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如実知自心〜対人関係療法@三田こころの健康クリニック〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2014-09-01

摂食障害の病前性格としての「よい子」

一般に、摂食障害は「よい子」がなりやすいといわれます。
それはどういうことかというと、
摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』で触れた
相手からの(自分の価値を下げそうな)想像上の評価を気にする
ということですよね。

患者の多くは、小さい頃からの親の願望や希望を汲み取りそれを充足するようなかたちで生きてきている。
すなわち「よい子、手のかからない子ども」として育っており、表面的にはしっかりしていても、自律性に欠け、いつも自己不全や自信のなさにさいなまれ、自尊心が極めて傷つきやすく、些細なことで無能感に陥る。

切池信夫『摂食障害』in「精神療法としての助言や指導―私はどうしているか」臨床精神医学 43(8): 1155-1159, 2014

という「失敗恐怖から生じた思い込み」を背景にした脆弱性(自己肯定感と自己効力感の低下)のために、
周囲からも「おとなしい」「自己主張しない」「マジメ」と思われており、
本人は「ボロが出ないよう」一生懸命、自分を繕っている状態のようですし、
「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」と共通する基盤があるようです。

精神科治療では、「気分障害」や「不安障害」が併存する場合
その治療を優先するという大原則がありますから、
摂食障害拒食症過食症・むちゃ食い障害)」の背景に
「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」がある場合は
その治療を先に行うことになっているのです。

だからといって、抗うつ薬を服用すれば治るというわけではなく

患者さん本人の気持ちは言葉では語られず、ただ「やせる」という現象でしか語られないのが一般的です。
水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

という体重や体形、そのコントロールへのとらわれ
心の問題を回避するための代理症状で不適応的解決策の表現としての摂食の問題
であることを明確にする必要があるのです。

水島先生も

「よい子」のままではそれを解決することができないのです。どこかで「よい子」をやめる決意をしなければ、病気へと向かっていくことになります。
水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

と書かれていますよね。

そのため、ストレス(出来事と精神状態)と過食という症状の関連をみていくのですが、

したがって思春期や青年期の発達課題医である自我同一性を確立して自立するための問題(自分らしさの追求)に直面したときに容易に挫折し、それから立ち直ることができなかったり、また挫折することを恐れてなにもしないという状態に陥る。
切池信夫『摂食障害』in「精神療法としての助言や指導―私はどうしているか」臨床精神医学 43(8): 1155-1159, 2014

「挫折することを恐れて」心のブレーキを踏み込んだ状態(回避)が
「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」も「摂食障害」に共通する
のですよね。

しかし「摂食障害」ではブレーキの方が勝っているものの
同時に心のアクセルも踏み込まれているので
「心の問題を体重の問題にすり替える」ということが起きてきくるのです。

摂食障害」の治療では
「アクセルとブレーキも強いものであることを自覚すること」が第一歩になります。
そして「ストレスを軽くして、ブレーキを弱める」ために

そんなときのための用心として、何か地道な努力を続けておくとよいでしょう。
冒険として楽しめる部分(当たりはずれのある部分)と、地道な満足を与えてくれる部分(当たりはずれのない部分)を、両方とも確保しておくと、バランスがとれて安心です。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

健康な部分(行動力)を使ってできることを広げていくことで
病気の部分を減らしていく
、といことを
三田こころの健康クリニックでは説明していますよね。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本

摂食障害と寄りそって回復をめざす本

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
DSM-5での摂食障害の最新事情」というタイトルで、
DSM-5では「拒食症」が『神経性やせ症』、
過食症・排出型」が『神経性過食症
そして「過食症・非排出型」と「むちゃ食い障害」が
『過食性障害』と呼ばれるようになり
診断基準も若干、変更になったことと
(たとえば拒食症では「肥満恐怖」と「無月経」が必須項目でなくなり
「期待される体重の85%以下」という低体重の目安も削除されています)

その問題点を書いています。

とくに「過食症・非排出型」「むちゃ食い障害」は
回避傾向(心のブレーキ)や感情不耐をクリアー出来れば
対人関係療法による治療効果は非常に高いことにもふれています。

過食をともなう摂食障害対人関係療法による治療を希望される方は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-08-25

プチ・トラウマと「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」

私たちの多くが、小さな頃から、人と比較されたり直接批判されたりすることによって傷ついて育ってきています。
心が傷を受けると、私たちの心身は「もう傷つかないようにしよう」というモードに入ります。すると、傷つけられそうな危険を感じるサインに敏感になります。
(中略)
トラウマとは異なり、プチ・トラウマの場合には、それ自体が日常生活に支障を来すほどの衝撃になるわけではありません。見かけ上の日常生活はそのまま平穏に続くことがほとんどでしょう。
しかし、「危険への敏感さ」や、自分を責めたり無力だと感じたりする「自分がだめだという感覚」は、一つひとつの程度は軽くても蓄積されていきます。

水島広子・著『ダイエット依存症講談社

ネガティブな評価(批判)を受けたという体験に対して、
人は「なぜ?どうして?」という自問自答の中で
「なぜ自分だけが?」と「人と比べる」ことを始めます。

評価を受けないように努力をしても
相変わらず評価を受けることが繰り返されると
「何をやってもうまくいかない」と「自分を責める」ようになります。

ストレスフルなずれが自分の力では解決不能でえんえんと続くというような場合に、人はうつ病になることが多いのです。
事態を改善しようと努力したけれども報われない、という経験を繰り返すと、その無力感はうつ病につながりやすいと言われています。
(専門的には「学習性無力感」と呼ばれています)
この時の無力感は、その特定の「ずれ」のみに関わるのではなく、人生全般にまで広がっているように感じられます。
つまり、「私は人生をうまくやっていけない」というふうに感じるようになるのです。

水島広子・著『対人関係療法でなおす うつ病創元社

このような感じ方は、

「自分は何をやってもうまくいかない」
「何かを言って波風を立てるくらいなら、黙って我慢した方がずっとましだ」
「自分の人生がうまくいかないのは、自分が今までちゃんと生きてこなかったからだ」

水島広子・著『対人関係療法でなおす 気分変調性障害創元社

という『気分変調性障害/持続性抑うつ障害』に特徴的な感じ方であり、
三田こころの健康クリニックでは

・自分を責める
・人と比べる
・「なぜ?どうして?」(攻撃的なニュアンスの原因探し)

という3つの病気の症状を、
セルフモニタリングを続けることでこれらに気付けるようになること
治療の初期に説明していますよね。

この「学習性無力感」は、
社会恐怖、回避性、依存性、自己敗北性などパーソナリティ障害
不安定型の愛着スタイル(あるいは愛着障害?)に見えることもあり、
さらに思春期の発達上のテーマと重なることも多いのです。

そうは言っても、子どもは親に認めてもらいたいと思うものです。
認めてもらうことによって、自分はこれでいいという自己肯定感も高まります。

そのため、『気分変調性障害/持続性抑うつ障害』の背景に
「評価」というテーマがある場合は、

・「役割をめぐる不一致」というずれがどのように抑うつ症状につながっているか
・ずれを解消することによってどのように症状が緩和するか

を、患者さんと親御さんに説明したり、
親同席面接の中で関係の交渉を促進することで
コントロール感(自己効力感)を高めていく方向で進めたりしますよね。
これが「思春期版の対人関係療法(IPT-A)」の応用で、
このような対人関係療法のすすめ方によって
愛着(アタッチメント)の修復と再構築も可能になりますよね。

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」の最新事情」というタイトルで
DSM-5での『気分変調性障害/持続性抑うつ障害』の扱いと
対人関係療法による治療について書いています。

とくに「気分変調性障害の対人関係療法(IPT-D)」は
治療にはかなりの力量が要求される
ため
十分な治療経験を積んだ治療者でないと治療は難しいと言われています。

対人関係療法による治療を希望される方は、
是非、こちらも読んでみて下さいね。

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2014-08-18

愛着(アタッチメント)の問題を疑うとき

三田こころの健康クリニックに
自分で愛着障害ではないかと思ったり、愛着の問題を疑って
治療を申し込まれる方には2つのパターンがあるようです。

1つは「自閉症スペクトラム症(発達障害)」の方で、
自分は人とどこか違う、なんだか生きづらい、
死んでしまいたいなどの漠然とした不全感を抱え
対人関係の構築・持続困難の「愛着障害」というタームに反応し
愛着障害をアイデンティティのように感じ、治療を申し込まれる方もいらっしゃいます。

もう一つのパターンは、
母子関係(子どもに感情的に当たってしまうなど)を主訴に受診される方で、
刹那の反転7〜 トラウマと愛着障害の彼方へ』で書いたような

母親(あるいは養育者)自身の“苛立ち”や“余裕のなさ”が子どもに伝染する時、子どもは泣き叫んで、まったくコントロールできない情動をあらわにする。
すると、これに母親(あるいは養育者)が反応し、怒りや憎悪から、殴りつけたり無視したりする。
これがまた子どもの情動に影響を与える……こうした“負の連鎖”の果てに“虐待死”があると考えられる。
この時、母親(あるいは養育者)の行動は、子どもの態度に反応しているかのようにみえるが、じつはその子どもの態度は母親(あるいは養育者)の“心”そのものでもあり得るのだ。

宇田亮一・著『吉本隆明「心的現象論」の読み方文芸社

という患者さん自身も、自分の母親との間で経験し、
それが患者さんと子どもの間で「再演」されている場合です。

この場合、母親である患者さんに診断できるような病気がなければ、
とくに「怒り」の扱い方を中心に、「対人関係カウンセリング(IPC)」を応用して
子どもへの対応の仕方に取り組んで行きます。
もちろん、その取り組みはご主人にサポートしてもらいます。

愛着障害や安全基地の歪みというほどのアタッチメントの傷つきはないものの
親がうつ病だったとか、家庭の事情が複雑だった、
あるいは、親が仕事で育児に対して十分な時間が割けなかったなど
アタッチメントの形成(安全基地の内在化)が十分でない場合や、
不安・孤独感・衝動性(「過食」や「むちゃ食い」)などが主訴の場合は、
不安型気分変調症』と診断される場合も多いのです。

このような場合も、患者さんに

  • 「自分の気持ちをよく振り返り言葉にして伝えてみる」

という現実に取り組むことを勧める一方で、周囲の人(とくに親御さん)には

  • 「とにかく話を聞く」
  • 「どんな気持ちも受け止める(肯定する)」

という「一貫性のある言動」をフィードバックしてもらうとともに
『「患者さんがいま何を感じているのか」を感じ取ってもらう』という
非言語的な「無条件の肯定的関心」を患者さんに向けてもらう事で
患者さんの「安全基地の内在化」が促進されるよう
愛着再構築的に対人関係療法をアレンジして治療を行っているんですよ。

また『「評価」というプチ・トラウマは愛着障害なのか』で触れた

彼らは幼少期には存分に母親との共生的な時期を享受するが、この原初の至福をもたらす環境は、あまりに突如として、世俗的に一角の人物にならなくてはならないという「教育」環境に転換する。
津田均・著『気分障害は、いま』誠信書房

という変化が受け入れられていない人の中には、
「他者(親)のせいにする」という他罰・外罰傾向をもち
「他者(親)が変わってくれないと自分も変われない」という
「他者に委ねた生き方」を続けているタイプもあります。

このタイプは発症は対人関係因性の「不安型気分変調症」のようですが、
その後、内因的な「無力型気分変調症」として経過したタイプで
対人関係療法を進めていく時には、
乏しい現実とのやりとりの中で「出来事を位置づける」という作業をくり返すことで
回避性を減らして主体性を伸ばすことに腐心します。

対人関係療法では、焦点とする問題領域は4つしかありませんが
この診断にはこの問題領域と、マニュアル通りに適応するのではなく、
背景因子の把握、疾患の成立プロセス、疾患のバリエーションの診立てなど、
ある程度の診断分類を行うことなしに治療戦略を考えることはできませんから

・現在の対人関係の中でどこが変化しやすいか
・どう変化していけば、いまの病気は良くなるのか

というようにその人に合ったアレンジを行う必要があるんですよ。
これが対人関係療法で重視する「鑑別治療学」ですよね。

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『評価』というプチ・トラウマは愛着障害なのか」というタイトルで
思春期以降の行動パターンは、親の育て方の影響をほとんど受けない
ということから
プチ・トラウマの関与は、育て方とは関係が無いのか?
という疑問について考察し、乳児期の共生的な二者関係から
どのようにして「評価」というプチ・トラウマが生まれるか
という変曲点について考察しています。

対人関係療法による治療を希望される方は、
是非、こちらも読んでみて下さいね。

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2014-08-11

思春期以降に明らかになる愛着障害とは?

近年の行動遺伝学の見解では、

子どものうちは「家庭環境要因」の関与が大きく「遺伝的要因」や「個別の環境要因」は目立たないが、
思春期以降は、認知様式や行動パターンに関しては「遺伝的要因」や「個別の環境要因」によって決定され「家庭環境要因」はほとんど目立たなくなる

といわれています。

どういうことかというと、子どものうちは
親のしつけや育て方の影響(家庭環境要因)を大きく受けるのですが、
思春期を過ぎてからは、
「生まれつきの気質(もともとの状態:遺伝的要因)」と
「親のしつけや育て方をどう位置づけたか」という
「個別の環境要因」により行動パターンが決定されるということですよね。

摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』で引用した

プチ・トラウマが他人からの評価に対する不安を生み出すと言っても、実際にはほとんどの人が他人から批判された経験を持っているわけであり、その人たちのすべてが他人の言動にそこまで敏感になっているわけではありません。
その違いを作るのは何かと言うと、その人のもともとの状態と、批判された体験をどのように位置づけたか、ということです。

水島広子・著『ダイエット依存症講談社

ということが、行動遺伝学的に証明されているということですね。

この視点から「愛着障害/アタッチメント障害」を考えてみると、
「乳幼児期の適切な養育の欠如(重度のネグレクト)」により
『反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害』や
『脱抑制型対人交流障害(反応性愛着障害・脱抑制型)』のような
障害された行動パターンを、7歳頃まで示す可能性がありますが、
「愛着障害/アタッチメント障害」は
養護施設で育った子どもでさえ20%未満にしか生じないとされています。

一方、思春期以降の情動あるいは行動の障害は
「もともとの状態(発達障害などの遺伝的要因)」と
「その出来事をどう体験したか」という「個別の環境要因(認知様式)」によるのです。
(『摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』参照)
では「プチ・トラウマの関与は、育て方とは関係が無いのか?
という疑問が出て来ますよね。

たとえば、双子や兄弟で同じように育てられたとしても、
片方は、傷ついてトラウマ反応を呈しているのに
片方は、何事もなかったように平気で過ごしている
ということもあるわけです。

そのことについては、
摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』で書いたように
「批判された体験をどのように位置づけたか」を考慮して
「脆弱性からの成長」の視点を取り入れない限り、
「他者に委ねた生き方」を助長してしまう
というリスクがあるため、
対人関係療法による治療を導入する際には、
「愛着障害」や「複雑性PTSD」の安易な診断は避ける必要があるのですよね。

(017)母という病 (ポプラ新書)

(017)母という病 (ポプラ新書)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害』の最新情報」というタイトルで
DSM-5での『反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害』と
『脱抑制型対人交流障害(反応性愛着障害・脱抑制型)』の扱い
について書いています。

対人関係療法による治療を希望される方は
是非、読んでおいて下さいね。

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2014-08-04

摂食障害の対人関係療法で自己効力感(コントロール感覚)を取り戻す

対人関係療法治療の中で、重要な他者から

☆ 存在そのものを認められる
☆ 自分の意見を表現することが尊重されている

という「無条件の肯定的関心」を向けられることで
自分の存在を認める自尊感情(自己肯定感・自己志向)が育ってきます。
自然条件ではこのプロセスが「愛着(アタッチメント)」の形成過程になります。

自分を認めるということは「自分を責めない(評価=ジャッジメントを下さない)」
ということですよね。
(『対人関係療法のこころの姿勢〜ジャッジメントに気づき手放す』参照)

この「評価」について水島先生は

こうして見てくると、ありのままを受け入れられることなく、一方的に評価を下されるという育てられ方が、どれほど自尊心やコントロール感覚の素地を奪ってしまうか、ということが理解できます。
そして、自尊心が低くなり、「コントロール感覚」が感じられなくなると、「形」とのつきあい方も、「こだわり」ではなく「とらわれ」になってしまうのだと言えます。

水島広子・著『ダイエット依存症講談社

と書いておられます。

つまり、対人関係療法による治療のプロセスでは
「評価=ジャッジメント」に気づき手放すことによって
自分は確かに選べるのだけど、
自分が辛くなるような選び方しか今はできない

という「努力を正当に評価される」ことでもあり、
さらに自分のプロセスと認めることができれば、
これは「試行錯誤が許されている」ということでもあり、
この2つが「まあ、何とかなるだろう」という「コントロール感覚(自己効力感)」につながってくる
ということなのです。

それだけでなく、「評価=ジャッジメント」に気づき手放すことは
「境界線」を明確にすることにもつながりますし、
同時に、自分の「立ち位置(プロセス)」も明確になりますよね。

そうは言っても、摂食障害は一直線によくなるわけではありませんから

「体型が気になる」=「やせなければ」と短絡的に進むのではなく、「体型が気になる」=「今、自分に起こっていることをよく振り返って、自分の心の声を聴いてみよう」という道筋を進むことで、自分のケアをすることもできるのです。
自分の心の声を聴けば、そこには適応すべき変化が見つかることが多いと思いますので、自分の気持ちを素直に認め、自分の感じ方を肯定し、親しい人にも話して支えてもらう、というように、コントロール回復のための「王道」を歩めばよいということになります。

水島広子・著『ダイエット依存症講談社

というふうに、何度も何度も

○ 自分のまわりの状況(特に、対人関係に関するもの)に変化を起こすよう試みる
○ 自分の気持ちをよく振り返り、言葉にしてみる

という対人関係療法の原則に立ち戻ればいいということですよね。

対人関係療法での治療を進めていく上では、
背景因子の把握、疾患の成立プロセス、疾患のバリエーションの診立てなど、
ある程度の診断分類を行うことなしに治療戦略を考えることはできません

たとえば、愛着(アタッチメント)の傷つきや、
愛着形成が不十分な『不安型気分変調症』がある場合は、
マニュアル通りに「治療による役割の変化」を適応するのではなく、
安全感(自己肯定感)や安心感(コントロール感)を培う」ことを目標に
「役割の変化」や「役割をめぐる不一致(病気のために傷ついた対人関係の修復)」

治療目標にしたりなど、ケースによりさまざまです。

これが患者さんにあった治療のやり方を考えるという
対人関係療法で重視する「鑑別治療学」の考え方ですよね。
そしてその「鑑別治療学」を可能にするのは、
「その出来事をどう体験したか」という「文脈」を読み解くことが重要
このことは水島先生もくり返し書かれていることですから、
いまの治療で改善がみられないときは
三田こころの健康クリニックに相談してみてくださいね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害が治るということ」というタイトルで
医学モデル」に基づく「障害」がなくなった状態
さらに治療によって、新たなスキルが身について
「障害」を起こさなくなった状態の2つを
摂食障害が治った」状態とすることについて説明しています。

さらに「再発のリスクを抱えた健康な人」という役割を支えるために
「病者の役割」や症状と人格を区別する「医学モデル」を明確にしないと
「自己責任論」に陥ってしまい、患者さんの罪悪感を刺激し
ふたたび病気の中に閉じ込めてしまう危険性についても書いています。

摂食障害対人関係療法による専門的な治療を希望されている方は、
ぜひ、こちらも参照してみて下さいね。

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2014-07-28

摂食障害の対人関係療法で自己肯定感(自尊心)を回復する

摂食障害からの回復には
『両親、恋人、友達による「共感と理解」「受容や承認」』が必要
であることが『摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社
の中で述べられています。

つまり、痩せていても太っていても、もし他者あるいは自己に受け入れられ、肯定されるのであれば、痩せることで他者あるいは自己に受け入れられようとする気持ちは緩和する。
体型にかかわらず、自己を受容し、他者に受容される場では、痩せていることに大きな意味はなくなるからだ。

「自分が承認され受け入れられたと感じる」体験には、人を「一定の世界観に埋没した状態から解放する」作用がある。

摂食障害とは、いわば「痩せている自分には価値がある/痩せていない自分には価値がない」という世界観に埋没している人々なのであり、受容や承認という経験は、こうした世界観からの解放をもたらすものとして作用していると言えるだろう。

摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社

「痩せている自分には価値がある/痩せていない自分には価値がない」
という
条件付きの肯定的関心」の世界に閉じ込められ
ありのままの自分を表現することができない環境や
ありのままを受け入れられ肯定された経験の少なさ
が影響している摂食障害
の患者さんにとって、
「痩せていても太っていても、他者あるいは自己に受け入れられ、肯定される」という体験は
無条件の肯定的関心」であり
その人の「存在そのものを肯定される」という
「自尊心の土台(自己肯定感)」にも関わってきますよね。

摂食障害対人関係療法による治療課題に

○ 自分のまわりの状況(特に、対人関係に関するもの)に変化を起こすよう試みる
○ 自分の気持ちをよく振り返り、言葉にしてみる

がありますが、これによって

・自分を傷つけそうな評価を特に気にする(周りに合わせる)
・相手からの想像上の評価を気にする(自己主張しない)

という「評価への過敏性」という問題領域に取り組んでいきます。

その中で重要な他者から

☆ 存在そのものを認められる
☆ 自分の意見を表現することが尊重されている

という「無条件の肯定的関心」を向けられることで
自分は自分のままでいい(他人は他人)
と自分の存在を認めることができるようになります。
この自分で自分を認められる気持ちが
自尊感情(自己肯定感あるいは自己志向)
です。

対人関係療法であつかう「決めつけ(評価:ジャッジメント)」や
「だれの問題なのか」という「境界線の問題」に対しても、
「実際の(リアルな)やりとり」に対して明確にすることで
双方向性に主体的に関わることができるようになりますよね。

さらに環境や人との相互作用によって身についた
「自己志向(自尊心)」という性質・性格が、
「新奇追求の高さ」と「損害回避の低さ」という
気質が出した「過食へのゴー!サイン」にストップをかける

つまり性質・性格が気質を調節する形で
「コントロール感覚(自己効力感)」につながる
ということですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元」というタイトルで
摂食障害対人関係療法による治療
焦点とする問題領域として選ばれることの多い
評価への過敏性」について解説しています。

このことは、ほとんど知られていないのですが、
似て見える2つの次元の「評価への過敏性」では
重なることも多いのですが、それぞれについての取り組み方が異なるため、
一方では愛着の問題や愛着スタイルを明確にする必要があり、
もう一方では行動を活性化する必要があるなど
区別しないと不適切な治療になってしまう可能性があるのです。
(いずれアタッチメントとの関連でまとめる予定です)

これは対人関係療法治療の質にも関わることなので
摂食障害対人関係療法による専門的な治療を希望される方は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-07-22

過食症の食生活の改善

摂食障害とくに過食症治療病気がよくなっていく過程は

・やせ願望が緩和されていくプロセス
食生活が正常化していくプロセス

の2つのプロセスがあることが知られています。

水島先生も書かれているように

過食症の過食は「ダイエットの反動としての過食」と「ストレス解消としての過食」が混在しています。
前者(ダイエットの反動としての過食)をなくすためには、きちんと食事をとって必要な栄養を摂取していく必要があります。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』水島広子・著 紀伊國屋書店

食生活が正常化していくプロセスは
ダイエットの反動としての過食(飢餓過食)」が治っていくプロセスで
そのためには

過食を押さえつけない
過食を抑えるには、とにかくちゃんとしたものをちゃんとした量食べるしかありません。
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』水島広子・著 紀伊國屋書店

ということですが、対人関係療法では原則として直接扱わないんですよ。
それは、

生活習慣に焦点をあててしまうと患者さんが直視しなければならない対人関係の問題から逃げやすくなってしまうからです。

という理由があるからなのです。

この「ダイエットの反動としての過食(飢餓過食)」が治っていくプロセスは

痩せ願望が弱まっても、普通の食生活に自然に戻れる人ばかりではない。
摂食障害である間は、過食か絶食かという極端な食生活になりがちなので、一回の食事の量の感覚、空腹や満腹の感覚がなくなっていることも多い。
したがって、普通の食事に戻していくには、一定期間、意識的に食事を摂っていくことが効果的なケースもある。

摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社

のように、「意識的に食事を摂っていく」ことで
身体感覚を回復し、「自分自身との折りあい」をつけていくプロセスとして重要なものなのです。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本ー実践編』には

どうやって過食をとめたらよいのか
日常の食生活で心がけること
過食を止めるためには、1日3回の規則正しい食生活の確立が大切です。
1日1回しか食事をしない人は2回に、2回の人は3回に増やしましょう。
最初は食欲と関係なく時間帯を決め、食べる練習をして下さい。
規則正しく食事をすることが、過食の衝動を抑えることにつながります。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本ー実践編』切池信夫・監修 日東書院

とあるように、
衝動過食や習慣過食など強迫-衝動スペクトラムの要素のある人にとっては
非常に大切な取り組み方(練習)になります。

対人関係療法では「心のブレーキを外すトレーニング」とか
「少しずつ慣らす」ということですが、

Oさんも、際限なく太るのではないかと《本気で思っていた》と書いているが、拒食症過食症の人にとって、吐かずに普通に食べ始めること自体が、たいへん大きなチャレンジなのだ。
未知の領域に足を踏み入れる時、人は恐怖を感じるし、立ち止まりたくなる。
そして、身体や食欲をコントロールするという、いつもの慣れ親しんだ苦しみの世界に留まってしまう。
しかし、Oさんが述べているように、《食べたいときに食べたいだけ食べても、そうそう簡単に太るもんじゃないんだ人間て》。
際限なく太るのではないかという恐怖は《幻想だった》のだ。

摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社

「食べる」という現実に取り組むことで、向き合う必要があることは
「慣れ親しんだ苦しみの世界に」留まらないという、
今の不健康な「安定」に逃げ込まず、
本当の意味での安定に向かう勇気を持つこと
になりそうですよね。

その先にあるものは

ガレットのインタビューでは、回復者から、コントロールを手放しても大丈夫なのだという身体への信頼が語られていた。
身体は敵ではない。コントロールをしなければ暴走していくような無知なる存在でもない。
身体には叡智があり、それは私たちにさまざまな形でメッセージを送ってくれる。

摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社

という自分自身(と自分の身体)に対する信頼感の回復ですから、
いますぐに摂食障害対人関係療法などの専門的な治療を受けることができない人でも
次の食事からすぐにでも始められる方法ですし、
自分の身体や食欲を信頼していく勇気を持って、
「身体への過剰なコントロール」を手放す一歩を踏み出してみて下さいね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
習慣および衝動の障害としての過食症」というタイトルで
「ストレス解消としての過食」の根底にある「気分不耐」と
過食に対する「耐性」や「プチ解離」が「ダイエットや過食の依存」につながる

ということを書いています。

いい加減な短時間診療やアヤシゲな電話相談などに惑わされず
「その人に合った治療のやり方を考える」必要がありますので、
摂食障害対人関係療法による専門的な治療を希望される方は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-07-14

摂食障害の対人関係療法による治療

4月末に『摂食障害と寄りそって回復をめざす本ー実践編』が
出版されました。
一般向けの本としては『拒食症と過食症』に続くため
「実践編」と銘打ってあるのかもしれませんね。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本

摂食障害と寄りそって回復をめざす本

その中で対人関係療法について触れてありました。

治療は3期に分かれていて、第1期は1週間に2回を2週間、摂食障害を発症して維持している対人関係の分析に当てられています。
第2期は1週1回を4週間、現在の問題となっている対人関係のゆがみに直面し、これを快適な対人関係に変えていきます。
第3期は2週間に1回を数度、全体で12〜16週間、良好な対人関係の持続と将来起こり得る対人関係上の問題に対する対処法をまなぶことなど、からなっています。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本ー実践編』切池信夫・監修 日東書院

このやり方は、水島先生が厚生労働科学研究の
対人関係療法(IPT)の有効性に関する研究』で発表され
水島先生の教えを受けた対人関係療法治療者がスタンダードに用いている
『神経性大食症用対人関係療法(IPT)マニュアル』
とは違っています
ので注意して下さいね。

まず回数については、20回を超えないとされています。
マニュアルには例として16回のやり方を書かれているので
見よう見まねでやっている治療者はそう思いこんでいますよね。

しかしマニュアルをよく読むと20回未満になっていますし
期間限定にこだわりすぎるのは対人関係療法の質を損ねる
ということもわかっています。
対人関係療法は「患者さんの現実に合わせる」という鑑別治療学を重視しているので、
三田こころの健康クリニックでは20回までとしています。

治療は3期に分かれているというのはそのとおりなのですが、
基本的に一回50〜60分で、初期から中期まではセッションは毎週行います。
1週間に2回を2週間ということはやりませんので
これは違っていますよね。

初期(第1期)は週に1回、通常3〜4セッション
治療の土台作りとして「疾患教育」や「病者の役割の付与」、
病気と問題領域の関連づけ(フォーミュレーション)」、
「焦点とする問題領域」と「治療目標の設定」など
治療の方向性を考える非常に大切なセッションになります。

中期(第2期)は週に1回、9〜12セッション行いますから
「第2期は1週1回を4週間」も違っていますよね。(これだと4セッション

実際の対人関係療法では、中期には「焦点とする問題領域」に取り組み、
出来事と治療関係に関連した「感情のモニタリング」や
対人関係スキルを向上させるための「さまざまな対人関係技法の修得」に当てられます。

この中期で目指していくのは
「主体性や能動性の確立」
ということなのです。
(『対人関係療法の取り組み方〜自分の選択に自覚と責任を持つ』参照)

「対人関係のゆがみに直面し、これを快適な対人関係に変えていき」というのは、
対人関係療法に関してのよくある誤解で、
対人関係療法では「対人関係のゆがみに直面」させたりしないのですよ。

この誤解を元に、
「快適な人間関係」という「適切な方向」に患者さんを進めることや
「相手に伝える」ことを至上の課題のように扱うことなどは、
対人関係療法では「質を損ねる問題」とされていますから要注意ですね。

終結期(第3期)は2〜3セッションで、
治療の地固めとして、治療の中での変化を振り返り、
患者さんが得たスキルの確認と、
再発の徴候、その時使えそうなスキルを話し合うだけでなく、
終結についての感情もサポートする重要なセッションです。

この終結期は「2週間に1回を数度」ではなく
毎週だったり、2週間に一度だったり、
あるいは患者さんによっては月に1回だったり、
その頻度も患者さんの現実に合わせるということなのです。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本ー実践編』に書かれている
対人関係療法の解説と、実際の対人関係療法はかなり違いますので
水島先生の本と読み比べてみてくださいね。

ちなみに。
先日お知らせした『みんなで学ぶ対人関係療法』は
7月11日の受け付け開始から4日目にして満席になり、
現在、キャンセル待ちの状況だそうです。
チラシは三田こころの健康クリニックに置いてありますので、
参加ご希望の方はお早めに申し込みくださいね。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
ダイエットの反動としての過食」というタイトルで、
過食性障害(むちゃ食い障害)も含む『過食症』の根底には
ダイエットの反動としての過食(飢餓過食)」と
「ストレス解消法としての過食(ストレス過食)」
という
2つの構成要素があることを書いています。

ダイエットの反動としての過食(飢餓過食)」に対して
水島先生流の対人関係療法では
どのようにして自分との折りあいをつけていくのか
について解説しています。

とくに過食をともなう摂食障害対人関係療法による治療を希望される方は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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2014-07-11

「みんなで学ぶ対人関係療法」のお知らせ

[=f:id:ipt-therapist:20140711192031p:image:w360
f:id:ipt-therapist:20140711191836p:image:w360
「みんなで学ぶ対人関係療法」のお知らせ
●日時:8月23 日(土曜)10:00〜16:00(昼休憩あり、質疑応答あり)
  ※講演終了後(16:00以降)、水島広子による著作サイン会を開催
   (主要図書は現地で購入可能)
●時間:10:00〜16:00 (9時半開場 昼休憩あり)
●場所:東京産業貿易会館6階 商工会館研修室 (JR浜松町駅徒歩5分)
●参加費:8000円 (税込み、資料代含む)
   事前に振り込みをお願いします。
●定員:先着90名
●対象:一般向け(どなたにもご参加いただけます)

詳細はこちら→http://ipt-event.com/

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2014-07-07

対人関係療法による自尊心の高め方

医療の分野では思いやりのある行動が大切だということはわかっているが、現実にはわれわれの多くが、感情的な絆を作り上げることよりも技術的な問題や生化学的問題の方を優先しがちである。

とロチェスター大学医療センターの研究チームが
"Health Expectations"誌に発表された論文で述べています。

これを精神医療に当てはめて考えてみると、
精神療法(感情的な絆)よりも薬物療法(技術的・生化学的な問題)を優先しがち
ということになりますかねぇ。

ちなみに、対人関係療法の代表的な技法でもあり
出来事と感情という「文脈」に焦点を当てる
「コミュニケーション分析」は
精神療法の非特異的因子でもあり、かつ、
最も重要な治療関係の構築の土台となる
「感情的な絆」の構築に役立つ
ということがわかっています。

実際、"USC Marshall School of Business"の研究で
自分と同じような感情的反応を示す誰かと感情を共有することが
ストレス軽減につながる
という結果が出ています。
ここで連想されるのが
情動調律(アチューンメント)」ですよね。

乳幼児期のごく早い段階に共感能力に乏しい親のため
不安の緩和や行動に対する支持や賞賛を経験しなかったり
親に対して充分な愛着希求行動を発揮しかったりすると
「安全感(安全基地)」を内在化しないまま成長することになります。

"Journal of Child Psychology and Psychiatry"(小児心理精神科誌)に

母子関係の障害(肯定感を得られないこと)は、感情コントロールの困難をもたらし、成人期の適応に影響を及ぼす。

という論文が掲載されていました。

これまで見てきたように環境との関わりが大きい
「自己志向」「協調性」「自己超越」などの「性格(キャラクター)」は、
環境からの影響(たとえば不適切な母子関係)によって
不適応的な行動に導く危険性を持つという結果とも読めますよね。

人の行動を自動的に触発、抑制、維持・固着する反応は、
それぞれ「新規追求性」「損害回避」「報酬依存」という
発達初期の「気質(テンペラメント)」
によって決定されます。

さらにこれらの反応は、周囲の環境との相互作用によって
経験にもとづく自己洞察学習で再組織化され、新しい適応的な反応に変化し、
「自己志向」「協調性」「自己超越」などの「性格(キャラクター)」
気質を調整するかたちで「パーソナリティ」の成長へとつながります。

この時に自己洞察学習を後押しするのが
乳幼児期から形成された「愛着スタイル(対人関係パターン)」
であり、
これが「パーソナリティ」の形成に重要な意味を持ちます。

また一方で、「性格(キャラクター)」は
環境を変化させることによって修正可能な部分でもあるのです。
つまり対人関係の質を変化させることが自己洞察学習の体験(修正情動体験)につながり
自尊心の回復が期待される
ということですよね。

自分はこれでいいのかもしれないという「自己肯定感」と
まぁなんとかなるだろうという「自己効力感」という
「2つの要素からなる自尊心」の修復・回復に必要なプロセスが
三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』に書いた
ありのままの自分と出会う」「ジャッジメントに気づき手放す」ということでした。

今回は「自分の選択に自覚と責任を持つ」というタイトルで
「自覚(アウェアネス:気づき)」を基盤に
「ありのままの自分」をみとめる「自己モニタリング」や
「ジャッジメントでない評価(evaluation)を行う」ことが
「能動性(主体性・自発性)」であり、
「自尊心の土台」となることを書いています。

対人関係のストレスが軽くなり、自分のコミュニケーションにどうにか自信がついてきて、まず精神的に楽になります。
その後、だんだんと食行動が正常化してきます。
「症状はストレスの表れ」ですから、食行動の方がストレスよりも先によくなるということは考えられないのです。

水島広子・著『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

にある、「自信がつく」心のメカニズムについて解説しています。
ここまでのことを踏まえて、来週からはいよいよ
摂食障害」の対人関係療法の解説シリーズに入りますので
楽しみにしていてくださいね。

また「気分変調性障害」や「過食症」「過食性障害(むちゃ食い障害)」など
自尊心の低下する病気対人関係療法による治療を希望されている方は
是非、参照して下さいね。

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