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如実知自心〜三田こころの健康クリニック新宿〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-09-25

トラウマ反応に向き合うために感情と取り組む

このところ引用している『トラウマを乗り越えるためのガイド』に左脳右脳の面白い説明が載ってました。

ちょっと長いですけど引用しますので、みなさんも自分がどちらのタイプか考えてみてくださいね。

脳の左半球の皮質は、主に連続的に理論的に考えます。一方、右半球は、より全体的に空間的に考えます。
作家は左半球に大いに依存していますし、大工は右半球に大いに依存しています。
しかし、私たちはいつも、右と左の両方の脳をともに利用しています。
たとえば歌を聞くとき、言葉を使う歌詞と、音の調子の上がり下がりなどのメロディーの両方を、左半球と右半球の両方を使って認識しています。

右と左の脳半球の違いを理解するために、次に挙げる問題を頭の中で解いてみてください。

ある男性が、ガレージセールで中古のテーブルを購入しました。
その値段は新品のときの3分の2でした。
男性はそのテーブルに50ドル支払いました。
そのテーブルの新品のときの値段はいくらでしょうか?

もしあなたが分数を変換してかけ算をしたらならば(3/2×50=150/2=75)、あなたは左半球の処理の特色である線形論理的原則を活用していることになるでしょう。
一方、もしあなたが頭の中で3分の1が3つ分あることを示す1つの円柱の隣に、50とラベルづけされた円柱が並んでいる問題だと思い浮かべ、そして1/3=25となるので3/3=75だと頭の中で視覚的イメージを「見た」ならば、右半球の特色である空間的な論理を活用していることになります。


ルイス、ケリー、アレン『トラウマを乗り越えるためのガイド創元社


このような左脳右脳の働きの違いと優位さは、さまざまな感情反応と関係がありそうです。
摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』では、女性的側面(≒右脳)と男性的側面(≒左脳)の違いを以下のように説明されています。

私たちの持つ女性的側面は賢く、直感的に心理をとらえ、オープンで、内面と外面両方からの情報を思慮深く受け止めてくれます。心理や未来像や真髄を受け止める器のような役割を果たすのです。
逆に男性的側面は、とても意図的で集中的で直接的です。私たちの思考や感情を理論的に説明して整理する、知的で理性的な側面とも言えます。したがって私たちの真理を明確にわかりやすく、世界へと発信する媒体のような役割を果たします。


ジョンストン『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語星和書店


素敵な物語』では、「感情や直観に耳を傾けることをやめてしまったとき、私たちの心は恐ろしい暗闇へと放り込まれます。そしてこの暗闇では、感情、空腹感、そして欲望が、すっかり不可解で破壊的な力へと変わり果て、私たちの身体と心に復讐してそれをめちゃくちゃに打ち壊してしまうのです。」と説明されています。

私たちが考えているよりもはるかに感情というものは身体的な反応なのです。
激しい感情を覚える場合、私たちは身体でその感情的な変化に気づいています。
繰り返し起きる極度のストレスのために、神経系が過敏になっていき、その結果、ストレスに対する身体的反応の仕方が変わってしまい、それが永続化します。


ルイス、ケリー、アレン『トラウマを乗り越えるためのガイド創元社


トラウマ反応やフラッシュバック(10:90反応)だけでなく、普段から感情や身体感覚を感じないようにしていると、ささいな引き金(最後の麦わら)によって、大きな反応が引き起こされてしまいます。

自分を落ち着かせるために回避という方法に長年頼り続けると、自分の感情や気持ちと距離ができてしまうのです。
自分の感情の激しさや破壊的な力を恐れるために、自分の感情を押し殺そうとし、そしてだいたいのところそれがうまくできるようになります。
(中略)
しかし、最善の目標は、自分から感情を排除することではなく(たとえそれは可能だったとしても)、感情を受け止め耐える能力感情をコントロールする能力を高めることです。

感情は適応に役立つものなので、私たちの脳は、もともと感情を生み出すようになっているのです。
感情は、私たちにとってEメールのメッセージのようなもので、重要な情報や意味を伝えてくれるのです。
ですから、私たちはこのような感情を受け止められるのが望ましいのです。


ルイス、ケリー、アレン『トラウマを乗り越えるためのガイド創元社


このように、感情や身体感覚を感じることを避けていると、感情は感じにくくなるだけでなく、感情を受け止めて穏やかな感情への気づきを取り戻すことができるようになるまでには、かなりの時間がかかるようになります。

とくに過去の不快な体験やトラウマ的な出来事に伴う感情体験は、10:90反応のように激しい感情が駆り立てられますから、それを乗り切るには練習が必要なのです。

過食症やむちゃ食い症の治療では「衝動の波に乗る」という方法で、衝動そのものを「感じる」練習から始め、何が起きたのかと24時間以内の出来事をふり返りますよね。

10:90反応が起きたときも同じ方法で向き合うのです。

あなたはメンタライズすることを学習しました。
すなわち、自分の反応を10:90反応と認識し、付け加わった90%がどこから来ているのかを理解することです。
このメンタライズによって、あなたは自分自身を落ち着かせ、10:90反応という激しい感情状態から抜け出すことができるようになります。
自分が10:90反応を体験しているのだという認識を持つことによって、自分は現在危機的状況にいるわけではないと悟れるようになります。


ルイス、ケリー、アレン『トラウマを乗り越えるためのガイド創元社


このように「自分が10:90反応を体験しているのだ」メンタライズすること(認識を持つこと)を、心理学者のマリア・ホールデンは、強い情動が生じたときにすぐに行為に移るのをやめて、その情動について考える(メンタライズする)ことを意味する「一時停止ボタンの必要性」と説明しています。
(『対人関係療法による摂食障害の治療と『素敵な物語』&『8つの秘訣』』参照)



三田こころの健康クリニック新宿「専門外来」の『聴心記』では、『摂食障害から回復するための自分自身への信頼感の築き方』というタイトルで、「自分の気持ちをよく振り返り言葉にしてみる」ときに注意が必要なポイントについて説明しました。

乱れた食行動で悩む女性たち(摂食障害の患者さんたち)は、思考優位で自己客観視(セルフモニタリング)が苦手ですから、出来事や状況、対人関係によって引き起こされた感情や情動に名前をつける(解釈する)ことによって「脳内劇場」が活性化されて現実から離れてしまい、ますます思考(脳内劇場)の中に没入しやすくなる(言葉での解釈に囚われやすくなる)のです。

そのため『8つの秘訣』で「名前をつけて手なづけよう」に取り組むときは、今回紹介したフォーカシングなど「身体で確かめる(腑に落ちる)」やり方に取り組んでいく必要があります。
その方法は「感情とは、自分の思考に身体が反応して引き起こされるものである」に詳しく解説してありますよね。

身体の中に起きる情動に「感情の名前」をつけようがつけまいが、身体感覚は方向を指し示してくれています。それに従うこと(腑に落ちること)が「自分自身への信頼感(自尊感情・自己肯定感)」につながるのです。

Akoさんが「摂食障害が教えてくれること」の中の「自分の力で治すのは難しい」や「心療内科への通院を決めた理由」のエントリーで、過食嘔吐(食べ吐き)から回復するために受診を決意するまでの心の揺れ動きを書いてくださっていますので、参考にしてみてくださいね。

摂食障害から回復する10の段階」のうち、〔4.変わりたいけど、どうしたらいいのかわからないし、怖い〕〔5.変わろうとしたけど、私にはできなかった〕の[熟考期]にある人は、『素敵な物語』をベースに『8つの秘訣』を読み込んで、感情や情動との向き合い方をしっかりと理解して[準備期]に進んでおいてくださいね。

そしてAkoさんが「回復のためのガイド本」で紹介してくださっている『摂食障害の謎を解き明かす素敵な物語』『摂食障害から回復するための8つの秘訣』と合わせて、『過食症:食べても食べても食べたくて』を読んでおいて、思い切って三田こころの健康クリニック新宿の「専門外来」に相談してくださいね。(※「一般外来」では、摂食障害対人関係療法による治療は行っていませんのでご注意ください!!)

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 心療内科専門の三田こころの健康クリニック新宿
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