入院患者の医療・介護保険の併用(中編)

前回からの続きです。
 
では、医療保険介護保険の面から背景をおさらいしてみます。
もともと、介護保険の導入時に、社会的入院を解消すべく、療養型の病床はすべて介護保険に移行される予定でした。
しかし、介護保険財政ではすべての療養型病床を担うことは不可能であり、その結果、一時しのぎで「医療療養型病床」と「介護療養型病床」という、同じ介護をするのに医療保険を使うものと、介護保険を使うものが生まれてしまいました。
また療養型病床と、介護老人保健施設との区別も難しいものであり、さらに言えば、介護老人福祉施設特別養護老人ホーム)との区別も難しい状況となってきました。
施設に入る金額を比較すると、
医療療養型病床 > 介護療養型病床 > 介護老人保健施設 > 介護老人福祉施設
となるため、財政を抑えるためには、なるべく後者へと移行してもらいたいものです。
そのため、医療療養型病床から介護老人保健施設への移行を促しましたが、全くといっていいほど移行が見られませんでした。
施設側からすると、売上げが減るので当然のことです。
医療療養型病床は、いずれ介護保険に移行するための一時しのぎの制度ですが、実際に介護保険に移行させようとすると、反対の声があがり、移行が困難な状況です。
介護保険財政を圧迫させるだけでなく、施設側の売上げが下がるので、これまた当然のことです。
 
少し話をずらします。
病院には、療養型病床でない一般病床というものがあります。
これは、医療が必要な方に短期間入院していただくための病床です。
現在、保険診療による誘導で、平均在院日数が短縮されてきています。
入院基本料I群を取得している急性期に特化した病院では、平均在院日数が15日以下になっているところがほとんどです。
では、急性期特化をしていない、入院基本料II群を取得している病院はと見ると、平均在院日数がかなり長いのが実情です。
厚生労働省では、この入院基本料II群の一般病床を療養型病床と同等と見ているようです。
慢性期の入院医療を検討している、慢性期包括評価分科会の調査でも、入院基本料II群の一般病床と療養型病床を、慢性期として調査しています。
一定の移行期間を与えているのに、平均在院日数を短縮して急性期になることもできず、かといって療養型病床にも移行していない、入院基本料II群の一般病床は療養型であると考えている傾向が強いといえます。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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