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如実知自心〜対人関係療法@三田こころの健康クリニック〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2015-03-30

診断名が変わるとき

精神科の診断は何のために行うのか』で
診断は、治療方針を考えるためであり
とりもなおさず
今後の人生が病気のために損なわれることがないようにする」という
身体科と同じ考えで行うものであることを書きました。

さて、そんな三田こころの健康クリニックに
確定診断を希望して受診されたある患者さんの診断名に
驚いたことがあります。

その患者さんの診断は、これまで
何カ所もの精神科の病院やクリニックで

神経衰弱統合失調症双極性障害強迫性障害・社交不安障害→うつ病適応障害

と全く違った病名がつけられていたのです。

詳しくお聞きすると、経過の中で病像が変化したというより、
同じ病像に対して複数の精神科医が違った診断をしているような
不思議な印象を受けたことがあります。

この患者さんの「統合失調症」の幻聴とされた症状は
昔に他人から言われたことのある内容が繰り返される
「解離性幻聴」のようでした。

さらに「躁状態」とされた状態は
爽快感や誇大感や睡眠欲求の減少などはみられず、
不機嫌で癇癪(かんしゃく)が爆発するということで
直前の不快な体験に対する「反応性」でした。

さらに、からかわれる(イジられる)ことをイジメと感じていたなど、
被害的に受けとめる傾向があるだけでなく、集団が苦手で「視線恐怖」もあり
不安が強くなると「確認行為」が増えることなどが、
強迫性障害」や「社交不安障害」と見なされたようです。

このように状況や場面によって症状が異なること、
そして症状が非典型的・非定型的であることが特徴でした。

この方は、発達歴や生活史から「自閉症スペクトラム症」と考えられました。
感覚刺激や情報の少ない環境であれば落ち着けるけど
刺激が多い状況ではさまざまな二次障害を呈して
それらが「統合失調症」や「双極性障害」などと診断され
10年以上の長きにわたり、多種多様の薬が処方されていたのでした。

たとえば、Amazonのkindle版で見つけた書籍
統合失調症躁うつ病アダルトチルドレン・愛着障害・摂食障害・トラウマ
という病名がついた統合失調感情障害の方の書籍がありました。

診断の基本はできるだけ1つの病名で説明できるかを考えることですが
重複診断が増えてしまうと、「群盲象を評す」のように
元々どんな人で、どのような「苦悩を抱えている人」なのか
という存在への視点が等閑になっていますよね。

同じように、食行動異常があるから「摂食障害」、
人付き合いの苦手さがあるから「愛着障害」、
気持ちの落ち込みが続くから「気分変調性障害」など
症状が当てはまる数で判断する操作的診断では
「苦悩する主体」としての全体像が見えないのです。

また、病名が同じであったとしても、一人ひとりの人生は全く違いますから
治療もその人の人生の中での病気の「位置づけ(文脈)」によって
違ってくるのが当然なのです。

精神科の診断は何のために行うのか』で書いたように
上記の患者さんの状態は、「心因」に相当しますから、
この患者さんに最も必要だったのは薬の処方ではなく、
ご本人の特性に対する周囲の人たちの理解と協力を得て
静かで落ち着いた生活ができるという環境調整だったのですよね。

大人のための「困った感情」のトリセツ

大人のための「困った感情」のトリセツ

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食や不適切な代償行動の頻度と重症度」というタイトルで、
DSM-5で新たに規定された過食性の重症度分類は
健常人を過剰に診断してしまう可能性があるだけでなく、
症状だけでは正常と病理の区別はつかないことを書いています。

「拒食の要素」「過食の要素」という「気質」と
「状況への反応の仕方」に注目することで
治療方針も立ちやすくなるだけでなく、
症状が表れる背景(出来事と症状の関係)も理解出来ますから、
対人関係療法による治療焦点がわかりやすくなりますよね。
三田こころの健康クリニックでは、このやり方をしています。

摂食障害」や「気分変調性障害/持続性うつ病性障害」の
対人関係療法による治療を希望される方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2015-03-23

抑うつ状態に薬は必要なのか

三田こころの健康クリニックでの家族面接の時に
ある患者さんの親御さんが
病名をつけるから病気になるんだ
とおっしゃったことがあります。

その時は、本末転倒した意見、と感じたのですが、
近頃は、あの親御さんの意見もまんざら間違いではないかも、と
考えるようになってきました。

というのも、ここ最近、「人生の悩み」が「病気」と見なされ
不必要な投薬が行われているケースを診ることが増えた
からなのです。

そもそも、「悩み」なのか「病気」なのか、の診断のために
従来診断やDSMなどの診断基準があるのですが、
症状のみを診てその人を診ない「木を見て森を見ず」式の
薬だけ処方して事足れりとするのが一般の精神科診療です。

たとえば、あることに悩んで、夜も寝られず
食欲も低下して、他の事に手が付かない状態で
医療機関受診すると問答無用で「うつ病」と診断され、
「この薬を飲んで様子をみてください」と
抗うつ薬睡眠薬抗不安薬のセットが
事務処理的かつおごそかに処方されるのです。

患者さんの側も、自分が取り組んで解決すべき悩みではなく
病気だったんだ、向き合わなくていいんだ
、と
安易な解決策を鵜呑みにしてしまうのです。
このことを、井原先生は辛辣に
えせ契約(Bogus contract)」と批判されました。

さて、それでも上記のような「抑うつ感」が
ある程度の期間持続すると「抑うつ状態」と呼ばれます。
抑うつ状態が、明らかなストレス因子によって引き起こされた場合
それは「適応障害」と呼ばれます。

「悩み」が病的な場合や、葛藤が著しく強い場合、
あるいは過酷な労働環境、ストレスフルな対人関係など
数値では表せないけれども明らかにそうだろうなぁと
推測できるような「抑うつ状態」は、かつては
神経症性うつ病(あるいは抑うつ神経症)」と呼ばれていました。

神経症性障害については、薬物は特に補助的位置に立つ。それは、葛藤を未解決のままに遷延させる。
しかし、それは悪いことではなく、そうしているうちに周囲の状況が変わり、問題が自然解消するかもしれず、面接の中で言語化できるように成熟するかもしれない。
しかし、あくまで、そういうものであって、慢性的に、特にいわゆる無診投薬、あるいはそれに近い状態は、薬物への精神的依存の生涯に陥らせかねない。

中井久夫・永安朋子『分裂病の回復と養生――中井久夫選集』星和書店

と、精神医療の泰斗である中井先生は
薬物が葛藤を未解決のまま遷延させる」として、
心因に対する薬物療法に警鐘を鳴らしておられるのです。

心因による反応の最たるものが「トラウマ」や「PTSD」ですし、
「気分変調性障害」のうち、「不安型気分変調症」は
愛着の問題(「とらわれ型(不安/アンビバレント型)」)や
II型トラウマ(「未解決型(おそれ/回避型)」)など、
繰り返される対人関係パターン(不安定型の愛着スタイル)が多く、
医学モデルに基づく治療という文脈で対人関係療法の適応になりますよね。
(愛着の問題や不安定型の愛着スタイル≠愛着障害)

一方、「悩み」の解決は、その人自身の課題になります。
そのサポートのためにカウンセリング心理療法)があるのです。
(『カウンセリングと精神療法の違い』参照)

かつてC.G.ユング

心理療法の最高の目的は患者をありえない幸福状態に移そうとすることではなく、彼に苦しみに耐えられる強さと哲学的忍耐を可能にさせることである。

と『心理療法論』で述べています。

冒頭の親御さんの至言を言い換えると
治療薬への精神的な依存など、混乱した状態を招かないように、
性格や家族環境をふまえた、
「悩み」なのか「病的な葛藤(心因≒神経症)」なのか、精緻な鑑別診断が必要

ということですよね。

プレッシャーに負けない方法 ―「できるだけ完璧主義」のすすめ

プレッシャーに負けない方法 ―「できるだけ完璧主義」のすすめ

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
2つの「むちゃ食い障害(過食性障害)」」というタイトルで、
DSM-5で新たに診断基準に挙げられた「過食性障害」は
やせ願望のある「嘔吐を伴わない過食症」と
やせ願望のない「むちゃ食い障害」の2つ
が含まれており
この2つはクロニンジャーの「新奇追求(冒険心)」で区別できること、
さらに「だらだら食い(overeating)」を過食とみなすかどうか、が
問題になっていることを書いています。

このように症状だけを目安にするのではなく、
もともとどういう人だったのかという「気質」に注目することで
治療方針も立ちやすくなります
ので、
摂食障害」や「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」の
対人関係療法による治療を希望される方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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2015-03-16

うつ病をめぐる混乱の時代

正常でも感じられる「憂うつ」な気分が
ある程度の期間、続いた状態を「抑うつ状態」と呼びます。

精神医学の泰斗である中井久夫先生は、
内因性のうつ病に限定して「うつ病」を用いるべきで
神経症(心因)による抑うつ状態は「うつ病」と呼ぶべきではない

とおっしゃっています。

神経症(心因)による「抑うつ状態」には
心の葛藤を抱えた状態である「神経症性抑うつ抑うつ神経症)」や、
抑うつを伴う適応障害」が該当
し、

軽症ほど、その人の性格、家族環境、地域性、文化的要因に左右されやすいのである。
中井久夫・永安朋子『分裂病の回復と養生――中井久夫選集星和書店

ということから、自分の性格を知り、環境調整などの対応が
主になりますよね。

「内因性のうつ病」には、性格とまぎらわしい「気分変調性障害」や
「大うつ病性障害」が該当しますし、
その中に、非定型の特徴を伴うものとされる
いわゆる「非定型うつ病」も含まれます。

DSMによる診断基準で評価する場合は、
「ほとんど一日中、ほとんど毎日の」などの症状の持続性が、
「心因による抑うつ状態」と「内因性うつ病」の鑑別に際して
最も重要なポイント
になります。

さらに「内因性のうつ病性疾患」では、
朝の具合が悪く、夕方にかけて回復する日内変動や
入眠困難早朝覚醒などの睡眠障害
食欲減退や体重減少などの自律神経症状(植物症状)とともに
自責感、罪業感などの特徴的な精神症状を伴います。

ちなみに。
心療内科受診前のうつ病患者が受診した診療科
内科、婦人科、脳神経外科、整形外科の順で、
消化器疾患(過敏性腸症候群、慢性便秘症)、
自律神経失調症更年期障害偏頭痛
慢性疼痛、繊維筋痛症慢性疲労症候群
などと診断されていたという調査があり、
とくに自律神経失調症」は、正式な病名ではないのですが
精神疾患よりも心身の不調全体を示すようなニュアンスがあり
患者さんも納得することが多い
といわれています。

さて、この程度が軽い抑うつが二年以上続くものが「気分変調性障害」と呼ばれますが、
「気分変調性障害」と「慢性の大うつ病性障害」を区別することは
ほとんど困難
であるため、DSM-5では
「持続性うつ病性障害」にまとめられたという経緯があります。

しかし、「内因性のうつ病」という診断でも
類似点はあるものの人それぞれ病態は異なるのです。

だからこそ、診断に際しては
操作的診断基準、あるいは従来診断を用いる場合も、
患者の生きたストーリーを理解すること(定式化)と
心理社会的側面や社会機能障害に関する評価が必要不可欠
なのです。

これらの診断プロセスがおざなりになると
治療がステレオタイプ化するだけでなく
正常範囲の抑うつ状態でさえ病気とされ
精神疾患を拡大診断させ、薬物使用を増やす企業戦略に一役買った
“disease mongering(病気の売り込み行為)”
という
軽薄化した精神医療に堕してしまう危険性がありますよね。

なぜうつ病の人が増えたのか (幻冬舎ルネッサンス新書)

なぜうつ病の人が増えたのか (幻冬舎ルネッサンス新書)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
排出性障害と回避・制限性食物摂取障害」というタイトルで、
嘔吐を伴う過食症」との差違を明確にできないといわれる
「排出性障害」の実例について書いています。

DSMによる操作的診断基準のように症状を目安にするだけではなく、
過食や自己誘発嘔吐の起きる状況を明確にして
その文脈を把握して診断する必要がある
ので
もともとの感覚過敏性やこだわり(固執)や
やせ願望やボディイメージの障害の有無を診ていく
という診断プロセスをたどるからこそ
三田こころの健康クリニックで行っているように
「どのような治療が必要か」の判断もできるのですよね。

摂食障害」や「気分変調性障害/持続性うつ病性障害」の
対人関係療法による治療を希望される方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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2015-03-09

精神科の診断は何のために行うのか

もともと、精神科の診断の作法には

身体基盤のある精神障害(身体因・外因)
    ↓
内因性の精神障害(内因)
    ↓
環境への不適応としての精神障害(心因)

という優先順位の原則があるのです。

精神科臨床で、薬物療法や精神療法の対象となる
統合失調症」や「双極性障害」「うつ病」や「摂食障害」などは
内因性疾患とよばれ、
特徴的な環境や状況が、発症の誘因・要因として見られること
が知られています。

たとえば、「双極性障害」に「パニック障害」が合併しているといわれ
何年もメンタルクリニックに通院し
抗うつ薬リチウムを飲んでいるけど治らない、という患者さんが
三田こころの健康クリニックを受診されたことがあります。

うつ状態も軽躁状態も病歴からは、はっきりしませんでしたので
この方がなぜ「双極性障害」と診断されたのかは疑問ですが、
会社を立ち上げたり、さまざまな事業を行っておられる事が
躁状態とみなされたのかもしれません。

パニック障害」については、動悸発汗やはあるものの
不安発作というには症状が非典型的でしたし、
さらに細かい手の震えがあったので慢性甲状腺炎(橋本病)を疑い、
専門の内科に紹介したのです。

慢性甲状腺炎は、甲状腺ホルモンで徐々に安定し、
さらに炭酸リチウム甲状腺機能に影響を与えるため中止し、
慢性甲状腺炎も落ち着き、すごく感謝されたことがあります。

ほとんどの精神科の臨床では
「この薬を飲んで様子をみてください」と
病名を告げずに薬物が投与されますよね。

たとえば、これが身体の病気であったらどうでしょう?
胃が痛いと病院に行ったけど、5分診療だけで
「この薬を飲んで様子をみてください」と胃薬を出された、
でも「実際は胃癌でした」ということなら
確実に訴訟問題になりかねませんよね。

このように、身体疾患を見逃すことや
患者さんの病状の把握や治療方針を誤り、
患者さんの人生にとって不利益を与えてしまうことを
一般には「誤診」と呼ばれますよね。

精神科の診断も身体科と同じで、
「今後の人生が病気のために損なわれることがないこと」が目的の
適切な治療法や治療方針を考えるために行うもの
です。

ですから、診断をする、治療方針を考えるということは
「病を抱える一人の人間を診る」という視点が必要になり
そしてその人の人生の重さを感じないわけにはいかないのです。

そのように患者さんの人生ということを考えると
発達歴や生活史、性格や発症以前の社会機能
そして発症契機やその後の推移について
時間をかけて詳細に問診をする必要があるのです。

だからこそ三田こころの健康クリニックでは
初診の時間は90〜120分お取りしているのです。
(一般の精神科医療機関では心理士さんが30分ほど問診して医師の診察は短時間)
皆さんも、通院されている医療機関では
上記のようなポリシーで診察がされているのかどうか
振り返って見て下さいね。

誤診だらけの精神医療

誤診だらけの精神医療

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食症は適切な治療をすれば良くなる病気です」というタイトルで、
過食症治療に対する対人関係療法のエビデンスと
どのような患者さんに対人関係療法が向いているのか
について書いています。

摂食障害」や「気分変調性障害/持続性うつ病性障害」の
対人関係療法による治療を希望される方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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2015-03-02

「慢性うつ病/気分変調性障害」の精神療法

マカロウは『慢性うつ病の精神療法』で

「類別交配(assortative mating)」精神病理を有する人が相手として精神病理を有する人を求める傾向が、慢性うつ病の人の結婚パターンの特徴であるという事実もよく知られている。

気分変調性障害では対人関係のパターンがくりかえされることを
特徴としてあげています。

水島先生も

このような関係は、一見「役割をめぐる不一致」には見えません。本人の気分変調性障害の症状と相手の虐待的な態度は、鍵と鍵穴のような関係にあって、むしろ一致しているからです。
しかし、それは「病気と相手との一致」であり、「自分と相手との一致」ではありません。病気と一致する関係を続けていくということは、病気を治りにくくし、病気による苦しみをますます増していくということにもなります。

水島広子『対人関係療法でなおす 気分変調性障害創元社

ということを書いておられます。

もう少し詳しく解説すると、気分変調性障害の人は対人関係が

「犠牲者としての生活タイル」を示すようプログラムされている。

とされます。

この受身的な対人関係スタイルによって

自然と他者を「押す」か「引く」かして、支配的な役割につかせてしまい、自分は1つ下がった立場をとるようになることである。

と「他者操作性」について指摘し、これについてアキスカルは

これらの患者は、最善の場合でも「非定型うつ病」と判断され、最悪の場合は「境界例」として見なされる。
上のような標識、とくに後者境界例とみなされること)は、取扱いが非常に困難なこれらの患者の不可解な気分を治療しようとする際に、治療者が経験する葛藤を反映したものといえる。

と、治療上の注意を喚起しています。

この「他者操作性」が精神療法に与える影響について

焦点が、気分障害ではなく、性格と内的な葛藤に当てられているため、気分変調性障害の患者がすでに感じている自責を強化する可能性がある。
同じ理由により、そのような患者は、中立の、比較的静かな治療者に困難を感じることがある。
過去に黙想的な焦点を当てることも、(中略)すでに黙想にふけっている患者には役に立たないだろう。

ワイスマン、マーコウィッツ、クラーマン『対人関係療法総合ガイド』岩崎学術出版社

精神分析力動的精神療法(およびそのカウンセリング)は
気分変調性障害にはマイナスになることが言われています。

それだけでなく、マカロウは

治療場面では治療者は、何をするのか、またどうやってやるのかという指示を待っている人に対峙することになる。
臨床家の反応はいかなるものであろう。
多くの治療者は、次第に気が短くなり、患者が考えるのを待つことができず、患者に何をしたらよいかを考え始めてしまう。
(中略)
残念なことに、患者を取り巻く人々たちは、何をすべきか、何をすべきでないかを直接的に指示してしまうことによって、患者の服従的行動に反応していることが多いのである。

マカロウ『慢性うつ病の精神療法医学書院

治療者が患者の対人関係スタイルに巻き込まれてしまうことに注意をうながし

パーソナリティ障害が現在の問題の一部をなすという認識をあらかじめ持つことで、臨床家はしばしば生じる対人関係―行動的問題に注意して用心深く進めていくことができる。

と「対人関係―行動的問題」に焦点を当てることを勧めています。

これがマカロウが提唱した、認知行動療法的な状況分析と
対人関係転移分析による対人弁別訓練を組合せた
認知行動分析システム精神療法(CBASP)」です。

対人関係療法では、おもに
症状に気づくという「治療による役割の変化」を焦点としますが
ほとんどは対人関係での出来事を詳細に検討しながら

○何が起きたのか
○本当はどうなって欲しかったのか
○そのためにはどうしたらよいか

など「現在に焦点を当てた行動志向的なアプローチ」を
進めていきますよね。

彼らは無風の抑うつ状態から自らを奮い起こすために、積極的なサポートを、「チアリーダー」をすら、必要としているからである。
ワイスマン、マーコウィッツ、クラーマン『対人関係療法総合ガイド』岩崎学術出版社

患者さん自身が、「自分のまわりの状況(とくに対人関係に関するもの)に変化を起こす」
という
「回避や消極的な対人操作」という行動的問題を解決していくことを
治療者がチアリーダーとして応援していきますよね。

プレッシャーに負けない方法 ―「できるだけ完璧主義」のすすめ

プレッシャーに負けない方法 ―「できるだけ完璧主義」のすすめ

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害に薬物療法は有効なのか」というタイトルで、
最近、過食症では脳の報酬系領域内の
ドパミンオピオイドアセチルコリンセロトニンなどの調節異常の可能性
が示唆されています。
食欲、気分調節、衝動制御に関する神経伝達物質を標的として
さまざまな薬剤の可能性が研究されているのです。

あくまでも薬は治療対人関係療法)をスムーズにするための
ギプスや松葉杖のような位置づけであり、
対人関係療法は「過食に代わる本質的なストレス対応策を身につけていく」
リハビリのようなもの、と考えていただくと
わかりやすいかもしれませんね。

精神科のクリニックや病院に何年も通院しているのに
なかなかよくならないと感じていらっしゃる方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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2015-02-23

「気分変調性障害/持続性うつ病障害」の治療法

さて、循環気質や執着気質
あるいはメランコリー親和性性格を背景に持つ
「気分変調性障害/持続性うつ病障害」は
思春期中期に目立たない形で発症し(平均年齢15歳)、

(a)気分の症状
 (1)無快楽症(アンヘドニア
 (2)抑うつ
(b)植物状態(自律神経症状)
 (1)不眠
 (2)睡眠過多
(c)認知の症状
 (1)自尊心の低下
 (2)反復的な罪悪感
 (3)絶望感
 (4)自殺念慮
(d)精神運動性の症状
 (1)集中力低下
 (2)疲労感
 (3)興味の減退
 (4)社会的引きこもり

などの症状が特徴とされました。

ほとんどの症状は大うつ病の症候と重複しますが
「気分変調性障害/持続性うつ病障害」の特徴は
患者の苦悩が元々の自分が抱えていたものと明確に区別することができないこと
つまり患者自身が性格に起因する苦悩と
「気分変調性障害/持続性うつ病障害」の症状を
区別できないと感じている
、とされています。
(『性格と間違われやすい「慢性のうつ病(気分変調性障害)」について』参照)

このことについて、アキスカルは

「慢性化」と「性格の病理」を同等視する傾向が、慢性うつ病患者の感情の病理を適切に理解することを危うくさせる。

と述べ、

多くの感情病患者が安易に「治療抵抗性」と標識され、適切な感情調節剤による治療の機会が奪い取られている。
しかし、不適切な治療を慢性うつ病と同じものと考えることはできない。
一方、多くの患者は、あらゆる治療的努力がなされた後も慢性経過を示し続ける。とくに、これは気分変調症の患者の多くに当てはまる。
(中略)
これらの患者は、最善の場合でも「非定型うつ病」と判断され、最悪の場合は「境界例」として見なされる。
上のような標識、とくに後者は、取扱いが非常に困難なこれらの患者の不可解な気分を治療しようとする際に、治療者が経験する葛藤を反映したものといえる。

バートン、アキスカル編『気分変調症』金剛出版

と慢性であることと、性格の問題や治療抵抗性は明確に区別すべきと述べています。

治療に関しては、対人関係療法でも
慢性的な絶望とやる気の喪失のために、
そして正常気分の記憶がないことが多いために、
気分変調性障害の患者の治療は経験を積んだ治療者でないと難しい
とされていますよね。

気分変調性障害の精神療法でのエビデンスをみてみると
認知行動療法での反応率は41%であり、薬物療法と同等とされています。

さらに慢性うつ病に特化した認知行動療法である
認知行動分析システム精神療法(CBASP)では、
薬物療法とCBASPの併用群は、薬物療法単独群、CBASP単独群のいずれに対しても
有意差をもって治療効果が認められ
これが世界的にも権威のある雑誌に掲載され
センセーションを巻き起こしました。
(参考:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20822814

この認知行動分析システム精神療法(CBASP)と
対人関係療法治療効果を比較した報告では、
早期発症(21歳未満で発症)の慢性うつ病において
16週間のCBASPは対人関係療法よりも寛解を得やすいが
1年後の抑うつ症状(BDI)には差がなかった
という結果が得られています。

さすが、治療終結後も効果が伸び続けるという
対人関係療法の面目躍如ですよね。

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の精緻な診断は治療効果に結びつく」というタイトルで、
表面に顕れた過食や自己誘発嘔吐などの症状だけでなく
その背景や症状の意味まで考慮することによって
治療方針まで視野に入れた診断が可能になることを書いています。

精緻な診断は対人関係療法の根本的な治療方針に関わりますから
摂食障害」や「気分変調性障害/持続性うつ病性障害」の
対人関係療法による治療を希望される方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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2015-02-16

気分変調性障害の気質とトラウマ

「気分変調性障害/持続性うつ病障害」は
1980年までは「循環気質性パーソナリティ障害抑うつ型」
と呼ばれていました。

循環気質(cyclothyme)とは、
クレッチマー(Kretschmer)が提唱した気質の一つで

ー匕鯏(人付き合いがよい)・善良(気立てがよい)・親切・情味深い
¬析(ほがらか)・ユーモア・活発・激しやすい
2斌(もの静か)・平静(落ち着きがある)・気重・柔和

などの特徴があり、同調性」が特徴とされており
循環気質は躁うつ病双極性障害)の特徴でもあります。
双極性障害と診断されている方は、ご自分と比較してみてください)

「循環気質性パーソナリティ障害」という呼び方は
いまの診断基準と比較すると「気分循環症」に近く、
「気分変調性障害」は、抑うつサブタイプ(亜型)とされたようです。
(むしろテレンバッハの「メランコリー親和型」がびったりするようです)

f:id:ipt-therapist:20150105172155j:image:w160

さて、しばしば幼少期や思春期に端を発する潜行性の起源を持つ、
原発性の抑うつ状態である「気分変調性障害/持続性うつ病障害」は

(a) 大うつ病の遺残状態ではない軽症の慢性経過(2年以上)
(b) しばしば幼年期や思春期に起源を持つ潜行性の発病(きっかけがない
(c) 持続性、あるいは断続性の経過
(d) 併存する「性格」の病理
(e)「安定」した社会機能が可能な程度の気分変動性

などが特徴づけられました。

このうち「(d)併存する「性格」の病理」については
慢性うつ病の精神療法』の著者であるマカロウも報告しており、
慢性うつ病外来患者のうち、約50%にパーソナリティ障害が併存し
クラスターB(演技的、感情的、不安定)か
クラスターC(不安、恐怖)に分類された、としています。

マカロウは「気分変調性障害/持続性うつ病障害」の患者にみられる
パーソナリティ障害の起源を幼少期に求めています。

幼少期に情動的虐待(積極的情動的虐待または消極的なネグレクト)、身体的虐待、身体的ネグレクト、性的虐待が見られることが多く、その他、慢性患者の早期小児期の状況に関連した要素としては、ホームレスや市営シェルター内の住居、母親のうつ病のためにきちんとした子育てを受けられなかったという既往、早期の親の別居、離婚、もしくは放棄、自らの体験として報告された、早期の混乱した家庭環境、母親及び父親との関係の貧困さ、母親および父親によるケアの質の低さ、慢性うつ病患児の親の精神疾患有病率の高さが挙げられる。
マカロウ『慢性うつ病の精神療法医学書院

これらの発達上のトラウマや愛着関係(愛着の絆)の形成不全のために
マカロウのいう「気分変調性障害」患者は
ピアジェのいう『前操作的段階』にとどまっており、
他者の視点・立場から物事を考える共感的な関わりが難しく、
抽象的思考が使えずに、客観的根拠のない直観的思考に陥り、

アイゼンク性格調査票を実施したところ、神経症傾向が高く(感情制御がむずかしい)、外向性の特典が低い(内向的で社会性が乏しい)という結果が得られた。

と記載しています。

「発達トラウマ障害(DTD)」や「愛着障害」を背景にした
『前操作的段階』での発達停止が「気分変調性障害」の起源と
マカロウは考えているようです。(『トラウマと気分障害の関係』参照)

つまりマカロウのいう「気分変調性障害」は
メランコリー気質をもつ内因性の慢性うつ病ではなく、
ましてや岡田先生がおっしゃる「愛着障害」でもなく、
対象関係因性の「神経症性抑うつ(抑うつ神経症)」、
つまり「不安型気分変調症」や「性格スペクトラム障害」のようです。
(『「不安型気分変調症/性格スペクトラム障害」の治療』参照)

このタイプは「トラウマ関連うつ病」としても
あるいは「不安型気分変調症」としても
対人関係療法治療できる可能性がありますので
自分にも当てはまるかもしれない?と感じられるかたは
三田こころの健康クリニックに相談してみて下さいね。

大人のための「困った感情」のトリセツ

大人のための「困った感情」のトリセツ

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害と衝動性」というタイトルで、
「元々どういう人だったのか?」という
「生まれつき決まっている四つの因子(気質)」を把握することは
治療方針を考える上で重要なポイントになるだけでなく、
病状の推移の予測や、自分をよく知り
それをプラスに生かしていくことが
「自尊心」を高める大きなポイントになることを書いています。

摂食障害」や「気分変調性障害/持続性うつ病性障害」の
対人関係療法による治療を希望される方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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2015-02-09

うつ病の臨床エトセトラ

精神疾患の有無によらず、
気分や行動は季節によって変化することが知られており、
とくに冬季は、活力、社会活動、睡眠、食欲、体重などが変化する
ということもよく知られていますよね。

この理由は、冬になると基礎代謝は上がるのですが
身体の活動量を抑えることでエネルギーの消費を防ごうとする
身体機能の反映、つまり「冬眠モード」になるからなのです。

とくに睡眠に関しては、

・入眠時間や目覚めの時間が遅い
・睡眠潜時(寝付くまでの時間)が長い
・睡眠慣性がより重度(寝覚めが悪い)
・トータルの睡眠時間が短い
・睡眠効率が悪い(疲れが抜けない)
・睡眠覚醒リズムの後退(次第に寝る時間と起きる時間が遅くなる)
社会的時差ぼけ(週末と平日の睡眠相中間点の差)

などが、学生や「冬季うつ病(季節性感情障害)」の女性でみられやすい
ことが知られています。

しかし睡眠関連症状があるからといってうつ病ということではなく、
精神症候学に沿った診断手順が必要なのです。

一方で、うつ病不安障害の患者さんは
冬になるといわゆる“気分の落ち込み”を感じる割合が多い
ことが報告されています。

最近は、「気分が落ち込んでいる」「ゆううつだ」といった程度で
うつ病」と過剰診断されていることがほとんどですよね。
気持ちの落ち込みや憂うつ感は
それだけではうつ病ではないので注意して下さいね。

うつ病患者は 「医療機関での治療」 をどう捉えているか
というアンケートが掲載されたことがありますが
やはり短時間診療や安易な診断に納得されない人が多かったようです。

DSMやICDなどの操作的診断基準では、
病前性格は考慮せず、症状のみで診断しますから
正常の憂うつや哀しみまでうつ病にされてしまい、
うつ病の範囲が広がってしまうことで混乱しているといわれます。
(短時間診療では、DSMに準拠した正式な診断を行うことは困難です)

たとえば、うつ病の中核症状である
「生気的悲哀(えもいわれぬ気分の悪さ)」や
「日内変動」「早朝覚醒」「精神運動制止」などが
生活史(ライフヒストリー)の中のどのあたりから出現し、
普段の生活の中でどのように立ち現れているか
を診ていく必要があります。

さらに「執着気質」(あるいは「循環気質」)や
メランコリー親和型などの病前性格の把握と
その表現である「同調性」の存在様式を含め
診断を行うのが正式な診断法なのです。

このような診立て(診断プロセス)によって
症状を位置づけることによって、
病気の症状を客観視することにもつながり
症状との間に距離を取ることができます。
このような診断プロセスそのものが
治療の第一歩になりますよね。

さらに、そのことにより
性格や考え方の問題ではなく治療可能な病気という状態である
という病気の受容とともに、
○好きで病気になったわけではない
病気の症状はコントロール出来ない
という前提をもとに
ある種の義務や責任の免除と同時に
病気を治すことに取り組む義務が生じる
という
病者としての役割が明確になりますよね。
これが対人関係療法による治療で重視する
医学モデル」の考え方なのですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害と強迫性障害の関係」というタイトルで、
過食をともなう摂食障害の約60%前後に何らかの不安障害の併存があり、
そのうち約40%前後が強迫性障害であったという報告を紹介し、
摂食障害の約40%には対人関係療法が無効なのか?という疑問を考察しています。

その中で、損害回避行動である強迫性(強迫症状や完璧主義)と
固執による強迫傾向(強迫パーソナリティ)が混同されている可能性
について指摘し、
強迫性障害の有無を確認するだけでなく、
その症状内容や動揺についても吟味する必要がある
ことを書いています。

このような詳細な診断と文脈の把握によってのみ
各人にあわせた治療方針が立てられるわけですから
対人関係療法による治療を希望される方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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2015-02-02

慢性うつ病と気分変調性障害

バートン(S.W. Burton)は

社会的介入と異なり、医学的介入を行うための第1歩は、正しい診断を行うことである。これこそが、適切な治療の適応を可能とする。

と述べています。

バートンの意見は当然すぎるほど当然のことなのですが、
精神科診断そのものがおざなりになっている現在では、
日常生活での悩みと疾患(病気)の区別すら曖昧で
なにかというと「うつ病」や「うつ状態」と診断され
すぐに抗うつ薬と抗不安薬が処方されてしまう
トンデモ治療が蔓延しているのが精神科臨床。

たとえば。
精神科治療薬物療法と精神療法が車の両輪と喩えられます。
みなさんが精神科の外来でもらう明細書には
かならず「精神療法」という項目がありますよね。
これは5分診療でも(精神療法が行われなかったとしても)
治療法としての精神療法を行いました、ということなのです。

しかし、ある大学病院精神科外来では、
クスリを飲みたくなければうちでは診れません」と
精神療法ができないことを正当化して言い放った話も聞いていますし。
一方、ある有名なクリニックでは
私のいうことが聞けないなら他所に行ってもらってかまわない!」と
恐怖政治さながらに恫喝された話も聞いています。

このような話は枚挙にいとまがないので本題に入りますね。

さて、「気分変調性障害」を含む「慢性うつ病」では

「慢性うつ病」が正確に診断されないと、治療が不十分になり、治療への反応性も芳しくない結果に終わる恐れがある。

だけでなく、

気分変調症」と「大うつ病」が併存した「重複うつ病」に、薬物療法と精神療法を長期かつ積極的に行わなかった場合には治療不十分になり、そのため「気分変調症」が続くだけでなくて、「大うつ病」の再発を引き起こしやすくなることが明らかになっている。

というデータがあるのです。

どういうことかというと、

気分変調症」が先行した「大うつ病」患者の61%が1年以内に症状の再発が認められ、薬物療法治療された「重複うつ病」患者のうち、97%が「大うつ病」エピソードからは回復するが、「大うつ病」と「気分変調症」の両方から回復するのは39%だけだとされている。

つまり「気分変調性障害」に重複した「大うつ病」は改善しやすいものの
容易に再発・再燃しやすいだけでなく、
先行する難治性の「気分変調性障害」のために治療が長期化しやすい
ということであり、「慢性うつ病」の患者は、
他の「単極性うつ病」よりも薬物療法は難しいだけでなく、
精神療法においても、同様の困難が言われているのです。

このように治療も難しく、治療反応も乏しい「慢性うつ病」は
全米成人の約3%、50万〜75万人が罹患していると考えられており、
生涯有病率は6%で女性の方が男性の2〜3倍多いと言われています。

ここまで「慢性うつ病」と「気分変調性障害」を区別せずに書いてきましたが
「慢性うつ病」は経過のパターンによって5つに分類されています。

(1)気分変調性障害:多くは思春期に潜行性に発症する軽症〜中等症の障害で、少なくとも2年間続いている。
(2)重複うつ病:大うつ病単一エピソード、もしくはエピソード間に回復を伴わない反復性大うつ病で、気分変調症に重複している。
(3)エピソード間に回復を伴わない反復性大うつ病で、2年以上持続しているもの:大うつ病、反復性、エピソード間に回復を伴わず、気分変調症を合併しないもの(DSM-IV
(4)慢性大うつ病:大うつ病性のエピソードの診断基準を満たした状態が2年以上続いているもの。
(5)重複うつ病/慢性大うつ病:重複うつ病と慢性大うつ病の両方の診断基準を満たすもの。

つまり、「大うつ病」の診断に満たない程度の
軽度〜中等度の抑うつ状態が慢性に続くものを
気分変調性障害(Dysthymic Disorder)」とよび
字義どおりにとればディスチミアとは「不機嫌症(ill-humoured)」であり、
アキスカル(Akiskal)らは

彼らは自らを「苦しむことにおいては貴族(an aristocracy of suffering)」に属していると思っているように見える。

と述べています。(バートン、アキスカル編『気分変調症』金剛出版, 1992)

うつ病のバリアント(抑うつ障害群)に属する
「気分変調性障害(DSM-5では持続性抑うつ障害)」について
これから少しずつ見ていくことにしますね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食や過食嘔吐はクセ(習慣)になるのか?」というタイトルで
習慣と感じられる過食や過食嘔吐の背景には
「気分不耐(感情への接触回避)」がありますが、
「クセ(習慣)なのかどうか」と考え込むのではなく、
日常生活のバランスを崩してまで、過食や過食嘔吐にしがみつくのは
何がストレスになっているのか?

という観点が必要なこと、そして
過食嘔吐に頼らなくても心のバランスをとれるようになること」が
対人関係療法での治療目標になるということを書いています。

そのため、対人関係療法による過食症治療では
重要な他者との関係だけは絶対に手を抜かない
ようにして
コミュニケーションの質を高めていくのです。

摂食障害対人関係療法を希望される方は
参考にしてみてくださいね。

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2015-01-26

過食をともなう摂食障害と双極性障害あるいはADHDの関係

過食を示す病態のうち

○神経性過食症過食症・排出型)
○過食性障害(過食症・非排出型 & むちゃ食い障害)
○夜間食行動異常症候群(夜食症候群

などでは、抑うつ障害(気分変調性障害)や双極性障害などの
気分障害との関連も言われています。

過食症でも双極性障害と同じく、何らかの不安障害
パニック障害全般性不安障害PTSDなど)を
高率に合併することが知られており、
さらに、いじめ、不登校などの不適応症状や
あるいは、過飲酒、性的逸脱などの衝動行為に加え
物質やアルコール乱用(依存)も多いことが知られています。

摂食障害でみられるこのような衝動性や過活動(多動)、
過敏な不機嫌を軽躁状態と見なされ、
双極性障害と過剰診断されていることもかなり多いようです。

最近では光トポグラフィーNIRS)などで
双極性障害の診断が出来ると謳っているところがありますが、
光トポグラフィーはあくまでも「補助診断」であり、加えて
双極性障害ADHD(注意欠如/多動症)の鑑別、
統合失調症ASD自閉症スペクトラム)の鑑別が先行していないため
双極性障害と診断されるケースの中に相当数のADHDが含まれてしまうのです。
(先進医療の認定が時期尚早だったという意見もあります)

とくに摂食障害の場合は女性に多く、

女性のADHDは、男性と違って大人になってから気づく。
それで私たちが注意しているのは、一見ボーダーラインのように見える、一見双極性障害のように見える、こういう場合には必ずADHDの存在が背景にないかということを確認するということです。

座談会 神経発達障害精神医学…森 則夫・杉山登志郎・中村和彦 in 『神経発達障害のすべて日本評論社

とあるように、一見、双極性障害の合併と見える場合は
かならずADHDと鑑別する必要があるのです。

一方では、双極性障害ADHDの症状が高率にオーバーラップしている
ことが多く報告されており、
双極性障害患者の約23%にADHDの合併が認められたこと、
ADHD合併例では双極性障害の発症年齢が低く、
躁病エピソードの回数が多くみられた、と報告されているように、
双極性障害なのかADHDなのか、
あるいはその合併なのかを注意深く診断する必要があるのです。

さらにADHDで特徴的とされる多動-衝動性、不注意(忘れっぽさ)や
攻撃性、かんしゃく、易刺激性などは
自閉症スペクトラム発達障害)でも関連症状として見られますし、
さらに、ADHDでも対人関係の障害(なれなれしさ対人不安)や
コミュニケーションの障害(多弁、一方的にしゃべる)など
自閉症スペクトラム発達障害)と似た部分も見られることが
さらに混乱に輪をかけているようです。

摂食障害と合併する双極性障害は、双極I型ではなく、
躁状態を示す双極II型や、軽躁状態が不明確な気分循環症など
いわゆる「双極スペクトラム」を指しているのですが、
過食症双極性障害が併存する場合は、
躁状態あるいは正常気分では、過食は減り
うつ状態で過食は増加する
という「非定型うつ病」の原型となった
「hysteroid dysphoria(ヒステリー性不機嫌)」に似た状態を示します。
※「非定型うつ病」の場合は、対人関係の満足による高揚感や、
買い物依存(浪費)、性的逸脱といった嗜癖的行動、脱抑制行動が軽躁状態と見なされ
双極性障害と過剰診断される可能性も示唆されています。


気分と食行動は、近接したセロトニン経路によって
調整されているといわれています。
うつ状態で過食が増加するのは、
炭水化物を過剰摂取すること(甘いもの過食)で
脳内のセロトニンの合成が促進され、
一時的にうつ状態を軽減させるためと考えられています。

摂食障害とくに過食症双極性障害の合併を疑うときには
気分と過食症状に関連があるかどうかを見るために
日本うつ病学会のサイトにある
ライフチャートを記入してみるのが最適です。

双極性障害と診断されていらっしゃる方は
自分でもライフチャート書いてみると、
自己モニタリングにもなり治療の一助になりそうですよね。

双極II型障害という病 -改訂版うつ病新時代-

双極II型障害という病 -改訂版うつ病新時代-

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
拒食を伴う摂食障害と発達障害の関係」というタイトルで
発達障害」や「発達凸凹」にともなう
「思考の固さ(思考柔軟性の弱さ)」「抑うつ気分や不安」
「ソーシャルスキルの欠如(アンヘドニアや低い共感性)」などが
摂食障害の症状を維持する因子に関連するのではないか

と考えられていることを紹介しています。

三田こころの健康クリニックでは
そのような「特性(trait)」をもつ人に対人関係療法を導入する場合、
どのような工夫をしているのか
、について紹介しています。
摂食障害対人関係療法を希望される方は
参考にしてみてくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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