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2011-04-25

脱「原発タブー」こそ重要だ。政治家・メディアに求められる真摯な反省

| 11:37

東日本大震災から6週間が立ったが、東京電力福島第一原子力発電所の事故は依然、収束のメドが立っていない。その間にも規模の大きい余震が起き、果たして他の原発は大丈夫なのか、国民の多くが不安にかられている。原発を抱える地域では、原発反対の声が強くなっており、このままの状態で他地域に大きな地震が起きれば、「原発を即刻停止せよ」といった世論が一気に高まることになりかねない。

例えば、静岡県御前崎にある中部電力の浜岡原子力発電所東海地震の震源域にあることから、最も懸念されている原発の1つである。すでに安全性に疑問があった1、2号機は2009年に運転を終了したが、今も燃料棒は貯蔵プールに残ったまま。つまり福島第一原発の4号炉と同じ状態になっている、という。3号機は定期点検中で停止しているが、県の幹部は「県民感情からみて、今の状況では再稼働は難しい」という判断のようだ。枝野幸男官房長官も4月18日の段階で、「専門家の間に一定のコンセンサスができない状況で再開するのは、政府がどう考えるかという以前に事実上困難だ」と述べている。稼働している4,5号炉も来年以降、定期点検があり停止する。その後、同様に、再稼働できなくなるのではないか、という見方が広がっている。

つまり、このままでは、原発はなし崩し的に止まっていく。代替エネルギーはどうするのか、二酸化炭素問題はどうするのか、という議論もなく、政治家も決断できないままに、原発を放棄していくことになる。あるいは、政治家も電力会社も「喉もと過ぎて熱さを忘れる」のを待っているのか。

今こそ、日本のエネルギー政策について、根本的に議論することが大事だろう。原発についても真摯に議論すべきだ。過去40年、日本社会は「原発を巡る議論」をタブーにしてきた。政治家もメディアも議論を避けてきた。気が付けば、全国に54基もの原発を抱える、原発大国になったが、それは国民の総意だったのか。

メディアが電機業界から巨額の広告費を得ていたことはすでに指摘されている。だからと言って、現場の記者が原発礼賛記事を書いてきたわけではない。だが、社内で原発に触れることが「タブー」になり、原発の議論を避けるように自己規制してきたのではないか。

多くの与党政治家は電力会社にパーティ券を買ってもらっている。地元が地方ならば、財界トップはほとんどが電力会社のトップだ。選挙から後援会活動まで、地元財界に世話になっている政治家は少なくない。電力会社はこうした政治家に「原発賛成」を求めているわけではない。原発問題をタブー視してくれればよいのである。

学校教育はどうか。私自身、小学校から大学まで、原発について教わった記憶はほとんどない。放射線についての基礎知識はなく、健康被害との因果関係なども勉強したことはない。絶対安全神話の中で、原発から高度の放射線が漏れることは「想定外」に封じ込められ、議論も教育もタブーになったのだ。多くの知識人が原発放射線の知識がほとんどないがために、実際に事故が起きた際にパニックになっているのが、現状だろう。

先週インタビューした塩崎恭久・元内閣官房長官は、「すべての原発のデューデリジェンスとストレステストをやるべきだ」と震災直後から主張している。つまり、きちんと実態調査をしたうえで、同じような地震津波が来た場合に耐えられるかどうかのテストをせよ、というのだ。最近は踏み込んで、とりあえずは15年後にいったんすべての原発を停止するということをまず決めたうえで、停止に向けたスケジュール、工定表を作るべきだ、としている。その間に、原発もタブー視せずに、エネルギー政策全般を議論すべきだというのだ。国民の安心を第一に考えたうで、将来ビジョンを描く。これが危機の時に政治家に求められている機能だろう。

インタビューは以下です。是非ご一読を。

現代ビジネス「まずは15年後に原発停止の工程を決める」塩崎恭久インタビュー Vol2

http://bit.ly/eSomII

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