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2013-09-05

アベノミクスは追い風になるか!? 外国人・富裕層向け家事・育児サービスを展開するシェヴの柳基善CEOに聞いた

| 13:07

家事支援サービスが急成長しています。フィリピン人家政婦を外国人や富裕層に派遣する会社シェヴの柳CEOにお話をお聞きしました。

オリジナルページ→現代ビジネス http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36896


 安倍内閣は「成長戦略」の1つの柱として「女性の活躍推進」を掲げている。そのための施策として保育所の待機児童解消や、「ベビーシッターやハウスキーパーなどの経費負担の軽減に向けた方策を検討する」ことを「成長戦略」に盛り込んだ。

 いまや欧米では働く女性が外国人ベビーシッターなどを雇うのは当たり前になっており、日本での潜在ニーズは高いとみられるが、外国人の就業規制もあり、なかなか広まらない。外国人や富裕層向けに家事・保育サービスを展開するシェヴ(本社・東京都港区南青山)の柳基善・代表取締役CEO(最高経営責任者)に聞いた。

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定住資格を持つフィリピン人女性が活躍

  首都圏で外国人や富裕層向けに家事・保育サービスを手掛けています。

2004年1月に会社を作り同年7月から営業を開始しました。来年で10周年になります。現在は事業の7割強が家事代行、2割強がベビーシッティング、残りが専門的なハウス・クリーニング・サービスなどです。240人から250人のスタッフを抱えていますが、フィリピン人を中心に外国人も100人以上います。

お客様の半分は日本に滞在している外国人です。お客様のご都合をお聞きするコーディネーターはバイリンガルで、英語と日本語で対応しています。

  残り半分は日本人のお客さんということですか。

いわゆる富裕層のお客様が中心ですね。首都圏全体をサービスエリアにしていますが、圧倒的に六本木、青山、広尾といった地域のマンション居住者が多いです。常時、400世帯から500世帯くらいのお宅にサービスを提供しており、年間では3万件、1000世帯にのぼります。

  フィリピン人などの家政婦を雇える人は法律で限られているのではないですか。

はい。法律では、外国人をメイドとして雇うことができるのは、「投資・経営」に携わる会社の外国人トップや「法律・会計業務」に携わる外国人、駐日大使館職員などに限られています。これをわれわれの世界では「スポンサーができる人」と言っています。一般の日本人が外国人を雇うことはできません。

  シェヴでは、日本人家庭にも外国人スタッフによるサービスを提供していますね。

ええ。多くがフィリピン人ですが、全員、日本人と結婚するなどして定住資格を持っている人たちです。現在、定住フィリピン人は日本国内に20万人もいるのです。10年間このビジネスをやってきて、彼女らとのネットワークが広がりました。

フィリピン人は優しい人が多く、ハウスキーパーやベビーシッターとして世界的に人気があります。日本に来る前にホテルで働いたり、外国人宅で家事に従事していたフィリピン人もたくさんいます。そんな経験を日本でも生かしたいと考えている定住フィリピン人女性は少なくないのです。日本人家庭でもフィリピン人ベビーシッターの人気は高いですね。

  不法就労ではないのですね。

スポンサーができる人のところで働いている(定住資格のない)外国人が、アルバイトで日本人家庭でも働いているケースもあるようですが、これも違法です。私どもはこうした人たちは使っていません。

今後の市場規模は急速に拡大する

  柳さんはなぜこの事業を起こそうと思われたのですか。

もともと銀行で為替のディーリングをやっていて、英国にも勤務したことがあるので、外国から日本にやってくるビジネスマンのニーズを感じていました。また、起業前は銀行でプライベートバンキングを担当していたこともあり、日本人の富裕層でもメイドへのニーズがあると思っていました。

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  ベビーシッターやハウスキーパーに対するニーズは増えているのでしょうか。

創業以来、順調に増えていましたが、2008年のリーマンショックで大打撃を受けました。投資銀行などの日本支店の閉鎖が続き、日本に住む外国人ビジネスマンが激減したからです。そのショックから立ち直ろうとしたところへ、今度は東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故があり、外国人の日本離れに拍車がかかりました。

ようやくその影響が薄れ、最近は徐々に戻ってきています。ただ、業種は違います。金融関係はまったく戻って来ません。最近は、不動産投資関連やエネルギー関連の外国人が東京に増えているように感じます。

  日本人のニーズはどうですか。

着実に増えているという感じですね。もともと当社は外国人顧客と日本人顧客を半々にする方針でやってきました。リーマンショックで外国人顧客が激減した後も何とかやってこれたのは、このためです。日本では高収入の共働き家庭などが増えており、ベビーシッターやハウスキーパーへのニーズは高いと思います。また最近は、フロントで様々な作業を引き受けるコンシェルジェ・サービスが広がっており、そうした会社とも契約しています。

  今後、こうした家事支援サービスが広がっていくのでしょうか。

やはりネックは料金が高いことです。奥さんが稼いだ月給のほとんどがベビーシッター代に消える、といった声を良く聞きます。それと、なかなかハウスキーパーとしての働き手が集まらないため、ニーズに応えられていない面もあります。介護やベビーシッターなどの分野でフィリピン人など外国人が働けるよう、ルールを変えていくべきではないでしょうか。

  はやり料金は高いのでしょうか。

当社は1回3時間9000円ぐらいです。週に1回、月4回とすると月額3万6000円です。実際には月額5〜10万円ぐらい支払われている方が多いのではないでしょうか。毎日朝から夕方までとなるとすぐに40万〜50万円になってしまいます。年収分の一定相当額の紹介料を当社がいただいて人材を紹介するケースもありますが、それでも月に20万〜25万円はかかります。働く女性にとって不可欠なサービスなのですから、国などによる助成があっても良いのではないでしょうか。

  自民党がベビーシッター代などを必要経費として認める「家事支援税制」の導入を打ち出し、アベノミクスの成長戦略にも「経費負担の軽減策を検討する」という一文が盛り込まれました。

それはいい事だと思います。最近は家事代行業に力を入れる企業も増えています。ダスキンやおそうじ本舗、カジタク、ベアーズといった企業が伸びています。

  そんな中でシェヴの戦略は。

当社はハイエンドのお客様に特化する戦略を守っていきたいと思います。政府が規制緩和で小規模保育を認めるということなので、マンション内保育所も検討しています。待機児童の解消が大きな課題になっていることもあり、「保育バブル」と思えるほどです。市場規模は急速に大きくなるのではないでしょうか。

柳基善(ユウ・キソン) 1959年大分県生まれ。慶応大卒。外資系金融機関HSBC東京支店、ロンドン本店で勤務した後に独立。2004年に株式会社シェヴ(Chez Vous)を設立した