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2016-04-25

自分の心との向き合い方と対人関係

過食症やむちゃ食い障害、あるいは気分変調性障害の
対人関係療法による治療にも役立つ「自分の心への向き合い方と対人関係」の
4つのポイントとして3つまで解説してきましたよね。

自分との心の向き合い方として

  • 自分の気持ちに正直になる
  • 思考や感情と折り合いをつける
  • ありのままに認める

それらを対人関係に適用するときには

  • 嘘や偽りを言わない、ジャッジメントをしない
  • 非暴力コミュニケーション
  • 言葉の意味内容ではなく、相手の心をみる

という形で使えることをみてきました。

自分の心との向き合い方と対人関係は、フラクタルな相似形であり、
気持ちをコントロールしようと躍起になるほど悩みや苦しみが増えるのです。

あるいは気を紛らわそうとしたり、嫌な気持ちを拒否したりすると
あれこれ考えてますます苦しくなったりするので、
アルコール食べ物で気持ちを麻痺させようとしたり
リストカットや寝逃げなどで回避しようとしてしまいます。

人との関係でも、思い通りにならない相手にイライラして攻撃したり、
対人関係の衝撃(何と評価されるかわからない)が怖いので
人づきあいを避けたりすることで
改善するどころか、ますます関係が疎遠になってしまいますよね。

つまり私たちは皆、幸せになることを望みながら
ますます離れてしまうような行動を選んでしまっているのです。

そのため

人生の中で何が起こるかを選ぶことは必ずしもできないが、そのような出来事に対する心の姿勢を選ぶことはできる。
(中略)
人生におけるすべての瞬間を、葛藤の中に生きるのか、平和の中に生きるのか、怖れの中に生きるのか、あたたかいこころを持って生きるのか、私たちは選んでいる。

水島広子『怖れを手放す星和書店

と、思考や心の中のおしゃべり(内言語)に対する姿勢として、
苦しいストーリーを心の中で無自覚に続けるのか、
そうした語りをストップするのか、を自分で選ぶことができるので、
「反省(後悔物語づくり)」に時間やエネルギーを費やすことをやめ、
価値にもとづく行動や生き方を紡いでいけばよい、とされます。

しかし私たちの心(マインド)は、モンキー・マインドと言われるように
あちこちにさまよい、飛びはね、ひとときもじっとしていません。

そのような心(マインド)の自動操縦状態に対して

今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け(現在の瞬間に中心を置く:present-centered)
評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること(判断しない:non-judgment)

というマインドフルネスの有効性が言われています。

マインドフルネスは「内省(メンタライジング)」という意味では
優れた方法なのですが、多くのマインドフルネスは「放棄」に基づいているため
「私という意識(エゴ)」と注意対象との間で葛藤が生じやすいのです。

そのため「マインドフルになろうと頑張るほどマインドレスになってしまう」という、
どんな本にも書かれていない弱点があるのです。
マインドフルネスを本気で行っている指導者は少ないので
このようなことがわかないのですが、長くなりますので割愛します。

思考や感情あるいはイメージなど心の中のさまざまな現れは、
心の本質そのものと区別がなく、実体がないものだと
観察していることにも気づいている状態(「気づき」に気づいているオープンで明晰な状態)
本当の意味での「マインドフルな状態(naked awareness)」なのです。

それはさておき。
「自分のこころへの向き合い方と対人関係」の4番目のポイントは、

  • 思考と感情が自然と起こったり消えたりするのに任せ、自分のこころがあるがままのオープンな状態で、自由であることに気づいていること(self-liberation)

です。
これが「心の土台」となり、自分の人生は自分が主人公という
価値にそった積極的な生き方ができるようになること
つまり「自分のこころの中で起きることを大切にする」ことといえるでしょう。

これを対人関係に応用するときには、

  • 時と場所にふさわしい体験の仕方と意味づけをしていく

ことになりますよね。

自分の反応や気持ちをはっきりつかみ、コントロールし、表現することを学べば、自分を落ち着かせたり慰めたりするために食べ物に走らないですむようになります。
つまり、自分自身との関係を改善し(食べ物で自分を麻痺させるのではなく、自分の気持ちに注意してはっきりつかめるようになる)、他人との関係を改善できれば、ネガティブな気持ちをコントロールするために食べ物を利用しなくてすむようになるでしょう。
自分の気持ちがうまく扱え、他人との関係もうまくいくようになればなるほど、過食は減っていくでしょう。

ウィルフリィ『グループ対人関係療法創元社

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
受け容れるか抵抗するかというタイトルで、
心の中での思考や感情との格闘/回避や抑圧が、
正常な反応としての感情を有害なプロセスに変えてしまうことを書いています。

それは、心配に対する心配、不安に対する不安、
怒りをコントロールできない怒りなどに抵抗せず
「ありのままに受け容れる」という心の姿勢が必要です。
(我慢することとはちがいます)

その際に、今日のブログに書いたような心の使い方が必要になり、
そのような心の使い方によって
自分にとって本当に大切な行動や生き方ができるようになるのです。

このような心の使い方は、自分だけで取り組むことは難しいので
三田こころの健康クリニックで指導を受けてくださいね。

5月2日はブログはお休みです。
次回は、5月9日にアップしますので、お楽しみに♪

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2016-04-18

思考や感情をそのまま認める

三田こころの健康クリニックで対人関係療法による治療初期に
「人の心のしくみと動き方を知る」を説明し、
「私」を主語にして、気持ちや考えを明確にするプロセスで

私たちの気分を悪くするのは、他人や出来事そのものではない。
それに対する自分のとらえ方である。
とらえ方を決めるのは、自分のこころの姿勢である。

水島広子『怖れを手放す星和書店

と、「心のつぶやき(内言語)」と「色メガネ(思考のフィルター)」など
「表象(内的現実)との向き合い方」を説明していますよね。

ちょっと難しく感じられるかもしれませんが頑張って読んで下さいね。

言葉は記号であると同時に固有の意味を持っていますから
さまざまなイメージや感情を呼び起こします。
思考も感情も言語行為と大きな違いはないのです。

言葉(音声言語)になる前の心のつぶやき
思考やさまざまな意味や概念を構成し、
それに対して感情が反応して内的な物語を紡ぎ続けています。

相手の言葉に「傷つけられた」と感じ、
攻撃に転じてイヤミを言ったり、罵ったとしても
言い合いがエスカレートし、関係はこじれて悪化しますし、
決して気持ちはスッキリせずに、くすぶった感情が残りますよね。

そのようなことが起きるのは、私たちが言葉に対して
「意味内容(シニフィエ)」を中心に把握しているからなのです。

たとえば、赤ちゃんが癇癪を起こして泣いているときには
言葉(泣き声)は「記号的側面(シニフィアン)」しか表現していません。
母親は、オムツが濡れたのかしら?おっぱいが欲しいのかしら?と
「内省(リフレクション)」しながら、赤ちゃんの内的状態に
思いを馳せますよね。

ところが、赤ちゃんの泣き声を自分に対する攻撃とみなして
赤ちゃんを叱ったり叩いたり、あるいは無視したりしても
赤ちゃんは落ち着くどころか、ますます大声で泣いてしまいますよね。

他者から言われた言葉に対しても同じで、
攻撃された、傷つけられたと認識した瞬間に
私たちは、闘うか逃げるか、格闘するか抵抗するかの
混乱に巻き込まれてしまうのです。
(『心の動きと言葉との関係』参照)

もし、相手の「言葉の意味(シニフィエ)」ではなく
赤ちゃんの泣き声と同じ「内的現実の表現(シニフィアン)」と捉えると
相手の内的現実に対する内省、「俯瞰的視点(メタ認知)」が生じますよね。

怖れを手放す』にあるように
「怒っている人は困っている人」と見ることで
「相手は相手で大変なんだな」と相手に対する思いやりも生じるのです。

泣いていた赤ちゃんがお母さんに抱かれてまなざされることで
赤ちゃんは母親という世界に対する信頼感と、
自分自身への信頼感を築いていく土台ができていくように、
他者に対しても「そこはかとない信頼感」を向けることで
信頼感を向けている自分に対しても信頼感の回復の礎になります。

このような他者に対する態度は、自分の思考・感情についての向き合い方も同じで
考えないようにしようとしたり、無視したり、抑圧しても
おさまることがないばかりか、ますますとらわれが大きくなり、
内的体験が投影された外界の見え方に圧倒されてしまいますよね。

「そのまま認める」というタイトルにしたのですが。
この言い方はどうしても、仕方なく受け容れるという受身的なニュアンス
が含まれてしまいます。

「そのまま認める」のは、思考や頭の中の物語に巻き込まれず
感情を指標に現実を変えていくために必要な心の使い方で、
辛い感情をただ認めること、その感情を受け容れること、
「その感情に触れておくことができる」ようになることで
心の枠組みが拡がると同時に、価値に沿った行動がとれるようになります。

この取り組み方として三田こころの健康クリニックでは

  • 考えや気持ちを声に出して言う
  • 思考内容を物語として観察する
  • 感情の居場所をつくる

などを指導していますよね。

「自分のこころへの向き合い方と対人関係」の4つのポイントの3つ目は、
「そのまま認める」ことで「脳内のおしゃべりを反芻したり増幅したりしない」です。
対人関係に適応する時は「言葉の意味内容ではなく、相手の心をみる」
ということになりますよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害からの回復とジャッジメントというタイトルで、
ジャッジメントを手放し、気持ちを穏やかにして
平常心に戻ることができるような活動に注目するときの
かなり重要な注意点について書いています。

今日のこのブログもその土台となるもので
カテゴリーは対人関係療法に入れていますが
実は、すべての心理療法・精神療法に共通する土台なのです。

ですから「過食症」や「むちゃ食い障害」だけでなく
「気分変調性障害(持続性抑うつ障害)」や
「愛着の問題」を何とかしたいと考えていらっしゃる方は
参考にしてみてくださいね。

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2016-04-11

過食症や気分変調症で「自分との関係」を改善する

過食症やむちゃ食い障害の人の中には
気分変調性障害を併発している人が割と多くいらっしゃいます。

そのような人たちは、ボロがでないように懸命に役割に取り組み、
それなりの成果を上げたとしても、
「まだ足りないのではないか?」「自分はダメだ!」という考えが湧き起こり
頭がいっぱいになり、気持ちもどんどん落ち込んでいきます。

「ちゃんとできているよ」と説得しても、そんな言葉には耳を貸さずに、
自分で作り上げた「ダメな自分物語」をいとも簡単に信じ込んでしまい、
「こんなネガティブなことばかり考えている自分はダメだ!」と
ますます自己否定を強めてしまうのです。

このようなとき「ネガティブなことは考えない」対処は逆効果で、
抑圧・回避された考えはさらに大きくなって戻ってきます。
また、楽しいことを思い浮かべたり、音楽を聴いたりして
「気を紛らわそう」としても、考えを追い払えるものではありません。
このような気分解消行動の一環として
食べて気持ちを紛らわすという食行動異常が起きてくるのです。

では、どうしたらネガティブな考えをストップできるのでしょうか?

それはとても簡単で「戦わずに受け容れる」ということです。
とは言っても、ネガティブな考えを好きになることでもなく、
ネガティブな考えを正しいと認めることでもなく、
ネガティブな考えに揺らがないよう強くなることでもありません。

ネガティブな考えを敵に回すことは、自分自身を敵に回すことになります。
そう説明すると、多くの患者さんが
「私は自分のことが大嫌いです!」とおっしゃいます。

どうもこのあたりに、過食症やむちゃ食い障害、
気分変調性障害の維持因子が潜んでいるようですよね。

バイロン・ケイティの「4つの質問」では

  • それは本当でしょうか?
  • その考えが本当であると、絶対に言い切れますか?

と、思考(思い込み)が絶対に正しいという信念に揺さぶりをかけ、

  • その考えを信じる時、(あなたは)どのように反応しますか?
  • その考えがなければ、(あなたは)どうなりますか?<誰ですか?>

と、「この思考(思い込み)は自分の役に立つかどうか」、
「自分が望む人生を実現する価値にもとづく行動と結びついているかどうか」に
焦点をずらしていきます。
バイロン・ケイティの「4つの質問」は問答のように声に出して言うと効果があります)

このように「思考したり感じたりする自分(体験主体)」から
「観察する自分(観察主体)」の距離を取ること、
つまり、過食症やむちゃ食い障害、気分変調性障害の人が苦手とする
自己客観視のスキルを身につけるのが「4つの質問」のテーマのようです。

たとえば、上記の「私は自分のことが嫌いです!」と考えている人。
「私は「私は自分のことが嫌いだ」という考えを持っている」自分をA、
嫌いな対象であるもう一人の自分をBとすると
AとBが戦ってエネルギーを浪費してしまっている状態ですよね。
(このようなときの過食は炭水化物が中心になることが多いのです)

相手をいやいや受け容れたとしても、いつ戦いが始まるかわかりません。
AがBを変えようと境界線を越えて干渉するけれども
Bは変わらないのでAはますますいらだつ、ということです。
これが「4つの質問」の3番目の質問ですよね。

「自分が嫌いだ」という考えはただの言葉ですから
そんなものを鵜呑みにして自分に宣戦布告する必要はありません。
そうではなくて、AとBが平和的な関係を結ぶだけで良いのです。
Aは自分の現在に集中して、エネルギーを現在に向けて
自分(A)にとって価値ある方向へ進むだけで良いのです。
これが「4つの質問」の4番目の質問ですよね。

もう一つ、対人関係療法でやるように「期待を明確にする」
という方法もあります。

自分の心の中での自己否定という戦い(葛藤)に気づき、
「自分が嫌いだ」の裏にある期待を明確にしていくのです。
「本当は好きになりたい」とか「ここがこうなればいい」と
否定文ではなく、肯定文での期待が明らかになってくると、
上に書いたように自分にとって価値ある方向性が示されてきますよね。
そうなれば、「そのためにはどうしたらいいか?」と
具体的な方策を練っていけばいいわけです。

これが「自分のこころへの向き合い方と対人関係」の4つのポイントの2つ目、
「思考や感情と折り合いをつける」ということで、
対人関係に適応する時は「非暴力コミュニケーション」ということになりますよね。

ウィルフリィの『グループ対人関係療法』にあるように

自分自身との関係を改善し(食べ物で自分を麻痺させるのではなく、自分の気持ちに注意してはっきりつかめるようになる)
他人との関係を改善できれば、ネガティブな気持ちをコントロールするために食べ物を利用しなくてすむようになる

ことを目指していくのが、対人関係療法なのです。
そして

自分の気持ちがうまく扱え、他人との関係もうまくいくようになればなるほど、過食は減っていく

のです。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害からの回復と意識のシフトチェンジ」というタイトルで、
頭の中のストーリー(脳内劇場)にとらわれた「自動操縦状態」への対処として
現在の瞬間に集中する「あること(being)モード」へのシフトチェンジが必要で、
その方法として『8つの秘訣』ではマインドフルネスを推奨しています。

マインドフルネスについては、このブログでも
聴心記』でも、何度か書いたことがありますが
大切なことは『8つの秘訣』にも書いてあるように

  • 思考中心から気づき中心への姿勢を変えて、心の本質(魂)と自我(あれこれ考える心)とを区別できるようにすること

で、対人関係療法でも「自分の気持ちをよく振り返る」というように
自分の反応や気持ちをはっきりつかみ、表現することを学べば、
自分を落ち着かせたり慰めたりするために食べ物に走らないですむようになります。
これが自分自身の「内面に向かう」ということです。

ありのままの自分と向き合う』でも書いたように
摂食障害からの回復の最後の課題は

良い/悪いにもとづくジャッジメントや決めつけを多用する「頭の中の言葉(内言語)」である「思考」が優位になり、ヴィヴィッドな体験である身体感覚や感情を感じられなくなった状態

から抜け出すことですから、「内面に向かう」ことは
過食症やむちゃ食い障害だけでなく、
気分変調性障害(持続性抑うつ障害)でも課題になりますよね。

三田こころの健康クリニックでは過食症やむちゃ食い障害、
気分変調性障害の人に、対人関係療法の補助として
「思考に言葉(思考)でラベリング」しないマインドフルネスを指導しています。

対人関係療法による治療を希望される方は
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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2016-04-04

ありのままの自分と向き合う

過食症やむちゃ食い障害の根底には
自分の気持ちや身体感覚(内的感覚)を感じられない
「アレキシサイミア(感情言語化困難症)」や
「アレキシソミア(失体感症)」がありますよね。

アレキシサイミアやアレキシソミアは

  • 人生早期の対象関係における感情交流が欠如したためではないか

と「愛着の問題が関与しているかもしれない」という意見もあります。

実際、過食症やむちゃ食い障害の人では
「良い/悪い」にもとづくジャッジメントや決めつけを多用する
「頭の中の言葉(内言語)」である「思考」が優位になっています。
(実は気分変調性障害でも同じなのです)

過食症の人では、思考に反応した心の動きや身体からのシグナルを
得体の知れないモノと捉えてしまう、内受容感覚への気づきの乏しさのため、
対人関係に関連した不快な感情を客観的に把握するのが困難なのです。

さらに、衝動を制御する機能(抱えておくこと)の困難があり、

  • 食べるという行動を使って気持ちや身体感覚を感じないようにする
  • 嘔吐という方法を使って、気持ちや身体感情をなかったことにする

などの気そらしによる「回避・解消行動」が食行動障害の維持因子になっていますよね。

  • 自分の気持ちをよく振り返り、言葉にしてみる
  • 自分の周囲の対人関係に関することに変化を起こすよう試みる

治療課題として掲げる対人関係療法では
重要な他者に病気のことを伝えてもらうことから治療が始まります。
重要な他者の協力がなければ対人関係療法が進められないからです。
(水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

でも中には、「親には関係がないと思います」と
親に協力を求めることを回避される患者さんもいらっしゃるのです。
とくにこのことが顕著にでるのは、
「自分の周囲の対人関係に関することに変化を起こすよう試みる」とき、
つまり治療や過食費にかんする罪悪感・罪責感・自責感と向き合うときです。
(水島広子『摂食障害の不安に向き合う』を参照してください)

対人関係に対するふるまい方、たとえば、必要なことを伝えず、
言い訳をして(いい顔をして)対人関係を避けようとするあり方は、
自分のこころとの向き合い方でも似たようなパターンがみられます。

対人関係療法的にいえば、対人関係上の出来事に対して抱いたネガティブな感情を
麻痺させたり、なかったことにするための症状(過食や過食嘔吐)、
対人ストレスそのものではなく、結果である症状だけに目がいくと、
なんとか症状を抑えようとして、逆に症状に振り回されてしまいますよね。

感情を感じないようにしようとする方略を「回避」と呼びます。
とくに、対人関係で惹起される思考や感情を感じないようにすることで
逆に思考や感情が大きく再生されてしまいます。
「回避」の代償である食行動の問題が人生の質を損なうようになってしまったのが
過食症やむちゃ食い障害などの摂食障害ですよね。

ですから対人関係療法による過食症やむちゃ食い障害では
「過食を抑えつけない」を前提に治療を開始するのですが、
このパラダイム・シフトは治療準備性を高めることとも関連があり、
対人関係療法治療効果とも密接に関連しているのです。
(ほとんど知られていないので、いつか詳しく説明しますね)

不快感を避けるために行っているすべての行動について(摂食障害症状も含む)

  • 苦痛に感じる考えや気持ちを完全に消すことができたか?
  • そのために何を犠牲にしたのか(時間?お金?健康?人間関係エネルギー?)
  • 回避行動によって人生が豊かで満ち足りたものになったか?

これらとその結果を自分の心で正直に認めるところから
治療のモチベーション(行動変容を促進する条件設定や自己強化)が高まります。

まず最初に向き合う必要があるのは、
病気のために心が馴れ親しんだ病気特有の考え方・感じ方」であり
その状態から抜け出すため、
「変化にともなう一時的な痛みを引き受ける準備ができているかどうか」を
対人関係療法では「病者の役割」と呼んでいますよね。
(『8つの秘訣』の秘訣1と2を参照して下さいね)

自分の心への対応の仕方は、そっくりそのまま
対人関係におけるコミュニケーションの望ましい対応につながります。
対人関係療法の本や、その他の心理療法の本には書いてありませんが
これから対人関係療法を受けたいと思っていらっしゃる方のために
すごく簡単な4つのポイントを解説していきます。

その1つ目が「自分の気持ちに正直になる」ということです。
頭の中の言葉(思考)や体の中に起きる感覚、
心で感じる感情などを、目を背けたり、抑圧するのではなく、
あるいは「あぁじゃないか」「こぅじゃないか」と解釈したり、
反すうして増幅させたりせずに、ただ「ありのままに認識する」
ということです。

これが対人関係の中での表出されるときには
「嘘や偽りを言わない、ジャッジメントをしない」
ということになりますよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害をきっかけに人生の質を向上させるというタイトルで、
8つの秘訣』では「健康な部分」を「魂の部分」と呼んでいて、
「魂の部分」は「心の本質(nature of the mind)」と読み替えられると説明しました。

そして摂食障害からの回復で問題となる「自我(エゴ)」とは
「良い/悪い」に基づくジャッジメントや決めつけを多用する
「頭の中の言葉(内言語)」である「思考」が優位になり
ヴィヴィッドな体験である身体感覚や感情を感じられなくなった状態
であることを解説しています。

「気分変調性障害(持続性抑うつ障害)」の人も同じですが
無価値だという考えによって生み出された罪悪感、不安、失望感を避けるために
しゃかりきになって無我夢中で与えられた役割に取り組み
他者を優先して他者からの良い評価や承認を得ようと
自分のボロが出ないようにとあれこれ腐心することで
逆に自分の無価値感を強める結果になってしまいますよね。

結局、自分にとって価値のあること、意味のあることとは
長期的に人生にプラスになることであるはずなのに、
「自我(エゴ)」の策略に嵌ると、それは回避行動になってしまい
ますます苦しさを倍増する結果につながってしまうのです。

過食症」や「むちゃ食い障害」、あるいは上に書いたような
「慢性のうつ病(気分変調性障害・持続性抑うつ障害)」の
対人関係療法による治療を希望される方は
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

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2016-03-28

アタッチメントと生まれつきの要因

対人関係療法は、うつ病過食症に対して
効果が十分に確立された治療法として知られています。
不安障害については効果がないことが証明されています)

対人関係療法では、親や配偶者といった重要な他者との関係の中で
コミュニケーションを意識的に行うこと(感情表現への取り組み)を通じて、
受容される体験、関係性の変化の体験をもとに
自己効力感(および協調性)を高めることで
病気治療していく期間限定の精神療法です。

ところが、親との関係に問題があるから、とか、
対人関係が苦手だから、コミュニケーション障害があるから、
それを何とかしたいと対人関係療法を申し込まれる方だけでなく、
そのように誤解されている精神科医もまだまだ多いようです。

そもそも、いわゆる対人関係の範囲を考えてみると
親や配偶者、パートナーなど重要な他者や親しい友人との関係、
クラスメイトや部活の仲間との関係、会社の同僚や近所の人たちとの関係など
親密性や距離感にかなり違いがありますよね。

苦手と感じられる対人関係は、親しい関係以外の関係であり、
それほど親しくないけど接する機会が多い人たち、
つまり、自分と集団や組織との関係(折り合い)の問題ですし
コミュニケーションの仕方は自分自身との折り合いの問題ですよね。

しかし集団との関係や、自分自身との折り合いは、
もともと母子関係という二者関係から分化したものであり
セキュア・ベース(安心の土台)が愛着(アタッチメント)ですよね。

これまでもこのブログで何度も書いているように
幼少期の愛着(アタッチメント)・パターンは
成長するにつれて変化することが知られています。

乳幼児期には、生まれつき持っている遺伝的要素よりも
養育環境の影響の方が大きいことがわかっています。

養育環境は、単に養育者側だけの問題だけではなく、
子ども側が生まれつき持っている遺伝要因によって
親のペアレンティング(養育)のあり方が誘導されるのです。
つまり、この親にしてこの子ありということなので、
愛着(アタッチメント)の安定性が問題になるのです。

アタッチメント障害(愛着障害)の乳幼児は成長するにつれて、
情動調節障害から気分障害や反社会的な行動障害と病像が変化していきます。

ですから、乳幼児期に不安定型のアタッチメント・パターンであっても
思春期以降の交友関係やパートナーとの関係によっては
獲得安定型のアタッチメント・スタイルに変化することも可能なのです。

思春期にアタッチメント・スタイルが変化するときには
環境要因よりも、遺伝的要因の影響の方が大きいことがわかっています。
ですから自我が目覚める前思春期(小学校中学年)以降は
アタッチメント障害(愛着障害)は診断しないのです。

さらに、この時期(前思春期以降)には、集団との関係や、
自分と他者の違いなどがメインテーマになるため、
本来の「気質」や自閉症スペクトラム発達障害)の要素などの
遺伝的要因の影響の方が大きくなるからなのです。
(思春期以降の青年に愛着障害の診断をする医師は論外)

つまり幼少期の愛着形成のネガティブな影響が
思春期から青年期の精神病理の予測因子になるのではなく、
幼少期における集団との関係性やストレス、逆境体験など、
環境や対人学習の結果としての「性格」の関与が
成人期の精神病理の予測因子になることが報告されているのです。

さらに自分自身の内的世界との折り合いの問題や
自分と集団や組織との関係(折り合い)の問題は
重要な他者との二者関係に焦点を当てる
対人関係療法のすすめ方とはうまく合致しないのです。

ですから、診断基準にあるアタッチメント障害ではなく、
世間でいう愛着障害(不安定型アタッチメントスタイル)が
コンパニオンシップ(友人や同僚との関係:集団との折り合い)の問題なのか
親あるいはパートナーとのアタッチメント関係の問題なのかを区別することで
適切な対処法・治療法が見えてきますよね。

ミラーニューロンがあなたを救う!- 人に支配されない脳をつくる4つの実践テクニック -

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三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の回復と本当に大切なものというタイトルで、
8つの秘訣』に取り組んでいく中で
どのような方向性を意識しておけばいいのかという
本にはほとんど書かれていないことについて解説しています。

対人関係療法による過食症治療では
「過食がゼロになることを目指さない」のが原則ですが
今回のブログで書いた「摂食障害の回復と本当に大切なもの
その先の「過食がゼロになること目指す」ために必要な課題です。

思考や感情に振り回された状態を
過食という方法を使って麻痺させたり感じなくするのではなく
自分の人生は自分が主人公であるという主体性を回復させるために必要な
「自分自身と向き合う心の姿勢」が重要になってきます。

過食症やむちゃ食い障害を本気で治したいと考えていらっしゃる方は
三田こころの健康クリニックに申し込んでくださいね。

6月2日は世界摂食障害の日です。



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2016-03-21

心の動きと言葉との関係

言葉の使い方しだいで、態度や気持ちに影響してきますよね。

たとえば、誰かに何か(たとえば決めつけ)を言われて
「傷ついた」「傷つけられた」と感じることは多いと思います。
ところが、実際には怪我をして血が流れているわけでも何でもなく、
「心が傷ついたと感じた」「嫌な気持ちになった」と感じるのですよね。

その時の状況をよく観察してみると、
相手が発した言葉を聞いている瞬間はそのような状態にはなっていませんよね。

相手の言葉を「人を傷つける言葉」と認識した(決めつけた)瞬間に、
自分は「決めつけられた」「傷つけられた」と受け止め、
そのような感じ方をした途端に、自分の心の中に
「決めつけられた」「傷つけられた」というイメージが現れて
衝撃とともに、怒りや哀しさ、悔しさなどの感情が湧き起こり
そのエピソードを「傷ついた/傷つけられた」出来事と認識しています。

音や文字の集合にしかすぎない言葉(現実)と
意味として心の中に喚起される心的現実を混同することによって
苦しみが生み出されているようですよね。

治療者の中にも、患者さんの話を鵜呑みにして
「決めつけた相手が悪い」と言い切る治療者がいらっしゃるのですが、
現実と表象(出来事のとらえ方:心的イメージ)の区別や
変化に伴う一時的な痛みと攻撃を混同して、さらに、
「傷つくのはよくないこと」とジャッジメントしているわけですよね。

似たようなことが、巷で流行りのマインドフルネスでも起きています。

マインドフルネスストレス低減法(MBSR)やマインドフルネス認知療法(MBCT)では
呼吸に意識を向けながら、たとえばあれこれの考えが浮かんだら
「思考、思考、思考、…」とラベリングを行い
「もどります」とふたたび呼吸に意識を戻す方法がとられます。

この言葉でのラベリング(言語化)は
感情や思考を客観視するために行われるのですが、
人によっては、「こんなに思考ばっかり起きてくるなんて」とか、
たとえば「痛み、痛み、痛み、…」とラベリングすることで
体の別の部位の痛みに意識が向いてしまったり、
あるいは痛みがさらに大きくなってしまったりするようです。

これは取り組んでいる人だけの問題ではなく
マインドフルネスを十分に習得していない指導者にも問題があるようです。
(西洋化されたマインドフルネスをそのまま適用する問題もあると思います)

本に書いてあるやり方を真似ているだけの指導者の中には、
ネガティブな感情の内省(直面化)と言語化を促すときに
適切な言葉を見つけられないとネガティブな感情が増大する
などと指導しているトンデモナイ指導者もあるようです。

そのため、マインドフルネスの指導を受けても
逆に感情や思考への反芻や執着(とらわれ)が強くなってしまい、
自己否定や自己嫌悪が助長されることもとても多いのです。

つまり、上記の治療者や指導者の例からわかるように、
何に焦点を当てて、それにどのような意味づけをするかは
その人の心の状態が反映されているということですよね。

それだけでなく、思考や言葉に意識がとらわれてしまうことで
ヴィヴィッドな身体感覚を感じにくくなってしまうのです。

ネガティブな意味をもつ言葉に対して抑圧や回避をするようになることで
さらにネガティブなものに敏感になるだけでなく、
回避・抑圧したはずの言葉に対して
さらに大きな脅威を感じやすくなってしまいます。

もともとネガティブな心的状態にあるうつ病
慢性うつ病(気分変調性障害)の人、
あるいは自己否定の強い過食症やむちゃ食いの人は
言葉そのものが持つ意味やイメージに引きずられて思考を反芻したり、
感情を感じることを避けようとしてますます思考や感情を強化してしまい
症状が持続するという悪循環が生じてしまうのです。

対人関係療法で重要な他者に話(気持ち)を聞いてもらうときに、
三田こころの健康クリニックでは注意していることがありますよね。

「過食で苦しい」「不安でしょうがない」などの症状トークは
相手に認めてもらうことで一時的に不安や苦痛などは軽減するにしても、
聞いてもらうことで改善するどころか、再承認を求めたくなり、
さらに増悪してしまうからなのです。

また「あんなことを言われてすごく傷ついた」など決めつけトークや
「○○と言わないで欲しい」「△△しないで欲しい」などの禁止トークは、
相手にどう言って欲しいかの期待がはっきりしないために
聞いてもらって安心するどころか不全感が残るだけでなく、
決めつけ・禁止された方は攻撃されたとみなしてしまうため、
関係が悪化することが多いのです。

自分の心の中にある思考や感情に対する態度(自分との折り合い方)は
そのまま対人関係でのコミュニケーションに反映されますし、
逆に、対人関係での相手のコミュニケーションへの対応の仕方は
そのまま自分の心との向き合い方にもなっていて、
対人関係と自分との向き合い方は双方向性に影響をあたえ合う
フラクタル自己相似性)」の関係にあるのです。

このような自分自身との向き合い方を三田こころの健康クリニックでは、
自分自身との対人関係と呼んでいますよね。

成人アタッチメントインタビュー(AAI)で有名なエインズワースの弟子でもあり、
発達段階による愛着の成熟の研究で有名なクリッテンデン先生に質問して
愛着ストラテジー(愛着方略)についても同じことがいえることを確認しましたので
そのうち少しずつ解説していきますね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食症からの回復のゴールというタイトルで、
8つの秘訣』を引用しながら
生きていくうえでの意味や価値に向けての方向転換が必要、ということを説明しています。

過食症やむちゃ食い障害の対人関係療法による治療では
病気からの回復と、成長課題を区別しますが、
治療の最終段階では、成長課題に取り組む必要もある
ということなのです。

これは対人関係療法による治療が終わった後に取り組む
「過食がゼロになることを目指す」課題ですが
もちろん治療中から取り組むことも可能なのです。

16回の対人関係療法が終わるときに
過食症がすっかりよくなったある患者さんから
メッセージカードをいただきました。

病気になったのは辛い体験でしたが、今までで一番楽で自然体でいられる自分になれたと思います。

このように「対人関係に取り組むこと」と「自分自身と向き合うこと」の2つが
過食症やむちゃ食い障害から回復するポイントになりますから
過食症やむちゃ食い障害を本気で治したいと考えていらっしゃる方は
しっかりと方向性を見定めて、モチベーションを高めておいてくださいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2016-03-14

アタッチメントの問題に向き合う

「愛着障害(アタッチメント障害)」の診断は

  • 身体的虐待:殴る・蹴る
  • 性的虐待:性的接触や性行為、性的な場面や映像への暴露
  • ネグレクト:不適切な養育環境や食事を与えないなど
  • 家族内暴力(DV)の目撃や暴言による虐待

など、日常的に繰り返される不適切な養育の結果(トラウマ)として
乳児(9ヶ月)から小児期早期(6〜7歳まで)に
「恐れ/未解決型」「安全基地のゆがみ」
「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」
「脱抑制型対人交流障害」など
養育者との間で愛着パターンの異常がみられるものを指します。
(『「反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害」の最新情報』参照)

虐待に暴露された乳幼児の一部は、
のちに衝動制御の障害(多動性行動障害)、解離性障害
薬物やアルコール乱用あるいは、さまざまな嗜癖問題、
反社会性パーソナリティ障害境界性パーソナリティ障害など
さまざまな精神疾患へ推移することがよく知られています。

子ども時代に虐待を受け続けた小児の一部は
思春期以降に視覚野の灰白質の容積が減少することがわかっています。
視覚野は、視覚的な感情処理だけではなく
大脳辺縁系扁桃体海馬)とともに知覚や認知処理にかかわっている
とされています。

暴言による虐待を受け続けると、側頭葉の聴覚野の一部の体積が減少し、
聴覚に障害が生じるだけでなく、知能や理解力にも影響をおよぼすことがわかっています。

言葉によるDVの目撃では、身体的DVの目撃よりも
視覚野の単語の認知に関わる領域で容積減少が大きかった
とも報告されています。

さらに深刻な体罰を長期的、継続的に受けた人では

  • 感情や思考をコントロールし衝動を抑制する領域(右前頭前野内側部)
  • 物事を認識する働きをもつ領域(左前頭前野背外側部)
  • 集中力や意志決定、共感にかかわる領域(右前帯状回

などの容積減少がみられ、感情コントロールの障害や、
素行障害(非行・犯罪をくりかえす)との関連もいわれています。

幼少期の虐待やネグレクトの影響は、生態的表現型と呼ばれます。
これは可塑性(環境条件に応じて変化させる能力)があるという意味ですが、
同じ診断でも、幼少期のトラウマがある例では、
発症年齢が低く、多重診断が多く、治療初期の反応がよくない
といわれています。

三田こころの健康クリニックでは対人関係療法を行いますが
虐待などのトラウマが関与した不安定型愛着スタイルには
通常の対人関係療法のすすめ方だけでは不十分で、
身体の反応にも焦点を当てていく必要があると同時に
変化という自然な痛みを受け容れることができるようになること
についても取り組んでいく必要があります。

不安定型愛着スタイルと身体の自動反応については
神経生理学的な説明が必要なので、優しく書けたら
いつか詳解する予定ですので、お楽しみに。

閑話休題。(話は変わって)

5つの短い章からなる自叙伝」のコピーを
渡された方もいらっしゃると思いますが、
固着し習慣化した行動様式(愛着スタイルや摂食障害行動)を繰り返している
「自動操縦状態」に目を開くこと(行動様式を自覚できるようになる)ことが
変容の第一歩になります。

このような心の奥深くからの真の変容をもたらすために
巷で流行りの世俗的なマインドフルネスではない
日常生活から身をひいた瞑想の中で心の本質に触れる
マインドフルネス(注意深さ)を修習する必要があります。

人生の目標を達成するためにどのような行動に取り組めばいいか、
生きるための自己決定という、深く広いレベルでの変容の重要性を
三田こころの健康クリニックでは重視しているのです。

このような対人関係療法の応用について書いていると
一般の方は、対人関係療法を標榜しているところならどこでも
患者さんの特性に合わせた治療が受けられると思ってしまわれるようで
実際に、そのような問い合わせを受けることもあるのです。

同じ診断であっても、患者さんの背景は千差万別ですよね。
たとえば過食症の診断で「評価への過敏性」が焦点になっても
学習性無力にもとづく「評価への過敏性」と
脳内劇場(不安)にもとづく「評価への過敏性」では
対人関係療法でもすすめ方が違ってくるのは当然で
型どおりのパッケージ化された対人関係療法のすすめ方では
対応を誤ってしまうことも多いのです。

対人関係療法では、どのような治療が向いているのか、という
文脈の見立て(鑑別治療学)が可能か、とか、
対人関係療法の弱点をカバーする工夫がなされているかなど
他の心理療法も習得した治療者かどうかの臨床経験の差が大きいので
対人関係療法の効果は治療者によるということですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害からの回復に必要な周囲の人のサポートというタイトルで、
内省(自分を観察する)を高める取り組みと同時に
周囲の人たちとの関係に取り組んでいくこと、その関係から力をもらうことが
過食症対人関係療法が奏効する原動力になることを書いています。

過食症やむちゃ食い障害で医療機関にかかったけれど
話を聞いてもらえないし、薬しか出されないと感じている方、
本気で過食症を治したくて対人関係療法を受けたいと思っている方は
三田こころの健康クリニックに相談してみてくださいね。

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2016-03-07

対人関係療法で関係性の問題に取り組む

うつ病過食症に対して治療効果が認められている対人関係療法は、
いまだにその名称から誤解されていることがすごく多いのです。
対人関係療法は、対人関係が苦手な性格を変えていく、とか、
問題のある対人関係を何とか改善していく、とか、
社会生活で必要な対人関係のスキルトレーニングではないのです。

対人関係療法は、重要な他者との関係のなかで

☆ 存在そのものを認められる
☆ 意見を表現することを尊重される
☆ 努力を正当に評価される
☆ 試行錯誤が許されている

などの体験を通じて、対人関係に対処するスキルを身につけて自己効力感を培い
自己肯定感を高めることで病気を治していく治療法ですから
重要な他者に治療に協力してもらうことが大前提になっています。

また、どんな治療法でも同じですが、エビデンスがあるといっても
過食症や持続性抑うつ障害の人すべてが対人関係療法の適応になるのではなく、
人によって向き・不向きが、当然のことならがあるのです。

ある人にとってベストな治療であったとしても、
別の人にとっては不適切な治療になることもありますよね。
ある治療法が現在でも行われているのは、
やはりそれなりの効果があったということなので
エビデンスがないからダメとジャッジメントするのではなく、
自分にとってただ合わなかったと認めるだけでいいのです。

どんな人が対人関係療法より他の治療が良いのか
対人関係療法はどんな人に向いているのか、を考えていく「鑑別治療学」では、
病気の発症と維持因子を対人関係文脈として見ていきます。

対人関係文脈とは、対人関係上の出来事をどう体験したか、
つまり、どう感じて、どうなって欲しかったのかという
主観的な体験とその共有の仕方を力動的に理解することなのです。

じつは、主観的な体験は対人関係だけでなく、
自分自身との向き合い方にも関係しているので、
重要な他者との対人関係に取り組むことで対人関係スキルも身につきますし
その際に自分自身の内省をすすめることで体験の仕方も変わってきます。
対人関係療法はそのような相乗作用によって病気治療していくのです。

出来事の体験は、表象(心的イメージ)に対する主観ですから、
それが対人関係の中で表現できていて、共有されているか、
相手の主観の表現をどのくらい認識して、共有できているか、
という主観の共有が対人関係文脈(関係性)ということなのです。

対人関係療法では関係性に問題をはらんでいる状態を
「役割期待の不一致(不和)」と呼びます。
よくあるパターンでは、

  • 片方が一方的に自己主張をし、相手に聞くことを強いる
  • 片方が自己主張をしない
  • 相手の主観を無視する

など、主観の共有ができていない状態を指し、具体的には

  • あなたは○○だ、という決めつけ
  • あのときはこうだった、と過去の話を持ちだす

などがこのような役割期待の不一致を生み出しやすく、その際に

★ 曖昧で間接的な非言語的コミュニケーション
★ 不必要に間接的な言語的コミュニケーション
★ 自分がコミュニケーションした(相手はわかっているはず)という間違った憶測
★ 自分が理解したという間違った憶測
沈黙―コミュニケーションの打ち切り

など、問題のあるコミュニケーションが多用されることが多いのです。

対人関係療法では、役割期待の不一致の解消には

○ 「わたし」を主語に話すアイ(I)メッセージ
○ ローゼンバーグの非暴力コミュニケーション

などを使って主観の共有を進めていきますよね。

アタッチメント(愛着)の問題を抱えている患者さんが
ある医師に「お母さんの方が病理が重い」と断言されたことがあると
話してくださって、そのことについて整理をしたことがありました。

患者さんの体験(心的現実(表象))は尊重しますが
対人関係文脈(関係性)という観点でみた場合、
関係性はどちらか一方が悪いとは見ないのです。

しかし治療者が患者さんの主観的体験を鵜呑みにすると
(心的現実(投影)に巻き込まれる、心的現実を現実と錯覚する)
患者さんは治療者を全能の救済者とみてしまいます。

治療者も、患者さんに対して「わかってあげられるのは自分だけ」という
救済者願望を向けていることに無自覚な場合がほとんどで、
治療者の投影同一視による他者受容(「裏返し」の病理)が開花します。

「わかってあげられるのは自分だけなので他の医師に紹介できない」と治療者は考え
患者さんも「この先生が何とかしてくれるはず」と、
良くならないけれども通い続けるということが起きてしまうのです。

これを「二者関係への埋没(ミイラ取りがミイラになる)」と呼び、
治療者も患者さんも、逼塞した心理状態から抜けられなくなり
治療による変化が滞ってしまうのです。

私たちの気分を悪くするのは他人や出来事そのものではなく
それに対する自分のとらえ方(体験の仕方)ですから
現実との乖離や齟齬に焦点を当てて気づきを促しますよね。

しかし、変化する心の準備ができていない患者さんによっては
自分の感じ方を否定された、傷つけられたと感じてしまうことも多いのです。

対人関係療法治療効果は変化への準備段階に影響される
という結果がありますし、さらに、一時的に不快に感じられたとしても、
変化に伴う一時的な苦痛なのかどうか、ネガティブな感情を整理する必要があるのです。

ここで、傷つけたからあの医師が悪いという話になってしまうと
加害者/被害者、良い/悪い、というジャッジメントですし、
救済者願望に無自覚な治療者が、患者さんの心的現実に巻き込まれて
患者さんの体験(心的現実)を現実だと追承認してしまうことで
患者さんの体験を固着させて、変化の道を閉ざしてしまうのです。
(不安定型愛着(俗にいう愛着障害)の維持因子も心的現実と現実の混同にあるのです)

この患者さんは内省も十分にできる人だったので、
医師に「母のことを悪く言われた」「決めつけられた」と感じたけれども
その医師はとりあえず仮に「お母さんの方が病理が重い」と話すことで
患者さんの主観的体験を尊重したかったのだろう、
よかれと思って悪気はなかったのだろう、と位置づけておられました。

患者さんは分離を「見捨てられた」と体験してしまいがちですが、
「よい別れを別れられるように」なる、つまり、
分離にともなう卒業、出発、成長といった意味を見いだすことができて、
一人ひとりのプロセスの多様性を認められるようになることが
対人関係療法の裏で作用する「成長というプロセス」でもあるのですよね。

閑話休題(それはさておき)

対人関係療法で大切なことは、「その出来事をどう体験したのか?」について
自己客観視(自己モニタリング)ができるようになることであり、
さらに自分と相手の立場を入れ替えて考えられるようになることです。

それらを土台に、気持ちを言葉にしてコミュニケーションを通じて
相手と理解・共有することで自己効力感や自己肯定感を高めていくことが
過食症やむちゃ食い障害の治療、安定型アタッチメント(愛着)の獲得にとって
必要不可欠なプロセスになるのですよね。

対人関係が一瞬で楽になる心の技術

対人関係が一瞬で楽になる心の技術

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害から回復するための「自分」という土台というタイトルで、
外的現実と心的現実(脳内劇場)の区別、つまり
自分が体験している現実や感情は、
自分の心の中の表象(とらえ方)にすぎないという感覚を持つことは
愛着の安定性を獲得する方法の1つでもあり
またトラウマや過食症からの回復にも必要不可欠であることを書いています。

過食症」や「むちゃ食い性障害」の治療を希望される方は
拒食症・過食症を対人関係療法で治す』や
怖れを手放す』も参照にしながら読んでみてくださいね。

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2016-02-29

マインドフルネスは対人関係療法にどのように役に立つのか

最近、このブログが難しすぎる!と患者さんから注意を受けました。

対人関係療法による過食症治療では症状に焦点を当てず、
今後症状に振り回されないようにするための強力な手段を学ぶためのもの
という位置づけで治療を進めますよね。

これまで見てきたように過食やむちゃ食いの背景には

  • 内受容感覚(身体からのシグナル)に対する気づきの乏しさ
  • 不快な情動や身体シグナルに対する回避
  • 気分あるいは感情不耐にともなう解消行動

があることがわかっていますよね。

ですから対人関係療法で焦点を当てない「感情耐性を高める」という
「自分との折り合い方」を身につけることで
治療効果をさらに上げられることを知っていただきたくて書いています。
難しいと感じたり、具体的にどうすればいいの?については
三田こころの健康クリニックで聞いてくださいね。

さて、今回はちょっとくだけた感じで「自分の向き合い方」を書いてみますね。

過食症やむちゃ食い障害の人はあれこれと不安になりやすい特徴があります。
三田こころの健康クリニックでは「脳内劇場」と呼んでいますよね。

たとえば、多くの人が
「どうしよう?どうしたらいいんだろう?!」と考えて
不安になったりしますよね。
対人関係療法で取り上げることの多い思考に
「(相手に)どう思われるだろう?」「何と思われるだろう?」
があります。

これは「どう(How)?」「何と(what)?」に焦点が当たってしまい
情報が乏しい状況で「…しよう(doing)」を考えるわけですから
方策を立てるには無理があるのと同時に、
状況を想像で補うので、ネガティブな想像が頭をかすめ
「どうどうめぐり(堂々巡り)」が始まってしまうからなのです。

「自分をふり返る」という自己客観視をする習慣がない人は
そのような想像をしていることに気づかずに
わけのわからない不安になり、その不安をなだめるために
過食につながってしまうわけです。

自分のしていることや体験していることに無自覚で
習慣的な反応を繰り返す「自動操縦状態」に対して
マインドフルネスの有効性がいわれています。

マインドフルネスは、

  • いま起きていることに判断をさしはさまずにはっきりと気がついている

という意味なのですが、現在のやり方では
思考で思考を把握するプロセスが強調されすぎて
注意制御の背景にある周辺への気づきに対するアプローチが薄いなど
逆輸入された方法論の弱点を露呈してしまっています。

それはさておき、マインドフルネスで、
「すること(doing)モード」から「あること(being)モード」にシフトすることにより
ジャッジメントをせずに現実を見ることができるといわれます。

ジャッジメントに関して、マインドフルネスでは、
いま、この瞬間に自分がしている体験そのものに対しても
過去の記憶や未来への期待と関係づけたり、
評価や判断をいっさい加えたりせずに、受容的に受け容れること、
といわれます。

アタッチメント(愛着)の問題に対してマインドフルネスを勧めているのは
こういう理由からなのです。

スキルとしてのマインドフルネスは自己修養として十分機能するのですが
そもそもそのようなスキルを最も必要とする過食症の患者さんにとっては
マインドフルネスを体験的に理解することが非常にむずかしいこともわかっています。

たとえば、このブログでも何度か書いたことがあるように
対人関係療法に取り組んで、自分の気持ちを感じてみようと努力したり、
対人関係のなかで自分の気持ちを言葉で表現したり、
コミュニケーションの仕方に取り組み始めると
過食がひどくなることがよくあるのです。

人によっていろいろなプロセスがあるのですが、多くの場合は

  1. 抑圧していたつらい感情やイメージ、思考などに気づくようになる
  2. 出来事の体験の仕方を自分で選んでいることに気づけず圧倒される

の2つのパターンに分類されるようです。

フラッシュバックやタイムスリップに似た記憶想起や悪夢として
未解決の家族間・現在進行中の対人関係などに対する葛藤と直面し
非常に強い苦痛や混乱が起きて症状が増悪することもあります。

場合によっては治療に対する拒絶反応が出たりして
慣れ親しんだ「回避」という方略にもどってしまったり
あるいは症状をなくそうと躍起になって症状が増悪したりして
対人関係療法に取り組むことが難しくなることもあります。

このようなときこそ、対人関係療法治療のなかで
傷ついたと感じられた未処理の対人関係問題への対応と
自己効力感(コントロール感)の回復がテーマになると同時に、
身体感覚や体験への気づきや脱中心化(距離を置き、全体を俯瞰する)、
ジャッジメントを離れた受容などの取り組みだけでなく
繰り返し生じる思考(反すう)への耐性を高める取り組みが必要になります。

対人関係療法のエビデンスがない不安(や怒り)に対しては
思考や感情との向き合い方(心の使い方)が必要になりますから
そのためにマインドフルネスが不可欠なのです。

対人関係療法は取り組むことが決まっているパッケージ治療ですが
そのエッセンスは残しながら、一人ひとりの患者さんに対して
取り組む内容の調節などオーダーメイドの対応が必要になりますよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
「内面に向かう」取り組みと摂食障害からの回復というタイトルで、
行動を変えることの回避につながる「白黒思考」に気づくこと、
つまり「自分の状況を自覚する(自己客観視)」と「行動変容」が
摂食障害からの回復に必要不可欠の要素であることを書いています。

対人関係療法で「期待の整理」に取り組みますが
この期待の整理を自分自身の内面で進めていくことが
「自分との折り合い方」ということで、
マインドフルネスと対人関係療法のスキルが活かされますよね。

8つの秘訣』で紹介されていたスマホアプリ「AWARENESSー気づき」は
アップルストアここからダウンロードできますので、
マインドフルネスの感覚を体験してみてくださいね。

過食症やむちゃ食い障害で通院しているけれども
薬ばかり増えて話を聞いてもらえないと感じている方、
本気で治したいから対人関係療法を受けたいと思っている方は
三田こころの健康クリニックに相談してみてくださいね。

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2016-02-22

過食やむちゃ食いの心理メカニズムと身体

最近の脳機能に対する研究のデータから、
過食症やむちゃ食い障害の人は、空腹感、満腹感、味覚など
身体からのシグナル(内受容感覚)を適切に知覚したり
反応したりする能力に乏しいだけでなく、さらに驚くべきことに、
感情と空腹シグナルを錯覚してしまう、ことがわかっています。

また、過食症やむちゃ食い障害の人は
自分の感情や身体感覚などの内的体験を抑圧して
感じないですむように回避したり、解消行動に走ったりするため
内的体験を観察したり描写したりすることが困難になるのです。

このような状態は「アレキシサイミア(感情言語化困難症)」とか
「アレキシソミア(失体感症)」と呼ばれています。

摂食障害を抱えたひとたちは、なぜ自分が食べることをやめられないのか、その意味がわからない、もしくはうまく言語化できないことが多い。
言語化したとしても、受け入れてもらえなかったり、理解されないことも多い。

宮地尚子「食べることの調律もしくは食べることの失調−−複雑性トラウマと摂食障害そだちの科学 25 (10): 77-82, 2015

過食症やむちゃ食い障害の人のこのような特性は生まれつきのものではなく、
成長過程で身につけた対処方略のようです。

実際にライフチャートを書いてもらって生活史を振り返ると
特徴的なアタッチメント(愛着)方略を身につけた人も多く、
内的体験(とくに感情)を抑圧することで生活史を乗り切ってきた
という背景を持つ人も多いのです。

またネガティブな感情を感じると、感じないように回避したり、
あるいは衝動的にネガティブな感情を消去しようとして
対処行動としての過食がおきやすいことなどが指摘されています。

過食の原動力といわれる怒りや罪悪感(罪責感)、あるいは、
劣等感や孤独感(寂しさや空虚感、悲しみなど)などが意識されないと、
それらの不快な感情を引き起こした状況に対して
解決するための行動を起こすことができないだけでなく、
何が苦しいかわからないけど過食やむちゃ食いが悪化した
という形でしか自覚できません。

情動や身体からの内的なシグナルを知覚した際に
ネガティブな評価(ジャッジメント)をすると
回避的な対処行動や解消行動などをしてしまうのですが、
それによりますます情動や内受容感覚に対して注意が向きやすくなる
という悪循環が生じますよね。

ですから、過食症対人関係療法による治療では
不快な感情を解消しようとした結果である
「過食を抑えつけない」ということを強調しますよね。

不快な感情を引き起こした対人関係上の出来事に対して
「その時どう感じたのか?」と気持ちをありのままに認めたうえで、
「本当はどうなって欲しかったのか?」
「そのためにはどうしたらいいか?」
という対人関係上の現実を変えていくことに取り組むことが
「食べもので気持ちを解決する対処法を変化させていく」治療になるのです。
このような心理的なメカニズムは本には書いてないですよね。

人は生きていく過程で、さまざまな経験をして
個人に特有な考え方やものの見方を身につけます。
その際、体験の仕方を規定するのが生まれ持った「気質」であり
体験を意味づけて気質をコントロールするのが
環境や対人関係による学習で培われた「性格」です。

アタッチメント(愛着)方略は気質と性格の橋渡しをするようで
たとえば、両親ともに共働きで不在がちだった場合、
「自分は嫌われているのではないか」
「拒否されているのではないか」などの体験の仕方は、
「いい子でいれば褒めてもらえる」という学習を促し、
自分に関心を向けてもらおうと過剰適応をする傾向にあります。
これは『「拒絶・回避型/愛着軽視型」を対人関係療法で癒す』に書いた
タイプAストラテジーと呼ばれる愛着方略です。

嫌われているのではないか、拒否されているのではないか、などの
イライラ、怒り、不安、悲しみ、嫌悪などの不快な感情によって
交感神経が過剰に活性化(過緊張・過剰警戒・過覚醒)します。

交感神経をなだめるのには食べることが役に立つのですが、
過食症の人たちは感情と空腹シグナルを錯覚してしまうため
食べても満腹反応がおきずに、身体の不快感のみを感じるため
吐くことで不快感を無くそうとし、その結果、迷走神経系の麻痺を経験します。

つまり抑圧(感じないように)するか/解消行動に走るか、
あるいは、交感神経の過活動状態か/迷走神経麻痺状態か、という
心理(心の動き)と自律神経が二つの極に引き裂かれた苦しみの連鎖
過食やむちゃ食いの根底にあるということなのです。

三田こころの健康クリニックで対人関係療法での治療の際に
「自分との折り合い」が最後のテーマになると話しているのは
このようなメカニズムに基づいているんですよ。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
過食症状の「衝動の波に乗る」というタイトルで、
三田こころの健康クリニックで

  • 飢餓過食
  • 気持ちを麻痺させるストレス過食
  • 感情不耐によるダラダラ食い

と、区別して呼んでいる過食衝動との向き合い方を概説しています。

今回の心理的メカニズムの話は難しいと感じられるかもしれませんが、
過食衝動の裏にある身体―心理的な背景を知ることで
過食症やむちゃ食い障害の最後の課題である
「自分を客観視する」ことにも取り組みやすくなると思います。

過食症やむちゃ食い性障害の対人関係療法による治療を希望される方は
良く理解しておいて下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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