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如実知自心〜対人関係療法@三田こころの健康クリニック〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2014-09-29

「自分が管理を任された身体」という考え方

水島先生は『ダイエット依存症』の中で
「自分自身の身体との折りあい」のつけ方について
自分が管理を任された身体」という考え方を紹介されています。

摂食障害対人関係療法による治療では
「自分を大切にする生き方」として
「評価=ジャッジメント」や境界線とも関連する
身体への一方的な決めつけを「虐待」と位置づけます。
(他者からの暴力的な一方的な決めつけも「虐待」ですよね)

身体には、自分が望んだわけでもない限界がいろいろとあります。
それを「自分そのもの」と考えてしまうと、身体の足りない点を責めるような気持ちになります。
身体が自分の価値を下げるようにも感じられるからです。
そして、「やせたがり」の声が活発になって、虐待的な態度をとるようになってしまうでしょう。
自分の所有物と考えてしまうと、虐待することの問題にも気づきにくくなっていまいます。
(中略)
ダイエット依存症」は身体への虐待だと私は思っていますが、「虐待」と言われてもピンと来ない人がいるかもしれません。
ここで改めて「虐待」とは何かと考えてみれば、それは、自分側のストレスを相手にぶつけるということだと思います。
本来は自分で引き受けるべき問題を、相手に暴力的な形で押しつけてしまうのです。
身体への虐待について言えば、自分のストレスを身体に投影してしまう、という形をとります。
つまり、本来は心の問題であるのに、身体の問題であるかのように転化してしまうということなのです。

ダイエット依存症』水島広子・著 講談社

本来、対人関係療法では
自分との折りあい方も対人関係(個人幻想)と見なします。

自分自身との対人関係(折りあい)については

この人生が始まるときに一つの身体を支給され、この身体の面倒を見て暮らすように言われた、とイメージしてみるのです。
あるいは、自分が養育を任されている大切な子どもと考えても良いと思います。

ダイエット依存症』水島広子・著 講談社

という見方をしてみる、ということなのです。
つまり、重要な他者が自分に向けてくれた
「無条件の肯定的関心」を自分の身体に向ける
ということですよね。

身体そのものの存在を認め、身体の聲(身体感覚)に耳をかたむけ
身体がそれなりに頑張っていることに目を向けてあげる
というプロセスによって、
身体が「虐待」というトラウマ(=摂食障害)から回復していくのです。

摂食障害という状態は、意志の力で身体を過度にコントロールしようとするところに生まれる。
ここには“自己”と“身体”の分離があり、“自己”による“身体”への不信がある。
しかし、回復過程を考察したC.ガレットも述べるように、自己と身体は再びつながっていく。
(中略)
ガレットのインタビューでは、回復者から、コントロールを手放しても大丈夫なのだという身体への信頼が語られていた。
身体は敵ではない。コントロールをしなければ暴走していくような無知なる存在でもない。
身体には叡智があり、それは私たちにさまざまな形でメッセージを送ってくれる。

摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学』中村英代・著 新曜社

「自分が管理を任された身体」という考え方は
身体の肯定感や効力感を高め
自分と身体の間でのトラウマを解消していく癒しのプロセス

ということになりますよね。

ダイエット依存症 (こころライブラリー)

ダイエット依存症 (こころライブラリー)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害から回復するための要因」というタイトルで
対人関係療法によって「現在」の対人関係の困難を軽減することで
摂食障害はどのように治っていくのかというプロセスや
摂食障害の治癒につながるメカニズム
について書いています。

このことは、ほとんど知られていないことですから、
もし対人関係療法と称する治療カウンセリングを受けている方は
治療者の技量を推察する目安にもなると思いますよ。

水島先生も「対人関係療法もどき」が広まることを
すごく憂慮されていました。


摂食障害対人関係療法による専門的な治療を希望される方は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-09-22

リバウンド「過食/むちゃ食い」が起きやすい季節

秋分の日には、日の出が5時30分前後になり
夏至から約1時間も日の出が遅くなります。
また夏至には約14時間半だった日照時間も
秋分の日には約12時間まで短くなります。

日の出が遅くなり、起きる時間が遅くなってくると
睡眠覚醒リズムを調節する「メラトニン」がオフになる時間も遅れ
さらに、「メラトニン」の分泌開始も遅れることから
なかなか眠くならずに、さらに夜更かしになってきます。
これが秋の夜長といわれる所以ですよね。

そうなると、光刺激によって体内時計をリセットする
BMAL-1(ビーマルワン)」の増加時間に起きていることになり、
お腹が空くだけでなく、食べたものが脂肪合成と
脂肪細胞へのカロリーとして貯蔵されるようになります。
これが馬肥ゆる秋といわれるメカニズムのようです。
(『対人関係療法による摂食障害の治療8〜むちゃ食い障害』参照)

また外気温が高く基礎代謝が低めになっていた夏と違い、
秋には基礎代謝も上がってきますから、お腹が空きやすくなりますし、
夜型生活になると「ダイエットの反動のための飢餓過食」や
「ストレスを麻痺させるための過食」とは異なり
夜間食行動異常症候群のような「夜更かし過食」が起きてきます。
生活リズムが乱れると太りやすくなるのはこのためですよね。

さらに、日照時間が短くなることによって
神経伝達物質である「セロトニン」の分泌も減るため
炭水化物や動物性の食物を摂取することによって
セロトニン」を増やそうとする生理的な欲求も高まります。
このようなメカニズムが重なって食欲の秋と呼ばれるようですね。

夏前から体型を気にして、食事制限や運動で急激に体重が減った人は、
この時期から気温が下がってくる冬にかけて、リバウンド大食や、
あるいは過食やむちゃ食いが起きやすくなります


さらにこの時期に絶食や極端な食事制限などのダイエットをすると
もともと早食いや大食いだった人は
気分が落ち込んだり、死にたくなったりするのは、
セロトニンが不足した影響と考えられます。

リバウンド大食には、「過食症」の一つの症状としての
ダイエットの反動としての過食やむちゃ食い」の場合もありますので、
身体のコンディションとニーズを読み取る必要があります。

たとえば水島先生は

食欲は、量だけが指標になるのではありません。
脂っこいものが苦手になるときには、身体が弱っていることも多いというのはよく知られた話です。
また、精神的に健康なときは、比較的身体によりものを「おいしい」と感じ、精神的に不健康になると、身体に悪いものを「食べたい」と感じる傾向があります。
(中略)
何となく食べる量が増えてしまうようなときもあります。
このようなときには、私たちは食べてしまった自分を責めがちです。
そして、食欲をコントロールしなければ、体重を減らさなければ、と焦ってしまいます。

水島広子・著『ダイエット依存症講談社

と、「つい食べてしまう」量や内容から
ダイエット依存症」が加速してしまう可能性に注意をうながしておられます。

秋分の日を過ぎ、日照時間が短くなり、涼しい秋風が吹く時期には
上述のセロトニンの減少による軽い抑うつ状態(もの寂しさ)も重なり
食べ過ぎ(overeating)が起きたときには

何となく、つまり空腹でもないのに食べてしまう、ということは、精神的な満たされなさやホルモンバランスなどによって心身が不安定な状態になっていて、それが食べるという行為に向けられているということです。
ところが、「食べた」ということだけに注目し、それに対して「悪いことだ」と評価を下し、そのレベルでコントロールしようとしてしまうと、解決しないどころか悪循環に陥ってしまいます。

水島広子・著『ダイエット依存症講談社

ダイエット依存症」に陥りがちな
「意志が弱い」とか「自分をコントロールできない」という感じ方

身体の要求を無視したためにおきた身体からの反撃だということですよね。
ここでも対人関係療法で重視する
「症状はコントロール出来ない」という位置づけが必要ですよね。

空腹でもないのに食べてしまうときは、体型が気になるときと同じで、自分が何らかのケアを必要としているときです。
(中略)
第八章で述べた「現在」は、ここでもキーワードになります。

水島広子・著『ダイエット依存症講談社

水島先生は「とらわれ」という未来志向と
「評価」という過去のデータベースを手放すことで
「現在」につながることができる
とおっしゃいます。

つまり自分自身をありのままに振り返り認めること(如実知見)と
評価(ジャッジメント)を下さないこと(断遍知)が
摂食障害に陥らないポイント
だということです。

また大食(過食/むちゃ食い)が起きたときに
食事制限や断食などをすると飢餓過食はさらに悪化しますので
食欲の秋は無理もないことだと認めることや、
生活リズムを整えることをとおして、摂食障害への移行を防いでくださいね。

大食なのか、過食/むちゃ食いなのか、の違いがわからないだけでなく、
やせ願望や肥満恐怖など、摂食障害特有の精神病理や
身体のコンディションを読み取ることのできない医師も多いですから
摂食障害かもしれないと思うときは、
三田こころの健康クリニックに相談してみてくださいね。

ダイエット依存症 (こころライブラリー)

ダイエット依存症 (こころライブラリー)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
季節性感情障害〜冬季うつ病と夏季うつ病」というタイトルで
秋から冬にかけて日照時間が短くなり、セロトニンの分泌が減ることと関連する
「季節性感情障害」のなかの「冬季うつ病」と
まれなタイプである「夏季うつ病」について書いています。

あまり知られていない「季節性感情障害」ですが、
高照度光療法が有効ということもあり、
どうも身体をベースにした心の不調のようです。

そのため起床時間を一定にする、光刺激をコントロールするなど
生体リズムを整えることや漢方薬による身体調整が
社会リズムとのミスマッチを防ぐようです。

うつ病双極性障害などの対人関係療法による本格的な治療を希望される方は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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2014-09-17

対人関係療法の治療を受けた患者さんのブログ

三田こころの健康クリニックで
過食症対人関係療法による治療を受けられた梅こんぶさんが
その経過をブログに書かれています。

梅こんぶさんが三田こころの健康クリニックに
対人関係療法の申し込みされてから
どういうことに取り組まれて
摂食障害が良くなっていったのか、
「<<前ページ」をクリックして経過をたどってみて下さいね。

対人関係療法|梅こんぶの幸せごちそうさま

梅こんぶさんは、虐待(DV)の影響で愛着の傷つきもあり、
脱抑制型対人交流障害/脱抑制型・反応性愛着障害」の状態でした。
対人関係療法に取り組まれる中で、
「赦す/赦さない」とは違う次元で母子関係を修復されています。
愛着障害ではないかと感じられている方は、
愛着のトラウマ(愛着障害)がどのように癒されていくのか、
ぜひ参考にしてみて下さいね♪

三田こころの健康クリニックでの
対人関係療法による過食症治療が終わった後の感想は↓こちら

対人関係療法|梅こんぶの幸せごちそうさま

対人関係療法による摂食障害治療を希望される方も
対人関係療法と称する治療を受けている方も、
あるいは、ただ薬を処方されていらっしゃるだけの方も、
三田こころの健康クリニックで行っている対人関係療法では
患者さんはどんな感じで過食症が治っていくのか、
ぜひ、参考にしてみると何かヒントが見つかるかもしれませんね。

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2014-09-16

摂食障害を持つ方の「親御さん」向けワークショップ

◆日時:2014年12月8日(月)09:30〜16:30(昼休み1時間、午前午後に休憩あり)

◆場所:水島広子こころの健康クリニック

◆定員:12名

午前:摂食障害についての知識の整理
午後:アティテューディナル・ヒーリング(AH)の体験を通して、本人とより楽で効果的な関わりができるようになるための練習を実践

9月23日(火・秋分の日)正午から申し込み開始で、
定員は12名ですので、申し込みはお早めに!!
http://ipt-event.com/parents/


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2014-09-15

「解離」と「過食/むちゃ食い」

摂食障害、とくに「神経性やせ症/拒食症・過食・排出型」や
「神経性過食症」や「過食性障害/むちゃ食い障害」の人の中には
過食やむちゃ食いの最中にボンヤリして
食べているときのことを憶えていない方も多いのではないでしょうか。

そもそも、過食という症状そのものは、
「ストレスを麻痺させる」ため「プチ・解離」と言えますし、
アレキシサイミアや気分不耐とも関連があるのです。
(『アレキシサイミアと情動対処行動〜多衝動型過食症』参照)
(リストカットも同じような側面があると考えられています)

場合によっては、知らない間に買い物をしたり、
あるいは気がつくと買った記憶のない品物を持っていたり
万引きや「窃盗癖(クレプトマニア」に間違われることもあります。
(『摂食障害と問題行動(万引き)』参照)

このような症状は「解離」と呼ばれますが
生育歴の中で、暴力や虐待、いじめなどの外傷体験があったり、
あるいは「安心出来る居場所(安全基地)」が乏しかったりしたなど、
水島先生がおっしゃる「トラウマ関連障害」を見過ごされている場合も多いのです。
ちなみに「解離」はトラウマ関連だけで起きるものではありませんし、
解離性障害」は「統合失調症」や「パニック障害」「パーソナリティ障害」と誤診されることが多いようです。


このような「解離」は、いわゆる「心の痛み」を切り離し(離隔)
感じないようにする(区画化)という心理的な働きによって
選択的注意力や分割注意力の障害(認知的柔軟性の低下)をともないます。

それを体験する自我の意識を変容させ、それらを体験として切りはなすことによって状況をやり過ごそうとする。
意識の連続性や同一性は保たれず、情動、身体、食行動は不安定に変化する。
また、他者の視線に対する怯えや人込み恐怖などの対人過敏症状が見られることも多い。

柴山雅俊『解離性障害――「うしろに誰かいる」の精神病理ちくま新書

と、不安定な食行動の変化を伴うことはあまり知られていません。

上記の柴山先生は、解離性障害の患者さんの中で
過食があるという患者は約半数にのぼり、
約三割は過食のために自発的に嘔吐が見られた
、と書かれています。

解離性障害」では摂食障害だけでなく、
状態不安やうつ症状との関連があることが知られているものの、
出来事と感情、そして症状との関連に焦点を当てていく対人関係療法は、
マニュアル的には、原則として適応にはなっていない
のです。理由は不明)

そうは言っても、三田こころの健康クリニックでは
解離性障害」そのものや「解離を伴う摂食障害」の
対人関係療法による治療を行って良好な治療効果をあげているんですよ。

とくに「解離を伴う過食症」の対人関係療法による治療の初期には、
それまで麻痺させていた感情が顕わになり
過食(および嘔吐)が増えることはよくみられます。
(三田こころの健康クリニックでは、治療導入時に予言していますよね)

対人関係療法による治療が可能なのはなぜかというと

解離の病態に対してとられる治療的接近は大別すると二つの方向に分けられる。
一つは興奮を鎮め、愛着欲求を満たすことによって安らぎをもたらす接近法である。
それによって安心出来るさらなる眠りへと導くことを目標とする。多くの場合、子供返りなど良質な退行的色彩を伴う。
二つは意識の覚醒度を上げることである。これは症状が比較的軽度であり、ある程度、治療者との信頼関係がみられる場合に有用である。
物事を明確に提示し、説明し、曖昧なことには深入りせず、はっきりと現実に対し目を逸らさないことを目指す。退行的構えや愛着欲求を断念し、現実適応を目指す接近である。

柴山雅俊『解離性障害――「うしろに誰かいる」の精神病理ちくま新書

というように、安心感の提供と現実適応という二つの側面は
水島先生が『摂食障害の不安に向き合う』に書いておられる

不安をコントロールして現状を受け入れるー「位置づけ」という考え方
不安をコントロールして前進するー「土俵」に乗せるという考え方

応用して、対人関係療法での治療が可能になるのですが、
対人関係療法を学んでいる治療者の中で
解離性障害を扱ったことがある人はいないようです。

私が福岡で対人関係療法をやっていたとき、対人関係療法治療者向けの勉強会で
解離性障害のケースを発表したときの様子が以下のブログに書かれていますので
興味がおありの方は参照してくださいね。
【IPTの魅力と】2011.4.24日曜日 対人関係療法勉強会メモ【威力について振り返る】

解離性障害のことがよくわかる本 影の気配におびえる病 (健康ライブラリーイラスト版)

解離性障害のことがよくわかる本 影の気配におびえる病 (健康ライブラリーイラスト版)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
夜間食行動異常症候群」というタイトルで、
夕食の後に過剰に食物を消費する「過食性障害/むちゃ食い障害」も
夜間食行動異常症候群」に入れられることもありますが、もう一つ、
「睡眠関連食行動異常」の「睡眠時遊行症型」について書いています。

「睡眠関連食行動異常」は食行動異常(過食)の頻度や
過食につながるきっかけとなる出来事などを見ていくことが難しく、
さらに幼少期のことをよく覚えていないなどで
対人関係療法で最も重要なフォーミュレーション
治療方針を組み立てるのが困難なことも多いのですが、
概日リズムとの関連が明確で、強迫症の要素がなければ
対人関係療法による治療も可能であることを書いています。
(『睡眠関連摂食障害と夜間摂食症候群の治療』参照)

このようなケースでは、正確な診断が適切な治療に結びつきますので、
対人関係療法による治療を希望される方は是非、参考にして下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-09-08

健常人の過食嘔吐

患者さんの友人で、モデル体型なのに、
嫌なことがあるとバイキングビュフェ)で
これ以上食べられないくらい食べて、
その後キモチ悪くなって戻して(嘔吐して)、
ちょっとスッキリしたからまた食べ始める
という人がいらっしゃるそうです。

この人と私(患者さん)みたいな摂食障害の違いは何なのですか?
食べても太らないのは体質ですか?

と聞かれた事があります。
みなさんは、どう思われますか?

おそらく、この友人が精神科心療内科受診すると
嘔吐を伴う過食症」と安易に診断されて、
これまた安易に抗うつ薬が処方されたりしそうですよね。
またDSM-5では「特定不能の摂食障害」に該当してしまいます。
この友人は、本当に摂食障害なのでしょうか?

拒食症・過食症を対人関係療法で治す』にも
摂食障害でない人でも、単発の過食嘔吐くらいはします。
と書いてあることを示して、
摂食障害には、「やせ願望(体重や体型への病的な没頭)」や
肥満恐怖(体重や体型への異常な認知)」という特有の精神病理があり、
「体重や体型へのコントロール感へのこだわり」により
頻度と量が著しい食行動異常が起きていることで診断する

ということを伝えました。

摂食障害という状態は、意志の力で身体を過度にコントロールしようとするところに生まれる。
ここには“自己”と“身体”の分離があり、“自己”による“身体”への不信がある。

中村英代・著『摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学新潮社

摂食障害では「“自己”による“身体”への不信」が
体重や体型へのコントロール感へのこだわり」につながっていますよね。

しかし上記の友人は、ストレスを緩和するために
身体の力を借りて身体に協力してもらっているようにもみえますよね。
これは

身体は敵ではない。コントロールをしなければ暴走していくような無知なる存在でもない。
身体には叡知があり、それは私たちにさまざまな形でメッセージを送ってくれる。

中村英代・著『摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学新潮社

という身体への信頼感が揺らいでいないということですね。

また摂食障害では、食べて太るかどうかということは体質とは無関係で、
ダイエットの反動としての過食(飢餓過食)」の程度
によりますよね。

この質問をされた患者さんは「ストレス解消としての過食」と同時に、
ダイエットの反動としての過食(飢餓過食)」や
解離過食」の要素もかなりあったのです。
(『解離と過食』参照)

診断は「排出型の過食症」だったのですが、対人関係療法の中で、
「自分の気持ちを振り返る」という作業と同時に、
飢餓過食」を減らすため「過食とは無関係の食事を増やしていく」ことも指導し、
さらに「身体感覚に意識を向ける」ことや
社会リズム療法を応用した「生物学的リズムの調整」も並行して行ったんです。

これまで過食嘔吐でまぎらわしていた自分の気持ちを振り返ることで
初期には過食嘔吐が増え、患者さんもご家族も慌てられましたが、
対人関係療法による治療初期のライフチャートを見ていく時点で
どういうときに過食をしたくなるか」が明確になってきました。
それで、「自分のまわりの状況に変化を起こす」ことに取り組まれ
生活リズムが整って、通常の食事を摂ることも出来るようになりました。

実際には、数回の面接を経て、ほとんどの患者さんが過食と精神状態の関係に気づいていきます。ここまで来れば、治るための軌道に乗ったといえます。
その瞬間から、取り組むべき対象が、過食というとらえどころのない症状ではなく、その精神状態につながった対人関係の問題になるからです。治療にもますます真剣に取り組むようになります。

水島広子・著『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』紀伊國屋書店

過食の維持因子をフォーミュレーションして、治療目標を話し合った翌週には
何年もの間、毎日のように朝から何度もくり返されていた過食嘔吐も週に1、2回に減り、
過食しない日ができたことで、患者さん自身も驚いておられたことが印象に残っています

Oさんも、際限なく太ってしまうのではないか《本気で思っていた》と書いているが、拒食症過食症の人にとって、吐かずに普通に食べ始めること自体が、たいへん大きなチャレンジなのだ。
未知の領域に足を踏み入れるとき、人は恐怖を感じるし、立ち止まりたくなる。
そして身体や食欲をコントロールするという、いつもの慣れ親しんだ苦しみの世界にとどまってしまう。
しかし、Oさんが述べているように、《食べたいときに食べたいだけ食べても、そうそう簡単に太るもんじゃないんだ人間て》。
際限なく太るのではないかという恐怖は《幻想だった》のだ。

中村英代・著『摂食障害の語り〈回復〉の臨床社会学新潮社

とあるように、過食症の人は
一口づつ、少しずつ良くなっていけばいいのですよね。

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
非定型の摂食障害〜食物回避性情緒障害」というタイトルで、
拒食症過食症など、安易に摂食障害と診断されている人たちの中には
回避/制限性食物摂取障害』の中核概念である「食物回避性情緒障害」という
従来の摂食障害の診断基準に一致しないケースが増えていることについて書いています。

このようなケースでは、正確な診断が適切な治療に結びつきますので
摂食障害と言われ長く通院しているけど一向に良くならない
と感じていらっしゃる方は、是非、参考にして下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-09-01

摂食障害の病前性格としての「よい子」

一般に、摂食障害は「よい子」がなりやすいといわれます。
それはどういうことかというと、

患者の多くは、小さい頃からの親の願望や希望を汲み取りそれを充足するようなかたちで生きてきている。
すなわち「よい子、手のかからない子ども」として育っており、表面的にはしっかりしていても、自律性に欠け、いつも自己不全や自信のなさにさいなまれ、自尊心が極めて傷つきやすく、些細なことで無能感に陥る。

切池信夫『摂食障害』in「精神療法としての助言や指導―私はどうしているか」臨床精神医学 43(8): 1155-1159, 2014

という「失敗恐怖から生じた思い込み」を背景にした脆弱性(自己肯定感と自己効力感の低下)のために、
周囲からも「おとなしい」「自己主張しない」「マジメ」と思われており、
『相手からの想像上の評価(自分の価値を下げそうな評価)』を気にして
本人は「ボロが出ないよう」一生懸命、自分を繕っている状態のようですし、
「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」と共通する基盤があるようです。
(『摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』参照)

精神科治療では、「気分障害」や「不安障害」が併存する場合
その治療を優先するという大原則がありますから、
摂食障害拒食症過食症・むちゃ食い障害)」の背景に
「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」がある場合は
その治療を先に行うことになっているのです。

だからといって、抗うつ薬を服用すれば治るというわけではなく

患者さん本人の気持ちは言葉では語られず、ただ「やせる」という現象でしか語られないのが一般的です。
水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

という体重や体形、そのコントロールへのとらわれ
心の問題を回避するための代理症状で不適応的解決策の表現としての摂食の問題
であることを明確にする必要があるのです。

水島先生も

「よい子」のままではそれを解決することができないのです。どこかで「よい子」をやめる決意をしなければ、病気へと向かっていくことになります。
水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

と書かれていますよね。

そのため、ストレス(出来事と精神状態)と過食という症状の関連をみていくのですが、

したがって思春期や青年期の発達課題医である自我同一性を確立して自立するための問題(自分らしさの追求)に直面したときに容易に挫折し、それから立ち直ることができなかったり、また挫折することを恐れてなにもしないという状態に陥る。
切池信夫『摂食障害』in「精神療法としての助言や指導―私はどうしているか」臨床精神医学 43(8): 1155-1159, 2014

「挫折することを恐れて」心のブレーキを踏み込んだ状態(回避)が
「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」も「摂食障害」に共通
しますし、
過食症の場合は、同時に心のアクセルも踏み込まれているので
「心の問題を体重の問題にすり替える(気分不耐)」ということが起きてきくるのです。

摂食障害」の治療では
「アクセルとブレーキも強いものであることを自覚すること」が第一歩になります。
そして「ストレスを軽くして、ブレーキを弱める」ために

そんなときのための用心として、何か地道な努力を続けておくとよいでしょう。
冒険として楽しめる部分(当たりはずれのある部分)と、地道な満足を与えてくれる部分(当たりはずれのない部分)を、両方とも確保しておくと、バランスがとれて安心です。

水島広子『拒食症・過食症を対人関係療法で治す紀伊國屋書店

健康な部分(行動力)を使ってできることを広げていくことで
病気の部分を減らしていく
、といことを
三田こころの健康クリニックで対人関係療法を導入するときに説明していますよね。

対人関係療法では過食や嘔吐などの症状には焦点をあてません。
対人関係療法は「症状をなんとかする」という対症療法的な治療ではなく、
「健康な部分」を広げることによって「病気の部分」を小さくしていくという
患者さんが本来持っている「治癒力(レジリエンス)」を高める治療だからなのです。

摂食障害と寄りそって回復をめざす本

摂食障害と寄りそって回復をめざす本

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
DSM-5での摂食障害の最新事情」というタイトルで、
DSM-5では「拒食症」が『神経性やせ症』、
過食症・排出型」が『神経性過食症
そして「過食症・非排出型」と「むちゃ食い障害」が
『過食性障害』と呼ばれるようになり
診断基準も若干、変更になったことと
(たとえば拒食症では「肥満恐怖」と「無月経」が必須項目でなくなり
「期待される体重の85%以下」という低体重の目安も削除されています)

その問題点を書いています。

とくに「過食症・非排出型」「むちゃ食い障害」は
回避傾向(心のブレーキ)や感情不耐をクリアー出来れば
対人関係療法による治療効果は非常に高いことにもふれています。

過食をともなう摂食障害対人関係療法による治療を希望される方は、
ぜひ、こちらも参照して下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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2014-08-25

プチ・トラウマと「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」

私たちの多くが、小さな頃から、人と比較されたり直接批判されたりすることによって傷ついて育ってきています。
心が傷を受けると、私たちの心身は「もう傷つかないようにしよう」というモードに入ります。すると、傷つけられそうな危険を感じるサインに敏感になります。
(中略)
トラウマとは異なり、プチ・トラウマの場合には、それ自体が日常生活に支障を来すほどの衝撃になるわけではありません。見かけ上の日常生活はそのまま平穏に続くことがほとんどでしょう。
しかし、「危険への敏感さ」や、自分を責めたり無力だと感じたりする「自分がだめだという感覚」は、一つひとつの程度は軽くても蓄積されていきます。

水島広子・著『ダイエット依存症講談社

ネガティブな評価(批判)を受けたという体験に対して、
人は「なぜ?どうして?」という自問自答の中で
「なぜ自分だけが?」と「人と比べる」ことを始めます。

評価を受けないように努力をしても
相変わらず評価を受けることが繰り返されると
「何をやってもうまくいかない」と「自分を責める」ようになります。

ストレスフルなずれが自分の力では解決不能でえんえんと続くというような場合に、人はうつ病になることが多いのです。
事態を改善しようと努力したけれども報われない、という経験を繰り返すと、その無力感はうつ病につながりやすいと言われています。
(専門的には「学習性無力感」と呼ばれています)
この時の無力感は、その特定の「ずれ」のみに関わるのではなく、人生全般にまで広がっているように感じられます。
つまり、「私は人生をうまくやっていけない」というふうに感じるようになるのです。

水島広子・著『対人関係療法でなおす うつ病創元社

このような感じ方は、

「自分は何をやってもうまくいかない」
「何かを言って波風を立てるくらいなら、黙って我慢した方がずっとましだ」
「自分の人生がうまくいかないのは、自分が今までちゃんと生きてこなかったからだ」

水島広子・著『対人関係療法でなおす 気分変調性障害創元社

という『気分変調性障害/持続性抑うつ障害』に特徴的な感じ方であり、
三田こころの健康クリニックでは

・自分を責める
・人と比べる
・「なぜ?どうして?」(攻撃的なニュアンスの原因探し)

という3つの病気の症状を、
セルフモニタリングを続けることでこれらに気付けるようになること
治療の初期に説明していますよね。

この「学習性無力感」は、
社会恐怖、回避性、依存性、自己敗北性などパーソナリティ障害
不安定型の愛着スタイル(あるいは愛着障害?)に見えることもあり、
さらに思春期の発達上のテーマと重なることも多いのです。

そうは言っても、子どもは親に認めてもらいたいと思うものです。
認めてもらうことによって、自分はこれでいいという自己肯定感も高まります。

そのため、『気分変調性障害/持続性抑うつ障害』の背景に
「評価」というテーマがある場合は、

・「役割をめぐる不一致」というずれがどのように抑うつ症状につながっているか
・ずれを解消することによってどのように症状が緩和するか

を、患者さんと親御さんに説明したり、
親同席面接の中で関係の交渉を促進することで
コントロール感(自己効力感)を高めていく方向で進めたりしますよね。
これが「思春期版の対人関係療法(IPT-A)」の応用で、
このような対人関係療法のすすめ方によって
愛着(アタッチメント)の修復と再構築も可能になりますよね。

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
「気分変調性障害/持続性抑うつ障害」の最新事情」というタイトルで
DSM-5での『気分変調性障害/持続性抑うつ障害』の扱いと
対人関係療法による治療について書いています。

とくに「気分変調性障害の対人関係療法(IPT-D)」は
治療にはかなりの力量が要求される
ため
十分な治療経験を積んだ治療者でないと治療は難しいと言われています。

対人関係療法による治療を希望される方は、
是非、こちらも読んでみて下さいね。

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2014-08-18

愛着(アタッチメント)の問題を疑うとき

三田こころの健康クリニックに
自分で愛着障害ではないかと思ったり、愛着の問題を疑って
治療を申し込まれる方には2つのパターンがあるようです。

1つは「自閉症スペクトラム症(発達障害)」の方で、
自分は人とどこか違う、なんだか生きづらい、
死んでしまいたいなどの漠然とした不全感を抱え
対人関係の構築・持続困難の「愛着障害」というタームに反応し
愛着障害をアイデンティティのように感じ、治療を申し込まれる方もいらっしゃいます。

もう一つのパターンは、
母子関係(子どもに感情的に当たってしまうなど)を主訴に受診される方で、
刹那の反転7〜 トラウマと愛着障害の彼方へ』で書いたような

母親(あるいは養育者)自身の“苛立ち”や“余裕のなさ”が子どもに伝染する時、子どもは泣き叫んで、まったくコントロールできない情動をあらわにする。
すると、これに母親(あるいは養育者)が反応し、怒りや憎悪から、殴りつけたり無視したりする。
これがまた子どもの情動に影響を与える……こうした“負の連鎖”の果てに“虐待死”があると考えられる。
この時、母親(あるいは養育者)の行動は、子どもの態度に反応しているかのようにみえるが、じつはその子どもの態度は母親(あるいは養育者)の“心”そのものでもあり得るのだ。

宇田亮一・著『吉本隆明「心的現象論」の読み方文芸社

という患者さん自身も、自分の母親との間で経験し、
それが患者さんと子どもの間で「再演」されている場合です。

この場合、母親である患者さんに診断できるような病気がなければ、
とくに「怒り」の扱い方を中心に、「対人関係カウンセリング(IPC)」を応用して
子どもへの対応の仕方に取り組んで行きます。
もちろん、その取り組みはご主人にサポートしてもらいます。

愛着障害や安全基地の歪みというほどのアタッチメントの傷つきはないものの
親がうつ病だったとか、家庭の事情が複雑だった、
あるいは、親が仕事で育児に対して十分な時間が割けなかったなど
アタッチメントの形成(安全基地の内在化)が十分でない場合や、
不安・孤独感・衝動性(「過食」や「むちゃ食い」)などが主訴の場合は、
不安型気分変調症』と診断される場合も多いのです。

このような場合も、患者さんに

  • 「自分の気持ちをよく振り返り言葉にして伝えてみる」

という現実に取り組むことを勧める一方で、周囲の人(とくに親御さん)には

  • 「とにかく話を聞く」
  • 「どんな気持ちも受け止める(肯定する)」

という「一貫性のある言動」をフィードバックしてもらうとともに
『「患者さんがいま何を感じているのか」を感じ取ってもらう』という
非言語的な「無条件の肯定的関心」を患者さんに向けてもらう事で
患者さんの「安全基地の内在化」が促進されるよう
愛着再構築的に対人関係療法をアレンジして治療を行っているんですよ。

また『「評価」というプチ・トラウマは愛着障害なのか』で触れた

彼らは幼少期には存分に母親との共生的な時期を享受するが、この原初の至福をもたらす環境は、あまりに突如として、世俗的に一角の人物にならなくてはならないという「教育」環境に転換する。
津田均・著『気分障害は、いま』誠信書房

という変化が受け入れられていない人の中には、
「他者(親)のせいにする」という他罰・外罰傾向をもち
「他者(親)が変わってくれないと自分も変われない」という
「他者に委ねた生き方」を続けているタイプもあります。

このタイプは発症は対人関係因性の「不安型気分変調症」のようですが、
その後、内因的な「無力型気分変調症」として経過したタイプで
対人関係療法を進めていく時には、
乏しい現実とのやりとりの中で「出来事を位置づける」という作業をくり返すことで
回避性を減らして主体性を伸ばすことに腐心します。

対人関係療法では、焦点とする問題領域は4つしかありませんが
この診断にはこの問題領域と、マニュアル通りに適応するのではなく、
背景因子の把握、疾患の成立プロセス、疾患のバリエーションの診立てなど、
ある程度の診断分類を行うことなしに治療戦略を考えることはできませんから

・現在の対人関係の中でどこが変化しやすいか
・どう変化していけば、いまの病気は良くなるのか

というようにその人に合ったアレンジを行う必要があるんですよ。
これが対人関係療法で重視する「鑑別治療学」ですよね。

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

対人関係療法でなおす 気分変調性障害

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『評価』というプチ・トラウマは愛着障害なのか」というタイトルで
思春期以降の行動パターンは、親の育て方の影響をほとんど受けない
ということから
プチ・トラウマの関与は、育て方とは関係が無いのか?
という疑問について考察し、乳児期の共生的な二者関係から
どのようにして「評価」というプチ・トラウマが生まれるか
という変曲点について考察しています。

対人関係療法による治療を希望される方は、
是非、こちらも読んでみて下さいね。

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2014-08-11

思春期以降に明らかになる愛着障害とは?

近年の行動遺伝学の見解では、

子どものうちは「家庭環境要因」の関与が大きく「遺伝的要因」や「個別の環境要因」は目立たないが、
思春期以降は、認知様式や行動パターンに関しては「遺伝的要因」や「個別の環境要因」によって決定され「家庭環境要因」はほとんど目立たなくなる

といわれています。

どういうことかというと、子どものうちは
親のしつけや育て方の影響(家庭環境要因)を大きく受けるのですが、
思春期を過ぎてからは、
「生まれつきの気質(もともとの状態:遺伝的要因)」と
「親のしつけや育て方をどう位置づけたか」という
「個別の環境要因」により行動パターンが決定されるということですよね。

摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』で引用した

プチ・トラウマが他人からの評価に対する不安を生み出すと言っても、実際にはほとんどの人が他人から批判された経験を持っているわけであり、その人たちのすべてが他人の言動にそこまで敏感になっているわけではありません。
その違いを作るのは何かと言うと、その人のもともとの状態と、批判された体験をどのように位置づけたか、ということです。

水島広子・著『ダイエット依存症講談社

ということが、行動遺伝学的に証明されているということですね。

この視点から「愛着障害/アタッチメント障害」を考えてみると、
「乳幼児期の適切な養育の欠如(重度のネグレクト)」により
『反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害』や
『脱抑制型対人交流障害(反応性愛着障害・脱抑制型)』のような
障害された行動パターンを、7歳頃まで示す可能性がありますが、
「愛着障害/アタッチメント障害」は
養護施設で育った子どもでさえ20%未満にしか生じないとされています。

一方、思春期以降の情動あるいは行動の障害は
「もともとの状態(発達障害などの遺伝的要因)」と
「その出来事をどう体験したか」という「個別の環境要因(認知様式)」によるのです。
(『摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』参照)
では「プチ・トラウマの関与は、育て方とは関係が無いのか?
という疑問が出て来ますよね。

たとえば、双子や兄弟で同じように育てられたとしても、
片方は、傷ついてトラウマ反応を呈しているのに
片方は、何事もなかったように平気で過ごしている
ということもあるわけです。

そのことについては、
摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』で書いたように
「批判された体験をどのように位置づけたか」を考慮して
「脆弱性からの成長」の視点を取り入れない限り、
「他者に委ねた生き方」を助長してしまう
というリスクがあるため、
対人関係療法による治療を導入する際には、
「愛着障害」や「複雑性PTSD」の安易な診断は避ける必要があるのですよね。

(017)母という病 (ポプラ新書)

(017)母という病 (ポプラ新書)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
『反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害』の最新情報」というタイトルで
DSM-5での『反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害』と
『脱抑制型対人交流障害(反応性愛着障害・脱抑制型)』の扱い
について書いています。

対人関係療法による治療を希望される方は
是非、読んでおいて下さいね。

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摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
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