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如実知自心〜対人関係療法@三田こころの健康クリニック〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2014-07-28

摂食障害の対人関係療法で自己肯定感(自尊心)を回復する

摂食障害からの回復には
『両親、恋人、友達による「共感と理解」「受容や承認」』が必須
であることが『摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社
の中で述べられています。

つまり、痩せていても太っていても、もし他者あるいは自己に受け入れられ、肯定されるのであれば、痩せることで他者あるいは自己に受け入れられようとする気持ちは緩和する。
体型にかかわらず、自己を受容し、他者に受容される場では、痩せていることに大きな意味はなくなるからだ。

「自分が承認され受け入れられたと感ずる」体験には、人を「一定の世界観に埋没した状態から解放する」作用がある。

摂食障害とは、いわば「痩せている自分には価値がある/痩せていない自分には価値がない」という世界観に埋没している人々なのであり、受容や承認という経験は、こうした世界観からの解放をもたらすものとして作用していると言えるだろう。

摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社

「痩せている自分には価値がある/痩せていない自分には価値がない」
という
条件付きの肯定的関心」の世界に閉じ込められ
ありのままの自分を表現することができない環境や
ありのままを受け入れられ肯定された経験の少なさ
が影響している摂食障害
の患者さんにとって、
「痩せていても太っていても、他者あるいは自己に受け入れられ、肯定される」という体験は
無条件の肯定的関心」であり
その人の「存在そのものを肯定される」という
自尊心の土台(自己肯定感)にも関わってきますよね。

摂食障害対人関係療法による治療課題に

○ 自分のまわりの状況(特に、対人関係に関するもの)に変化を起こすよう試みる
○ 自分の気持ちをよく振り返り、言葉にしてみる

がありますが、これによって

・自分を傷つけそうな評価を特に気にする(周りに合わせる)
・相手からの想像上の評価を気にする(自己主張しない)

という「評価への過敏性」という問題領域に取り組んでいきます。

その中で重要な他者から

☆ 存在そのものを認められる
☆ 自分の意見を表現することが尊重されている

という「無条件の肯定的関心」を向けられることで
自分は自分のままでいい(他人は他人)
と自分の存在を認めることができるようになります。
この自分で自分を認められる気持ちが
自尊感情(自己肯定感あるいは自己志向)
です。

対人関係療法であつかう「決めつけ(評価:ジャッジメント)」や
「だれの問題なのか」という「境界線の問題」に対しても、
「実際の(リアルな)やりとり」に対して明確にすることで
双方向性に主体的に関わることができるようになりますよね。

さらに環境や人との相互作用によって身についた
「自己志向(自尊心)」という性質・性格が、
「新奇追求の高さ」と「損害回避の低さ」という
気質が出した「過食へのゴー!サイン」にストップをかける

つまり性質・性格が気質を調節する形で
コントロール感覚(自己効力感)につながる
ということですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元」というタイトルで
摂食障害対人関係療法による治療
焦点とする問題領域として選ばれることの多い
評価への過敏性」について解説しています。

このことは、ほとんど知られていないのですが、
似て見える2つの次元の「評価への過敏性」では
それぞれについての取り組み方が異なるため、
一方では愛着の問題や愛着スタイルを明確にする必要があり、
もう一方では行動を活性化する必要があるなど
区別しないと不適切な治療になってしまう可能性があるのです。

これは対人関係療法治療の質にも関わることなので
摂食障害対人関係療法による専門的な治療を希望される方は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-07-22

過食症の食生活の改善

摂食障害とくに過食症治療病気がよくなっていく過程は

・やせ願望が緩和されていくプロセス
食生活が正常化していくプロセス

の2つのプロセスがあることが知られています。

水島先生も書かれているように

過食症の過食は「ダイエットの反動としての過食」と「ストレス解消としての過食」が混在しています。
前者(ダイエットの反動としての過食)をなくすためには、きちんと食事をとって必要な栄養を摂取していく必要があります。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』水島広子・著 紀伊國屋書店

食生活が正常化していくプロセスは
ダイエットの反動としての過食(飢餓過食)」が治っていくプロセスで
そのためには

過食を押さえつけない
過食を抑えるには、とにかくちゃんとしたものをちゃんとした量食べるしかありません。
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』水島広子・著 紀伊國屋書店

ということですが、対人関係療法では原則として直接扱わないんですよ。
それは、

生活習慣に焦点をあててしまうと患者さんが直視しなければならない対人関係の問題から逃げやすくなってしまうからです。

という理由があるからなのです。

この「ダイエットの反動としての過食(飢餓過食)」が治っていくプロセスは

痩せ願望が弱まっても、普通の食生活に自然に戻れる人ばかりではない。
摂食障害である間は、過食か絶食かという極端な食生活になりがちなので、一回の食事の量の感覚、空腹や満腹の感覚がなくなっていることも多い。
したがって、普通の食事に戻していくには、一定期間、意識的に食事を摂っていくことが効果的なケースもある。

摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社

のように、「意識的に食事を摂っていく」ことで
身体感覚を回復し、「自分自身との折りあい」をつけていくプロセスとして重要なものなのです。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本ー実践編』には

どうやって過食をとめたらよいのか
日常の食生活で心がけること
過食を止めるためには、1日3回の規則正しい食生活の確立が大切です。
1日1回しか食事をしない人は2回に、2回の人は3回に増やしましょう。
最初は食欲と関係なく時間帯を決め、食べる練習をして下さい。
規則正しく食事をすることが、過食の衝動を抑えることにつながります。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本ー実践編』切池信夫・監修 日東書院

とあるように、
衝動過食や習慣過食など強迫-衝動スペクトラムの要素のある人にとっては
非常に大切な取り組み方(練習)になります。

対人関係療法では「心のブレーキを外すトレーニング」とか
「少しずつ慣らす」ということですが、

Oさんも、際限なく太るのではないかと《本気で思っていた》と書いているが、拒食症過食症の人にとって、吐かずに普通に食べ始めること自体が、たいへん大きなチャレンジなのだ。
未知の領域に足を踏み入れる時、人は恐怖を感じるし、立ち止まりたくなる。
そして、身体や食欲をコントロールするという、いつもの慣れ親しんだ苦しみの世界に留まってしまう。
しかし、Oさんが述べているように、《食べたいときに食べたいだけ食べても、そうそう簡単に太るもんじゃないんだ人間て》。
際限なく太るのではないかという恐怖は《幻想だった》のだ。

摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社

「食べる」という現実に取り組むことで、向き合う必要があることは
「慣れ親しんだ苦しみの世界に」留まらないという、
今の不健康な「安定」に逃げ込まず、
本当の意味での安定に向かう勇気を持つこと
になりそうですよね。

その先にあるものは

ガレットのインタビューでは、回復者から、コントロールを手放しても大丈夫なのだという身体への信頼が語られていた。
身体は敵ではない。コントロールをしなければ暴走していくような無知なる存在でもない。
身体には叡智があり、それは私たちにさまざまな形でメッセージを送ってくれる。

摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社

という自分自身(と自分の身体)に対する信頼感の回復ですから、
いますぐに摂食障害対人関係療法などの専門的な治療を受けることができない人でも
次の食事からすぐにでも始められる方法ですし、
自分の身体や食欲を信頼していく勇気を持って、
「身体への過剰なコントロール」を手放す一歩を踏み出してみて下さいね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
習慣および衝動の障害としての過食症」というタイトルで
「ストレス解消としての過食」の根底にある「気分不耐」と
過食に対する「耐性」や「プチ解離」が「ダイエットや過食の依存」につながる

ということを書いています。

いい加減な短時間診療やアヤシゲな電話相談などに惑わされず
「その人に合った治療のやり方を考える」必要がありますので、
摂食障害対人関係療法による専門的な治療を希望される方は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-07-14

摂食障害の対人関係療法による治療

4月末に『摂食障害と寄りそって回復をめざす本ー実践編』が
出版されました。
一般向けの本としては『拒食症と過食症』に続くため
「実践編」と銘打ってあるのかもしれませんね。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本

摂食障害と寄りそって回復をめざす本

その中で対人関係療法について触れてありました。

治療は3期に分かれていて、第1期は1週間に2回を2週間、摂食障害を発症して維持している対人関係の分析に当てられています。
第2期は1週1回を4週間、現在の問題となっている対人関係のゆがみに直面し、これを快適な対人関係に変えていきます。
第3期は2週間に1回を数度、全体で12〜16週間、良好な対人関係の持続と将来起こり得る対人関係上の問題に対する対処法をまなぶことなど、からなっています。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本ー実践編』切池信夫・監修 日東書院

このやり方は、水島先生が厚生労働科学研究の
対人関係療法(IPT)の有効性に関する研究』で発表され
水島先生の教えを受けた対人関係療法治療者がスタンダードに用いている
『神経性大食症用対人関係療法(IPT)マニュアル』
とは違っています
ので注意して下さいね。

まず回数については、20回を超えないとされています。
マニュアルには例として16回のやり方を書かれているので
見よう見まねでやっている治療者はそう思いこんでいますよね。

しかしマニュアルをよく読むと20回未満になっていますし
期間限定にこだわりすぎるのは対人関係療法の質を損ねる
ということもわかっています。
対人関係療法は「患者さんの現実に合わせる」という鑑別治療学を重視しているので、
三田こころの健康クリニックでは20回までとしています。

治療は3期に分かれているというのはそのとおりなのですが、
基本的に一回50〜60分で、初期から中期まではセッションは毎週行います。
1週間に2回を2週間ということはやりませんので
これは違っていますよね。

初期(第1期)は週に1回、通常3〜4セッション
治療の土台作りとして「疾患教育」や「病者の役割の付与」、
病気と問題領域の関連づけ(フォーミュレーション)」、
「焦点とする問題領域」と「治療目標の設定」など
治療の方向性を考える非常に大切なセッションになります。

中期(第2期)は週に1回、9〜12セッション行いますから
「第2期は1週1回を4週間」も違っていますよね。(これだと4セッション

実際の対人関係療法では、中期には「焦点とする問題領域」に取り組み、
出来事と治療関係に関連した「感情のモニタリング」や
対人関係スキルを向上させるための「さまざまな対人関係技法の修得」に当てられます。

この中期で目指していくのは
「主体性や能動性の確立」
ということなのです。
(『対人関係療法の取り組み方〜自分の選択に自覚と責任を持つ』参照)

「対人関係のゆがみに直面し、これを快適な対人関係に変えていき」というのは、
対人関係療法に関してのよくある誤解で、
対人関係療法では「対人関係のゆがみに直面」させたりしないのですよ。

この誤解を元に、
「快適な人間関係」という「適切な方向」に患者さんを進めることや
「相手に伝える」ことを至上の課題のように扱うことなどは、
対人関係療法では「質を損ねる問題」とされていますから要注意ですね。

終結期(第3期)は2〜3セッションで、
治療の地固めとして、治療の中での変化を振り返り、
患者さんが得たスキルの確認と、
再発の徴候、その時使えそうなスキルを話し合うだけでなく、
終結についての感情もサポートする重要なセッションです。

この終結期は「2週間に1回を数度」ではなく
毎週だったり、2週間に一度だったり、
あるいは患者さんによっては月に1回だったり、
その頻度も患者さんの現実に合わせるということなのです。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本ー実践編』に書かれている
対人関係療法の解説と、実際の対人関係療法はかなり違いますので
水島先生の本と読み比べてみてくださいね。

ちなみに。
先日お知らせした『みんなで学ぶ対人関係療法』は
7月11日の受け付け開始から4日目にして満席になり、
現在、キャンセル待ちの状況だそうです。
チラシは三田こころの健康クリニックに置いてありますので、
参加ご希望の方はお早めに申し込みくださいね。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
ダイエットの反動としての過食」というタイトルで、
過食性障害(むちゃ食い障害)も含む『過食症』の根底には
ダイエットの反動としての過食(飢餓過食)」と
「ストレス解消法としての過食(ストレス過食)」
という
2つの構成要素があることを書いています。

ダイエットの反動としての過食(飢餓過食)」に対して
水島先生流の対人関係療法では
どのようにして自分との折りあいをつけていくのか
について解説しています。

とくに過食をともなう摂食障害対人関係療法による治療を希望される方は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-07-11

「みんなで学ぶ対人関係療法」のお知らせ

[=f:id:ipt-therapist:20140711192031p:image:w360
f:id:ipt-therapist:20140711191836p:image:w360
「みんなで学ぶ対人関係療法」のお知らせ
●日時:8月23 日(土曜)10:00〜16:00(昼休憩あり、質疑応答あり)
  ※講演終了後(16:00以降)、水島広子による著作サイン会を開催
   (主要図書は現地で購入可能)
●時間:10:00〜16:00 (9時半開場 昼休憩あり)
●場所:東京産業貿易会館6階 商工会館研修室 (JR浜松町駅徒歩5分)
●参加費:8000円 (税込み、資料代含む)
   事前に振り込みをお願いします。
●定員:先着90名
●対象:一般向け(どなたにもご参加いただけます)

詳細はこちら→http://ipt-event.com/

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2014-07-07

対人関係療法による自尊心の高め方

医療の分野では思いやりのある行動が大切だということはわかっているが、現実にはわれわれの多くが、感情的な絆を作り上げることよりも技術的な問題や生化学的問題の方を優先しがちである。

とロチェスター大学医療センターの研究チームが
"Health Expectations"誌に発表された論文で述べています。

これを精神医療に当てはめて考えてみると、
精神療法(感情的な絆)よりも薬物療法(技術的・生化学的な問題)を優先しがち
ということになりますかねぇ。

ちなみに、対人関係療法の代表的な技法でもあり
出来事と感情という「文脈」に焦点を当てる
「コミュニケーション分析」は
精神療法の非特異的因子でもあり、かつ、
最も重要な治療関係の構築の土台となる
「感情的な絆」の構築に役立つ
ということがわかっています。

実際、"USC Marshall School of Business"の研究で
自分と同じような感情的反応を示す誰かと感情を共有することが
ストレス軽減につながる
という結果が出ています。
ここで連想されるのが
情動調律(アチューンメント)」ですよね。

乳幼児期のごく早い段階に共感能力に乏しい親のため
不安の緩和や行動に対する支持や賞賛を経験しなかったり
親に対して充分な愛着希求行動を発揮しかったりすると
「安全感(安全基地)」を内在化しないまま成長することになります。

"Journal of Child Psychology and Psychiatry"(小児心理精神科誌)に

母子関係の障害(肯定感を得られないこと)は、感情コントロールの困難をもたらし、成人期の適応に影響を及ぼす。

という論文が掲載されていました。

これまで見てきたように環境との関わりが大きい
「自己志向」「協調性」「自己超越」などの「性格(キャラクター)」は、
環境からの影響(たとえば不適切な母子関係)によって
不適応的な行動に導く危険性を持つという結果とも読めますよね。

人の行動を自動的に触発、抑制、維持・固着する反応は、
それぞれ「新規追求性」「損害回避」「報酬依存」という
発達初期の「気質(テンペラメント)」
によって決定されます。

さらにこれらの反応は、周囲の環境との相互作用によって
経験にもとづく自己洞察学習で再組織化され、新しい適応的な反応に変化し、
「自己志向」「協調性」「自己超越」などの「性格(キャラクター)」
気質を調整するかたちで「パーソナリティ」の成長へとつながります。

この時に自己洞察学習を後押しするのが
乳幼児期から形成された「愛着スタイル(対人関係パターン)」
であり、
これが「パーソナリティ」の形成に重要な意味を持ちます。

また一方で、「性格(キャラクター)」は
環境を変化させることによって修正可能な部分でもあるのです。
つまり対人関係の質を変化させることが自己洞察学習の体験(修正情動体験)につながり
自尊心の回復が期待される
ということですよね。

自分はこれでいいのかもしれないという「自己肯定感」と
まぁなんとかなるだろうという「自己効力感」という
「2つの要素からなる自尊心」の修復・回復に必要なプロセスが
三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』に書いた
ありのままの自分と出会う」「ジャッジメントに気づき手放す」ということでした。

今回は「自分の選択に自覚と責任を持つ」というタイトルで
「自覚(アウェアネス:気づき)」を基盤に
「ありのままの自分」をみとめる「自己モニタリング」や
「ジャッジメントでない評価(evaluation)を行う」ことが
「能動性(主体性・自発性)」であり、
「自尊心の土台」となることを書いています。

対人関係のストレスが軽くなり、自分のコミュニケーションにどうにか自信がついてきて、まず精神的に楽になります。
その後、だんだんと食行動が正常化してきます。
「症状はストレスの表れ」ですから、食行動の方がストレスよりも先によくなるということは考えられないのです。

水島広子・著『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

にある、「自信がつく」心のメカニズムについて解説しています。
ここまでのことを踏まえて、来週からはいよいよ
摂食障害」の対人関係療法の解説シリーズに入りますので
楽しみにしていてくださいね。

また「気分変調性障害」や「過食症」「過食性障害(むちゃ食い障害)」など
自尊心の低下する病気対人関係療法による治療を希望されている方は
是非、参照して下さいね。

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2014-07-01

自己愛と自尊心の愛着(アタッチメント)との関連

パーソナリティ障害のうち

・傷つきやすい自己愛性(過敏型自己愛)
抑うつ
・自己敗北性(マゾヒズム性)

では「悪意のある自己評価(malignant self-regard:MSR)」
が共通していたという論文がありました。
ここに挙げられているパーソナリティ障害の類型は
「特定不能のパーソナリティ障害」に分類されます。

いずれも「羞恥心に対する防衛」が基盤になっており
「理想の自己(尊大さ)」と「現実の自分」の乖離(ギャップ)から
悲観や自責、あるいは自己破滅的な言動など
さまざまな表現形をとる「自己愛」の病理のようです。

過敏型自己愛については
無力型気分変調症と愛着(アタッチメント)
を参照してくださいね。

親に共感性の乏しさがあった場合や、
乳幼児期のごく早い段階に不安の緩和や
行動に対する支持や賞賛を経験しなかったり、
「評価」の押しつけや「過干渉」など親の要因、
あるいは、親に対して充分な愛着希求行動を発揮しかったり
親に対する失望を感じたり、など子側の要因で
早期体験(安心感(安全基地))を内在化しないまま成長すると
「誇大な自己像(理想の自己)」が肥大化する一因
になります。

この「誇大な自己像(理想の自己)」は「強さへの幻想」であり
自己評価の高さと正反対の「ありのままの自分の否定」なのですが、
これは同時に不安や抑うつに対する防衛としても働くと同時に
慢性の抑うつ状態では、症状としても表れるのです。

自己愛は親子関係など対象関係(二者関係)を基盤に形成されていきますが、
健康な自己愛(自己尊重)と病的な自己愛(尊大さ・過敏性)は
「自尊心」が健全に育っているかどうか
の違いがあります。

自尊心(自己肯定感)の低さに基づく「尊大さ・過敏性」では
自我機能は、依存的で未熟で、強迫傾向と衝動性を合わせ持つことから
発達障害・愛着障害から「ボーダーライン・チャイルド」へ
で挙げた「ボーダーライン・チャイルド」としての特徴も有しますし、
落ち込みや自信のなさを何とかしようとして、
ダイエットから摂食障害、あるいはアルコール依存などを
発症してしまうこともよくみられることなのです。

このような自己愛の病理(低い自尊心)では
「ありのままの自分」や「現実」を認識する自己客観視は
「誇大な自己像(理想の自己)」に違和感を抱く以上に困難なのです。

気分変調性障害の「自分をいじめるかたちの考え」
=「悪意のある自己評価(malignant self-regard:MSR)」を
思い浮かべてみるとわかりやすいと思いますが、
気分変調性障害では、コミュニケーションが抑制的であると同時に
(場合によっては、外では従順で家の中では暴君という「内弁慶」)
「ものごとがうまく進まないのは自分から発信している情報が足りないからだ」
という自覚がほとんどないのも特徴とされていますよね。

対人関係療法ではこのような自己愛の病理を有する疾患、
たとえば「摂食障害過食症やむちゃ食い障害)」「気分変調性障害」に対して、
対人関係療法-思春期版(IPT-A)のように
愛着関係(安全基地)の再構築を行っていくこともありますし、
あるいは気分変調性障害に対する対人関係療法のように
ジャッジメントに気づき、手放す
靄(もや)を通して現実とやりとりする
ことで進めていくこともありますが、
治療者が見ているのは「自尊心(自己肯定感)」なのです。

対人関係療法でどのようなすすめ方をするかは、
その人にもっとも適切な方法を「鑑別治療学」によって考えるということですよね。

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
対人関係療法のこころの姿勢〜ジャッジメントに気づき手放す」というタイトルで
「理想化された自己である監視者」という自己愛の病理があると
ジャッジメントを手放すことが困難なのですが、
ここで必要になるのが医学モデル」「病者の役割」
であることを書いています。

過食症や気分変調性障害で対人関係療法を受けたいと考えていらっしゃる人は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-06-23

発達障害・愛着障害から「ボーダーライン・チャイルド」へ

愛着の形成と発達課題』でふれた

(1) 内面的に幼児性を引きずり、自己中心性が高い傾向にあり、心身ともに脆弱で、不満耐性、自律心・克己心などが欠けている。
(2) いわゆる四無主義(無気力、無感動、無関心、無責任)が顕著である。
(3) 依存的、受け身的で、自発性や主体性に乏しく、いわゆる指示待ち人間、マニュアル型人間が多くなっている。
(4) 自己確立が遅れ、モラトリアム人間、発達課題の未達成などがある。

山崎晃資「気になる子どもの診断(1)―発達障害といわれる子どもたち」『CS研レポート』62: 38-49, 啓林館, 2008

などの特徴を示す現代の思春期青年期の子ども達は
ボーダーライン・チャイルド」と類似点が多い
と山崎先生はおっしゃっています。

ボーダーライン・チャイルド」は
乳幼児期のごく早い段階での誤った養育態度
―虐待・拒否・ネグレクトなど―のために、
安定した親子関係を経験することができなかった子どもが、
性格形成の過程で歪みを生じさせた状態と考えられています。
あるいは、過干渉や過保護などもよく見られるところです。

同時に、子ども側の要因としても愛着行動の発現が乏しいため
結果として親子関係における愛着の形成が乏しく
同調性や協調性を持てなくなるようです。

これらの生まれつきの子ども側の要因(気質)と
養育環境(関係性)によって培われる性格が複雑にからみあって、
パーソナリティを形成していきますが、
そのパーソナリティが未成熟な場合を
ボーダーライン・チャイルド」と呼んでおられるようです。

まさに愛着の質の障害が小学校中学年以降、
思春期から青年期にかけてどのような発達プロセスをたどるかについて
愛着(アタッチメント)形成に関連する問題
で触れたような示唆を与えてくれますよね。

さてボーダーライン・チャイルド」の特徴として

(1) 自我機能が変動しやすく,神経症レベルから精神病レベルまで移りやすい。
(2) 不安の処理が下手で,パニックに陥りやすい。
(3) 空想と現実のできごとを混同し,パターン化したものに興味をもつ。
(4) 未熟な依存的愛着を示すが,対人関係のあり方は不安定である。
(5) 衝動コントロールが不得手で,些細なことでキレたり、リスト・カッティングをくり返す。

が挙げられており、虐待やネグレクトなどの著しい病的な養育はなく、
ジーナーらの分類ほど「安全基地のゆがみ」もないけれども、
「不安定型愛着スタイル」で適応が困難になっている場合は
「反応性愛着障害」や「トラウマ関連障害」というよりも
ボーダーライン・チャイルド」と呼んだ方が適切
なようですね。

セラピスト

セラピスト

最相葉月・著『セラピスト』に現代の学生の特徴として

一つは、先に高石が語ったような、「悩めない」学生の増加である。
問題解決のハウツーや正解を性急に求める学生と、漠然と不調を訴えて何が問題なのかが自覚できていない学生に二極化してきており、とくに後者については、内面を言葉にする能力が十分に育っていないために大学に適応出来ず、対人関係にも支障をきたし、いきなり、自傷、過食嘔吐、過呼吸、過敏性腸炎、つきまとい、ひきこもりなどの行動化・身体化に至ってしまう。

最相葉月・著『セラピスト新潮社

ということが挙げられていました。
ボーダーライン・チャイルド」の特徴と符合するみたいですよね。

このような特徴をもった「摂食障害過食症)」や
「気分変調性障害(慢性うつ病)」の患者さんも
三田こころの健康クリニックに対人関係療法を申し込んでこられます。
その際、治療の過程で必要になってくるのは
「病者の役割」を引き受けられるかどうかと「自己モニタリング」
なのですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
対人関係療法による変化のプロセス〜ありのままの自分と出会う」というタイトルで
対人関係療法の初期に行う「ライフチャート」の記入が
自己モニタリングとジャッジメントを手放すことにつながり
それが「自己肯定感と自己効力感の土台」になることを書いています。

実際、アタッチメントに問題を抱えている人では
ライフチャート」を書くことは辛かったけど、
振り返ってみてすごく楽になったとおっしゃっています。
対人関係療法を受けてみようかなと考えていらっしゃる人は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-06-16

過食症の背景と対人関係療法の適応

過食症の68%、拒食症から移行した過食症の62%に
なんらかの「不安障害」が併存する
と言われてします。
とくに「強迫性障害」がもっとも多かったという報告があり、
過食症の40%前後に認められたとされています。

三田こころの健康クリニックでの自験例の場合
摂食障害強迫性障害が併存しているケースでは、
アスペルガー症候群広汎性発達障害など
自閉症スペクトラムの要素を有する場合が多かった印象があります。

強迫性障害」が併存する場合や、
思春期から青年期になってはじめて診断される
診断閾値を超えた「自閉症スペクトラム」や、
アルコールや薬物などへの依存(≒嗜癖)が併存している場合、
原則的には対人関係療法の適応にならないのですが、
三田こころの健康クリニックで主疾患である摂食障害に対して
対人関係療法を行ったケースでは、それでも改善を認めているのです。

さらに過食症の場合、同時に多衝動性を有している場合が多く(『過食症と衝動性』参照)
過食症と合併しやすいアルコール乱用や
衝動買いなどのその他の「嗜癖(アディクション)」(『摂食障害と依存』参照)
あるいは「クレプトマニア」と呼ばれる「窃盗癖」など(『摂食障害と問題行動(万引き)』参照)
衝動行為の種類によって過食症との関連が異なるようです。

パーソナリティ障害とは何か (講談社現代新書)

パーソナリティ障害とは何か (講談社現代新書)

三田こころの健康クリニックでは、生まれ持った「気質」と、
環境との相互作用で形成された「性格・性質」
そして状況対処パターンである「パーソナリティ」を考慮することで
対人関係療法を導入するかどうかを考えています。

パーソナリティに関していえば
「自分との折りあいの問題」であるクラスターC群のうち
「回避性パーソナリティ」や「依存性パーソナリティ」は
対人関係療法が向かないことが多いのですが、
「強迫性パーソナリティ」は対人関係療法の中で
安心して自分のペースが尊重されると変化が可能になります。

また「重要な他者との関係で主観と客観が混同しやすい」
クラスターB群のうち、「境界性パーソナリティ」や
「過敏型の自己愛性パーソナリティ」はいい適応になります。

しかし、「外界(社会)との折りあいの問題」である
クラスターA群のうち、「スキゾイド」や「スキゾタイパル」、
あるいは「妄想性(パラノイド)パーソナリティ」は
自閉症スペクトラム」と関連性が高く、
残念ながらこのタイプは対人関係療法は不向きのようです。

唯一、クラスターA群のパーソナリティのうち
双極性障害とくに双極II型と関連がある「サイクロイド(≒循環気質)」は、
対人希求性が高いけれど空回りしやすく、その意味で刺激の量と強度を調節していく
社会リズム療法」と「対人関係療法」を併用することで治療が可能になります。

対人関係療法では、パーソナリティやパーソナリティ障害そのもの、
あるいは愛着の問題そのものは治療焦点とはしませんが、
治療の上で、その特性をどう活かすか
という視点でパーソナリティや愛着スタイルを把握
しているんですよ。

対人関係療法は誰にでも合う万能の治療法ではありませんが、
とくに環境との相互作用で形成される「性格・性質」が
環境調整や重要な他者との関係(「協調性」を高める)で変化すると、
「気質」を調節する形でパーソナリティの成熟にもつながります。

いいかげんな診断や治療・カウンセリングを受けて
もう過食症は治らないと諦めるのではなく、
三田こころの健康クリニックで一人でも多くの人に
ホンモノの対人関係療法の効果を実感して欲しいと願っています。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
拒食症の強迫性に対する対人関係療法」というタイトルで
拒食症でみられる強迫性について
対人関係療法ではどう治療していくのかについて書いています。

対人関係療法を受けてみたいと考えていらっしゃる人は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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2014-06-09

嗜癖としての摂食障害からの回復

摂食障害・過食症と衝動性・嗜癖との関係
でみたように、摂食障害は、
「渇望」を基盤とする「衝動性」と「強迫性」という
自己制御の問題も関与している可能性があります。

また『対人関係療法による摂食障害の治療7〜多衝動性過食症
でも触れたように「摂食障害」と「物質関連障害および嗜癖性障害」は
併存しやすいことが知られています。

摂食障害も嗜癖性障害もともに
抑うつや不安、あるいは自尊心の低下を伴うことが知られており、
治療では、心理的要因を明確にすることが重要と言われています。

『Mental Health and Substance Use(メンタルヘルスと物質使用)』
という雑誌に掲載された論文では、

摂食障害の重症度は、不安症状と抑うつ症状と関連している
・物質使用(依存や乱用)は、不安症状と低い自尊心と関連している
・物質嗜癖が重症なほど、不安が強く自尊心は低い

ということが示されています。

摂食障害、とくに過食症の臨床では精神療法が主役のはずですが、
多くの医療機関抗うつ薬や第2世代抗精神病薬が投与されます。
しかし、薬物療法抑うつ症状や不安は軽減しても
自己肯定感や自己効力感を高めることはできず、
逆に、治療薬への依存を招きかねないリスクがありますよね。

そもそも、摂食障害も嗜癖性障害も
「渇望」を基盤とする衝動性と強迫性の問題
であるなら、
そこには、「新奇追求の高さ」と「損害回避の低さ」で形作られる
境界性・強迫性・回避性⇔反社会
というパーソナリティ
の軸が見え隠れし、
「自己志向の低さ」という性質・性格からは
依存性・気分循環性というパーソナリティ
が関与しているようで
「渇望」の背景にある「気分不耐」が浮かび上がってきます。

つまり、嗜癖行動の原動力である「渇望」は
「気分不耐」から生じ、「内的苦しみからの一時的な開放感」や
「自発性・合理性能力の低下」を伴う
ことから、
気分解消行動である嗜癖や食行動異常が持続することになりますし、
「損害回避の低さ」は「自己志向の低さ」の結果である可能性も考えられます。

「損害回避の低い」傾向は「嘔吐を伴う過食症」よりも
嘔吐を伴わない過食症」や「むちゃ食い障害」の方が顕著であり、
さらに「むちゃ食い障害」の基準を満たさない
「特定不能の摂食障害」に分類される
「ダラダラ食い」や「夜間摂食症候群」などに
「損害回避の低さ」や「気分不耐」がみられることが多いようです。

ということは、

・「気分不耐」というシステムはどこで不具合が生じているのか
・逸脱した行動が修復されずに、同じパターンの行為を繰り返すのはなぜか
・気質や性質・性格にどのように働きかければ、パターンの再構築が可能になるか

を考える必要があるということですよね。

つまり、現実化の行動に向けた自己決定や行為を選択する「主体性」「自発性」が
不具合を変化させることが可能
であることから、そこに浮かび上がってくるのは
「自己志向」と「協調性」であり、
クロニンジャーの理論対人関係療法が協働する部分でもあるのですよね。
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』も参照して下さいね。

ダイエット依存症 (こころライブラリー)

ダイエット依存症 (こころライブラリー)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の強迫性と自己愛」というタイトルで
「嗜癖(アディクション)としての過食症」の治療で問題となる
強迫性や過敏型自己愛とジャッジメントとの関連や
レジリエンス(治癒力)を引き出す治療としての
対人関係療法での焦点付けについて書いています。

摂食障害では、3食きちんと食べられるようになると強迫傾向が減り
ダイエットの反動としての過食」が治まってくる
ことも知られています。
つまり「損害回避の高さ」という不安傾向は、
食べるという「自己志向」に基づく自己効力感により
軽減されるということですよね。

本格的な対人関係療法を受けてみたいと考えていらっしゃる人は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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2014-06-02

対人関係療法で取り組んでいくアタッチメント課題

たとえば気分変調性障害(慢性うつ)や
摂食障害などさまざまな精神疾患の中核にあるのは
クロニンジャーのいう「自己志向」つまり「自尊感情」です。

クロニンジャーの理論では
人の行動を自動的に促進(「新規追求」)、抑制(「損害回避」)、
あるいは調節(「報酬依存」)する反応は、
発達初期の「気質(テンペラメント)」によって決定するとされます。

これらの「気質」による反応は、その後の経験による学習によって
「自己志向」や「協調性」「自己超越」などの「性格(キャラクター)」で調整されながら、
適応的な新しい反応に変化していき、
「性格(キャラクター)」が「気質(テンペラメント)」を調整するかたちで
「パーソナリティ」の成長へとつながる
とされています。
(参考:北村メンタルヘルス研究所「気質と性格研究」

環境や対人関係との関わりが大きい「性格(キャラクター)」は、
環境からの影響により不適応を引き起こす危険性を持つ一方で、
環境を変化させることで修正可能な部分でもある
ことがわかっています。

さまざまな精神疾患の発症には
「気質(テンペラメント)」と「性格(キャラクター)」が大きく関与しており
これらは環境(とくに愛着スタイルなどの対人関係)と密接な関わりがあります。
つまり、「性格(キャラクター)」に影響を与える対人環境は
「自己志向」と「協調性」の形成に大きく影響すると同時に、
「自己志向」と「協調性」は関係性によって育まれる
ということですよね。

つまり『愛着(アタッチメント)形成に関連する問題』で触れた
愛着の問題によって思春期以降に明らかになるさまざまな精神疾患は、
対人関係を変化させることで修正可能(治療可能)ということですよね。

たとえば「嗜癖(アディクション)」の要素をもつ「過食症」では
「新規追求性」という「気質」がアディクションに「GO」サインを出す一方、
「自己志向」という「性格」がアディクションに「STOP」をかけます。
これを可能にしているのは、親の養育態度の良好さであることが
これまでの研究でわかっています。
(拒食の要素のある過食症では「損害回避」の高さも関与します)

「やせ願望」の精神病理―摂食障害からのメッセージ (PHP新書)

「やせ願望」の精神病理―摂食障害からのメッセージ (PHP新書)

思春期から青年期にかけての環境のなかでの
発達課題や達成課題がクリアーされていない場合、

・基本的信頼感が不全のため自己肯定感(自己志向)が十分に育たず
・苦境やストレスに対して感情コントロールが困難で
・対人関係が全般的に不安定となったり
抑うつ引きこもりや回避傾向、多動傾向、攻撃的・反抗的、非行や反社会的な行動などさまざまな問題に表れる

場合が多く、そのために「現実の対人関係」が乏しくなり、
想像上の相手との関係に終始し(「協調性」の低下)、
状況に応じた対応がうまく機能していないことに対して
自分自身を省みることが出来ずに(「自己志向」の低下)、
対人関係を回避したり、他者のせいにするなどの他罰傾向が、
「自分は愛着障害(幼児期の母子関係の問題)なのではないか?」
と感じてしまう人たちの特徴としてみられるようです。

タルボットらは、幼児期のトラウマの影響で
発達段階で身につけるべき課題が妨げられた結果としての症状を
「対人パターン」として対人関係療法の問題領域とすることを提唱しています。

・慢性的な恥の感覚
・慢性的な社会的引きこもりと愛着関係を作ることの回避
・親しい関係において慢性的に要求が多く安心を求める
・持続する対人不信
・パートナーからの暴力など深刻な不和のくり返し
・親しい関係を突然やめることのくり返し

この「対人パターン」は、三田こころの健康クリニックでは、
トラウマ関連の症状と位置づけ、患者さんの文脈に応じて
トラウマの問題領域である「役割の変化」や「役割期待の不一致」、
「気分変調性障害(慢性うつ病)」で扱う「対人学習」や
「思春期うつ病に対する対人関係療法」などに組み合わせて
適応することが多いのです。

つまり重要な他者の協力(重要な他者との関係性の質の変化)や
社会的な対人関係の場での「対人学習」

修正アタッチメント体験や修正情動体験として機能し、
「コントロール感覚(自己効力感)」が培われていき、
「自尊心(自己肯定感)」を高めるということにつながってきます。
ほとんど知られていないことですが、
これが対人関係療法が効果を示す原理なんですよ。
この「コントロール感覚(自己効力感)」を持つことと
「自尊心(自己肯定感)」を高めていくことは
対人関係療法による治療の最終目標ですよね。

そして患者さんに求められることは
不合理な現実から抜け出し、変化することによって、
新しい世界を築いていく
という「病者の役割」であり、
治療中は治療を最優先に考え、感情を指標に、
現実(とくに対人関係領域)に変化を起こすことを試みる
という
実体験による「対人学習」に基づいて目指す目的のために自らを変化させていくこと
に取り組んでいくということですよね。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の衝動性の背景」というタイトルで
「嗜癖(アディクション)としての過食症」の背景にある
「新奇追求性の高さ」と「損害回避の低さ」に対して
対人関係療法による治療で取り組んでいく目標について書いています。

対人関係療法を受けてみたいと考えていらっしゃる人は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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