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如実知自心〜三田こころの健康クリニック新宿〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-01-22

ダイエットと過食とセルフ・コンパッション(自慈心)

ネフの『セルフ・コンパッション』にダイエットと過食のことについて触れてありました。

多くの人がダイエットによって体重を減らしているにもかかわらず、肥満の問題を抱える人がこれほどまでに多いのはなぜなのだろうか。
それは個人的な経験からもわかるように、ダイエットが続かないからである。
人々は自分の外見が気に入らないためにダイエットを始めるが、多くの人がそうであるように、ダイエットをやめたときに減った分の体重以上に太る。

たとえば、車内のパーティで食べすぎたあと、心の声はこう呟くかもしれない。
「あんなに食べたなんて信じられない。私は自分に愛想が尽きた。ダイエットが成功する見込みがないから、さらに残ったチップスを平らげてしまおう。」
もちろん、この方法で自分を批判することは、食べることで自分を慰めるという行動へと向かわせる。
食べることに対して負い目を感じているため、食べることで満足しようという矛盾した行動をとるようになるのである。
食べることをやめることが困難であるため、体重の増減を繰り返すダイエット(ヨーヨーダイエット)という悪循環に陥るのが一般的なのはこのためである。


ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


ダイエットが続かない(ヨーヨーダイエットになってしまう)のは、心理学的には次のように考えられています。

ダイエットを始めた初期には、体重減少の効果は目立って表れますが、「停滞期(プラトー)」として知られている時期にさしかかります。そうすると、食事を制限することや運動を継続することに飽きてきます。

これまで続けていた食事制限や運動の習慣が崩れたことに対して、私たちは、「今日だけは特別」だとか、「今まで続けたのだから今日一日くらいはいいだろう。明日からまた再開しよう」などと、理由づけ(言い訳)を始めますよね。

しかし、一度勢いを失った情熱は再び燃え上がることはなく、どんなに気合いを入れて再開したとしても、何となく気乗りがしません。
そうなると、食事やダイエットの話、運動の継続に関わる状況を避けるようになってきます。

実際に食事制限が続かずに、以前の量を食べるようになったり、運動をしなくなったことを後悔したりして、自分の意志の弱さを責めるようになります。

一方で、意志の弱さではなく、「プランに無理があって続けられなかったのかもしれない」と言い訳によって、心のバランスを回復しようとしますよね。

でも気が乗らないのは変わらず、ダイエットや運動の話題を避けるようになり、自分を責め、最後には開き直ってしまい、以前よりも食べる量が格段に増加してしまうのです。

「自分を責める気持ち(自責感・罪責感)」が「良い/悪い」という以前に、「自分を責めることが自分の行動を変えることに役立っているかどうか?」に、まず向き合う必要がありそうですよね。

一方、ダイエットに失敗した際のセルフ・コンパッションに基づいた対応の仕方は根本的に異なる。
まず、セルフ・コンパッションは自分の些細な過ちを許すことから始める。
健康になることが最終的な目標である場合、時々ダイエットに失敗することは大きな問題ではない。
人間は機械ではないため、「カロリー摂取を減らす」というダイアルをひねることで痩せはしない。多くの人の食事目標は変動するものである。二歩進んで一歩下がるのが物事の自然の道理のようである。
ダイエットに失敗したときに自分に慈悲の心を向けることで、自分を満足させる方法として過食に向かう可能性は低減する。


ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


「自分を責める気持ち(自責感・罪責感)」に対してセルフ・コンパッションを向けることで、「満たされずに失われてしまった気持ち(綺麗になりたい or 健康になりたい etc.)」を埋め合わせるために、食べ物を使う必要がなくなってくるとネフは言っています。

心理学者は過食する人が内なる感情の飢餓感を満たそうとしているのだと解釈している。
彼らは食べるという行為によって痛ましい感情を鈍化させているのである。それは食べ物によって自分を治療する方法でもある。
短期的に見れば、食べ物の快楽にふけることは自分を喜ばせる上で簡単な方法であるが、長期的に見れば過食の影響は好ましくない。


ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


この過食のメカニズムについては、『素敵な物語』と『8つの秘訣』を読んだことがある方ならよくおわかりと思います。もしまだお読みでなかったら、この2冊は対人関係療法での治療に取り組む際に必須ですから、必ず読んでおいてくださいね。

過食は、ストレスによって起きてくるのではなく、「心や魂の飢え(空虚感)」を「身体の飢え(空腹感)」と錯覚することによって、食べ物を使って「心や魂の飢え(空虚感)」を満たそうとして、逆に孤立の中に閉じ込められてしまう哀しい饗宴なのです。(『身体の空虚感と心の空腹感』参照)

自信を持つために完璧をめざすことをやめたとき、強迫的な執着から解放されて等身大の自分を楽しむことができるようになる。
ありのままの自分であることで、自分にとって本当に重要であることに集中し、健康を維持し、外見を良くすることが可能となる。


ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


完璧を目指すことをやめ、ありのままの自分を認める深い自己受容は、「自己志向」の中核ですよね。

現代に生きる私たちはあまりにも頭(思考)に頼りすぎ、⼼や⾝体をないがしろにしています。
そのため⼼は、過去と未来を⾏き来し、未来を⼼配しすぎ、過去の良くない記憶にとらわれてしまっています。

過食症などの摂食障害だけでなく、慢性うつ病気分変調症)や不安定型の愛着スタイルから抜け出すためには、過去と未来へのとらわれを手放す必要があります。
そのときに役に立つスキルの1つが、ボディ・スキャンです。

ボディ・スキャンの具体的なやり方は、三田こころの健康クリニック新宿で院長に聞いていただくとして、ボディ・スキャンでは⾝体をクッションにし、⼼を⾝体の内に置き、⼼と⾝体をリラックスさせることで、⾝体とともに現在(プレゼント・モーメント)にとどまるマインドフルネスの技法の一つですよね。

摂食障害の治し方を説明していきますが、治療ポイントはあくまでもこの「自己志向」を高めることにあるのだということを念頭に置きながら読んでいただければと思います。
(中略)
多様な価値観を尊重できるかどうか(協調性)は、「自己志向」にかかっていると言っても過言ではありません。自分がある程度満たされていなければ、他人の価値観を尊重すること(他者受容)もできないからです。
また多様性を受け入れる上での「不安」は、やはり「損害回避」との関連が深いものだと思います。「損害回避」に流されることなくきちんと自己コントロールするためにも、「自己志向」は重要なのです。


水島『「やせ願望」の精神病理PHP新書


そして「自己志向」は、摂食障害からの回復だけでなく、対人関係(愛着)問題の修正にも、必要不可欠な重要な要素なのですよね。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では『対人関係療法による摂食障害の治療と『素敵な物語』&『8つの秘訣』』というタイトルで、『素敵な物語』と『8つの秘訣』を対人関係療法にどのように活かせばいいのかについて説明しています。

対人関係療法だけでなく、『素敵な物語』『8つの秘訣』ともに、「過食衝動との向き合い方」が取り組む課題のひとつになります。

「過食衝動」とどう向き合うかは、「考え」と「考えに身体が反応して引き起こされた気持ち」の対処という、【自分との関係を改善する(心の状態の変化についての気づき)】【行動の仕方を改善する(感情・考え・情動のコントロールについての気づき)】に取り組むということです。

上記に加えて「過食衝動」とは、「周囲の人に助けを求める方法」、つまり対人関係療法でいう【他人との関係を改善する(自己概念あるいは関係のなかにおける役割についての気づき)】にも取り組む必要があるのです。

そしてこれらの課題に取り組む時には、「自分の選択に自覚と責任を持つ(自分の人生は自分が主人公)」で説明していることを適用して、「自己批判」や「安心行動(言い訳)」をせずに、主体性を持って取り組むことがすごく大切になります。

摂食障害対人関係療法による治療では、【自分自身との対人関係】【他者との対人関係】に焦点を当てて治療を進めますから、その改善は【集団との対人関係】に波及していき、生きやすく感じられるようになってきます。

過食症」や「むちゃ食い症」で通院中の方で、薬に頼らない本格的な治療希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 心療内科専門の三田こころの健康クリニック新宿
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