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2014-08-28

ラスベガスMGMリゾーツCEOに聞く 「日本型『カジノリゾート』に最大100億ドルの投資を考えています」

| 13:44

カジノなどのギャンブルを米国では「ゲーミング」と呼んでいますが、その市場規模では日本はすでに世界3位だそうです。競輪競馬にパチンコを加えたもので、カジノメッカであるマカオラスベガスに次ぐ規模といいます。その日本の市場を世界のカジノ運営企業が虎視眈々と狙っているのは当然といえば当然でしょう。カジノ法案が通過すれば、さらに参入競争は激しさを増しそうです。オリジナル→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40246


今年秋の臨時国会では、いわゆる「カジノ法案」が本格的に審議され、成立する可能性が高まっている。

大型ホテルやショッピング・モール、劇場などのエンターテイメント施設、国際会議場などを併設する「統合型リゾート(IR=Integrated Resort )」の日本での建設を後押しするための法律で、IRの中核になるカジノの解禁が柱になる。

IR事業には日本企業ばかりでなく、海外企業も参入に意欲を示している。そんな1社である米IR大手のMGMリゾーツ・インターナショナル(本社、米ラスベガス)で会長兼CEO(最高経営責任者)を務めるジェームス・ムーレン氏に日本進出に向けた意欲を聞いた。

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ラスベガスには年間4000万人

 問 日本でのIR事業参入を検討しているそうですね。

 ジェームス・ムーレン(以下J.M) 日本は世界の中でもIR事業の潜在的な可能性がある有数の場所だ。法案の行方や具体的な内容を見ながら、事業計画の初期段階から参入していきたい。ラスベガスには年間4000万人の観光客がやってくるが、そのうち20%は海外からの人たちで、今、こうした国際観光客の誘致拡大に力を入れている。日本政府も2020年までに訪日外国人2000万人、2030年に3000万人という目標を掲げており、IRがこれを実現する原動力になると思う。

 問 どんな形のリゾートを日本で考えているのか。

 J.M MGMリゾーツはラスベガスで最大のIR企業だが、マカオなど海外での事業展開に乗り出しており、非常に多様性に富んだ企業カルチャーを持つ。従業員の53%が女性で、人種などのマイノリティーの雇用にも力を入れている。環境にやさしいエコ重視の事業展開にも力を入れている。こうした経験を生かし、環境にやさしい「スマートシティ」型のリゾート開発などができるだろう。

日本のパートナーとの議論を始めている

 J.M IRはラスベガスのほか、マカオシンガポールオーストラリアなどでの開発が行われているが、日本のIRがそれと同じである必要はまったくない。

日本の文化や特色を生かした特有のリゾートが多くの外国人観光客を引き付けるだろう。私は日本では統合型リゾートではなく日本型リゾートと呼べるものを作りたい。

私自身、日本を頻繁に訪れ、様々な地域の様々なリゾートを見ている。

先日、京都の「星のや」へ行ったが、とても素晴らしかった。また、瀬戸内海直島にあるベネッセハウスも、現代美術の美術館など魅力的だ。日本ならではのリゾートはいろいろ考えられる。

IRはカジノのほか、ホテルやレストラン、ショッピング、ショーやエンターテイメント、ゴルフなど様々な“感動する”事業を一体化して展開する点に特長がある。そのノウハウを持っているのがМGMリゾーツの強みだ。

 問 場所はどこになるのでしょう。

 J.M 具体的な場所は日本政府が決めることだ。今、言われている東京お台場大阪・夢洲(ゆめしま)、沖縄横浜など、それぞれに気候風土、食事などに特長があり、魅力がある。それぞれの地域に合ったIRを検討したい。いずれにせよ、日本の実情や慣行などを熟知した日本のパートナーが不可欠だと思っている。すでに複数の企業との間で、協力できないか議論を始めている。

 問 どれくらいの投資規模になるのでしょうか。

 J.M IRを作るとなれば数十億ドル(数千億円)規模になる。MGMリゾーツは強固な財務基盤を持っており、最低でも50億ドル(約5000億円)から100億ドル(1兆円)規模の投資になるだろう。

ラスベガスでは「非カジノ収入」が7割

 問 日本ではカジノ解禁に反対する声もあります。IRというとカジノにばかり目が行きます。

 J.M ラスベガスのIRでも1980年ごろまでは収入の6割がカジノ関連だったが、現在は3割に低下、7割が非カジノ事業の収入になっている。

MGMリゾーツはラスベガスで合計300万平方メートルにおよぶ見本市・国際会議施設を保有している。いわゆるMICEビジネスが大きく拡大している。

日本は国際的なMICEの拠点として大きな可能性があるが、まだまだ施設も乏しく、国際会議などの誘致には不十分だ。こうした非カジノ事業のウェートが大きいというのが現在のIRの特長だ。

大阪夢洲でのIRの概念図を描いてもらうために建築家と話していて、IR全体の床面積のうちカジノ部分は1〜2%に過ぎないという説明をしたら、非常に驚いていた。IRというと日本ではカジノにばかり焦点が当たるが、カジノはひとつの要素に過ぎない。

 問 そうは言ってもカジノ抜きのIRというのは成り立たないのですか。

 J.M その通りだ。国際観光客を呼び込もうと考えるのならばカジノは不可欠だ。カジノを目当てに来る観光客ばかりではない。国際会議などでは同伴者のエクスカーションなどの多様性が求められており、カジノもそのひとつだ。ただ、カジノはIRのひとつの要素として考えているのであり、われわれは、日本でカジノが解禁されたからと言って、パチンコ・ホールやスロットマシン・パーラーをやるつもりはない。

カジノについては法律や規制が今後どうなっていくかに注目している。法律や税制などがきちんと整備され、国としてのマネーロンダリング防止体制などが整わなければMGMリゾーツとしては進出できない。今後の法案審議を見守っていきたい。