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如実知自心〜三田こころの健康クリニック新宿〜 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-04-23

獲得安定型のアタッチメントに関与する要因

アタッチメントは人との関わりの中で活性化される要因であると同時に関係特異的ですから、それまでの対人関係の記憶に基づいています。

この関係特異性は、対人関係に柔軟性をもたらす土台になると同時に、治療関係では関係における安定性を促進するような敏感な情緒応答性が必要になります。

そしてこの治療関係で培われた安定した対人関係が他の人との関係性にも般化していくように、摂食障害治療だけでなく、カサンドラ症候群治療で行っているようなカップル・セラピーや、摂食障害の思春期の娘さんを持つ親御さんに行うような家族療法も併用して三田こころの健康クリニック新宿の専門外来治療をしているのです。

これらの関係性にもとづく治療法に共通する治療要因について、治療者が患者の「安全の基地」として機能することの重要性が指摘されています。

治療における患者の「安全の基地」として機能することを述べ、ウィニコットの「ホールディング」、ビオンの「コンテイニング」は非常によく似ていると述べている。

玉岡・田中「精神科臨床においてアタッチメントを考える」こころの科学 No.198 (3) 「現場から考える愛着障害」38-45, 2018


ウィニコットは母─赤ちゃん関係を、それ以上分割不可能のユニットととらえ、セラピスト-クライエント関係のメタファーとしています。
ビオンはクラインの対象関係論を洗練した精神分析家です。
一方、自己心理学の創始者コフートは、人の心(の健康)を、心の各部分のつながり・まとまり・融和性・凝集性から考え、関係性を「自己対象(関係)」ととらえました。

コフート(Kohut 1977, 1984)によれば、人が一方の親(例えば母親)との関係で(愛着)トラウマを体験し、自己の中にそれによる損傷部分が生じたとしても、もう一人の親(父親)との関係から、その損傷の影響を打ち消すことができる自己の部分(補償的構造)が形成された場合、人は健康に生きていくことができます。
そして、この補償的構造は、ある面では外傷的であった親の「外傷的でない」(成長促進的な)面からも生じると、コフート(Kohut 1977, 1984)は考えています。

例えば、普段は不適切な応答の多い母親が、実家で長期間過ごすときには適切な応答を示し、それが子どもの自己に健康な部分を成長させたというような場合です。


上地『メンタライジング・アプローチ入門———愛着理論を生かす心理療法』北大路書房


「補償的構造」は、ミクリンサー(Mikulincer)のいう「安定性の島」と言い換えることができます。
「安定性の島」とは、愛着トラウマを抱えている患者であっても、多少のポジティヴな愛着の記憶があるということです。
セルフ・コンパッションの文脈では「慈しみの泉」とも言いますよね。

補償的構造は、具体的には、良い自己対象として機能した親との関係から育つ自尊感情、野心的目標、理想・価値、興味・関心、才能・技能、同じ人間であるという同類意識などを示しています。

精神分析においては、患者は、(愛着)トラウマにある程度触れた後には、トラウマから離れ、補償的構造を強化することで回復へと向かうのであり、精神分析は補償的構造の機能的リハビリテーションであると、コフート(Kohut 1977)は言います。
そして、補償的構造が修復されるプロセスでは、補償的構造を育ててくれた親とのポジティヴな体験の記憶がよみがえります。

コフート(Kohut)の言う自己の構造を内的作業モデルと重なるものと考えてよいなら、補償的構造の修復による自己の機能的リハビリテーションとは、患者の全体としてネガティヴな内的作業モデルの中に島のように存在する補償的な内的作業モデルを踏み台にして、中心的な内的作業モデルが獲得安定型に移行することに他なりません。


上地『メンタライジング・アプローチ入門———愛着理論を生かす心理療法』北大路書房


セルフ・コンパッションで言う「自分への優しさ」「当たり前の人間性」そして「マインドフルネス」そのものが「補償的構造」を構成する要素であり、それが愛着トラウマの傷を癒す土台である「安定性の島」になりうるということですよね。

「内的作業モデル」は内的な対人関係のテンプレートのようなもので、内的作業モデルは、他者との過去の経験に基づいて、他者との交流や会話をシミュレーションすることを可能にしてくれる表象システムなのです。

「安定性の島」は、心理療法が有効に機能するためには不可欠であり、不安定なアタッチメントを「獲得安定」(earned security)に変容させていくプロセスで、最も重要な役割を果たすと考えられています。

無秩序な愛着パターンは四六時中みられるものではなく、それが出現していないときの愛着パターンは安定型、回避型、アンビヴァレント型のいずれかであるということです。

上地『メンタライジング・アプローチ入門———愛着理論を生かす心理療法』北大路書房


一般の人や生半可な知識しかない精神科医が理解しているように、ある人は安定型、この人は回避型と、個人のアタッチメント・スタイルが決まっているわけではないのです。
アタッチメントはAさんとは安定型だけど、Bさんとは無秩序のように関係特異的であるだけでなく、Bさんとの関係の中でも、安定型だったり回避型だったり、あるいは無秩序型だったりと、同じ関係の中でも変化しうるということなのです。

夫婦/パートナー関係を考えてみると、相手との関係が蜜月期、安定期、倦怠期、離別期と変化しているのがわかりますよね。

実は、このことがアタッチメントが「獲得安定型」に変容していくときにたどるプロセスも示唆しているのですよ。

みんな「夫婦」で病んでいる

みんな「夫婦」で病んでいる



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では『[ttps://wp.me/p8s70U-Z7:title=「食行動障害および摂食障害」という苦しみの始まり]』というタイトルで、さまざまな生きづらさから生じる負の感情への対処法であったエモーショナル・イーティングが、人との分離・断絶という心理的孤立を生み出し、自己破壊の行動パターンである「食行動障害および摂食障害」という障害に進展していくプロセスを解説しました。

他者に対して「期待しない」「信じない」「愛されるなどと思わない」と自分に言い聞かせ、自らの依存感情を抑え込んでいる(崔『メンタライゼーションでガイドする外傷育ちの克服星和書店「乱れた食行動で悩む女性たち」は、他者と距離をとるか、逆に過剰に他者に合わせ、自己評価を低くし、主体的に自体に取り組むことを避けることで、人と人とのつながりをより快適なものに修正しようとします。

現実の他者を遠ざけている一方で、頭の中では想像上の他者が大活躍している(ある患者さんはこの状態を「脳内劇場」と名づけてくれました)ので、過食症に対する対人関係療法では「対人関係上の役割をめぐる不和」や「役割の変化」ではなく、「対人関係の欠如(評価への過敏性)」で治療を行った方がうまくいくのです。
(梅こんぶさんの「梅こんぶの幸せごちそうさま」を参照してくださいね)

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来で行っている「過食症」「過食性障害(むちゃ食い症)」の対人関係療法による治療では、このように患者さんに治療法を合わせていくスタンス(鑑別治療学)を重視しているのです。
また、アタッチメントの関係特異性の視点から、「カサンドラ症候群」や「夫婦/パートナー関係」に対しても対人関係療法による治療も行っています。

摂食障害心療内科メンタルクリニックに通院しているけど、薬を出されるばかりで改善しない、あるいは夫婦/パートナー関係の問題をどこに相談していいかわからないと感じていらっしゃる方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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2018-04-02

アタッチメントの形成と変化

アタッチメント(愛着)は、不快な情動をなだめるために他者に接近する行動で、アタッチメント対象をもたない「アタッチメント(愛着)障害」では、他者に慰めてもらおうとする接近願望がみられないのが特徴です。
ですから「愛着障害かもしれない」「愛着障害を何とかしたい」と治療を求められる人は、「アタッチメント(愛着)障害」ではないのです。「気分変調症(持続性抑うつ障害)かもしれない」と思える人は、気分変調性ではない、という関係とよく似ていますよね。

このような混乱が起きてしまう原因は、アタッチメント(愛着)に関して、「愛着障害戦争孤児などの養育者の剥奪や、それに類する重篤な虐待やネグレクト)」「愛着の問題青年期・成人期以降では夫婦/パートナー関係など二者関係の問題)」「愛着の状態(アタッチメント・スタイル)」が区別されずに乱用され、生きづらさや対人関係困難の原因が、すべて乳幼児期のアタッチメントにあるかのような誤解が蔓延しているからなのでしょうね。

アタッチメントをご存じない先生方は、幼少期に養育者(親)との関係で培われた「不安定な愛着スタイルを変える」という言い方をされますよね。
ところが、アタッチメントの研究では、幼児期の親子関係でアタッチメントが決定されそれが生涯続くという幼児期決定論は誤りとされているのです。

実のところ、現今の研修者の多くは、いわゆる幼児期決定論的な見方をほぼ捨てていると言っても過言ではない。
むしろ、ほとんどの論者が、乳児期のアタッチメントが、その後の生育過程において、個人がさらされることになる養育の質や、貧困や親の教育歴なども含めた家族の生態学的条件と絡み合う中で、個人の発達の道筋や適応性に複雑に影響を及ぼすという見解を摂るに至っている。

別の言い方をすれば、比較的多くのケースで、幼少期のアタッチメントの質がその後もそのまま保たれるのは、個人がそう大きくは変化しない家族環境の中で育ち、また同じ養育者の下で相対的に等質の養育を受け続けるからであると言い得るということである。


遠藤『生涯発達と発達臨床の視座から見るアタッチメント理論の現在』 in 小林・遠藤『「甘え」とアタッチメント』遠見書房


幼少期に親との関係が良くなかったからアタッチメントが不安定型になった、ということではなく、アタッチメントが不安定型のままなのは、たとえば、不登校や引きこもりなどによって家族以外の他者との関係や環境の変化が起きなかったために、個人の中に変化が起きなかったということなのです。

現在までに得られている実証的知見が物語るのは、子どもが、家庭外において、親以外の他者と安定したアタッチメントを取り結ぶ中で、先にみた自律性や自他に対する基本的信頼感を十分に身につけうるということであり、そしてまた、それらを土台に、生涯にわたるウェルビーイングや心理社会的適応を高く具現しうるということである。

遠藤「アタッチメント理論における基点と現代的展開」in こころの科学 No.198 (3) 「現場から考える愛着障害」10-16, 2018


アタッチメントの適応とは、内省が統合されていて、首尾一貫した語り(ナラティブ)ができる「あり方(プロセス)」のことなのです。
ですから悲惨な生育歴をもっていたり、安定した対人関係を構築できなかった、ということを含め、そのような状況と自分の内面で起きていたことを、主観的にかつ客観的に振り返って語ることができることが、現状に適応するアタッチメントということです。

成人期におけるアタッチメントの問題は、広範囲の社会的な問題を引き起こす。
たとえば暴力的なパートナーとの関係の中にいる女性が、危険であるにもかかわらず繰り返し虐待関係に戻ってしまう行動を、アタッチメント理論では次のように説明する。
すなわち、この女性のパートナーとの関係は、間違ってできてしまったアタッチメントではあるが、この女性に接近に対する高いニードがあるためにパートナーとの関係に戻ってしまうのである。
(中略)
また、パートナーとの関係でひどい目にあった経験を持つシングル・マザーが、また拒絶されるかあるいは虐待されるのではないかと考えて新しい関係を始めることを怖がっているのは、恐れ型のアタッチメント・スタイルのためかもしれない。
(中略)
以上のようなケースにおいては、アタッチメントの歪みがその人を傷つけるような人間関係に敢えてとどまるとか、肯定的なものになる可能性がある人間関係まで避けてしまうという行動につながっていると考えられる。


ビフィコ&トーマス『アタッチメント・スタイル面接の理論と実践』金剛出版


アタッチメントの観点から大切なことは、「安定型」なのかどうかということではなく、不安定型のアタッチメント方略は、特有の文脈の脅威に対して学習された脅威を減少させるための適応であり、発達と相互作用する文脈において、どのアタッチメント方略が最も適応的であるか決まるのです。(『アタッチメントを関係性から見る』参照)
虐待する親にさえアタッチメントが形成されるのは、アタッチメントが生き延びるために必要な方略だからなのです。

結婚前後でAAI(アダルト・アタッチメント・インタビュー)のアタッチメント・タイプを比較した研究では、結婚前後での一致率は高い(78%)ものの、変化した者の多くが不安定型から安定型への変化だったこと、また必ずしも一致したAAIアタッチメント・タイプ同士がカップルを形成する訳ではないことが示された。

このことは、みずからと異なる他者との密接な関係を築くことによって、アタッチメント・タイプが成人においても安定型に変化しうることを意味している。

つまり、成長の過程で養育者とは異なる他者との関係においてアタッチメントの質が変化する可能性があり、逆境的な環境で成育した子どもにおいても信頼できる大人との関係を通してアタッチメント・タイプが安定型に移行することが期待できると言えるだろう。


玉岡・田中「精神科臨床においてアタッチメントを考える」 in こころの科学 No.198 (3) 「現場から考える愛着障害」38-45, 2018


「みずからと異なる他者との密接な関係」の中でアタッチメント・スタイルが不安定型から安定型に変化することがありますが、その他者は「安定型」である必要はないのです。
なぜなら、『アタッチメントを関係性から見る』にも書いたように、アタッチメントのパターンは「関係特異的」ですから、「安定型」の人が常に安定型のスタイルを表出する訳ではないからなのです。

矛盾した愛着行動が同時的・継続的に出現する無秩序型の愛着パターンにおいては、無秩序なパターンは秩序化されたパターンに取って代わるものではなく、秩序化されたパターンに上乗せされるものだということです。

言い換えれば、無秩序な愛着パターンは四六時中みられるものではなく、それが出現していないときの愛着パターンは安定型、回避型、アンビヴァレント型のいずれかであるということです。


上地『メンタライジング・アプローチ入門———愛着理論を生かす心理療法』北大路書房


さらに、アタッチメントをご存じない先生方には書けない部分があります。それは、アタッチメントがどのように変化していくのか?のプロセスです。

摂食障害治療も同じで、こうすれば治ると書いてある本はありますが、『8つの秘訣』にある体験談のように、実際にどんな体験をしていくのかについて説明されている本はほとんどないですよね。
いつか、三田こころの健康クリニック新宿での自験例を交えて解説しますね。

不幸にする親 人生を奪われる子供 (講談社+α文庫)

不幸にする親 人生を奪われる子供 (講談社+α文庫)



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では『回避型アタッチメントと摂食障害』というタイトルで、他者に対する信頼障害を抱えている回避型アタッチメントと乱れた食行動に悩む女性たちは、対人関係の取り方は似ていますが、心の内面の充実感や自分自身への信頼感が正反対のようだということを解説しています。

「拒絶回避型」のアタッチメント・スタイルの人は、アタッチメント対象を避け、ストレッサーやその影響から距離をとり、脅威に近づいたことにより生じた感情を防衛して「締め出す」という非活性化ストラテジー(方略)を用いることを学んで生きてきました。

一方、「孤立感・孤独感」と「無力感」を抱えた乱れた食行動に悩む女性たち(摂食障害の患者さんたち)は、他者の顔色を読み、他者に合わせ、自己評価を低くして他者から高く評価されることを拒絶しています。
見捨てられ不安が活性化することを恐れて、本当はすがりたい、頼りたい気持ちを我慢して、他者から距離をとって人嫌いのように振る舞っている「対人恐怖的回避型」なのです。

そして、その孤立感・孤独感と無力感をなだめ、感じないようにし、なかったことにするために、過食や嘔吐という食行動(単独行動)にしがみついてしまいます。

「過食」や「むちゃ食い」「過食嘔吐」の治療で、まず、「感情・考え・情動のコントロールについての気づき」に取り組み、自分自身の心に正直になることで「自分との関係を改善する」プロセスから開始しますよね。

摂食障害の人も健康な人もライフイベントの数には違いがないものの、摂食障害の人は日常的な出来事をストレスだと感じやすいこと、つまり、出来事に対する解釈(思考)に反応した不安やネガティブな感情などの感情に気づくことができず、心の中で抱えられないため、現実は何も変わらないのに摂食障害症状を使って解消しようとすることに取り組む必要があるからなのです。

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、「過食症」や「むちゃ食い症」、「過食嘔吐」などの摂食障害、「カサンドラ症候群」や「夫婦/パートナー関係」に対する対人関係療法による治療の中で、アタッチメント・スタイルに対する「内省的自己機能」を高めることを目指していきます。

これまでの治療や現在通院中の医療機関での治療に効果が感じられない方や、「夫婦/パートナー関係」をどこに相談していいかわからない方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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2018-03-26

アタッチメントを関係性から見る

対人関係のテーマを治療の中で扱うとき、幼少期の養育者(重要な他者)との関係によって、あるいはその後の対人関係の中で培われた愛着(アタッチメント)に対するアセスメントを行う必要がある場合が多いのです。

アタッチメントは、乳幼児期には養育者、とくに母親との関係が中心になります。
生半可な知識しかない知ったかぶりの先生方は、親に自閉症スペクトラムやADHDなどの発達障害があったり、親自身が不安定な愛着スタイルを持っていたり、うつ病やアルコール依存症などの精神疾患を持っているなど、いわゆる「毒親」に育てられると子どものアタッチメント・パターンが一生決まってしまうような書き方をされますよね。

しかし、アタッチメントの形成には、父親や祖父母、あるいは乳母などの近親者との関係からも影響を受けますし、養育者同士の関係つまり母親と父親が不仲であるなどの関係性とか、さまざまな要因や状況によって変化することが知られているのです。

アイデンティティが確立した青年期から成人期でのアタッチメントの安定性を決めるのは、過去にどのような悲惨な体験をしたか、ではなく、過去の体験に対する現在の関わり方だと言われています。

これを「内的作業モデル」と呼びます。
ボウルビィは「内的作業モデル」を、人がさまざまな対人関係を持つ際のシミュレーションの土台(たとえば、他者の表情や言行から何を読み取りどう解釈するか、あるいは自分はいかに応答するかといったことに関わる対人的情報処理)となる認知的構成体(一種のテンプレート)との意味で用いています。

アタッチメントを安定させる要因は、他者をリスペクトするとか、自分のアタッチメントスタイルを相手に理解してもらう、ということではなく、対人関係の雛形である「内的作業モデル」をどのように内省(メンタライズ)することができるか、という能力にかかっているのです。

アタッチメントのことをほとんどご存じない先生が、以前に毒親は発達障害なんだから、親を許して、親子関係を享受してとつぶやいて炎上したことがあります。現在は削除されています

この先生はアタッチメントが生き延びるための適応的方略であり、安定型(安心型)がよくて、不安定型(非安心型)がよくないというものではないことや、発達障害が統合失調症と同じくらい家族集積性が高い(親に発達障害があれば、子も発達障害の可能性が高い)こともご存じないんだな、と溜息が出ました。

過去に愛着トラウマを含む逆境を体験していたとしても、このような体験と折り合いをつけており、筋の通ったナラティヴを生み出すことができ、愛着をポジティヴに評価しているなら、その回答者は安定-自律型と評定されます。

この場合、その回答者は幼年期には愛着が不安定になりがちだったでしょうが、その後の人生において愛着の安定を獲得してきたと想定されるので、この安定を「獲得安定」(earned security)と呼びます。(Hesse, 2008)

幼年期に両親のどちらとも安定した愛着関係を築けなかったとしても、教師、地域の隣人、心理療法家など、親以外の副次的愛着対象からの高水準の情動的サポートを受けていたような場合には、成人愛着面接における判定が安定-自律型になることはよくあります。

この副次的人物には、心理療法家、などが含まれます。心理療法は、逆境を生きてきた人が愛着の安定を「獲得」する1つの方法です。


上地『メンタライジング・アプローチ入門———愛着理論を生かす心理療法』北大路書房


本来、「愛着障害」は、たとえば悲惨な生活を強いられていたルーマニアの孤児院の小児のうちでも10%程度にしかみられない稀な疾患なのです。ですから、「愛着(アタッチメント)障害」では、親や養育者のようなアタッチメント対象をもたないのです。

しかし、「愛着障害かもしれない」と自己判断される人のほとんどが、躾を超える身体的虐待やネグレクトなどを受けたことはなく、学童期、思春期、青年期を通して他者との関わりの構築やアイデンティティの確立ができない原因を幼少期の親との関係に求め、成人期になってもなお親を責めていらっしゃいます。

そもそも「愛着(アタッチメント)」はネガティヴな情動を安定させるための適応方略です。ですから、「愛着(アタッチメント)」と「生きづらさ」は何の関連もないのです。

幼少期に養育者との関係が良くなかったから、青年期、成人期に生きづらさを感じているわけではなく、学童期に集団との関係(ギャング・エイジ)の中で身につける勤勉性とか、前思春期から思春期にチャムの中で身につけるはずだった集団との同一性や内的な相互同一性など、発達課題が未達成なので「生きづらさ」を感じているわけですよね。

アタッチメント・スタイルが安定型か不安定型かに関わらず、「親以外の副次的愛着人物」との関係を構築できなかった、またその内省もできなかった「自分自身との関係」を確立できていないことが「生きづらさ」の正体なのです。

さて、ここでアタッチメントを理解する上でいくつかの重要なポイントを説明します。
まず第一に、「親(養育者)との関係がすべてではない」ということです。アタッチメントは関係特異的なのです。

幼年期においても成人期においても、人は、一方の親に対しては愛着が安定しているがもう一方の親に対しては不安定(回避的またはアンビヴァレント)ということがありえます。
同様に、ある異性との関係においては愛着が安定していたが、別の異性との関係では不安定になるということもありえます。

さらに、同一の愛着関係に関して、互いに相容れない複数の愛着パターンまたは内的作業モデルが存在し、どれかが防衛的に排除されたり、それぞれが分離したまま併存する場合があります。

もちろん、個人の行動に最も大きな影響を与える主要な愛着パターンを動的できる場合もあるでしょうし、複数の愛着パターンから一般化された全般的(全体的)パターンを考えることも可能ではありますが、愛着パターンの多重性を無視することはできないでしょう。


上地『メンタライジング・アプローチ入門———愛着理論を生かす心理療法』北大路書房


最近のアタッチメントの研究では、ある人の内側に母子関係を絶対的基盤とする1つのアタッチメント・スタイルがあるという考え乳児決定論)はほぼ否定されています。アタッチメント・スタイルは変化に富んでおり、ある人の中にいくつものパターンが内蔵されていて、関係性によって異なるパターンが引きだされるのです。

つまり、幼少期のアタッチメントの不安定さやアタッチメントの歪みがあることを、その後の不適応や精神病理などに直線的に結びつける考え方はきわめて短絡的であり、幼少期のアタッチメントは不適応や精神病理の発生において、あくまでも、潜在的に多くある危険因子や保護因子の一つに過ぎないということなのですよね。

毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫)

毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫)



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では『エモーショナル・イーティングは摂食障害に移行するのか』というタイトルで、自己治癒仮説で説明されることが多い「エモーショナル・イーティング」と「食行動障害および摂食障害」の関係について解説しています。

自分で自分をなだめる自己治癒的行動は、アルコールやギャンブルあるいはドラッグのアディクトや、過食がクセになったと感じている人たちだけに特徴的なものなのではなく、人間である限り誰もがみずから心理的苦痛を感じた時に取る本能的な行動なのです。

しかしながら、過食や過食嘔吐がクセになったと感じられている人は、単独行動である「エモーショナル・イーティング」以外の対処手段や気分解消法をもたないこと、とくに他者との感情の交流が乏しいことが要因となっているようなのです。

8つの秘訣』にある「秘訣8 摂食障害にではなく人々に助けを求めよう」に取り組む前に、過食や過食嘔吐が「孤立感・孤独感」と「無力感」によって引き起こされていることをしっかりと自覚していくプロセスが必要になりますよね。

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来で行っている対人関係療法による治療で「他人との関係を改善する」前に、「自分との関係を改善する」「行動の仕方を変える」に取り組んでいくのは、このような理由からなのです。

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、「過食」や「むちゃ食い」、あるいはクセになったと感じられている「過食嘔吐」の治療だけでなく、「カサンドラ症候群」や「夫婦/パートナー関係」に対しても対人関係療法による治療を行っています。

心療内科に通っていても薬を処方されるだけで何の改善もみられないと感じていらっしゃる方や、夫婦/パートナー関係をどこに相談して良いかわからない方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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2017-10-02

『家族のための摂食障害こころのケア』と対人関係療法

8つの秘訣』にもあるように、食べ物や体重の問題は、思考パターンや感情、人間関係と深い関係にあることを理解することが何よりも大切ですが、そのためにはまず、栄養障害を改善し、脳機能を含めた身体的な回復が最初のステップになります。

治療の第1段階は、栄養状態を改善させることができるか否かが必要となります。
骨の成長や生殖機能の障害など、飢餓の身体への影響は、体重の増加により回復します。
同様に、下剤の乱用や嘔吐の結果生じた電解質異常も、寛解期には正常化します。
脳の食欲コントロール・システムが主たる問題なので、これを治療のターゲットにする必要があります。
しかし、脳の発達は飢餓により妨げられてしまうので、低栄養状態が長期化すると、治療が思うように運ばないということもありうるでしょう。

(中略)

いったん体重が回復すれば、次のターゲットは体重の維持です。
誰かに管理してもらわなくても、患者さんは体重を維持することができるでしょうか?


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア』新水社


脳の栄養障害状態を含め、飢餓状態が身体におよぼす影響を減らすためには、食事摂取あるいは栄養の補給が必要不可欠です。
人間に備わった生物学的な機能である「食べる」ということに頑張って取り組んでからでないと、社会適応スキルを身につけていく精神療法などの次のステップに進めないのです。

最も効果的な摂食障害治療法は、家族が皆で一緒になって患者さんを手助けすることだということがわかっています。
患者さんに寄りそって励まし、努力を支え、あらゆる努力とその成果をできる限りほめることは、病気の回復においてすばらしい効果をもたらします。

(中略)

摂食障害治療の目標は、患者さんが変化するためのスキルとモチベーションを高めることができるような舞台作りをすることです。
つまり、食事を縛るルールを緩和したり、安心行動がやめられるように手助けすることです。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア』新水社


思春期から青年期に発症しやすい拒食症に対しては、唯一、モーズレイ家族療法として知られている家族ベースのアプローチなど【家族にもとづく治療(ファミリー・ベイスド・トリートメント)】にのみエビデンスが認められています。
モーズレイ家族療法は、家族が摂食障害サポーターとしての知識を身につけ、コミュニケーションを通じて摂食障害のお子さん(エディ)の「情動知能」のお手本になることです。

ここ数回で『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア』を引用していますよね。
このアプローチは認知行動療法と動機づけ面接法のすすめ方を土台にしてあるのですが、【変化の段階】についての理解や、感情を指標にしたコミュニケーション、そして対人関係に焦点を当てるなど、対人関係療法のすすめ方とすごく似ているからです。

サポーターである家族がガイダンスあるいは治療を受けることによって、感情のコントロール法(情動知能)を学び、その表現法であるコミュニケーションの仕方を身につけてうまく表現できるようになれば、摂食障害の患者さん(エディ)は家族を手本として新たなスキルを学ぶことができるようになります。

そのため、家族は、摂食障害の患者さん(エディ)とともに、摂食障害ケアの専門家として、身体の状態を注意深く観察することができるようになるだけでなく、感情とのつきあい方についても専門的な知識を身につけておく必要があります。

摂食障害治療のゴールは、食べ物や食事を本来の役割へ戻すことです。つまり、「燃料」としての役割です。
さらに、「食」は世界中のあらゆる文化において中心的な役割を果たしており、社交、祝い事、娯楽に欠かすことのできないもので、人間関係を支える大きな要素でもあります。「人生の活動」の多くが食事を中心に回っています。ですから、普通の生活(仕事、学校、人間関係、友達、大学など)に戻ることは、普通の食事(バースデー・ディナー、食事への正体、昼食会、友達のために料理をする、ピクニック、バーベキューなど)に戻ることでもあるのです。

治療の初期には「食べ物は燃料」に過ぎませんが、治療が進むにしたがい(数年かかることもあります)、エディが食べ物を友達、家族、会話、付き合いといった文脈の中で捉えられるようになることが治療のゴールとなってきます。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア』新水社


摂食障害は、食べ物や食行動の問題だけでなく、信念や価値観、アイデンティティや感情などを土台として、【3つの対人関係(自分自身との関係/周囲の人との関係/社会や集団との関係)】が損なわれてしまいます。

ですから、まず、【自分自身との関係(摂食障害思考と健康な自分との関係、摂食障害思考と身体の関係)を改善していく】プロセスで、周囲の人との関係(家族のサポート)が必要になるのです。

摂食障害の経過はさまざまです。専門家の調査結果によると、摂食障害の罹病期間の平均は5、6年です。
したがって、もし思春期に摂食障害を発症すると、ほとんどの人は青年期になっても病気を抱え続けていることになります。
しかし、中には1年以内で回復する人もいれば、長期に渡って深刻な経過をたどる人もいます。


トレジャー他『モーズレイ・モデルによる 家族のための摂食障害こころのケア』新水社


家族が変化せずに、摂食障害の患者さん(エディ)だけを変化させようとするのは不可能です。
摂食障害の患者さん(エディ)を変えたいと思ったら、まず家族自身が変わる必要があります。

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、新宿御苑前カウンセリングセンターと連携して、家族のための「摂食障害サポート面接(ケア・カウンセリング)」を始めました。

摂食障害のお子さんのご相談、対応やサポートの仕方を学ぶ「ケア・カウンセリング」をご希望の方は、新宿御苑前カウンセリングセンターに申し込んでくださいね。



三田こころの健康クリニック新宿の『聴心記』では、『自分の心に正直になり摂食障害から回復する』というタイトルで、摂食障害治療で最初に取り組んでもらうことになる「自分の気持ちをよくふり返り、言葉にしてみる」「自己主張(アサーション)」について説明しました。

「自己主張」は、「社会的プロセス・システム」のうち「自己の知覚と理解」と関連しています。
自分の心を正直に認め、素直なコミュニケーションを取ることです。
「自己主張」に取り組むことで、「アレキシサイミア」「ネガティブな自己評価」という「自己認識の不全」を改善し、受身ではない「行動や思考の主体としての自己」を培っていく働きがあります。(『自己志向と協調性を高め摂食障害から回復する』参照)
対人関係療法による治療では、「自分の選択に自覚と責任を持つ」「自分の人生は自分が主人公」と説明していますよね。

このような「自分自身との関係」を改善すること、つまり「自分自身が自分の安心基地(安全基地)になる」ことで、自分自身に愛着(セルフ・コンパッション)を向けることができるようになり、これが「自己志向」のうち「自己受容」を高める一因になるのです。

さらに来年初頭にエントリー予定の『愛着ホルモンと自分自身との対人関係』でも触れる予定の「リラックスした明晰さ」も「自己受容」の一つの要素でもあるのです。

対人関係療法は、「自分自身との関係」「他者(二者)関係」「集団との関係」の「3つの次元の関係性の文脈」に焦点を当てることが可能なので、「過食症」や「むちゃ食い症」、「気分変調症」や「全般性不安障害」、「不安定型愛着(愛着障害かもしれないと感じていらっしゃる方ではありません)」に対する根本的な治療になりうるのですよね。

摂食障害や不安障害などの薬に頼らない根本的な治療を希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-08-16

「気質」と「性格」を知ることが摂食障害の治療に役立つ

ヘルシンキ大学のアテイエらの研究チームは、摂食障害を対象としてクロニンジャー理論の「気質」についてメタ分析した結果を2015年に発表しました。

クロニンジャー理論の「気質」は、外的環境に反応してしまう無自覚な特徴のことで、「新奇性追求(行動促進)」「損害回避(行動抑制)」「報酬依存(行動調整)」「固執(行動維持)」の4つの特性から構成されています。(『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』参照)


アテイエらの報告では、「神経性やせ症(拒食症)」「神経性過食症過食症)」「過食性障害(むちゃ食い症)」に共通する気質として、

  1. 損害回避が見られる
  2. 報酬依存が見られない

ことが示されています。

「損害回避」は、潜在的でネガティブな刺激に対して行動を抑制したり回避したりする特性で、「心配性」と表現されることもありますよね。
通常は不安を感じると食べる量が減るのですが食物回避性情緒障害もこのパターンです)摂食障害の患者さんのように食べることを我慢していると、不安を感じたときに食べる量が増えてしまうのです。
さらに、感情抑制群(気持ちをガマンするよう教示された群)は対照群よりも有意に多く食べる傾向があり、本人に認識されないような感情刺激(潜在的な刺激)であっても、食べる量に影響することが示されています。

「報酬依存」は社会的刺激による影響の受けやすさの特性とされていますから、摂食障害の「気質」の特徴は、

(1) ネガティブな出来事や気持ちを回避する(損害回避が見られる)
(2) 人間関係の形成・維持そのものに魅力を感じない(報酬依存が見られない)

ということになりそうです。

そうだとすれば、本に書いてあることと矛盾が生じてきます。

摂食障害の人の特徴として、私の患者さんのデータをはじめさまざまな調査の結果「協調性」が比較的高いということは注目に値します。
「手がかからないよい子」というタイプにしろ、「明るくて社交的」というタイプにしろ、「協調性に問題あり」と思われている人はほとんどいません。
他人への配慮も十分で、それが十分すぎるためにかえって問題になるというパターンが多いのです。

水島『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』紀伊國屋書店


「協調性」は社会的あるいは関係性の次元における成長のことで、「他者受容」「共感(相手の立場で感じることができる)」「協働(コミュニケーションによる交渉)」などの要素が含まれます。

摂食障害の人は「人間関係の形成・維持そのものに魅力を感じない(報酬依存が見られない)」にも関わらず「協調性が高い」ことは、どう考えたらいいのでしょうか?

ロンドン大学のナザリーらは、摂食障害患者の社会・情緒的問題として、「集団に対する帰属意識と支配欲求の低さ」や「自己の知覚と理解の問題」「他者の知覚と理解の問題」などを挙げています。(聴心記『自己志向と協調性を高め摂食障害から回復する』参照)

ナザリーらは、拒食症のみに「社会的コミュニケーション(表情からの感情理解/表情による感情表出/対面の回避)」の問題がみられたとしています。「社会的コミュニケーションの問題」は、自閉症スペクトラム(発達障害傾向)とも関連することが知られていますよね。
ということは、頭の中の他者に対して対人過敏(報酬依存がみられない)があり、現実の対人関係は苦手(損害回避)ということのようですから、「他者はこう思っているに違いない」との思い込みが「協調性の高さ」として評定されているようです。

アテイエらは「神経性やせ症(拒食症)」に特徴的な気質として、「固執」がある程度見られることを示しています。
「固執」は、部分的にしか手応えを得られない時でもその行動を続けられるかに関わる特性で、「神経性やせ症(拒食症)」の制限型、過食排出型ともにみられますから、「社会的コミュニケーションの問題」と合わせると、自分なりのルールの形成、つまり「強迫性」とみなすことができそうです。

一方、「神経性過食症過食症)」「過食性障害(むちゃ食い症)」に共通する「気質」として、

  1. 新奇性追求が多少見られる
  2. 固執が見られない

を挙げています。

「新奇性追求」は、新奇刺激に惹きつけられやすく行動が活性化されやすくなることに関わる特性で、「固執」がみられないことと合わせると、「神経性過食症過食症)」「過食性障害(むちゃ食い症)」の「気質」の特徴は、

(1) 少ない報酬であっても、少しでも早く得ようとする(衝動過敏性≒固執がみられない)
(2) 状況判断することなく、すぐに行動に移してしまう(性急自動衝動性≒新奇性追求が多少みられる)

ということになりそうですね((1)>(2))。

「新奇性追求」は『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』では「冒険好き」と表現してあり、『「冒険好き」スコア(新奇性追求)が低い患者さんの場合には、安心してどんどん食べてもらえます。』と書いてあります。

しかし、三田こころの健康クリニック新宿での自験例で、「新奇性追求」が低いから安心して食べてもらっていた結果、過食(過食-排出型の拒食症や、過食症)に移行した患者さんが何人もいらっしゃるのです。
過食に移行した患者さんの気質・性格検査(TCI)結果を見直してみると、過食に移行するかどうかは「新奇性追求」の高さではなく、「固執」の低さ(衝動性)が関与していたのです。

これらの研究結果を考慮すると、対人関係療法で「過食症」や「むちゃ食い症」の治療を行う場合には、その人の「気質」と「性格」に合わせて治療焦点を調節する必要がある、ということですよね。

他人の目を気にしない技術 (DAiWA Premium Select)

他人の目を気にしない技術 (DAiWA Premium Select)



三田こころの健康クリニック新宿の『聴心記』では『自己志向と協調性を高め摂食障害から回復する』というタイトルのブログをエントリーしました。対人関係療法による治療で目指していく【自己志向(自己の次元における成長)】と【協調性(関係性の次元における成長)】を高め、バランスを取っていくことが、『対人関係療法とは?』で触れた「社会的プロセス・システム」の機能と関連していることを説明しています。

逆説的な言い方になりますが「他者との関係(二者関係)」の外に出ることで、「自分自身との関係」や「集団との関係」を扱うことが可能になり、従来の対人関係療法で効果が不十分だった気分変調症や全般性不安障害、医学モデルを超えた愛着の問題など幅広い領域に柔軟に適応できるようになります。(強迫性障害には対人関係療法は効果は不十分です)

「自分自身」「他者(二者)」「集団」の「3つの関係性の文脈」に注目することは、対人関係療法が本来基盤としている愛着理論、対人コミュニケーション理論、自己および他者の知覚と認知(メンタライジングやエナクトメントなど)をそのまま生かし機能を発揮させるやり方です。

そのために「新奇性追求」「損害回避」「報酬依存」「固執」などの<気質>と「自己志向」「協調性」「自己超越」の<性格>の相互作用や、【親和と愛着】【自己の知覚と理解】【他者の知覚と理解】【社会的コミュニケーション】からなる「社会的プロセス・システム」が機能しているかどうかを多角的にアセスメントする必要があります。

その上で、対人関係療法を適応するかどうか(効果が期待できるかどうか)、適応するとしたら「何を実現するか」、たとえば過食症であれば「何でも食べられるようになりたい」「過食や過食嘔吐を止めたい」に留まらず、患者さんの人生に合わせて治療目標を機能的に設定し、「どう実現するか」、つまり人生の価値や目的を実現するための工夫が必要になりますよね。

そして、摂食障害から回復したいと願っている人には、『8つの秘訣』の以下の部分が参考になるでしょう。

摂食障害から回復しようとするときには、病そのものからくる感情に取り組むだけではなくて、挑戦につきものの一般的な感情に耐えなければなりません。何かに挑戦するときには、失敗する怖さや、結果がどうなるかが予測できない怖さが伴うものです。こうした恐れからは不安感がたくさんかき立てられるでしょう。
しかし、このような不安に耐えられるようになると、より生きやすいものとなるでしょう。私たちの人生が豊かなものになるかどうかは、自分自身の感情を受け容れ、それらの感情に耐えられる技術を学んでいけるかどうかにかかっていると思います。
(中略)
どんな経験が摂食障害行動を引き起こしやすくなるかを見極めることで、自分が取り組む必要のある領域を知る手がかりになります。
(中略)
つい昔の行動に戻ってしまったり、症状が本格的に再燃してしまったりすると、とても落ち込むものです。しかし、そのときに何が起きているのかをよく観察してみると、あなたが回復への過程でつまずきやすい弱点は何かがわかるのでとても参考になります。
(中略)
回復への道を進むにつれて、内面の気持ちには気づきやすくなりますが、同時に気持ちがより強く感じられるようにもなります。それまでずっと覆い隠されていた無数の気持ちともう一度つながろうとするからこそ、回復への道を歩み始めたばかりの頃は一時的に苦しさが増強しがちなのです。
回復するときには、人生に起き得るさまざまなストレス因子に関連した気持ちを、摂食障害行動を使わずに、また逃げたり覆い隠したりする別の方法も一切使わずに、ありのままに感じる事になります。

コスティン&グラブ『摂食障害から回復するための8つの秘訣星和書店

三田こころの健康クリニック新宿の専門外来では、正式な対人関係療法だけでなく、摂食障害の「ガイド付きセルフヘルプ面接」も導入しました。
過食症やむちゃ食い症、気分変調症や不安障害、あるいは愛着障害の、薬に頼らない根本的な治療を希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿の専門外来に申し込んでくださいね。

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2017-06-26

孤独感と居場所のなさ

孤独感の根底にあるもの』で、「物事が上手くいく「はずだ」という思い込み」が孤独感を生み出す奥底にあることを見てきました。

他者を前にしているか否かにかかわらず、孤独感は自分がそこに所属していないという感覚から生まれる。
(中略)
私たちの心の空洞は、現実的にそう感じる必要がない場合でも孤独を感じることがある。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


孤独を感じること、つまり、他者との結びつきが感じられないことは、所属感や居場所のなさとして、心理的にも身体的にも感じられるだけでなく、コフートは所属感の欠如が精神疾患の主な原因とまで指摘しています。

孤独感や所属感の欠如、居場所のなさは愛着(アタッチメント)と密接な関係があることがわかっています。

優しさの感覚と同様に、結びつきの感覚は脳の愛着システムを活性化させる。「仲良くなろう」という本能は、繋がりたい人間の傾向、そして安全を感じるために集団を形成したいという本能と関連している。
そのため、他者と結びついていると感じている人は人生の困難な状況に対してあまり恐怖を感じることなく、それを乗り切る準備ができている。
もちろん、私たちは友人や家族などの愛する人によって所属欲求が満たされれば幸せである。しかし、他者との良好な関係を維持することに問題を抱えている人は、このような社会的サポートが欠けている可能性がある。
また、条件がすべて整っていたとしても、人が所属と受容の感覚を提供してくれるとは限らない。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


不安を和らげたり行動に対して賞賛することや共感する能力に乏しいタイプA方略を使う養育環境で育った子どもは、ほめてもらうことやなだめてもらうなどの体験を内在化できず成長し、孤独を感じなくて済むように尊大さや誇大な自己像(万能感)を発展させることで対処しようとします。

逆に、不確実で矛盾した一貫性のない環境(タイプC方略)で育った子どもは、つねに危機に瀕していると感じ、衝突を避け、真の希望や要求を引っ込めてしまった居場所を感じられない状態になります。

この両者とも、心の中で他者との境界線が曖昧であると同時に、自分と考えが異なる他者を認められない「協調性」の問題として表れてきます。

過食症やむちゃ食い症、気分変調症や不安障害の人で「自己志向」が低く「協調性」が突出して高い人は、他者に気遣いができるということではなく、想像の中の他者は多いものの現実の他者が存在しないため、回避や衝突が生じやすく、対人関係の構築や維持が難しいということなのです。

失意のときに失敗が人間の共通の経験であることに慈悲的な方法で気づければ、それは孤独ではなく連帯感の経験の一部となる。
悩ましく、苦痛を伴う経験が自分だけのものではなく、多くの他者も経験するものだと気づくことができたとき、その衝撃は緩和される。
苦痛が無くなることはないが、それが孤立感によって良くなることはない。しかし、哀しいことに私たちの文化は人々の共通点ではなく、独自性を重視している。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


「自己志向」が低く「協調性」が高い人は「みんな苦しい思いをしているのだから、自分も我慢しなければならない」と考えがちですよね。

セルフ・コンパッション』で説明されているのは、耐えたり、我慢して何かをすること(doing)ではなく、他者も自分と同じ苦しさを体験していること(being)を自分と他者ともに認めることが、慈悲的な方法での気づきということですよね。

つながりを断ち切るのは「独自性」という近代的な「個」の感覚で、「お互いさま」という関係性・相互関連性の視点が抜け落ちています。
これが「居場所のなさ」として感じられる孤独感の正体みたいですよね。

不幸なことに、不安定型愛着も、自分自身と関わるためのモデルを与えてくれます。
つまり、人は、自分の感情を無視することができるし、その感情を抱いているからという理由で自分自身を批判することもできます。最悪の場合、人は、自分自身に対して、無視し虐待するような形で関わることができます。
自分自身に対する愛着の安定性を知りたければ、不安だ、悲しい、腹が立つ、後ろめたい、恥ずかしいと感じるときに、自分が自分自身に対して何を語りかけているかに注意を向けるだけでよいのです。

J.G.アレン『愛着関係とメンタライジングによるトラウマ治療』北大路書房


過食症やむちゃ食い症、気分変調症や愛着障害の対人関係療法による治療で、「自己志向(心を見わたす心)」と「協調性(関係性)」のバランスを取ることの重要性を強調しているのは、このような理由からなのですよ。

孤独と愛着-ダブルファンタジーへ生きのびる人々-

孤独と愛着-ダブルファンタジーへ生きのびる人々-



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『インナーマザーと愛着(アタッチメント)の対人関係療法』というタイトルのブログをエントリーしました。

思春期・青年期から成人期初期の愛着と発達課題が両親とは対等性をめぐる争い(反抗期)であると同時に、二者関係(恋愛関係)と集団との関係の「自分自身の固有性(アイデンティティ)」を確立することにあります。
そのため青年期、成人期の愛着の治療では、親の協力を得るのではなく、自己認識を高めながら他者の心理状態を見わたす能力(メンタライジング能力)を高めることに主眼がおかれるのです。

発達課題と力動的な愛着(アタッチメント)の成熟の視点は、対人関係療法には不可欠です。これによって「自分との関係」「二者関係(対人関係)」「集団との関係」という対人関係の3つの層に取り組むことができるようになります。
この視点は、『対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD』にある自分自身、周囲の他者、世界とのつながりを回復するプロセスです。

自分自身との関係、重要な他者など周囲の人との関係、集団や社会との関係の3つの関係性へのまなざしは、愛着の問題の修復だけでなく、気分変調症や不安障害、過食症やむちゃ食い症の治療にも必要不可欠です。
心が本来持っている力で病気を治したい、今の状態を改善したいと考えていらっしゃる方は、三田こころの健康クリニック新宿に申し込んでくださいね。


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2017-06-19

孤独感の根底にあるもの

私たちは自分の思い通りにならないことに対して「憤り(イライラ)」で対処しようとしてしまいますよね。

自分自身や人生の好ましくない側面に注目したとき、私たちはしばしば恐怖や怒りを感じる。欲しいものは手に入らず、なりたい自分になれないなど、私たちは人生のコントロールできない側面に対して無力さと欲求不満を感じる。
(中略)
たとえば、景気の悪化によって職を失うなど、自分の責任ではないことによってつらい体験をしている場合、他の人たちは幸せに働いているときに自分だけが家でドラマの再放送を1日中見ているのだという不合理性を感じることになるだろう。
また、病を患ったときには私たちは病が非日常的でいような状態だと感じるだろう(それは死の床に伏せ、最期に「なぜ私が死ななければならないんだ」と呟く84歳の老人のようである)。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


これに似た経験は多くの人がしていますよね。
そして、「なぜこうなったんだろう?」「どうして自分だけが?」と「なぜ?どうして?」という攻撃のニュアンスを含むを多用し、原因探しに躍起になります。
生きづらさの原因を、いわゆる「愛着障害」あるいは「気分変調症」に求めてしまう人は、このような傾向にあるかもしれないということを念頭に置く必要がありますよね。

この問題に対して徹底的に理論的な考え方をした場合、人生のあらゆる出来事が誤った方向に進むことになる(事実上、不可避的である)という解釈が生まれるため、これから先も常に困難を経験することになるだろうと推測することになる。
しかし、私たちがこの問題において理性的に対応することはない。むしろ、私たちは苦しみ、その中で孤独を感じるのである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


苦しみの中で孤立し、苦しみに閉じ込められてしまった状態は、気分変調症や不安障害、あるいは愛着障害でよくみられます。
(『「自分は人間としてどこか欠けている」という感じ方』参照)
その結果、二者関係や集団との関係を避けることになってしまいます。

自分自身をポジティブに捉えることに意識を注いでいると、私たちは他者が自分よりも優れているときに脅威を感じるようになる。
(中略)
社会的な比較がもたらす最も悲しい結果の1つは、私たちを不機嫌な気持ちにする成功者と距離をおくようになることである

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


過食症気分変調症対人関係療法による治療で、結果としての「対人関係の欠如(評価への過敏性)」ではなく、病気特有の考え方・とらえ方に気づくことを強調するのは、ネガティブな感情を引き起こす「裏の思考(思い込み)」に気づき、その思考との向き合い方変化させる必要があるからなのです。

一度物事が上手くいく「はずだ」という信条にとらわれると、それが突然うまくいかなくなると何かがひどく間違ってしまったと感じるようになる。
繰り返すが、これは意識的な思考のプロセスによってそう思うようになるのではなく、感情的な反応に影響を与える隠れた思い込みによるものである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


「裏の思考(隠れた思い込み)」に気づけないことで、わけのわからない不快感情、無価値感、から逃れようとして、空虚感という心の飢えを身体の空腹感と錯誤し、過食症・むちゃ食い症など「食べることへの嗜癖(行動依存)」に陥ってしまいますよね。

私たちの心の空洞は、現実的にそう感じる必要がない場合でも孤独を感じることがある。しばしば、私たちの恐怖感や自己判断は差し伸べられている救いの手を見えなくさせることがある。また、自分自身の本当の姿を知られることで愛されなくなるのではないかと恐れるために、私たちは愛する人を前に欠点を認めることに恥ずかしさを感じる。本当の自分を他者から隠すことで、私たちは孤独感をより強めてしまう。
自分の生得的な相互関係性に気づくことによって自分との付き合い方を変えることが重要となるのはこのためである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


過食症対人関係療法で問題領域とされることの多い「役割をめぐる不和」「評価への過敏性」を対人関係としてあつかう前に、「自分自身との関係」を見直す必要があるということですよね。

三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『自分と向き合うことで力を取り戻す』というタイトルで、「自分自身との関係と、他人との関係のバランスを保てるようになる」には、無力さを感じさせる力への恐れが原因であることを理解し、現実の他者との関係に取り組む前に、自分自身と向き合い、自分自身の心との関係を改善する必要があることを解説しています。

ありのままの自分を認めることに対する恐れから生じる振る舞いを「偽りの自己」と呼びます。
自分を見つめるまなざし(対次的自己)は怒りという力を使って「偽りの自己」と衝突します。
8つの秘訣』P.287にある二匹のオオカミの闘いです。

「対自的自己」の怒りは、根源的不安によって抑圧され、不安は自分自身に対する憤り(自責感)に変わり、抑うつ状態へと気分が急降下します。
抑うつ気分を高揚させようとする欲求充足のすり替え行動によって、過食や過食嘔吐といった「食べることへの嗜癖(行動依存)」の悪循環に陥っていくのです。

気分変調症や不安障害、あるいは過食症やむちゃ食い症の根底には、根源的な不安と同時に、自分自身に対する憤り(自責感・罪業感)があるため、三田こころの健康クリニック新宿で行っているような「偽りの自己」と「本当の自己」を統合していく自分自身との関係の修復が何よりも重要なのですよね。


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2017-06-12

対人関係療法とセルフ・コンパッション

自分と向き合うこととセルフ・コンパッション』で、『セルフ・コンパッション』で紹介されている3ステップ・ワークは批判的な思考を無くそうとするのではなく、「慈しむ」という動機をもって行う必要があることを解説しました。

「慈しみ(loving & kindness)」は「関係性」の中にしか生まれず、「関係性」は全体性、あるいは相互依存性でもあるからです。
その観点からみると自分自身との関係も、対人関係(二者関係)も同じですよね。

自己批判は「自分はダメだと」という考えが土台になっていて、「他者に変わってもらいたい」という考えの裏には「今の他者や他者との関係はダメだ」との批判が潜んでいますよね。

自分の一部を否定する、あるいは他者や他者との関係を批判するやっかいな「心」と折り合いをつけていくことが「セルフ・コンパッション」なのです。

私たちは自分が完璧になり、人生が思い通りに展開するようになるまで待つ必要はない。愛されるに値する存在になるために、他者から思いやりや慈悲の心を向けられる必要もない。また、切望する受容と安心を手に入れるために、自分の外を探す必要もないのである。
それは他者が不要であるという意味ではない。他者が必要なのは当然のことである。
ただ、陽気な表情の裏で本当に何を感じているのかを知っているのは誰であるのかを考えてみてほしい。直面している痛みと恐怖を知り、最も必要としているものが何であるかを知っているのは誰であるのかを考えてみてほしい。
あなたの人生でただ1人、年中無休で思いやりと優しさを提供出来る人物。それは、あなた自身に他ならない。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


これを読むと「自分をふり返る(内省)」の重要性がわかりますよね。
「内省」は、「メンタライジング能力(心で心を観る能力)」、メンタライジング過程の精神的内容を「洞察」、精神状態に限定されない現在に焦点を当てた状態を「マインドフルネス」と呼ぶなど重なりあう概念があります。
また、他者の内界に焦点を合わせた内省を「共感」と呼び、愛着関係に関する内省能力は「リフレクティブ・ファンクション」と呼ばますよね

対人関係療法で取り組んでいくことは、「自分をふり返る(内省)」と、「関係性の内省(リフレクティブ・ファンクション)」、そしてその表現である「コミュニケーション」なのです。
三田こころの健康クリニック新宿では初診時に、「自己志向(自己受容=自己の成熟)」と「協調性(関係性の成熟)」を高めていく治療目標として一人ひとりに説明していますよね。

セルフ・コンパッション』にアインシュタインの言葉が引用してありました。

私たちは自分自身を、思考を、感情を、他者とは異なるものとして経験しているが、それは意識の視覚的な妄想である。
この妄想は私たちを個人的な欲望や近くにいる他者への愛情に縛りつける一種の牢獄である。


自己否定や自己批判は、自分自身の心の一部を切り離し、戦うことで、強化されたネガティブな感情に縛りつけられる苦しみだけでなく、求めるものが得られない苦しみ、愛する者と別れる苦しみ、嫌いな人と会わなければならない苦しみ、など、さまざまな苦しみを生み出していると理解する必要があります。

怖れ、強迫、あるいは嗜癖といったものはすべて、私たち自身の一部分であるのだが、それらが分離され、自分ではないものとされ、さらには対抗して戦う対象となることによってデーモン化してゆく。
私たちが自分のデーモンから逃げようとすれば、彼らは私たちを追いかけてくる。
形をもたない勢力である彼らと戦うことによって、私たちは彼らに力を与え、そうして彼らに完膚無きまでに負かされてしまうだろう。
(中略)
食べもののことにとらわれる、完璧なパートナーを切望する、あるいはタバコが吸いたくてたまらないというように、何かを欲したり、こだわったりしているようなときにはいつでも、私たちはデーモンに力を与えていることになる。
なぜなら、欲望に隠れてしまっているニーズに、実のところ注意が払われていないからである。

アリオーネ『内なるデーモンを育む星和書店


自分を縛りつける牢獄から自由になるために必要なプロセスは、自分と切り離された痛みや恐怖というデーモンが「最も必要としているものが何か」を知り、それを与えること(デーモンを育むこと)がセルフ・コンパッションの実践ということになりますよね。

デーモンを育む実践から得られる二つの恩恵がある。
一つは私たちが葛藤の中で固く縛られたエネルギーにアクセスすることに内的・外的に苦心することで、支配されている状態から動くことができ、デーモンが「なかま」たちに変容することである。
もう一つは、よりとらえがたいものではあるが、これこそ実践のより重要な成果である。
それは第五のステップで明らかになってくる始まりであり、潜在意識の揺らぎや情動の乱れ、日常生活に生じる数々の固着から自由な状態に入る一つの窓口なのである。

アリオーネ『内なるデーモンを育む星和書店


三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『対人関係の土台となる自分自身との調和』というタイトルで、対人関係療法でコミュニケーション分析を行って行くときにまず自分のコミュニケーションのパターンを認識することが重要で
これは自己客観視をすすめていくプロセスであり、気持ちを感じてコミュニケーションを修正していくためには、日頃から自分自身を観察すること(内省)に取り組んでおく必要があることを解説しました。

これらは対人関係療法の重要な「3つの気づき」のうち、「他人との関係を改善する(自己概念あるいは関係の中における役割についての気づき)」の土台になる「自分との関係を改善する(心の状態の変化についての気づき)」「行動の仕方を改善する(考え・感情・情動のコントロールについての気づき)」ですよね。

三田こころの健康クリニック新宿では、『自分と向き合うこととセルフ・コンパッション』で紹介した「ローゼンバーグの非暴力コミュニケーション」を使って自分自身と向き合うプロセスをすすめています。

このプロセスは、過食症・むちゃ食い症からの回復だけでなく、気分変調症や不安障害、あるいは愛着の治療でも必要となるプロセスですから、これらの治療を希望される方は、三田こころの健康クリニック新宿に申し込んでくださいね。


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2017-05-29

セルフ・コンパッションとマインドフルネス

気分変調症(持続性抑うつ障害)」には自分を責めるという特徴がありますし、「過食症・むちゃ食い症」では、ネガティブな気持ちをなだめるために食べるという行為を使う特徴がありますよね。

「症状」と見なされているこれらの行為は、もともとは、感情的な苦痛を外在化し、解放する試みだったということをしっかりと理解する必要があります。

あなたが習慣的に自己非難を行っている場合、それが自分に対する思いやりの複雑な形を象徴するものであり、あなた自身を安全で順調な方向へ導く試みであることを忘れてはならない。
空虚な希望を抱いて、自分を痛めつけないようにするために、結果的に自分を痛めつけようとしてはならない。憎しみで憎しみを克服しようとすることがかえって憎しみを助長し強化することになるのと同様に、自己判断によって自己判断を止めることはできないのである。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


セルフ・コンパッション』を使った自己批判に対する最善の方法は

  • 自己批判を理解し、それに対して慈悲の心をもち、それを優しい対象方法に置き換えること
  • 自分に対して優しさをもって向き合う上で最も重要な方法の1つは、自分に対する批判的な独り言を変えること

です。

しかしながら、私たちは幸せを願いながらも、正反対の結果を引き起こすような転倒した行動を取ってしまいがちです。なぜなら、私たちの普段の状態は、心が彷徨い思考の過程が乱れた状態にあるからなのです。

それにより、私たちの心の中には、知覚入力にもとづかない感情やファンタジー、記憶からなるさまざまな思考や、意識に上ることがない絶え間のない神経細胞のおしゃべりが渦巻いており、さらに、それらの思考に反応した怒り、不安、恥ずかしさ、抑うつ(浮動性不安)などが散乱した状態が続いています。
とくに「愛着障害ではないか?」と思っていらっしゃる人は、「心の中のおしゃべり(批判的な独り言)」を事実と思い込み、現実から離れてしまっている状態ですよね。

「心の中のおしゃべり(批判的な独り言)」を事実と思い込むことによって、『過食症の不安とアレキシサイミアの治療』で書いたような

  • 内受容感覚を感情として解釈する傾向が乏しい
  • 感情を意識するために身体状態を参照する程度が低い
  • ネガティブな緊急性に対する衝動性(感情不耐による不適応的行動)

などの自動操縦状態が起きてくるのです。

ベストセラーとなっている『非暴力コミュニケーション』の著者でもあるマーシャル・ローゼンバーグは、自分に対して判断的な言葉ではなく共感的な言葉を用いる重要性を強調している。
彼は、心の平穏を手に入れるためには、人間の根本的な要求に対する共感を表現するためには内なる対話を構成することが重要であると主張している。
ローゼンバーグが提唱する方法論には以下の4つの質問が含まれている。

・私は何を観察しているのだろうか
・私は何を感じているのだろうか
・私は今、何を必要としているのだろうか
・私自身、あるいは他者に対する要求は何だろうか

これらの4つの質問は私たちがそのとき何を必要としているのかに対して意識を方向付けてくれる。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


このやり方は三田こころの健康クリニック新宿で教えている「自己内対話」であり、『摂食障害の部分と健康な部分の対話2』で紹介した「対話型・思考記録」をつけることがすごく役に立ちますよね。

また、散らばった心を本来の心であるわが家へ連れ戻し、分裂した側面を調停し和解させひとつに収束させていくことは、自分自身と向き合う対人関係療法治療の柱でもあると同時に、『8つの秘訣』の秘訣8で紹介されている【マインドフルネス〜止(シャマタ:穏やかさにとどまる)〜】のやり方でもあるんですよ。

マインドフルネスや瞑想は、ストレスを減らす云々の効能が喧伝されていますが、本来は対人関係に立脚した関係性への視点(おかげさま)やコンパッション(ありがとう)が土台なのです。
三田こころの健康クリニック新宿では、対人関係療法や8つの秘訣による治療の中で【瞑想によらないマインドフルネス】を指導しているのは、ひとつには自慈心(セルフ・コンパッション)を育むためですし、もう一つは、自分自身の体験(心的現実)に触れつつ巻き込まれない俯瞰的な視座を獲得するためでもあるのです。
巷で流行っているマインドフルネスという名の治療を受けても改善がなく困っていらっしゃる方は、一度、三田こころの健康クリニック新宿に相談してみてくださいね。



三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『ネガティブな感情と向き合う』というタイトルで、過去の出来事の想起やそれに伴うネガティブな感情の噴出に対して、それらの記憶が本当は何を必要としているのか?という奥底のニーズを探し出す必要があることを説明しています。
これが「心の姿勢」と呼ばれるもので、その土台となるのがこのブログでも説明している「自慈心」です。

また、摂食障害治療を専門にしていない医師やカウンセラーが指導することが多い、摂食障害行動に対して「No!」と言い続けるやり方は逆効果になるの注意を喚起しています。

三田こころの健康クリニック新宿では、対人関係療法や『摂食障害から回復するための8つの秘訣』を使って「自己志向(自己受容+価値や目的など自己の次元での成長)」を高め、「協調性(関係性の次元での成長)」を身につけることで過食症・むちゃ食い症の治療を行っています。
「自己志向(自律性)」と「協調性(関係性)」のバランスは、安定型愛着を獲得する上でも非常に重要なポイントになります。
治療を希望される方は『8つの秘訣』と『素敵な物語』をお読みになってから申し込んでくださいね。

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摂食障害・過食症 の対人関係療法慢性のうつ病や双極性障害の リワーク(職場復帰支援) なら 三田こころの健康クリニック新宿
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2017-05-15

愛着の自動操縦状態から抜け出す

両親や祖父母、兄弟姉妹、あるいは教師などから与えられる批判や評価は、私たちの中に内面化された記憶として残ります。
とくに両親からの批判は、子どもの恐怖と不信を生み出し、完璧でなければ親から拒絶されるという不安な未来を思い描くだけでなく、他者は自分を批判するものだという信念を作りあげます。

思春期から青年期に感じられるこのような状態は、不安や恐怖、抑うつや身体化などの生きづらさや対人関係の問題などを生み出し、「内在化障害」と呼ばれます。
この状態はいわゆる愛着障害やアダルトチルドレンなどと、一般の人には考えられていますよね。

この傾向は人間関係の中で問題を引き起こす恐怖の状態を作りだすことになる。
たとえば、自己批判の強い人々は相手が自分を判断するのと同様の厳しさで自分を批判するため、恋愛関係において不満を抱く傾向になることが研究で明らかにされている。
これは、自己批判的な人が強く求めている人間関係における親密さや支援を弱めることを意味している。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


子どもの頃に得られなかった安心や安全を他者に求めたとしても、得られない不満しか残らず、人間関係や親密さを避けるようになってしまいます。

「愛着障害かもしれない」「気分変調症かも」と自己判断する人は、「一体化の過剰要求」や「自己中心的な他者操作」は低く、「見捨てられ不安」は平均の場合が多いのですが、逆に「希薄な対人関係」のスコアは高く、人間関係における親密さが低下した状態を示します。そのため、反応性愛着障害あるいは無力型の気分変調症ではないか?と感じられてしまうのでしょうね。

このような「自己批判」による自動操縦状態が起きてくるメカニズムについて『セルフ・コンパッション』は「後の人生で自分の心の中の悪魔と出会う」と表現されています。

悲しいことに、自分自身を厳しく批判する人々は人間関係を築く上で自分が最大の敵となる。
社会心理学者のビル・スワン(Bill Swann)は、「自己確証理論」として知られるモデルにおいて、人々が自分自身の確固とした信条を他者に評価されることで結びつきたいと思っていると主張している。それは、自己見解が正当化されることによって自分の人生に対する安定感を提供するからである。
彼の研究は自分自身に対して否定的な評価を与える人々にもこの傾向があることを明らかにした。自分の経験を馴染みのある合理的なものにするために、彼らは自分を好まない人々と交流するのである。

以上のことから、あなた自身や素晴らしく成功している友人がいつも相応しくない相手とつきあっている理由がわかるだろう。
多くの場合、自己批判的な人は自分自身が無価値であるという感覚を確証するような批判的でロマンチックな相手に惹かれる。相手に確実に拒絶された方が、次に何が起こるかわからない展開よりも安心できる。
このように、彼らは望ましくない行動を繰り返すことになる。残念ながら、私もまたこれらの不健全な傾向をよく知っている。

ネフ『セルフ・コンパッション』金剛出版


自分を厳しく評価する人にとって、「人間関係を築く上で自分が最大の敵となる」のです。
そして「自分はダメだ」という思い込みを成就させるために、自分を批判する相手を選ぶ傾向にあるということです。
しかし「相手に確実に拒絶された方が、安心できる」関係は、あまりにも哀しすぎますよね。

対人関係療法でなおす 気分変調性障害』には「鍵と鍵穴」の関係として説明されていて、「自虐的な自己中心性」から解放されるには、相手の問題を相手の問題として見ることができ、相手の限界を受け入れることと書いてあります。

そのために必要なことは、自分の心の中をよく観察して、心の中で自分や相手をジャッジメントしていること、執着や好悪に歪められた反応や渇望が起きていて、それが逆に感覚を閉ざすことにつながっていることをしっかり理解する必要があります。

私たちの気分を悪くするのは、他人や出来事そのものではない。
それに対する自分のとらえ方である。
とらえ方を決めるのは、自分の心の姿勢である。

水島広子『怖れを手放す星和書店


上記を思い起こし、自分で作り上げた愛着障害やアダルトチルドレンなどの「ストーリー(自己概念の罠)」に嵌って生活していることを自覚し、抜け出すためには自動操縦状態を終わらせる決心をすることがすごく大切ですよね。

三田こころの健康クリニックの『聴心記』では、『感情という得体の知れないエイリアン』というタイトルで、私たちが自分の中で生じる自然な感情をあたかも異物(エイリアン)のように忌み嫌うことで、「健康な部分」と「病気の部分」という二極化が起き、そこで主導権争いが始まることを説明しました。

摂食障害から回復するための8つの秘訣』P.287にある二匹のオオカミの戦いが起きるのです。
戦いに勝つ(この考え方も問題があるのですが)のは自分が餌を与えて育んだ方なのです。

そのために自分の心の中を観察する「内省」が必要不可欠です。
自分自身との関係を改善しない限り、他者との関係の改善はありえませんよね。
他者との関係を先に改善しようとすると、自分の心を無視せざるを得なくなるからです。

そのため、三田こころの健康クリニック新宿では、「自己志向(自己受容+価値や目的)」を高めることに主眼をおいて、抑うつ状態や不安、過食症やむちゃ食い症の治療をしているのですよ。

摂食障害に対する対人関係療法治療効果については、【梅こんぶの幸せごちそうさま】を参照してくださいね。

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