は育て方/育てられ方の問題?
  ただ痩せたいだけ?ダイエットすると摂食障害になるの?
  受診するなら何科?病院はどうやって探したらいいの?
  家族はどう接したらいいの?
  受診したがらない子どもに受診を勧めるには? など。


○『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』の著者、歌手でもあるジェニー・シェーファーさんのスカイプメッセージ。(安田さんが通訳をしてくださいます)


場所:三田こころの健康クリニック新宿(東京都新宿区新宿2-1-2 白鳥ビル2F )
日時:平成29年7月30日(日)10:00〜12:00
(開場9:30)
定員:30名
参加費:2,000円
※参加ご希望の方は『私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』を一読しておいてください。

詳細と参加申込みはこちら→『当事者・ご家族向けの講演と質疑応答の会「〜摂食障害の疑問に答える〜」

2017-06-05

自分と向き合うこととセルフ・コンパッション

セルフ・コンパッションとマインドフルネス』で、ローゼンバーグの非暴力コミュニケーションを紹介しました。

  • 私は何を観察しているのだろうか
  • 私は何を感じているのだろうか
  • 私は今、何を必要としているのだろうか
  • 私自身、あるいは他者に対する要求は何だろうか

この4つの質問は私たちが何を必要としているのかに対して意識することを促してくれます。

セルフ・コンパッション』には3つのステップからなるワークが紹介されています。

最初のステップは、自分の独り言が批判的か判断的であるかに気づくことである。
(中略)
次のステップは、あなたが発する厳しい言葉の裏にある感情に耳を傾けることである。
(中略)
三つ目のステップは、あなたの反応を駆り立てている、満たされない要求を検証することである。
(中略)
最後のステップは、自分自身、あるいは他者の要求を満たすものはないかを考えることである。
(中略)
重要な点は、あなたがその瞬間に必要なものを確かめて聞き入れ、自分を責めるのではなく、自分に共感することである。
ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


この3つのステップからなるワークは、『摂食障害の部分と健康な部分の対話2』で紹介した「対話型・思考記録」に似ていますよね。

このワークは、批判的な思考を無くそうとするとうまくいきません。
批判的な思考を慈しむという動機をもって行うのです。

判断的な思考を止めることはできないが、それらを促進したり信じたりする必要もない。
優しさや理解によって自己判断を抑制することができるのであれば、自己卑下の力はその持続力を奪われて衰弱することになる。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


このような、自分の中で葛藤を引き起こす自己批判の力を、ツルティム・アリオーネは「デーモン」と呼んでいます。
(『ネガティブ・マインドと折り合いをつける』参照)

我々が注意を向け、渇望の奥深くにある部分からの声を明らかにするとき、デーモンと戦ったり、好き勝手にさせるのではなく、デーモンの求める真のニーズを満たすことができるようになる。ニーズが満たされたなら、デーモンはいなくなる。
しかし、戦ったり、無視したりすると(無視もまた能動的なプロセスである)、デーモンは肥え太っていく。
なぜこのようになるかというと、デーモンは私たちがデーモンと苦闘するエネルギーを食い物にして存在するからである。
このような原理を基に、デーモンと戦ったり、無視したりするのではなく、十分にデーモンに注意を向け、保護を与えようとするのである。
(中略)
物事を変化させる方法は、デーモンが欲しがっているように見えるものの代わりに、本当に必要としているものを与えて育むことで、潜在する問題に取り組むことである。
表面的な欲望の下にある根本的なニーズに焦点を当ててみると、それはたいてい愛や思いやり、受容に関連している。

アリオーネ『内なるデーモンを育む星和書店


デーモン・ワークに取り組む準備段階として、自分の心をふり返り思考や感情を客観的にみる練習や自己内対話(対話型・思考記録)にしっかり取り組んで、ワークに必要な自我の強さと集中力を培っておく必要があります。

三田こころの健康クリニック新宿では、何もすることがないときのクセになった過食や過食嘔吐、あるいは過食症に合併したアルコールの問題や強迫症状のある人、愛着の傷つき体験を抱えている人に対して、治療の最終段階としてデーモン・ワークを行っているんですよ。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『過食症や愛着の問題から回復するための対人関係療法』というタイトルで、摂食障害や愛着の治療の焦点になることが多い「評価への過敏性」は「自分自身との対人関係の問題」であり、そのために「自分自身と向き合い慈しむこと」「自分の歌(心の聲)を聴くこと」の2つの大切なポイントについて解説しました。

「自分自身との関係」は、青年期・成人期の愛着の土台(内的作業モデル)でもあり、自己批判やネガティブな感情が対人関係に投影されているので、対人関係を改善するためには、まず自分自身との関係を改善する(自己受容を高める)必要があります。

さらには、私たちは自身のデーモンを他者に投影しがちである。
他者の中にあって非常に軽蔑するものを調べてみると、私たちは通常、自身のデーモンのうちの一つをそこに映し返しているのがわかる。
私たちが非難する、あるいはコントロールしようとする人を調べてみると、私たちはそこに自分自身がかくまっているデーモンを見つける。私たちが何の影もないかのように振る舞うとき、私たちは大いに傷つきやすく、自身のデーモンによって苦しめられる。

アリオーネ『内なるデーモンを育む星和書店


「自己志向(自己の次元での成長)」と「協調性(関係性の次元での成長)」のバランスは、安定した愛着の土台です。
三田こころの健康クリニック新宿では、「自己志向(自己受容)」を高めることと「協調性(関係性)」のスキルを身につけるため、対人関係療法を中心に、『摂食障害から回復するための8つの秘訣』を使った過食症・むちゃ食い症の治療だけでなく、気分変調症不安障害、愛着の問題の治療を行っています。薬に頼らない専門的な治療を希望される方は申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-05-29

セルフ・コンパッションとマインドフルネス

気分変調症(持続性抑うつ障害)」には自分を責めるという特徴がありますし、「過食症・むちゃ食い症」では、ネガティブな気持ちをなだめるために食べるという行為を使う特徴がありますよね。

「症状」と見なされているこれらの行為は、もともとは、感情的な苦痛を外在化し、解放する試みだったということをしっかりと理解する必要があります。

あなたが習慣的に自己非難を行っている場合、それが自分に対する思いやりの複雑な形を象徴するものであり、あなた自身を安全で順調な方向へ導く試みであることを忘れてはならない。
空虚な希望を抱いて、自分を痛めつけないようにするために、結果的に自分を痛めつけようとしてはならない。憎しみで憎しみを克服しようとすることがかえって憎しみを助長し強化することになるのと同様に、自己判断によって自己判断を止めることはできないのである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


セルフ・コンパッション』を使った自己批判に対する最善の方法は

  • 自己批判を理解し、それに対して慈悲の心をもち、それを優しい対象方法に置き換えること
  • 自分に対して優しさをもって向き合う上で最も重要な方法の1つは、自分に対する批判的な独り言を変えること

です。

しかしながら、私たちは幸せを願いながらも、正反対の結果を引き起こすような転倒した行動を取ってしまいがちです。なぜなら、私たちの普段の状態は、心が彷徨い思考の過程が乱れた状態にあるからなのです。

それにより、私たちの心の中には、知覚入力にもとづかない感情やファンタジー、記憶からなるさまざまな思考や、意識に上ることがない絶え間のない神経細胞のおしゃべりが渦巻いており、さらに、それらの思考に反応した怒り、不安、恥ずかしさ、抑うつ(浮動性不安)などが散乱した状態が続いています。
とくに「愛着障害ではないか?」と思っていらっしゃる人は、「心の中のおしゃべり(批判的な独り言)」を事実と思い込み、現実から離れてしまっている状態ですよね。

「心の中のおしゃべり(批判的な独り言)」を事実と思い込むことによって、『過食症の不安とアレキシサイミアの治療』で書いたような

  • 内受容感覚を感情として解釈する傾向が乏しい
  • 感情を意識するために身体状態を参照する程度が低い
  • ネガティブな緊急性に対する衝動性(感情不耐による不適応的行動)

などの自動操縦状態が起きてくるのです。

ベストセラーとなっている『非暴力コミュニケーション』の著者でもあるマーシャル・ローゼンバーグは、自分に対して判断的な言葉ではなく共感的な言葉を用いる重要性を強調している。
彼は、心の平穏を手に入れるためには、人間の根本的な要求に対する共感を表現するためには内なる対話を構成することが重要であると主張している。
ローゼンバーグが提唱する方法論には以下の4つの質問が含まれている。

・私は何を観察しているのだろうか
・私は何を感じているのだろうか
・私は今、何を必要としているのだろうか
・私自身、あるいは他者に対する要求は何だろうか

これらの4つの質問は私たちがそのとき何を必要としているのかに対して意識を方向付けてくれる。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


このやり方は三田こころの健康クリニック新宿で教えている「自己内対話」であり、『摂食障害の部分と健康な部分の対話2』で紹介した「対話型・思考記録」をつけることがすごく役に立ちますよね。

また、散らばった心を本来の心であるわが家へ連れ戻し、分裂した側面を調停し和解させひとつに収束させていくことは、自分自身と向き合う対人関係療法治療の柱でもあると同時に、『8つの秘訣』の秘訣8で紹介されている【マインドフルネス〜止(シャマタ:穏やかさにとどまる)〜】のやり方でもあるんですよ。

マインドフルネスや瞑想は、ストレスを減らす云々の効能が喧伝されていますが、本来は対人関係に立脚した関係性への視点(おかげさま)やコンパッション(ありがとう)が土台なのです。
三田こころの健康クリニック新宿では、対人関係療法や8つの秘訣による治療の中で【瞑想によらないマインドフルネス】を指導しているのは、ひとつには自慈心(セルフ・コンパッション)を育むためですし、もう一つは、自分自身の体験(心的現実)に触れつつ巻き込まれない俯瞰的な視座を獲得するためでもあるのです。
巷で流行っているマインドフルネスという名の治療を受けても改善がなく困っていらっしゃる方は、一度、三田こころの健康クリニック新宿に相談してみてくださいね。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『ネガティブな感情と向き合う』というタイトルで、過去の出来事の想起やそれに伴うネガティブな感情の噴出に対して、それらの記憶が本当は何を必要としているのか?という奥底のニーズを探し出す必要があることを説明しています。
これが「心の姿勢」と呼ばれるもので、その土台となるのがこのブログでも説明している「自慈心」です。

また、摂食障害治療を専門にしていない医師やカウンセラーが指導することが多い、摂食障害行動に対して「No!」と言い続けるやり方は逆効果になるの注意を喚起しています。

三田こころの健康クリニック新宿では、対人関係療法や『摂食障害から回復するための8つの秘訣』を使って「自己志向(自己受容+価値や目的など自己の次元での成長)」を高め、「協調性(関係性の次元での成長)」を身につけることで過食症・むちゃ食い症の治療を行っています。
「自己志向(自律性)」と「協調性(関係性)」のバランスは、安定型愛着を獲得する上でも非常に重要なポイントになります。
治療を希望される方は『8つの秘訣』と『素敵な物語』をお読みになってから申し込んでくださいね。

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2017-05-22

愛着(アタッチメント)とセルフ・コンパッション

一般の人に、いわゆる愛着障害、あるいはアダルトチルドレンと理解されている不安や恐怖、抑うつや身体化症状などを伴う生きづらさ、対人関係の構築の困難さとして表れる「内在化障害」に対して『セルフ・コンパッション』は明確な指針を示してくれています。

ボウルビーは、親との早期の愛着の結びつきが他者との「内的作業モデル」の形成に影響すると主張した。
これは私たちが何者であり、また、他者から何を期待できるのかという問題に関わる、無意識的で、心の深い部分に根差した精神的な自画像である。
(中略)
これはつまり、慈悲や軽蔑にかかわらず、私たちの内的作業モデルが自分自身と付き合う方法において重大な影響を持っているということである。
(中略)
よいニュースは、私たちの内的作業モデルが普遍的なものではなく、変更が可能だということである。思いやりを授受する能力は生得的なものであるため、愛着のボタンはリセットすることができる。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


幼小児期には養育環境の影響を強く受けますが、思春期にアイデンティティが確立すると愛着の内的作業モデルは、他者から与えられるものではなく、自分自身との関係に内在化するということです。
つまり過去がどうであろうと、現在の状況は自分自身と向き合うことで変えられるということです。

クロニンジャーの七因子でも、生まれつき持っている気質がどうであっても環境や対人関係での学習によって身についた「自己志向」「協調性」「自己超越」からなる性格は変えられるとの考え方と同じですよね。

自分自身との向き合い方を変えることで、他者との関係の土台になる内的作業モデルが変更できるという愛着(アタッチメント)研究の成果は、安心感や安全、あるいは承認は他者から与えられて内面化するという一般に信じられている考えをくつがえすものでもあります。

なぜなら思春期を過ぎて他者に安心や承認を要求することは、「相手に確実に拒絶された方が、次に何が起こるかわからない展開よりも安心できる」という自動操縦状態を引き起こしやすいからです。

当然のことながら、自分に関する感じ方を変える上ですべてを他者に頼ることには問題がある
(中略)
幸い、自己に対する見方を変えるために他者に頼る必要はない
自分に愛情を込めた世話と理解を提供するとき、私たちは思いやりと受容が価値あるものだと感じるようになる。自分に対して共感と支援を提供する場合、私たちは救いの手がすぐそばにあると信じるようになる。
自己に対する思いやりの腕で自分を包み込むとき、私たちは安全と安心を感じるのである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


自分に対する見方や感じ方を変えるためには、まず、自分の心を観察し、ネガティブな感情反応を引き起こす思考も含め、抑圧しようとしたり回避しようとしたりせずに心の中で起きていることを受け入れる必要があります。
このプロセスは『不安のメカニズム』でも紹介されている【真正面から向き合う】【受け入れる】と同じですよね。

そのため、自己批判に対抗する最善の方法は、自己批判を理解し、それに対して慈悲の心をもち、それを優しい対象方法に置き換えることである。
(中略)
幸い、私たちは手に入れたいと思う安全と愛情のこもった世話を自分自身に提供することができる。私たちは弱さと不完全さが人間の普遍的な特性であることに気づくことができるのである。
私たちは自分と同様に欠点を持ち、脆弱な存在である他者に対してより親近感を持てる。同時に、他者よりも優れていなければならないという思いを捨てることも可能である。
利己的に歪んだ物の見方を通して、他者の犠牲の上に成り立つ自らのエゴを発見することができる。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


「いつからこうなんだろう?」「いつになったらよくなるんだろう?」と症状に一喜一憂しないことだとか、「あのとき、ああしていたら…」「あのとき、これがああだったら…」と現在や過去の事実と反対のことを思い悩まないなど、自己憐憫につながる反応パターンを変えていく苦痛に終止符を打つことを決意する必要がありますよね。

三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『感情を感じてみるということ』というタイトルで、感情と行動を区別し、身体の中に感情の居場所をつくることから取り組んでいくことを説明しています。

  1. 心の中を観察すること(内省)を通じて俯瞰的な視点を培う。
  2. 「健康な部分」と「病気の部分」の対話を通じて自我の強さを養う。
  3. 「健康な部分」と「病気の部分」を統合する。

この3つが三田こころの健康クリニック新宿で行っている自分自身と向き合う対人関係療法治療ステップなのです。


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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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