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2013-12-29

双極性障害とパーソナリティ・気質

躁(あるいは軽躁)状態や
躁状態エピソードのうちにうつ状態を混じたり
うつ状態エピソードの中で躁状態を示す「混合状態」は
いずれも「他者によって観察可能」な
その人の通常の行動からの変化」を伴います。

しかしながら、症候だけに注目する診断の仕方では、
「その人の通常の行動からの変化」の視点が欠落しますよね。

たとえば、サッカー中継を観ていて
「アアァ…」とうなって頭を抱えていればうつ病うつ状態
「ヨッシャア!」と叫んでガッツポーズしていれば躁病(躁状態

と揶揄(やゆ)されるように
簡単に双極性障害と診断されてしまうわけです。
(あるいは「適応障害」とされることもあります。)

「その人の通常の行動からの変化」ということでは、
もともとどういう人だったのか?という
人となり(パーソナリティと生活史)」を理解する必要がありますよね。

三田こころの健康クリニックで専門にしている対人関係療法では
構造化面接による症候診断で治療すべき疾患を診断しますが、
同時にその人の気質や幼少期の生育歴や現在までの生活歴、
愛着スタイル(対人関係様式)、コミュニケーションスタイルなど
「その人の通常の行動」というパーソナリティに関連する部分の
理解を重視していますよね。

このような「人となり(パーソナリティと生活史)」の中で
どのような文脈で病気が起こってきたのかということを
治療者がどのように理解したかを
「フォーミュレーション」という形でフィードバックしていますし
これが対人関係療法治療焦点に繋がるわけですよね。
(『アタッチメント(愛着)スタイルの診立て』参照)

パーソナリティ障害と対人関係の障害』で触れたようにパーソナリティとは
認知・感情・衝動・対人関係の領域にわたる持続的で一貫した傾向」とされています。
WHO世界保健機構)のICDでは
「その個人の思考・感情・行動の根底にある持続的で一定したパターン」とされており、
パーソナリティは遺伝的要因である「気質」と環境要因、
それらの相互作用により発展的・適応的に形成される
とされています。

たとえば。
双極性障害と関連があるとされる「循環気質(循環病質)」は
「社交的・善良・親切・温情」を基本とし
「明朗・ユーモア・活発・激しやすさ」と
「寡黙・平静・陰鬱・気弱さ」が気分の極性を構成する
といわれており、その中心は
環界と共振する原理である「同調性」といわれます。
笠原・木村分類でいうと「循環型」が双極II型障害に相当するといわれています。

f:id:ipt-therapist:20130717123613p:image

近年、双極性障害と誤診されている多くのケースは
「気分変調性障害(抑うつ神経症)」を含む「葛藤反応型」と
広汎性発達障害アスペルガー症候群など
自閉症スペクトラム障害にともなう
二次(行動学的特性)・三次(反応性精神症状)症状による
「偽循環病型分裂病(境界例)」のようですよね。

「現代型うつ病」といわれるさまざまなタイプを
気分変動の表出性と同調性でプロットすると
図のようになるといわれています。

f:id:ipt-therapist:20130717121759p:image:w540

気分変調性障害(慢性うつ病性障害)は上記の図の
破線矢印上(うつ病〜双極II型・双極I型)の
メランコリー・執着気質〜循環気質のスペクトラムにあると想定され
発達障害にともなう二次・三次症状は
破線矢印の下部、つまり同調性が低い一群の
ディスティミア親和型、現代型、逃避型、未熟型に相当すると考えられます。

つまり、双極性障害を含む気分障害の中には
気分の変動も同調性も目立たないタイプが多く含まれていそうですし、
これらが双極性障害と過剰診断され投薬を受けていると思われます。

それはとりもなおさず、
症候のみに注目する診断過程とは
パーソナリティも気質も忘れ去った
機械的で非人間的な医療の産物、なのかもしれませんね。

水島広子先生がショッキングなツイートをされていました。


対人関係-社会リズム療法(IPSRT)の応用について
エレン・フランクに訊いてみたいことがあったので非常に残念です。。

こころのウイルス

こころのウイルス

三田こころの健康クリニック公式ブログ『聴心記』
双極性障害と躁的防衛」で
従来の精神医学の営為である「了解」と「説明」は、
生物学精神医学の診断にも敷衍されるだけでなく
患者さんを理解するための必須作業であることを書いています。
興味のある方は参照して下さいね。

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摂食障害・過食症 治療 慢性のうつ病(気分変調性障害) 対人関係療法 精神療法 の 病院 なら 三田こころの健康クリニック
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2012-12-08

TVシンポジウム「うつ・躁(そう)うつ病」放送のお知らせ

『TVシンポジウム語り合い 病を知り 自分らしく生きる「うつ・躁(そう)うつ病」』放送のお知らせ
の第2弾です。

NHK厚生文化事業団のページに
NHKハートフォーラム 「うつ病と躁うつ病を知る」放送のお知らせ』が掲載されました。

12月15日 土曜日 14:00〜15:00
Eテレ(教育テレビ)
TVシンポジウム 
語り合い 病を知り 自分らしく生きる 「うつ・躁うつ病」

※放送日時は変更する場合もあります。


NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る」の模様はこちら(http://p.tl/vLhJ-)です。

CBTセンターの西川公平所長が、ブログで書いておられます。
NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る--ワークショップ--」(東京) でおしゃべりしてきました 〜その1
NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る--ワークショップ--」(東京) でおしゃべりしてきました 〜その2


三田こころの健康クリニックの院長である私は、
対人関係-社会リズム療法のソーシャル・リズム・メトリック(SRM)5項目版の記載の仕方を説明しています。

加藤先生のご著書にも載ってますので、
参考にしながらご覧ください。



ちなみに。
西川所長の認知行動療法セッション
私の対人関係療法のライブは、
認知行動療法対人関係療法を知らない人にとっては、
普通の会話をしているだけにしか見えないかもしれませんし、
何をやっているのかわからないかもしれませんね。

認知行動療法対人関係療法の技法を知っている人であれば、
各々の治療法の焦点の当て方の微妙な違いとか、
参考になる部分はあると思いますよ。

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摂食障害 治療 対人関係療法 双極性障害対人関係-社会リズム療法 の 病院 なら 三田こころの健康クリニック
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2012-11-27

『うつ・躁うつ病 当事者の声から考える』TV放送のお知らせ

10月6日に東京ウィメンズプラザで開催され
収録現場での様子をちょっとだけ
「うつ病と躁うつ病を知る〜ワークショップ〜」@東京』で触れた
理化学研究所の加藤忠史先生
国際医療福祉大学熱海病院の鈴木映二先生
CBTセンターの西川公平所長らとともに
三田こころの健康クリニックの院長である私も登壇して
双極性障害に対する対人関係-社会リズム療法(IPSRT)のライブを行った
NHKハートフォーラム うつ病と躁うつ病を知る 〜ワークショップ〜」の模様が、

12月15日 土曜日 14:00〜15:00
Eテレ(教育テレビ)
TVシンポジウム 
語り合い 病を知り 自分らしく生きる うつ・躁うつ病 当事者の声から考える

として、放送予定です。

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詳細がわかりましたら、またお知らせしますね。

お楽しみに♪

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摂食障害 治療 対人関係療法 双極性障害対人関係-社会リズム療法 の 病院 なら 三田こころの健康クリニック
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2012-10-06

「うつ病と躁うつ病を知る〜ワークショップ〜」@東京

10月6日、東京ウィメンズプラザで開催された
NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る〜ワークショップ〜」
に来場下さった皆さま、おつかれさまでした。

16:15終了予定を大幅にオーバーしましたが
熱気あふれるワークショップだったと思います。

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加藤忠史先生の最新の研究の知見や
(前帯状回?あるいはBDNF(脳由来神経栄養因子)が関与しているらしい)
鈴木映二先生の、薬とカフェインの飲み合わせの注意、
CBTセンター西川公平所長の温かい認知行動療法など
それ以外にも盛りだくさんの内容でしたよね。

それ以上に、当事者の方々が、ご自身の体験を生の言葉で語られることと
その当事者の方々が一同に会されたことが
このワークショップの目的である「絆」が明確になったと思います。

対人関係−社会リズム療法のパートは
5項目版の社会リズム療法の表を用いて
記入の仕方とか同調因子のコントロールについても説明する予定でしたが、
時間が押した上に15分という制限がついたので、
早口になってしまいました。

舞台裏の話やハートフォーラムの流れについては、
CBTセンターの西川所長がブログに書いておられます。

NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る--ワークショップ--」(東京) でおしゃべりしてきました 〜その1
NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る--ワークショップ--」(東京) でおしゃべりしてきました 〜その2
ぜひ、読んでみて下さいね。

会が終わって、参加者の方から話しかけられました。
その方は仙台でのフォーラムにも参加して下さったそうです。
ご主人が、仙台での対人関係−社会リズム療法のDVDを見ながら
一生懸命に逐語録をとり、
気持ちをわかろうと努力して下さって、
躁状態から抜け出されたそうです。

こういう嬉しい話をお伺いできただけでも
打ち合わせ時間からのべ7時間のフォーラムに出て良かった
と思いました。

ちなみに。
今日の収録の放送予定は、
12月10日頃だそうです。
お楽しみに!



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摂食障害 愛着障害 治療 対人関係療法 双極性障害対人関係-社会リズム療法 の 病院 なら 三田こころの健康クリニック
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2012-09-20

「双極性障害」ってどんな病気?

理化学研究所脳科学総合研究センターの加藤忠史先生が
「双極性障害」ってどんな病気?』という本を上梓されました。

わずか95頁の小冊子ながら、その内容は専門書にも引けを取らず、
同時にわかりやすさでは、ダントツと思えました。

とくにアスペルガーなどの自閉症スペクトラム障害
ADHDは、双極性障害と過剰診断されることが多い
ので、
双極性障害と診断されている方は、この本に書かれている
躁状態や軽躁状態が自分に当てはまるのかどうかを
見てみる必要があるかもしれませんね。

また『双極性障害とADHD(注意欠陥多動障害)と対人関係社会リズム療法
も参照にしてくださいね。

なかに「対人関係−社会リズム療法(IPSRT)」の簡単な解説もあり、
社会リズム療法(ソーシャル・リズム・メトリック:SRM)は5項目版を用いて解説されています。

5項目版(簡易版)では、
「起床した時刻」がサーカディアン・リズムに同調し、
「人と始めて接触した時刻」「仕事・学校・家事をはじめた時刻」
「夕食を取った時刻」「就寝した時刻」が
ホメオスターシス・リズムに同調しますので、
ただ単に行動した時間を記録するのではなく、

※「明暗周期に同調する体温・代謝(自律神経)のリズム」である
 サーカディアン・リズムを安定させること
※「社会的因子からの情報に同調する睡眠覚醒リズム」である
 ホメオスターシス・リズムの刺激と活動量のバランスをとること

を意識して記入すれば、簡単な社会リズム療法は、自分でもできそうですよね。

これまでのブログでも何度も繰り返し書いたように、
まずサーカディアン・リズムの安定、とくに起床時間を一定にすること
これなくしては、社会リズム療法(ソーシャル・リズム・メトリック:SRM)は成り立ちません。

その上で、ホメオスターシス・リズムの刺激と活動量のバランスを取っていくのですが、
このあたりはその人に応じたテーラーメイドになりますので、
自分一人で取り組むのは難しいかもしれませんね。
三田こころの健康クリニックのように対人関係-社会リズム療法を専門で行っているところで
治療者と一緒に取り組んで行くことが必要になりますね。

それでもサーカディアン・リズムの安定は身体ベースの取り組みですから
地道に取り組んで行けば、これだけでも随分の安定が得られると思いますよ。

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摂食障害 愛着障害 治療 対人関係療法 双極性障害対人関係-社会リズム療法 の 病院 なら 三田こころの健康クリニック
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2012-09-19

NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る〜ワークショップ〜」@東京

10月6日に東京ウィメンズプラザで開催される
NHKハートフォーラムうつ病躁うつ病を知る〜ワークショップ〜」は
TV収録されるそうです。

詳細はこちら↓から。
38.pdf 直

9月13日掲載ですから、まだ間に合うかもしれませんね。

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摂食障害 愛着障害 治療 対人関係療法 双極性障害対人関係-社会リズム療法 の 病院 なら 三田こころの健康クリニック
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2012-08-24

NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る〜ワークショップ〜」@東京

平成24年10月6日(土)に東京都渋谷区の東京ウィメンズプラザで
NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る〜ワークショップ〜」
が開催されます。

昨年10月の福岡、今年8月31日の仙台でのフォーラムに引き続き
私もパネリストとして登壇することになりました。

今度のフォーラムでは、ワークショップとあるように、
これまでの「病気についての基礎情報を伝える」スタイルから一転して
「生きづらさや希望をともに語り合う」スタイルになり、
そのなかで、NHKのTVシンポジウムやハートフォーラム各会場で放映された
私が対人関係療法(対人関係-社会リズム療法)を行っている部分を
実際に体験してもらうワークショップとして提示したいそうです。

対人関係療法は、技法でなく
文脈に添ったストラテジー(戦略)を重視しますから
ワークショップという形で出来るのかどうか、
水島先生とも相談しながら、8月31日(金)の
NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る」@仙台
で、打ち合わせをしてきます。

詳細がわかりましたら、このサイトでお知らせしますので
お楽しみに♪

f:id:ipt-therapist:20120824092847p:image:w360

ちなみに。
NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る〜ワークショップ〜」
これまでのオーディエンス600〜800人規模から、
当事者・ご家族150〜200人ほど(+専門職数10名ほど)と
オーディエンスの規模が大幅に縮小されていますので、
お申し込みは、こちら↓からお早めにどうぞ。
http://bit.ly/PATpI0

※定員に達したため、締め切られました。

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摂食障害 治療 対人関係療法 対人関係-社会リズム療法 の 病院 なら 三田こころの健康クリニック
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2012-08-23

自分自身をみる能力の回復のために

三田こころの健康クリニックで専門に行っている
対人関係-社会リズム療法(IPSRT)を希望される方の中には、
昼夜逆転傾向のある方もいらっしゃいます。

そういう方は「うつが治らない」「双極性障害を治したい」ので
対人関係-社会リズム療法(IPSRT)を受けたい
とおっしゃるのですが、
睡眠覚醒リズムについて、くわしく話をお聞きすると、
眠れない(寝付けない)から、明かりをつけて夜遅くまでテレビを見ている
あるいは
パソコンやゲームをしている方もいます。
また、寝付くのが夜中の3時4時になり、
それからお昼過ぎ(14時〜15時)まで寝ている
という方もいます。

一見、概日リズム障害の睡眠相後退症候群のようにも見えますが、
これは睡眠障害(不眠症)でしょうか?

「不眠には薬が必要」という思い込みがある方も多いのですが、
こういうタイプは、薬物療法で改善するとは思えません。
実際、趣味関連で朝から出かける必要がある時には起きられますし、
数日間、徹夜に近い生活もできるのですから、
単なる睡眠障害とも違うようです。
このシングルフォーカスの過集中のために
双極性障害と見なされている人もいらっしゃいます。

そもそも、
起床してから16時間経過しないと睡眠のスイッチは入らない
わけですから、14時から15時に起きて、
24時前後に寝ようとしても不可能であるという
身体の常識(生活の知識)がない、
もしくは、あっても納得が出来ない(睡眠に対するこだわりがある)
ため、自分の生活パターンがどうなっているか、わかっていない
自己モニターの問題を抱えた人も多いのです。

例えば、日中の疲労や興奮に関連して、
夜になっても興奮が鎮まりにくいための不眠があり、
翌日には寝込んでしまうのであれば、
そういう猪突猛進型のパターンに気づいてもらう必要があり、
 ・車は急に止まれない
 ・止まってしまうと、動き出すときにかなりの力が必要
などの生活の自己コントロール感を身につけていく必要があります。

また、12時間近く寝ても、怠さと気持ちの落ち込みがとれない
ということであれば、
生体リズムと社会的(生活)リズムがズレているために起きている症状(時差ぼけ)
であって、うつ病などの症状の一つではないということを
繰り返し、根気よく説明していく必要があります。

もともとこういう人たちは

一度にひとつのことにしか集中できない(シングルフォーカス特性)
全か無かという極端な知覚・認識の様式(ハイコントラストな知覚特性)
多様性を理解出来ず、一面的に捉え反応する(シングルレイヤー思考特性)

などの特徴があることが多いようですから、
自分の状態について、自分で適切に把握することが苦手な人が多いのですよね。

本来、対人関係-社会リズム療法(IPSRT)
睡眠覚醒リズムに代表される社会的リズムを安定させ
活動の量と刺激の強さをコントロールしていく
わけですが、
上記の特性を緩和してからでないと対人関係-社会リズム療法にはなかなか入れません。

他の医療機関で受けておられる薬物療法は継続してもらいながら、
対人関係療法ではなく、認知行動療法を受けてきてもらって、
上記のような社会リズム療法(SRM)の土台だけを
三田こころの健康クリニックで指導して、
何とか安定してくる人たちも、中にはいらっしゃいます。

その人に合ったテーラーメイドの治療では、
このようなバリエーションが必要になりますが、
なかなかすべての人に対応できないのが現状です。

毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で

毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で



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摂食障害 治療 対人関係療法 対人関係-社会リズム療法 の 病院 なら 三田こころの健康クリニック
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2012-08-21

起きられぬ朝のために

ということで、三田こころの健康クリニックで行っている
対人関係-社会リズム療法(IPSRT)と関係する
概日リズム障害について書いてみます。

奇しくもこのエントリーと同じ日に、
毎日新聞に連載されている「香山リカのココロの万華鏡」でも
夜更かしで「時差ボケ」に』というタイトルで
概日リズム障害のうち睡眠相遅延症候群について
触れられていました。


概日リズム障害とは、
体内時計によって作り出される睡眠と覚醒の概日リズムが
望ましい社会的スケジュールと一致しないことから、
不眠、過眠、起床困難、自律神経症状などを生じる状態
です。

概日リズム障害は

 /臾価蠍綢犒
 ⊃臾価蠢或雰
 I垉則睡眠-覚醒型
 ぜ由継続型
 セ差障害
 Ω鯊絛侈碍
 Э搬亮栖気砲茲覲菊リズム障害
 ┐修梁召粒菊リズム障害
 薬物又は物質によるもの

に分類されています。

各タイプの簡単な説明は
スイミンネット(Suimin.net)を参照してくださいね。

人はなぜ眠れないのか (幻冬舎新書)

人はなぜ眠れないのか (幻冬舎新書)



なかでも睡眠相後退型は、若年者に多く認められ、
望ましい時間の起床が困難なために
定時での出勤が出来ないなど、社会生活に支障をきたします。

体内リズムが社会リズムよりも遅れていることが原因で、
患者自身の努力や心がけのみでは定刻に起床することは困難です。
(別の問題の関与については、いつか
自分自身をみる能力の回復のために」としてアップする予定です。)

概日リズム障害があるかどうかの診断には、
日本うつ病学会が配布している「睡眠覚醒リズム表」を使って、
http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/sokyoku/pdf/suimin_kakusei_rhythm.pdf
(クリックするとpdfファイルがダウンロードされます)
就床時刻、起床時刻、入眠時刻などを記録してもらいます。

もともと、睡眠相後退症候群の治療法として、
高照度光療法、時間療法(断眠療法)、メラトニン投与
などが行われてきました。

高照度光療法や、断眠療法については
睡眠覚醒リズムのコントロール」で触れていますよね。

メラトニンの名前くらいは聞いたことがある人もいらっしゃると思いますが、
メラトニンは松果体から分泌されるホルモンで、
網膜からの光の刺激による視交叉上核からの情報により
メラトニンの産生は低下し、夜になると増えてきます。

ちょっと専門的になりますがメラトニンの受容体には
MT1とMT2の2種類があり、
MT1受容体は、視交叉上核の神経刺激を抑制することで
メラトニン分泌が増え、睡眠を誘発させ、
MT2受容体は、体内時計の概日リズム位相を変位させます。

わが国では、選択的なMT1、MT2アゴニストである
ラメルテオン(商品名:ロゼレム錠8mg)が
2010年4月に承認されました。
この薬は即効性がないため、1〜2ヵ月かけて
ゆっくりと睡眠相を前進させていきます。

また

・毎朝決まった時間に起床すること
 (平日と休日の起床時間差は2時間以内)
・日中適度に身体を動かすこと
・昼寝をする場合は、午後3時までの短時間(30分以内)にすること
・夕方以降はカフェインなどの刺激物はさけること
・寝る前には穏やかに時間を過ごすこと
 (パソコンや携帯メールも避ける)
・寝る前にアルコールを飲まないこと
・ベッドでTVを見たり、本格的に本を読んだりするのをやめて
 「ベッド=寝る場所」という関連を心身につけること

などの生活リズムの修正が大前提で、
薬は、そのサポートという位置づけになります。

イラストも入ったパンフレットをダウンロードできます。
http://www.takedamed.com/hpdr/rootDir/communications/shiryou/pdf/inso_01.pdf


この内容は、8月31日(金曜日)に仙台市の電力ホールで開催される
NHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る」でちょっとだけ触れる予定です。

うつと気分障害 (幻冬舎新書)

うつと気分障害 (幻冬舎新書)



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2012-08-07

眠れぬ夜のために

先日の第9回うつ病学会総会で、
「睡眠とうつ病」というシンポジウムがありました。

うつ病と睡眠の関連について、うつ病の症状としての不眠、うつ病の危険因子としての不眠、うつ病の病因としての生体リズム異常や睡眠障害、うつ病の残遺症状としての睡眠障害の4つのポイントからとらえ、うつ病診断における睡眠障害同定の意義、うつ病治療効果に対する睡眠への介入の効果などについて、最近の疫学データ、臨床研究報告、基礎医学的報告の中からレビューし、討論することで、理解を深めたい。

中でも藤田保健衛生大学の北島剛司先生が話された「うつ病とリズムの障害」と
秋田大学大学院の越前屋勝先生の「うつ病に対する断眠療法」は
これまで何度か『睡眠・覚醒リズムのコントロール』としてエントリーした内容と重なるので、
興味深く聞かせていただきました。

さて。
三田こころの健康クリニックで専門に行っている
対人関係-社会リズム療法(IPSRT)を希望される方の中には、
不眠あるいは昼夜逆転傾向のある方もいらっしゃいます。


社会リズム療法(SRM)は、
睡眠覚醒リズムに代表される社会的リズムを安定させ
活動の量と刺激の強さをコントロールしていく
やり方です。
ですから、その中で最も重要なのは
何といっても「明暗周期に同調する体温(自律神経)のリズム」が基本になります。

身体のリズムが安定してからでないと
睡眠覚醒リズムに代表される社会的リズムの安定は図れませんから、
三田こころの健康クリニックで『対人関係-社会リズム療法(IPSRT)』に取り組む前に
少なくとも、不眠や昼夜逆転などを
コントロールしておく必要がありますよね。

さらに、摂食障害の心理社会的発症要因の1つとして、
"夜更かし"という日常生活リズムの問題が関連している

ことが明らかにされています。

体内時計や時間生物医学など、
睡眠覚醒リズムの基本になる知識や取り組み方は
双極性障害のエントリー」を参照にして下さいね。

また、8月31日のNHKハートフォーラム「うつ病と躁うつ病を知る」@仙台
自律神経の概日リズム(サーカディアン・リズム)と
睡眠覚醒の社会リズム(ホメオスタティック・リズム)の調整について
社会リズム療法(SRM)との関係を話す予定ですから、お楽しみに♪

ということで。
いわゆる不眠症(睡眠障害)は
睡眠障害国際分類では約90種類の多岐にわたり、
一般成人の約20%が罹患しているだけでなく、
生活習慣病の発症との密接な関連が指摘されています。

不眠のタイプによる分類では、

・入眠困難:床についても30分〜1時間以上眠りにつけない
・中途覚醒:眠りについても、夜中に何度も目が覚める
・早朝覚醒:通常の2時間以上前に目が覚め、その後眠れない
・熟眠障害:眠りが浅く、睡眠時間のわりに熟眠感が得られない

に分けられ、その主な原因としては

・環境要因:時差ぼけ、枕が変わる、暑さや騒音、明るさの影響など
・身体要因:年齢、性差、頻尿、痛み、かゆみなど
・心の要因:悩みやイライラ、緊張、睡眠へのこだわりなど
生活習慣要因:アルコール、ニコチン、カフェイン、運動不足など

が挙げられます。

睡眠障害の種類には、

・精神性理性不眠症
  精神・身体疾患による不眠(うつ病、疼痛など)
  薬剤もしくは物質による不眠(アルコールなど)
・睡眠時無呼吸症候群
・中枢性過眠症(ナルコレプシー)
概日リズム睡眠障害
  睡眠相前進症候群
  時差障害
・睡眠時随伴症(REM睡眠時随伴症)
・睡眠時運動障害
  レストレスレッグス(むずむず足)症候群
  周期性四肢運動障害
・正常範囲と思われる異型症状
  長時間睡眠者
  寝言
・その他の睡眠障害

などがありますよね。

ご自分の睡眠障害について詳しく知りたい方は、
スイミンネット(Suimin.net)でチェックしてみるか
以下の本を読んでみて下さいね。

不眠と不安に打ち克つ本―軽度なうちに治しなさい!

不眠と不安に打ち克つ本―軽度なうちに治しなさい!



またスイミンネット(Suimin.net)には
睡眠障害対処 12の指針」がありますので、
正しい睡眠リズムのためにのチャレンジしてみて下さいね。
イラストも入った簡易版は武田薬品のサイトからダウンロードできます。
http://www.takedamed.com/hpdr/rootDir/communications/shiryou/pdf/inso_01.pdf


次回は、対人関係-社会リズム療法(IPSRT)と関係する
概日リズム障害」について書いてみますね。

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摂食障害 治療 対人関係療法 対人関係-社会リズム療法 の 病院 なら 三田こころの健康クリニック
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