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2017-03-21

過食症の不安とアレキシサイミアの治療

失感情症と訳されることの多いアレキシサイミアには

  • 自分の感情(情動)への気づきの欠如
  • 感情の言語化の障害
  • 内省の乏しさ

などの特徴があるといわれています。

加えて上記の特徴を持つアレキシサイミアでは

  • ネガティブな緊急性に対する衝動性(感情不耐による不適応的行動)
  • 他者への共感能力の欠如

があることも近年の脳科学の研究で知られるようになってきました。

自分および他者の心を知るためには
自分とは一歩離れた視点(俯瞰的視点)を持つことが必要なので、
アレキシサイミアは自己客観視の困難とメタ認知の障害と言われています。

最近の研究では、アレキシサイミア傾向が高い人は、

  • 内受容感覚を感情として解釈する傾向が乏しいこと
  • 感情を意識するために身体状態を参照する程度が低いこと

がわかっていて、そのため心で感じるはずの不安や寂しさ、空虚感を
間違って空腹感と解釈してしまい、これが過食につながりますよね。

過食症では、アレキシサイミアの程度に相関がみられ、
アレキシサイミア過食症の実際の重症度よりも治療反応を妨げる
という研究結果もでています。(Speranzaら(2007) )

また、アレキシサイミア傾向を有する人は
対人希求性が低く(つまり人に助けを求めることが少ない)、
不安や抑うつ、健康関連のQOLと関連していた、という報告もあります。

実際、過食症やむちゃ食い症の患者さんは
摂食障害治療を専門としていない医療機関
うつ病抑うつ状態とか、不安障害と診断されて
抗うつ薬が処方されていることが多いですよね。

内因性うつ病の植物神経(自律神経)症状として知られている

  • 体重減少と食欲の低下
  • 不眠
  • 疲労または気力の喪失
  • 思考力や集中力の減退、決断困難

なども、心理的な要因(ストレスや心的葛藤)の身体化症状として
アレキシサイミアと関連があるとされています。

過食症やむちゃ食い症の予後治療反応性を左右するのは
うつ病抑うつ状態ではなく、不安になりやすさ、
つまり考えに反応したネガティブ感情を抱えておけないこと
それを身体的空腹感や食欲(いわゆる過食衝動)と錯覚することであり、
これらが過食症やむちゃ食い症の持続(維持)因子になっていることが多く
そのことについてのメタ認知(自己客観視)と関連している印象があります。

過食症やむちゃ食い症をアレキシサイミアを伴う不安障害に対しての
非適応的な気分解消行動として見ると、治療方針は明確になります。

三田こころの健康クリニック新宿での対人関係療法
あるいは『8つの秘訣』を使った治療で説明しているように、

  • 自分との関係を改善する(心の状態の変化についての気づき)
  • 行動の仕方を改善する(感情・考え・情動のコントロールについての気づき)

を高めることに取り組んでいく必要がありますよね。

先日から読んでいる『不安のメカニズム』という名著に

  • 第1の恐怖:何らかの「危険」が生み出したもともとの恐怖
  • 第2の恐怖:第1の恐怖がもたらした身体の異常な感覚(よくあるのはパニック)に対する恐怖

という分類が載っていて、過食症やむちゃ食い症は
「第2の恐怖」に相当しますよね。

この本ではさらに症状を「疲労」として理解することで、

1)筋肉の疲労(筋緊張による)
2)感情の疲労(ストレスによる神経の過敏化による)
3)頭の疲労(恐怖をともなうしつこい考えによる)
4)魂の疲労(心身が疲れきった人はなにをするにも、何を考えるにも大きなエネルギーを使ってしまい、生きる意欲をなくす)

自分の症状や体験を深く理解することに役立ち、
その理解が、今の問題を和らげ、回復への道につながる
ことが示されています。

すごく示唆に富む本ですから、
摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』とともに
読んでみることをお薦めします。

三田こころの健康クリニックの『聴心記』では
摂食障害症状に隠された意味を理解する』というタイトルで、
摂食障害症状(乱れた食行動)から回復するためには、
もっとも奥まったところにある「無力感」や「不全感」、
「空虚感」をきちんと理解することが必要不可欠なことを説明しました。

摂食障害からの回復には、感情の解消を優先するのではなく、
課題を優先することに取り組むことが必要になります。
これはクロニンジャーの七因子モデルの「自己志向」のうち
「価値や目的の想像とそれに沿った行動」ということです。

三田こころの健康クリニック新宿では、定型的な対人関係療法とともに
8つの秘訣』に沿った治療も行っていますので、
不安になりやすかったり、過食後の抑うつうつ病と診断されて
服用している抗うつ薬をやめたいと考えている過食症・むちゃ食い症の方は
治療を申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-03-13

摂食障害の部分と健康な部分の対話2

摂食障害から回復するための8つの秘訣』の「秘訣2」
摂食障害の部分と健康な部分の対話」に取り組むときに
2)健康が部分が摂食障害の部分を説得しようとするために対話がうまく進まず、
過食がひどくなることがあります。

摂食障害の部分と健康な部分の対話がうまくすすまない人は
実際の重要な他者との関係でも相手を自分の意に従わせようとして
対話ではなくバトルになることが多いですよね。

対人関係療法でいうと「役割期待の不一致(不和)」なのですが
これを解消するには、「期待の整理」を進めていく必要があります。

期待の整理は、

  • 自分は相手にあるいは相手は自分に何を期待しているか
  • その期待はきちんと伝わっているか
  • どういう伝え方をすれば、受け入れてもらいやすくなるか
  • 実現可能かどうか、実現可能性が低ければどのように変えればいいか

などをコミュニケーションの中で扱ったり、
ロールプレイ(予行演習)をしたりしますよね。

「どういう伝え方をすればいいか」に取り組むとき
こころの姿勢が重要になります。
三田こころの健康クリニックで教えているのは、
「好奇心・開かれた態度・積極的な受容・優しさ」ですよね。

具体的には、健康な部分にも摂食障害の部分にも共感を示す
摂食障害行動には役割があったことを認める(ねぎらう)
ことで協力・協働関係を築くことが最初のステップになります。

先日、原田メンタルクリニック・東京認知行動療法研究所の
原田誠一先生の講義を聴く機会があったとき
原田先生も同じようなやり方をなさっていることに驚きました。

原田先生は「対話型・思考記録」という形で

(1)出来事
(2)病気の部分の受け止め方
(3)健康な部分の受け止め方
  (i)共感・ねぎらい
  (ii)別の受け止め方(=従来の「合理的・適応的思考」)
  (iii)悪循環の指摘(=「病気の部分も損ですよ」非機能的であること)
  (iv)提案(=当面取る方針の提案)

上記をノートに書き出して、気持ちが揺れなくなるまで何度も読んでもらうそうです。

たしかにこの方法はすごくいいですよね。
健康な部分が、自分と考えの違う病気の部分を認め、
病気の価値観を尊重しながら、別の方法を試してみるわけですから、
「自己志向」と「協調性」の両方を高めることができそうです。

このやり方は実際のコミュニケーションにも使えるので、
ぜひ皆さんも試してみてくださいね。

三田こころの健康クリニックの『聴心記』では
摂食障害から回復するためのこころの姿勢』というタイトルで、
「自分を見つめ直すこと(内省)」と「ダメ出し(反省)」を混同しないことが大切なこと、
「ネガティブな対応の仕方を力に変えて内在化すること」の重要性を説明しています。

このような「こころの姿勢」によって、摂食障害行動(乱れた食行動)を使わずに
日常のほかの問題に対処したり、問題を避けたりする必要がなくなることを目指すのが
「スキルを身につける」ことで、摂食障害から回復する道のりになりますよね。

三田こころの健康クリニック新宿の対人関係療法による治療の中では
「自分との関係を改善する(心の状態の変化についての気づき)」と
「行動の仕方を改善する(感情・考え・情動のコントロールについての気づき)」と
説明していますよね。

過食症・むちゃ食い症を本気で治したいと思っていらっしゃる方は
摂食障害から回復するための8つの秘訣』をお読みになって
治療を申し込んでくださいね。

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2017-03-06

過食症・むちゃ食い症を対人関係社会リズム療法で治す

社会リズム療法と「復職支援(リワーク)」「就労継続(リテンション)」』で紹介した
こころの健康気づきのヒント集』の中では
「規則正しい生活を心がけ、睡眠を充分とる」ことの重要性が強調されています。

「睡眠覚醒リズム(概日リズム:体内時計)」は
「外的な社会的因子が、体内時計をセット(調節)する補助的な働きをする」ので
社会リズム(同調因子&時間阻害因子)」と呼ばれます。

睡眠覚醒リズム(概日リズム:体内時計)を保つために
こころの健康気づきのヒント集』では
「快適な睡眠のための7箇条」が挙げてありますよね。

内因性うつ病、つまり身体症候群を併発するうつ病では

などの睡眠覚醒リズム(概日リズム)の乱れが生じます。

内因性うつ病の症状は、人が概日リズムではなく
社会リズムに同調していることの結果として顕れているので
もし人が内因性うつ病身体症状にしたがって生活するなら
抑うつが改善していくのですが、このことは稿を改めて書きますね。

この睡眠覚醒リズム(概日リズム)の乱れは、内因性うつ病だけでなく、
双極性障害不安障害過食症・むちゃ食い症でもみられます。

過食症・むちゃ食い症で、過食(むちゃ食い)が起きやすい時間は

  • 日中に何もすることがないとき(退屈:余暇刺激)
  • 夜にネガティブな気持ちになったとき(不安、寂しさ、空虚感)

のことがほとんどですよね。

たとえば、何もすることがなく退屈なときは、
過食(むちゃ食い)ではなくダラダラ食いが起きやすい
ことは、皆さん経験済みだと思います。

ダラダラ食い(Grazing:放牧という意味)は、
過食の定義(一定時間内の大食と早食い、ストップ不能)を満たさないのですが
退屈に耐えられない気分不耐が根っこにありますよね。

また、アリソン(Allison)が提唱した「夜間食行動異常症候群」は

  • 一日の摂食量の25%以上を夜間に摂取する。
  • 夜間の摂食が週2回以上ある。
  • 朝食を食べない。
  • 食べないと入眠できないと信じている。
  • 少なくとも3ヶ月以上続いている。

などの特徴があるのですが、多くの場合、
「過食性障害(むちゃ食い症:自己誘発嘔吐を伴わない過食症)」や
過活動(運動)や日中の絶食が代償行為と見なされ「神経性過食症」診断されて
サプリ服用を含む効果的でない治療が行われているのがほとんどです。

ダラダラ食いや「夜間食行動異常症候群」を生活リズムの障害とみると、
対人関係社会リズム療法を適応することが可能になりますよね。
つまり、気分不耐や生活習慣に対する思い込みの部分に対し
「自分との関係を改善する」「行動の仕方を改善する」
を中心に取り組んでいくことで、治療が可能になるんですよ。

もちろん、自己誘発嘔吐を伴う「神経性過食症」も
「過食性障害(むちゃ食い症)」の治療の場合も
生活リズムを安定させることは完全に回復するために
必要不可欠なプロセスになります。

しかしほとんどの場合、過食という乱れた食行動ばかりが注目され
身体が要求する飢餓過食と気分解消行動としての過食の区別もなされず
どういうときに過食が起きやすいかとか
生活のことを聞かれたり指導されたりした人は皆無と思います。

この取り組み方は『摂食障害から回復するための8つの秘訣』の
「秘訣5 やはり食べ物の問題なのです」と
「秘訣6 自分の行動を変えるということ」に関連します。

三田こころの健康クリニック新宿では
摂食障害治療専門外来以外にも、うつ病うつ状態双極性障害
不安障害一般外来を始めることになりました。

三田こころの健康クリニック新宿では鑑別治療学にもとづいて
対人関係療法社会リズム療法を使って、
その人にもっとも合ったやり方を一緒に考えながら治療を進めていますので
現在の治療でなかなか良くならないと感じている方は相談してくださいね。

不眠とうつ病 (岩波新書)

不眠とうつ病 (岩波新書)

三田こころの健康クリニック新宿の『聴心記』は
ファットアタックって何?』というタイトルで、
過食症やむちゃ食い症の根底にある、心の問題を食べることで解消しようとすることが
カテゴリー・エラーの本質であることを説明しています。

この「ファットアタック」というカテゴリー・エラーは
「(頭の中で)考えたことは現実であると」の思い込みに気持ちが反応した状態を、
自責的に解釈することでさらなる悪循環が生じてしまうことが
過食症やむちゃ食い症の維持因子になっていることが多いのです。

もちろん、対人関係文脈が維持因子になっていれば
定型的な対人関係療法治療していきます。
多くの患者さんを診ていると、摂食障害の根底は
考えが現実であるとの思い込みや、強迫性(べき思考・白黒思考)、
食べるという行動への嗜癖(依存)がありますから
自分自身との関係を改善することが治療の中心になります。

そのため三田こころの健康クリニック新宿では
素敵な物語』や『8つの秘訣』を必読書に指定していますので、
お読みになったら治療を申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-02-27

社会リズム療法と「復職支援(リワーク)」「就労継続(リテンション)」

三田こころの健康クリニックは、3月1日に港区三田から新宿御苑前に移転します。
新しいクリニックの名称は『三田こころの健康クリニック新宿』に変更になります。

摂食障害(過食症・むちゃ食い症)の専門的な治療は今まで通りですが、
新たに「復職支援(リワーク)」「就労継続(リテンション)」を始めます。

うつ病リワークや復職支援はポピュラーになっていますが、
うつ病うつ状態は2〜3年以内に約半数が再発することが知られていますよね。

再発させないためには服薬を継続することと、
再発の徴候を知ることが推奨されています。
それでも約半数以上の人が再発するのです。

さらに以前よりも些細なきっかけで再発しやすくなり、
再発を繰り返すごとに重症度と難治度が高まる
ことが知られているんです。
しかも、再発の多くは1回目と似たようなきっかけで再発すると言われています。

抗うつ薬が進化したにもかかわらず、うつ病の人が減るどころが
逆に増えているだけでなく、さらに治りにくくなっているということです。

「就労継続(リテンション)」は、うつ病抑うつ状態や
双極性障害などの気分障害の再発・再燃を防止するプログラムで
日本で初めての取り組みになります。
三田こころの健康クリニック新宿では、これまで対人関係療法の枠内で
個別に指導していた内容を、集団に適応する形で提供します。

その土台になるのが「社会リズム療法」です。
社会リズム療法」は、「対人関係社会リズム療法」として
双極性障害治療法として知られていますよね。

数ある障害の中でも主要な気分障害(大うつ病性障害と双極性障害)では、概日リズムの破綻、体内時計の障害が反映されることを主張した。
これら2つの気分障害の症状のなかに、規則的な24時間リズムを備えた機能がどれだけみられるかを考えてみるとよい。
すなわち、睡眠(と覚醒)、空腹感、活力エネルギー、集中力、それに気分それ自体さえもリズムを刻むのである。
我々はさらに、仕事の勤務時間、家族が普段夕食をとる時間、お気に入りのテレビ番組の終了時間などといった外的な社会的因子が、体内時計をセット(調節)する補助的な働きをすることを述べた。
(中略)
ツァイトストゥラー(または時間阻害因子)と名づけた社会ルーティンにおける変化や干渉が、体内時計を混乱させて生体の自然に同調したリズムを破綻することを主張した。
(中略)
我々は、気分障害に脆弱性のある人々では、社会ツァイトゲーバー(あるいはタイムキーパー)を喪失したり、ツァイトストゥラー(時間阻害因子)の出現によって、新たなエピソードうつ病または躁病)が引き起こされると結論づけた。


フランク『双極性障害の対人関係社会リズム療法星和書店

「対人関係社会リズム療法」を開発したフランクは、
生体リズム(概日リズム:体内時計)と社会リズムのバランスの乱れ
として説明しています。

厚生労働省から出ている『こころの健康気づきのヒント集』にはストレスと上手につきあう方法として

○リラクセーション法を身につける(ストレッチ)
○規則正しい生活を心がけ、睡眠を充分とる
○親しい人たちと交流する時間を持つ
○笑いのすすめ
○緊張を細切れにする
○できるだけ落ち着ける環境を
○仕事に関係のない趣味を持つ
○自然を親しむ機会を多く持つ
○適度に運動をする
○ストレス解消をタバコやお酒に頼らない

上記の10項目が推奨されています。

上記の10項目を分類してみると

  • 身体に関すること:ストレッチ、規則正しい生活(睡眠)、運動、タバコやお酒禁止
  • 社会・環境に関すること:親しい人との交流、落ち着ける環境、趣味、自然
  • 心理に関すること:笑い、緊張を細切れ(気分転換)

に分けられ、生体リズムと社会リズムを同調させることが
ストレスとうまくつきあう方法になっていますよね。

私たちの気分を悪くするのは、他人や出来事そのものではない。
それに対する自分のとらえ方である。
とらえ方を決めるのは、自分のこころの姿勢である。

水島広子『怖れを手放す星和書店

私たちにストレス反応を起こすものがストレッサーなのですが、
ストレッサーへの対処は、とらえ方やこころの姿勢といった心理的な対処法よりも
身体や環境要因との向き合い方が重要だということですよね。

三田こころの健康クリニックの『聴心記』では
摂食障害を強迫性障害として理解してみる』というタイトルで、
心の中にあるネガティブな感情や不安を抱えられず
身体を使って食べるという行動で解消しようとする摂食障害症状は
強迫性障害と似たようなカテゴリー・エラーに考えられる
ことを説明しています。

対人関係療法強迫性障害に対しては効果がないだけでなく
強迫性障害不安障害を合併している人の場合は
定型的な対人関係療法が逆効果になってしまいやすいのです。

不安障害強迫性障害を合併していても
素敵な物語』や『8つの秘訣』を使って
「自分自身との関係を調和する」ことに取り組みつつ
対人関係療法を併用することで、摂食障害からの回復が確実なものになります。

過食症やむちゃ食い症の治療を希望される方は上記2冊を読まれた上で
三田こころの健康クリニック新宿に連絡してくださいね。

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2017-02-20

摂食障害の部分と健康な部分の対話1

三田こころの健康クリニックで治療を受けている患者さんのほとんどが
8つの秘訣』に取り組むときに「秘訣2」の
摂食障害の部分と健康な部分の対話」がムズカシイとおっしゃいます。

摂食障害の部分と健康な部分の対話」は
対人関係療法でいう「期待の不一致」の解消でもあるんです。

ムズカシイとおっしゃる患者さんには2つのパターンがあるようで

1)摂食障害の部分と健康な部分がわからない。
2)健康が部分が摂食障害の部分を説得しようとする。
  その結果、対立がひどくなり過食衝動が強くなる。

のどちらかみたいですから、皆さんもそうかもしれませんね。

摂食障害の人のほとんどが、自分の気持ちがわからないアレキシサイミアがありますから、
摂食障害の部分と健康な部分がわからないのは無理もないことなのです。

1)に該当する人は、心の中でどんなことが起きているのかについて
摂食障害の謎を解く素敵な物語』を読んでいただき
自分の心の中の状態を知っていただく必要がありますよね。

そうしたうえで、「秘訣1」の
摂食障害から回復する10の段階(P.18ー19)」の5段階目、
または「行動変容を動機づける5段階(p.23ー24)」の準備期から実行期まで
変化に向き合う姿勢を育んでおく必要があります。

摂食障害食べ物の問題ではなく、自分自身との折り合いの問題です。
自分の心の中に摂食障害の部分と健康な部分があって
その2つが闘っている状態なんです。
それが現実の対人関係にも反映されるので
そこを対人関係療法で扱っていくんですよ。

自分の心をよくふり返る「内省」するということは、
慣れ親しんだ自分のはずなのに決して向き合いたいとは思わなかった、
見ず知らずの気の休まらない赤の他人のような自分と向き合うことは
あたかもパンドラの筺を開けてしまうような恐怖があるのです。

さらに自分をふり返ってみても、とらえどころなさが心もとなく
ついつい気散じ(気分解消行動)で埋めつくそうとしてしまうのです。

ですから、摂食障害から回復するために
自分の心の中の迷宮(ラビリンス)を通り抜け
女性性の中心を回復し、スキルを身につけて戻ってくる必要があり
そのために準備が必要なんですよ。

精神療法でもすべては本人がやる気があってするんです。行動療法もそうです。
山上敏子先生が来て話したと思いますけど、人間は動物と違うから、本人がする気がないのにしたら、滅茶苦茶に悪くなる。
神田橋條治PTSD治療」臨床精神医学 36(4):417-433, 2007

三田こころの健康クリニックを受診されるときに
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』や
8つの秘訣』『素敵な物語』を読まれたかを確認しますよね。

この3つの本を読まれていない方、つまり、自分の摂食障害のことや、
自分自身について客観的に理解してみようとする経験や
本に書いてあることに取り組んだ経験のない方に
どんな考えが浮かぶかとかどんな気持ちになるかを初診時に聞くことは
すごく侵襲的であるだけでなく、場合によっては
患者さんが問い詰められた、嫌なことを聞かれたと捉えられてしまうことで
悪化することにもつながりかねないのです。

ですから、摂食障害治療を希望される方は
ネットの不確かな情報を真に受けるのではなく
少なくとも『摂食障害の謎を解く素敵な物語』と
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を読んでいただくよう
お願いしているんですよ。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の「本当の問題」は?』というタイトルで、
心の迷宮の中で女性性の中心を回復して戻ってくるときに
自己主張スキル、問題解決スキル、境界線のスキル、など
対人関係療法が得意とするスキルを身につける必要がありますが、
そのような回復の第一歩は「本当の問題」と向き合うことからはじまる
ということを説明しています。

言葉で理解しようとするとムズカシイので
三田こころの健康クリニックでは
自分へのダメ出しと白黒思考、べき思考の関係や
自尊心や自己肯定感とは次元の異なる「自己受容」について
絵を描いて説明していますよね

過食症やむちゃ食い症の治療を希望される方は
ぜひ三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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2017-02-13

自分と向き合うことで変化を乗り越える

先日、就労移行支援施設のマネージャーとお話ししていて、
「最近は自分の気持ちがわかない人が多いですね〜」という話になりました。

ストレスだと感じたときに、何が起きたのか、
それをどう解釈して(どんなことを考えて)、
どんな気持ちになったのか、という自己客観視ができず
「イヤだ〜」「ストレスだ〜」と外在化・他罰化して
片付けてしまう人が増えているということです。

摂食障害の分野でも
「自分のことが好きじゃないから、自分を苛めるためにわざと吐いてた」
などの非定型的な「食行動障害または摂食障害」の人がすごく増えているのです。

対人関係療法では、
「過食がひどくなったから、そのきっかけとなったストレスが何だったのか考えてみよう」
と取り組んでいくのですが、「何が起きたかわからない」
「どんなことを考えて、どんな気持ちになったのかがわからない」と
対人関係療法を進めていくこともかなり難しいです。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』には

親の過干渉という問題も摂食障害にはよく見られ、「親のコントロールからの解放」を重要な課題にしている治療もあるくらいです。
ただ、目標はあくまでも関係性の変化であって、親と絶縁するということではありません。
時々、「親のコントロールから解放されない限り、自分は治らない」ということに囚われるあまり、親を敵視したり、親側が完全な召使い状態になっていたりするようなケースを見かけます。
(中略)
これは大きく見れば「役割の変化」ですし、小さな局面を見れば「役割をめぐる不和」ということになります。

と書いてあるのですが、「自分の気持ちがわからない人」にとって
このような関係は必ずしも「役割をめぐる不和」とは体験されないようです。

たとえば、本人はまだ治療を受けるつもりがない(前熟考期〜熟考期)のに
親が心配して本人に断りなく治療を申し込まれる場合は
本人と親の期待がズレていますので、「役割をめぐる不和」ですよね。

一方、患者本人が電話が苦手などで自分で治療申し込みができないときに
親に代わりに治療申し込みの電話をかけてもらう場合は
両者の期待が一致していますよね。

親の過干渉を「関係性」という視点で見ると、
親の気質・性質による場合と、子が親をそのように仕向けている場合と
二通りがあるということなのです。
とくに最近は、後者がずいぶん増えたなぁとの印象を持っています。

たとえば、摂食障害治療を受けたいと自分で申し込みをされても
診療申し込み票で自分の状態を書くことができないとか
受診当日に過食がひどくなった、などの理由
受診をキャンセルされる場合があるのです。

摂食障害はいろいろと狭くする病気」なのでやむを得ないのですが、
「愛着障害」と思っている人にも多分にこの傾向がありそうです。

このような状況は、自閉症スペクトラム発達障害)の人では
乳児期から児童期の発達課題である「自分との関係」や
「集団・社会との関係」をクリアできていないことによるのですが、
健常発達者では思春期の課題である「自分との関係」「二者関係」
「集団・社会との関係」の固有性が確立できていないからでもあるのです。

このような場合は、対人関係療法でやっていくように
重要な他者との二者関係に焦点を当て、
コミュニケーションの仕方を変えていくだけでは不十分で、
発達段階の課題を「関係性としてみる」視点が必要不可欠ですよね。

愛着の治療と同じように、
「自分との関係」「二者関係」「集団・社会との関係」のうち、
どの関係性に影響が出ているのかをみて、
その「発達の最近接領域」から発達課題をクリアする
スキルを身につけることとから始める必要があります。

現在の状況を客観的に把握するために
「自己客観視(自分をふり返ること)」、
「感情耐性(誰しも感じる感情を苦悩に変えない)」とともに
「自分自身への優しさ」からなる「自己受容」が
なによりも重要になりますよね。
(『自尊心という名の落とし穴』参照)

そのうえで、変えられるものと変えられないものを区別すること、
変えられるものを変えるだけの勇気を持つこと、
(変化に伴う一次的なストレスに耐えられること)
変えることのできないものを受け入れるだけの冷静さを持つこと
(心のキャパシティを拡げること)
によって、「自分との関係」を改善すること、つまり
自分で自分の世話ができるスキルを身につけることに取り組みつつ、
自分の心を手なずけていく必要があるのですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『「摂食障害から回復するために必要なスキル」というタイトルで、
摂食障害の人たちには「自己志向性」は低いのに
「協調性」は異常に高いという乖離がみられるのは
自分自身の心理状態だけでなく他者の心理状態への理解が難しいという
メンタライゼーションの問題であることを説明しました。

他者の顔色を読んだり、頭の中であれこれ推測はするものの、
その推測が現実と合っておらず、読み間違いをしてしまう、
つまり、日常的な出来事をネガティブに解釈してしまい
それによって感じたストレスを摂食障害行動を使って
解消しようとしている、ということなのです。

そのため、摂食障害から回復するために必要なスキルの土台は
対人関係療法治療の土台作りでも行っている

  • 気持ちのつかまえ方とコミュニケーションの基礎→人の心の仕組みと動き方を知る

ということに取り組む必要があるということですよね。

過食症やむちゃ食い症の治療を希望される方はぜひ参考にして
三田こころの健康クリニックに治療を申し込んでくださいね。

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摂食障害過食症対人関係療法、慢性のうつ病双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-02-06

ネガティブな思考や不愉快な感情を身体感覚としてあつかう

ネガティブな思考は不愉快な感情を引き起こしますよね。
そしてそのような不愉快な感情は言語化しやすいのです。
つまり、言語化された感情は思考と同じものなのです。

このような一度学習された言語プロセスは非常に強固で
発生頻度や内容を意図的に制御するのは困難ですから、
ネガティブな思考や不愉快な感情を避けようとすると
逆にストレス反応を増加させることがわかっています。

セルフ・コンパッションはネガティブな感情の持続時間を短くするが、ネガティブな感情を嫌悪して避けてしまうことのないようにすることも忘れてはならない。
(中略)
ネガティブな思考を消去しようとすると、それが裏目に出る点に問題がある。
精神的・感情的な苦痛に対する抵抗は苦しみを悪化させる。
潜在意識はどのような回避や抑圧をも記録してしまうため、私たちが回避しようとしている苦痛は最終的には増幅してしまう。
ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

ネガティブな思考や不愉快な感情をあつかいやすくするために
つまり、とらわれているものから自由になるために
身体感覚としてあつかうやり方も三田こころの健康クリニックでは行っていますよね。

ネガティブな思考に対してマインドフルな方法で関わる方法の1つとして、それを身体的な感覚として意識することが挙げられる。
これは馴染みのない考え方のように思われるかもしれないが、すべての感情は身体で感じることができる。
(中略)
特定の感情がなぜ自分を不幸にしているのかについて考えるのではなく、身体的なレベルでそれを体験した方が「今」に留まることができるのである。
「胸に緊張感がある」と「彼女が自分にああ言ったことが信じられない。彼女は何様のつもりなんだろう?……」と考えることには違いがある。
体を基盤に考えることで、私たちはネガティブな思考の中で自分を見失うことなく苦痛をなだめて癒すことができる。
ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

摂食障害から回復するための8つの秘訣』では

では、あなたが怒りを感じているときに、あなたの身体は厳密には何を感じているのでしょう。
「怒り」という言葉は、体の中で起きている状態を本当に説明しているでしょうか。
答えは、「いいえ」です。
怒りは感情を表現するときに誰もが使う便利な言葉ですが、身体が本当に体験している感情をよく描写しているとは言えません。
怒りには、実はたくさんの感覚が関連しています。
怒りを感じているときの状態を考えてみてください。
身体にはどんな感覚が生じているでしょう。
手がじっとりと汗ばんでいますか。
首のあたりがほてっていますか。
心臓がドキドキしていますか。
身体の中にあるそうしたさまざまな感覚に素直に気づき、それを表現するだけでも、怒りを解消して心を落ち着かせる効果があります。
コスティン&グラブ『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

このように身体感覚に意識をむけることで
感情を自分自身と区別し、身体を通して対処法を見出していく
ことができるようになってきます。

目標は、気持ちと身体の感覚を自分自身から切り離し、身体を中立の状態に戻せるようになることです。
そうすれば、気持ちを客観的にとらえることができ、圧倒されたり支配されたりすることを食い止めることができるようになります。
中立の状態に戻れば、はっきりを考えることができ、何を言うべきか、または適当な行動が見極めやすくなります。
身体の中にある気持ちを認識し、表現して、自分自身から区別できるようになると、気持ちに支配されなくなり、過剰に反応しないですむようになるのです。
コスティン&グラブ『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

私たちが感じる不愉快な感情の多くは
慣れ親しんだネガティブな思考に反応したもので
周囲の状況や対人関係文脈に関連していなかったりするので
気持ちを言葉にして伝えるだけでは不十分なことが多いのです。

時として、私たちの心はネガティブな状態にはまり込むことがある。
この場合、積極的に自分をなだめる必要がある。
悲観的で感傷的になっている自分に優しくし、生得的な他者とのつながりを思い出すことで、私たちは他者からの思いやりを受け、受容性、安心感を感じるようになる。ネガティブな感情の負のエネルギーを、愛と社会的な関係性などの正のエネルギーでバランスを取るのである。
これらの感情の温かさや安心感は続いて身体の脅威システムを無力化することで愛着システムを活性化させる。
これにより、扁桃体が鎮静化されることでオキシトシンの生産を向上させる。
幸運なことに、オキシトシンが私たちのネガティビティバイアスを抑制することが研究によって実証されている。
以上のことから、ネガティブな思考や感情に慈悲の心を向けることがネガティビティバイアスを低下させる上で効果的であることがわかる。
慈悲は特定の思考を反すうすることを止めさせ、「どうしたら今の自分を落ち着かせることができるか」という楽観的な見通しを生み出すのである。
ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版

そのため過食症やむちゃ食い障害の人だけでなく
愛着(アタッチメント)の修復やトラウマの治療のときは
身体感覚をしっかり認識し、身体を調節できるようになり
自分自身との調和と他者との関係を育んでいくことが中心になりますよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害から回復するための準備」というタイトルで、
「過食やむちゃ食いを抑えつけようとしないように」と説明するのは
「その人それぞれにとって、摂食障害には役割がある」からなのです。

辛い感情を感じなくて済むようにしたり、耐えられないと思えるような現実から一時的に目をそらすことが出来たり、自分の内からの声をずっと無視することをどこかで学び、そうさせている。
その役割に気付き、摂食障害行動を使わなくても、言葉を使って表現し、違う方法で対処し、生きていけるようになったとき、摂食障害の役割はなくなる。

このことが摂食障害を克服し回復していくための第一歩になります。

これはクロニンジャーの「自己志向性」のうち「自己受容」を高めるプロセスで
そのために

・自らの思考・感情・感覚に気づいていること
人類共通といった見方(生きている限り誰しも感じる感情を苦悩に変えない)
・自分自身への優しさ(自分自身との関係を改善する)

などに取り組んでいく必要があるのです。

三田こころの健康クリニックでは対人関係療法
摂食障害過食症やむちゃ食い症など)を治療していますが
摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』と
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を
必読書として指定しているのは、摂食障害からの回復には
「自分自身との関係を改善する」ことが必要不可欠だからだけでなく、
この2冊は診断基準を満たさない摂食障害にも有効だからです。

過食症やむちゃ食い症など、摂食障害治療を希望される方は
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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摂食障害過食症対人関係療法、慢性のうつ病双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-02-02

三田こころの健康クリニック移転のお知らせ

三田こころの健康クリニックは、平成29年3月1日に
三田から新宿御苑前に移転します。

クリニックのホームページもリニューアルしました。

f:id:ipt-therapist:20170202121324p:image

摂食障害過食症に対する対人関係療法
8つの秘訣』を用いた専門的な治療に加え、
再発率の高さが問題になっているうつ病うつ状態双極性障害など
気分障害の患者さんに対して【働き続けるためのサポート】として
「リワーク(職場復帰支援)プログラム」に加えて
「勤務継続(リテンション)プログラム」を提供します。

更新頻度は下がりますが、このブログでも今まで通り、
患者さんの役に立つ情報を発信していきたいと思っています。

どうぞよろしくお願いします。

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摂食障害過食症対人関係療法、慢性のうつ病双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック
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2017-01-30

コミュニケーションと内省的マインドフルネス

私たちが私たちの周りの世界を把握するときに
その対象の「表象」が対象の代理として心のなかに生まれます。
「表象」とは心の中に作られる世界の見取り図、地図みたいなものです。

たとえば、Aさんが「怒っている」と認識するためには
Aさんの精神状態を判断する理解の枠組みが必要になりますし、
認識し判断するために、その精神状態を体験している必要があります。

つまりAさんの非言語的なシグナルに共鳴し、
自分のなかのAさんに対して内省することしてみると
自分が体験した「怒っている状態」と
Aさん表象のシグナルが似ていることに気づきます。

そこで「Aさんは、きっと怒っているんだろうなぁ」判断し、
「誰だってイライラするよね」など言葉でフィードバックし、
Aさんの怒りをなだめようとしますよね。

このようなプロセスは、幼少期の愛着(アタッチメント)にかかわる
情動(感情)を認識できるようになるプロセスと同じなのですが
長くなりますし、一般の方には難しいと思われるので割愛します。

言語的メッセージが占める割合は30%しかなく
70%が非言語的メッセージですから、
どう伝えるかということよりも、
「相手の状態(表象)をどう体験(判断)したのか」、
つまり、自分の心を心で感じてみる内省のプロセスが
重要なテーマになりますよね。

いったい今日のブログは何の話なのだろう?と
疑問を持たれた方も多いかもしれません。
これは対人関係療法でのマインドフルネスと関連するのです。

過食を始めたり、食べることをコントロールできないと感じたりしたときは、いったんストップして自問することです。
「何が起こっているのだろう。このきっかけになった対人関係上の問題は何だろう。
それによって自分はどんな気持ちになっているのだろう。
この状況を何とかするためには、どうしたらよいのだろう。」
はじめは難しいかもしれません。

動揺する状況を心にとめるようにし、そのときに起こっているものや気持ちに注目してみてください。
そのときに起こっているものに、です。
これがうまくできるようになると、自分の悩みを隠すために食べ物を利用しなくてすむようになってくるでしょう。
ウィルフリィ『グループ対人関係療法創元社

つまり、

  • 自分の主観的な体験を心に留めて判断することなく感じること(体験モード)
  • 自分のなかで起きている体験にどんな影響を受けているのか観察すること(観察モード)

この2つがマインドフル・アウェアネスの状態なのです。

それによって、脳の1階(辺縁系)からの強い情動
脳の2階(大脳皮質前頭前野)で体験し観察できるようになること、
この2つができるようになると、変化を起こせるだけでなく
自分自身ともつながることができるようになります。

これが過食症やむちゃ食い症(過食性障害)の
対人関係療法による治療で強調している
自分自身との関係を改善する(調和:アチューメント)ということなのです。

経験を心で感じながら、それを観察した。
そうやって、起こっていることを自分のものにした。
経験しながら観察できる目を持った。
経験のなかにいるだけでなく、その展開を目撃できた。
おまけに、何が起こっているかについてわかったことを周りの人と自分に向かってあらわすことができた。
(中略)
ある意味で、子どもには、その場面を経験する役者になると同時に、もっと客観的に見て、場面の外からカメラの前のできごとに洞察を働かせる監督にもなってもらいたい。
ダニエル・J・シーゲル『子どもの脳を伸ばす「しつけ」』大和書房

実は上記で引用した本の著者であるダニエル・シーゲルは
対人関係の神経生物学』で紹介した『マインドフル・ブレイン』の著者で、
愛着関係(アタッチメント)を土台にした対人関係と自分自身との調和を
マインドフルネス(好奇心、開放性、受容、やさしさ)で統合し、
生活の中で、思いやり、やさしさ、しなやかさ(回復力)、幸福、として
促進する方法を提唱しています。

子どもの脳を伸ばす「しつけ」』は
子どもをもつ親のための子育て本というだけでなく
対人関係療法でコミュニケーションスキルを高めるときにも
過食症やむちゃ食い症の人や、愛着障害かもしれないと思っている人が
自分自身との関係を改善していくときにも役に立ちますよね。
(『過食症や過食性障害からの回復の道のり2』参照)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の部分と健康な部分の対話」というタイトルで、
自分の中の「男性性(アニムス)」から生まれた「自己否定」が
「べき思考」「完璧主義」「白黒思考」を生みだして「摂食障害の部分」となり、
女性性をコントロールしよう、支配しようとしている状態であることを
説明しています。

さらに、ブログには書きませんでしたが、
女性性と男性性がバランス良く成長しても
「男性性(アニムス)」の支配が優位になると次第に
外的現実と心の中の出来事を橋渡しできなくなり、
身体感覚をリアルに感じることができなくなります。

さらに出来事に対する解釈や考えを外的現実と理解するようになり
日常的な出来事をネガティブに解釈しストレスと捉えてしまう次元まで
退行・退避してしまうのです。

このプロセスを「気分解消行動としての過食〜体験の回避」で

(1)内受容感覚への気づきの困難から気分解消行動を使う段階
(2)食行動障害が嗜癖になり防衛構造としての自己を形成する段階
(3)生活が狭窄し人生が混乱する段階

と説明していますよね。

摂食障害の部分と健康な部分の対話」で大切なことは
「中立的な観察する自分(魂)」の立場から
摂食障害の部分と健康な部分の両方に耳を傾け
それぞれの立場を尊重しながら対話をしていくことです。

そのために『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』と
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を参照して
三田こころの健康クリニックに摂食障害治療を申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2017-01-23

摂食障害から回復するため取り組んでいくこと

8つの秘訣』では、維持期の課題として

○問題行動に逆戻りしてしまいそうになる状況
○以前の行動に逆戻りしてしまいそうなときに感じる気持ちや行動
○回復を維持するときの葛藤パターン
○新しい行動を維持するためのスキルやメソッド
○症状が再燃しそうなときにサポートしてくれる人たち

についてふり返ってみることがあげられています。

これは『8つの秘訣』の「はじめに」で
キャロリン・コスティンさんが、自分自身で摂食障害と向き合い
回復していったプロセスそのものでもあるのです。

私が回復への道をたどるときに助けになった要因はたくさんありました。
心理学を勉強していましたので、自分の心を理解しようと試みましたし、行動を変えるための計画を立て、私自身を変えるきっかけをつくりました。
母からの愛情と無条件の支えを感じることができていましたので、私はどこか芯の部分では自分自身を信頼することができており、希望を失いそうになったときにもどうにか望みを失わずにすみました。
本当のことを誰かに話してみると、その人は私を嫌いにならずにもっと好意を寄せてくれるということを学び、たくさんの人に助けを求めてみました。
コスティン他『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

UCLAの看護師さんで『8つの秘訣』を翻訳してくださった安田さんが
2016年の日本摂食障害学会総会で発表されたスライドで
摂食障害から回復していくための5つの心理学的段階として

摂食障害行動の役割に気づき、摂食障害行動を使わなくても対処できるスキル
摂食障害に助けを求める代わりに「健康な部分」「人」に助けを求める
○抑圧している感情に気づき、生きづらさや行き場のない思いを認めてあげる
○自分自身の価値観や完璧思考、白黒思考に気づき、自分をいたわることができるようになる
○ありのままの自分(体型や外見)を受け入れられるようになる

ということを説明されました。

治療でこのプロセスを経ることで

9.行動や思考から解放されている
・だいたい快適に過ごしていて、好きなものを食べてもあとから罪の意識や不安を感じたりはしない。
摂食障害の行動をやめてからしばらく経っていて、気がついてみると食べ物に関連した思考や衝動もなくなっていた。


10.回復した
・もうずいぶん経つけれど、摂食障害に関連した思考や感情や行動はない。
・今の体型が自然に思える。摂食障害は過去の出来事になった。

という段階まで到達して、再発の危険もなくなるということなのです。

そのためにまず、回復への道のりの第一歩を踏み出す必要があります。
キャロリン・コスティンさんが回復の一歩を踏み出すきっかけは
コントロール感の喪失だったようです。

そのひとつとして、大学の寮にいたときのある朝のことがあります。
その頃私は、体重は増やしたくないけれども、これ以上減らしもしないぞ、と自分に言い聞かせていました。
体重を保つために必要な量は食べているという自信はありました。
ところが、いつもの朝の習慣で体重計に乗ってみると、またもや、減らすつもりはないのに体重が減っていたのです。
自分の心の声が聞こえました。
それは、「もう私は体重をコントロールできていない。体重が私をコントロールしている」と言っていました。
そのときに、これはもう絶対に誰かの助けが必要だと思いました。
そこから、とても長くて辛い回復への道のりが始まったのです。
体重を増やしたくはありませんでした。
しかし、私は充実した人生を歩みたいとは思っていましたので、その過程ではどうしても体重を増やさざるを得ませんでした。
実際に体重が増えてくると、今度はまるで何かに取りつかれたかのように運動をしはじめました。
この強迫的な運動もまた、真正面から向き合い、対処し、手放していくことが必要になりました。
コスティン他『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

回復への道のりは、前熟考期→熟考期→準備期→実行期と進んでいきますが
もちろん平坦な道のりではありません。(『治療の土台作り』参照)
治療に取り組むということ』で山登りのたとえを書きましたが
治療者である私たちもまたそんな感じなのです。

食事を制限する、過食する、嘔吐する、極端に体重を気にしてダイエットをくり返す、運動をやめられない、またそれ以外にも食べ物や体重に関連して強迫的にくり返してしまう行動があるのでしたら、本書で紹介する8つの秘訣は、回復を意識し、回復への努力をし続けるときに、きっと助けになるはずです。
(中略)
みなさんが摂食障害から回復したいと思ったときにぜひこの本を活用してみてください。
8つの秘訣を読む順番は、最初から読み進めてもかまいませんし、順不同に読んでも、一番興味を感じる項目から読んでもかまいません。
コスティン他『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

三田こころの健康クリニックで『8つの秘訣』を勧めているのは
典型的な神経性過食症や過食性障害(むちゃ食い症)の人でも
出来事と対人関係、症状の関連が乏しく対人関係文脈が読み取れないため
定型的な対人関係療法は有効でないケースが増えてきたこと、

  • 他の特定される食行動障害または摂食障害(例:排出性障害)
  • 特定不能の食行動障害または摂食障害(例:ダラダラ食い)

などの非典型的な「食行動障害または摂食障害」のケースが激増してきた
からなのです。

この『8つの秘訣』は
摂食障害の基準をきちんと満たしていないために、正式には摂食障害と診断されていないという方にもきっと役に立つと思います。
と書かれているとおり、すべての「食行動障害または摂食障害」の根本療法としての
すぐれた指南書だと思いますよ。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語」というタイトルで、
摂食障害の患者さんが回復に向けて取り組む課題集である『8つの秘訣』に対し
心の地図や自分の説明書としての『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』の位置づけと
治療の中で「自分自身を見つめ直し、正しく理解すること」の重要性を説明しています。

これが対人関係療法の土台となる「自分の気持ちをよくふり返る」ことで、
「自分自身との関係を改善し、行動の仕方を変える」ために必要不可欠なプロセスになります。

クセになった過食や自己誘発嘔吐から解放され
自分の人生を取り戻したいと思っていらっしゃる方は
摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』と
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を読んで
三田こころの健康クリニックに治療を申し込んでくださいね。

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