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如実知自心〜三田こころの健康クリニック新宿〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-10-16

摂食障害患者さん(エディ)の心を理解し家族のストレスを軽減する

摂食障害を抱える人の多くが、自分の感情を処理したりコントロールすることを困難だと考えています。
彼女たちは自分の感情に気づき、そのことについて考え、認めることを回避しようとします。
傷心や怒り、悲しみといったやっかいな感情を顔に出したり、口にすることは耐え難いと感じる人もいます。
適切なタイミングで、適切な相手に、適切なレベルで、言葉や行動をもって反応することができないという人もいます。
つまり、彼女たちは「回避」というテクニックを完璧に身につけているのだといえるでしょう。一方で、激しく極端な感情表現がみられることもあります。

一般に、感情とは私たちをより人間らしく、より良く生きられるようにしてくれるものです。情動知能の発達は、精神発達において非常に重要なポイントです。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


情動知能」は、「心の知能指数(EQ)」としても知られていて、

  1. 自分や他者の感情反応を知覚し、じっくりと考えることができること
  2. 感情にとらわれて圧倒されずに、感情反応を意思決定の指標として用いること

ことを指します。(『摂食障害から回復するための正しい知識と理解』参照)

摂食障害の患者さん(エディ)は、情動知能を用いるのが不得手なので、摂食障害行動を使って感情をなだめたり、感じなくしたりすることで役に立っているのです。

摂食障害を手放すことは、これまでずっと一緒に暮らしてきたのにけっして会いたいとは思わなかった気詰まりなよそ者のような自分と二人きりになることなので、何としても避けたいことなのです。

拒食のため飢餓状態になると、感情が「麻痺した」ようになるため、絶え間なく襲いかかるネガティブな感情が断ち切られ、抑えられて、その苛烈さが和らぎます。
つまり、食事制限をし、感情を鈍らせることによって、傷心や苦痛、「人生は不公平だ」という気持ちを感じずに済むのです。
過食、過激な運動、嘔吐といった行動も、強烈な感情を和らげたり、避けるための手段だといえるでしょう。


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摂食障害の患者さん(エディ)の特徴として、

  • 内省する(自分の心を振り返る)ことが苦手
  • 思考を現実と思い込む
  • 感情に対して直面化・言語化することが難しい
  • ネガティブな考えや感情、およびそれらを引き起こす状況を回避する

などの特徴があります。

感情を避けるという傾向は自動的に起こるものなので、エディは自分自身の感情に気づかないばかりか、非言語レベルの情緒的反応(例:頬が赤くなる、涙ぐむ、口ごもる、顔を背ける、視線を落とす)を他人に気づかれるということは思いも及びません。

(中略)

摂食障害を抱える人は特定の感情について語ることにあまり慣れていないので、自分が何らかの感情を抱いているとわかっていても ―― たいていの場合、わかり過ぎているほどなのですが ―― それを正確に言い表すことができません。


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家族のための摂食障害こころのケア』には、ケアに当たる家族のパターンを分ルしてあります。
感情表出のパターンとして、【クラゲ(感情過多・過敏)】と【ダチョウ(乏しい感情・現実逃避)】、行動パターンとして、【サイ(過剰なコントロール・怒りっぽい)】と【カンガルー(過保護と過干渉・追従的)】が挙げられています。

摂食障害の患者さん(エディ)を支える家族は「情動知能」のお手本として、【セントバーナード(温かさと穏やかさ・包容的)】と【イルカ(コーチ・水先案内)】の対応を身につける必要があります。

エディは自分自身の感情に名前を付けて、その意味を明らかにすることが大の苦手ですが、他人の言葉の裏に隠された感情には非常に敏感です。
ですから、エディに対しては真っ赤な嘘をつかないように気をつけてください。
たとえば、本当は起こっているのに「怒っていないわよ」と言ってはいけません。
もしあなたが自分の情緒的反応を否定するなら、あなた自身がエディと同じように感情を抑えたり、避けていることになるのです。
エディの目標は、自分自身の感情に素直になって、感情を抑えたり、否定したりしないことです。
あなたに何らかの情緒的反応が生じて、これに正面から取り組もうとすれば、エディにとってもよい学習のチャンスとなります。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


そうは言っても、摂食障害の患者さん(エディ)を支える家族も人間ですし、エディを支えるという重圧やストレスに対して、さまざまな反応がおきてくるのも事実です。

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拒食症・過食症を対人関係療法で治す』の「家族にできること」を読んで、その通りにやってみようと思ったけれども、すごく苦しくなった、あるいは、心細かったとおっしゃる家族がすごく多いのです。

上記の表で重要なことは、ケアに当たる家族が、自分自身をケアしつつ摂食障害のエキスパートになるということです。
これによって、家族のプレッシャーやストレスを軽くできるだけでなく、摂食障害の患者さん(エディ)が困難を乗り越えるお手本を示す機会が得られるのです。

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、新宿御苑前カウンセリングセンターと連携して、摂食障害のお子さんのことでのご相談、対応やサポートの仕方を学ぶケア・カウンセリングを行っています。

対人関係(二者関係)という「不可分の関係性」の中で、自分が変わってみることがエディを変えることにつながるという、対人関係療法の醍醐味ですよね。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では『自分自身と他者との関係を改善し摂食障害から回復する』というタイトルで、過食症やむちゃ食い症の対人関係療法で選ばれることの多い「対人関係上の役割をめぐる不和」と「対人関係の欠如(対人関係過敏)」について、コミュニケーションの仕方について説明しました。

過食症」や「むちゃ食い症」の人の心の中では、「健康な部分」と「摂食障害の部分(万能の自己+理想化された破壊性)」の闘いが起きていますよね。
そのため、現実の対人関係でもそれが「再演(エナクトメント)」されるのではないかと怖れ、他者を遠ざけていますよね(対人関係の欠如(対人関係過敏))。
これはまさに、モノローグ的な日本人のコミュニケーションの仕方ですよね。

実際に対人関係療法の中で、コミュニケーションに取り組みはじめると(再交渉)、心の中で繰り広げられていた闘いが現実の対人関係に投影され(対人関係上の役割をめぐる不和)、衝突が起きてきます(行き詰まり)。

そのため、コミュニケーションに取り組む際には、多少不自然に感じられたとしても、自分のコミュニケーションパターンを意識して行う必要があります。

これは愛着スタイルを意識したコミュニケーションの取り方でもありますから、「不安定型愛着(俗にいう愛着障害)」、「過食症」や「むちゃ食い症」の根本的な治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-10-10

摂食障害からの回復と家族のサポート

思春期や青年期に発症しやすい摂食障害からの回復には、家族のサポートが何よりも必要になります。
そうは言っても、専門的な知識なしに摂食障害の患者さん(エディ)を支え続けることは、大変な苦労を伴うだけでなく、ほとんどの場合、逆効果になり摂食障害を維持させてしまうことになってしまうのです。

重篤な摂食障害を抱えている患者さんを援助しようとすると、綱渡りをしているような感じを抱くでしょう。
この場合、援助者は以下のような対応に陥ってしまいがちです。
つまり、過度に感情的になったり、反対にほとんど感情を示さなかったり、あるいは、過度に支持的になったり、援助者や家族が被る影響を度外視して患者さんのために何でもしてあげようとするような対応に陥ってしまいます。
もしあなたが適切なバランスを保てないなら、容易に落とし穴にはまってしまい、その結果、摂食障害を維持させてしまうことになります。

(中略)

エディに対する情緒反応は、それぞれの家族によって異なるかもしれません。
彼らは情報や援助がほとんどないままエディをサポートしようとする一方で、仕事やその他の活動といった社会生活を乗り切ろうと悪戦苦闘しているからです。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


摂食障害は、親の育て方や対応の仕方の問題ではありません!!
しかし、摂食障害がいったん発症すると、思考や感情の処理など遺伝的な体質(気質)や生育環境での学習成果(性格)が、摂食障害の維持因子になってしまいます。

三田こころの健康クリニック新宿でよく説明している例えでは、タバコ自体は細菌肺炎の発症要因にはなりませんが、いったん細菌肺炎に罹ってしまうと、タバコが肺炎の治りを悪くしてしまうようなものです。

摂食障害の患者さん(エディ)が、脅威に対して非常に敏感で(不安になりやすい)、また情動知能(感情と向き合うのが苦手)という特徴があり、ご家族にも大なり小なりこの傾向が認められます。

このような似たもの同士(あるいは正反対)の関係が摂食障害の維持因子となるのです。

したがって、摂食障害を抱える人を助ける場合、バランスのとれた行動が必要です。
つまり、一方では十分な時間とサポートを与えて、彼女のモチベーションが高まり、ルールに縛られない食事を試したり、安心行動をやめてみるようとするまでじっくりと待つこと。
他方では、栄養障害が脳機能に与えるダメージを未然に防いで、脳細胞の死や報酬回路、学習・発達面に障害が起きないようにすることです。


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過剰な運動や食事のルールといった「安心行動」は、食事によって生じる不安を軽減してくれるので、ひとたび始まるとあっという間に強化され、習慣化してしまいます。

そもそも、摂食障害は食行動回避の根底に、感情回避という中核的な問題が横たわっているからです。

患者さんは自分自身のことを「いっぱいいっぱい」と表現することがあります。
これは身体的感覚として感じられることもありますが、実際には感情で「いっぱいいっぱい」であるという意味なのです。
このような感覚を嘔吐で解消しようとする人もいます。
また、食べられなくなる人もいます。自分が風船のように膨れ上がり、ぱんぱんで、はち切れそうに感じて、食事が口にできなくなってしまうからです。


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また、不安な患者さん(エディ)を一時的に安心させるための「気休め」も問題になります。

エディに絶え間なく気休めを与えることが問題となる理由は、以下のふたつです。

(1)気休めを与えても、不安が軽減するのは一時的であり、疑念や不安がすぐに激しくなる。
(2)気休めを与えると、エディは恐れや疑いの心をコントロールすることを学べず、依存的な人間関係に留まってしまう。

つまり、エディは不安の軽減を求めて、自分の考えを確認するために人に頼るようになります。
家族は、カンガルーの親が子をお腹の袋に入れて守るように、エディに気休めを与えて保護し続けることもできますが、その結果、摂食障害の症状はますますひどくなるでしょう。


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「安心を与えること」と「気休め」はまったく違うものです。

「気休め」は、親自身が不安に巻き込まれ、自らの不安をなだめるためになされるのに対し、「安心を与えること」は親自身が不安を抱えつつ、それに巻き込まれずに摂食障害の患者さん(エディ)の感情であると示してあげることなのです。

例えば、子どもが転んで膝を擦りむいて泣いているとき、その痛みを想像して親自身も泣いてしまうことが感情的巻き込まれであり、自分自身の苦しみを緩和する方向に行動してしまいます。

一方、膝を擦りむいた子どもの痛みを想像して、それは子どもの感情と「マーク付き」で相手に示す「ミラーリング」は、「共感」とも呼ばれ、相手の幸福度に焦点化した他者指向的反応です。

「気休め」ではない「安心を与えること」は、親自身が感情とのつきあい方(コントロール法)を身につけることで得られます。
三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、新宿御苑前カウンセリングセンターと連携して、摂食障害のお子さんを持つ家族のための「摂食障害サポート面接(ケア・カウンセリング)」を行っています。

摂食障害のお子さんのことでのご相談、対応やサポートの仕方を学ぶ「ケア・カウンセリング」をご希望の方は、新宿御苑前カウンセリングセンターに申し込んでくださいね。



三田こころの健康クリニック新宿の『聴心記』では、『摂食障害を維持している対人関係パターンを変えていく』というタイトルで、摂食障害から回復するためには「自分自身との関係(自己志向)」と「他者との関係(協調性)」の両方をバランスをとっていく必要不可欠で、そのためには普段からの練習が大切ということを説明しました。

自分の心の中をふり返り言葉にする練習をするときは、いったん、他人との関係から距離をとる必要があります。

素敵な物語』でジョンストン先生は自転車の練習のたとえで説明されていますよね。三田こころの健康クリニック新宿では、安全な環境(教習所)で練習をしてからでないと、いきなり路上に出て車の運転の練習をするのは無謀だと説明しています。

「対人関係上の役割をめぐる不和(行き詰まり・再交渉・離別)」に直面している場合、対人関係療法でいきなりコミュニケーションを取ることは逆効果になる場合があることは、常識的に考えてもわかりますよね。
そのため他者との関係からいったん距離を取り、「リラックスした明晰な状態を保ち続ける」練習をしてから、実際の他者との関係に向き合う必要があるのです。

他人の考えと感情を尊重すると同時に、自分の考えと感情をも尊重することが、自分に自信を持ち、理想とする人間関係を築くための唯一の方法なのです。

ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店


この取り組み方が「自分自身との関係(自己志向)」と「他者との関係(協調性)」の両方をバランス良く高めていくことにつながります。

そのためこの取り組み方は、「過食症」や「むちゃ食い症」など「摂食障害」だけでなく、「不安定型愛着(愛着障害かもしれないと思っていらっしゃる方ではありません)」や、自分のダメなところがばれないように必死に隠している「気分変調症」、○○だったらどうしよう?!といつもビクビクしている「不安障害」にも適用することができます。
治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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2017-10-02

『家族のための摂食障害こころのケア』と対人関係療法

8つの秘訣』にもあるように、食べ物や体重の問題は、思考パターンや感情、人間関係と深い関係にあることを理解することが何よりも大切ですが、そのためにはまず、栄養障害を改善し、脳機能を含めた身体的な回復が最初のステップになります。

治療の第1段階は、栄養状態を改善させることができるか否かが必要となります。
骨の成長や生殖機能の障害など、飢餓の身体への影響は、体重の増加により回復します。
同様に、下剤の乱用や嘔吐の結果生じた電解質異常も、寛解期には正常化します。
脳の食欲コントロール・システムが主たる問題なので、これを治療のターゲットにする必要があります。
しかし、脳の発達は飢餓により妨げられてしまうので、低栄養状態が長期化すると、治療が思うように運ばないということもありうるでしょう。

(中略)

いったん体重が回復すれば、次のターゲットは体重の維持です。
誰かに管理してもらわなくても、患者さんは体重を維持することができるでしょうか?


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


脳の栄養障害状態を含め、飢餓状態が身体におよぼす影響を減らすためには、食事摂取あるいは栄養の補給が必要不可欠です。
人間に備わった生物学的な機能である「食べる」ということに頑張って取り組んでからでないと、社会適応スキルを身につけていく精神療法などの次のステップに進めないのです。

最も効果的な摂食障害治療法は、家族が皆で一緒になって患者さんを手助けすることだということがわかっています。
患者さんに寄りそって励まし、努力を支え、あらゆる努力とその成果をできる限りほめることは、病気の回復においてすばらしい効果をもたらします。

(中略)

摂食障害治療の目標は、患者さんが変化するためのスキルとモチベーションを高めることができるような舞台作りをすることです。
つまり、食事を縛るルールを緩和したり、安心行動がやめられるように手助けすることです。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


思春期から青年期に発症しやすい拒食症に対しては、唯一、モーズレイ家族療法として知られている家族ベースのアプローチなど【家族にもとづく治療(ファミリー・ベイスド・トリートメント)】にのみエビデンスが認められています。
モーズレイ家族療法は、家族が摂食障害サポーターとしての知識を身につけ、コミュニケーションを通じて摂食障害のお子さん(エディ)の「情動知能」のお手本になることです。

ここ数回で『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア』を引用していますよね。
このアプローチは認知行動療法と動機づけ面接法のすすめ方を土台にしてあるのですが、【変化の段階】についての理解や、感情を指標にしたコミュニケーション、そして対人関係に焦点を当てるなど、対人関係療法のすすめ方とすごく似ているからです。

サポーターである家族がガイダンスあるいは治療を受けることによって、感情のコントロール法(情動知能)を学び、その表現法であるコミュニケーションの仕方を身につけてうまく表現できるようになれば、摂食障害の患者さん(エディ)は家族を手本として新たなスキルを学ぶことができるようになります。

そのため、家族は、摂食障害の患者さん(エディ)とともに、摂食障害ケアの専門家として、身体の状態を注意深く観察することができるようになるだけでなく、感情とのつきあい方についても専門的な知識を身につけておく必要があります。

摂食障害治療のゴールは、食べ物や食事を本来の役割へ戻すことです。つまり、「燃料」としての役割です。
さらに、「食」は世界中のあらゆる文化において中心的な役割を果たしており、社交、祝い事、娯楽に欠かすことのできないもので、人間関係を支える大きな要素でもあります。「人生の活動」の多くが食事を中心に回っています。ですから、普通の生活(仕事、学校人間関係、友達、大学など)に戻ることは、普通の食事(バースデー・ディナー、食事への正体、昼食会、友達のために料理をする、ピクニック、バーベキューなど)に戻ることでもあるのです。

治療の初期には「食べ物は燃料」に過ぎませんが、治療が進むにしたがい(数年かかることもあります)、エディが食べ物を友達、家族、会話、付き合いといった文脈の中で捉えられるようになることが治療のゴールとなってきます。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


摂食障害は、食べ物や食行動の問題だけでなく、信念や価値観、アイデンティティや感情などを土台として、【3つの対人関係(自分自身との関係/周囲の人との関係/社会や集団との関係)】が損なわれてしまいます。

ですから、まず、【自分自身との関係(摂食障害思考と健康な自分との関係、摂食障害思考と身体の関係)を改善していく】プロセスで、周囲の人との関係(家族のサポート)が必要になるのです。

摂食障害の経過はさまざまです。専門家の調査結果によると、摂食障害の罹病期間の平均は5、6年です。
したがって、もし思春期に摂食障害を発症すると、ほとんどの人は青年期になっても病気を抱え続けていることになります。
しかし、中には1年以内で回復する人もいれば、長期に渡って深刻な経過をたどる人もいます。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


家族が変化せずに、摂食障害の患者さん(エディ)だけを変化させようとするのは不可能です。
摂食障害の患者さん(エディ)を変えたいと思ったら、まず家族自身が変わる必要があります。

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、新宿御苑前カウンセリングセンターと連携して、家族のための「摂食障害サポート面接(ケア・カウンセリング)」を始めました。

摂食障害のお子さんのご相談、対応やサポートの仕方を学ぶ「ケア・カウンセリング」をご希望の方は、新宿御苑前カウンセリングセンターに申し込んでくださいね。



三田こころの健康クリニック新宿の『聴心記』では、『自分の心に正直になり摂食障害から回復する』というタイトルで、摂食障害治療で最初に取り組んでもらうことになる「自分の気持ちをよくふり返り、言葉にしてみる」「自己主張(アサーション)」について説明しました。

「自己主張」は、「社会的プロセス・システム」のうち「自己の知覚と理解」と関連しています。
自分の心を正直に認め、素直なコミュニケーションを取ることです。
「自己主張」に取り組むことで、「アレキシサイミア」「ネガティブな自己評価」という「自己認識の不全」を改善し、受身ではない「行動や思考の主体としての自己」を培っていく働きがあります。(『自己志向と協調性を高め摂食障害から回復する』参照)
対人関係療法による治療では、「自分の選択に自覚と責任を持つ」「自分の人生は自分が主人公」と説明していますよね。

このような「自分自身との関係」を改善すること、つまり「自分自身が自分の安心基地(安全基地)になる」ことで、自分自身に愛着(セルフ・コンパッション)を向けることができるようになり、これが「自己志向」のうち「自己受容」を高める一因になるのです。

さらに来年初頭にエントリー予定の『愛着ホルモンと自分自身との対人関係』でも触れる予定の「リラックスした明晰さ」も「自己受容」の一つの要素でもあるのです。

対人関係療法は、「自分自身との関係」「他者(二者)関係」「集団との関係」の「3つの次元の関係性の文脈」に焦点を当てることが可能なので、「過食症」や「むちゃ食い症」、「気分変調症」や「全般性不安障害」、「不安定型愛着(愛着障害かもしれないと感じていらっしゃる方ではありません)」に対する根本的な治療になりうるのですよね。

摂食障害不安障害などの薬に頼らない根本的な治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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2017-09-25

最初は摂食障害が助けてくれた

摂食障害の患者さん(エディ)たちが、食事制限やルールに縛られた食事などの「安心行動」にのめり込むようになるプロセスがあります。

摂食障害の初期の段階では、その症状は家族や友人、学校や職場の人たちから肯定的な評価を受けるかもしれません。
例えば、「やせてきれいになったね」と言われたりします。
また、スポーツやダンス、試験勉強などに一生懸命に取り組むため、ほめられることになるのです。

もともと、失敗を恐れ、ミスをすることがストレスになりやすいような性格の上に、患者さん自身や周囲の人々による過度の期待がのしかかってくる過程がわかるでしょう。

失敗に対する不安は、彼女たちの視野を狭くします。
しかし、食事や体系に関することも含めた目標に向かって、融通の利かない、細部にこだわった、完全主義的なやり方で努力を重ねるため、かえって周囲の称賛を浴びる結果となります。

自分で決めた目標に向かってベストをつくそうと一生懸命がんばることは、摂食障害の患者さんによく認められることです。
病気が進行するにつれて、このような傾向が極端になり、「自分自身で決めた目標」は非現実的なものに変わっていきます。

そして、このような目標が達成されなければ、すべて失敗だとみなされてしまうのです。


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「損害回避」の高さ、そして「報酬依存」の低さ。
この2つが、拒食症の維持因子を形成しているようです。
(『「気質」と「性格」を知ることが摂食障害の治療に役立つ』参照)

そのため、摂食障害はエディにとって特別な意味を持ち始めます。

患者さんの目には、摂食障害は特別な力を持つものとして映っています。
つまり、その力のおかげで、勉強であれ、スポーツや運動であれ、彼女たちは成功することができるというわけです。
彼女たちが自分の病気に対して、「摂食障害のおかげで私は特別でいられる」といった肯定的な考えを抱くのは、そういう理由からです。
その上、患者さんは、大抵の人がしたくてもうまくできないようなこと、つまりダイエットがうまくできるということで、「私は特別だ」と感じるようになります。実際、彼女たちはダイエットが得意なのです。
このことによって、「摂食障害のおかげで私は特別でいられる」という、病気に対する肯定的な考えがさらに強化されます。

しかし、時には自己評価が低くなることもあります。
つまり、「100%成し遂げるのは不可能だから、やってもむだ」と考えるような場合です。
彼女たちはあきらめて、自分の殻にこもってしまい、そして、絶望と抑うつがやってくるのです。


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摂食障害特有の「完璧主義(べき思考)」と「白黒思考」によって、エディは誇大的な万能感の世界に居続けることができます。
摂食障害症状によって、自尊心が高まっているのです。

しかし、一瞬でも現実を見てしまうと、万能感は一転して劣等感に変容してしまいます。
自尊心が低いから摂食障害になったのではなく、現実に目を向けることで、自尊心が下がってしまうのです。
そして、現実という脅威に対して非常に敏感になってしまい、摂食障害行動を使ってますます現実を避けようとしてしまうのです。

体重が減ってやせが目立ってきたり、食事をほとんど摂らなくなったり、その他の行動上の変化が生じてくると、周囲の人は心配するようになります。
拒食症では、やつれや身体の衰弱によって、「何かたいへんな事態が起きている」ということに周囲の人たちが気づきます。
これらの症状は強力なサインなのです。
周囲の人々は、弱っている病人を何とか助けようとします。
このようにして、「拒食症は苦しみを周りの人に伝えてくれる」という病気に対する肯定的な考えが生じるのです。


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このように、感情に対して直面化・言語化することが難しいエディに代わって、摂食障害が代弁者になってくれているのです。

摂食障害、とくに拒食症は長期に及ぶことが多く、治療が難しい病気です。
患者さんにとって、摂食障害は何かの役に立つものとなってしまっているか、とても重要なものとなってしまっているのです。

摂食障害の患者さんは、話し合いを通じて、「病気から何らかの利益を得ているのだ」ということを最終的には理解し、そのことについてじっくりと考えることができるようになります。
例えば、モーズレイでは、患者さんに、拒食症を自分の友達とみなして「親愛なる拒食症さん」宛の手紙を書いてもらうと、彼女たちは「拒食症さんのおかげで安心感を得ることができる」と書きます。

つまり、摂食障害によって自分は特別な存在だと感じることができ、感情を抑えることができるのです。
一方で、「何かよくないことが起きている」ということを、摂食障害という間接的な方法で他の人に知らせるのにも役立っているのです。


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摂食障害の部分にも自分で責任を持つ」ということは、摂食障害があなたにしてくれていることに興味を持ち、耳を傾け、それを見つけ出すということでもあるのです。
そして摂食障害からの回復は、これまで摂食障害に肩代わりしてもらっていた機能を自分自身がもらい受け、身につけることが必要になります。

つまり、思考や感情を観察し、振り回されるのではなく、心の中に受け入れることや言葉で表現することができ、現実と心の中そしてその両方に意識を向けられるようになるなど、心の柔軟性を高め、自分に優しさを向けられるようになる必要があるということですよね。
この治療方針は、成人の摂食障害の方だけでなく、高校生から大学生など思春期・青年期の摂食障害の方にとっても共通の課題になります。

思春期・青年期の拒食症に関しては、モーズレイ家族療法として知られている家族ベースのアプローチがもっとも効果があることが知られています。
また思春期・青年期の過食症には、上記のモーズレイ家族療法、認知行動療法的なガイド付きセルフヘルプの有効性が示されています。

モーズレイ家族療法は、家族が摂食障害サポーターとしての知識を身につけ、コミュニケーションを通じて摂食障害のお子さん(エディ)の「情動知能」のお手本になることですし、ガイド付きセルフヘルプは、治療者(医師・心理職・その他)とともに、治療の動機づけを高めていくやり方です。

三田こころの健康クリニック新宿では、「ガイド付きセルフヘルプ(導入面接)」を始めていますし、家族のための摂食障害サポート面接(ケア・カウンセリング)」を始めることにしました。

摂食障害の「ガイド付きセルフヘルプ(導入面接)」を希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来へ、また「家族のための摂食障害サポート面接(ケア・カウンセリング)」を希望される方は、新宿御苑前カウンセリングセンターの心の窓口へお申し込みください。

「不安症」に気づいて治すノート

「不安症」に気づいて治すノート



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『インナーチャイルドとインナーマザーの和解と統合』というタイトルで、『素敵な物語』の「象徴〜飢えをメタファーとしてとらえる」「下降〜影と直面すること」に登場する「鬼(悪魔)」や「影の姉妹」とは一体何なのか、「未熟なインナーマザー(ヨソモノ自己)」との関係はどうなっているのか、死んで生まれ変わるというメタファーは何を指しているのかについて説明しました。

過去に得られなかったものに対する飽くことなき渇望を満たそうとする、まさにその試みが、さらなる苦痛を生み出します。
その絶望的なまでの渇望から解放されるためには、求めても得られない過去にはもう賠償を求めず、空虚感(心の闇)と向き合い、自分を忌み嫌う心が内なる叡智に変容するための滋養(セルフ・コンパッション)を自らに与えることが不可欠なのです。

その方法として、三田こころの健康クリニック新宿では、『内なるデーモンを育む』と共通したやり方を指導することもあるのですよ。

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、思春期・青年期から成人の摂食障害治療に力を入れています。
食べることが止められないと感じていらっしゃる方だけでなく、「過食症」や「むちゃ食い症」で通院しているけれども薬を出されるだけで効果が感じられない、根本的な治療を受けたいと希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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2017-09-19

脳機能から摂食障害の回復を考える

摂食障害を抱える人の脳には生物学的なアンバランスがあることが知られています。
つまり、病気の急性期から回復後にいたるまで、セロトニンドーパミン受容体が減少していることが確認されています。
これらは、前頭葉で重要な役割を果たしている神経伝達物質です。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


皆さんの中でも服用中の方がいらっしゃると思いますが、抗うつ薬のうちSSRIは、脳内で選択的にセロトニンの再取り込みを阻害し、神経細胞間隙(シナプス)に神経伝達物質であるセロトニンが十分あるような状態をつくり、リラックス系の神経刺激を増やす目的で投与されます。

セロトニンが減ると不安や悲観が高まり、セロトニンが増えるとのん気、危険行為が高まります。
セロトニンはクロニンジャーの気質のうち「損害回避(心配性)」と関連していることが知られています。

ドーパミンは、報酬系に関わる神経伝達物質で、減ると慎重・倹約的になり、高まると衝動的・無秩序になります。
またドーパミンは、クロニンジャーの気質のうち「新奇性追求(冒険好き)」と関連しています。

セロトニンドーパミン受容体が減少している」ということは、摂食障害の人は「新奇性追求(冒険好き)」が低く(慎重・倹約的)、「損害回避(心配性)」が高い(不安・悲観的)ということですよね。
(『「気質」と「性格」を知ることが摂食障害の治療に役立つ』参照)

摂食障害の低栄養のとき、これらの神経伝達物質のアンバランスによって「食べ物が持つ意味や食べ物に対する反応が、衝動性や計画性を支配する脳機能を巻き込んで、脳が混乱してしまっている」状態を「飢餓症候群」と呼びます。

飢餓が長引けば長引くほど、脳の発達が妨げられるため、回復は困難になる。
脳は可塑的な器官である。例えば、脳は成長し、環境刺激に対して反応する。ストレスや飢餓状態は、このようなプロセスを抑制する。
回復を促すためには、摂食障害を患う人たちは、持って生まれた性質とは異なった、あるいは正反対の行動パターンを学習する必要がある。
こうしたプロセスが、脳の新たなネットワークを形成し、強化することにつながる。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


持って生まれた『「新奇性追求(冒険好き)」が低く(慎重・倹約的)、「損害回避(心配性)」が高い(不安・悲観的)』と「正反対の行動パターン」の学習が、「感情を抱えておくことができて、感情を行動の指標とするスキルを身につける」ということです。

ところが、栄養状態が十分でないと、「脳の成長と神経細胞の発達を前提とした」学習プロセスが阻害され、悪循環に陥ってしまいます。

拒食症が思春期に発病すると、社会性をつかさどる脳機能や認知機能の発達が飢餓状態の影響を受けます。
その結果、社会的、情緒的ならびに知的発達が妨げられて、成長が小児レベルでストップしてしまいます。
つまり、病気が治るために必要な思考力や、自分の感情、行動を一歩下がって客観的に眺める能力が障害されるのです。これが新たな罠となります。
また、拒食症青年期に発病した場合、エディは退行して、子ども返りしたようにみえることがあります。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


飢餓状態の栄養障害の時には、最大のエネルギー消費器官である脳も、エネルギーの消費を抑えるために機能低下を起こしてしまいます。
これが「退行(子ども返り)」です。(エディとは摂食障害のお子さんの愛称)

ある治療者は、「摂食障害から回復するためには、退行させることも必要」とおっしゃっていたのですが、摂食障害による栄養障害の症状と、家族の温かいサポートを混同されているのではないかと唖然としたこともあるんですよ。

栄養障害の悪循環(飢餓症候群)から抜け出すには、頑張って栄養を摂取すること(食べること)です。

エディが拒食症に関連した行動(引きこもり、感情処理の困難、融通の利かない/悲観的な思考パターン)をやめるためには、体重増加が不可欠です。
エディが生物学的に正常な状態に戻ろうとせず、拒食症のルールに縛られている限り、飢餓状態で生じる異常なプロセスからいつまでも抜け出すことができないでしょう。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


「精神療法によって不安が減ると、安心して食べることができる」とまことしやかに書いてある本を読んで、身体的治療(食べることに取り組むこと)を避けて、精神療法による治療を申し込まれる方がいらっしゃるのですが、これは順番が逆なのです。
栄養障害の状態(飢餓症候群)では、脳機能が低下しているだけでなく、身体が危機状態にありますから、精神療法で安心を得るということは不可能なので、安心を得るためには栄養状態を改善する以外にないのです。

生命の維持や脳機能の改善を目的として短期間、強制的な経鼻栄養、高カロリー輸液などの医学処置や、食行動を矯正しようという試みが行われる場合があります。
しかし、このような方法は永続的な変化をもたらすことはできません。
食事制限やルールに縛られた食事自体が改められない限り、これらは習慣化し、脳のシステムに組み込まれてしまいます。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


人為的に栄養状態を改善したとしても、大切なことはその状態を継続させることです。
栄養状態が改善したら、その状態を持続させるために、スキルとモチベーションを高めるサポートが必要になります。

そのために、【食事制限やルールに縛られた食事を改善していく取り組み】が必要になります。
精神療法が適応になるのは、BMIが16以上に改善したこの時点からになるのです。

この時に、過剰な運動や食事のルールといった「安心行動(安全確保行動)」が問題になります。
「安心行動(安全確保行動)」は、たとえば、嘔吐、下剤乱用、過激な運動などの代償行動や、気休め的なことを考えて(「この場さえしのいだら、あとは好きなように食べるわ」「無理やり食べさせられるのは、食べた内に入らないわ」)、不安を紛らわそうとすることなどです。

「安心行動(安全確保行動)」は、食事によって生じる不安を「一時的に」軽減してくれるので、ひとたび始まるとあっという間に強化され、習慣化してしまいます。
エディが指示した食材の買い出しをしてあげる、食べ物を量ってあげる、これを食べても体重は増えないわよと気休めを与えるなど、「安心行動(安全確保行動)」を手助けしてあげるように、と誤った対応の仕方を書いてある一般向けの本もあるのです。

この「安心行動(安全確保行動)」という食行動回避と向き合うプロセスでは、家族が情動知能を高めるお手本となるサポートが何よりも必要になるんですよ。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『摂食障害の愛着トラウマを癒す』というタイトルで、愛着トラウマとソーシャルサポートの問題があるときに発症しやすいといわれる摂食障害から回復するためには、「心の闇(痛み)」を受け入れ、自分自身に共感していくこと(自分への優しさと深い自己受容)を説明しています。

幸い、自己に対する見方を変えるために他者に頼る必要はない。
自分に愛情を込めた世話と理解を提供するとき、私たちは思いやりと受容が価値あるものだと感じるようになる。
自分に対して共感と支援を提供する場合、私たちは救いの手がすぐそばにあると信じるようになる。
自己に対する思いやりの腕で自分を包み込むとき、私たちは安全と安心を感じるのである。
(中略)
最終的に、痛みが引いていくにつれて、彼女は再び他者を信頼できるようになった。
彼女は他者に提供できるものが自分の中に多く存在していること、そして、過去が現在とは無関係であることに気がついた。


ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

最終的に自分を救ってくれるのは、自分自身への共感、つまり自分の感情やニーズを知性と理解をもって見る能力です。
そして、深い癒しが起こるように、痛みをゆっくりと切り抜ける助けとなってくれるのは、痛みと「一緒にいる」ことができる力です。
共感することで、自分の置かれている状況を自分や他人のせいにすることなく、そして自分の傷を否定することもなく、子ども時代と乱れた食行動とのつながりを認識できるようになるのです。


ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店


愛着トラウマからの回復も摂食障害からの回復も、自分への優しさと深い自己受容を培っていく、つまり自分が自分自身の「安心基地」となるプロセスだということですよね。

このような状態に対しては、薬物療法や通常のカウンセリングは無力で、専門的な精神療法でしか治療できません。
そのため、三田こころの健康クリニック新宿では、摂食障害の方と愛着の問題を抱えている方(愛着障害かも?と思っていらっしゃる方ではありません)は、精神科全般外来ではなく、専門外来で対応しているのです。

過食症」や「むちゃ食い症」、「気分変調症」や「愛着障害」で、根本的な治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-09-11

摂食障害から回復するための正しい知識と理解

摂食障害の患者さんが良くなる瞬間に立ち会うと、毎回、鳥肌が立つくらい感動するんです。

「だんだんと食行動が正常化」するのではなく、自分自身とくに摂食障害の部分に優しい気持ち(コンパッション)を向けることができて、摂食障害の良い面と悪い面をしっかりと見ることができたとき、心の底から、摂食障害が良くなる実感をともなった喜びと、摂食障害を手放す寂しさが湧き上がってくる、と患者さんはおっしゃいます。

このような変化は、患者さんが『素敵な物語』を自分のストーリーとして読み込み、『8つの秘訣』の課題に取り組みながら、毎日、自分の心と向き合い、何を考えているか、どんな気持ちなのか、身体にはどんな感覚があるのか、を見つめる努力を積みかさねた結果なのです。

「過食がゼロになることを目指し、一生過食しないで済むこと」をゴールにした『素敵な物語』や『8つの秘訣』を併用した対人関係療法の視点は、三田こころの健康クリニック新宿の【聴心記】に書いていますので、この【如実知自心】では、しばらくの間、摂食障害の正しい知識と理解について書いていこうと思います。

摂食障害は、単に食事や食べ物に関する問題ではないということがわかっています。
アイデンティティ、感情、信念、価値観などさまざまな問題がその根底にあります。
治療には時間がかかりますが、心身の正常な発達に従って症状が回復していくこともあるのです。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


摂食障害は、さまざまな要因が複雑にからみあって発症することが知られています。
「食事や食べ物に関する問題」が摂食障害の中核症状なのに、「食事や食べ物に関する問題ではない」という矛盾!

この矛盾を理解しないと、『「食事や食べ物に関する問題」なのだから、コントロールできるはず!』といった誤った信念が生まれてしまいますよね。

生物学的過程に関する最近の研究から、摂食障害のメカニズムの多くが、本人の意思によってはコントロールできないものであるということがわかっています。
むしろ、情報や感情の処理といった生物学的システムのネットワーク、行動の組織化といった問題が、病気に関与していると考えられています。
こうした要因の中には、遺伝的な体質や生育環境などが含まれます。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


最近の研究では、遺伝的な体質や生育環境による学習と記憶が、摂食障害の背景にあるようです。
「遺伝的な体質」といっても、遺伝子摂食障害行動を結びつけるメカニズムはわかっていません。

情報の処理(外界の出来事をどのように観察して解釈したか)と、感情の処理(解釈(考え)に反応して生じた感情をもとにどのような行動をとったか)が、摂食障害の発症に関与しているらしいということがわかっています。

例えば、摂食障害を患う人たちは脅威に対して非常に敏感であること、また情動知能を用いることが不得手であることがわかっています。
こうした特徴は先天的な場合もあるでしょうし、また病気に伴って出現する場合もあるでしょう。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


情動知能(エモーショナル・インテリジェンス)」という聞き慣れない用語が出てきましたね。
情動知能」は「心の知能指数(EQ)」としても知られていて、

  1. 自分や他者の感情反応を知覚し、じっくりと考えることができること
  2. 感情にとらわれて圧倒されずに、感情反応を意思決定の指標として用いること

ことを指します。

ここで勘の良い読者ならお気づきかもしれません。
1.は何度か書いたことのある「メンタライジング」と同じような概念ですよね。

摂食障害の人が「情動知能を用いることが不得手」なのは、この病気が、脳が複雑な成熟や発達を遂げる思春期前後に発症しやすく、飢餓状態をきっかけにした悪循環によって、脳の発達過程が妨げられることと関連があるからなのです。

食事に関連した刺激に対して、摂食障害を抱える人の脳は異常な反応を示すことがわかっています。つまり、意思決定や情動のコントロールをつかさどる前頭葉の一部も同時に活性化されるのです。
このことはあたかも、食べ物が持つ意味や食べ物に対する反応が、衝動性や計画性を支配する脳機能を巻き込んで、脳が混乱してしまっているかのようです。

摂食障害から回復した人に食べ物の画像を見せると、前頭葉の同じ領域が活性化するという異常な反応は示しますが、同時に前頭葉のその他の部位も活性化されます。
これは、回復の過程で脳機能の新たなネットワークが形成されて、前頭葉の一部の過剰な活動を抑制するためと考えられています。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


これらの最近の生物学的な研究の結果から、摂食障害から回復するためには「情動知能」を高めること、つまり、自分と他者の心の状態を見わたすメンタライジング能力を高め、感情を抱えておくことができて、感情を行動の指標とするスキルを身につけ、脳機能の新たなネットワークを形成していく必要があるということですよね。

これはまさに、「心の状態の変化に対する気づき」「感情・考え・情動のコントロールについての気づき」「自己概念あるいは関係の中における役割についての気づき」という対人関係療法で取り組んでいく課題そのものですよね。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『摂食障害から回復する旅の準備を始める』というタイトルで、食べ物を使った情動調節は非機能的であり、根本的な解決につながらないため、自分自身の心の中をふり返ることに取り組む必要があることを説明しました。

そして摂食障害から回復するために、自己批判(自責)の核となっている「インナーマザー(ヨソモノ自己)」が発する「べき思考」「白黒思考」を脱ぎ捨てる準備が必要になります。

自分の心をふり返ることと同時に、他者の精神状態に関する認識をふり返るメタ認知を合わせたものを「メンタライジング」あるいは「リフレクティブ・ファンクション(省察能力)」と呼びます。

「メンタライジング」は「心に対するマインドフルネス」と同じ意味で、青年期から成人期では、自分自身に安定型の愛着(アタッチメント)を提供するための「行動主体自己(心を見わたす私)」という主体性を取り戻す過程でもあるのです。

過食症」や「むちゃ食い症」、「気分変調症」や「愛着障害」で、根本的な治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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2017-09-04

摂食障害の袋小路から抜け出す

過食症やむちゃ食い症の対人関係療法による治療を申し込まれる方のほとんどが、行動変容を動機づける5段階のうちの「熟考期」に留まったままで、「準備期」まで達していらっしゃらないことが多いのです。

ある拒食症の患者さんが入院した際に、彼女が「エドEd」と名づけた病気と自分との関係を以下のように記しました。

2年にわたりずっと感情を抑え込んできて、突如としてこらえきれずに感情が噴出してしまいました。看護師さんは、私が怒りを爆発させたり、泣いたり、イライラしたり叫んだりすることを我慢してくれました。私が摂食障害という「友達」を失うことと闘い、泣き、悲しむことをじっと見守ってくれたのです。

エドは、良い感情も悪い感情も、すべての感情を押し込めていました。エドの感情は麻痺してしまっていて、怒りも、笑いも、喜びも、不安も、苦痛もありませんでした。感情はまったくないのです。まったく。
エドはバリアであり、保護者です。エドが一緒なら、誰にも触られず、誰の目にも見えず、危害を加えられることがないように思えるのです。

治療が始まり数週間たって、次第に私の感情は動き始めました。
最初は、非常に強烈で、コントロールができませんでした。極端で、恐ろしく、これまで経験したことのない、めまぐるしく変わる感情でした。落ち着いていても急に怖くなり、笑っていると急に恥ずかしくなるのです。どのような時でも、涙が頬を伝ってきました。
必死で生きようとすればするほど、私はこうした得体の知れない感情の扱い方をたくさん学びました。

エドによって感情が麻痺させられると、嫌なことを考えずにすみます。摂食障害の患者は、辛い感情から逃れるために、人生がもたらしてくれるすばらしい感情をすべて失ってしまいます。
しかし、治療によって、人生のさまざまな困難と、それに伴う感情を乗り越えるための方法を学ぶことができるのです。


トレジャー・他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


過食や自己誘発嘔吐が起きてくると、心の一部ではホッとした感じを感じられます(健康な部分)。しかし、過食衝動そのものは、恐怖と落胆を伴った破局そのものと体験されるので、過食と闘う段階に移行します。

治療初期に自分の気持ちと向き合うようになってくると、「現在の自分をじっくり見つめてほんとうに変えていくのは、もっと怖く」なったり、「治療法に効果が感じられない」「治療者と合わない」などの理由をつけて「病的だとわかっていながら、その自分を正当化しようとするあり方」に退避してしまい、治療を続けられなくなる場合もあるのです。

いずれにしても、私の臨床経験では、二十五歳を過ぎる頃から、とくに三十歳前後になると、この「虚しさ」や「うつの感情」がずいぶん強くなってきます。こころの苦しさ、強い抑うつ感情を否定できなくなってくるのです。
その結果、長年〈過食〉〈嘔吐〉を続けながら一度も治療を受けてない人(あるいは発病初期にしばらく受診しただけの人)が、この年齢の頃に受診することもあります。

この人たちは、この間なんらかのかたちで働いたり勉学をしたりと社会的な活動に携わっていますし、表面的には社会に適応して病いを周囲に気づかれていませんが、心的には長年孤立しており、強烈な「孤独感」と「絶望感」を抱えています。
この時の受診をきっかけに治療に入る人たちもいますが、本腰の治療を始める決心がつかず、離脱してしまうことが多いものです。


松木邦裕摂食障害というこころ――創られた悲劇/築かれた閉塞新曜社


ある治療者は、学校に通うようになったり働いたりできるようになったことを「摂食障害が良くなった」と豪語されています。一面ではその通りでしょう。しかし、患者さんは「表面的には社会に適応して」いるものの、プライベートでは親を症状で振り回し、治療者も患者さんの病気の部分と結託して親の協力を強制し、年老いた親は疲弊しきって「何とかならないか?」と相談に来られているご家族もいらっしゃるのです。


思春期・青年期(小学校中学年〜大学生)を過ぎた頃から、健康的なこころの発達段階で体験される「抑うつ不安」や「悲哀の感情」を「虚しさ」「孤独感」「行き詰まりや絶望の感情」と感じられるようになってきます。

このような時期に摂食障害の症状を隠して医療機関受診すると、間違いなく容易に「うつ病」と診断され、抗うつ薬SSRI)が処方され、「せっかく出てきた本人の自然な気持ちを曖昧でわからないものにしてしまうため、摂食障害者自身のこころ治療全体を混乱させてしまいます。」(『摂食障害というこころ――創られた悲劇/築かれた閉塞』)

そして慢性的にこの病いが続いて数年以上の歳月が経過している人にあっては、やせを保ちたい思いからくる行為が人生(ひいては日々の生活)の行き詰まりを生じさせていることには、本人も気づいているのです。

しかしながら彼女たちは、ようやくつくりあげたみずからの価値(それが空虚なものだと気づいてもいますが)をなんとか感じさせてくれる「現在のこころや身体の均衡」を揺さぶることは、いまある危ういこころの平和さえも失い、こころが崩れて立ち上がれなくなる、絶望に沈んでしまうことになる、と感じて、なんとかしたいという思いと、「なんとかしないままにいよう」「ここで変わったら、いままでの自分のしてきたことが無駄だったことにしかならない」との思いから、変わらないままに時を過ごしていこうとするのです。この「現在の病的平衡」を強固に保持しようとする力が、変わることを防げます。


松木邦裕摂食障害というこころ――創られた悲劇/築かれた閉塞新曜社


自分の中の「健康な部分」と「摂食障害の部分」の闘いが、「現在の病的平衡」を造りあげていますよね。
摂食障害の部分」には、「万能の自己」と「痩せている自分の保護者(実は理想化された破壊性:エド)」が融合しているため、治療に取り組んで変わろうとすると、破局的なことになってしまう、と強い恐怖を感じてしまうのです。

そう感じると、ふたたびエドの出番です。

過食や過剰な運動、嘔吐といった摂食障害に伴うその他の行動もまた、激しい感情から注意を逸らしたり、これを和らげるための手段であるかもしれません。
あるいは、あなたは常に「いっぱい」な感覚、すなわち、巨大な風船のようにぱんぱんに膨らんだ感じがして、もうこれ以上、ひと口も食べられないのかもしれませんね?
よく考えてみましょう。あなたは押さえ込まれた、出口のない感情でいっぱいなのではないですか?おそらく、あなたは食べ物を制限したり、排出行動や嘔吐によって、こうした「いっぱい」な感情を緩和させるのかもしれませんね。


トレジャー・他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


過食や過食嘔吐は、自分の心から目をそらし、見ないことにする、あるいは、なかったことにする「回避(退避)の病気」です。
治療を受けたいと思って本を読んでみようとすると、急に怖くなって怖じ気づいてしまうのも無理もないことなのです。
このような「病の袋小路(築かれた閉塞)」から抜け出す道案内(治療)の準備として、三田こころの健康クリニック新宿の【専門外来】では、自分の心と馴染んでいくことを目的とした摂食障害の【ガイド付きセルフヘルプ面接】を始めたんですよ。
(【ガイド付きセルフヘルプ面接】摂食障害情報ポータルサイト(専門職の方)の「摂食障害の治療 心理療法にある「ガイデッドセルフヘルプ」を参照してくださいね)



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では『摂食障害とパートナー関係』というタイトルで、女性にとって自らのセクシュアリティとのつながりを回復すること、セクシュアリティを介した他者(パートナー)とのつながりを見つめ直すことの大切さを説明しました。

食べ物が指し示しているメタファーを通して、本当に自分が必要としているものにたどり着く必要があります。
本当に必要としているものは、青年期から成人期にかけては、子どもの頃に満たされなかった養育者への愛着希求ではなく、互恵的で対称的なパートナーへの愛着希求であることが多いのです。

三田こころの健康クリニック新宿での愛着の治療は、「アタッチメントの力動的成熟モデル」にそって対人関係パターンと対人認識の仕方に焦点をあて、メンタライジング(自分の心と他者の精神状態を見わたすこと)によって、行動が自分自身と他者にとって何を意味しているかを省察(リフレクション)していきます。

対人関係療法でいうと、「自分との関係を改善する(心の状態の変化についての気づき)」「行動の仕方を改善する(感情・考え・情動のコントロールについての気づき)」と「他人との関係を改善する(自己概念あるいは関係の中における役割についての気づき)」に相当しますよね。

過食症」や「むちゃ食い症」、「性格と間違われやすい気分変調症」や「不安定型愛着(俗にいう愛着障害)」で、根本的な治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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2017-08-29

摂食障害のお子さんに対する家族のサポート

摂食障害の原因についてはすべてが解明されているわけではありませんが、遺伝的要因による情報や感情の処理パターン(損害回避、固執、情動知能を用いることが不得手(アレキシサイミア)、報酬系や衝動コントロールの異常、行動の組織化などの問題が発症に関していると考えられています。

そのような生物学的な特性に加えて、摂食障害は、脳が複雑な成熟や発達を遂げる重要な時期である思春期を中心に発症しやすいことが知られています。
摂食障害に伴う「飢餓状態」によって悪循環が生じると、脳の発達過程が妨げられ、摂食障害からの回復が困難になります。

摂食障害予後については、『入院治療で体重が回復したからといって、必ずしも予後良好であるとは限らない。食べ物や体重の問題が、感情、思考パターン、人間関係と深く関わっていることを理解することが、効果的な治療にとって重要である。』とされています。(トレジャー・他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水社)

思春期の摂食障害治療では、飢餓状態から栄養状態を回復するだけでなく、病気の根本にある「感情の問題」を解決していくことが再発防止につながります。

そのため、過食症治療でも社会人になる前の思春期・青年期には、親のサポートが必要不可欠です。
ところが、治療は患者さんや治療者にまかせきりで、今までと変わらない対応をされているご家族がほとんどなのです。

摂食障害は家族だけが原因の病気ではありませんが、病気治療において家族の姿勢は大きな鍵となります。
家族の姿勢が望ましいものであれば早期に治ることも可能ですが、「患者のため」と思って好意でやったことがかえって治療を妨げて病気をこじらせる結果になることも多いものです。


水島『「やせ願望」の精神病理PHP新書


思春期の最も効果的な摂食障害治療法は、家族が皆で一緒になって患者さんを手助けすることだということがわかっています。

平成29年7月末に行った「摂食障害の疑問に答える」の会でも、患者さん本人の治療への取り組み方(どう食べたらいいのか)や家族の対応の仕方などの質問がほとんどでした。
モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア』にも、「多くの文献には摂食障害に関する誤った考え方が記載されており、それらは役に立たないどころか、かえって害になりかねない状況です」と書かれてますから、望ましい「家族の姿勢」が混乱する一つの要因として、「摂食障害は、単に食事や食べ物に関する問題」との誤った考えの影響があるようです。

どのような病気の場合でも、よくある質問は以下の5つです。

  1. どのような症状か?
  2. 原因は何か?
  3. 回復するまで、どれぐらい時間がかかるのか?
  4. 患者や家族に対してどのような影響があるのか?
  5. 病気治療可能なのか?

摂食障害に関する一般的な情報は、ほとんどの患者さんに当てはまるものですが、それぞれのケースによって特有な症状もみられます。
病気に関して誤った考え方をすれば、相応しくない対処行動を招いてしまいます。こうしたことによって患者さんだけではなく、その家族や友人まで結果的に苦しむことになるのです。


トレジャー・他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


摂食障害治療における家族のサポート目標は、患者さんが変化するためのスキルとモチベーションを高めることができるような舞台作りをすることです。
そのために、家族は摂食障害に対しての以下のような摂食障害に対する誤解を解き、摂食障害の理解を医療関係者とともに患者さんと共有しておく必要があります。

摂食障害に関するよくある誤解

  • 子供が摂食障害を患ったのは、家族(特に母親)の責任である。
  • 摂食障害を抱える人は、病気であることを自ら選んでいる。彼女たちは病気でいたい/死にたい/成長したくないのである。
  • 摂食障害を抱える人は、親や一緒に住んでいる人たちを懲らしめようとしている。
  • 摂食障害の患者を抱える家族に対しても、治療が必要である。
  • 摂食障害は、虚栄心や「ファッション・モデルみたいになりたい」という願望と関連している。
  • ティーンエイジャーが周囲の気を引くためにとる行動や反抗の、別の現れ方に過ぎない。
  • 成長すれば自然と消失する、一時的な現象に過ぎない。
  • 入院治療をすれば、完全に治る。
  • 患者を喜ばせたり、機嫌をとるために、家族はあらゆる努力をしなければらない。
  • 病院の医療スタッフは、必ず患者を治せる。
  • 単に食事の問題に過ぎない。

トレジャー・他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


病気に対処する上で役に立たない信念を手放すことが、摂食障害のお子さんをサポートするご家族にとっては、何よりも必要なことですよね。

ケアにあたる家族は、「情動知能」を駆使するお手本となる必要があるでしょう。
これは、感情面での反応についてじっくりと考え、これを理解し、そこから新たに出発することができるということを意味します。
治療スタッフの場合は、このためにスーパービジョンを受けることになります(あるいは、経験豊富な先輩からの助言によって、状況を客観的に眺められるようになります)。
家族の場合は、その状況から一歩身を引いて距離を置き、何が起こっているのか他の人に相談することになるでしょう。


トレジャー・他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


三田こころの健康クリニック新宿では新宿御苑前カウンセリングセンターと連携して、身体管理が必要な思春期の摂食障害のお子さんの「変化の段階」ごとの適切な対応の仕方や、親自身の気持ちのメンテナンスの方法を学び、ご家族が摂食障害の症状に支配されずにサポートできるようになるため【家族のケア・カウンセリング】を準備中です。
詳細が決まりましたらお知らせしますので、もうしばらくお待ちくださいね。
摂食障害情報ポータルサイト(専門職の方)の「摂食障害の治療 家族へのサポート」も参照してください)

家族で支える摂食障害―原因探しよりも回復の工夫を

家族で支える摂食障害―原因探しよりも回復の工夫を



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では『摂食障害とアタッチメントの世代間伝達』というタイトルで、月経前と同じく妊娠中や出産後も摂食障害から回復するための変化と成長の機会としてとらえることができることを説明しました。

同時に、出産後の赤ちゃんとの関係は摂食障害を抱える当人だけの問題にとどまらず、赤ちゃんの「愛着(アタッチメント)」の形成にも重大な影響を及ぼす時期でもありますし、自分自身の愛着(アタッチメント)の問題が明らかになる時期でもあるのです(愛着の世代間伝達)。

思春期には人生初期の母子関係の愛着(アタッチメント)が弱まり、新たに友人パートナーとの関係や集団との関係が生じてきます。
そのため青年期あるいは成人期の「過食症」や「むちゃ食い症」の対人関係療法では、アタッチメントの移行がスムーズに進んでいるかどうか(親離れできているか)、重要な他者との対人関係パターンがどのように他の人との間で繰り返されているか、をみていきますよね。

過食症」や「むちゃ食い症」、あるいは「不安定型の愛着(俗にいう愛着障害)」に対して、薬に頼らない根本的な治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-08-21

ダイエットと摂食障害

夏も終わろうとするこの時期、夏前からダイエットに取り組んだ人も途中で断念した人もいらっしゃるのではないでしょうか。

ダイエットが続いている人の中には、自分の意思で続けているのかどうか、わからなくなってしまっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
中学生、高校生の中には、ダイエットをきっかけに摂食障害を発症する人もいますよね。

もちろん、食べない/食べられないから「拒食症(神経性やせ症)」というわけではなく、「回避・制限性食物摂取障害食物回避性情緒障害機能的嚥下障害など)」を鑑別する必要があります。

モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア』には、こう書いてあります。

ダイエットをしている人が多い中で、どのようにして、それが一時的なダイエットの過程ではないということがわかるのでしょうか?
ダイエットを超えた何か深刻な事態であることを示す手がかりを以下に挙げてみました。摂食障害であれば、この中からいくつかの徴候が認められます


通常のダイエット摂食障害の症状を区別する

  • ダイエットをしていることを認めようとしない ―― 通常のダイエットを行っている人は、ダイエットしていることを常に話したがります。
  • 食事の規則を変える ―― 例:ベジタリアンになる。
  • 空腹感や、食べたいという気持ちを否定する。
  • 体重が減っていることを隠そうとする。例えば、だぶだぶの服を着るなど。
  • 食に対する関心が高まる ―― 人のために料理をする、料理の本を探し回る、スーパーマーケットの棚をじっと観察したり、カロリー計算をしたりする。
  • 周りの人に較べて食事を少なくしようとしたり、少量しか食べようとしない。
  • ゆっくりと、ちょっとずつ食べる。
  • 他の人と一緒に食べることを避けようとする。例えば、「もう食べ終わったわ」「よそで食べたわ」と言い訳する。
  • 行動が強迫的になり、儀式的になる ―― 例えば、強迫的に掃除をする、整理整頓する、手洗いをする。
  • 引きこもり、気分が落ち込む。
  • 食事の間や食後、頻回にトイレに行く。家中で嘔吐物や消臭スプレーの強い匂いがする。
  • 極端にきつい、激しい運動を始める、または運動量が増える。

トレジャー・他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


皆さんや皆さんのお子さんには、当てはまりそうな項目はいくつくらいありましたか?

夏前の5月頃から、摂食障害のお子さんを持つ親御さんからの治療申込みが増えています。
そのほとんどが、食べない/食べられない拒食状態の治療希望されます。
しかし、低栄養状態の患者さんの場合は、食べることによって体重増加を含め栄養状態を回復し、身体の影響を減らし、脳の食欲コントロール・システムを正常化していくことが最初の目標になります。

エディが拒食症に関連した行動(引きこもり、感情処理の困難、融通の利かない/悲観的な思考パターン)をやめるためには、体重増加が不可欠です。
エディが生物学的に正常な状態に戻ろうとせず、拒食症のルールに縛られている限り、飢餓状態で生じる異常なプロセスからいつまでも抜け出すことができないでしょう。

(中略)

学習と記憶は、脳の成長と神経細胞の発達を前提としたプロセスです。栄養障害によって脳の成長因子が阻害されると、学習やその他の脳機能が影響を受けます。このようにして悪循環が始まります。
拒食症が思春期に発病すると、社会性をつかさどる脳機能や認知機能の発達が飢餓状態の影響を受けます。その結果、社会的、情緒的ならびに知的発達が妨げられて、成長が小児レベルでストップしてしまいます。
つまり病気が治るために必要な思考力や、自分の感情、思考、行動を一歩下がって客観的に眺める能力が障害されるのです。これが新たな罠となります。


トレジャー・他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


「エディ(Edi)」は摂食障害の患者さんに対する呼び方ですから、「エディ」を「摂食障害の部分」と読み替えたり、ご家族はご自分のお子さんの名前に置き換えて考えてくださいね。

思春期・青年期(中学年〜大学生くらいまで)の拒食症の場合、対人関係療法認知行動療法などの個人精神療法の効果は乏しく、家族をベースとする治療の効果が大きいことが発表されています。

実際に対人関係療法による治療を行っていて、拒食症だけでなく過食症でも、社会人になる前までの時期には、親による治療サポートの影響がかなり大きい印象を持っています。
そしてそのサポートの仕方によっては、ときとして逆効果になることもあるのです。

摂食障害の患者さんは非常に不安な状態にあります。そして、家族が安心を与えてくれるものと期待しています。
エディに絶え間なく気休めを与えることが問題となる理由は、以下の2つです。

  1. 気休めを与えても、不安が軽減するのは一時的であり、疑念や不安がすぐに激しくなる。
  2. 気休めを与えると、エディは恐れや疑いの心をコントロールすることを学べず、依存的な人間関係に留まってしまう。

つまり、エディは不安の軽減を求めて、自分の考えを確認するために人に頼るようになります。
家族は、カンガルーの親が子をお腹の袋に入れて守るように、エディに気休めを与えて保護し続けることもできますが、その結果、摂食障害の症状はますますひどくなるでしょう。


トレジャー・他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア新水


気休めや安心を与えることが逆効果になるとすれば、ご家族はどのような態度を取ればいいのでしょうか?

次回以降、一緒に考えてみましょう。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では『月経前症候群(PMS)と過食の向き合い方』というタイトルで、月経前は、感情的に敏感になり、身体感覚も感じやすくなっている時期ですから、摂食障害の人にとって月経前は、自分の気持ちや身体感覚を感じてみる良い機会になることを解説しました。

実際、ジョンストン先生は「PMS(月経前症候群)」のSは症候群(シンドローム)ではなく、感受性(センシティビティ)のSととらえた方が、新たに生まれ変わる機会になると説明されています。

また「衝動の波に乗る」と同じ「一時停止ボタンの必要性」について、内受容感覚(情動や身体感覚)の気づきを高めていくことで、過食/むちゃ食いや排出行為の根本のテーマと向き合っていく方法も説明しています。

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、摂食障害の【ガイド付きセルフヘルプ面接】を始めました。

過食症やむちゃ食い症、気分変調症不安障害、あるいは愛着障害の、薬に頼らない根本的な治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

※来週のブログ・エントリーは8月29日(火)の予定です。お楽しみに〜♪

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2017-08-16

「気質」と「性格」を知ることが摂食障害の治療に役立つ

ヘルシンキ大学のアテイエらの研究チームは、摂食障害を対象としてクロニンジャー理論の「気質」についてメタ分析した結果を2015年に発表しました。

クロニンジャー理論の「気質」は、外的環境に反応してしまう無自覚な特徴のことで、「新奇性追求(行動促進)」「損害回避(行動抑制)」「報酬依存(行動調整)」「固執(行動維持)」の4つの特性から構成されています。(『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』参照)


テイエらの報告では、「神経性やせ症(拒食症)」「神経性過食症過食症)」「過食性障害(むちゃ食い症)」に共通する気質として、

  1. 損害回避が見られる
  2. 報酬依存が見られない

ことが示されています。

「損害回避」は、潜在的でネガティブな刺激に対して行動を抑制したり回避したりする特性で、「心配性」と表現されることもありますよね。
通常は不安を感じると食べる量が減るのですが食物回避性情緒障害もこのパターンです)摂食障害の患者さんのように食べることを我慢していると、不安を感じたときに食べる量が増えてしまうのです。
さらに、感情抑制群(気持ちをガマンするよう教示された群)は対照群よりも有意に多く食べる傾向があり、本人に認識されないような感情刺激(潜在的な刺激)であっても、食べる量に影響することが示されています。

「報酬依存」は社会的刺激による影響の受けやすさの特性とされていますから、摂食障害の「気質」の特徴は、

(1) ネガティブな出来事や気持ちを回避する(損害回避が見られる)
(2) 人間関係の形成・維持そのものに魅力を感じない(報酬依存が見られない)

ということになりそうです。

そうだとすれば、本に書いてあることと矛盾が生じてきます。

摂食障害の人の特徴として、私の患者さんのデータをはじめさまざまな調査の結果「協調性」が比較的高いということは注目に値します。
「手がかからないよい子」というタイプにしろ、「明るくて社交的」というタイプにしろ、「協調性に問題あり」と思われている人はほとんどいません。
他人への配慮も十分で、それが十分すぎるためにかえって問題になるというパターンが多いのです。

水島『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店


「協調性」は社会的あるいは関係性の次元における成長のことで、「他者受容」「共感(相手の立場で感じることができる)」「協働(コミュニケーションによる交渉)」などの要素が含まれます。

摂食障害の人は「人間関係の形成・維持そのものに魅力を感じない(報酬依存が見られない)」にも関わらず「協調性が高い」ことは、どう考えたらいいのでしょうか?

ロンドン大学のナザリーらは、摂食障害患者の社会・情緒的問題として、「集団に対する帰属意識と支配欲求の低さ」や「自己の知覚と理解の問題」「他者の知覚と理解の問題」などを挙げています。(聴心記『自己志向と協調性を高め摂食障害から回復する』参照)

ナザリーらは、拒食症のみに「社会的コミュニケーション(表情からの感情理解/表情による感情表出/対面の回避)」の問題がみられたとしています。「社会的コミュニケーションの問題」は、自閉症スペクトラム発達障害傾向)とも関連することが知られていますよね。
ということは、頭の中の他者に対して対人過敏(報酬依存がみられない)があり、現実の対人関係は苦手(損害回避)ということのようですから、「他者はこう思っているに違いない」との思い込みが「協調性の高さ」として評定されているようです。

テイエらは「神経性やせ症(拒食症)」に特徴的な気質として、「固執」がある程度見られることを示しています。
「固執」は、部分的にしか手応えを得られない時でもその行動を続けられるかに関わる特性で、「神経性やせ症(拒食症)」の制限型、過食排出型ともにみられますから、「社会的コミュニケーションの問題」と合わせると、自分なりのルールの形成、つまり「強迫性」とみなすことができそうです。

一方、「神経性過食症過食症)」「過食性障害(むちゃ食い症)」に共通する「気質」として、

  1. 新奇性追求が多少見られる
  2. 固執が見られない

を挙げています。

「新奇性追求」は、新奇刺激に惹きつけられやすく行動が活性化されやすくなることに関わる特性で、「固執」がみられないことと合わせると、「神経性過食症過食症)」「過食性障害(むちゃ食い症)」の「気質」の特徴は、

(1) 少ない報酬であっても、少しでも早く得ようとする(衝動過敏性≒固執がみられない)
(2) 状況判断することなく、すぐに行動に移してしまう(性急自動衝動性≒新奇性追求が多少みられる)

ということになりそうですね((1)>(2))。

「新奇性追求」は『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』では「冒険好き」と表現してあり、『「冒険好き」スコア(新奇性追求)が低い患者さんの場合には、安心してどんどん食べてもらえます。』と書いてあります。

しかし、三田こころの健康クリニック新宿での自験例で、「新奇性追求」が低いから安心して食べてもらっていた結果、過食(過食-排出型の拒食症や、過食症)に移行した患者さんが何人もいらっしゃるのです。
過食に移行した患者さんの気質・性格検査(TCI)結果を見直してみると、過食に移行するかどうかは「新奇性追求」の高さではなく、「固執」の低さ(衝動性)が関与していたのです。

これらの研究結果を考慮すると、対人関係療法で「過食症」や「むちゃ食い症」の治療を行う場合には、その人の「気質」と「性格」に合わせて治療焦点を調節する必要がある、ということですよね。

他人の目を気にしない技術 (DAiWA Premium Select)

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三田こころの健康クリニック新宿の『聴心記』では『自己志向と協調性を高め摂食障害から回復する』というタイトルのブログをエントリーしました。対人関係療法による治療で目指していく【自己志向(自己の次元における成長)】と【協調性(関係性の次元における成長)】を高め、バランスを取っていくことが、『対人関係療法とは?』で触れた「社会的プロセス・システム」の機能と関連していることを説明しています。

逆説的な言い方になりますが「他者との関係(二者関係)」の外に出ることで、「自分自身との関係」や「集団との関係」を扱うことが可能になり、従来の対人関係療法で効果が不十分だった気分変調症全般性不安障害医学モデルを超えた愛着の問題など幅広い領域に柔軟に適応できるようになります。強迫性障害には対人関係療法は効果は不十分です)

「自分自身」「他者(二者)」「集団」の「3つの関係性の文脈」に注目することは、対人関係療法が本来基盤としている愛着理論、対人コミュニケーション理論、自己および他者の知覚と認知(メンタライジングやエナクトメントなど)をそのまま生かし機能を発揮させるやり方です。

そのために「新奇性追求」「損害回避」「報酬依存」「固執」などの<気質>と「自己志向」「協調性」「自己超越」の<性格>の相互作用や、【親和と愛着】【自己の知覚と理解】【他者の知覚と理解】【社会的コミュニケーション】からなる「社会的プロセス・システム」が機能しているかどうかを多角的にアセスメントする必要があります。

その上で、対人関係療法を適応するかどうか(効果が期待できるかどうか)、適応するとしたら「何を実現するか」、たとえば過食症であれば「何でも食べられるようになりたい」「過食や過食嘔吐を止めたい」に留まらず、患者さんの人生に合わせて治療目標を機能的に設定し、「どう実現するか」、つまり人生の価値や目的を実現するための工夫が必要になりますよね。

そして、摂食障害から回復したいと願っている人には、『8つの秘訣』の以下の部分が参考になるでしょう。

摂食障害から回復しようとするときには、病そのものからくる感情に取り組むだけではなくて、挑戦につきものの一般的な感情に耐えなければなりません。何かに挑戦するときには、失敗する怖さや、結果がどうなるかが予測できない怖さが伴うものです。こうした恐れからは不安感がたくさんかき立てられるでしょう。
しかし、このような不安に耐えられるようになると、より生きやすいものとなるでしょう。私たちの人生が豊かなものになるかどうかは、自分自身の感情を受け容れ、それらの感情に耐えられる技術を学んでいけるかどうかにかかっていると思います。
(中略)
どんな経験が摂食障害行動を引き起こしやすくなるかを見極めることで、自分が取り組む必要のある領域を知る手がかりになります。
(中略)
つい昔の行動に戻ってしまったり、症状が本格的に再燃してしまったりすると、とても落ち込むものです。しかし、そのときに何が起きているのかをよく観察してみると、あなたが回復への過程でつまずきやすい弱点は何かがわかるのでとても参考になります。
(中略)
回復への道を進むにつれて、内面の気持ちには気づきやすくなりますが、同時に気持ちがより強く感じられるようにもなります。それまでずっと覆い隠されていた無数の気持ちともう一度つながろうとするからこそ、回復への道を歩み始めたばかりの頃は一時的に苦しさが増強しがちなのです。
回復するときには、人生に起き得るさまざまなストレス因子に関連した気持ちを、摂食障害行動を使わずに、また逃げたり覆い隠したりする別の方法も一切使わずに、ありのままに感じる事になります。

コスティン&グラブ『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、正式な対人関係療法だけでなく、摂食障害の「ガイド付きセルフヘルプ面接」も導入しました。
過食症やむちゃ食い症、気分変調症不安障害、あるいは愛着障害の、薬に頼らない根本的な治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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