八千代市の図書館の悲惨な状況

2005年度の八千代市の予算の中で,
図書館用の図書購入費が前年度に比べて80%以上も削られています。
前年度約5000万円(市民一人あたり約280円)だった図書購入費が
800万円(市民一人あたり約45円)まで市行政により削られてしまっています。(一人あたり金額で見ると,これは,記録的に低い−−おそらく人口十数万人台の他の市と比べても数分の一から十数分の一という規模です。)
そのことにより,どのようなことが起きるのかというと
まず,一つ目に新刊書は購入できなくなりました。
通常公立図書館で行われているリクエストサービスも,そもそも新規購入が不可能なため,
2003年,2004年に出版された本はリクエストを受けられないと
お断りが掲出されています。
また,二つ目に八千代市の図書コレクションの価値が下がっていきます。
例えば,通俗小説ですが,西村京太郎の推理小説。毎年,数冊新しい小説が発刊されています。
貸し出し成績も良いため,昨年までは単行本または新書版ノベルズなどで,購入されていました。
しかし,2005年発刊分は,コレクションに加わりません。
2006年度以降,図書購入費が過去のレベルまで復旧したとしても,遡及して購入することはないでしょう(遡及して前年度分を購入して欲しいような気もしますが,その前に西村京太郎よりも購入すべき新刊がたくさんあるでしょう)。
三つ目に雑誌の購入も減らされました。週間金曜日も岩波書店の世界も購入が中止されてしまいました。もちろん週刊新潮文藝春秋は購入が続いています。
利用回数,貸出回数はおそらく比べるまでもないでしょう。予算が少ないという状況で,まず
週間金曜日や世界がうち切られる。
すなわち,予算が少ないという状況で,少数意見が尊重されにくくなる,排除されることとなってきています。
八千代市の図書館の状況については,随時御報告いたします。

2006年6月14日追記

http://d.hatena.ne.jp/ironsand/20060614#p1にも書きましたが,「世界」は,完全には打ち切られておりませんでした。2006年度からは「週刊金曜日」も復活しました。

コレクションの価値という点で図書館と同様な問題を図書館以上に抱えている博物館

なお,上記問題の内,二点目,コレクションの価値の減少については,博物館についても同様の問題があります。標本購入費が半数以上の公立博物館でゼロに追い込まれる(4月16日の朝日朝刊,水嶋さんの提言より)状態で,また学芸員の数が減らされ,学芸員の標本収集,調査研究への無理解が教育委員会事務局や市長部局行政に依然として根強い状況の中で,博物館のコレクションは充実をできず,古い状況のままでの保存管理が求められています。
保存管理はもとよりコレクションの価値を守るためには非常に重要なことですが,コレクションの価値を守る最大の方法は,コレクションの拡充です。
例えば,自然史資料(動物や植物などね)であれば,明治維新以降に日本で研究が始まり,二ホンオオカミなど,日本各地の動植物等自然に関する資料が各地の自然史博物館で収集されてきています。
日本の生物研究,生物学的多様性研究の基礎資料となっています。
そして,今の博物館の状況は....
10年後,50年後に至りようやく,2000年代初頭のコレクションが異常に少ないこと,または欠けていることが反省されるのではないかと危惧してしまいます。

あきれはてた狭山事件判決

http://d.hatena.ne.jp/ironsand/20050318#p1で触れた最高裁第1小法廷による狭山事件第2次再審請求の特別抗告棄却
部落解放同盟による抗議メッセージはhttp://www.bll.gr.jp/sayama/seimei20050317.html
脅迫状を記入した筆記用具に関する現存する証拠から見て,すでに否定されるべきはずの確定判決。それを明らかにする科学的な元警察鑑識課員の鑑定書には触れず,裁判官が「肉眼で観察したところ」確定判決は間違っているとはいえない,という不条理さ。
さらに確定判決ですら疑わしく言えなかったことを,一切の事実調べを行わないまま,新たに恣意的判断から「認定」。
検察が持つ証拠を調べることもせず,責任放棄の判断。
あきれてしまう日本の裁判制度。
こんな裁判制度のもとでは,在日米軍兵士の犯罪に対して,容疑者の引き渡しを求めようと,あのアメリカ軍にすら「公正に裁判を受ける権利」が保障されないと言われて拒否されるのもやむを得ないだろう。
司法関係者はまるでプライドを持っていないかのようだ。裁判所も裁判官も自分自身の職務に少しでも誇りを持って欲しい。

(村山富市の)女性のためのアジア平和国民基金の不手際

従軍慰安婦等,侵略戦争時の日本国の責任を認めることなく,「償い金」を強行的にばらまいてきた国民平和基金。申請がない人にもばらまき,さらに支払ったことを本人にすら明らかにしようとしない国民平和基金。結局,従軍慰安婦等をはじめとする人権問題の解決をいたずらに先送りにしたまま,何ら効果をあげることなく,今年1月に韓国,台湾で業務終了に追い込まれた。
この「申請がない人にもばらまき,さらに支払ったことを本人にすら明らかにしない」件に関して,次に引用。

本日2月25日14時より、VAWW-NETジャパンは女性のためのアジア平和国民基金の不誠実な対応と欺瞞について記者会見(弁護士会館12階第一弁護士会1208号室)を行なって抗議声明を発表し、財団法人アジア「女性のためのアジア平和国民基金」にFAXで 送付しました。
以上ご報告するとともに、抗議声明を公開します。
広くお知らせ下さり、この問題を共有してくださいますようお願いいたします。

VAWW-NETジャパン事務局

2月25日

******以下VAWW-NETの抗議声明******

女性のためのアジア平和国民基金」 理事長村山富市


国民基金の不誠実な対応と欺瞞に抗議し、国民基金が失敗であったことを明確に総括することを、強く求めます!!

先般、韓国在住の沈達蓮さんご本人が受領していないにも関わらず「償い金」が支給されていたことが発覚しました。この件については、これまで沈さんの正式代理人である横田雄一弁護士が貴基金に再三問い合わせ(※第一回めの照会は2003年1月20日付け、第二回目は2003年9月2日付け)、確認を求めてきました。しかし、貴基金は「本人でないと答えられない」と、正式な委任状まで示した代理人の問い合わせを拒み続け、事実関係をひたすら隠し続けてきました。払い込まれているのかどうか分らないことで沈さんは不安を募らせ、2年という長い歳月、悶々とした苦しい気持ちを抱えて過ごされてきました。

去る2月14日、沈さんは「もうこれ以上待てない」と、第7回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議に参加するため来日し、その機会をとらえて貴事務所に行き、直接回答を求めました。沈さんのこうした行動で、貴基金はようやく口を開きましたが、それは驚くべき内容、沈さんにはすでに「償い金」が支払われているというものでした。一体、いつ、誰に「償い金」を払い込み、誰に「総理のおわびの手紙」を送付したのでしょうか?


基金は、国民基金は来る2007年3月末日にて解散すると表明していますが、国民基金がもたらした様々な問題についての明確な総括は回避しています。貴基金のホームページには「中には意向にそわない被害者を疎外する団体もある。被害者を保護すべき団体が被害者を踏みにじっているのである。自分の国の人間、被害者を支援するはずの団体の人間から非難される、時には団体の目的によって利用されるなど、被害者たちは身も心も切り刻まれた非常に惨めな状況にある」(※第4回「慰安婦」問題に関するラウンドテーブル報告)など、支援団体に対する誹謗・中傷を掲載し、自らが犯した過ちについては全く向き合おうとせず、2006年度の解散をもってこの問題を終わらせようとしています。

被害者間に、被害者と支援団体に、支援団体の間に分断と混乱を生じさせた責任は、国民基金が被害者に受け入れられないものであったにも関わらず、それを無理やり、陰湿なやり方で被害者に渡し、この問題を終わりにしようとした貴方にあります。

2月12日13日に東京で開催されたアジア連帯会議では、「償い金」を受け取った被害者も受け取りを拒否し続けた被害者も、どちらにとっても国民基金は被害者を侮辱 し、深い傷を与えたものであったことが確認されました。

国民基金は、「慰安婦」問題を何ひとつ解決しておらず、被害者の尊厳の回復どころか、被害者を更に傷つけるものでした。何の解決をももたらさなかったばかりか、むしろ、日本政府が、被害者が求める責任を行使することを回避する「アリバイ」として、その「役割」を果たしてきたといえます。


私たちは、以下の通り、沈さんに対する不誠実で欺瞞に満ちた国民基金の対応について謝罪し、真実を明らかにすると共に、これまでの事業の過ちを被害者と国際社会に向けて表明することを、強く求めます。


1、 沈達蓮さんに対して、直ちに全ての真相を明らかにし、謝罪すること。
2、 沈さんと同様のケースがないか、即刻、調査を行い、その結果を公表すること。
3、 多くの被害者から受け取り拒否があったにも関わらず、被害者の声を無視して「支給」を断行したのはなぜなのか、その理由を明確にすること。
4、 オランダに対して行った「医療・支援事業」は、「総理の手紙」すら個人に送付されていないが、オランダに対する事業はなんだったのか?
5、 インドネシアに対して高齢者福祉施設の建設などを進めてきたが、そこに被害者が入居していなかったり、被害者に案内も行っていない事実が発覚して久しい。インドネシアに対する事業と「償い事業」の関係を明確に説明すること。
6、 韓国など支援団体を傷つけてきた行為に対して謝罪すること。
7、 国民基金が被害者の尊厳の回復にならなかった総括を、明確に行うこと。

なお、以上について、3月10日までにご回答いただきますよう、お願い致します。

2005年2月25日

「戦争と女性への暴力」日本ネットワークVAWW-NETジャパン)