Hatena::ブログ(Diary)

如実知自心〜三田こころの健康クリニック新宿〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2015-05-25

気分変調性障害と評価への過敏性〜愛着の問題

摂食障害の回復と「評価への過敏性」の2つの次元』で書いた
「評価への過敏性」のもう1つのタイプは
評価や価値観の押しつけ、過干渉など
プチ・トラウマの結果としての「評価への過敏性」で、
「何を言ってもムダ」と交渉をあきらめ、
くすぶった憤りが内在しているタイプで、
気分変調性障害では「不安型気分変調症」が相当します。

「不安型気分変調症」の人にとっては
「不安」と「他責的な怒り」が同じ次元で作用しますから、
相手の言ったことに対して、瞬間湯沸かし器のように反応し、
ホンネと正反対の爆発的な怒りで対応してしまう
口が曲がる」という症状が出てしまうのです。

このタイプは、対人関係療法の中で
重要な他者との間で自分の気持ちや要求を表現する過程で
「自分が相手に伝えていることを知る」という自己客観視と
「相手が本当に言いたいことを知る」ために

○何が起きたのかという現実確認(状況分析)
○人の心の仕組みと動き方を知る

という「対人学習」を進めていきますよね。
つまり、役割をめぐる不一致の「行き詰まり」として
「再交渉」を進める方向で扱っていきますよね。

トラウマとしての文脈でみると「怒り」反応は
「脅威のセンサー」が反応した、ということになるのですが、
この状態から脱するには、「怒り」の反応を症状と位置づけるだけではなく、
「気持ちを抱えられるようになる」という一歩一歩の努力が必要になります。
「「自分が相手に伝えていることを知る」という自己客観視」が
じつは、このタイプの人の一番のテーマになるのです。
(『感情がコントロールできない』参照)

乳幼児期に「愛着障害」ではなかった成人の愛着スタイルの中でも
人に頼りたいけれども、依存対象に敵意や怒りを伴う
「とらわれ型(不安/アンビバレント型)」の「怒り・混沌型」や
「未解決型(おそれ/回避型)」など不安定型愛着スタイルの人では
「黙って座れ!」「目を閉じてろ!」など
命令的で懲罰的な攻撃的な言動を示すことが知られています。
これを対人関係療法治療者は「口が曲がる」と呼んでいるのです。
アスペルガー症候群でも「口が曲がる」がみられます)

「不安型気分変調症」の中でも重篤な愛着の問題を抱えた
「未解決型(おそれ/回避型)」タイプでは安全への恐れを緩和していくために
対人関係療法ではほとんど使われない「欠如」という問題領域を設定して、
「安心出来る治療関係の中で修正愛着スタイルを獲得していく」ことを
治療目標にすることがあります。

情動調律と適応的な環境設定のなかで、
感情を一歩下がって見ることができるようになる「メンタライジング」の能力や
思考や感情、身体感覚を観察し、自律神経の過剰な賦活状態から心を守る
「呼吸のマインドフルネス」と、治療者との関係をベースに、
「他者や環境に対する安全感と信頼感を培っていく」
という長期の精神療法が必要になるのですよね。

話は変わりますが、何度か書いたように
このブログでは「愛着障害」の検索数が非常に多いのです。

愛着障害とは、虐待や身体的・情緒的な要求の無視(ネグレクト)や
養育者が頻回に交代するなど「病的な養育」により
乳幼児が愛着対象すら持ちえない状態になった最も重症の病態が
「反応性愛着障害」であり乳幼児の約1%に生じるとされています。
(愛着障害は7歳までの乳幼児期の診断で、思春期以降は適応されません)

産後うつ病の発症頻度が10%(100人中10人)と言われており、
その約40%(10人中4人)にボンディング障害がみられ、
母親が産後うつ病だった乳幼児の約1/3が「反応性愛着障害」を示す
ということなのです。

ちなみに岡田先生の『愛着障害』には

成人でも三分の一くらいの人が不安定型の愛着スタイルをもち、対人関係において困難を感じやすかったり、不安やうつなどの精神的な問題を抱えやすくなる。
こうしたケースは、狭い意味での愛着障害に該当するわけではもちろんないが、愛着の問題であることにはまちがいはなく、それがさまざまな困難を引き起こしているのである。
こうした不安定型愛着に伴って支障をきたしている状態を、狭い意味での愛着障害、つまり虐待や親の放棄による「反応性愛着障害」と区別して、本書では単に「愛着障害」と記すことにしたい

岡田尊司『愛着障害光文社新書P.48

と書かれてあります。

一般の人に知られている「愛着障害」とは、
虐待やネグレクトなど「病的な養育」の結果である
「反応性愛着障害」(「怖れ・回避型/未解決型」)ではなく、
「とらわれ型(不安/アンビバレント型)」や
「拒絶・回避型/愛着軽視型」などの「不安定型の愛着スタイル」を指す
ということですので、間違えないようにしてくださいね。
(『愛着(アタッチメント)形成に関する問題』参照)

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』では
摂食障害の「評価への過敏性」と「愛着スタイル」」というタイトルで、
過食症」に多く見られる「不安定型の愛着スタイル」のうち
「とらわれ型(不安/アンビバレント型)」と「未解決型(おそれ/回避型)」に対して
獲得安定型の愛着スタイルを身につけていく方法としての
対人関係療法の意義を書いています。

今回の『気分変調性障害と評価への過敏性〜愛着の問題』もそうですが
病気(疾患)、とくに気分変調性障害や過食症・むちゃ食い障害と
「不安定型愛着スタイル」の関係について書いてある書籍は見あたりません。

さらに、三田こころの健康クリニックで対人関係療法の初期に行う
「愛着スタイル」のアセスメントが
どのように対人関係療法につながるのかについて、
過食症」の対人関係療法による治療希望される方も
「持続性抑うつ障害/気分変調性障害」で通院されている方も
摂食障害の愛着(アタッチメント)スタイルと気質』と合わせて
ぜひ、参考にしてみてくださいね。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
摂食障害・過食症対人関係療法 慢性のうつ病(気分変調性障害) の 精神療法 なら 三田こころの健康クリニック
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 気分変調性障害へにほんブログ村 メンタルヘルスブログ メンヘル 治療方法へ
にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村