Hatena::ブログ(Diary)

磯山友幸のブログ RSSフィード Twitter

2013-06-06

KANDA meets JAZZ (フリー淡路ブックNo1特集記事)

| 10:19

 神田淡路町に4月、再開発によって複合高層ビル「ワテラス」が誕生しました。古い伝統を守る住民と新しくやってきた住民が融合した新しいコミュニティを創ろうという取り組みが始まっています。そんな街おこしの一環として発行が始まったのが地域情報誌「FREE AWAJI BOOK」。1万5000部が3カ月にわたって神田地域などに置かれました。その記事作成のお手伝いをしています。イベントはすでに終了していますが、以下に特集記事をご紹介します。

ワテラスhttp://www.awaji-am.com/



 スウィングするアメリカンブルーと躍動のジャパンレッドの粋な出会いがここ神田の地で実現する。ジャズの祭典と神田祭。新しい空気感を持ち込もうと意気込むジャズクラブの名門「ブルーノート東京」がプロデュースするジャズイベントを、伝統ある神田祭特有の空気感を神田の地に残し続けようという心意気に燃える「神田淡路町」が迎える。2013年4月に誕生した新しいコミュニティの拠点WATERRASを舞台とした新旧の心地よい融合が始まる。

家族や仲間と気軽に楽しめる

新しいジャズイベントを神田

 ワテラスを舞台に「新しい神田」が動き出す。その最大のヤマ場は4月28日〜30日。ワテラスのオープニングに合わせて、ジャズイベントが開かれる。プロデュースするのは、「ブルーノート東京」だ。

 言うまでもなくブルーノート東京の本展はニューヨークのBlue Note。アメリカの「粋」の中心のような存在だ。「その空気感を日本にも」との思いで、現在、株式会社ブルーノートジャパンの代表取締役を務める伊藤洋翔さんが、1988年、東京南青山にオープンした。

 伊藤さんがブルーノートを開いたのは決してジャズオタクだったからではない。常連客が幅をきかす趣味の場ではなく、恋人や夫婦で気軽にジャズと食事を楽しめる「空間」を作りたかったからだ。

 そんな伊藤さんが神田に興味を持ったのも、そこにポテンシャルを感じたからだという。この場所で新しい空間を創り上げることができるという直感だ。「これまで無かったものを創れればと思っています。もともと伝統があり、学生がいて、出版社や書店もたくさんある。文化的・知的なムードが溢れる土地柄です。人々が集まりのんびりと語り合う新しい場ができるでしょう」

 ジャズイベントと同時にまったく新しいコンセプトのカフェ&エピスリー「Cafe104.5(カフェいちまるよんごう)」をワテラス内にオープンさせる。104.5は水の分子が最も安定する分子結合の角度だという。ゆったりと落ち着ける場を創る、ということだろう。そこにはもちろん音楽が欠かせない。「夕暮れ時にジャズの音楽が緩やかに響く、そんなリゾート地のような新しい空気感を生み出せたら」と伊藤さん。

 そんな新しい空間の誕生を告げるジャズイベント。神田の地を、日本の人気ジャズ・ミュージシャンが大きく揺さぶることになる。ジャズギタリスト小沼ようすけ秋吉敏子ビッグバンドのリユニオン、ブルーノート東京オールスタージャズオーケストラなど、必見のプログラムだ。

 実はイベント期間の4月30日はユネスコが定めた「世界ジャズデイ」。ジャズの祭典が世界各地で繰り広げられる。そんな高揚感を神田後にも実現したい。伊藤さんの心意気の表れでもある。

 

近づいてくる独特の躍動感

江戸の華、神田祭が4年ぶりに

 ワテラスを舞台にしたもう一つの祭典は神田祭。江戸東京に鎮座して1300年近くになる江戸鎮守神田明神の祭礼だ。神田日本橋秋葉原大手町、丸の内など108の町々の氏神様で、ワテラスが建っている淡路町二丁目もその一つだ。その神田祭の最大のヤマ場は、5月12日(日)にやってくる。それぞれの町がほゆうする100基の神輿を順次、神田明神の本殿前に担ぎ入れる「宮入り」だ。

 その淡路町二丁目町会神輿を取り仕切るのが同町会の黒眞さん。神輿の運行をダイナミックに指揮する「木頭(きがしら)」を長年務めている。「祭りが近付いてくると、なんかザワザワしてくるんだよ。独特の感覚。そう、空気感だね。これを何とか次の世代につなげていかなきゃいけないって思うね」。

 神田祭ではワテラスの広場に神酒所ができ、神輿が安置される。また、宮入りの途上、中神田13カ町の神輿の一団がワテラス前で「大休止」する。その光景は壮観だろう。淡路町二丁目町会の神輿は2尺4寸で、周りの町々の神輿と比べても大きく立派だ。一方で町内に住む住民は大きく減った。神輿の担ぎ手がいなければ持ち上がらないという現実もある。「野暮な事を言っちゃいけない。来る者拒まずだよ。どんどん入ってきてもらいたい。このザワザワ感は参加してもらって初めて分かるってもんだ。ただ、守ってもらわなきゃ困る決まり事っていうのもある。まあ、それが伝統というもんだろうね」。ワテラスに集まってくる新しい人たちも、伝統を守りながら、常に新しいものを受け入れてきた江戸っ子の「血」の通った粋な姿勢に魅了され、この伝統的な祭りの空気管に溶け込んでいけるはずだ。

 ジャズイベントと神田祭。ソウルフルなジャズライブと魂を揺さぶる神輿の掛け声が響き渡る中、神田後も高揚し、リズムをとる。新たな空気感を創り上げていく足音のような。この東西新旧の祭りの粋な融合が、新たな活気を地元、世界に発信していくことになるだろう。

FREE AWJI BOOK 2013April No.1