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如実知自心〜対人関係療法@三田こころの健康クリニック〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-08-29

それでも過食症の回避傾向に向き合う

今回は『過食症やむちゃ食い障害の対人関係療法のすすめ方』で書いた
最近の過食症やむちゃ食い障害の中ではいちばん多い
「新奇性追求(冒険好き)」が低い「強迫-回避タイプ」について説明します。

「不安型気分変調症」の合併も多く
三田こころの健康クリニックで対人関係療法を行っている患者さんでは
もっとも頻度が高いタイプなのです。

「固執」が高ければ、ダイエットから拒食症になることもありますが、
多くは、早期に飢餓過食から過食、あるいは過食嘔吐に移行します。
中には、ダイエット→排出性障害→過食(むちゃ食い)を伴う排出障害
のように非典型的な経過で発症することもかなり多いのです。

クロジンジャーの七因子モデルの「性格」では
「自己志向性(自己受容・価値の創造・価値に基づく行動)」の低さと
「協調性(他者受容・共感・協働)」の高さとして表現されるのですが、
問題は「協調性」の高さで、読み過ぎて読み誤ることが多いのです。

過食症やむちゃ食い障害の対人関係療法による治療では、
「人にどう思われるかが不安で、表面的な関係しか持てない」状態のうち、
「自分を傷つけそうな評価を怖れる(学習性無力感)」
「自分への価値を下げるような想像上の評価を恐れる(脳内劇場)」
のどちらかの問題領域に取り組んでいきますよね。
(『摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』参照)

このタイプは、他者とのかかわり方に特徴があり、
自分の不甲斐なさや弱さ、ダメさ加減を強調し
自分の能力やスキルを過小評価する一方で、
他者に対しては、控えめで、過剰な気遣いで従属し、
ときには束縛クンに支配されてその関係を苦痛に感じていても
拒絶や見捨てられることを避けるためにずるずると関係を続けてしまう、など
主体性に乏しい受身的な生き方が特徴です。

ネガティブな気分を麻痺させるための過食やダラダラ食い、あるいは、
なかったことにする、見ないふりをする自己誘発嘔吐などで
精神的なバランスをとるか、他者に依存するかなので、
今日は時間が取れそうにないから、先に過食しておこう、など
予期不安に伴う過食や過食嘔吐も多いタイプですよね。

よく知られている研究結果で
摂食障害と診断できない程度の過食(むちゃ食い)では
過食(むちゃ食い)が起きた日は普段よりも気分がネガティブで
さらに過食(むちゃ食い)をする前よりも
過食(むちゃ食い)をした後の方が、気分が悪化している
という報告があります。

過食はネガティブな感情に対する回避的な対処行動とみなされていますが、
過食(むちゃ食い)した後の方が気分が悪化しているので、
「ストレスやネガティブな感情が先行したわけではない」ことに加え、
「過食という対処行動は気分解消行動としては非効果的」ということですよね。

このタイプの過食症の人は多くの対処行動(コーピング方略)を使うものの
効果のある方略を選択していないことや、
1つの特定のコーピング方略をうまく実行することが上手ではないのです。
ですから、効果的なコーピング・スキル(対処能力)を身につけていくことで
過食やむちゃ食いという気分解消行動を使わないで済むことにつながります。

治療では、考えや気持ち(願望や欲求)を言葉にして表現することで
「自己受容」を高めていくこと、価値にそった主体的な行動を促進すること、
変化に伴う一時的な不安に耐えられるようになることや
生きていく上で誰しも感じる感情を苦悩に変えないことなど
「自分自身との関係を改善する」ことが治療テーマになることが多いです。
(『自尊心から自己受容へ』参照)

自分の気持ちに注意してはっきりつかみ、コントロールし、
表現することを学べば、自分を落ち着かせたり慰めたりするために
食べ物に走らないですむようになるというセルフコントロールも必要になるのです。

思考や気持ちが摂食障害行動に結びつく仕組みを理解し、分析し、さらには変えていこうとするときに、とても役に立つ簡単な考え方があります。
行動が完全に習慣化された段階になっていると、以下でお伝えする内容は少しわかりにくいかもしれませんが、それでも根気よく取り組めばわかってくるはずです。
(中略)
私たちの内面で起きるこうした一連の反応は、「思考―気持ち―衝動―行動」という連鎖反応なのです。

摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

この連鎖反応に対して、ポジティブな代替行動を増やしていくことが大切です。

ポジティブな代替行動とは、
「短期的には不快に感じられても、長期的にはポジティブな結果をもたらすもの」という意味で、
三田こころの健康クリニックでは「(長期的な)価値にもとづく行動」と呼んでいますよね。

過食症や過食性障害(むちゃ食い障害)の対人関係療法による治療で、
対人関係のパターンと、自分との関係を改善していくことに取り組み
多くの方が過食症から回復されることを願っています。
(回復の仕方は「梅こんぶの幸せごちそうさま」を参照してくださいね)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食症のもう一つの回避傾向と向き合う」というタイトルで、
対人関係療法が向かないといわれる「回避傾向」について説明しました。

このタイプも治療に時間がかかるのですが、それでも
「今後の人生が病気のために損なわれないようにする」ために治療が必要です。
このタイプも「自分と向き合うこと」に注目することが何よりも重要なのです。

過食症やむちゃ食い障害の治療を希望される方は
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を読まれたら
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2016-08-22

過食症/むちゃ食い障害の治療と愛着(アタッチメント)の修復

ステファン・ポルヘス(スティーブン・ポージェス)の多重迷走神経理論では
社会的関わり(耐性領域)」を支える腹側迷走神経の活性化には
「他者との安全な関係(愛着システム)」が不可欠とされています。

f:id:ipt-therapist:20160811162347p:image:w360

「耐性領域(社会的関わり領域)」を拡げるためには
過覚醒領域(交感神経の活性化)に触れてなお巻き込まれない
心の状態を培っていく必要があります。
(このことと、その方法はほとんど知られていないようです)
さらにマインドフルネスによるリラクゼーションは
回避方略になる可能性があるため不十分なこともわかっています。

言うまでもなく、子どもの頃に批判的な親のもとで育った場合、成人しても自分に対して批判的である傾向があることが実証されている。
私たちは親の批判を自分の中に深く内面化する。
つまり、私たちが頭の中で聞く中傷的な実況解説は親の声の反響であるということである。
これはしばしば、何世代にもわたって伝わり、再現される。
(中略)
ボウルビーは、親との早期の愛着の結びつきが他者との「内的作業モデル」の形成に影響すると主張した。
これは私たちが何者であり、また、他者から何を期待できるのかという問題に関わる、無意識的で、心の深い部分に根差した精神的な自画像である。
(中略)
これはつまり、慈悲や軽蔑にかかわらず、私たちの内的作業モデルが自分自身と付き合う方法において重大な影響を持っているということである。

クリスティーン・ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

「愛着(アタッチメント)システム」の「内的作業モデル」は
「自分自身と付き合う方法」に大きな影響を与えます。
つまり、愛着システムが目指す他者との「協調性」は
「内的作業モデル」の「自己志向」に影響を与え、
「自己志向」は「協調性」に影響を受ける
「入れ子構造」になっていますよね。

内なる自己がむき出しの状態になるため、私たちは親密な関係において脆弱である。
そのため、私たちは他者が自分を非難することに対して不安になる。
しかし、自分を評価することや裁くことをやめたとき、他者から承認を受けることをそこまで気にする必要はなくなり、代わりに他者の感情面での欲求を満たすことに集中できるようになる。

クリスティーン・ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

「自分自身と付き合う方法」の問題は
「自己批判」という形で動機づけをしようと試みますが、
残念なことにこの方法はさらなに努力するという顕在的行動を生み出すことはなく、
あきらめる、起きるかもしれない失敗を回避する、などの行動を引き起こしてしまいます。

ドラッグの常習やアルコール中毒、意図的な危険運転、自傷行為など、不満感や劣等感は自分に危害を加える行為と結びつくことが多い。
本来、これらの行為は感情的な苦痛を外面化し、解放する試みである。
(中略)
心理学者は、過食する人が内なる感情の飢餓感を満たそうとしているのだと解釈している。
彼らは食べるという行為によって痛ましい感情を鈍化させているのである。
それは食べ物によって自分を治療する方法でもある。

クリスティーン・ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

過食症やむちゃ食い障害のような「自分自身と付き合う方法」の問題は
他者との関係性にも影響を与えるのです。

私たちが自分を裁いて攻撃する際、私たちは批判する側とされる側の両方の役割を担っている。
鞭を持っている人間と地面で震えている人間の2つの視点を持つとき、私たちは自らの不満に対する義憤の感情に耽ることができる。また、義憤を感じることで優越感を抱くこともできる。

クリスティーン・ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

「2つの視点」のうち「鞭を持っている人間」に相当する
食行動や体重・体型をコントロールしようとする
摂食障害の部分に投影されているのは、
「地面で震えている人間」の「不満に対する義憤」であり
それは同時に不完全さや、つながりに対する怖れ(幻想)でもあるのです。

自分の考えや行動が完全にコントロールできないものであることことを認めたくないため、多くの人は自分たちが本質的にはお互いにつながっていることを知ることを恐れている。そのため、彼らは無力感を抱くことになる。
しかし、何かをコントロールしているという幻想は、やはり幻想に他ならない。
それは自己判断と自己批判を助長するため危険である。

クリスティーン・ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

過食症やむちゃ食い障害の治療で、『8つの秘訣』を用いて
自己内対話や「健康な部分と摂食障害の部分の対話」を通して
自分自身との和解や、自分自身との調和を強調するのは、
「自己志向」を高めることで過食や過食嘔吐などの嗜癖症状の軽減するとともに
愛着(アタッチメント)システムの修復プロセスである「協調性」を伸ばすことを
同時並行的に行う必要があるからなのです。

幸い、自己に対する見方を変えるために他者に頼る必要はない。
自分に愛情を込めた世話と理解を提供するとき、私たちは思いやりと受容が価値あるものだと感じるようになる。
自分に対して共感と支援を提供する場合、私たちは救いの手がすぐそばにあると信じるようになる。
自己に対する思いやりの腕で自分を包み込むとき、私たちは安全と安心を感じるのである。

クリスティーン・ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

愛着(アタッチメント)の「内的作業モデル」の修復は
必ずしも他者の協力を必要とせず、
「マインドフルネス」「人類共通といった視点」
そして「セルフ・コンパッション」からなる3つの次元
「心の深い部分に根差した精神的な自画像(自己受容)」を変えていくことができる
ということも新しい知見ですよね。

すべての人が組み込まれている原因と条件の複雑な世界を理解することで、私たちは自分や他者に対して判断的になることは少なくなるだろう。
「相互存在“interbeing”」を深く理解することで、与えられた人生において最善を尽くしているという事実に対する慈悲を持つことが可能となる。
(中略)
その本質において、慈悲の心は人間関係の中にあり、無数にある人間のありようや、それらの相互の関係性を理解しようとする多様な観点の間を往復するのである。

クリスティーン・ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

「相互の関係性(社会的関わり)」に関与するのが
愛着と社会神経系』や『「耐性領域」にとどまる方法』で書いた
自分自身と他者に対する慈悲(思いやり)の実践です。

f:id:ipt-therapist:20160811151131p:image:w360

三田こころの健康クリニックでは
非言語的なコミュニケーションの自覚も重視して
過食症やむちゃ食い障害の治療、あるいは
愛着(アタッチメント)の修復を行っているんですよ。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食・大食をともなう排出性障害」というタイトルで、
最近急増しているにもかかわらず、専門家の間でもほとんど知られていない
「過食・大食をともなう排出性障害」を取り上げました。

読んでいただくとおわかりのように「過食・大食をともなう排出性障害」は
「排出型の過食症」や「過食嘔吐を伴う拒食症」と鑑別が難しいのですが
治療方針がかなり異なるため、認知行動療法や対人関係療法の従来の治療法では
治療効果が出にくいのです。

思い当たる方がいらっしゃったら
三田こころの健康クリニックに治療を申し込んでくださいね。

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2016-08-15

愛着の修復と過食からの回復

愛着システムはネガティブな感情(負の情動)に対する
処理システムであることがわかっています。

エモーショナル・ブレイン』の著者であるルドゥーは
外界からの刺激は、視床から直接扁桃体に向かう「視床扁桃路」と
視床から大脳皮質を経由して扁桃体に向かう「視床皮質路」の
2つからなる二重経路説を示しました。
「視床扁桃路」から生じる反応を「情動」、
「視床皮質路」から生じる反応を「感情」と呼びます。

思考は(扁桃体を活性化することによって)容易に情動を引き起こしうるが、われわれは(扁桃体不活性化することによって)情動を故意に消すことをそれほど効率よくは行えない。
自分自身に対して、不安を抱いたり落ち込まなくてもよいのだと言い聞かせてもほとんど役に立たない。

ルドゥー『エモーショナル・ブレイン東京大学出版会

「過去のことなのに(情動体験の記憶)」、
「現在のことのように感じられ(情動反応)」てしまうのです。

「情動体験の記憶(認知の記憶)」は、関係性(コンテクスト)から生まれ、
「情動による記憶(情動反応)」は、ワーキングメモリの修飾を受けて
罪悪感、自責感、憎しみなどの「社会的感情」を生みだします。
(『愛着の傷つきからの回復のカギ「ニューロセプション」』参照)

この2つの記憶が「入れ子構造」のように循環しているので、
「思い出すとつらい」という体験になりますし、
たとえ不合理だとわかっていても、その刺激を回避し続けるのです。

愛着の傷つきを癒したり、不安定な愛着を獲得安定型に修復していくとき、
ニューロセプション」に関与する社会神経系を安定させる必要があります。
この時に、大脳皮質を経由する経路で感情をあつかい認知記憶の修正を行う方法と、
言語によらず情動反応を受容していく2つのプロセスが必要になります。

他者との「協調性」の土台となる「愛着(アタッチメント)システム」は
内的作業モデルである「自己志向(自分との折り合い)」に影響を与え、
「自己志向(自分との折り合い)」は「協調性」に影響を受けます。

アタッチメントを修復していく(協調性を高める)ためには
関係性の中での「自己志向」を高めていく必要がありますし、
「自己志向」を高めるためには、アタッチメントの修復(協調性)が必要なのです。

摂食障害過食症やむちゃ食い障害)の治療でも同様のプロセスが必要です。

彼女たちの物事を見通す能力は、瞬く間に何層もの自己不信や自己嫌悪に閉じ込められてしまいました。
女性へと成長して、何かがおかしいと感じたり、会話から些細なことを読み取ったり、人間関係の気まずさを察知したり、行動のパターンや言動の違いを感じ取ったりする能力に気づきましたが、自分が見たものへの解釈は自己不信や自己嫌悪によって歪んでしまいました。
(中略)
そして、感情的な苦痛を食べ物のことを考えることで鎮めようとしたのです。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店

ネガティブな感情の解消手段であった過食や嘔吐は身体を巻き込むため
さらなるネガティブな情動(過食衝動)を生み出します。
治療においては、意味づけ(認識)が変わるというプロセスだけでなく
記憶の修飾をうけずメタファー(隠喩)として表現される情動を受容する
2つのプロセスが必要になるんですよ。

過食や過食嘔吐などの嗜癖症状(自分との折り合い:自己志向)と同時に
アタッチメントの修復(協調性)を同時並行して治療していく必要があり、
その方法としての対人関係療法は非常にすぐれた方法だと思うのです。

三田こころの健康クリニックではウィルフリィの対人関係療法に則り
「自分自身との関係を改善する」「行動の仕方を改善する」の自己志向の2つの要素と
「他者との関係を改善する」の協調性に焦点を当てて治療をしているんですよ。

その際、「自己志向」の根幹の「自己受容」が重要な鍵になります。
「自己受容」と似た概念とし「自己肯定感」や「自尊心」がありますが、
多くの精神疾患からの回復に必要だと考えられてきた「自尊心」は
他者との比較や、自己に対する評価に基づく認知の仕方という
論理性や競争性などの男性性の原理からなっています。
(『自尊心から自己受容へ』参照)

だからこそ、

神話やおとぎ話や民話を聞くことで、メタファー(隠喩)という言語、つまり自分の内なる真実を理解して吸収するのに必要な言語を学び、現実と向き合い、自分の物語に潜んでいる深い英知を理解できるように
ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店

メタファーを通して自分の内側に目をむけること、
これが「自己受容」のプロセスの1つなのです。

ジョンストン博士は、すべてを明るみにさらす日光は男性の象徴であり、月光は女性の特性と位置づけ、原著のタイトルにも引用しています。
本書を読みながら、ご自分に月明かりのような柔らかく優しい光を当ててみてはいかがでしょうか。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店

「自分に月明かりのような柔らかく優しい光を当てて」みるのは
「自己受容」の3つの要素のうちのセルフ・コンパッションですよね。

「敏感すぎる自分」を好きになれる本

「敏感すぎる自分」を好きになれる本

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
自尊心から自己受容へ」というタイトルで、
「自尊心(自尊感情)」と「自己肯定感」の違い、
「自己効力感」を含む、さまざまなレベルの「自己肯定感」、
そして深い癒しにつながる「自己受容」についてまとめました。

この「自己受容」は「自分と他者」という対人関係の土台になるだけでなく
自分自身との関係の調和という愛着の傷つきの癒しや愛着の修復、
過食症/むちゃ食い障害からの回復の土台にもなります。

そのメカニズムは今回書いた脳科学にもとづく治療アプローチですから
過食症/むちゃ食い障害を治したい、あるいは愛着の問題を改善したい方は
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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2016-08-08

愛着と社会神経系

愛着のボタンはリセットできる』で書いた内容が
よくわからなかったと何人かの患者さんに言われました。

医学的な説明をすると面白くないかなぁと考えて
結論めいたものだけ書いてしまったので、
読まれた方はチンプンカンプンだったかもしれませんね。

認知を経由しない生理学的な反応である
ニューロセプション(神経感覚)」に関与する脳神経は、
迷走神経を中心に、三叉神経、顔面神経、舌咽神経、副神経があります。

これらの神経は、摂食、吸引、表情、頭部の動き、発声・発語、聞こえなど
他者との交流に関わる行為と密接に関連しているので
社会神経系」と呼ばれることがあります。

生後2ヶ月の赤ちゃんはあやすと笑うようになりますよね。
新生児期から乳幼児期にかけての母子関係の中で
自分に注意を向け、世話を受けるために発達したこれらの神経群を
ポージェス(ポルヘス)は「社会神経系」と名づけました。

社会神経系」にもとづく行動パターンの1つが「愛着」であり、
他者との対人関係や、他者集団である社会との関係の土台であると同時に
生活や心の健康(メンタルヘルス)の根底をなしていますよね。

と同時に、社会的関わり、つまり他者や他者集団である社会との関係は、
他者の意識状態についての認識や共感的理解と同時に
自分自身の意図的状態を深く内省し、協応することに加えて、
この認識に従って、関わり行動を適応的に変化させることが必要になります。
(「自分-(愛着)-他者」の共感的理解と、関わり行動の変容を目指す治療対人関係療法です)

また「社会神経系」の一部は、心臓や気管支・肺にも分布しています。
さらに頚部から顔面、そして頭部に分布している社会神経系が関与する筋肉は
心臓以外は意識して動かすことができる随意筋です。

社会神経系が機能しているデフォルトの状態では
私たちは、ゆっくりとした言葉で話し、穏やかな表情や態度で
呼吸も心拍もゆったりとくつろいでいますよね。

やや低く穏やかな声でのゆっくりした話し方を聞くことや、
よせては返す波の音、小鳥のさえずりや木々のざわめき、
小川のせせらぎを耳にすることで
私たちは穏やかな気持ちになることができます。

穏やかでありながら適度な覚醒状態であるデフォルトを「耐性領域」と呼び
外界の周囲の人に対して、柔軟にかつ冷静に意思疎通をすることができ
適応的な対応状態にあるということなのです。

これらの神経が関わる摂食(食べる)という行動も
私たちをリラックスさせる効果がありますよね。
過食症やむちゃ食い障害との関連が見えてきましたよね)

私たちが日常生活の中で他者との関係で危険を察知したとき、
最初に反応するのが社会神経系です。
穏やかでゆっくりした話し方や、深い頷きで
こちらに攻撃の意図がないことを示し、
対話や交渉で相手の感情をなだめようと試みますよね。

これがうまくいかないときには、交感神経のフル活性化による
「戦うか逃げるか(闘争-逃走)反応」が起きます。
それでも危機を回避できないとシャットダウン(凍りつき)
と呼ばれる反応が起きます。
(『愛着トラウマの脳科学』参照)

このニューロセプションの経路は、
視床から大脳皮質を経由せずに不安や恐怖の中枢である扁桃体に至るため、
後付けの意味づけ(物語の生成)しかできません。
危機が去ってから急に全身が震えてへなへなと崩れ落ちてしまうのは
交感神経がエネルギーを使い果たしてしまったからなのです。

恐いと思った出来事を思い出すと情動反応が起きます。
思い出そうとしなくても、危険と認識しただけでも交感神経は活性化します。
さらに情動反応は、大丈夫と言い聞かせただけでは落ち着きません。
言葉は当てにならないのです。

日常的な出来事に対してネガティブに解釈したことが
過食の引き金になることがわかっていますので、
「食べる」という行動で社会神経系を刺激し、
交感神経の闘争-逃走反応を鎮静化させようとしているのですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
「耐性領域」にとどまる方法」というタイトルで、
愛着の傷つきからの回復、あるいは過食や過食嘔吐から回復するための課題である
「耐性領域」を拡げるには何に取り組んだらいいのかについて、
三田こころの健康クリニックでの治療内容の一部を公開しました。

対人関係療法でも取り組んでいく「自分との調和」は
自分の心と身体の状態を知り、本来の機能を取り戻すことです。
その上で他者との関わり方を変えていくことに取り組みます。

「愛着障害かもしれない」と感じたり、
過食嘔吐をやめたいけどできないと感じている方は
生きづらさの根底にある「自分との折り合い」の問題を
解きほぐしていく必要がありますので、
三田こころの健康クリニックに治療を申し込んでくださいね。

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2016-08-01

愛着の問題と過食症を根底から理解する

私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した』や
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を翻訳してくださった安田さんと
EAT119」「日本にも摂食障害専門病院を開設しようプロジェクト」で
啓発・広報活動をつづけていらっしゃる林さんが
三田こころの健康クリニックを訪れてくださいました。

お話をしている中で確信を深めたのは
摂食障害を専門に治療できる医療機関が圧倒的に少ないことでした。

彼女たちの身の上話には、特定のパターンが見られるということはありませんでした。
しかし根底にあるテーマ、つまり、彼女たちの多種多様な経験の中にも一貫した特色があることに気づきました。
それは、居場所がないように感じたり、他人と違う見方をしている感じがしたりと、「うまく合わない」ように感じていたということです。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店

摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』で
「乱れた食行動」と表現されている摂食障害の方だけでなく
「自分は愛着障害かもしれない」と治療を求められる方も
「生きづらさ」という自分自身との折り合いがテーマであるように思います。

トンバ(Tomba)らは
「自己受容」「自己決定(自律性)」「環境調整(自己効力感)」
「個人的な成長」「人生の目標」「他者との親密な関係性」の6つの次元からなる
心理学的ウェル・ビーイング尺度を用いて摂食障害の患者さんを対象とした調査を行い
神経性過食症では、6つの領域すべてにおいて低く、
むちゃ食い障害では、自己受容、自律性、環境調整が低かった
と報告しています。

成人愛着における安定性を決めるものは過去の体験ではなく、その体験に対する現在のかかわり方です。
(中略)
ですから、幼年期に不安定な愛着を経験していたとしても、それをそのようなものとして首尾一貫した形で語ることができ、その際にひどく動揺したり事実を否認したりすることがなければ、現在の愛着は安定型であると判定されます。

上地『メンタライジング・アプローチ入門』北大路書房

過食症やむちゃ食い障害からの回復や
愛着を獲得安定型に変えていくプロセスの中心は
環境や親のせいにするのではなく、自分の課題として受けとめ、
「自己受容」「目的や価値の創造」「目的や価値に沿った行動」という
クロニンジャーの「自己志向」を高めていくことになります。

深いレベルの自己肯定感ともいえる「自己受容」は
「自分と向き合う」という内省のプロセスを通して、
腹側交感神経の「社会的関わり領域」を活性化していくことが課題になります。

乱れた食行動を克服する旅を始めた彼女たちは、行きつ戻りつしながら曲がりくねった道を歩いていく、自分の中心への旅を始めたのです。
(中略)
自分の本当の考え、感情、そして欲望を探す道中、自分の行く先を導いたり自分を助けたりするためには、内側からの声に耳を傾けなければなりませんでした。
そして、一筋縄でいかないことを受け入れ、理性を解放して自分の直観と感情の持つ力を大事にすることで自分自身を見つけることができました。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店

大切なのは「内側からの声に耳を傾け」ることで
他者に頼ることは「愛着のパラドックス(承認欲求)」の問題を引き起こします。

自分に愛情を込めた世話と理解を提供するとき、私たちは思いやりと受容が価値あるものだと感じるようになる。
自分に対して共感と支援を提供する場合、私たちは救いの手がすぐそばにあると信じるようになる。
自己に対する思いやりの腕で自分を包み込むとき、私たちは安全と安心を感じるのである。

クリスティーン・ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

治療でこのプロセスをたどるときは、患者さんと治療者が
自分や他者の精神状態(考えや感情)を共同で詳しくみていく
「共同注意」を行っていきます。

共同注意を始める際のアイコンタクトを通して
社交性をつかさどる脳領域(ミラーニューロン群)が活性化し、
共感力や社会的な協調力、前向きなコミュニケーション力を向上させる
愛情ホルモンとしても知られているオキシトシンの分泌が促進されます。

これが不安定な愛着を安定型に変えていくプロセスでもあり、
外的な安全感や安心感とはちょっとちがう
社会的関わり領域」で自分の中に生まれてくる安全基地なのです。

しかし患者さんの中には、「覚えていない」「よくわからない」と
ワーキングメモリでの回想が不十分で「語る」ことができない場合や
過食がどう酷かったかと身体状態としてしか語れない場合もありますが、
この「共同注意」を根気よく進めていくプロセスは
たんなる体験の回顧や自分自身をふり返るという次元ではなく
関係性の中に立ち現れてくる自己回帰的な視点を培うものなのです。

迷宮(ラビリンス)を歩く間、惑わされたり迷ったり、飽きたり方向感覚を失ったり、イライラしたり不安になったりすることもありましたが、一歩一歩、歩み続けました。
自分の中心、つまり女性としての自分の本質を見つけることが旅の終わりではありません。
新しいビジョンと新しいあり方でもって、迷宮を出なければならなかったのです。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店

ここで示されている「迷宮(ラビリンス)」のメタファーは

迷宮(ラビリンス)は誇大的で神秘的なアーキタイプ(元型)です。
中心に着いたらまた来た道を戻り、一巡しては何度も元の場所に戻るという、ひとつの道からできています。
(中略)
自分の中心に導いてまた外の世界へと戻してくれる道を持つ迷宮は、瞑想の道具として使われていました。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店

「自己志向」と「協調性(社会性)」あるいは
「ミラーニューロン」と「ニューロセプション」の
「入れ子構造」をうまく言い表してくれていますよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
愛着の修復のために」というタイトルで、
愛着障害』や『回避性愛着障害』で書かれていた
「肯定」「共感」「受容」を柱とする一般的な心理療法の根本が
愛着の修復には有効でなかったのは
ニューロセプション」の土台になる「生物学的な体験」が乏しく
「入れ子構造」に対する視点が欠如していたためということを解説しています。

また『回避性愛着障害』で書かれていたマインドフルネスだけでも
「自己志向」と「協調性」の入れ子構造の修復には不十分なので
三田こころの健康クリニックで行っている
入れ子構造(迷路(ラビリンス))の立体的な通り方のアウトラインを
ごく簡単に紹介しました。

過食嘔吐やむちゃ食い障害を治したい、あるいは
その背景にある不安定型愛着を改善したい方は
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2016-07-25

愛着のボタンはリセットできる

以前に、制限型と脱抑制型に分けられていた愛着障害は、それぞれ

  • 反応性アタッチメント障害
  • 脱抑制型対人関係障害

として「心的外傷およびストレス因関連症候群」に分類されました。

両者に共通した「重度の社会的ネグレクト状況(虐待)」の存在から
「発達性トラウマ障害」「愛着トラウマ」と呼ばれることもあり、
施設児の研究から特徴や反応性、予後の違いがわかってきつつあります。

「反応性アタッチメント障害」は
生得的に選択的な愛着を形成できないという問題があるものの
適切な養育環境による修正が可能であるといわれています。

「脱抑制型対人関係障害」は、獲得安定型の愛着を形成した後も
対人関係の距離感に関連する症状の持続がみられる
という特徴が知られてきました。

トラウマ関連障害ではなく「不安定型愛着スタイル」の人が
「自分は愛着障害ではないか?」と治療を求められることも多いので
「愛着スタイルが獲得安定型に変化しなかったのはなぜか?」という問いを
このブログで何度も書いたことがありますよね。

最近の脳科学の研究でわかったことは
思春期には神経細胞同士の結合(シナプス)の合成が盛んになり
不要な神経同士の連結がそぎ落とされるため
一時的に前頭前野の機能が不安定になり
ストレッサーに対する処理効率が低下するため
機能不全(不適応)を起こしやすいということが知られています。

思春期から青年期、そして成人期にかけて
自分は何者であり、他者から何を期待できるのかに関わる
「精神的な自画像(内的作業モデル)」は
「自分自身との折り合い」に大きな影響を与えます。

しかし「内的作業モデル」は普遍的なものでなく
「自分自身との折り合い方」を変えることによって
愛着のボタンをリセットする」ことができます。

幼少期に虐待があったかどうか、厳しいしつけを受けたかどうか、
あるいは両親との愛着関係がどうだったかという事実がどうであれ、
過去の体験と折り合いをつけ、
筋の通った「現在のナラティブ」を生み出すことは可能で、
これが「獲得安定型の愛着」ということですよね。

過去の体験と折り合いをつけるために、
自分が体験している現実は自分の心が作り上げた「表象」であることを理解する、
つまり「自己イメージ」「他者イメージ」など自分特有のとらえ方(表象)を知る
ことが第一歩になります。

私たちの気分を悪くするのは他人や出来事そのものではない。
それに対する自分のとらえ方である。

怖れを手放す星和書店

摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』に

彼女たちは、身の上話を私のいわゆる精査にさらすことで、人生を蝕んでいた不可思議な執着がどうして始まったのか、その手がかりや答えが見つかることを望んでいました。
ある女性は両親からの虐待に苦しんでいたことを話してくれましたし、別の人は、父親はすることなすことすべてを激励して称賛してくれたと話してくれました。
アルコール依存症で生きるか死ぬかの問題に気をとられてばかりで、愛情を与えてくれなかった母親を持つ女性もいれば、出来合いする過保護な母親を持つ女性もいました。
親を死や離婚で失った人もいましたし、結びつきの強い家族の中で育った人もいました。
育った環境は違えども、どの悲しい身の上話にもそれなりの困難がつきものでした。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店

迷宮(ラビリンス)を通って乱れた食行動から回復する
「自分自身への古い見方を捨てて、内なる自信を取り戻」す
「自分の中心への旅」を始める女性たちと同じように
不安定型愛着スタイルの人も、自分と折り合いをつけることが
獲得安定型の愛着を構築する「旅」になるのですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
愛着の傷つきからの回復のカギ「ニューロセプション」」というタイトルで、
愛着関係を獲得安定型に変化させていくときに必要な
「自己志向(自己の次元の成長)」と「協調性(社会次元の成長)」の土台は
「ミラーニューロン」の働きだけでなく
ほとんど知られていない「ニューロセプション」が関係していることを説明しています。

「ミラーニューロン」と「ニューロセプション」
そして「自己志向」と「協調性」が「入れ子構造」になっているため
どちらかにしか焦点が当たらないこれまでの心理療法では
愛着の修復が上手くいかなかったのだと思います。

慢性の抑うつ状態や、過食症/むちゃ食い障害を治したい、
あるいはその背景にある不安定型愛着を改善したい方は
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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2016-07-19

摂食障害の精神療法のエビデンス

一般に摂食障害といえば、食べられずにやせていたら拒食症
たくさん食べていたら過食症とみなされることが多いのです。

この見方は、サッカーや野球の試合を見ていて
自分が応援しているチームが得点を挙げたり勝ったりして大喜びすれば躁状態
負けて落ち込んでいたらうつ状態、のように、短絡的な見方なのですが、
シャレにならないことに多くの医療機関でそのような診断がなされているようです。

「食行動障害または摂食障害」群の中で狭義の「摂食障害」は

なのですが、上記の狭義の摂食障害以外にも
「食行動障害または摂食障害」には

異食症:食べ物ではないものを食べる
反芻性障害:吐き戻しを繰り返す
回避・制限性食物摂取障害
  ・ 食物回避性情緒障害:不安、強迫などが身体化した情動反応
  選択的摂食:食べ物の種類や範囲へのこだわり(著しい偏食)
  ・ 機能性嚥下障害:食べ物の質感、外観へのこだわりと飲み込み、窒息、嘔吐に対する恐怖
  ・ 制限摂食:食が細い
  ・ 食物拒否:ハンガーストライキ
他の特定される食行動障害または摂食障害
  ・ 狭義の摂食障害の不全型(頻度が低い、または、期間が短い)
  ・ 排出性障害
  ・ 夜間食行動異常症候群

などの病態があるのです。

食べなくてやせていたとしても「拒食症」と短絡的に診断するのではなく
「回避・制限性食物摂取障害」のうちの1つの病態なのかの鑑別や、
統合失調症など他の疾患に伴う食行動異常なのかの判断が必要です。

また、過食嘔吐があるからといって「過食症」ではなく、
「過食性障害+排出性障害」のことだってありますし、
「回避・制限性食物摂取障害」にともなう飢餓過食のこともありますから、
発症の仕方や精神病理、症状の推移を詳細にみてみないと
正確に診断することはむずかしいだけでなく、
正確な診断をしないかぎり適切な治療方針が立てられないのです。

とはいえ今回は、ほとんど知られていないようですので
確立されているスタンダードな治療法を挙げておきます。

「神経性やせ症/拒食症」や「回避・制限性食物摂取障害」など
体重減少がある場合は、身体的治療が第一選択になります。

「神経性やせ症/拒食症」の小児から思春期までは
身体的治療に加えて、家族療法の効果が認められています。

思春期以降の「神経性やせ症/拒食症」では、
制限型/過食嘔吐型に限らずBMIが16未満では身体的治療と心理教育が行われ、
精神療法はBMIが16以上(できれば17以上)で、活動制限の必要がなくなり
社会や集団との適応が課題になるときに導入されるのが主流のようです。

「神経性やせ症/拒食症」に対しては認知行動療法のエビデンスが認められている一方、
非特異的な支持的精神療法が、認知行動療法と対人関係療法治療効果を上回った
というデータもあり、治療者が積極的に介入する期間限定の短期精神療法よりも
ゆっくりと変化していく支持的精神療法が向いているのかもしれません。

思春期以降(青年期から成人期)に発症する「神経性過食症」や
「過食性障害(むちゃ食い障害)」では、認知行動療法、
対人関係療法、家族療法などでエビデンスが認められており、
第一選択の精神療法は認知行動療法とされています。

対人関係療法は認知行動療法と同じくらいの効果があり、
治療効果では認知行動療法よりも長く維持されるものの、
効果の発現が認知行動療法より遅れること、
強迫性障害があると対人関係療法の適応にならないことから
認知行動療法の無効例に対して第二選択として考慮することになっています。

フェアバーンの研究では、治療終結時の治療反応率は
認知行動療法が約45%、対人関係療法は約30%ですが
1年後、認知行動療法は約40%、対人関係療法は約45%でした。
またローゼンバーグ式自己評価尺度(自尊心の尺度)は
対人関係療法よりも認知行動療法の方が大きく改善していました。

アグラスらの多施設研究では
認知行動療法も対人関係療法も、脱落率は約25%前後と変わらず
終結時の快復率は、認知行動療法が29%、対人関係療法は6%
改善率では、認知行動療法が48%、対人関係療法は28%
12ヶ月までのフォローアップでの改善率は
認知行動療法が40%、対人関係療法が27%で
統計学的には2つの治療間の効果に差がなかった(?)と報告しています。

ですが1回に60分前後かかる認知行動療法や
対人関係療法のような専門的な精神療法による治療
1時間に最低でも5〜6人の患者を診ないと採算が取れない現行の保険制度では
とうてい実現困難ですから、専門の治療機関で行う必要があります。

認知行動療法は学童期や思春期でも適応可能のようです。
対人関係療法は小学生や中学生に親同席面接の形で行ったこともありますが
過食症やむちゃ食い障害に対する個人療法としての対人関係療法は、
アイデンティティが確立した思春期以降でないと難しい、という印象があります。

以上の結果をふまえて、三田こころの健康クリニックでは
対人関係療法の効果を高める取り組みとして
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を併用しているのです。

また「神経性過食症(自己誘発嘔吐を伴う)」でも
さまざまな身体合併症歯科合併症を起こしますので
嘔吐を伴う疾患でも基本的に身体管理が必要ですよね。
歯科治療を希望される方には歯科クリニックを紹介しています)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
強迫と衝動の治療」というタイトルで、
制限型の拒食症から、過食嘔吐への移行には
報酬系の異常である衝動性が関与していて
クロニンジャーの「報酬依存(人情家)」の低さで表され
このタイプは治療導入までに時間がかかることを解説しました。

しかし、いったん治療が軌道に乗れば(感情耐性が高まれば)、
このタイプの人には対人関係療法がすごくマッチするので
短期療法としての対人関係療法ではなく、
長期に対人関係スキルを高めていく治療という位置づけになります。

さらに治療効果を最大限に発揮するために「変化の段階」も大切ですから、
過食症治療を希望される方は『摂食障害から回復するための8つの秘訣』おを読みになり
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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2016-07-11

対人関係療法による過食症治療の質問に答える

ある患者さんから、「友人との関係がきっかけで過食症になったのに
対人関係療法で重要な他者である家族との問題を扱うのはなぜですか?」
と質問されたことがあります。

過食症対人関係療法での治療ではすごく大切なポイントですよね。

摂食障害を「維持」する因子を重視するというのは、たとえば、友人から「デブ」と言われたことがきっかけで摂食障害になった人の場合でも、その出来事を重要視して「対人関係問題」としてとらえるのではなく、日頃の身近な他者との関係に注目して互いのコミュニケーションのクセなどを直していくということです。
現在の家族との関係が良好であれば、「デブ」と言われたことは、単なる「不運な出来事」として位置づけられていたことでしょう。
たいして親しくもない人からの一言で病気になったという人の場合、重要な他者との関係が満たされていないことがほとんどです。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

8つの秘訣』の「秘訣7:摂食障害ではなく人々に助けを求めよう」に

実際に、トラウマになるほどの出来事や問題があっても、そのことを話すことができ、対処できる人は、そうでない人と比べて、いつまでもその体験に苦しみ続けることはないといわれているのです。

とありますよね。

心的外傷・PTSD』にも「衝撃の受け止め方」の1つとして
「人に話す」が挙げられていますから、
「衝撃の緩和プロセスとしてのソーシャルサポートが機能しているかどうか」が重要で、
病気になった人は、重要な他者との関係が満たされていない」とか
「家族との関係が良好であれば、不運な出来事として位置づけられる」など
原因論的な表現の仕方は適切ではないと思うのです。

対人関係療法では親・配偶者や恋人などの「重要な他者」、
友人との交友関係など、過去と現在の対人関係パターンに注目します。
そして過食のエピソードを促進させる出来事を見ていくのですが
ほとんどの場合は、出来事とは無関係に習慣的に起きているように見えます。

最初は重要な他者に病気のことを伝えてもらうことから始まり
患者さんが少しずつ気持ちを話すようになってくると
重要な他者は「どう接していいかわからない」とか
良かれと思ってあれこれアドバイスを始める事も多いですよね。
ですから、乏しかったコミュニケーションパターンが変化するときには
一悶着ある(関係が一次的に悪化したようにみえる)ことがほとんどなのです。

この状態は、それまでの過食の維持因子が変化し始めた証拠なので、
「互いのコミュニケーションのクセなどを修正していく」という
効果のあるコミュニケーションパターンを試していくことが
「自分のまわりの対人関係に関することに変化を起こす」という
対人関係療法で最も重視する治療ポイントになるからなのです。

摂食障害になる人は、コミュニケーションが下手で、自分の気持ちを相手に伝えて問題を解決していくということが非常に難しいというケースが大部分で、そのためにストレスが生じたり自己評価が低下したりすることによって摂食障害が「維持」されているのです。
コミュニケーションの方法を改善して、より快適な対人関係環境を作っていくことによってストレスを軽減し、自己評価を高めて摂食障害治療する、というのが対人関係療法の考え方です。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

とあるように、コミュニケーションを改善するためには
自分自身をふり返ること、つまり以下の3つで定義される
「自己受容」を高めることが決定的に重要です。
(「自分の気持ちに正直になるって・・。」参照)

  1. 自分に優しくなる(セルフ・コンパッション)
  2. 誰しも感じる感情を苦悩に変えない
  3. 思考・感情・感覚に気づいている(マインドフルネス)

その上で

  • 人生に目的や価値を見いだすこと
  • 目的や価値に沿った行動が取れること

を高めると同時に、「他者受容」「共感・協力」という
「協調性」を高めていくことで過食症治療していくのです。

じつは「自己志向性」の3つと「協調性」の2つの因子は
ダニエル・ゴールマンの「心の知能指数(EQ)」と同じなのですよ。

また別の時に「私は過食症なのに「冒険好き」が低いんですか?」
という質問を受けたことがあります。

最近の過食症やむちゃ食い障害の患者さんには
「冒険好き(新奇性追求)」が低い人が大多数ということを
過食症やむちゃ食い障害の対人関係療法のすすめ方』や
過食症とむちゃ食い障害(過食性障害)の最新事情』で書きました。

感情表出はクロニンジャーの「人情家(報酬依存)」と関連があり、
「人情家(報酬依存)」が高いと、他者を行動調節のリソースにできる、
つまり「不幸な出来事(衝撃や困り事、危険)」に際して
「他者からの援助を引き出すことができる」に関連していることがわかっていますし、
「アクセル(冒険好き:新奇性追求)」と「ブレーキ(心配性:損害回避)」を
人との関わりによって調節することができるといわれています。

また環境や対人学習の結果である「協調性」は
当初は遺伝的な影響は少ないと考えられていましたが
他者受容や共感、協力などは遺伝的要因が影響することも示唆されています。

そう考えると、

自分自身との関係を改善し(食べ物で自分を麻痺させるのではなく、自分の気持ちに注意してはっきりつかめるようになる)、他人との関係を改善できれば、ネガティブな気持ちをコントロールするために食べ物を利用しなくてすむようになるでしょう。
ウィルフリィ『グループ対人関係療法創元社

自分自身との関係と他人との関係の両方をみていくのが
対人関係療法の真骨頂ということになりますよね。

「報酬依存」が低い人は対人関係療法の反応が不良と報告されていますから
対人関係療法による治療の一番いい適応になるのは
「人情家(報酬依存)」と「協調性」が高い人で、
愛着(アタッチメント)とも関連するオキシトシンが関与しているのかもしれませんね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害と育てられ方は関係するのか」というタイトルで、
小児期には、「生育環境要因(育てられ方)」の関与が大きいものの
思春期以降に発症する摂食障害では、「環境要因(生育・個別要因)」より
「遺伝的要因」の関与が大きい(50〜80%)ことがわかっており、
これはクロニンジャーの七因子モデル(気質と性格の相互作用)で
考えやすいことを説明しています。

摂食障害は「よい子がなりやすい」とか
「人生早期の対象関係における感情交流が欠如したためではないか」という言説は
「新奇性追求(冒険好き)」「報酬依存(人情家)」の低さと
「固執」や「損害回避(心配性)」の高さで特徴づけられ
このパターンを知ること(自分を知ること)が
治療においても必要になることを書いています。

過食症やむちゃ食い障害の対人関係療法による治療を希望される方は
三田こころの健康クリニックに相談してくださいね。

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2016-07-04

過食症やむちゃ食い障害の対人関係療法の効果を増強する

食障害の治療や回復へのモチベーション〜『8つの秘訣』補遺1』や
行動変容の動機づけと過食症の対人関係療法』で
対人関係療法の効果は「行動変容を動機づける5段階」と関係がある
というデータを紹介しました。

「動機づけ(モチベーション)」は本人の意志という意味ではなく、
行動変容を促進する条件設定や自己強化のことです。

自己強化から自己調節行動を起こすためには、
自分を客観視するセルフモニタリングが必要不可欠なのですが、
過食症の自己欺瞞に向き合う』で書いたように
過食症では往々にして傍観者的なモニタリングになってしまい
変化を起こすことが難しくなってしまうのです。

現在、摂食障害治療法として、方法論が明確に確立され
治療効果を科学的に判定しやすい認知行動療法が主流となっています。

認知行動療法では、摂食障害の症状に焦点をあて
対処し変化させるべき問題として治療が組み立てられており、
過食症では、患者さんが問題点としての症状を認識できているため
導入はスムーズに行われる事が多いようです。

しかし、過食や過食嘔吐のもつ魅力(嗜癖性)によって
「自己欺瞞」が賦活化されることでの葛藤が
脱落や無効例につながっていると考えられます。

一方、対人関係療法では、
過食嘔吐の消失を直接の目的としてかかげることなく、
症状を維持している対人関係の問題に働きかけ
過食や過食嘔吐の悪循環からの離脱を目指します。

「食べ方はそのままでよいから、まずは対人関係の悩みから話し合っていきましょう」といえば、私の経験からは脱落する人はほとんどいません。
水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

ということですが、治療導入時には脱落は少なくても
「動機づけ(モチベーション)」が低い場合は

○ 自分の気持ちをよく振り返り、言葉にしてみる
○ 自分のまわりの状況(とくに対人関係にかんするもの)に変化を起こすよう試みる

に取り組んでいくことが難しいので、脱落例も出てきますし
変化を起こす準備ができていないと治療効果もでにくいのです。
(多施設研究では認知行動療法と対人関係療法の脱落率には差がないことが示されています)

しかも対人関係療法では、治療関係の質を重視しますが
対象となる問題(とくに不安が関与するケース)によっては
治療関係が逆に問題を長引かせることにもつながることを
行動変容の動機づけと過食症の対人関係療法』で書きましたよね。

認知行動療法では限界や弱点が語られ
それらを乗り越える第3世代の認知行動療法などが提示され
進化しているように感じられるのですが、
対人関係療法ではある疾患に対してエビデンスがあったかどうかだけで
向き/不向きや治療法の弱点を語られることがまずありません。

さらに対人関係療法は20回未満(通常は12〜16回)で治療が終結するので
患者さんは症状が残ったまま終結を迎えることがほとんどです。

そのため、

  • 症状に焦点を当てないにしても、症状が消失するにはどうしたら良いか?

ということを長い間ずっと考え続けてきました。

たとえば、対人関係療法では、他の現実の出来事につないだり、
あるパーツの部分だけを強調したり省略したりすることで、
現実を再構築することを「位置づけ」と呼びます。

治療者から患者さんへの付与という形で
精神のみに焦点を当てた「位置づけ」が繰り返されることで
本来の等身大の自分との乖離を生み出すのであれば
治療者-患者の二者関係への没入になってしまいます。

「位置づけ」をリフレーミングとして作用させるためには

  • 価値に基づく行動に沿う必要があるのではないか?

と考えていて「自分自身との関係を改善する」方法を模索していました。
(これは愛着の問題の修復にも関連しているのです)

自分の反応や気持ちをはっきりつかみ、コントロールし、表現することを学べば、自分を落ち着かせたり慰めたりするために食べ物に走らないですむようになります。
つまり、自分自身との関係を改善し(食べ物で自分を麻痺させるのではなく、自分の気持ちに注意してはっきりつかめるようになる)、他人との関係を改善できれば、ネガティブな気持ちをコントロールするために食べ物を利用しなくてすむようになるでしょう。
自分の気持ちがうまく扱え、他人との関係もうまくいくようになればなるほど、過食は減っていくでしょう。

ウィルフリィ『グループ対人関係療法創元社

患者さんの生き方や心の状態だけでなく、身体感覚にも働きかける
摂食障害から回復するための8つの秘訣』は、
対人関係療法の取り組みをバランス良く網羅しているだけでなく
私が長年修習してきたマインドフルネスも応用できるので
三田こころの健康クリニックでの治療にすごくマッチしていると思っています。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
対人関係療法をマインドフルネスの視点でみてみる』というタイトルで、
対人関係療法認知(思考)に焦点は当てないものの
治療が効果を発するときには認知も変化しているのは
マインドフルネスと重なる部分があることを説明しています。

「頭に浮かんだことは想像に過ぎない」という「破局的思考の緩和」が
ネガティブな認知から距離をおくスキルであり
三田こころの健康クリニックで「脳内劇場から離れる」と呼んでいますよね。

また「ネガティブ思考から距離をおくスキル」は
「能動的に対人関係に注意を向ける」こと
つまりネガティブな感情や過食衝動を対象として見ることで
それらに気づきながら巻き込まれない状態を作っていきますよね。

同じように治療者の注意の向け方(背景にある意図)の違いにより
対人関係療法の効果も変わってくるのです。
(『過食を抑えつけない意味』参照)

過食症やむちゃ食い障害を本気で治したい方は
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』と『8つの秘訣』を読んで
モチベーション(行動変容を促進する条件設定と自己強化)を高めて
三田こころの健康クリニックでの治療を申し込んでくださいね。

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2016-06-27

過食症の自己欺瞞に向き合う

『「過食症とむちゃ食い障害(過食性障害)の最新事情』で
過食症やむちゃ食い障害の人は「自分を客観視できない」ことに触れました。

じつは「自分を客観視できない」ことはシリアスな問題で
回避的・強迫的な「気質」と依存的な「性格」の人が現実に向き合おうとしても、
依存的な「性格」は「気質」の特徴をコントロール(意味づけ)できず、
加えて、気質と性格から形成されるパーソナリティも
価値に基づいた柔軟な行動を選択できない、という
二重のストッパーがかかっているからのです。

つまり、過食症やむちゃ食い障害の人は
過食をやめたい、変わりたいと思っていても
低い自尊心(自己志向性)によるみじめな自分を感じていても
セルフモニタリングになっているわけではなく、
自分に対するダメ出しという批判や評価になってしまうので、
残念なことに、行動変容につながりにくいのです。

さらにみじめな自分を感じなくてすむように
過食や過食嘔吐を使って刹那的な気分解消を図っていますから
価値にもとづく行動を選択したり決定したりするのが難しいのです。

そうなるとますます、もう一人の自分は自分に批判的になり
過食や過食嘔吐する自分はますます気分解消行動にのめり込む
という悪循環が成立してしまいます。
(このような過食や過食嘔吐の進展過程についてはいつか解説しますね)

このような自分自身との葛藤を三田こころの健康クリニックでは
「自分自身との対人関係(折り合い)」と呼んでいます。
「自分自身との対人関係」のテーマである「葛藤」は
役割期待の不一致と同じで期待の整理をしていけばいいのですが、
ここに大きな問題が潜んでいます。

それは『ありのままの自分と向き合う』で
「自分の気持ちに正直になる」とか
「嘘や偽りを言わない、ジャッジメントをしない」で示唆した
「自己欺瞞」という心理です。

「自己欺瞞」は、気分不耐を背景にした抑制のない空想上の憧れ、
あるいは空想上の憧れに対する願望であり、
自分が自分に、何を考え何を感じているのか、を偽っていることを
自分で気づかないようにしている状態のことです。

「自己欺瞞」に陥っているときには
矛盾する信念と欲求を別々に分離させて受け容れます。
過食はやめたいけど、過食がなくなるのも困る、と
感じるのがそれですよね。

過食や過食嘔吐でコントロールを失い、
自己の不利益になる(自分にとってメリットはない)とわかっていながら
その行動を続けてしまうという不合理さが続いてしまうのです。

一方では信じていないものを信じているふりをして
一方では自分の考えや気持ちを隠していることによって
自分を感じること、自分自身であることから遠ざかり、
自分の摂食障害行動をまるで他人ごとのように傍観するだけで、
受身で無力な存在のまま立ち尽くしてしまいます。

摂食障害から回復するための8つの秘訣』にも

自分の思考、気持ち、行動を慎重に探ってみると、他の人たちの評価や拒絶から身を守るために完璧主義を隠れ蓑に使っていたのだとわかりました。
問題は、自分を護るためのこの方法が、心から願って切実に希望していたものを手に入れる妨げになっていた点です。
(中略)
また、辛くて不快な気持ちを「太っている気」に変換するプロセスは、あなたの中でいつの間にか自動化されているかもしれません。
「太っている気がする」と言うほうが、「寂しい」、「一生誰も愛せないのが怖い」などと言うよりも安全に感じられるからです。

摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

このような「隠れ蓑=自己欺瞞」のもつ、相反する信念と欲求の不整合を、
「自分自身との役割期待の不一致」と呼んでいるのです。

「自己欺瞞」は自己認識のない閉鎖状態に無自覚であることから生まれます。
この状態を抜け出すには「ありのままの自分への気づき」を使って

  1. 価値にもとづく行動を選択し決定できる主体性を回復する
  2. 内在化された要求を行動に変換するプロセス

ことが必要ですよね。

じつは、20回未満の対人関係療法治療中に
過食や過食嘔吐から完全に回復できた人たちは
「なりたい自分」という目的と価値にもとづく行動ができているのです。

それはクロニンジャーの「自己志向性」の

○ 自己受容(他者と比較しない)
○ 人生に目的をもつ
○ 目的に沿った行動をすることができる

と重なる過食や過食嘔吐からの回復には必要不可欠な要素ですから
いつか詳しく解説したいと思っています。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『「過食症とむちゃ食い障害(過食性障害)の最新事情』というタイトルで、
最近の過食症やむちゃ食い障害の人には
「冒険好き(新奇性追求)」の高い人がほとんどいらっしゃらず
それが対人関係療法による治療にどういう影響を与えるのかを
考察しています。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』には

広い意味で、対人関係に問題のない摂食障害の人はいないというのが私の臨床経験を通しての結論です。
ですから、対人関係療法は、摂食障害の人全般に効く治療法なのです。

と、大上段で書いてありますが、
対人関係療法は万人に効く魔法のような治療法ではなく、
当然のことながら、向き不向きがあるのです。

対人関係療法ワーキングメモリや言語性記憶が低い人(相手が話した内容を違うふうに解釈してしまう)
注意機能が低い人(気分解消行動に走りやすい)、あるいは自己批判が高い人(ダメ出し)
クロニンジャーの七因子モデルのうち「報酬依存」が低い人社会性の低さ)
対人関係療法の反応が不良で効果が出にくいことが報告されています。

また回避傾向や強迫傾向のある患者さんには不向きで、
アスペルガー症候群などの発達障害の人には不向きどころか悪化することもあることを
水島先生が厚生労働科学研究で報告されています。

さらに、コミュニケーションや対人関係の問題は
過食症やむちゃ食い障害の維持因子の一つではあるけれども
メインの維持因子ではないことが多いため、
対人関係療法治療をするときにも工夫が必要になりますので、
どのような治療法が向いているのか?の鑑別治療学とともに、
患者さんの現実を詳細にみていく必要があるのです。

三田こころの健康クリニックの対人関係療法では
上記のような工夫(アレンジ)をしていますので、
過食症やむちゃ食い障害を本気で治したいと考えていらっしゃる方は
三田こころの健康クリニックに相談してみてくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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