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2016-06-27

過食症の自己欺瞞に向き合う

『「過食症とむちゃ食い障害(過食性障害)の最新事情』で
過食症やむちゃ食い障害の人は「自分を客観視できない」ことに触れました。

じつは「自分を客観視できない」ことはシリアスな問題で
回避的・強迫的な「気質」と依存的な「性格」の人が現実に向き合おうとしても、
依存的な「性格」は「気質」の特徴をコントロール(意味づけ)できず、
加えて、気質と性格から形成されるパーソナリティも
価値に基づいた柔軟な行動を選択できない、という
二重のストッパーがかかっているからのです。

つまり、過食症やむちゃ食い障害の人は
過食をやめたい、変わりたいと思っていても
低い自尊心(自己志向性)によるみじめな自分を感じていても
セルフモニタリングになっているわけではなく、
自分に対するダメ出しという批判や評価になってしまうので、
残念なことに、行動変容につながりにくいのです。

さらにみじめな自分を感じなくてすむように
過食や過食嘔吐を使って刹那的な気分解消を図っていますから
価値にもとづく行動を選択したり決定したりするのが難しいのです。

そうなるとますます、もう一人の自分は自分に批判的になり
過食や過食嘔吐する自分はますます気分解消行動にのめり込む
という悪循環が成立してしまいます。
(このような過食や過食嘔吐の進展過程についてはいつか解説しますね)

このような自分自身との葛藤を三田こころの健康クリニックでは
「自分自身との対人関係(折り合い)」と呼んでいます。
「自分自身との対人関係」のテーマである「葛藤」は
役割期待の不一致と同じで期待の整理をしていけばいいのですが、
ここに大きな問題が潜んでいます。

それは『ありのままの自分と向き合う』で
「自分の気持ちに正直になる」とか
「嘘や偽りを言わない、ジャッジメントをしない」で示唆した
「自己欺瞞」という心理です。

「自己欺瞞」は、気分不耐を背景にした抑制のない空想上の憧れ、
あるいは空想上の憧れに対する願望であり、
自分が自分に、何を考え何を感じているのか、を偽っていることを
自分で気づかないようにしている状態のことです。

「自己欺瞞」に陥っているときには
矛盾する信念と欲求を別々に分離させて受け容れます。
過食はやめたいけど、過食がなくなるのも困る、と
感じるのがそれですよね。

過食や過食嘔吐でコントロールを失い、
自己の不利益になる(自分にとってメリットはない)とわかっていながら
その行動を続けてしまうという不合理さが続いてしまうのです。

一方では信じていないものを信じているふりをして
一方では自分の考えや気持ちを隠していることによって
自分を感じること、自分自身であることから遠ざかり、
自分の摂食障害行動をまるで他人ごとのように傍観するだけで、
受身で無力な存在のまま立ち尽くしてしまいます。

摂食障害から回復するための8つの秘訣』にも

自分の思考、気持ち、行動を慎重に探ってみると、他の人たちの評価や拒絶から身を守るために完璧主義を隠れ蓑に使っていたのだとわかりました。
問題は、自分を護るためのこの方法が、心から願って切実に希望していたものを手に入れる妨げになっていた点です。
(中略)
また、辛くて不快な気持ちを「太っている気」に変換するプロセスは、あなたの中でいつの間にか自動化されているかもしれません。
「太っている気がする」と言うほうが、「寂しい」、「一生誰も愛せないのが怖い」などと言うよりも安全に感じられるからです。

摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

このような「隠れ蓑=自己欺瞞」のもつ、相反する信念と欲求の不整合を、
「自分自身との役割期待の不一致」と呼んでいるのです。

「自己欺瞞」は自己認識のない閉鎖状態に無自覚であることから生まれます。
この状態を抜け出すには「ありのままの自分への気づき」を使って

  1. 価値にもとづく行動を選択し決定できる主体性を回復する
  2. 内在化された要求を行動に変換するプロセス

ことが必要ですよね。

じつは、20回未満の対人関係療法治療中に
過食や過食嘔吐から完全に回復できた人たちは
「なりたい自分」という目的と価値にもとづく行動ができているのです。

それはクロニンジャーの「自己志向性」の

○ 自己受容(他者と比較しない)
○ 人生に目的をもつ
○ 目的に沿った行動をすることができる

と重なる過食や過食嘔吐からの回復には必要不可欠な要素ですから
いつか詳しく解説したいと思っています。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『「過食症とむちゃ食い障害(過食性障害)の最新事情』というタイトルで、
最近の過食症やむちゃ食い障害の人には
「冒険好き(新奇性追求)」の高い人がほとんどいらっしゃらず
それが対人関係療法による治療にどういう影響を与えるのかを
考察しています。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』には

広い意味で、対人関係に問題のない摂食障害の人はいないというのが私の臨床経験を通しての結論です。
ですから、対人関係療法は、摂食障害の人全般に効く治療法なのです。

と、大上段で書いてありますが、
対人関係療法は万人に効く魔法のような治療法ではなく、
当然のことながら、向き不向きがあるのです。

対人関係療法ワーキングメモリや言語性記憶が低い人(相手が話した内容を違うふうに解釈してしまう)
注意機能が低い人(気分解消行動に走りやすい)、あるいは自己批判が高い人(ダメ出し)
クロニンジャーの七因子モデルのうち「報酬依存」が低い人社会性の低さ)
対人関係療法の反応が不良で効果が出にくいことが報告されています。

また回避傾向や強迫傾向のある患者さんには不向きで、
アスペルガー症候群などの発達障害の人には不向きどころか悪化することもあることを
水島先生が厚生労働科学研究で報告されています。

さらに、コミュニケーションや対人関係の問題は
過食症やむちゃ食い障害の維持因子の一つではあるけれども
メインの維持因子ではないことが多いため、
対人関係療法治療をするときにも工夫が必要になりますので、
どのような治療法が向いているのか?の鑑別治療学とともに、
患者さんの現実を詳細にみていく必要があるのです。

三田こころの健康クリニックの対人関係療法では
上記のような工夫(アレンジ)をしていますので、
過食症やむちゃ食い障害を本気で治したいと考えていらっしゃる方は
三田こころの健康クリニックに相談してみてくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2016-06-20

吐く(自己誘発嘔吐)という症状

神経性過食症(排出型の過食症)や過食嘔吐を伴う拒食症の中には、
治療を受けても過食や自己誘発嘔吐が変化しない人がいらっしゃいます。
本人は、過食や嘔吐が嗜癖(クセ)になったと感じてしまいますよね。

このタイプの人たちは、通常の食事あるいは大食後の嘔吐が先行し
食べると吐いてしまう状態から、嘔吐するため過食を伴うようになる
のが大きな特徴です。

自己評価が体重や体型の影響を大きく受ける「やせ願望」や
ボディイメージの障害は不明瞭なことも多いのです。
患者さんは後づけの理由でやせたいからとはおっしゃるのですが
食行動異常にそこまで没入する理由づけとしては乏しいのです。

そもそも『「過食性障害」と「むちゃ食い障害」の違い』で書いたような
「過食」の定義を満たす人も中にはいらっしゃいますが
多くは「大食(overeating)」や「ダラダラ食い」であり、
大食と自己誘発嘔吐が数時間にわたって何度も繰り返されます。

また水や炭酸飲料、ジュースなど、飲み物の摂取量が多いことも特徴で
これは吐きやすくするためと考えられます。
医療機関受診しても、過食について問診されないため見落とされていることがほとんどです)

社会適応についてはさまざまで
一日中、過食・大食と自己誘発嘔吐を繰り返す人もいれば
日中は仕事をしたり学校に通ったりしながら夜だけ症状が出る人もいます。
しかし過食・大食と自己誘発嘔吐の時間が長いため
睡眠時間が減り、日常生活はかなり圧迫されているようです。

このような自己誘発嘔吐を主症状とする病態は
「排出性障害」と呼ばれます。

もともと「排出性障害」は自己誘発嘔吐のみで過食はみられないもの、
と定義されているのですが、吐くためには食物摂取が必要になるため
通常の食事では飽きたらず、吐くことそれ自体が目的ですから
だんだんと過食や大食を伴うようになります。

多くの医療機関では、患者さんが過食嘔吐があると訴えれば
医師は思考を停止して摂食障害とみなしてしまいます。
そのため「過食・大食をともなう排出性障害」のほとんどのケースは
「神経性過食症(排出型の過食症)」あるいは
「過食嘔吐を伴う拒食症」と間違って診断されてしまいます。

「排出性障害」と「神経性過食症」の違いが明確にできないのは
上記のような理由によると考えられます。

さらに「過食・大食をともなう排出性障害」の人は、
カウンセリングなどで話を聞いてもらうことでスッキリするのですが
変化のための行動を起こすことになかなか結びつかないため
やせ願望やボディイメージ障害を中核病理として治療する認知行動療法や
対人関係での共感をベースに自己表現を高めていく対人関係療法でも、
反応性が乏しいことも特徴なのです。

最近の「食行動障害および摂食障害」では、
「過食・大食をともなう排出性障害」の人がほとんどなので
特徴をふまえて、対人関係療法をアレンジする必要があるのです。

「過食・大食をともなう排出性障害」の患者さんは
「排出型の過食症」や「過食嘔吐を伴う拒食症」の患者さんと同じく
ネガティブに感じられた情動や身体感覚に対して

  • 状況判断なく、すぐ行動に移してしまう(性急自動衝動性)
  • 少ない報酬でも早く得ようとする(衝動過敏性)

という特徴もみられるので、報酬系の障害があるのは確かなようです。

さらに多くのケースで強迫性障害強迫観念や強迫行為)、
あるいは身体醜形障害、ためこみ障害、皮膚むしり症、抜毛、叩頭など
強迫性障害類縁疾患の合併がみられました。
発達障害に伴う「強迫-衝動スペクトラム障害」の人も多いようです)

過食症候群(神経性過食症や過食性障害)で
約6割に強迫性障害の合併があったという報告は
もしかしたら「過食・大食を伴う排出性障害」を
過食症候群と見誤っているのではないか、と考えています。

また「排出型の過食症」や「過食嘔吐を伴う拒食症」の患者さんに比べ
自己客観視の困難さが際立っているのが特徴のように感じます。

よく診るのは、過去のいろんな出来事、たとえば
幼稚園や小学校の頃のエピソードや過食が起きたきっかけ
最近の過食や自己誘発嘔吐につながった出来事やその時の気持ちなど
「憶えていません」とおっしゃることがすごく多いのです。

つまり自分の感情や身体感覚など内的感覚に対して
「自我違和的な不快さ」と感じられるようで
そのため、自己誘発嘔吐に耽溺することで、
内的感覚を感じることを避けている、ようです。

患者さんが「過食嘔吐がクセになった」と感じられるのは
あながち間違っていないどころか、すごく適確な表現で、
「過食・大食を伴う排出性障害」は極端な自己客観視の困難さのため
自己誘発嘔吐への嗜癖(アディクション)と似た病態なのです。

対人間の信頼関係の障害といわれる嗜癖(アディクション)に対しては
なぜか対人関係療法はエビデンスがないのです。
対人関係療法では自己モニタリング(内省)を重視しないことが一因なのですが、
嗜癖(アディクション)の治療であるリラプス・プリベンションでは
マインドフルネスが基盤になっています。

三田こころの健康クリニックでは強迫-衝動スペクトラム障害がなければ
アディクションに対するリラプス・プリベンションを参照しながら
対人関係療法とともにマインドフルネスを指導することで
「変化をおこす」ことで病気からの回復を支援しているんですよ。
(うまくいくと16回未満で過食はほとんどなくなり、自己誘発嘔吐も激減します)

ちなみにチューイングは「強迫-衝動スペクトラム」の合併が非常に多く、
三田こころの健康クリニックでの治療成績では
2例しか回復例がないため、基本的には対人関係療法ではなく
認知行動療法の方が向いているのではないかと考えています。

自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント

自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食症やむちゃ食い障害の対人関係療法のすすめ方」というタイトルで、
最近の「過食症」や「むちゃ食い障害」の人は
「冒険好き(新奇性追求)」スコアが高い人はほとんどいらっしゃらず、
「協調性」スコアが高い人がほとんどであることを書いています。
(このことは『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』には書かれていません)

このため対人関係療法にプラスアルファのアレンジをする必要性が生じていて
三田こころの健康クリニックではどういうやり方をしているのかについて
思い切って公開してみました。

対人関係療法は患者さんに最も合った治療を考える鑑別治療学を重視しますから
患者さんを対人関係療法のすすめ方に合わせてもらうのではなく
対人関係療法の方を患者さんに合わせる必要がありますよね。

そのためには治療者が他の治療法も習得していることが必要ですから
このすすめ方は三田こころの健康クリニックならではなのかもしれません。

対人関係療法は準備期から実行期程度のモチベーションがないと
治療効果が期待できませんから(『摂食障害の治療や回復へのモチベーション〜『8つの秘訣』補遺1』参照)
ぜひ『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』と
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を読んでから
過食症やむちゃ食い障害のこのような対人関係療法による治療
申し込まれることをお勧めします。

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2016-06-13

過食を抑えつけないことの意味

対人関係療法による過食症治療では
「過食を抑えつけない」ことが前提ですよね。

一般向けには、インフルエンザの熱と同じように
下げようと思ったからといって下がるものではないから
「過食も症状だから、抑えようと思っても抑えられるものではない」、
あるいは、「かろうじて保っているバランスが崩れる」から、
「本当の問題の解決に使うエネルギーが減る」から、
などと説明されますよね。

ところが、インフルエンザで高熱があることが苦しいので、
氷嚢で冷やしたり、解熱剤を飲んだりして
熱が下がらないにしても少しでも楽になりたいと思うのは自然な感情ですし、
そのような対処法は根本的な治療にはつながらないにしても
「手当て」と呼ばれます。

過食症も同じで、過食や過食嘔吐で苦しいわけですから
過食を抑えたくなるのはすごく当然の感情ですし、
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』にも
「健康な部分の助けを借りないと治療ができない」と書いてあるのですが、
過食を抑えたくなることも「症状」の一部とみなされてしまうのです。

過食や過食嘔吐から先になくそうとするのではなく
つらい気持ちを少しでも楽にするために
「過食を抑えたくなることが「手当て」にならないのはなぜか?」について
明確に書いてある本は一冊もありませんよね。

もし過食症対人関係療法を受けている人がいらっしゃれば
試しに治療者に尋ねてみるとわかると思いますが、
冒頭のような理由を説明されたり、
対人関係療法ではそういうことになっているから」、
「過食を抑えつけると直りが悪くなるから」、などと
明確ではない理由が返ってくるはずです。

さて、対人関係療法で「過食を抑えつけない」のは
いくつか理由があるのですが、ひとつには
対人関係療法と自分との折り合い〜『8つの秘訣』補遺2』や
過食を抑えつけないことと心の枠組みを拡げること』で書いたように
思考へのとらわれや感情を回避・抑圧・排除しようとするコントロール方略は
逆に「体験の頻度と強度を増してしまう」という本質的なパラドックスがあり、
「解決(方略)が問題(を維持してしまう)」からなのです。

物理的な法則に従うメカニズムの世界、たとえば身体では
熱がある→冷やす(対処法)→一時的に熱が下がる
というように、有効に作用することがある(することモード)のですが、
流動的で相互作用的な心の世界では有効ではないのです。

たとえば、わたしたちの身体の筋肉と関節は
力を入れる方向には作用しますが、脱力には作用しないため
力を抜くためには、一旦、力を入れてからその動きを止める
というように扱いますよね。

ところが心の世界では、考えないようにすると考えが増幅しますし
考えても増幅しますから、「考えない」という制止行動が効かないのです。
別の考えで考えを覆い隠すという方法をとっても、
その背景に考えないようにした考えが二重写しのようにありますから
心に対しては物理的な世界で通用した方略が無効なのです。

このような有効でない対処を続けてしまう根底には、
論理的な思考が有効なときとそうでないときの区別ができないこと、
つまり「自らの心の動き方を知らない」ことに原因があるのです。

現実にはうまくいっていないだけでなく
正反対の結果になっているのにもかかわらず、
自分自身とその行動を客観視できないために
現在のやり方が妥当であると感じられたりするので
効果的でないパターンが繰り返されてしまっているのです。

自分の気持ちを振り返るために自分の内側に目を向ける
マインドフルネス瞑想を行うときも
過食症の治療とマインドフルネス』で書いたように
不快な考えや気分を解消するための矯正手段として使われる可能性が
生まれてくるのです。

内面に目を向けると、見たくなかった自分自身と向き合うことになるため
心の中で起こることは自然なプロセスではなく
何としても解決しなければいけない問題のように見えてしまうのです。

実際、嫌な気分を消そうとしてマインドフルネスや呼吸法をやってみた患者さんが
逆に嫌な気分に圧倒されて困ってしまった、と話してくださることはよくあります。

さらに、過食症やむちゃ食い障害の人では
「評価への過敏性」が問題領域になることが多いため、
その人が最も価値をおく他人からの評価そのものが
その人が最も傷つきやすい領域でもあるため、
傷つく不安を回避することで人生が縮小し
回避したいと願う思考と感情はますます強大になり
症状として迫ってくるのです。

過食を抑えつけようとする回避が過食を増大させるからなのです。
対人関係療法で過食を抑えつけない理由のもう一つは、
これまでさんざん繰り返してうまくいかなかったからです。

このような心の動きを知ってる・わかっているのといないのでは
結果に及ぼす効果も変わってきます。

たとえば、「山を登る」という行動が同じだとしても
ハイキングで登れば楽しい気分転換やリフレッシュに、
登山として登れば登山や筋力のトレーニングに
山岳抖藪(とそう)として登れば修行になりますが、
ハイキングで登ったとしても修行にはならないように
行為の意図(心のあり方)によって得られる効果も変わってくるのです。

対人関係療法による治療を申し込まれるときには
上記のようなこともふまえて、
これまで行ってきた対処の仕方を変えてみる
自分を振り返る勇気という「実行期」のモチベーションが必要です。

さらに治療者を選ぶときも

  • 対人関係療法以外のいくつかの治療法にも精通している
  • 心の本質に精通し、思考・感情・身体感覚のすべてを扱うことができる
  • 症状の意味(ポジティブ/ネガティブ)を読み解くことができる

治療者を選ぶ必要がありますよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食を抑えつけないことと心の枠組みを拡げることというタイトルで、
過食やむちゃ食いの引き金は、
感情刺激や対人刺激、あるいは環境刺激、そのものではなく、
対処できないと判断した「主観的な脅威(無力感=自己効力感の減弱)」であること
そのような状況に対して「回避や抵抗」の方略をとることで
ますます回避すべき状況が増えてきてくることを説明しました。

回避したいと願った思考や感情が押し寄せてくることへの唯一の対処は
「思考や感情を積極的に受け容れること(心の枠組みを拡げること)」が必要なのです。

対人関係療法では「感情を指標に変化を起こす」と書いてあるので
やりたくないと思ったからやらない、と誤解されることがよくあるのですが、
感情に従って行動するのではなく、感情とともに行動することが重要で、
「ニーバーの祈り(平安の祈り)」と同じように

神様、私にお与えください。
自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを、
変えられるものは、変えてゆく勇気を、
そして、二つのものを見わける賢さを。

のスキルを身につけていくことなのですよね。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』と
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を読まれた
過食症やむちゃ食い障害を治療したいと考えていらっしゃる方は
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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2016-06-06

過食症の治療とマインドフルネス

三田こころの健康クリニックでは対人関係療法で取り組む
「自分の気持ちをよく振り返る」の一環として
マインドフルネスや瞑想を指導することもありますよね。

巷で流行しているマインドフルネスでは、集中力が高まる、
気持ちがリラックスする、不安に強くなる、うつ病が治る、などなど
おいしそうな効能ばかりもてはやされて、
本来は副次的なメリットであるはずの
苦悩に対する解毒剤としての効能が強調されすぎている気がします。

マインドフルネスは座って瞑想することや呼吸に意識を向けることではなく、
ましてや、レーズンを味わったり、鈴(リン)の音を聞いたり、
足の裏を意識して歩いたりすることでもなく、
それらはあくまでも、心を内側に向ける手段であり目的ではないのです。

マインドフルネスのエッセンスはテクニックにあるのではなく
藤田一照師がおっしゃるように「見解を保つ」という精神が大切なのです。

苦悩の解毒剤としてのマインドフルネスは
Happiness幸福の探求』の著者であるマシュー・リカールも言うように
スナイパーのマインドフルネス」という利己主義につながりかねないのです。

そもそも、マインドフルネスや瞑想などの心の訓練(マインドトレーニング)は
自我(エゴ)が心(マインド)をコントロールしたり飼い慣らすことではなく、
三田こころの健康クリニックで対人関係療法の目的の1つとして伝えているように
自分自身の内側を見つめることを通じて

  • 心がどのように機能しているかをダイレクトに具体的に観察すること(観察力)
  • 心と心のなかで生まれる思考や感情と息のあった行動ができるようになること(客観性)
  • 自分自身が自分の心の主人公であることを自覚できるようになること(オープンさ)

など、自分と調和することが目的であり、
それが対人関係の改善をもたらすのです。

たとえば、過食したくなったときに、衝動的に反応しなければ
その衝動は時間とともに変化することを観ていきますよね。
(過食をガマンすることとは違います)

「○○したいけどできない」「△△と考えられない」など受身の体験や
あるいは、ずっと同じ考えにとらわれてしまう「反すう」の裏には
「抵抗や葛藤」という心の動きが隠れていることを観てもらいますよね。

また、気分変調性障害の「自分はダメだ」という考えや
過食の引き金になることが多い「ネガティブな気分や不安」も
心から生まれたもの、心の本質の一部であることを理解せずに
何とかして考えなくしよう、感じなくしようとする抵抗や葛藤が
さらなる苦悩を引き起こしてしまうことも体験してもらいますよね。

過食の原動力は「怒りと罪悪感」と言われますが
これは過食のスイッチが入ったときに過去を振り返ったときに感じる感情で、
過食はこのようなはっきりしたエピソードよりも、
ネガティブな解釈(脳内劇場)とそれに反応した二次感情(漠然とした不安)が
引き金になることがほとんどなのです。

多くの人は過食のきっかけになった出来事を同定できずに
「なぜだかわからないけど、過食スイッチが入った」
「過食はもうクセになっている」と感じられるのです。

三田こころの健康クリニックで指導するマインドフルネスで
「わたしは息を吐いている」「考えている」などの頭の中の解説や
心のおしゃべりへの巻き込まれを気づきと混同せず、
また、思考や感情に対して考えない・感じないようにと抵抗したりせずに、

  • 意識を集中しすぎず、ただ静かにとどまり、くつろいでいること
  • ただ見つめていれば、思考や感情は徐々にその力を失い、心の本質のなかに還っていくこと

がわかるようになってくると、思考や感情へのとらわれから自由になり、
心の雰囲気も、その中で生まれる思考や感情の質も変化していきます。

このように思考や感情、あるいは自分の心との葛藤しないことを通して
思考や感情は心の本質の一部であることを理解することが
マインドフルネスの第一歩になります。

さまざまに変化して現れる自分の心の本質についての理解と
マインドフルネスのトレーニングで育んだ心への働きかけ方の洞察を
日常生活のなかに溶け込ませていくことが
マインドフルネス(注意深さ・気づき)のエッセンスなのです。

マインドフルネスのトレーニングそのものより、後の心の状態が重要です。
そのため、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)などで行われる
40分の座行(想像力の王国の王様になる居眠り!)よりも
短いマインドフルネスと短い休みを繰り返すことで
休みの間に堅苦しさや不自然さが解消され、ゆとりが生まれると同時に
不断のマインドフルな状態(明晰さと開放性)を持続させやすくなります。

そうして培った明晰で開放的でマインドフルな状態への気づきを
対人関係でのコミュニケーションを含む
日常生活のすべての行為にゆきわたらせる必要があるのです。

たとえば、過食にむすびついた出来事(今日一日)を振り返ることで
その時に感じた心の動きの大きさがわかるようになってくることから
次第にリアルタイムで心の動きに気づき、抑圧したりせずに
ただ観ることで思考や感情が心に還っていく解放がおきるようになると
摂食障害症状を使って心の葛藤を麻痺・解消させる必要がなくなってきます。

自我(エゴ)の傲慢さや散漫さに妨げられることなく
心の本質から離れていないことへの気づきを手放さないこと(繋念)
「ただある」主体がすべての行為の中で注意深くあること
これが「見解」と呼ばれるものなのです。

そしてマインドフルネスによる自分と調和する体験が
対人関係のパターン(自分のとらえ方)を変化させて
あたらしい対人関係スキルを構築していく土台になってくるのですよ。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
対人関係療法と自分との折り合い〜『8つの秘訣』補遺2というタイトルで、

  • 抑うつや不安、怒りなどの陰性感情や低覚醒状態(孤独、退屈)などの「個人的要因」
  • 他者の幸せそうな姿を目にするなどの陽性感情状態に関連した比較など「対人的要因」

の両方が関与しているときに過食や過食嘔吐が起きやすいこと、
出来事をネガティブに解釈することとその体験を避けようとすることが
過食や過食嘔吐の維持要因になっていることを書いています。

そのためには、

  • 自分の気持ちを振り返る・自分と向き合うプロセス
  • 対人関係療法によって回避的な対人的パターンを変化させていく

の2つのプロセスが必要で、このことは
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』にも書いてあるのですが
対人関係療法は自分と向き合う方法論がないことも弱点の1つなので
三田こころの健康クリニックでは、それを補いながら治療しています。

過食症やむちゃ食い障害を治療したいと考えていらっしゃる方は
治療に取り組むモチベーションも必要ですから
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』と
摂食障害から回復するための8つの秘訣』を読んでから
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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2016-05-30

行動変容の動機づけと過食症の対人関係療法

医療者向けのある本を読んでいたら
対人関係療法はモチベーションが低くても実施可能」と書いてあって
驚いたことがあります。

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』には

実際に、「自尊心」の低い人は認知行動療法から脱落する率が高いというデータがあります。
(中略)
一方、「食べ方はそのままでよいから、まずは対人関係の悩みから話し合っていきましょう」と言えば、私の経験からは脱落する人はほとんどいません。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

と書いてあるので、一見、対人関係療法では
モチベーションが低くても回復可能のようにも読めなくもないのですが、
摂食障害の治療や回復へのモチベーション〜『8つの秘訣』補遺1
に書いたように、対人関係療法ではモチベーション(変化の段階)と
治療成績(治療の効果)が関連することがわかっているのです。

たとえば、クライエント/患者の思考や感情を判断せずに
無条件の受容と関心を向けていく支持的精神療法では
クライエント/患者が再保証を求めることによって
不安は軽減するどころか、むしろ悪化することがわかっています。
(クライエント/患者は来談し続けるが、不安は軽減しない)

対人関係療法でなおす うつ病』にも

心配して温かい声をかけてくれたり、いろいろと代わりにやってくれたりするのです。
でもうつ病病気ですから、そんな「日常生活の精神療法」で治ることは多くありません。

とあるように、共感する治療者も共感してもらったクライエント/患者も
気分はよくなるかもしれませんが、自分で取り組むという行動に踏み出せなくなるのです。
(『対人関係療法で関係性の問題に取り組む』で書いた「二者関係への埋没」)

つまりモチベーションの低い人は、対人関係療法での脱落は低いけれども、
変化を起こすことや20回未満での終結(回復)は難しいということなのです。
治療が長期にわたるときは、別の治療技法を導入する、治療者を交代する、などが
対人関係療法総合ガイド』で推奨されています。

そもそも精神療法の適応について、泰斗のお一人である成田先生は

  • 行動化がある程度コントロールされている。
  • 治療者に対する信頼が生じている。
  • 治療への動機づけがある。
  • 自らの内界を見つめようとする姿勢と能力がある。

を挙げておられます。

8つの秘訣』にも「行動変容を動機づける5段階」として
「前熟考期」・「熟考期」・「準備期」・「実行期」・「維持期」
が示してありますよね。

三田こころの健康クリニックでも『8つの秘訣』の
秘訣1のこの練習は全員にやってもらっていますよね。
ちなみに、もう一つの練習は、「秘訣2」の「摂食障害の部分の思考」と「摂食障害の部分と健康な部分を対話させよう」です。

三田こころの健康クリニックで患者さんに説明するときには
回復地点への旅行にたとえて『8つの秘訣』の「秘訣1」を

前熟考期:目的地が来てくれないから旅行に行けないと考えている次期。
    →親のせいで病気になった、親が変わってくれないと自分は変われないではなく、自分の問題として引き受ける。
熟考期:いつか、どこかに、旅行に行きたいと漠然と考えている時期。病院に行けば医者がなんとかしてくれるかもしれない。
    →「できないかもしれない」と回避している状態と変化を起こすことのメリットとデメリットを考えてみる(決定分析)。
準備期:目的地も明確で、ガイドブックを読んだりネットで調べたり、旅行資金を貯めたりしている時期。
    →変化の妨げになっているものを明確にする、回復したいモチベーションを強化する。
実行期:旅行業者に申し込んで出発の日時も決まり、荷物をまとめて、実際に旅行に出発する時期。
    →回復によって失われると感じているものを明確にする、進歩を振り返る。
維持期:旅行中、および旅行が終わって帰ってきたとき。
    →増悪や再発に対する予防策。(リラプス・プリベンション)

というように対人関係療法の課題として説明していますよね。

三田こころの健康クリニックで初診前に診療申し込み票を書いてもらっているのは
自分を振り返る段階にあるかどうか、つまり、
初診後に対人関係療法の適応になればすぐに治療導入が可能かどうか、
「行動変容を動機づける5段階」の「準備期から実行期」にあることを
確認するという意味もあるのです。

このように「行動変容を動機づける5段階」をみてみると
モチベーションがあるからこそ、自らの内界を見つめようとする姿勢が生まれますし、
回復への行程を同行してくれる治療者に対する信頼も生まれるわけです。

逆に、初診から治療開始まで長期間「待つ」ことは
モチベーションが下がり治療効果にも影響しますよね。
三田こころの健康クリニックはすべての時間を対人関係療法で行っているので
初診までは2週間ほどお待ちいただく事もありますが、
治療準備性が高い方は待つことなく、すぐ治療に導入しているのですよ。

これから過食症やむちゃ食い障害の治療を受けたいと
考えられている人に『8つの秘訣』からのメッセージを転機しておきます。

摂食障害から回復しようとするときには、病そのものからくる感情に取り組むだけではなくて、挑戦につきものの一時的な感情にも耐えなければなりません。
何かに挑戦するときには、失敗する怖さや、結果がどうなるかが予測できない怖さが伴うものです。
こうした恐れからは不安感がたくさんかき立てられるでしょう。
しかし、このような不安に耐えられるようになると、みなさんの人生は、より生きやすいものとなるでしょう。
わたしたちの人生が豊かなものになるかどうかは、自分自身の感情を受け容れ、それらの感情に耐えられる技術をまなんでいけるかどうかにかかっていると思います。
この点については、4つ目の秘訣(「気持ちを感じて、自分の考えに抵抗してみよう」)で詳しく考えていきましょう。
(中略)
回復するためには、どうなるかがわからなくても、怖くても、罪の意識を感じても、またはなんとなくしっくりいかなくても、結局最後には何かの行動を変えていく必要があるでしょう。
行動を変えることについては、6つ目の秘訣(「自分の行動を変えるということ」)で具体的に説明していきます。
たとえ行動を変えることができていなくても前に進み続けているときもあるということを、ぜひ忘れないでください。
目標を達成するために、何度でも同じことに挑戦をしないといけないときがあります。
そういうときは、挑戦し続けるだけでも、回復のとても大切な過程に取り組んでいることになります。
あきらめないで続けているだけで、ちゃんと取り組んでいることになるのです。

コスティン&グラブ『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
食障害の治療や回復へのモチベーション〜『8つの秘訣』補遺1」というタイトルで、
対人関係療法の効果と「行動変容を動機づける5段階」の関係について
論文を紹介し、治療(とくに精神療法)に取り組む際には
「準備期から実行期程度の治療準備性があること」が必要であること
を説明しています。

過食症やむちゃ食い障害からの回復のために
対人関係療法を受けたいと考えていらっしゃる方は
今回の記事と合わせて読んでいただいておくと
治療を始めるときにどのような心構えが必要かもわかりますよね。

6月2日は世界摂食障害の日です。




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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2016-05-23

「過食性障害」と「むちゃ食い障害」の違い

精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)では
不適切な代償行為を伴う、いわゆる過食嘔吐を伴う過食症
「神経性過食症」と呼ぶことになり、
過食嘔吐を伴わない過食症(非排出型の過食症)は、
「過食性障害」と診断されることになりました。

非排出型の過食症(DSM-5でいう過食性障害)は、
典型的には過食嘔吐を伴う拒食症や排出型の過食症から
自己誘発嘔吐が消失した「過食エピソード」だけが遺残した状態なのですが、
「過食性障害」の中には「むちゃ食い障害」も混在しています。

そもそも「過食(binge eating)エビソード」とは

  • 他とはっきり区別される時間帯に(例:任意の2時間の間の中で)、ほとんどの人が同様の状況で同様の時間内に食べる量より明らかに多い食物を食べる。
  • 食べることを抑制できないという感覚。(食べるのをやめることができない、食べるものの種類や量を抑制できない)

という2つの基準を満たし、同時に以下の5項目のうち

  1. 通常よりずっと早く食べる。
  2. 苦しいくらい満腹になるまで食べる。
  3. 身体的に空腹を感じていないときに大量の食べものを食べる。
  4. 自分がどんなに多く食べているか恥ずかしく感じるため1人で食べる。
  5. 後になって、自己嫌悪抑うつ気分、または強い罪悪感を感じる。

3つ以上を満たすものと定義されています。

自己誘発嘔吐のあるなしにかかわらず「過食症」では
上記の診断基準を満たすものを指すことになっているのですが、
診断基準に合致する「過食(binge eating)」以外にも

  • 大量の食べものを短時間に一気食いする(客観的binge-eating)
  • 通常量の食べものを一気食いし止められない(主観的binge-eating)
  • ダラダラ食い(grazing)
  • 大量の食物摂取だが制御できる(客観的食べすぎ:overeating)

なども一般的には過食と呼ばれているので、
「いわゆる過食」を主訴に受診する患者さんの中には
摂食障害と診断できない人もかなりいらっしゃるのです。

とくに「過食性障害」のうち「むちゃ食い障害」では
「過食(binge eating)」以外にも「ダラダラ食い(grazing)」や
「大食(overeating)」などが約半数でみられると報告されています。

「むちゃ食い障害」は拒食症過食症(排出型)に移行することはなく
「ダラダラ食い(grazing)」や「大食(overeating)」の経過中に、
いきなり過食(binge-eating)で発症することが多いことが知られています。

「むちゃ食い障害」に対する薬物療法の有効性については不明で
食事指導を行うと、反動で過食衝動が増悪しやすいのが特徴です。
ですから、過食を止めようと食事制限やダイエットをすると
確実に悪化しますので、早めに治療を受けてくださいね。

三田こころの健康クリニックで対人関係療法を行った経験からは
「過食性障害」のうち「非排出型の過食症」の対人関係療法による治療では
「評価への過敏性」が治療焦点になることが多いのですが、
「むちゃ食い障害」で同じように「評価への過敏性」に焦点を当てても
非排出型の過食症ほど治療反応性は高くない印象があります。

最近の脳科学の研究では、「過食性障害」では

  • 状況判断なくすぐ行動に移してしまう(性急自動衝動性)
  • 少ない報酬でも早く得ようとする(衝動過敏性)

という報酬系の異常が指摘されていることから
対人関係文脈よりも個人的要因の関与の方が大きいと考えられます。

「むちゃ食い障害」の対人関係療法による治療では
自己客観視する力をつけ、感情耐性を高める取り組みが必須ですからで、
対人関係療法のすすめ方にも工夫が必要になります。

とくに「ダラダラ食い(grazing)」を併発する「むちゃ食い障害」では
「嗜癖(アディクション)」として扱うことで治療できる場合がありますから
三田こころの健康クリニックに相談してみてくださいね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』
摂食障害から回復するための8つの秘訣」の解説は今回で最終回になります。

コミュニケーションを通じて自分のまわりの対人関係に関することに変化を起こし、
自分のまわりの人たちとのつながりを回復し自分自身とのつながりを高めていく
従来の対人関係療法でのやり方では
最近の「過食症」や「むちゃ食い障害」の人(「新奇性追求(冒険好き)」が低い)では
うまくいかないことが増えてきていて
いい方法はないのだろうか?と悩んでいた時期に『[8つの秘訣』にであったのです。

対人関係でのコミュニケーションは
自分自身の心のつぶやき(内言語)である思考や感情に影響を与えますし、
一方、思考や感情は、コミュニケーションに反映されます。

日本語は言葉と意味、心の状態との結びつきが強いため
出来事のとらえ方と心の姿勢(動き方)、
あるいは表象(内的現実)との向き合い方とともに
コミュニケーションの仕方(対人関係)の
両方に取り組む必要があるのですよね。

過食に苦しむ多くの方が、自分のなかで何が起こっているのかわからない、と感じています。
そのために、重要な対人関係の問題に目を向けることが難しくなるのです。
食べ物には、気持ちを鎮め、落ち着ける効果があります。
自分の気持ちにもっと気づけるようになれば、気持ちを落ち着かせるために食べ物に頼らずにすむようになるでしょう。
今まで、過食は、あなたが自分を大切にするためにとってきた方法だったのです。
残念ながら、この方法にはあまり効果はありませんでしたし、それどころか、逆効果でした。
あなたは自分をコントロールできないと感じ、やる気を失ってきたのですから。
食べたいという願望のきっかけになるのが何なのかを知ることができれば、こういった問題にもっと直接取り組むことができるようになるでしょう。

ウィルフリィ『グループ対人関係療法創元社

8つの秘訣』で自分と向き合いながら
対人関係療法に取り組んでいくことを通じて
多くの人が摂食障害から回復されることを願っています。

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2016-05-16

摂食障害の人の心と体と対人関係

摂食障害はコミュニケーションの問題でもあり、
コミュニケーションの問題は他者との間だけでなく
自分と向き合うときの問題でもあるのです。
(『自分の心への向き合い方と対人関係』参照)

摂食障害の患者さんの食べものに対する態度の
「食べられるもの(良いもの)/食べられないもの(悪いもの)」という
二極化した関係は、対人関係にも投影されていますよね。

対人関係に対して「支配する/支配される」という態度は
自分の中でうごめく感覚や感情に対しても

  • 身体感覚をかたくなに過剰に支配する
  • 空腹感を抱えてどうしようもなくて混乱する

のどちらかに偏ってしまいがちです。

私たちは小さい頃から、感情を身体感覚として理解しています。
たとえば、驚いたり、怖くなったりすると、身体が反応しますよね。
それに対して、言葉を当てはめることで自分が体験したことがわかり、
受け容れることができるようになるのです。

しかし、「なにが起きたのか?」という内言語での理解ができないと
身体には満たされない感覚だけが残り、違和感しか自覚されません。

抑圧されて取り残されてしまったそのような感情は、
気持ちが沈むとか、やる気がでない、という心理的な症状の他にも
頭痛、肩や首の凝り、吐き気などの身体症状を引き起こします。

症状が象徴的に指し示している意味がわからないと
症状を消し去ろうと行動したり、あるいは
満たされなさや違和感に対する怒りとして表現されることで
対人関係の問題を引き起こしやすくなるのです。

摂食障害の患者さんが食べものや身体イメージに固執したり、
過食や過食嘔吐を無くそうと絶食したり、ダイエットしたりすることは
対人関係で、何とか相手をコントロールしようとすることに似ていますよね。

症状だけを無くそうと取り組むことで、
症状を客観的に見つめたり
症状の背後にある意味を理解するのが困難になり、
その結果、挫折感しか残らずに、逆に症状に支配されてしまって、
対人関係も回避するようになってしまいますよね。

対人関係療法では、摂食障害の症状の意味は

  • うまくいかないのではないかという怖れ(脳内劇場)
  • 拒絶されるのではないかという恐れ(学習性無力感

に伴う「憤懣・不満」をため込んできた「評価への過敏性」
と考えますよね。

対人関係療法で取り組んでいく課題のうち

  • 自分のまわりの状況(とくに対人関係に関するもの)に変化を起こす

を通じて「まぁ何とかなるという自己効力感」が培われてくるためには
もう一つの課題である

  • 自分の気持ちをよく振り返り、言葉にしてみる

ことで「自己肯定感」も高めていく必要があるということなのです。

クリストフ・アンドレは『自己評価メソッド』の中で、
自己評価を改善する、つまり自尊心を回復するためには

  • 自分との関係を改善する
  • 他人との関係を改善する
  • 行動の仕方を改善する

という3つの領域での努力が必要だと述べています。

対人関係療法の終結後の課題は
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』P.251にあるように、

  • これだけの病気を生き抜いてくれた身体に感謝しながら、少しずつ『身体の声を聴く』練習

ということになります。
これが、アンドレがいう「自分との関係を改善する」プロセスになります。

「自分との折り合い(自分への信頼感)」を通じて、
他者にも慈しみの気持ちを向けられるようになる
「周囲の人との折り合い」をつけていくことで
「自分はこれでいい」という自己肯定感が育つことを
身体感覚として享受していくことになります。

ダニエル・シーゲルは『The Mindful Brain』の中で

自分と調和することと他者と調和することが同一であることは、それに関する大脳前頭前野の部位が共通していることからも言える。

と、自分の経験を振り返って俯瞰することで
自分なりの対処可能なやり方を受容し、
それを育み続けていく必要があるということですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の治療はつながりを回復するプロセスというタイトルで、
8つの秘訣』では抵抗も闘いもせず受け容れること、
つまり自分の感情や思考をあるがままの状態で認めることで
その先にある、価値に沿った行動や生き方ができるようになる
ことの重要性を強調しています。

そのためには、身体も含む自分自身への信頼感の回復と
周囲の人たちとのつながりの回復という
トラウマからの回復と似たようなプロセスが必要になるのです。
(『摂食障害の不安に向き合う』参照)

そのため過食症やむちゃ食い障害からの回復に
対人関係療法がお役に立てれば何よりです。

2020年までに日本にも摂食障害専門治療施設をつくろうプロジェクト」で
摂食障害に関する9つの真実』が公開されています。
★摂食障害に関する9つの真実_EDhopejapan」からもダウンロードできますので
参照してみてください。

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2016-05-09

愛着方略と役割期待の不一致の解消

バーバーとミュエンツら、およびソツキーらは、
認知行動療法は、既婚あるいは同居者のいる患者で有効なのに対し、
対人関係療法は、非婚・別居・離婚した患者(お一人様)に有効だったと報告し、
「役割期待の不一致(不和)」に対する効果は
対人関係療法の方が低いのだろうか?と疑問が呈されています。

この要因はいくつか考えられますが、
一つには重要な他者(両親あるいはパートナー)との
アタッチメント(愛着)方略の相性を考えてみると
理解しやすいと思います。
対人関係療法では不思議なことに相性のことは話題にしませんよね)

クリッテンデンの愛着の力動的成熟モデル(DMM)では
安定成熟したタイプB方略の他に、
自分の感情を抑圧し、相手の顔色を読み、親密さを避けながら
過剰に適応する(いわゆる良い子)タイプA方略、
アクレッシブに感情を発露し懲罰的または蠱惑的に相手を隷従させるタイプC方略
があるとされます。

ここでいうタイプは、愛着パターンや愛着スタイルではなく
関係性の方略(ストラテジー)ですから注意してくださいね。

重要な他者がタイプB方略を使っている場合、
感情を言葉にしてコミュニケーションをしていくときに
自分と他人を尊重するやり方を意識することで
「役割期待の不一致(不和)」の解消は問題なく進みますよね。

タイプA方略を使っていた患者さんが思い切って
気持ちを言葉にして重要な他者に伝えたとします。
重要な他者も同じタイプA方略を使う人だった場合は
相手に負担をかけてしまったと罪悪感を感じやすくなりますし、
タイプC方略を使う重要な他者だった場合は、
やっぱり理解してもらえない、と学習性無力感を感じやすくなります。

対人関係療法的には、タイプA方略を使う「過食症」の人では

  • うまくいかないのではないかという怖れ(脳内劇場)
  • 拒絶されるのではないかという恐れ(学習性無力感

などの「評価への過敏性」が焦点とする問題領域になることが多いのは
このような理由からなのです。

問題は、タイプC方略を多用する患者さんの場合です。
重要な他者がタイプA方略を使っている場合には
重要な他者に我慢を強いることになり、
重要な他者がタイプC方略を使う場合は、
衝突が増えるだろうということは、考えるとわかりますよね。

このような場合は、重要な他者の限界設定をしていくと同時に
患者さん自身の対処のパターンについても

  • 状況に対する解釈による思い込み
  • 少ない報酬でも早く得ようとする(衝動過敏性)
  • 状況判断なくすぐ行動に移してしまう(性急自動衝動性)

などの対処法を変えていくことが必要になります。
(これらも過食症やむちゃ食い障害の人にとてもよく当てはまります)

つまり「役割期待の不一致」に対する効果の違いは
患者さん自身の感情との向き合い方(自分自身との折り合い方)が
反映されているようですよね。

たとえば、怒りという感情は制御できないうえに一瞬で生じますよね、
怒りを感じることは無理もない状況であったとしても、
怒りをこめた他者への発言や、怒りに関連した行動が
抑制されない形で噴出すると、破壊的結果につながります。

対人関係療法でなおす 気分変調性障害』には

「怒りという感情を大切にする」ということと、「怒りを爆発させる」こととは似て非なることです。

と書いてあるように、人間が生きている限り、他者が存在する限り
さまざまな痛み(感情的苦痛)を体験します。
しかし、そのような当たり前の苦痛な感情に対して
それらを取り除こうともがくとき、それらは苦悩に変わります。
これを「体験の回避」と呼びます。

怒りという感情体験はコントロールできませんが、
怒りに対する自らの反応の仕方はコントロールすることができます。
怒りという感情が生じた場合、人はそれに対して
攻撃、回避、思いやりをもった理解などの選択肢の中から
自らの対応の仕方を選択することができます。

この「選択」というプロセスでは、怒りの存在に気づくこと、
そして、怒りから目を背けたり、我慢(抑圧)したり、
感じないようにしようと抵抗・格闘するのではなく、
怒りの存在を受け容れること、
それから怒りに対していかに反応するか自分で選択できるのです。

この最初のステップの「感情に気づく」ときに必要なのが、
「体験している自分」と「観察している自分」の区別です。
「観察する自分」を育むにはマインドフルネスが欠かせません。

しかし「集中力を高め、ストレスを抑制する」といった
「わたし」の意識をもって感情や思考を観察するマインドフルネスではなく、
その背景にある抵抗(抑圧や回避)という心の動きを観察するマインドフルネス
つまり、「周辺の気づき(peripheral awareness)」を高める
「明晰さ(lucidity)のマインドフルネス」が必要になります。

冒頭に挙げた「役割期待の不一致(不和)」に対する効果は
認知行動療法に比べて対人関係療法が低いという結果は、
「感情的な苦痛を自然な感情として認める(苦悩に変えない)」、
そのために「体験を回避する傾向と向き合う」、など
「自分と折り合う」方法論が欠落していることと関係がありそうで、
実際、これは対人関係療法の弱点として指摘されてもいるのです。
対人関係療法で「対人関係の欠如」を適用しないのは、このようなことも要因の一つなのかもしれません)

三田こころの健康クリニックで行っている
対人関係療法による過食症やむちゃ食い障害の治療では、
「自分の選択に自覚と責任を持つ」ことを通じて
「自分と折り合う(自分自身との関係を改善する)」方法を教えているんですよ。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
プロセスを受け容れる』というタイトルで、
心配に対する心配、不安に対する不安、
怒りをコントロールできない怒りなどに「抵抗しない」こと、を
摂食障害からの回復にどう役立てるか、について
8つの秘訣』からグエンさんのアドバイスを引用しました。

「抵抗しない」という心の姿勢は、上に書いた不安や怒りだけでなく、
気分変調性障害の「自分はダメだ!」という考えにも応用可能なのです。

「抵抗しない」ことは、不安やそのような考えを
認め、受け容れることで、「力を無くす」ための取り組みですが
ついつい、消してしまおう、感じなくしようとやってしまうと
逆効果になってしまいます。

ですから一人で取り組むときは
過食症や気分変調症での自分との折り合いのつけ方』で書いた
バイロン・ケイティの「4つの質問」の応用も役に立ちそうですよね。

一人では難しいと感じられる方は
三田こころの健康クリニックで対人関係療法の中で
取り組んでみてくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2016-04-25

自分の心との向き合い方と対人関係

過食症やむちゃ食い障害、あるいは気分変調性障害の
対人関係療法による治療にも役立つ「自分の心への向き合い方と対人関係」の
4つのポイントとして3つまで解説してきましたよね。

自分との心の向き合い方として

  • 自分の気持ちに正直になる
  • 思考や感情と折り合いをつける
  • ありのままに認める

それらを対人関係に適用するときには

  • 嘘や偽りを言わない、ジャッジメントをしない
  • 非暴力コミュニケーション
  • 言葉の意味内容ではなく、相手の心をみる

という形で使えることをみてきました。

自分の心との向き合い方と対人関係は、フラクタルな相似形であり、
気持ちをコントロールしようと躍起になるほど悩みや苦しみが増えるのです。

あるいは気を紛らわそうとしたり、嫌な気持ちを拒否したりすると
あれこれ考えてますます苦しくなったりするので、
アルコール食べ物で気持ちを麻痺させようとしたり
リストカットや寝逃げなどで回避しようとしてしまいます。

人との関係でも、思い通りにならない相手にイライラして攻撃したり、
対人関係の衝撃(何と評価されるかわからない)が怖いので
人づきあいを避けたりすることで
改善するどころか、ますます関係が疎遠になってしまいますよね。

つまり私たちは皆、幸せになることを望みながら
ますます離れてしまうような行動を選んでしまっているのです。

そのため

人生の中で何が起こるかを選ぶことは必ずしもできないが、そのような出来事に対する心の姿勢を選ぶことはできる。
(中略)
人生におけるすべての瞬間を、葛藤の中に生きるのか、平和の中に生きるのか、怖れの中に生きるのか、あたたかいこころを持って生きるのか、私たちは選んでいる。

水島広子『怖れを手放す星和書店

と、思考や心の中のおしゃべり(内言語)に対する姿勢として、
苦しいストーリーを心の中で無自覚に続けるのか、
そうした語りをストップするのか、を自分で選ぶことができるので、
「反省(後悔物語づくり)」に時間やエネルギーを費やすことをやめ、
価値にもとづく行動や生き方を紡いでいけばよい、とされます。

しかし私たちの心(マインド)は、モンキー・マインドと言われるように
あちこちにさまよい、飛びはね、ひとときもじっとしていません。

そのような心(マインド)の自動操縦状態に対して

今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け(現在の瞬間に中心を置く:present-centered)
評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること(判断しない:non-judgment)

というマインドフルネスの有効性が言われています。

マインドフルネスは「内省(メンタライジング)」という意味では
優れた方法なのですが、多くのマインドフルネスは「放棄」に基づいているため
「私という意識(エゴ)」と注意対象との間で葛藤が生じやすいのです。

そのため「マインドフルになろうと頑張るほどマインドレスになってしまう」という、
どんな本にも書かれていない弱点があるのです。
マインドフルネスを本気で行っている指導者は少ないので
このようなことがわかないのですが、長くなりますので割愛します。

思考や感情あるいはイメージなど心の中のさまざまな現れは、
心の本質そのものと区別がなく、実体がないものだと
観察していることにも気づいている状態(「気づき」に気づいているオープンで明晰な状態)
本当の意味での「マインドフルな状態(naked awareness)」なのです。

それはさておき。
「自分のこころへの向き合い方と対人関係」の4番目のポイントは、

  • 思考と感情が自然と起こったり消えたりするのに任せ、自分のこころがあるがままのオープンな状態で、自由であることに気づいていること(self-liberation)

です。
これが「心の土台」となり、自分の人生は自分が主人公という
価値にそった積極的な生き方ができるようになること
つまり「自分のこころの中で起きることを大切にする」ことといえるでしょう。

これを対人関係に応用するときには、

  • 時と場所にふさわしい体験の仕方と意味づけをしていく

ことになりますよね。

自分の反応や気持ちをはっきりつかみ、コントロールし、表現することを学べば、自分を落ち着かせたり慰めたりするために食べ物に走らないですむようになります。
つまり、自分自身との関係を改善し(食べ物で自分を麻痺させるのではなく、自分の気持ちに注意してはっきりつかめるようになる)、他人との関係を改善できれば、ネガティブな気持ちをコントロールするために食べ物を利用しなくてすむようになるでしょう。
自分の気持ちがうまく扱え、他人との関係もうまくいくようになればなるほど、過食は減っていくでしょう。

ウィルフリィ『グループ対人関係療法創元社

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
受け容れるか抵抗するかというタイトルで、
心の中での思考や感情との格闘/回避や抑圧が、
正常な反応としての感情を有害なプロセスに変えてしまうことを書いています。

それは、心配に対する心配、不安に対する不安、
怒りをコントロールできない怒りなどに抵抗せず
「ありのままに受け容れる」という心の姿勢が必要です。
(我慢することとはちがいます)

その際に、今日のブログに書いたような心の使い方が必要になり、
そのような心の使い方によって
自分にとって本当に大切な行動や生き方ができるようになるのです。

このような心の使い方は、自分だけで取り組むことは難しいので
三田こころの健康クリニックで指導を受けてくださいね。

5月2日はブログはお休みです。
次回は、5月9日にアップしますので、お楽しみに♪

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2016-04-18

思考や感情をそのまま認める

三田こころの健康クリニックで対人関係療法による治療初期に
「人の心のしくみと動き方を知る」を説明し、
「私」を主語にして、気持ちや考えを明確にするプロセスで

私たちの気分を悪くするのは、他人や出来事そのものではない。
それに対する自分のとらえ方である。
とらえ方を決めるのは、自分のこころの姿勢である。

水島広子『怖れを手放す星和書店

と、「心のつぶやき(内言語)」と「色メガネ(思考のフィルター)」など
「表象(内的現実)との向き合い方」を説明していますよね。

ちょっと難しく感じられるかもしれませんが頑張って読んで下さいね。

言葉は記号であると同時に固有の意味を持っていますから
さまざまなイメージや感情を呼び起こします。
思考も感情も言語行為と大きな違いはないのです。

言葉(音声言語)になる前の心のつぶやき
思考やさまざまな意味や概念を構成し、
それに対して感情が反応して内的な物語を紡ぎ続けています。

相手の言葉に「傷つけられた」と感じ、
攻撃に転じてイヤミを言ったり、罵ったとしても
言い合いがエスカレートし、関係はこじれて悪化しますし、
決して気持ちはスッキリせずに、くすぶった感情が残りますよね。

そのようなことが起きるのは、私たちが言葉に対して
「意味内容(シニフィエ)」を中心に把握しているからなのです。

たとえば、赤ちゃんが癇癪を起こして泣いているときには
言葉(泣き声)は「記号的側面(シニフィアン)」しか表現していません。
母親は、オムツが濡れたのかしら?おっぱいが欲しいのかしら?と
「内省(リフレクション)」しながら、赤ちゃんの内的状態に
思いを馳せますよね。

ところが、赤ちゃんの泣き声を自分に対する攻撃とみなして
赤ちゃんを叱ったり叩いたり、あるいは無視したりしても
赤ちゃんは落ち着くどころか、ますます大声で泣いてしまいますよね。

他者から言われた言葉に対しても同じで、
攻撃された、傷つけられたと認識した瞬間に
私たちは、闘うか逃げるか、格闘するか抵抗するかの
混乱に巻き込まれてしまうのです。
(『心の動きと言葉との関係』参照)

もし、相手の「言葉の意味(シニフィエ)」ではなく
赤ちゃんの泣き声と同じ「内的現実の表現(シニフィアン)」と捉えると
相手の内的現実に対する内省、「俯瞰的視点(メタ認知)」が生じますよね。

怖れを手放す』にあるように
「怒っている人は困っている人」と見ることで
「相手は相手で大変なんだな」と相手に対する思いやりも生じるのです。

泣いていた赤ちゃんがお母さんに抱かれてまなざされることで
赤ちゃんは母親という世界に対する信頼感と、
自分自身への信頼感を築いていく土台ができていくように、
他者に対しても「そこはかとない信頼感」を向けることで
信頼感を向けている自分に対しても信頼感の回復の礎になります。

このような他者に対する態度は、自分の思考・感情についての向き合い方も同じで
考えないようにしようとしたり、無視したり、抑圧しても
おさまることがないばかりか、ますますとらわれが大きくなり、
内的体験が投影された外界の見え方に圧倒されてしまいますよね。

「そのまま認める」というタイトルにしたのですが。
この言い方はどうしても、仕方なく受け容れるという受身的なニュアンス
が含まれてしまいます。

「そのまま認める」のは、思考や頭の中の物語に巻き込まれず
感情を指標に現実を変えていくために必要な心の使い方で、
辛い感情をただ認めること、その感情を受け容れること、
「その感情に触れておくことができる」ようになることで
心の枠組みが拡がると同時に、価値に沿った行動がとれるようになります。

この取り組み方として三田こころの健康クリニックでは

  • 考えや気持ちを声に出して言う
  • 思考内容を物語として観察する
  • 感情の居場所をつくる

などを指導していますよね。

「自分のこころへの向き合い方と対人関係」の4つのポイントの3つ目は、
「そのまま認める」ことで「脳内のおしゃべりを反芻したり増幅したりしない」です。
対人関係に適応する時は「言葉の意味内容ではなく、相手の心をみる」
ということになりますよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害からの回復とジャッジメントというタイトルで、
ジャッジメントを手放し、気持ちを穏やかにして
平常心に戻ることができるような活動に注目するときの
かなり重要な注意点について書いています。

今日のこのブログもその土台となるもので
カテゴリーは対人関係療法に入れていますが
実は、すべての心理療法・精神療法に共通する土台なのです。

ですから「過食症」や「むちゃ食い障害」だけでなく
「気分変調性障害(持続性抑うつ障害)」や
「愛着の問題」を何とかしたいと考えていらっしゃる方は
参考にしてみてくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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