カンガルーの起源は南米=有袋類のDNA解析で判明―豪州説を否定・独大学

オーストラリアに主に生息するカンガルー類の起源は南米にあると、ドイツ・ミュンスター大の研究チームが28日、米オンライン科学誌プロス・バイオロジーに発表した。胎盤がなく、母親が子をおなかの袋で育てる有袋類の主要系統について細胞核のDNAを解析し、祖先は南米に生息していたと結論付けた。
 有袋類は進化解明の最大の手掛かりとなる化石があまり発見されておらず、過去には豪州を起源とする説もあったが、否定された。
 カンガルーと南北米大陸に生息するオポッサム類は、約1億3000万年前に分かれたと考えられている。南米と南極大陸、豪州は、かつて超大陸ゴンドワナ」の一部として一体化していたため、カンガルー類の遠い祖先は南米から南極大陸経由で豪州に到達したと考えられるという。
 この研究は、2007年に国際研究チームが南米に生息するハイイロジネズミオポッサムの全遺伝情報(ゲノム)を解読して発表したのが基盤。カンガルー類のゲノム解読も進み、研究チームは有袋類の主要7グループのDNAに化石のように残る塩基配列「レトロポゾン」を解析した。
 その結果、共通の祖先は南米に生息し、最初にハイイロジネズミオポッサムが分かれたことが判明。豪州に移動した有袋類から、タスマニアデビルに代表されるフクロネコ類やカンガルー類などが分かれたという。