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如実知自心〜対人関係療法@三田こころの健康クリニック〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2015-03-02

「慢性うつ病/気分変調性障害」の精神療法

マカロウは『慢性うつ病の精神療法』で

「類別交配(assortative mating)」精神病理を有する人が相手として精神病理を有する人を求める傾向が、慢性うつ病の人の結婚パターンの特徴であるという事実もよく知られている。

気分変調性障害では対人関係のパターンがくりかえされることを
特徴としてあげています。

水島先生も

このような関係は、一見「役割をめぐる不一致」には見えません。本人の気分変調性障害の症状と相手の虐待的な態度は、鍵と鍵穴のような関係にあって、むしろ一致しているからです。
しかし、それは「病気と相手との一致」であり、「自分と相手との一致」ではありません。病気と一致する関係を続けていくということは、病気を治りにくくし、病気による苦しみをますます増していくということにもなります。

水島広子『対人関係療法でなおす 気分変調性障害創元社

ということを書いておられます。

もう少し詳しく解説すると、気分変調性障害の人は対人関係が

「犠牲者としての生活タイル」を示すようプログラムされている。

とされます。

この受身的な対人関係スタイルによって

自然と他者を「押す」か「引く」かして、支配的な役割につかせてしまい、自分は1つ下がった立場をとるようになることである。

と「他者操作性」について指摘し、これについてアキスカルは

これらの患者は、最善の場合でも「非定型うつ病」と判断され、最悪の場合は「境界例」として見なされる。
上のような標識、とくに後者は、取扱いが非常に困難なこれらの患者の不可解な気分を治療しようとする際に、治療者が経験する葛藤を反映したものといえる。

と、治療上の注意を喚起しています。

この「他者操作性」が精神療法に与える影響について

焦点が、気分障害ではなく、性格と内的な葛藤に当てられているため、気分変調性障害の患者がすでに感じている自責を強化する可能性がある。
同じ理由により、そのような患者は、中立の、比較的静かな治療者に困難を感じることがある。
過去に黙想的な焦点を当てることも、(中略)すでに黙想にふけっている患者には役に立たないだろう。

ワイスマン、マーコウィッツ、クラーマン『対人関係療法総合ガイド』岩崎学術出版社

精神分析力動的精神療法(およびそのカウンセリング)は
気分変調性障害にはマイナスであることが言われています。

それだけでなく、マカロウは

治療場面では治療者は、何をするのか、またどうやってやるのかという指示を待っている人に対峙することになる。
臨床家の反応はいかなるものであろう。
多くの治療者は、次第に気が短くなり、患者が考えるのを待つことができず、患者に何をしたらよいかを考え始めてしまう。
(中略)
残念なことに、患者を取り巻く人々たちは、何をすべきか、何をすべきでないかを直接的に指示してしまうことによって、患者の服従的行動に反応していることが多いのである。

マカロウ『慢性うつ病の精神療法医学書院

治療者側の「エナクトメント」に注意をうながし

パーソナリティ障害が現在の問題の一部をなすという認識をあらかじめ持つことで、臨床家はしばしば生じる対人関係―行動的問題に注意して用心深く進めていくことができる。

と「対人関係―行動的問題」に焦点を当てることを勧めています。

これがマカロウが提唱した、認知行動療法的な状況分析と
対人関係転移分析による対人弁別訓練を組合せた
認知行動分析システム精神療法(CBASP)」です。

対人関係療法では、おもに
症状に気づくという「治療による役割の変化」を焦点としますが
ほとんどは対人関係での出来事を詳細に検討しながら

○何が起きたのか
○本当はどうなって欲しかったのか
○そのためにはどうしたらよいか

など「現在に焦点を当てた行動志向的なアプローチ」を
進めていきますよね。

彼らは無風の抑うつ状態から自らを奮い起こすために、積極的なサポートを、「チアリーダー」をすら、必要としているからである。
ワイスマン、マーコウィッツ、クラーマン『対人関係療法総合ガイド』岩崎学術出版社

患者さん自身が、「自分のまわりの状況(とくに対人関係に関するもの)に変化を起こす」
という
「回避や消極的な対人操作」という行動的問題を解決していくことを
治療者がチアリーダーとして応援していきますよね。

プレッシャーに負けない方法 ―「できるだけ完璧主義」のすすめ

プレッシャーに負けない方法 ―「できるだけ完璧主義」のすすめ

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害に薬物療法は有効なのか」というタイトルで、
最近、過食症では脳の報酬系領域内の
ドパミンオピオイドアセチルコリンセロトニンなどの調節異常の可能性
が示唆されています。
食欲、気分調節、衝動制御に関する神経伝達物質を標的として
さまざまな薬剤の可能性が研究されているのです。

あくまでも薬は治療対人関係療法)をスムーズにするための
ギプスや松葉杖のような位置づけであり、
対人関係療法は「過食に代わる本質的なストレス対応策を身につけていく」
リハビリのようなもの、と考えていただくと
わかりやすいかもしれませんね。

精神科のクリニックや病院に何年も通院しているのに
なかなかよくならないと感じていらっしゃる方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2015-02-23

「気分変調性障害/持続性うつ病障害」の治療法

さて、循環気質や執着気質
あるいはメランコリー親和性性格を背景に持つ
「気分変調性障害/持続性うつ病障害」は
思春期中期に目立たない形で発症し(平均年齢15歳)、

(a)気分の症状
 (1)無快楽症(アンヘドニア
 (2)抑うつ
(b)植物状態(自律神経症状)
 (1)不眠
 (2)睡眠過多
(c)認知の症状
 (1)自尊心の低下
 (2)反復的な罪悪感
 (3)絶望感
 (4)自殺念慮
(d)精神運動性の症状
 (1)集中力低下
 (2)疲労感
 (3)興味の減退
 (4)社会的引きこもり

などの症状が特徴とされました。

ほとんどの症状は大うつ病の症候と重複しますが
「気分変調性障害/持続性うつ病障害」の特徴は
患者の苦悩が元々の自分が抱えていたものと明確に区別することができないこと
つまり患者自身が性格に起因する苦悩と
「気分変調性障害/持続性うつ病障害」の症状を
区別できないと感じている
、とされています。
(『性格と間違われやすい「慢性のうつ病(気分変調性障害)」について』参照)

このことについて、アキスカルは

「慢性化」と「性格の病理」を同等視する傾向が、慢性うつ病患者の感情の病理を適切に理解することを危うくさせる。

と述べ、

多くの感情病患者が安易に「治療抵抗性」と標識され、適切な感情調節剤による治療の機会が奪い取られている。
しかし、不適切な治療を慢性うつ病と同じものと考えることはできない。
一方、多くの患者は、あらゆる治療的努力がなされた後も慢性経過を示し続ける。とくに、これは気分変調症の患者の多くに当てはまる。
(中略)
これらの患者は、最善の場合でも「非定型うつ病」と判断され、最悪の場合は「境界例」として見なされる。
上のような標識、とくに後者は、取扱いが非常に困難なこれらの患者の不可解な気分を治療しようとする際に、治療者が経験する葛藤を反映したものといえる。

バートン、アキスカル編『気分変調症』金剛出版

と慢性であることと、性格の問題や治療抵抗性は明確に区別すべきと述べています。

治療に関しては、対人関係療法でも
慢性的な絶望とやる気の喪失のために、
そして正常気分の記憶がないことが多いために、
気分変調性障害の患者の治療は経験を積んだ治療者でないと難しい
とされていますよね。

気分変調性障害の精神療法でのエビデンスをみてみると
認知行動療法での反応率は41%であり、薬物療法と同等とされています。

さらに慢性うつ病に特化した認知行動療法である
認知行動分析システム精神療法(CBASP)では、
薬物療法とCBASPの併用群は、薬物療法単独群、CBASP単独群のいずれに対しても
有意差をもって治療効果が認められ
これが世界的にも権威のある雑誌に掲載され
センセーションを巻き起こしました。
(参考:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20822814

この認知行動分析システム精神療法(CBASP)と
対人関係療法治療効果を比較した報告では、
早期発症(21歳未満で発症)の慢性うつ病において
16週間のCBASPは対人関係療法よりも寛解を得やすいが
1年後の抑うつ症状(BDI)には差がなかった
という結果が得られています。

さすが、治療終結後も効果が伸び続けるという
対人関係療法の面目躍如ですよね。

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の精緻な診断は治療効果に結びつく」というタイトルで、
表面に顕れた過食や自己誘発嘔吐などの症状だけでなく
その背景や症状の意味まで考慮することによって
治療方針まで視野に入れた診断が可能になることを書いています。

精緻な診断は対人関係療法の根本的な治療方針に関わりますから
摂食障害」や「気分変調性障害/持続性うつ病性障害」の
対人関係療法による治療を希望される方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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2015-02-16

気分変調性障害の気質とトラウマ

「気分変調性障害/持続性うつ病障害」は
1980年までは「循環気質性パーソナリティ障害抑うつ型」
と呼ばれていました。

循環気質(cyclothyme)とは、
クレッチマー(Kretschmer)が提唱した気質の一つで

ー匕鯏(人付き合いがよい)・善良(気立てがよい)・親切・情味深い
¬析(ほがらか)・ユーモア・活発・激しやすい
2斌(もの静か)・平静(落ち着きがある)・気重・柔和

などの特徴があり、同調性」が特徴とされており
循環気質は躁うつ病双極性障害)の特徴でもあります。
双極性障害と診断されている方は、ご自分と比較してみてください)

「循環気質性パーソナリティ障害」という呼び方は
いまの診断基準と比較すると「気分循環症」に近く、
「気分変調性障害」は、抑うつサブタイプ(亜型)とされたようです。
(むしろテレンバッハの「メランコリー親和型」がびったりするようです)

f:id:ipt-therapist:20150105172155j:image:w160

さて、しばしば幼少期や思春期に端を発する潜行性の起源を持つ、
原発性の抑うつ状態である「気分変調性障害/持続性うつ病障害」は

(a) 大うつ病の遺残状態ではない軽症の慢性経過(2年以上)
(b) しばしば幼年期や思春期に起源を持つ潜行性の発病(きっかけがない
(c) 持続性、あるいは断続性の経過
(d) 併存する「性格」の病理
(e)「安定」した社会機能が可能な程度の気分変動性

などが特徴づけられました。

このうち「(d)併存する「性格」の病理」については
慢性うつ病の精神療法』の著者であるマカロウも報告しており、
慢性うつ病外来患者のうち、約50%にパーソナリティ障害が併存し
クラスターB(演技的、感情的、不安定)か
クラスターC(不安、恐怖)に分類された、としています。

マカロウは「気分変調性障害/持続性うつ病障害」の患者にみられる
パーソナリティ障害の起源を幼少期に求めています。

幼少期に情動的虐待(積極的情動的虐待または消極的なネグレクト)、身体的虐待、身体的ネグレクト、性的虐待が見られることが多く、その他、慢性患者の早期小児期の状況に関連した要素としては、ホームレスや市営シェルター内の住居、母親のうつ病のためにきちんとした子育てを受けられなかったという既往、早期の親の別居、離婚、もしくは放棄、自らの体験として報告された、早期の混乱した家庭環境、母親及び父親との関係の貧困さ、母親および父親によるケアの質の低さ、慢性うつ病患児の親の精神疾患有病率の高さが挙げられる。
マカロウ『慢性うつ病の精神療法医学書院

これらの発達上のトラウマや愛着関係(愛着の絆)の形成不全のために
マカロウのいう「気分変調性障害」患者は
ピアジェのいう『前操作的段階』にとどまっており、
他者の視点・立場から物事を考える共感的な関わりが難しく、
抽象的思考が使えずに、客観的根拠のない直観的思考に陥り、

アイゼンク性格調査票を実施したところ、神経症傾向が高く(感情制御がむずかしい)、外向性の特典が低い(内向的で社会性が乏しい)という結果が得られた。

と記載しています。

「発達トラウマ障害(DTD)」や「愛着障害」を背景にした
『前操作的段階』での発達停止が「気分変調性障害」の起源と
マカロウは考えているようです。(『トラウマと気分障害の関係』参照)

つまりマカロウのいう「気分変調性障害」は
メランコリー気質をもつ内因性の慢性うつ病ではなく、
ましてや岡田先生がおっしゃる「愛着障害」でもなく、
対象関係因性の「神経症性抑うつ(抑うつ神経症)」、
つまり「不安型気分変調症」や「性格スペクトラム障害」のようです。
(『「不安型気分変調症/性格スペクトラム障害」の治療』参照)

このタイプは「トラウマ関連うつ病」としても
あるいは「不安型気分変調症」としても
対人関係療法治療できる可能性がありますので
自分にも当てはまるかもしれない?と感じられるかたは
三田こころの健康クリニックに相談してみて下さいね。

大人のための「困った感情」のトリセツ

大人のための「困った感情」のトリセツ

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害と衝動性」というタイトルで、
「元々どういう人だったのか?」という
「生まれつき決まっている四つの因子(気質)」を把握することは
治療方針を考える上で重要なポイントになるだけでなく、
病状の推移の予測や、自分をよく知り
それをプラスに生かしていくことが
「自尊心」を高める大きなポイントになることを書いています。

摂食障害」や「気分変調性障害/持続性うつ病性障害」の
対人関係療法による治療を希望される方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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2015-02-09

うつ病の臨床エトセトラ

精神疾患の有無によらず、
気分や行動は季節によって変化することが知られており、
とくに冬季は、活力、社会活動、睡眠、食欲、体重などが変化する
ということもよく知られていますよね。

この理由は、冬になると基礎代謝は上がるのですが
身体の活動量を抑えることでエネルギーの消費を防ごうとする
身体機能の反映、つまり「冬眠モード」になるからなのです。

とくに睡眠に関しては、

・入眠時間や目覚めの時間が遅い
・睡眠潜時(寝付くまでの時間)が長い
・睡眠慣性がより重度(寝覚めが悪い)
・トータルの睡眠時間が短い
・睡眠効率が悪い(疲れが抜けない)
・睡眠覚醒リズムの後退(次第に寝る時間と起きる時間が遅くなる)
社会的時差ぼけ(週末と平日の睡眠相中間点の差)

などが、学生や「冬季うつ病(季節性感情障害)」の女性でみられやすい
ことが知られています。

しかし睡眠関連症状があるからといってうつ病ということではなく、
精神症候学に沿った診断手順が必要なのです。

一方で、うつ病不安障害の患者さんは
冬になるといわゆる“気分の落ち込み”を感じる割合が多い
ことが報告されています。

最近は、「気分が落ち込んでいる」「ゆううつだ」といった程度で
うつ病」と過剰診断されていることがほとんどですよね。
気持ちの落ち込みや憂うつ感は
それだけではうつ病ではないので注意して下さいね。

うつ病患者は 「医療機関での治療」 をどう捉えているか
というアンケートが掲載されたことがありますが
やはり短時間診療や安易な診断に納得されない人が多かったようです。

DSMやICDなどの操作的診断基準では、
病前性格は考慮せず、症状のみで診断しますから
正常の憂うつや哀しみまでうつ病にされてしまい、
うつ病の範囲が広がってしまうことで混乱しているといわれます。
(短時間診療では、DSMに準拠した正式な診断を行うことは困難です)

たとえば、うつ病の中核症状である
「生気的悲哀(えもいわれぬ気分の悪さ)」や
「日内変動」「早朝覚醒」「精神運動制止」などが
生活史(ライフヒストリー)の中のどのあたりから出現し、
普段の生活の中でどのように立ち現れているか
を診ていく必要があります。

さらに「執着気質」(あるいは「循環気質」)や
メランコリー親和型などの病前性格の把握と
その表現である「同調性」の存在様式を含め
診断を行うのが正式な診断法なのです。

このような診立て(診断プロセス)によって
症状を位置づけることによって、
病気の症状を客観視することにもつながり
症状との間に距離を取ることができます。
このような診断プロセスそのものが
治療の第一歩になりますよね。

さらに、そのことにより
性格や考え方の問題ではなく治療可能な病気という状態である
という病気の受容とともに、
○好きで病気になったわけではない
病気の症状はコントロール出来ない
という前提をもとに
ある種の義務や責任の免除と同時に
病気を治すことに取り組む義務が生じる
という
病者としての役割が明確になりますよね。
これが対人関係療法による治療で重視する
医学モデル」の考え方なのですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害と強迫性障害の関係」というタイトルで、
過食をともなう摂食障害の約60%前後に何らかの不安障害の併存があり、
そのうち約40%前後が強迫性障害であったという報告を紹介し、
摂食障害の約40%には対人関係療法が無効なのか?という疑問を考察しています。

その中で、損害回避行動である強迫性(強迫症状や完璧主義)と
固執による強迫傾向(強迫パーソナリティ)が混同されている可能性
について指摘し、
強迫性障害の有無を確認するだけでなく、
その症状内容や動揺についても吟味する必要がある
ことを書いています。

このような詳細な診断と文脈の把握によってのみ
各人にあわせた治療方針が立てられるわけですから
対人関係療法による治療を希望される方は
是非、参考にしてみてくださいね。

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2015-02-02

慢性うつ病と気分変調性障害

バートン(S.W. Burton)は

社会的介入と異なり、医学的介入を行うための第1歩は、正しい診断を行うことである。これこそが、適切な治療の適応を可能とする。

と述べています。

バートンの意見は当然すぎるほど当然のことなのですが、
精神科診断そのものがおざなりになっている現在では、
日常生活での悩みと疾患(病気)の区別すら曖昧で
なにかというと「うつ病」や「うつ状態」と診断され
すぐに抗うつ薬と抗不安薬が処方されてしまう
トンデモ治療が蔓延しているのが精神科臨床。

たとえば。
精神科治療薬物療法と精神療法が車の両輪と喩えられます。
みなさんが精神科の外来でもらう明細書には
かならず「精神療法」という項目がありますよね。
これは5分診療でも(精神療法が行われなかったとしても)
治療法としての精神療法を行いました、ということなのです。

しかし、ある大学病院精神科外来では、
クスリを飲みたくなければうちでは診れません」と
精神療法ができないことを正当化して言い放った話も聞いていますし。
一方、ある有名なクリニックでは
私のいうことが聞けないなら他所に行ってもらってかまわない!」と
恐怖政治さながらに恫喝された話も聞いています。

このような話は枚挙にいとまがないので本題に入りますね。

さて、「気分変調性障害」を含む「慢性うつ病」では

「慢性うつ病」が正確に診断されないと、治療が不十分になり、治療への反応性も芳しくない結果に終わる恐れがある。

だけでなく、

気分変調症」と「大うつ病」が併存した「重複うつ病」に、薬物療法と精神療法を長期かつ積極的に行わなかった場合には治療不十分になり、そのため「気分変調症」が続くだけでなくて、「大うつ病」の再発を引き起こしやすくなることが明らかになっている。

というデータがあるのです。

どういうことかというと、

気分変調症」が先行した「大うつ病」患者の61%が1年以内に症状の再発が認められ、薬物療法治療された「重複うつ病」患者のうち、97%が「大うつ病」エピソードからは回復するが、「大うつ病」と「気分変調症」の両方から回復するのは39%だけだとされている。

つまり「気分変調性障害」に重複した「大うつ病」は改善しやすいものの
容易に再発・再燃しやすいだけでなく、
先行する難治性の「気分変調性障害」のために治療が長期化しやすい
ということであり、「慢性うつ病」の患者は、
他の「単極性うつ病」よりも薬物療法は難しいだけでなく、
精神療法においても、同様の困難が言われているのです。

このように治療も難しく、治療反応も乏しい「慢性うつ病」は
全米成人の約3%、50万〜75万人が罹患していると考えられており、
生涯有病率は6%で女性の方が男性の2〜3倍多いと言われています。

ここまで「慢性うつ病」と「気分変調性障害」を区別せずに書いてきましたが
「慢性うつ病」は経過のパターンによって5つに分類されています。

(1)気分変調性障害:多くは思春期に潜行性に発症する軽症〜中等症の障害で、少なくとも2年間続いている。
(2)重複うつ病:大うつ病単一エピソード、もしくはエピソード間に回復を伴わない反復性大うつ病で、気分変調症に重複している。
(3)エピソード間に回復を伴わない反復性大うつ病で、2年以上持続しているもの:大うつ病、反復性、エピソード間に回復を伴わず、気分変調症を合併しないもの(DSM-IV
(4)慢性大うつ病:大うつ病性のエピソードの診断基準を満たした状態が2年以上続いているもの。
(5)重複うつ病/慢性大うつ病:重複うつ病と慢性大うつ病の両方の診断基準を満たすもの。

つまり、「大うつ病」の診断に満たない程度の
軽度〜中等度の抑うつ状態が慢性に続くものを
気分変調性障害(Dysthymic Disorder)」とよび
字義どおりにとればディスチミアとは「不機嫌症(ill-humoured)」であり、
アキスカル(Akiskal)らは

彼らは自らを「苦しむことにおいては貴族(an aristocracy of suffering)」に属していると思っているように見える。

と述べています。(バートン、アキスカル編『気分変調症』金剛出版, 1992)

うつ病のバリアント(抑うつ障害群)に属する
「気分変調性障害(DSM-5では持続性抑うつ障害)」について
これから少しずつ見ていくことにしますね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食や過食嘔吐はクセ(習慣)になるのか?」というタイトルで
習慣と感じられる過食や過食嘔吐の背景には
「気分不耐(感情への接触回避)」がありますが、
「クセ(習慣)なのかどうか」と考え込むのではなく、
日常生活のバランスを崩してまで、過食や過食嘔吐にしがみつくのは
何がストレスになっているのか?

という観点が必要なこと、そして
過食嘔吐に頼らなくても心のバランスをとれるようになること」が
対人関係療法での治療目標になるということを書いています。

そのため、対人関係療法による過食症治療では
重要な他者との関係だけは絶対に手を抜かない
ようにして
コミュニケーションの質を高めていくのです。

摂食障害対人関係療法を希望される方は
参考にしてみてくださいね。

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2015-01-26

過食をともなう摂食障害と双極性障害あるいはADHDの関係

過食を示す病態のうち

○神経性過食症過食症・排出型)
○過食性障害(過食症・非排出型 & むちゃ食い障害)
○夜間食行動異常症候群(夜食症候群

などでは、抑うつ障害(気分変調性障害)や双極性障害などの
気分障害との関連も言われています。

過食症でも双極性障害と同じく、何らかの不安障害
パニック障害全般性不安障害PTSDなど)を
高率に合併することが知られており、
さらに、いじめ、不登校などの不適応症状や
あるいは、過飲酒、性的逸脱などの衝動行為に加え
物質やアルコール乱用(依存)も多いことが知られています。

摂食障害でみられるこのような衝動性や過活動(多動)、
過敏な不機嫌を軽躁状態と見なされ、
双極性障害と過剰診断されていることもかなり多いようです。

最近では光トポグラフィーNIRS)などで
双極性障害の診断が出来ると謳っているところがありますが、
光トポグラフィーはあくまでも「補助診断」であり、加えて
双極性障害ADHD(注意欠如/多動症)の鑑別、
統合失調症ASD自閉症スペクトラム)の鑑別が先行していないため
双極性障害と診断されるケースの中に相当数のADHDが含まれてしまうのです。
(先進医療の認定が時期尚早だったという意見もあります)

とくに摂食障害の場合は女性に多く、

女性のADHDは、男性と違って大人になってから気づく。
それで私たちが注意しているのは、一見ボーダーラインのように見える、一見双極性障害のように見える、こういう場合には必ずADHDの存在が背景にないかということを確認するということです。

座談会 神経発達障害精神医学…森 則夫・杉山登志郎・中村和彦 in 『神経発達障害のすべて日本評論社

とあるように、一見、双極性障害の合併と見える場合は
かならずADHDと鑑別する必要があるのです。

一方では、双極性障害ADHDの症状が高率にオーバーラップしている
ことが多く報告されており、
双極性障害患者の約23%にADHDの合併が認められたこと、
ADHD合併例では双極性障害の発症年齢が低く、
躁病エピソードの回数が多くみられた、と報告されているように、
双極性障害なのかADHDなのか、
あるいはその合併なのかを注意深く診断する必要があるのです。

さらにADHDで特徴的とされる多動-衝動性、不注意(忘れっぽさ)や
攻撃性、かんしゃく、易刺激性などは
自閉症スペクトラム発達障害)でも関連症状として見られますし、
さらに、ADHDでも対人関係の障害(なれなれしさ対人不安)や
コミュニケーションの障害(多弁、一方的にしゃべる)など
自閉症スペクトラム発達障害)と似た部分も見られることが
さらに混乱に輪をかけているようです。

摂食障害と合併する双極性障害は、双極I型ではなく、
躁状態を示す双極II型や、軽躁状態が不明確な気分循環症など
いわゆる「双極スペクトラム」を指しているのですが、
過食症双極性障害が併存する場合は、
躁状態あるいは正常気分では、過食は減り
うつ状態で過食は増加する
という「非定型うつ病」の原型となった
「hysteroid dysphoria(ヒステリー性不機嫌)」に似た状態を示します。
※「非定型うつ病」の場合は、対人関係の満足による高揚感や、
買い物依存(浪費)、性的逸脱といった嗜癖的行動、脱抑制行動が軽躁状態と見なされ
双極性障害と過剰診断される可能性も示唆されています。


気分と食行動は、近接したセロトニン経路によって
調整されているといわれています。
うつ状態で過食が増加するのは、
炭水化物を過剰摂取すること(甘いもの過食)で
脳内のセロトニンの合成が促進され、
一時的にうつ状態を軽減させるためと考えられています。

摂食障害とくに過食症双極性障害の合併を疑うときには
気分と過食症状に関連があるかどうかを見るために
日本うつ病学会のサイトにある
ライフチャートを記入してみるのが最適です。

双極性障害と診断されていらっしゃる方は
自分でもライフチャート書いてみると、
自己モニタリングにもなり治療の一助になりそうですよね。

双極II型障害という病 -改訂版うつ病新時代-

双極II型障害という病 -改訂版うつ病新時代-

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
拒食を伴う摂食障害と発達障害の関係」というタイトルで
発達障害」や「発達凸凹」にともなう
「思考の固さ(思考柔軟性の弱さ)」「抑うつ気分や不安」
「ソーシャルスキルの欠如(アンヘドニアや低い共感性)」などが
摂食障害の症状を維持する因子に関連するのではないか

と考えられていることを紹介しています。

三田こころの健康クリニックでは
そのような「特性(trait)」をもつ人に対人関係療法を導入する場合、
どのような工夫をしているのか
、について紹介しています。
摂食障害対人関係療法を希望される方は
参考にしてみてくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2015-01-19

摂食障害のアレキシサイミアとコミュニケーション

「自分の気持ちがわからない」ことと愛着スタイル』で
発達障害自閉症スペクトラム)」の特性を除けば
アレキシサイミアは「拒絶・回避型(愛着軽視型)」と関連があり、

・感情や身体感覚への気づきと言語化困難
・空想や内省の困難

によって特徴づけられるということを書きました。

「身体感覚への気づきと言語化困難」というのは
極端な例を挙げれば、階段を急いで駆け上がって
ハァハァと呼吸が荒くなり、胸がドキドキしている状態を
不安や胸騒ぎと錯覚するようなものです。

そんなことはないだろう、と思われるかもしれませんが
「つり橋理論」をご存じの人は思いだしてみて下さい。
つり橋の上で出会った男女は恋に落ちるというもので
つり橋というシチュエーションで、
恐怖や興奮という生理学的な身体反応を
恋愛感情と錯覚してしまうというものですよね。

「感情への気づきと言語化困難」に関して、
たとえば過食/むちゃ食いを引き起こすのは
「もやもやした気持ち」といわれますよね。

摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』で触れたように、
アレキシサイミアでは、自分の価値を下げるような評価をおそれて
人との関わりやコミュニケーションから引きこもります
から

じつは、自分が他人からどう評価されるかということにとらわれている人と話していると、「リアル人間関係が少ない」ことがわかります。
想像上の人間関係はたくさんあるのです。
例えば、「こんなことをしたら○○だと思われるのではないか」「きっと××と言われるに違いない」というように、頭の中では相手が大活躍しています。

水島広子・著『ダイエット依存症講談社

頭の中で想像上の相手が大活躍しているアレキシサイミアが背景にある
摂食障害や気分変調性障害を対人関係療法治療していくときには

それまで対人関係の絶対量が不足していた患者や、明らかに不適切な環境に置かれてきた患者に対しては、「社会的に適切なコミュニケーションのあり方」を教える必要があるが、それはIPT(対人関係療法)の一部に過ぎない。
水島広子「うつの対人関係療法の正しい理解」こころの科学 117: 41-44, 2014, 日本評論社

対人関係療法による治療の一部として
「適切なコミュニケーションのあり方」を教える必要があり、
それが三田こころの健康クリニックで行っている
「予備面接(治療の土台作り)」なのです。
(『摂食障害や気分変調性障害の対人関係療法と「コミュニケーションのあり方」』参照)

摂食障害は家族だけが原因の病気ではありませんが、病気治療においても家族の姿勢は大きな鍵となります。家族の姿勢が望ましいものであれば、早期に治ることも可能です。
以前、拙著「やせ願望」の精神病理』を呼んで、そこに書かれていたようなコミュニケーションを心がけている、というお母さんと患者さんに会ったことがありますが、初診の時点ですでに治療の山は越えており、「あとは病院に来なくても大丈夫です。その調子でがんばって下さい」と言って帰っていただいたことがあります。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

とあるように、三田こころの健康クリニックでの
対人関係療法の「予備面接(治療の土台作り)」の内容を
毎回、ご両親と共有し、コミュニケーションの練習をされて
正式な対人関係療法の導入前に過食やむちゃ食いが
すごくよくなった患者さんもいらっしゃるのですよ。

なかなか治らないうつ病摂食障害でお困りの方は
三田こころの健康クリニックに相談して下さいね。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の経過と予後」というタイトルで
12年間で一般の精神科外来を受診した摂食障害の患者さんは
64%は3回以内で通院を中断し、88.4%の患者さんはほとんど変わらず
改善率は3%にすぎないにもかかわらず、
特別な治療環境や治療技法によらずとも
普通の支持的精神療法により外来診療所でも十分可能
、と
論文で考察されていたことに衝撃を受けてしまいました。

三田こころの健康クリニックで以前、集計した
対人関係療法の終結時(約6ヶ月後)の改善率は
対人関係療法による摂食障害の治療4〜治療の実際』にありますから
比較していただくとして、一般の精神科外来への通院では
「今後の人生が病気のために損なわれないようにする」という治療の大前提とは、
大きく隔たるように思えるということを書いています。

専門的な対人関係療法によって
短期間の治療で効果を上げられるだけでなく
その効果は、治療終結後にも持続、改善し続ける

ということが知られていますから、
摂食障害はもう治らないとあきらめるのではなく、
思い切って、専門の治療期間に相談してみて下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2015-01-12

対人関係療法で目指していくこと

対人関係療法は、水島先生の講演などで認知度が高まりました。

対人関係療法は、病気治療のための精神療法であり、
対人関係が苦手な性格を克服する、あるいは
こじれた対人関係を修復するためのカウンセリングではない

ということも、だんだんと知られてきました。
(『カウンセリングと精神療法の違い』参照)

対人関係療法は、

いかなる問題領域における心理社会的なストレス要因も、社会的支援が乏しい中で愛着の問題と組み合わさると、対人関係問題、精神医学的問題につながりうる。
スコット・スチュアート「短期対人関係療法」in『短期療法の理論と実際星和書店

という実証(エビデンス)にもとづき、
その当時有効とされた精神療法から

達成感を獲得し、社会的孤立を乗り越え、社会的な帰属感を回復し、自分の人生に意義を見出せるように患者を助けること

というエッセンスを抜き出した治療法として作られました。

その中で

治療者と患者が何よりも留意しておかなければならないのは、治療社会における困難を「修正」するようにデザインされているのではなく、患者に新しい関係を構築し続けるためのスキルを教え、患者の社会における苦痛を軽減するようデザインされているということである。
(中略)
特定の問題に対応することに加えて、患者の社会的支援を向上させることにつねに努力を注ぐべきである。

スコット・スチュアート「短期対人関係療法」in『短期療法の理論と実際星和書店

という社会的支援を向上させる」ことが
対人関係療法治療のゴール
となりますよね。

ある学会で治療構造が治療経過に与える影響について
発表されていました。
その中で、保険診療は、予防的援助や教育的援助に有用で
自費診療では、短期間で結果が出る割合が多く、
危機介入や患者の主体性、社会性を引き出すことに有用
と考察されていました。

このような結果をふまえると、
対人関係療法は期間限定の治療ですし、
主体性や社会性を伸ばすには最適で、
治療終結後も効果が伸び続けることから
三田こころの健康クリニックで初診の時に説明しているように、
対人関係療法による治療で目指していくことは
「今後の人生が病気のために損なわれる事がないようにする」

ということですよね。

5〜15分程度の短時間診療で、薬だけ処方される一般外来
2週に1回のペースで何年通院しても良くなるわけではないですから、
長くても半年までの通院期間で治療終結後も効果が伸び続ける
対人関係療法
に思い切って挑戦してみることも
今後の人生が、病気のために損なわれる事がないようにする
ための決断ですよね。

三田こころの健康クリニックのような
正式な対人関係療法を行っている
専門的な医療機関はほとんどありませんから
対人関係療法治療者を探すには
三田こころの健康クリニックや水島先生のクリニックに問い合わせてみて下さいね。
(『対人関係療法の現状』参照)

精神医療の現実: 処方薬依存からの再生の物語

精神医療の現実: 処方薬依存からの再生の物語

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害は入院すれば治る?」というタイトルで
入院治療は「命の危険があるようなときの緊急避難」であり
精神的な病は、日常的な対人関係の中で作られるもので
そこから隔絶されたところで治しても意味がないし、
そもそもそれは本当に「治った」とは言えない
ということについて書いています。

とくに摂食障害治療を考える際には
「なぜその症状が表れているのかということを理解」する必要があり、
そのためには、三田こころの健康クリニックで行っているような
精緻な診断とアセスメントが必要不可欠ですから、
摂食障害過食症/むちゃ食い障害)」の
対人関係療法による専門的な治療を希望される方は、読んでみてくださいね。

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2015-01-05

愛着スタイルと「自分の気持ちがわからない」ことの関係

患者さんの中には「こんなことや、あんなことがあった」と
出来事や症状を詳細に話されるにもかかわらず、
具体的な会話(やりとり)や、その時の気持ちについて
「わかりません」「覚えていません」という返事だったり、
推測・憶測で語られたり、違う話を始められたりするなど
特徴的のあるコミュニケーションスタイルの方がいらっしゃいます。

このような特徴は、アレキシサイミアとして知られており
アスペルガー症候群広汎性発達障害など自閉症スペクトラム症でもみられるほか、
内省(自分自身を客観視する)習慣のなかった人や、
世代の仲間との関係が表面的、希薄だった人によくみられる状態なのです。

最近の研究では、支配的・拒否的で矛盾した親の養育態度により
十分な情緒的交流の機会が得られなかったことも加味されて
不安定な愛着スタイル」が形成されるだけでなく、
防衛機制(コーピング)も機能的に十分に成熟しないため
アレキシサイミアではさまざまな不適応を起こすと考えられています。

親の養育態度に一貫性がなかったり、十分な情緒的交流が得られなかった場合、
子ども側は、親の顔色を読むようになり
見捨てられ不安によるしがみつきを示したり(とらわれ型(不安・アンビバレント型))
親密性を回避するようになります(拒絶・回避型(愛着軽視型))。

ブレナン(Brennan)らは「親密性の回避」と「見捨てられ不安」という2つの軸で
愛着スタイルを分類しています。(『成人のアタッチメント・スタイル』参照)

f:id:ipt-therapist:20141116102738p:image:w360

大雑把にいうと「見捨てられ不安」が高いと不適応を起こしやすく
その臨床的な表現型(疾患病型)は
「とらわれ型」の「不安型気分変調症/性格スペクトラム障害」や
「複雑性PTSD」などを含む「発達トラウマ障害(DTD)」ですよね。
(※「見捨てられ不安」があるからといって、境界性パーソナリティ障害ではありませんので、念のため!)

アレキシサイミアと関連する「拒絶・回避型(愛着軽視型)」は
アタッチメント対象の存在とは無関係に探索行動や学習行動を行う傾向があり
情動制御(感情コントロール)のパターンには

外向型(怒り・拒否型):自らを拒否する他者を積極的に拒否し、攻撃性を表出する
内向型(引っ込み型):自らを拒否する他者を回避し、抑圧、否認、隔離、知性化などの防衛によって情動の表出を抑える

の2つのタイプがあり、
攻撃性の表出から、対人葛藤を生じて孤立したり
あるいは誰とも親密な関係を作らず、距離をとろうとする
などの行動特性が知られています。

過去の対人トラウマによって現在の対人関係が影響を受ける
「不安型気分変調症/性格スペクトラム障害」や
「(反応性)愛着障害」や「複雑性PTSD」
あるいは「過食症/むちゃ食い障害」の人に対しては、
対人関係療法の中で、

○人の心の仕組みと動き方を知る(感情の感じ方、コミュニケーションの基礎)
○取扱い困難な怒りという感情への対処法(非暴力的コミュニケーション、言葉の限界)
○味方を増やす(自分の選択に自覚と責任を持つ、主体性の土台を作る)

という対人学習をすすめていくことで
少しずつ、自己肯定感と自己効力感を伸ばしていくことができます。
これは対人関係療法治療目標にもなりますから
三田こころの健康クリニックで治療方針を相談してみて下さいね。

『「気づかい」のコツ』特別セット

『「気づかい」のコツ』特別セット

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の個人的要因」というタイトルで
感情や身体感覚への気づきと言語化困難である
「アレキシサイミア」や「アレキシソミア」などの背景によって
不快な感情が生じるストレスを適切に発散することが難しく、
他者に援助を求めたり、他者からの援助を十分に生かせず、
過剰適応の結果、疲弊反応や適応不全を起こしやすくなり
ストレスを麻痺させるための過食が生じやすくなることを書いています。

摂食障害からの回復は、感情を指標に周囲の人たちとの関係を変えていき、
自分自身の身体とのつきあい方を学んでいく
という
対人関係療法で行っていくことそのものですから、
摂食障害過食症/むちゃ食い障害)」の
対人関係療法による専門的な治療を希望される方は、読んでみてくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-12-29

対人関係療法の現状

最近、あちこちで「対人関係療法やってます」を見かけるようになりました。
対人関係療法が普及することは喜ばしいことなのですが
残念な話を聞くこともすごく多くなってきました。

三田こころの健康クリニックを受診された患者さんたちからお聞きした話では、

・心理士さんが30分ほど問診をして、ドクターの初診の診察は5分だった
・生育歴や生活歴は、ほとんど聞かれなかった
・家族の接し方が悪いとか、母親との関係やインナーチャイルドの傷つきが原因と言われた
病気の説明は一切されずに、「薬を飲んで様子を見て下さい」と言われた
・医師からダメ出しをされたり、叱られたりした
治療目標の説明はなく、対人関係療法と称して心理士さんとの面接をすすめられた
・心理士さんは話を聞くだけで、親との同席面接が必要といわれた
糖質制限などの食事指導をされた

などなど、対人関係療法と呼ぶにはあまりにもお粗末な、
紛い物が横行しているようです。
(『対人関係療法についての雑感』も参照してくださいね)

水島先生が以前にツイッターで書かれたように
対人関係療法科学的に効果が実証されている
病気治療法(薬物療法と同等の効果のある精神療法)であり
カウンセリング心理療法とは違う
のです。(『カウンセリングと精神療法の違い』参照)

しかし「初診30分超、2回目以降5分超」が保険診療の現実なので
精神科医対人関係療法などのエビデンスのある精神療法を行うことは困難で
心理士さんに丸投げし、別の問題が生じているのです。
(この問題は、また別に機会に詳説する予定です)

正式に対人関係療法を導入するには、
生育歴や生活歴を含めた過去の対人関係をきちんと聴取し、
発達精神病理をふまえた正確な診断と併存疾患の把握、
現在の生活環境から対人関係の関係(治療焦点)などを明確にして
患者さんの文脈にそった説明(フォーミュレーション)をする必要があります。
さらに、その人の特性を考慮し、対人関係療法の向き不向きによって
対人関係療法の導入の仕方を考える必要があるのです。

また、対人関係療法の初学者が陥りやすい問題は、
気分変調性障害だから治療による役割の変化」とか
双極性障害だから「対人関係-社会リズム療法」とか
過食症だから「評価への過敏性(対人関係の欠如)」とか
マニュアル通りのやり方をそのまま行って効果がなかった、ということも
三田こころの健康クリニックを受診された患者さんからよくお聞きしています。

対人関係療法を実施できる精神科医でないと
どういう患者さんが対人関係療法に適しているなど
患者さんに合った導入の判断ができないですよね。

患者さんに合った導入の判断ができないと治療法の押しつけになってしまい、
対人関係療法の本質とは矛盾してしまうだけでなく、
今後の人生が病気のために損なわれないようにする」という治療目標が
患者さんに合わない治療によって、損なわれてしまう可能性だってあるのです。

さまよえる自己―ポストモダンの精神病理 (筑摩選書)

さまよえる自己―ポストモダンの精神病理 (筑摩選書)

冒頭に書いたことに当てはまるような場合は
対人関係療法の紛いものですから、注意していただくとして、
対人関係療法治療者を選ぶ際には

精神科医自身が対人関係療法治療者である
・初診時の問診(インテーク)は最低1時間かけて聞いてくれる
・幼稚園〜小学校、中学・高校、大学での交友関係を含む対人関係(愛着スタイル)を聴取する
・初診時に精神科医対人関係療法の説明する時間は30分以上である
・元々どんな人で、病気によって現在の対人関係がどうなっているのか、対人関係療法の言葉で説明してくれる
・「悪いところを治す」ではなく「健康な部分を伸ばす」という考えを持っている
・質問や疑問にもわかるように答えてくれる
・あたたかいなごみ系の精神科医である

などが、対人関係療法治療者の必須条件ですので、目安にしてくださいね。

関西から三田こころの健康クリニックを受診された数人の患者さんが
大阪で何カ所か対人関係療法やってるという
クリニックやカウンセリングに行ったけど全然違ったので、
自分で探すよりも、対人関係療法をちゃんとやっているところを受診して、
そこから紹介してもらった方が安全かな
、とおっしゃっていました。

そういう意味では、三田こころの健康クリニックのように
正式な対人関係療法をやっているところから
対人関係療法の実施が可能な治療者(精神科医や心理士)を紹介してもらうとか、
水島先生のクリニックに問い合わせて教えてもらうのが、
対人関係療法治療者を探すのには最も確実な方法ですよね。

ちなみに、大阪には対人関係療法治療者がいらっしゃらないので
関西方面の患者さんで東京まで通えない方には
三田こころの健康クリニックで正確な診断をしたあとに
知り合いの神戸松蔭女子大学の教授にお願いしているんですよ。

対人関係療法と称する治療カウンセリングを受けているけど
本当にこのやり方で合っているのか、とか
正式な対人関係療法を受けたいと思っていらっしゃる方は
三田こころの健康クリニックに相談してみて下さいね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』
今週はお休みです。
新年は1月5日に更新予定ですのでお楽しみに。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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