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2012-05-08

野田内閣“なし崩し9連休”の危機感欠如。閣僚こぞって外遊で、閣議もできず国会も休会状態

| 23:01

5月1日、2日の連休の谷間はサラリーマンや公務員は出勤日。この2日間さえ休めれば9連休だが、それを実現するには、相当前から仕事を片付け、有給休暇の取得願いなどを出すのが世の常識だ。ところが民主党政権はそんな常識には囚われない、という事なのだろう。野田佳彦内閣の閣僚はこぞって外遊に出かけ、その日程を野党に知らせたのも連休入り直前だった。

定例閣議もやるのかやらないのか、ギリギリまで分からない始末。東日本大震災以降、事あるたびに危機管理対応の甘さが指摘されている民主党内閣だが、ここまで来ると、どこかタガが外れているとしか思えない。

官邸田中直紀防衛相しかいない?!

「5月1日(火)及び5月4日(金・祝日)の定例閣議は開催しないこととなったようです。なお、確認したところでは、繰上(下)げ閣議も開催しないとのことです」

ゴールデンウィーク入りを控えた4月27日の夜、ある霞が関官庁が、記者クラブの所属記者宛にこんなメールを配信した。メールで記者会見などの連絡をするのはいつもの事だが、この文面は日頃とは大きく違っていた。

霞が関流の修辞学で読めばこうだ。

「(開催しないことと)なったようです」という表現は、「官邸からは正式な連絡が来ていない」という意味。「確認したところでは」という表現は「わざわざこちらから聞かなければ連絡してこなかった」という意味で、担当者の怒りが伝わってくる。しかも「5月4日は祝日だから分かるとして、1日の火曜日の定例閣議をなぜやらないのだ。しかも繰り上げも繰り下げもやらないなんて」という呆れにも似た苛立ちが伝わってくるのだ。

 実は5月1、2日の連休の谷間に国会を開くのかどうかについても、政府与党はギリギリまで何も言ってこなかったという。自民党参議院国会対策関係者によると27日夜の段階で、連休の谷間の国会の扱いをどうするのか、まったく何の連絡も無かったというのだ。

 一方で、27日になって出てきた閣僚の外遊日程に、野党の国対関係者は目をむいた。当初の計画では閣僚17人のうち12人が次々と海外へ出かけることになっていたのだ。しかも国家の緊急時に招集される「安全保障会議」のメンバー10閣僚のうち8人が海外に行き、藤村修官房長官と田中直紀防衛相しか官邸にいられない時間帯も予定上あったという。

田中氏といえば、防衛相としての資質に疑問符が付き4月20日に参議院で問責決議が可決されたばかりの御仁。「万が一の危機が起きた時に田中防衛相内閣の陣頭指揮を取るというのは悪い冗談だろう」(自民党参院議員)という声が上がったのは当然だ。

もうひとり問責決議を受けた前田武志国土交通相ドイツを訪問する計画だったが、さすがにこれには野党が噛み付いた。「(問責を受けて)辞任する前の卒業旅行気分だ」と猛烈に反発したのだ。

官邸北朝鮮有事への危機感はあるのか

外遊の目的にも野党は首をかしげる。ワシントンを訪問した野田首相の日米首脳会談や、インドを訪れた玄葉光一郎外相の日印外相会談は必要な公務としても、その他の閣僚の出張は大いに疑問符が付く。

連休明けまで米国出張の予定が入っていたのを野党に批判されると、いきなり訪問地をベトナムに変更した例もあり、「単なる物見遊山ではないか」という声が上がった。「自民党時代よりもさらに酷い。公費を使った遊びと批判されても不思議ではない」と自民党のベテラン衆議院議員も呆れる。

結局、政府は前田国交相ドイツ訪問と松原仁国家公安委員長のベトナム訪問を見送った。予定していた閣僚の外遊を野党の批判で取り止めたのは異例だ。

首相副総理の外遊日程をずらすなど、段取りを付けるのに担当の官僚は四苦八苦だった。だが、閣僚の日程調整に忙殺され、1日の定例閣議の事など頭もかすめなかったのだろうか。結局、首相ら6閣僚が国内にいない1日は閣議が開かれることなく、官邸はなし崩しで休業状態となった。

東日本大震災とその後の東京電力福島第一原子力発電所事故の対応を巡って、首相官邸が十分に機能しなかった、という批判はいまだに消えていない。

大震災の余震とみられる地震も続いている。また、週刊誌や夕刊紙は「首都直下型地震」の切迫を伝えてもいる。弾道ミサイルの打ち上げに失敗した北朝鮮は何らかの行動に出るという見方が連休前から急速に高まっていた。それが核実験なのか、何らかの軍事行動なのか、明確な情報はない。そんな中で、官邸は相当レベルの危機感を抱いていて当然と思われるが、実際はそうではないのだろうか。

二閣僚の外遊を中止したのも、野党側から「安保会議メンバーのほとんどが国外にいていいのか」という指摘が出てきたからだ。野党にそう指摘されなければ、何の痛痒も感じずに海外での“公務”を満喫していたのだろう。

 災害や国家の危機はいつ何時やってくるか分からない。もう二度と「想定外」という逃げ口上を使わないためにも、緊張感を持って政権運営に当たるのが最低限の責務だろう。