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如実知自心〜三田こころの健康クリニック新宿〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-12-11

抑うつと不安に向き合う

不安性の苦痛を伴う抑うつ状態』で、「抑うつ神経症」あるいは「神経症性抑うつ」から「気分変調症(持続性抑うつ障害)」が定義されたときに、気分変調症全般性不安障害パニック障害は罹病期間だけが異なる類縁の疾患と考えられていたことを紹介しました。

抑うつ状態は自分の心をふり返る(メンタライズする)ための心的エネルギーが枯渇しているので、他者の精神状態に無関心になり、対人関係を避ける傾向がありますよね。
ところが一方、自分の問題や他者が何を考えているかについて何度も何度も繰り返し考えるという意味で、非機能的にメンタライズしすぎることがあります。
このような考えへの没頭は、「反すう思考」と呼ばれます。

心がネガティブな思考にはまると、壊れたレコード・プレイヤーのように何度も同じ思考を反復することになる。
このプロセスは「反すう」(牛が喰い戻しを噛むことを表すときに使われるのと同じ言葉)と呼ばれ、うつ状態と不安の両方の原因となる。これは再発を起こし、煩わしく、制御不可能な思考の形式を伴う。

過去の出来事に対するネガティブな反すうはうつ状態へと繋がり、未来に対するネガティブな反すうは不安へと繋がる。
うつ状態と不安が密接に関連しているのは、いずれも反すうする傾向性を原因としているからである。


ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


反すう思考によって、不安が抑うつをもたらし、逆に抑うつが不安をもたらすこともあります。
カレン・ブラウンは、抑うつに結びつく「意味としての喪失」と、不安に結びつく「意味としての危険」を区別しています。

シドニー・ブラットの「関係性」と「自己定義」の2つの極性を合わせて考えると、不安と危険は関連して「喪失の予測(関係性の問題)」に当てはまるだけでなく、「屈辱を味わう可能性(自己定義の問題)」にも関連してくるということです。

あなたが反すうし、不安やうつ状態に苦しむ傾向がある場合、自分を批判しないようにすることが重要である。
ネガティブな思考に対する反すうが安全を確保したいという感情に起因していることを忘れてはならない。


ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


ジョン・アレンは、抑うつはポジティヴな情動状態が低水準であり、不安は不安を伴う覚醒水準が高水準であると述べています。

抑うつの場合と同じく、不安や脅威感受の水準が高いことは、メンタライジングにとっては大敵です。
脅威は、闘争―闘争反応を活性化し、闘争―闘争反応はメンタライジングを停止させます。(中略)したがって、人は、不安になると、他者の行為を敵対的または悪意があると――そして自分自身を無能で無力であると――誤解しやすくなります。

言わずとしれたことですが、不安と抑うつは、両者が結びつくと、思考の内容を妨害し(さまざまな誤解)、おまけに思考の方法を妨害する(思考が頑なになる)ことによって、メンタライジングを歪めてしまうのです。


アレン『愛着関係とメンタライジングによるトラウマ治療』北大路書房


思考の内容と方法の歪みによる抑うつと不安に向き合うには、思考や感情は現実ではないことに気づくこと、そしてその内容を信じる必要がないことを思い起こすことが非常に重要です。

中立的な意識でネガティブな思考を受け容れた場合、ベルクロのように執着することなくそれらに注目することができる。
マインドフルネスはネガティブな思考や感情が思考や感情以上のものではなく、それが必ずしも現実ではないことに気づかせてくれる。
ネガティブな思考や感情は認識されるが、その内容を信じる必要はないため、重要視されないのである。ネガティビティバイアスのかかった思考や感情は自然に生起して消滅する。
そのため、私たちは人生で起きるあらゆるできごとに対して慌てることなく対処することができる。


ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


そしてネフは『感情を感じてみるということ』で紹介したように、思考や感情を身体で感じてみることを勧めています。

ネガティブな思考に対してマインドフルな方法で関わる方法の1つとして、それを身体的な感覚として意識することが挙げられる。これは馴染みのない考え方のように思われるかもしれないが、すべての感情は身体で感じることができる。

怒りはしばしば顎や内臓の緊迫感、悲しみは目の周りの重み、恐怖は喉を掴まれた感覚として経験される。感情の身体的な表出は人によって異なり、時間の経過によって変化するが、注意を払うことでそれらを辿ることができる。

特定の感情がなぜ自分を不幸にしているのかについて考えるのではなく、身体的なレベルでそれを体験した方が「今」に留まることができるのである。
「胸に緊張感がある」と「彼女が自分にああ言ったことが信じられない。彼女は何様のつもりなんだろう?……」と考えることには違いがある。
体を基盤に考えることで、私たちはネガティブな思考の中で自分を見失うことなく苦痛をなだめて癒すことができる。


ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


関係性と自己定義の視点から考えてみると、抑うつや不安との向き合い方は、対人関係療法でいう「自分自身との関係を改善する(心の状態の変化についての気づき)」ということですよね。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『摂食障害から回復するためにジャーナリングに取り組んでみる』というタイトルで、三田こころの健康クリニック新宿で勧めている「ジャーナリング(こころとの対話を記録すること)」のいくつかを紹介しています。

三田こころの健康クリニック新宿では、患者さんに対人関係療法の課題に取り組んでもらうのではなく、対人関係療法を患者さんの文脈に合わせるという治療法を取っています。

その中で一番大切なのが、自分自身とのコミュニケーション、つまり、「自分を振り返ること(リフレクティブ機能/メンタライジング)」で、「自己の組織化(自分の行動を説明し、首尾一貫した自己体験の連続体をつくり出すこと)」なのです。

摂食障害から回復するために、「摂食障害の部分」と「健康な部分」の闘いを終わらせ、「摂食障害の部分」と「健康な部分」を統合していく、「自分自身との関係を改善する」プロセスなのです。

自分の心をふり返ることと同時に、他者の精神状態に関する認識をふり返るメタ認知を合わせたものを「メンタライジング」あるいは「リフレクティブ・ファンクション(省察能力)」と呼びます。
「メンタライジング」は「心に対するマインドフルネス」と同じ意味で、青年期から成人期では、自分自身に安定型の愛着(アタッチメント)を提供するための「行動主体自己(心を見わたす私)」という主体性を取り戻す過程でもあるのです。

過食症」や「むちゃ食い症」から完全に回復したいと思っていらっしゃる方は、、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 心療内科専門の三田こころの健康クリニック新宿
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