Hatena::ブログ(Diary)

如実知自心〜対人関係療法@三田こころの健康クリニック〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-01-16

摂食障害は治りますか?

摂食障害は治りますか」と聞かれたときに、「治ります」と答えると、「もう一生過食をしないで済みますか?」「体型のことがまったく気にならずに何でも食べられるようになりますか?」などと聞かれます。
「それは約束できません」と答えると、みんな一瞬「じゃあ、やっぱり一生治らないんですね」と落胆します。
(中略)
病気が治る」というのは、「体型が気にならなくなる」というのではなくて、「体型へのこだわりが生活を乱さなくなる」ということだと考えてください。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

上記を『摂食障害から回復するための8つの秘訣』(P.18ー19)の
摂食障害から回復する10の段階」に照らし合わせてみると

6.やめられる行動もいくつかあるけど、すべてはどうしても無理
 ・嘔吐はやめられたけど、食べる量を増やせない。
 ・食生活はよくなったけど、今度は運動がやめられなくなった。


7.摂食障害行動はやめられるけど、摂食障害思考があたまから離れない
 ・食べ物と過食することが頭から離れない。
 ・頭の中でカロリー計算ばかりしていて、今でも体重を減らしたいと思っている。

に相当するようです。
さらに、症状の再燃や再発についても

今後さまざまなストレスと出会う中で、摂食障害の症状が再発することはありえます。
拒食や過食嘔吐などの症状が再発したときには、自分が抱えているストレスをしっかりと考え、正しいコミュニケーションによってその問題を解決していく、という方法が常にとれるようになれば、「摂食障害が治った」と言えるのです。
なぜなら、どんどん病気が重くなって生活を乱すことにはならないからです。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

とありますから、「摂食障害から回復する10の段階」でいうと

8.行動からも思考からも開放されているときが多いが、常にというわけではない
 ・普段はずっと調子が良いけれど、ストレスがかかると不健康な行動が戻ってきてしまう。
 ・調子は良かったけれど、水着を着たのがきっかけで摂食障害思考が戻ってきて、症状も少し再燃してしまった。

に相当しそうですよね。

これらは、「行動変容を動機づける5段階」(『8つの秘訣』P.24ー25)の

今の状態を変えたいと認識しており、実際に行動していて、計画を立て、異なるやり方を試している。

「実行期」に相当するのですが、摂食障害行動がゼロになること
つまり過食や過食嘔吐が完全になくなることは難しいのでしょうか?

治療で目指すのは、「過食嘔吐に頼らなくても心のバランスをとれるようになること」です。
そうやって手に入れたバランスは、かつての「バランス」などとは比べものにならないくらい、安定して満ち足りたものになるでしょう。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

当然のことながら、摂食障害治療でめざしていくことは
摂食障害行動の再発再燃からも開放された「回復した」状態なのです。

「回復した」とは、ありのままの体重と体型を受け入れることができ、身体に害を及ぼすような食べ方や運動をしなくなったときのことです。
「回復した」ときには、食べ物や体重はあなたの生活の中で重要な位置を占めることはなくなり、体重はあなたの存在そのものよりも価値のあるものではなくなっています。
(中略)
「回復した」ら、健康を害して自分自身の心を傷つけてまでスタイルにこだわったり、小さいサイズの服を着たり、自分の決めた目標値まで無理に体重を減らしたり、などということはなくなります。
「回復した」としたら、摂食障害行動を使って、日常の他の問題に対処したり、問題を避けたりする必要はなくなるのです。
コスティン他『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

治療でこの状態までたどり着くには
自分が抱えているストレスをしっかりと考え、正しいコミュニケーションによってその問題を解決していく
だけではちょっと足りないようです。

「回復しつつある」から「回復した」へといつ変わったのかははっきりとは言えませんが、私は完全に回復できたのです。
今の私なら自分自身と良い関係が築けていると言えますし、周りの人たちとも打ち解けられるようになりました。
こんなに深刻な病に苦しんだ後で回復し、心が癒やされてみると、以前には想像できなかったくらい自分のことを大切にできるようになり、とても幸せな人間となることができました。
コスティン他『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

グエンさんの体験を読むと
「回復しつつある」から「回復した」に必要な要素は大きく2つあって

○自分自身への信頼感:自分の理解、自分自身との関係、自分を大切にする生き方
○周囲の人たちへの信頼感:重要な他者との折り合い、周りの人との折り合い

ということですから、自尊心や自己肯定感というよりも
どんな自分も認めることができる「自己受容」を土台として
考え方や立場の違う他者を認めることができる「協調性」を培うこと
この2つが摂食障害からの回復には必要不可欠ということですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
嗜癖としての食行動」というタイトルで、

(1)内受容感覚への気づきの困難から気分解消行動を使う段階
(2)食行動障害が嗜癖になり防衛構造としての自己を形成する段階
(3)生活が狭窄し人生が混乱する段階

の3つの段階のうち、過食やむちゃ食いが嗜癖となり
「防衛構造としての自己」が築かれていくメカニズムと
それにより生活が狭窄していく(2)から(3)の段階を解説しています。

この(2)と(3)の2つの段階は、
かなりインテンシブな治療が必要で
変化を起こす動機と変化に向き合う態度を明確にした上で、
自己モニタリング(自己客観視)の力を培っていく必要があります。

クセになった過食や自己誘発嘔吐から解放され
自分の人生を取り戻したいと思っていらっしゃる方は
摂食障害から回復するための8つの秘訣』をお読みになって
三田こころの健康クリニックに治療を申し込んでくださいね。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

2017-01-10

摂食障害は育てられ方と関係があるのか?

摂食障害ということ」に書かれているように
いまだに、というか、最近ふたたび、
摂食障害の原因は幼少期の育てられ方の問題、とか
育った家庭環境の問題だ、いわゆる対人トラウマが原因だ、など
「原因探し」「犯人探し」につながるような
誤った理解が広まりつつあるようで危惧しています。

というのも、このところ患者さん本人からではなく
親御さん、とくにお母さんから治療を申し込まれることが多く
中には、治療を受けたがらない娘のために自分が治療を受けることで
娘の摂食障害を治したい、とおっしゃるお母さんもいらっしゃるのです。

摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』を翻訳してくださった井口さんのブログ
“摂食障害ということ”」にも書かれているように
いろんな環境要因や誘発因子(きっかけ)があるのは確かです。

「自尊心」の低さを作り出すものとして、虐待をはじめとする「育てられ方」の問題が挙げられます。
最も頼りにすべき実の親から虐待を受けた、「産まなければよかった」と言われた、などというのは、「自尊心」を決定的に下げる原因となります。
じぶんなんて生まれてくるべきではなかったなどと思ったら、自分の存在を肯定する気持ちになれるわけがありません。
また、ふつうであれば子どもをかわいがるはずの親から否定されることで、「自分は人間としてできそこないなのだ」「自分はどこかおかしいにちがいない」という感覚を植え付けられることにもなります。
(中略)
また、過保護にされた場合にも「自尊心」は低くなります。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

と書いてあったりするので、
摂食障害の患者さんは自尊心が低い、つまり
自尊心が低いと摂食障害になりやすい、
自尊心を下げるのは、育てられ方の問題だ、と
短絡的な考えに結びつくのも無理もない話ですよね。

ちなみに、ここで書かれている結果としての自尊心の問題については
摂食障害の発症前の自尊心の状態は検討されていないということと、
自尊心が病気の発症や維持に関わるわけではないので、注意してください。
自尊心という名の落とし穴』もあわせて読んでみてくださいね。

摂食障害で大切なことは、病気になったのはなぜか?ではなく、
摂食障害という病気を続けさせているのは何か?」という
維持因子に注目する必要があるのです。
つまり育てられ方が影響する幼少期を過ぎて
自分の生得的な特徴が問題になってくる思春期以降に
低い自尊心を維持しているのは何か?ということですよね。
(『思春期・青年期のアタッチメント』も参照してください)

幼少期に母親の愛が足りないと感じていたとしても、現在の母親も患者さんも、その当時とは変化しているのです。
患者さんがどんな幼少期を過ごしたにせよ、病気になったのはもっと最近のことであり、現在もその病気が続いていて、患者さんは現在に生きているのだと言うことを常に頭に置いておく必要があります。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

この考え方は、高血圧糖尿病など慢性疾患モデルといわれます。
降圧剤を服用する、血糖降下剤を飲む、など、
薬物療法だけでは症状のコントロールしかできません。
血圧糖尿病を続けさせている食習慣や生活習慣が変わらない限り
傷にパッチを当てているだけで傷そのものは治っていない
わけですよね。

規則正しい生活リズムの中で食事に注意し、適度な運動を続けることで
薬物療法で安定させていた血圧や血糖を薬なしで維持することができるように
身体は徐々に変化していきます。
慢性疾患モデルではこのような状態を回復と呼びます。

そう考えると、摂食障害が「治る」とはどういうことなのでしょうか。
摂食障害から「回復する」とはどのような状態を指すのでしょうか。

摂食障害は治りますか」と聞かれたときに、「治ります」と答えると、「もう一生過食をしないで済みますか?」「体型のことがまったく気にならずに何でも食べられるようになりますか?」などと聞かれます。
「それは約束できません」と答えると、みんな一瞬「じゃあ、やっぱり一生治らないんですね」と落胆します。
(中略)
病気が治る」というのは、「体型が気にならなくなる」というのではなくて、「体型へのこだわりが生活を乱さなくなる」ということだと考えてください。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

血圧糖尿病など慢性疾患モデルに当てはめると
治るということは「血圧や血糖が正常になる」ことではなく
「高血圧高血糖による合併症を起こさない」ということになりますが、
一生、血圧が上がらない、血糖が上がらないわけではない、
つまり、再発や合併症の危険は常にあるけれどもギリギリで保っている、
傷にパッチを当てているだけで傷そのものは治っていない、という
矛盾が生じてしまいますよね。

摂食障害が「治る」ことや「回復すること」はどんな状態なのでしょうか?
次回はそれを一緒にみていきましょう。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
気分解消行動としての過食〜体験の回避」というタイトルで、

(1)内受容感覚への気づきの困難から気分解消行動を使う段階
(2)食行動障害が嗜癖になり防衛構造としての自己を形成する段階
(3)生活が狭窄し人生が混乱する段階

の3つの段階のうち、内受容感覚への気づき困難が
どのようにして体験の回避(気分解消行動)につながっていくのかについて
過食症やむちゃ食い障害の発症から
それらが維持されていくメカニズムについて書きました。

過食症やむちゃ食い障害、あるいは排出性障害治療
このような病期(ステージ)を把握することで
治療法を患者さんに合わせることが大切ですから
三田こころの健康クリニックに治療を申し込んでくださいね。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

2016-12-26

マインドフルな対人関係療法

このブログでも何度も書いてきたことですが
ここ数年の過食症やむちゃ食い症の患者さんでは、
症状の引き金になる対人関係上の出来事が乏しいことがほとんどです。

日常的な出来事をストレッサーと感じやすく、
出来事に対する解釈(思考)に反応した不安や、
ネガティブな感情などの感情に気づくことができず、
心の中で抱えられないため、
現実は何も変わらないのに摂食障害症状を使って解消しようとすることと、
解消行動に対する罪悪感が食行動異常の維持因子になっているようです。

さらに、患者さんの心の中で

  • ネガティブな思考や感情があたかも心の中の異物のように感じられていること
  • それが外界に投影されて対人関係の問題のように見えること

そしてそれらに対して快/不快の反応が起き(多くはネガティブな反応ですが)

  • 葛藤や回避などの方法で対処してしまう気分不耐があること
  • 性急自動衝動性と衝動過敏性という報酬系の障害が関与しているらしいこと

がわかってきました。

また、ほとんどの患者さんが「自分を客観視すること」が困難で、
「内受容感覚(内臓感覚)」に気づくことができないことに加え、
自分自身の中で起きる心のさざ波に過ぎない思考や感情を、
自分に敵意を持つもう一人の自分のように感じ、
それが「自分自身との役割期待の不一致」を引き起こしているようです。

自分の反応や気持ちをはっきりつかみ、コントロールし、表現することを学べば、自分を落ち着かせたり、慰めたりするために、食べ物に走らないですむようになります。
食べ物で自分を麻痺させるのではなく、自分の気持ちに注意してはっきりつかめるようになる、つまり自分自身との関係を改善し、他人との関係を改善できれば、ネガティブな気持ちをコントロールするために食べ物を利用しなくてすむようになるでしょう。
自分の気持ちがうまく扱え、他人との関係もうまくいくようになるほど、過食はへっていくでしょう。

ウィルフリィ『グループ対人関係療法創元社

過食症やむちゃ食い症からの回復には
ウィルフリィのいう「自分自身との関係を改善する」
「他人との関係を改善する」の2つが必要不可欠で
その土台になるのが「自分自身との関係の調和」なのです。
(三田こころの健康クリニックでは「自分との闘いを止める」と説明していますよね)

三田こころの健康クリニックで行っている対人関係療法では

  • 自分との関係を改善する(感情・考え・情動のコントロールについての気づき)
  • 行動の仕方を改善する(心の状態の変化についての気づき)
  • 他人との関係を改善する(自己概念あるいは関係のなかにおける役割についての気づき)

の3つの中心となるプロセスがあり、それぞれ

○ 自己受容
○ 人生に目的をもつ/目的に沿った行動をすることができる
○ 他者受容/共感・協力

の「自己志向性」「協調性」に相当しますよね。

じつはウィルフリィは「自己受容」の土台になる
マインドフルネスにも言及しているのですよ。

動揺する状況を心にとめるようにし、そのときに起こっているものや気持ちに注目してみてください。
そのときに起こっているものに、です。
これがうまくできるようになると、自分の悩みを隠すために食べ物を利用しなくてすむようになってくるでしょう。

ウィルフリィ『グループ対人関係療法創元社

リアルタイムで「マインドフルな気づき」が生まれてくると
体験しつつ、同時に観察している状態になってきます。

苦痛や痛みに対して抵抗したり抑圧したりして、
過食や過食嘔吐で麻痺させないといけない苦悩に変わることがなくなり
痛みや苦しみに触れていてもなお、心穏やかでいられる状態になります。

三田こころの健康クリニックではこのプロセスを
「回復までのショートカット」と呼んでいるのですが
やっている内容は『8つの秘訣』で取り組む課題なのですよね。

今年のブログは今日が最終日です。
来年は1月10日にアップしますのでお楽しみに♪

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『「マインドフルネスは過食症の治療に何をもたらすか」というタイトルで、
嗜癖(アディクション)と同じような病態を呈する過食や過食嘔吐に対しても
衝動の波に乗る」アプローチが有効で
それは、マインドフルネスという
「思考や感覚と一体化することなく、体験していることを観察する能力」を
培うことで可能になることを説明しています。

アルコール依存や物質使用障害(薬物依存)に対しては
対人関係療法の効果がなかったのは

  • 個人の主観的な認知の仕方(出来事のとらえかた)に焦点が当たらなかった
  • 変えられないものを受け入れる冷静さを培うアプローチがなかった

ことが要因と考えられ、同じことが
「クセ(嗜癖)になった過食や過食嘔吐」にも言えるのです。

その部分を補うために三田こころの健康クリニックでは

  • 変えられるものを変えてゆく勇気のために「対人関係療法」(協調性:社会次元での成長)
  • 変えられないものを受け容れる冷静さのために「8つの秘訣」(自己志向:個人の次元での成長)

という2本立てで過食や過食嘔吐の治療を行っていますので、
治療を希望される方は、8つの秘訣を読まれた上で
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

2016-12-19

対人関係の神経生物学

摂食障害から回復するための8つの秘訣』をお持ちの方は
P.339を見てみてください。
参考文献なので英語がずらりと並んでいて
ちょっと辟易してしまいますよね。

その中に

Siegel, D. J. (2007). The mindful brain: Relation and attunement in the cultivation of well-being. New York: W. W. Norton.

という本が挙げられていますよね。
その下の本は『脳をみる心、心を見る脳』として邦訳されています。

この『マインドフル・ブレイン』の著者であるダニエル・シーゲルは、
愛着(アタッチメント)の経験が、感情・行動・自伝的記憶とナラティブ(語り)に
どのように影響するかについての家族間相互作用を研究し
米国精神医学会の研究員としていくつもの名誉フェローシップを受けた
UCLAの精神科の臨床教授です。

『マインドフル・ブレイン』は、副題に
「幸福(ウェル・ビーイング)を培う関係性と調和(アチューメント)」
と書いてあります。

シーゲルは「対人関係の神経生物学」で
愛着関係(アタッチメント)を土台にした対人関係と自分自身との調和を
マインドフルネス(好奇心、開放性、受容、愛)で統合し、
生活の中で、思いやり、やさしさ、しなやかさ(回復力)、幸福、として
促進する方法を提唱しているのです。

私自身は9年間、対人関係療法による治療を専門にやってきて
対人関係療法でコミュニケーション分析を重視するのは、
コミュニケーションに対するメタ認知を生みだすのが目的ではないか
と考えるようになりました。

そのメタ認知が生まれる土台は自分自身との関係にあり、
他者について話すプロセスでは、
話題になっている自分の外に存在する他者の実態ではなく
話している当人自身の内界の状態に関連しているので、
去年から過食症や過食性障害(むちゃ食い障害)の治療
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を併用して
ワークブックとして取り組んでもらうことにしたのです。

では関係性の土台はどこにあるか考えてみると
対人関係療法も準拠している愛着理論(内的作業モデル)があり、
愛着や成長過程での体験に対しての意味づけの仕方が
外界(のイメージ)に投影されていることがわかってきました。
愛着(アタッチメント)のことはこのブログでもたくさん書いてきましたよね。

そうなると、重要な他者との関係が
「不和(役割期待の不一致)」だろうと「評価への過敏性」だろうと、
あるいは「役割の変化」だろうと、重要なことは、
「その出来事をどう体験しているのか?」という
自分自身との関係(自分との対人関係)が先行する
と考えるようになったのです。

対人関係療法では、病気の発症や維持にかかわる重要な他者との関係を見直し
コミュニケーションスキルを高めることで病気を治していこうと考えます。

過食症やむちゃ食い症(過食性障害)での有効性はあるものの
効果がでるまで長い時間がかかるのは、
自分を振り返るプロセスが不足しているため
深い自己肯定感を育むまで時間がかかるのではないかと考え、
瞑想によらないマインドフルネスを教えることを通して
「自己志向」を高めることを目標にするようになったのです。

クロニンジャーの七因子モデルのうち
自尊心と誤解されている「自己志向」は

○ ありのままの自分を認め受け入れること(自己受容)
○ 自分の人生に価値や目標を持つこと
○ 自分の人生の価値や目的に沿った行動

の3つの要素からなります。

「協調性」は相手がどのような人であれ評価をせずに受け容れ、
共感し(ミラーニューロン・社会脳)、思いやりをもって
接することができるようになること(他者受容)です。
この「自己志向」と「協調性」の両方を成長させることが
治療につながるとされています。

この季節、過食症やむちゃ食い障害の人は
久しぶりに友人と会うことに躊躇いを感じることが多いですよね。
「どう思われるだろう?」「太ったと思われるに違いない」などの解釈や判断、
そしてそれに反論する思考によって、最初の解釈や判断は大きくなり、
その思考が現実のように思えてしまいますよね。

このような「とらわれ(認知的融合)」と「体験の回避」から抜け出すには
対処方略が人生の価値につながっているかどうかを直視すること、
そして、反応の仕方は自分で選択できる自覚(アウェアネス)を促すことが
何よりも重要と考えるようになっていた矢先に、
マインドフル・ブレイン』に出合ったのです。

これまでこのブログや『聴心記』で書いてきた
自分自身との折り合い(調和)、対人関係、愛着(アタッチメント)、
そしてマインドフルネスというキーワードが満載の
マインドフル・ブレイン』と出合ったことで
わたしが考えていた対人関係療法のすすめ方は
脳科学的にも間違っていなかったと確証を得ることができました。

さらに『マインドフル・ブレイン』のやり方によって
三田こころの健康クリニックで専門に行っている対人関係療法
マインドフルネスと統合することができたので、
不安定な愛着を獲得安定型に修復していく治療もできるようになっているのですよ。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『「過食症や過食性障害からの回復の道のり2」というタイトルで、
対人関係療法の3つの柱である

  • 自分との関係を改善する(感情・考え・情動のコントロールについての気づき)
  • 行動の仕方を改善する(心の状態の変化についての気づき)
  • 他人との関係を改善する(自己概念あるいは関係性における役割についての気づき)

に対して『8つの秘訣』がどう対応するのかを説明しています。

このような回復へのマップを示すことができるのは
対人関係療法による治療と『8つの秘訣』への取り組みを通じて
実際に摂食障害から完全に回復した患者さんの実体験にもとづくものですから
過食症や過食性障害(むちゃ食い障害)の治療を希望される方は
ぜひ、参考にしてみてくださいね。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

2016-12-12

ストレス耐性(気分耐性)を高める

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』に

  • ストレス解消としての過食/症状はストレスの表れ。
  • 過食がひどくなってきたので、何がストレスになっているのかを考えてみたい。
  • 何がストレスなのかをふり返り、それを変化させるよう努める。

などの表現がありますが、この考え方は場合によっては
過食症やむちゃ食い症からの回復を妨げてしまうこともあるのです。

そもそもストレスとは、

外的刺激:ストレッサー(ストレス要因)
  ↓
認知的評価/対処能力
  ↓
ストレス反応(心理・行動・身体)

の総和なのです。

ところが一般にはストレスは外的刺激のことと理解されているようです。
除夜の鐘がウルサイと苦情があったことで
古来から続く伝統を中止する寺院もあるそうですね。
ウルサイ除夜の鐘があるのではなく、ウルサイと捉えている自分がいる、
つまり、外的刺激を不快と捉えているとらえ方の問題と理解しない限り
変えることのできないモノやコトに対し、葛藤が残ってしまうのです。
(『受け容れるか抵抗するか』参照)

さらに脱線話ですが、親や上司に叱責されたことや
失恋したこと、受験に失敗したことまで
トラウマと診断する医者もいらっしゃるようですが(言語道断)
これが外的刺激=ストレスと一般の人に誤解される一因になっているようです。

たとえば、このブログでもよく書いているように
過食症やむちゃ食い症の人は、健康な人と比べて
「日常的な出来事をよりネガティブにとらえやすい」部分を改善し、
苦痛に触れていてもなお平穏でいられる状態、
つまり苦痛を苦悩に変えてしまうストレス反応への対処の仕方を改変しない限り
回復につながらないからなのです。

過食やむちゃ食いのメカニズムと身体』で説明した
葛藤が身体を巻き込んだ反応を起こすことを考えてみましょう。



この図はもともとトラウマの病態を説明するためのものですが
過食症やむちゃ食い症にも当てはまるのです。
過食症やむちゃ食症の人は、もともと気分耐性が低い(耐性領域が狭い)ため
日常的な出来事(思考も含む)をネガティブにとらえて
その認知に対してネガティブな感情として反応します。

これが交感神経の過剰活性を引き起こすので
ウィルフリィも書いているように

食べ物には、気持ちを静め、落ち着ける効果があります。
実際に、むちゃ食い障害の人の報告によると、過食の引き金としていちばん多いのは、ネガティブな気持ちです。

ウィルフリィ『グループ対人関係療法創元社
食べることで交感神経の活性亢進をなだめようとします。

ところが内受容感覚(内臓感覚)への気づきの乏しさがあるため
満腹反応を身体的な不快ととらえ、ますますネガティブな気持ちになり
気持ちをなだめるための過食が続いたり、あるいは嘔吐することで解消しようとします。
嘔吐した後は、フリーズ反応が起きてしまうのです。

このようなコーピング(対処)を続ける事で
交感神経の活性化と背側迷走神経のフリーズの間で
耐性領域はますます狭小化してしまい、
過食や過食嘔吐の混乱と迷妄から回復する』で書いたように
「感覚への逃避」→「病気がアイデンティティを形成」→「混乱と迷妄」
という悪循環と自己牢獄ができてしまうのです。

耐性領域を拡大(腹側迷走神経を活性化)するには
社会的関わり(ソーシャル・エンゲージメント)が欠かせません。
その土台になるのが愛着(アタッチメント)で、
単に安全な関係性という意味ではなく、患者さんと治療者が一緒になって
「内的体験の共有(共同注意)」「感情の共有(共感)」「意図の共有(行為理解)」
を内省的(マインドフル)に行うことです。

これによって前頭前野が活性化し、
関係性(リレーションシップ)と相互作用(インターラクション)が起きることで
心の中のさざ波にすぎないネガティブな思考や不快な感情に
圧倒されるのを防ぐことができるようになり、
腹側迷走神経が調節する社会的関わり反応(最適な覚醒領域)の幅が拡がる
と考えられているんですよ。

メンタル不調者のための復職・セルフケアガイドブック

メンタル不調者のための復職・セルフケアガイドブック

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『「過食症や過食性障害からの回復の道のり1」というタイトルで、
過食症や過食性障害(むちゃ食い障害)からの回復の土台は
「自己受容(セルフ・コンパッション)」にあること
自己内対話がコミュニケーションの基礎であることなど
自分との関係を改善する(感情・考え・情動のコントロールについての気づき)から
回復への道のりが始まることを解説しています。

コミュニケーションを改善すると過食や過食嘔吐が治ると本に書いてあるので、
そうかもしれないと思っていらっしゃる人もいるでしょうが
対人関係療法が準拠にしているコミュニケーション理論を知らないと
言葉の使い方、表現の仕方などカルチャーセンターでもやっているような
コミュニケーションスキルの練習と大差がないので、治療効果は得られません。

過食症や過食性障害(むちゃ食い障害)からの回復は
「自分自身との戦いを終わらせ調和をもたらすこと」、つまり
「自分自身との関係を改善すること」にありますから
「秘訣2 自分の中の摂食障害の部分を癒やすのは健康な部分」は
三田こころの健康クリニックでは回復を願うすべての人に
「秘訣2」に取り組んでもらっているのですよ。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

2016-12-05

自尊心という名の落とし穴

クリスティーン・ネフの『セルフ・コンパッション』を読んでいたら

私はすぐに心理学の分野が精神衛生の究極の目標として自尊感情を伴った愛を扱っていないことに気がついた。
自尊感情をテーマに書かれた論文は多く、ナルシシズム(自己愛)、自己陶酔、独善的な怒り、偏見、差別など、高い自尊感情の感覚の獲得と保持をしようとするときに陥る罠について指摘され始めていた。

と書かれていてすごく驚きました。

摂食障害と関連があるといわれている「自尊心」「自己肯定感」について
この本から少し紹介しますね。
(『自尊心から自己受容へ』『過食症の「自己批判」と回復に必要な「自己受容」』も参照してくださいね)

この本に「自尊心ゲームからの脱却」という章があり、
フロリダ州立大学のロイ・バウマイスター教授の論文が紹介されています。

高い自尊心は学業成績や職場での業績、リーダーシップ能力を高めることなく、子どもの喫煙や飲酒ドラッグの使用、成功勝率を下げることはない。
どちらかと言えば、自尊心が高いことは健全な行動の原因ではなく結果である。

つまり「自尊心」が低いから摂食障害になるのではなく、
摂食障害行動によって「自尊心」が低くなる、ということなのです。
(『過食や過食嘔吐の混乱と迷妄から回復する』参照)

そもそも「自尊心(=自己肯定感)」の本質は、自分自身の価値に対する評価であり、
自分が善良で価値のある人間だという判断に根ざしている、とされていて、
「鏡に映る自己」からうまれるとされています。

自己を写し出す「鏡」の1つは「他者の目からの評価」で、
親しい友人や家族からではなく、
自分のことをよく知らない他人からの判断に強い影響を受ける
ことが明らかになっています。
まさに対人関係療法であつかう「評価への過敏性」ですよね。

「自尊心(=自己肯定感)」を高める方法として

  • 上手くできることを高く評価し、下手なことを低く評価すること(優越感を抱くために価値のある技術を学ぶ重要性を低下させる発達を阻害する可能性がある)
  • 重要だと考える領域の能力を高めること(体重や体型に価値を見いだし努力することは空腹や苛立ち、落胆を経験する)

とされています。

「自尊心(=自己肯定感)」が高いということは
他者と比較して自分が優れていると考えることの結果であって、
自己の過大評価や見栄、他者の見下し(差別)からなる
ナルシシズム(自己愛)という「鏡」であって、現実を反映したものではない
ということなのです。
(『摂食障害の強迫性と自己愛』参照)

セルフ・コンパッション』にはこうあります。

少なくとも1つ、高い自尊心には重要な利点があることは確かである。
それは幸福である。
自分のことが好きな人は快活になり、自分のことが嫌いな人は抑うつ的になる。
このような気分の状態は、一般的に自らの人生に対する感情に影響を与える。
(中略)
幸福は良い人生を送る上で重要な特徴であるため、幸福を養うことは有意義なことである。
しかし、高い自尊心によって一次的に得られる幸福のために支払われた代償は大きくなる可能性がある。

つまり、「自尊心」や「自己肯定感」を高めようとするやり方によっては、
正反対の結果がもたらされる可能性が高いということです。

それはここで扱われている「自尊心」「自己肯定感」が、
周囲の状況に対する自己中心的な解釈であり、
同時に、意識せずにそれを抑圧しているために
目の前の問題に真摯に向き合うことを妨げ、
一時的な効果しか得られない(代償は大きい)のでしょう。

セルフ・コンパッション』に面白い話が載っていました。

自尊心の高い人は侮辱されたと感じた際に他者に対して激しく非難することが多い。
たとえば、ある研究では大学生に知能検査の結果が平均以下であったことが告げられた。
自尊心の高い人は他の実験参加者を侮辱して見下すことでその事実を補償する傾向があった。
一方、自尊心の低い人はより好かれようとして他の実験参加者を褒めようとする傾向があった。
職場で1年間の勤務評価が出されたとき、あなたはどちらと一緒に時間を過ごしたいと思うだろうか。

「自尊心」「自己肯定感」が低いと感じていらっしゃる方、
摂食障害」や「気分変調性障害(持続性抑うつ障害)」の方、
あるいは愛着の問題を抱えていらっしゃる方はちょっと考えてみてくださいね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食や過食嘔吐の混乱と迷妄から回復する」というタイトルで、
一般向けの、あるいは専門家向けの本にもほとんど書かれていない
摂食障害過食症やむちゃ食い症)」という病気の進展の仕方と
混乱や迷妄の段階に至っても回復は可能であることを解説しています。

その最初のステップとして、『8つの秘訣』にある
「回復への動機、忍耐、そして希望」が必要なことと
「自分の中の摂食障害の部分を癒すのは健康な部分」であることを
ちょっと詳しく書いてみました。

大切なことは摂食障害の部分を病気として敵対することではなく
自分の心の一部と認めること、健康な部分を見いだしていくこと
そして摂食障害の部分と健康な部分を調和(和解)していくことです。
これが自己受容の中心の柱の1つのセルフ・コンパッションにつながります。

三田こころの健康クリニックでは対人関係療法を専門に行いますが
自分自身との関係の調和も対人関係と考えているので
過食や過食嘔吐を治療したいと考えていらっしゃる方は
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

2016-11-28

摂食障害の治療で感情に焦点を当てるわけ

摂食障害の患者さんは拒食症から過食症と変化するけど、同じ一人の患者さんなのに病期や病態によってエビデンスのある治療法が変わるのはなぜなのでしょうか?

と、ある先生からするどい質問を受けたことがあるんですよ。

摂食障害の精神療法のエビデンス』で紹介したように
BMI:14以下は栄養療法などの身体的治療
BMI:16までは食物摂取と栄養改善
「神経性やせ症/拒食症」は、小児期から思春期までは家族療法
思春期以降は支持的精神療法もしくは認知行動療法
「神経性過食症」や「むちゃ食い症」では
認知行動療法、対人関係療法、家族療法などで
エビデンスが認められていますよね。

摂食障害と一括りにされる疾患群の中でも
拒食で発症する場合と、過食で発症する場合は
典型的な経過が異なることはほとんど知られていないですよね。

拒食症系では、制限型の拒食症で発症し、過食型に移行し、
嘔吐などの排出行動を示し、低体重で推移するのが典型的です。
その他、制限型拒食症で発症するものの比較的短期間で回復する予後の良いタイプや、
制限型の拒食症のまま慢性経過をとる場合や、
体重が戻り、過食症(排出行動あり)に移行し長い経過をとるタイプなどがあります。

過食症系では、過食で発症し排出行動を伴い慢性化するタイプがもっとも典型的といわれます。
過食で発症するものの、排出行動を生じず、一過性でよくなるタイプ、
過食症(排出型)で発症し、しだいに嘔吐がなくなってむちゃ食い症に移行するタイプ、
過食で発症し、排出行動をくり返し低体重となり
過食排出型の拒食症に移行するタイプなどが知られています。

これまでは自己誘発嘔吐を繰り返すタイプは少ないと言われていましたが
最近ではこのタイプがもっとも多いようです。

過食前から自己誘発嘔吐があり、過食を伴うようになり
低体重と認知機能の障害が顕著になってくる
排出性障害」がこのような経過をとります。
過食症(自己誘発嘔吐を伴うタイプ)や過食排出型の拒食症との鑑別は
「排出性障害」の要素をもつ人は、嘔吐のため大量の水分を摂取します。

さて上記の先生の質問は、たとえば思春期早期に拒食症を発症し
BMI:14以下になった患者さんに対して、栄養療法と家族療法、
そして体重が戻ってきたら認知行動療法、
過食になれば対人関係療法と、一人の患者さんなのに
病期や病態・病像によって治療法の効果が異なるのはなぜか?
という質問だったのです。

その患者さんにとって最も最適な治療法を選ぶという
対人関係療法で最重視する鑑別治療学しか頭になかった私には
とても新鮮な質問でした。

考えてみると、感情耐性や感情体験の回避など
感情調節困難への対処として食行動を用いるというのが
摂食障害の根底にあることは周知の事実ですよね。

感情の麻痺、感情の回避、感情の鎮静化の対処法として摂食障害を考えると
拒食に伴う空腹は感情を麻痺させ、過食は感情をなだめ、
嘔吐は安心をもたらす
という対処法として用いられていますよね。

拒食期には、感情に対し抑制的であり、
過剰に制限された感情しか示すことができませんから
家族一丸となったサポートで感情表出を促したり、
あるいは思考プロセスに目を向ける認知行動療法で
感情の知覚の仕方が変化するのかもしれません。

また過食の原動力となる不安やイライラなどの感情は
耐えがたく自分ではコントロールできないので、
感じないようにするための過食や嘔吐などに対して、
感情を回避したり逃避したりの方略を用いることなく
言葉やコミュニケーションを介して表現する対人関係療法
感情と向き合う姿勢が変わるのです。

つまり、同じ患者さんの病期や病態によって治療が異なるのは
感情に対する対処行動(抑圧や回避行動)に差があるからであり。
さまざまな治療法が目指すのは、摂食障害の根底にある、
恐怖や寂しさ、恥といった中核的な感情に接近し、
その感情を変容させることなのです。

食べ物で自分を麻痺させるのではなく、自分の気持ちに注意してはっきりつかめるようになる、つまり自分自身との関係を改善し、他人との関係を改善できれば、ネガティブな気持ちをコントロールするために食べ物を利用しなくてすむようになるでしょう。
ウィルフリィ『グループ対人関係療法創元社

ということなのですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『「過食のエネルギーは「イライラ」と「不安(心配)」」というタイトルで、
過食症やむちゃ食い症の最近の傾向として
過食の原動力であった怒りや罪悪感が乏しくなり、
拒食期を経ずに過食やむちゃ食いを発症する人がほとんどで
そのため、過食のエネルギーは心配性の発現である
「イライラ」と「不安(心配)」に変わってきていることを説明しました。

今日の過食系の摂食障害の特徴として
誰しも感じるイライラや心配を抱えられないことで
苦痛な感情がなくても摂食障害行動が習慣化しやすいことが挙げられます。

そのため、対人関係療法で焦点を当てるような
重要な他者との関係と症状が関連していないことがほとんどで、
むしろ、社会や集団の中での生きづらさ(不適応感)が
症状を引き起こしていることがほとんどなのです。

三田こころの健康クリニックでは、このような摂食障害に対して
対人関係療法と『8つの秘訣』を組み合わせて
他人や出来事に対する「とらえ方」の変容し
感情との向き合い方など行動パターンの修正することで、
自分の中の健康な部分に触れること(修正感情体験)で
摂食障害治療を行っているのですよ。

摂食障害を治したいと考えていらっしゃる方は、
三田こころの健康クリニックに相談してくださいね。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

2016-11-21

ネガティブな解釈と感情との向き合い方

アタッチメントの治療の話も一段落しました。
また新しい知見があれば、解説を書きますのでお楽しみに♪

アタッチメントの治療だけでなく、慢性抑うつ障害や
過食症治療にも関連する、「心的等価モード」、
つまり心で思ったことがそのまま外的現実であるという体験の仕方から
複数の見方がありうるという前提で判断や解釈ができるようになることが
治療の第一歩になることについて、2つのヴィネットを創作してみました。
(心的等価モードについては『青年期・成人期のアタッチメントの治療』参照)

私たちの気分を悪くするのは、他人や出来事そのものではない。
それに対する自分のとらえ方である。
水島広子『怖れを手放す星和書店

について「観察ー判断/解釈ー反応」の連鎖を理解して欲しい、というのがその理由です。

ありそうなシチュエーションその1です。

親に対して、あるものを買ってきて欲しいとお願いしていました。
もう買ってくれたかな?と思い電話をかけてみると、親は他の用事を先に済ませていたところでした。

「なんでまだ買ってくれてないのよ〜!もぅっ!!」と腹を立てると、
親も「だってね、こういう理由があって」と必死になって言い訳をしてきました。
それがますます気に入らず、
「私のお願いなんて、どうでもいいと思ってるでしょっ!」
「そんなことないよ。これから買いに行こうと思ってたんだから待っててね。」
そういわれても腹の虫が治まらず
「もういいっ!いらないっ!!」
と電話で叫んでしまいました。

また別のありそうなシチュエーションその2です。

友人に知り合いのエステの店長を紹介してあげました。
ところが、その日の夜にエステの店長から電話がかかってきて、
「あの方がいらっしゃったけど、どういうところかもわからずにいらっしゃったみたいで、何をして欲しいとおっしゃってたの?」
と言われました。

友人のためによかれと思ってエステを紹介したのに、
紹介した先の店長から文句を言われたと感じてしまい
自分は対人関係が下手なんだ、人のためにできることなんて一つもないんだと
暗澹たる気持ちになって、朝も起きることができなくなってしまいました。

この2つに似たような体験をされた方も多いのではないでしょうか?

ありそうなシチュエーションその1では、
「なんでまだ買ってくれてないのよ〜」という言葉の裏に
「(あんたは)私の依頼を優先して買い物をすべきだ」の
「ねばならない」と「あなた=親」の決めつけがありますよね。

本当は自分の依頼を優先して欲しかったのかもしれません。
願いがが満たされなかった淋しさや切なさがいつの間にか
相手(親)の言動が自分の気分を悪くした、害したと
相手(親)に責任を転嫁した怒りの表現になっていますよね。

さらに怒りにまかせて「もういいっ!いらないっ!!」と叫ぶことで
本当は欲しかったものが手に入らないだけでなく、
願いが後回しにされた淋しさや切なささえも
相手(親)に伝わらない、わかってもらえないことになってしまいますよね。

ありそうなシチュエーションその2では、
「何をして欲しいとおっしゃってたの?」という質問を
「問い詰められた」「文句を言われた」と判断・解釈したことで
自己非難から自己嫌悪に陥ってしまっていますよね。

紹介した友人にも紹介先のエステのオーナーにも
「自分はよく思われるべき」との考えが背景にあり、
それが満たされないと解釈したことによる切なさが
自分に対する怒りや非難として表れているようです。

この2つのシチュエーションでは
他者視点での現実の認識の仕方が欠如していて、
判断や解釈があたかも現実であるかのように反応していることが
共通する問題になっていますよね。

その1で、もしあなたが他に大切な用事があるときに
他者から、ついでにこれもお願いね、と依頼されたらどうしますか?
緊急度と重要度を検討して、自分の大切な用事から先に済ませますよね。

その2で、もしあなたが紹介されたエステのオーナーだったらどうしますか?
紹介者の顔を立てるためにも、お客さんのニーズを引き出そうとしますよね。
でもその友人がエステの必要性を理解してなかったら、
オーナーであるあなたは紹介者に直接聞いてみようと考えますよね。

自分自身の判断や解釈を現実だと思い込んで真に受けるのではなく、
自分と他者の精神状態に注意を向けながら
それらを意味づけする試みを粘り強く行うことで、
しだいに自分や他者を含む表象を客観視できるようになり、
少しずつ、自己への囚われから抜け出せそうですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『「摂食障害症状の意味」というタイトルで、
拒食や過食、あるいは過食嘔吐などの摂食障害症状が
心にとってどんな役割を果たしているのかを説明しています。

摂食障害症状を心の痛みを反映した代理症状として理解できれば
過食や自己誘発嘔吐をガマンすることや薬で対処することは
根本的な治療につながらないことがわかりますよね。

摂食障害の根本的な治療は、
食物制限による空腹は気持ちを麻痺させ、
過食やむちゃ食いは、ネガティブな気持ちをなだめ、
嘔吐することで安堵をもたらす
ため、
食物を使って感じないようにしようとしている心の動きは何なのか
「自分の気持ちをよく振り返る」ことです。

三田こころの健康クリニックで摂食障害治療として行っている
対人関係療法や『8つの秘訣』で取り組んでいくことは
自分で自分の心の中と向き合う「自分との折り合い」と
ストレスだと捉えていた「周囲の人との折り合い」であり、
そのために、「観察・解釈/判断・反応」のプロセスを理解することです。

摂食障害を治したいと考えていらっしゃる方は、
三田こころの健康クリニックに相談してくださいね。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

2016-11-14

青年期・成人期のアタッチメントの治療

成人のアタッチメントは自分自身を守る」
「信頼でき、愛情ある生殖のパートナーを選択する」
「パートナーと子どもたちを守る」
「自分の子どもたちの発達を促進する」という
「二者関係」と「集団(家族や社会)関係」の拡張というテーマの中で
世代性 vs. 停滞性」という課題に向き合うことになります。

配偶者とは対称的で互恵的なアタッチメント関係を築き、
子どもに対しては、アタッチメント対象として
非対称的で非互恵的な関係になります。

両親との関係は、対称的で互恵的であるものの役割の逆転が起きます。
ですから青年期以降のアタッチメントの修復で
子供かえり(悪性退行)が起きることはありえないのです。

幼年期に両親との間に安定した愛着関係を築けなかったとしても
あるいは不安定な愛着スタイルであったとしても
思春期、青年期、成人期までの一連の発達段階で
「集団との関わり」を通して「自分との関係(…としての自分)」に向き合い
自己受容と価値や目的の創造、それにもとづいた行動を育んできたはずです。

養育者から自立していく中で、新たなアタッチメント対象である
パートナーとの二者関係を築き、次世代の世話が一段落すると
今度は自分自身の内面を深めるプロセスに移行していきます。
回避型愛着スタイルの人は、この変化の時期に
メランコリー型のうつ病を発症することも多いのです。

さて、成人のアタッチメントが適応的であるということは
Bタイプ(安定型)になるということではないのですよ。
過去の体験がどうだったかということではなく、
その体験に対する現在のかかわり方をどのように語るかというナラティブであり、
それに向き合う心の態度とそのプロセスが統合されることなのです。

アタッチメントの修正統合には
「作業記憶(内的作業モデル)の再構成」と「自分と他者に対する内省」、
「自分・他者・社会に対する内省の統合」の3つのプロセス
が必要です。

「作業記憶(内的作業モデル)の再構成」は
「表象的理解」によって、その体験の意味づけが変化していく
つまり、別のとらえ方ができるようになることを進めていきます。

乳幼児期のアタッチメントの発達』でちょっとだけ触れたように
同一の愛着対象に関して、複数の愛着パターンが存在している場合があります。
たとえば、回避型の人が安定型に移行する際に、
覆い隠されていた「承認欲求」や不満・怒りなどの葛藤が表面化し、
一時的にアンビヴァレント型のような状態が出現することがあります。

このプロセスでは、心の中で起きている記憶想起(内的現実)と
目の前の他者(多くの場合、親やパートナー)との関係の外的現実を
同居させることができるようになる心の態度を培っていくことになります。
対人関係療法的にいうと「期待の整理」を行っていくということですね。

ところが、児童期の不活発、思春期の役割拒否、青年期の排他性などで
発達段階の課題を達成できていないなど、対人学習が乏しかったりすると、
自分の体験を精神的なプロセスとして意味づけることができず
筋の通ったナラティブとして首尾一貫した形で語ることが困難になります。

過去のことなのに、現在のことであるかのような情動を伴う記憶想起により
親への怒りや非難に終始し、「…だからできない」と自己非難をくり返し
タイムスリップの中に囚われることを、「心的等価モード」と呼びます。

たとえば映画をみているときに、スクリーンの上を踊る光の粒子と
そこで演じられている演技だという外的な現実を理解しながら
ストーリーがあたかもホンモノであるかのように内的現実では体験しますよね。

自分の精神状態を心的表象として理解すること(内省)ができないと、
内的現実(心で思ったこと)と外的現実の区別ができず、
他のとらえ方があると思えないのです。
複数のとらえ方の模索ができるようになってからでないと
アタッチメントの獲得修正を進められないのです。

「心的等価モード」にある人の場合は
体験に対して共同で注意を向け意味づけを促してもなかなか進みません。
それどころか、「心的等価モード」にある人の場合は
治療者が言葉で意味づけをすることを否定されたように感じるので、
「承認欲求」の病理が明らかになってくる場合もあるのです。

ですから、まず、

私たちの気分を悪くするのは他人や出来事そのものではない。
それに対する自分のとらえ方である。
とらえ方を決めるのは自分の心の姿勢である。

水島広子『怖れを手放す星和書店

という外的現実と内的現実の違いを理解できるようになり、
「観察(外的現実)・解釈(考え)・反応(気持ち)・期待」を自覚する
自己内対話的な内省のすすめ方を身につけることによって、
「主語(主体としての体験)」に注目できるようになることが
獲得安定型の愛着スタイルを培っていく過程になるのですよ。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食症の「自己批判」と回復に必要な「自己受容」」というタイトルで、
20回未満の対人関係療法治療
過食や過食嘔吐が消失した患者さんたちに共通する特徴である

(1) クロニンジャーの七因子のうち「自己志向」が高まっている。
(2) 自分の目的が明確になり、周りの人とのつながりが感じられている。
(3) 自分の考えや気持ち、感覚への気づきが高まり、自分に優しくできている。

について、「自己志向」と「協調性」を解説しました。

これは三田こころの健康クリニックでは初診時に
診断とともに治療の方向性を考えるときに説明している内容ですよね。

私にとっては充分に驚くべきことなのですが、
三田こころの健康クリニックを受診されたほとんどの方が
これまで診断や治療方針の説明を受けたことがないとおっしゃいます。

過去三十年間に精神科の薬は、私たちの文化にとって不可欠になったが、その結果は心もとない。
抗うつ薬の場合について考えてほしい。
もし私たちが思い込まされているほど抗うつ薬が有効なら、うつ病は私たちの社会では今ごろ些細な問題でしかなくなっていたはずだ。
ところが、抗うつ薬の使用は増え続けているというのに、うつ病の入院患者はへってはいない。
抑うつ状態を改善するために治療を受ける人の数は過去二十年間に三倍になり、今やアメリカ人の十人に一人が抗うつ薬を服用している。

ベッセル・ヴァン・デア・コーク『身体はトラウマを記録する紀伊國屋書店

単極性うつ病治療ガイドラインでは、
軽度の抑うつ症状では抗うつ薬を使用する必要が乏しい
と述べられています。
逆に抗うつ薬を服用することで遷延化することも指摘されています。

通院中だけどなかなか良くならないと感じていらっしゃる方は
診断と治療方針について、三田こころの健康クリニックで
セカンドオピニオンを受けてみることをお勧めします。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村

2016-11-07

青年期(成人期前期)のアタッチメント

DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』で
心的外傷およびストレス因関連障害群の中の
「反応性アタッチメント障害」の頁には、以下のような記載があります。

反応性アタッチメント障害の有病率は不明だが、この障害に臨床場面で出会うことは比較的まれである。
この障害は、里親のもとにおかれるか施設で育てられる前に重度のネグレクトに曝露された小さい子どもでみられる。
しかし、重度のネグレクトを受けた子どもの母集団の中でさえこの障害は一般的でなく、そのような子どもの10%未満にしか生じない。
(中略)
深刻な社会的ネグレクトは反応性アタッチメント障害の診断要件の1つであり、その障害の唯一既知の危険要因である。
しかし、重度のネグレクトを受けた子どもの大多数はこの障害を呈さない。

ところがあるサイトでは

大人でも子供でも3人に1人が何らかの愛着障害を抱えているかもしれないという事実はこの問題の大きさを静かに訴えています。

と書いてあるのです!。

重度のネグレクトを受けた子どもの10%未満にしか生じないはずの
反応性アタッチメント障害が、3人に1人というのは
別の状態をアタッチメント障害と見誤っている可能性があるようです。
(DSM−5では自閉症スペクトラム症が鑑別診断としてあげられています)

さらにDSM−5では

反応性アタッチメント障害は年長の子どもにも生じるのか、もしそうであれば年少の子どもにおける症状とどのように違うのかについては明らかでない。
そのため5歳を超える子どもにおいては診断に注意を要する。

と5歳以上の子どもを「反応性アタッチメント障害」と診断することに
注意を喚起しています。
愛着障害という診断名(あるいは呼び方)は
学童期以降の思春期・青年期、成人期の診断としては不適切
なのです。

一般向けの書籍ネット上のサイトに書いてある
愛着(アタッチメント)の解説は、
アタッチメントが成長とともに発達変化することはまったく触れてなくて、
乳幼児期のアタッチメントパターンのまま
思春期・青年期、そして成人になっていくような
まるで発達が止まったままのイメージで書かれています。

そのため、いまだに幼少期の親との関係に問題があったと
現在の精神病理を乳幼児期の状態に関連づけて説明されていることがあります。

現在の状態を過去が原因と説明することは侵襲的に作用することがあり、
過去の回想が記憶の錯誤(偽りの記憶)を誘導する危険性があるため、
過去の親子関係の再現を促したり、退行を誘発する治療(?)は危険が伴います。

そもそもアタッチメントの修復では発達の最接近領域から始めるので、
たとえば幼稚園の頃の出来事の記憶が今の対人関係に影響を与えていることがわかれば、
その出来事を表象的に理解することによって、体験の意味づけが変わり、
別のとらえ方ができるようになる
「作業記憶(内的作業モデル)の再構成」が起きることが目標になります。

心の中の出来事(投影や転移)として過去の親子関係を想起しますが、
現実の対人関係に再演されたり、退行したりすることはないのです。
(それが起きるのは治療関係に問題があることが多いといわれています)

さて青年期(成人期前期)の不安定型アタッチメントスタイルは
夫婦あるいは恋愛パートナーとの関係で問題になってきます。
この時期は、「二者関係」の拡張の時期であり、
恋愛パートナーとの関係が対称的で互恵的になっていくことがテーマになります。
この時期の発達課題は「親密性 vs. 孤独」と表現されますよね。

アタッチメントスタイルは特定の文脈での脅威に対し
それを減弱する適応的なパターンとして身につけたものです。
たとえば、Aタイプ(回避型)は、逆境に順応し
否定的な情動や意図の表出を抑制することで、
表面上、アタッチメント対象が望むことに合わせようとします。

逆にCタイプ(アンビバレント型)は随伴性を変化させることで
アタッチメント対象の振る舞いに応じて自分の行動を変化させます。
これらのアタッチメントは応答が不十分な母親から保護され
慰められる確立を高める、非常に適応的なパターンだったのです。

そのため青年期から成人期初期のパートナーとの関係は
自分のアタッチメントスタイルと補完的な相手を選ぶことが多く、
男性は自分の母親に似た女性を選び、
女性は自分の父親に似た男性に惹かれるという俗説は
アタッチメントからみると、あながち間違いでもなさそうですよね。

問題は特定の文脈の脅威がないにも関わらず、
慣れ親しんだパターンが無意識的に繰り返されてしまうこと

現在の対人関係(夫婦あるいはパートナー関係)に困難をもたらしていることを
どう変化させていけばいいか、ということなのですよね。

次回はいよいよ思春期以降、青年期から成人期の
アタッチメントの治療について解説しますね。

とにかくやってみよう──不安や迷いが自信と行動に変わる思考法

とにかくやってみよう──不安や迷いが自信と行動に変わる思考法

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
大切な相手に病気のことを伝える」というタイトルで、
「「伝える」行動を邪魔している考えは何か?を知る」こと、
「思考を現実と思ってしまう心の働き(脳内劇場)」を見つける
「自己対話」のプロセスが大切なことを書いています。

摂食障害治療では、「健康な部分」と「摂食障害の部分」の闘いに気づく
自分自身を観察する視点を育むことが何よりもまして大切なのです。

これは自分が自分自身の「安全基地(セキュア・ベース)」になるということで、
アタッチメントの修復を行うときも、自分に対する優しさ(自慈心)の土台になりますし、
他者とのコミュニケーションに取り組むときにも大切な視点になります。

三田こころの健康クリニックでは、自分自身との関係を調和し、
他者との関係を改善していく対人関係療法によって、
過食症」や「むちゃ食い症」、「慢性の抑うつ状態」や「アタッチメントの治療
「休職を繰り返している方の復職支援」も行っています。

通院しているけど薬を出されるだけで良くならないと感じている方は
三田こころの健康クリニックに相談してくださいね。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 摂食障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村