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如実知自心〜三田こころの健康クリニック新宿〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-01-15

愛着スタイルと自尊心

対人関係療法では、治療者との関係を通して、患者の心の中に残っている安定型の「内的作業モデル(安定型愛着の島)」を拡張し強化していきますよね。

「愛着障害」ではないかと自己診断、あるいは医療機関カウンセリングでそう言われたと対人関係療法による治療を申し込まれる人たちには、ある特徴がみられるようです。

それは、自分の愛着スタイルが「軽視/回避型」「とらわれ/アンビバレント型」「未解決-無秩序型」のどの愛着スタイルなのかわからない、あるいは言われたこともないということです。
さらにこれらの人たちは、虐待やネグレクトの既往はないのですが、親との関係が悪いとか、対人関係やコミュニケーションが苦手、自尊心が低いと感じていることを「愛着障害」と考えていらっしゃるようなのです。

20世紀の半ばに活躍した著明な社会学者であるチャールズ・ホートン・クーリーは、自尊心の別の起源を特定した。彼は自尊心が「鏡に映る自己」から生まれると提唱したのである。
これは、他者の目にどう映っているのかということに対する認識を意味している。

他者が自分を積極的に評価していると感じるとき、私たちは自分に対して自信を持ち、他者が自分を否定的に評価していると感じるときには自己嫌悪に陥る。
つまり、自尊心は自己判断だけではなく、他者の判断によっても生まれるということである。ここでは、他者に対して自分がどう映っているかという点が重要になる。


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もしかすると、「愛着障害ではないか」と感じられている人は、そのような自己判断や他者からの評価を鵜呑みにして、自尊心の問題として感じられるのかもしれません。

自尊心は親しい友人や家族ではなく、他人からの判断に強い影響を受けることが明らかにされている。次の場合について考えてみてほしい。
母親に「お前は知的で魅力的だ」と言われた場合、あなたはその言葉をどれほど真剣に受け止めるだろうか。
おそらく、「お母さんはそう言うだろう。なぜなら、私のお母さんだからね」と考えるのではないだ
ろうか。

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小児期から思春期までは、親からの評価はかなり大きなインパクトをもって内在化されますよね。
しかし、成人である私たちの場合、正確さを測定できない他者からの評価(他者の主観的な判断)や、「○○と思われているに違いない」との根拠のない確信によって、自己肯定感や自尊感情が大きな影響を受けてしまうことがほとんどなのです。

私たちは仲間からの圧力やその種の不安の犠牲になるのは若者だけだと考える傾向がある。だが、大人も自分に対する「他者」の曖昧で根拠のない意見によって気分を左右されるのではないだろうか。
私たちの現実に対する認識はしばしば大きく歪むだけでなく、自分が他者に与える印象に対する強迫観念によって深刻な自己幻想に陥ることがある。


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想像上の相手からの想像上の評価(自分の価値が下がるかもしれない評価)をすごく気にすることを、三田こころの健康クリニック新宿では、「脳内劇場」と呼んでいます。
「脳内劇場」は、「評価への過敏性」を説明しているときにある患者さんが命名してくれた言葉で、その患者さんの許可を得て使わせてもらっているんですよ。

自尊心の高い人は、自分が自尊心の低い人よりも好かれ、魅力的で、他者と良好な人間関係を築いていると考えている。しかし、客観的な観察者はこの見解に対して必ずしも同意することはできない。

ある研究で大学生が自らの対人スキルをどう評価しているのかが検討された。
新たな人間関係を作る能力や他者に心を開いて話す能力、他者と対立した際の対処方法、感情的な支援を提供する能力などが測定された結果、自尊心の高い人は自分がこれらの資質を確実にもっていると報告した。
しかし、ルームメイトによれば彼らの対人スキルは平均的だった(何ということだろう!)。
(中略)
つまり、自尊心の低い人は他者からの承認を過小評価しており、自尊心の高い人は他者からの承認を大幅に過大評価しているということである。
言いかえれば、自尊心の高さは自分が優れた人間であると考えることの結果であり、実際に優れていることを意味していない。


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自尊心の低さは「自分が劣った人間と考えること(ネガティブな自己評価)」の結果であり、「実際に劣っている」ことを意味していない、ということですよね。

ところが「慢性うつ病気分変調症)」の人たちは、特徴である客観的根拠のない直観的思考(思い込み)によって、「ダメな自分がバレてしまうと生きていけない」と、あるべきことやなすべきこと(理想化された自己実現)に終始し、できない状態を引き起こす精神状態を認識することができません。
そのため、理想を目指す自分に対して承認する愛情的側面に乏しく、自分を責めるだけの迫害的なものになってしまいます。

この迫害的な超自我は他者に投影され、いつも他者から批判的に評価されているように感じてしまうだけでなく、他者が賞賛したとしても受容できず、「もっと頑張らなければ」と考えて苦しくなってしまうのです。
ですから、「慢性うつ病気分変調症)」の人は、治療に助けを求めないのです。

こうやってみてくると、「愛着障害ではないか」と思ったり言われたりした人は、どうも「慢性うつ病気分変調症)」でもないみたいですよね。

私、つい「他人の目」を気にしてしまいます。

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三田こころの健康クリニックの『聴心記』では『摂食障害からの回復過程の紆余曲折をどう意味づけるか』というタイトルで、対人関係療法による治療初期に感じることの多い苦しさや辛さへの対処法について説明しています。

素敵な物語』『8つの秘訣』を使って【自分自身との関係を改善する】最初の課題は、「自分の気持ちをよく振り返る」ことに取り組むこと、つまり、それまで覆い隠されていた無数の気持ちとのつながりを取り戻すことなのです。

このプロセスは、過食や嘔吐を使って気持ちを感じないで済むようにしていた人にとっては、けっして会いたいとは思わなかった気詰まりなよそ者のような自分と向き合うことが、この上なく苦しいことのように感じられます。

そのときに、心の中で起きていることと現実で起きていることの区別を実感してもらうために、患者さんに簡単なイメージ・ワークを体験してもらうことがあります。皆さんもやってみてくださいね。

たとえば、レモン、あるいは、梅干しをイメージしてみてください。

頬のあたりがキュンとなって、口の中に唾が溢れてきますよね。

想像上のレモン梅干しが、唾液分泌という現象を引き起こしたのですが、レモン梅干しはイメージであって実体があるわけではありません。

心の中で起きることは、このように「現象は起きるが、実体はない」ものなので、変化に伴う一次的な苦痛を乗り越えるために必要なことは、「誰しも感じる感情を苦悩に変えないこと」で、「しっかり感じているとむしろ圧倒されにくくなる」体験を積み重ねていくことですよね。

そして、たとえ行動を変えることができなくても前に進み続けているときもあるということを、しっかり覚えておいてくださいね。


過食症」や「むちゃ食い症」の方で、本格的な治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 心療内科専門の三田こころの健康クリニック新宿
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