ネーミングライツ(愛称命名権)問題について

ネーミングライツが,行政の裁量の範囲で,議会の決議を経なくていいのかどうかということについては,2007年12月12日のエントリー「博物館にネーミングライツ?」をはじめ,ネーミングライツについてのエントリーを書いてきたなかで疑問に思っていました。
それに関連して,2015年3月15日,東京地裁で興味深い判決が出ていました。
NHKの首都圏ニュースから

宮下公園命名権売却 違法判決
東京・渋谷区が区立の宮下公園の命名権を企業に売却したことに反対する市民グループが起こした裁判で、東京地方裁判所は「命名権の契約は区議会の議決を経ておらず違法だ」などと指摘して、11万円の損害賠償の支払いを渋谷区に命じました。
渋谷区が6年前、区立宮下公園の命名権をスポーツ用品会社「ナイキジャパン」に売却して整備計画を進めたことについて、反対する市民グループや公園で暮らしていたホームレスの男性が裁判を起こし、区に賠償を求めていました。
 13日の判決で、東京地方裁判所の澤野芳夫裁判長は「命名権の契約は区議会の議決を経ていないうえ、競争入札が難しいケースではないのに、随意契約で行われていて違法だ」と指摘しました。
 さらに、整備計画を進めるためホームレスの男性を担ぎ上げて公園から退去させた、区の職員の対応についても違法性を認め、11万円の支払いを渋谷区に命じました。
 公園は当初、企業名を含んだ名称に変わる予定でしたが、企業側が「商業施設ができるような誤解を与えてしまった」と撤回して、現在も企業名は使われていません。

NHKの報道では,(1)議決を経ていないうえ,(2)随意契約だから,となっているので,詳細はわかりません。
原告側,被告側の主張も,まだ見えませんが,判決根拠の一部となっているからには,議会の議決を経ない状態での愛称命名権売却に疑義が投げかけられたことは間違いありません。

朝日新聞の記事

公園生活者のテント強制撤去「一部違法」 東京地裁判決
東京・渋谷駅近くにある渋谷区立宮下公園の改修に伴い、公園で生活していた男性のテントなどを強制撤去したのは違法だとして、男性や支援団体が区に約590万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。沢野芳夫裁判長は「撤去前に、男性を無理やり担ぎあげて退去させたのは違法だ」として、男性に11万円を支払うよう区に命じた。強制撤去そのものは「適法」とした。
同公園をめぐっては、区がスポーツ用品メーカーのナイキジャパンに命名権ネーミングライツ)を売却。公園の改修のために2010年9月、テントなどを強制撤去する「行政代執行」を実施した。これに先立ち、退去を拒んだ男性を区職員らが担ぎ上げて退去させたが、判決はこの方法が「許される範囲を超えている」とした。
一方、「同社が公園の改修費用を負担し、その対価として区が命名権を与える」とした契約を区が結んだことについて、判決は「必要な議会の議決がなく、地方自治法に違反する」と指摘した。

同日追記

訴状によると

「負担付きの寄付及び贈与を受けること」に相当することは明らかであり、地方議会の議決事項とされている(地方自治法96条1項9号)。

ということ。
裁判所がどう判断したのかはまだ調べていない…